JPH0519626B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は合成樹脂発泡シートと不織布とを三層
に積層し、一体化した複合シート材を用いる屋根
防水工法に関するものである。

さらに詳しくは、合成樹脂発泡シートを中心と
して、その両面にそれぞれナイロン長繊維不織布
と、ニードリングを施した短繊維不織布とを積層
一体化して成る複合シート材をルーフイング下地
材として用い、この複合シート材の特定の片面を
コンクリートスラブ面に接着施工する屋根防水工
法に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、ルーフイング下地材として一般にゴム又
は合成樹脂等の組成物から成るシート、あるいは
不織布にゴム又は合成樹脂等の組成物層を積層一
体化して成るシート等が提供されており、屋根防
水は、これらのルーフイング下地材を建築物屋上
のコンクリートスラブ面に接着材を用いて接着せ
しめることによつて行われている。

〔発明が解決しようとする問題点〕

リーフイング下地材には防水機能が当然に要求
されるが、同時に屋上コンクリートスラブ面への
密着性ならびにコンクリートスラブから発生する
蒸気を水平方向に拡散除去する機能が要求され、
その他軽量、かつクツシヨン性に富むことが望ま
しい。

ところで、従来用いられているゴム又は合成樹
脂組成物のシートは防水機能には富むが、屋上コ
ンクリートスラブ面への密着性が劣り、特にコン
クリートスラブから発生する蒸気の水平方向への
拡散機能が劣り、コンクリートスラブ面との間で
“ふくれ”、“剥離”を生じ、その結果防水機能が
損われ、漏水の原因となつている。

一方ゴム又は合成樹脂の組成物層に不織布を積
層一体化したものは、不織布層の存在によつて水
平方向への蒸気の拡散機能はあるものの、クツシ
ヨン性、軽さという点において劣つている。した
がつて、これら従来のシート材を用いた場合充分
満足な屋根防水は望めない。

コンクリートスラブ面への密着性は屋上防水施
工後の防水効果と耐久性に大きく影響し、軽量で
あるということは施工作業時あるいは運搬時での
取り扱い上好ましいものである。

本発明者は以上のごとき現状に鑑み、研究の結
果、軽量で、クツシヨン性に優れ、コンクリート
スラブ面への密着性がよく、かつ蒸気の水平方向
への拡散機能にも優れたシート材を開発し、この
シート材の特定の片面をコンクリートスラブ面に
密着せしめることによつて優れた屋根防水に成功
したものである。

〔問題点を解決するための手段〕

発泡倍率が10〜40で、独立気泡の発泡合成樹脂
シートの両面を熔融せしめ、当該熔融片面には、
繊維長３〜４インチの耐アルカリ性短繊維から成
り、かつニードリングを施した不織布を貼合し、
他の熔融片面にはナイロン長繊維不織布を貼合し
て三層一体化した複合シート材の耐アルカリ性短
繊維不織布層面を、接着剤を不連続状に塗布した
コンクリートスラブ面に接着せしめ、次いでナイ
ロン長繊維不織布層面に防水材塗料を塗布するこ
とによつて従来の屋根防水の欠陥を解消したもの
である。

本発明の特徴は、特定構造の複合シート材をル
ーフイング下地材とすること、この複合シート材
の特定片面をコンクリートスラブ面に接着するこ
と、コンクリートスラブ面への接着に際し接着剤
を不連続状に施すことにある。

まず本発明の複合シート材の構造は、発泡シー
ト材を中心に、その両側にそれぞれ特定の不織布
を積層一体化したものであるが、この発泡シート
材として、発泡倍率10〜40の独立気泡のものを用
いる。このように中心材として発泡シートを用い
たことによつて軽量、クツシヨン性能を発揮する
のであり、かつ、その発泡が独立気泡であること
によつて止水機能が満たされるのである。また発
泡倍率が10〜40であることによつて、適度のやわ
らかさと腰を発揮するため、複合シート材製造時
における皺の発生がないのである。この場合発泡
倍率20〜30であればより好ましいものである。な
お、合成樹脂としては耐溶剤性を要求されるため
ポリエチレン、ポリプロピレン等が好ましい。

