JPH05195054A - 加工性に優れた構造用高強度ステンレス鋼材の製造方法 - Google Patents

加工性に優れた構造用高強度ステンレス鋼材の製造方法

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JPH05195054A
JPH05195054A JP35013591A JP35013591A JPH05195054A JP H05195054 A JPH05195054 A JP H05195054A JP 35013591 A JP35013591 A JP 35013591A JP 35013591 A JP35013591 A JP 35013591A JP H05195054 A JPH05195054 A JP H05195054A
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less
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heat treatment
stainless steel