上記発泡ポリエチレンシートをはさむ二種の不
織布の内その一種は、繊維長３〜４インチの耐ア
ルカリ性短繊維から成り、かつニードリングを施
した不織布であるが、この不織布層は、コンクリ
ートスラブ面によくなじみ密着する機能を持つと
共に、特に重要な機能であるコンクリートスラブ
から発生する水蒸気の水平方向への逸散機能を発
揮せしめるためのものであつて、同時に充分な強
度、特に層間剥離の起らないことが要求される。
本発明はニードリングによつて層間剥離を完全に
防止し、かつ水蒸気逸散機能に最適の密度状態を
持たせているのである。この場合繊維長が３〜４
インチであることは、ニードリングによる繊維の
絡合効果を上げるために必要であつて、長すぎて
も短かすぎても充分な絡合効果が上がらないので
ある。なお、ここで用いる短繊維不織布を80〜
150ｇ／m²のものが好ましい。80ｇ／m²に満たな
いものでは均一性に劣ると共に、繊維集積におけ
る安定した間隙が形成されないのである。さらに
80〜150ｇ／m²において水蒸気逸散の最も優れた
繊維密度及び間隙を得るためには太さ３〜10デニ
ールの繊維を使用するのが好ましい。

本発明は、上記短繊維不織布層面をコンクリー
トスラブ・モルタル面に不連続状に塗布された接
着剤を介して接着するのであるが、この場合の接
着剤の不連続状塗布は、コンクリートスラブ・モ
ルタルから発生する水蒸気の短繊維不織布層内へ
の完全侵入を阻止しないために必要なものであ
る。従来の施工に見られる接着剤の塗布は約400
ｇ／m²の接着剤をコンクリートスラブ・モルタル
全面に塗布するものであつて、コンクリートスラ
ブ・モルタル面とルーフイング下地材との間の通
気を遮断してしまい、ルーフイング下地材を構成
する不織布層の持つ水蒸気逸散機能を殺してしま
うものである。すなわち、本発明での不連続状塗
布はこの問題を解決したものである。

但しこの場合、複合シート材のコンクリートス
ラブ面への接着強度が充分なものであるような塗
布状態でなければならない。なお、ここで云う不
連続状とはドツト状、ストライプ状、格子状等で
ある。

また、このようにコンクリートスラブ面に接着
せしめるため、耐アルカリ性が要求されるのであ
つて、このような耐アルカリ性繊維としてポリプ
ロピレン、ポリエステル、ナイロン等を使用する
ものである。

次に本複合シート材のコンクリートスラブ面へ
の接着側と反対の側にはナイロン長繊維不織布の
層を構成しているのであるが、この層の存在は屋
根防水工法の最終仕上としての防水塗布（例え
ば、アクリルエマルジヨン、ポリウレタン）の接
着性を向上されるものであつて、特にナイロン繊
維を用いたのは、その表面に折れ皺が発生しない
というい特性を生かしたものである。

〔実施例〕

次に実施例によつて本発明をさらに詳細に説明
する。

実施例： 発泡倍率30倍の独立気泡でなる厚さ３mmの発泡
ポリエチレンシートの片面にガスバーナの炎をあ
てて、その面を熔融させ、熔融状態の間にこの面
に繊維長４インチ、太さ７デニールのポリプロピ
レン繊維のウエツブに180〜200パンチ／インチの
ニードリングを施して成る重さ80ｇ／m²の不織布
を貼合し、次いで反対面をガスバーナの炎をあて
てその面を熔融させ熔融状態の間にこの面に１デ
ニール、重さ30ｇ／m²のナイロン長繊維不織布を
貼合して得られた複合シート材のポリプロピレン
繊維不織布層面を、屋上コンクリートスラプ面に
ストライプ状に塗布した不連続状の接着前層（ア
クリルエマルジヨン）を介して敷き広げ貼着し
た。

次に、上記のごとく施工した複合シート材のナ
イロン長繊維不織布全面に防水材塗料、無溶剤型
ポリウレタンを平均塗布量２〜３Kg／m²の割合で
塗布して屋上防水層を完成した。

この防水層はコンクリートスラブ面への密着性
に優れており、“ふくれ”“剥離”がなく、コンク
リートスラブから発生する水蒸気を防水層の水平
方向によく逸散した。また屋上歩行に際してはき
わめて良好なクツシヨン性を示した。

〔発明の効果〕

本発明の屋根防水工法によれば、ルーフイング
材がコンクリートスラブ面によく密着し、“ふく
れ”“剥離”等が起らず、コンクリートスラブか
ら発生する水蒸気を水平方向によく逸散する防水
層を形成することができるもので、きわめて耐久
性の良い優れた屋根防水を施工することが可能で
ある。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 発泡倍率が10〜40で、独立気泡の発泡合成樹
   脂シートの両面を熔融させ、当該熔融片面には繊
   維長３〜４インチの耐アルカリ性短繊維から成
   り、かつニードリングを施した不織布を貼合し、
   他の熔融片面にはナイロン長繊維不織布を貼合し
   て三層一体化した複合シート材の耐アルカリ性短
   繊維不織布層面を、接着剤を不連続状に塗布した
   コンクリートスラブ面に接着せしめ、次いでナイ
   ロン長繊維不織布層面に防水材塗料を塗布するこ
   とを特徴とする屋根防水工法。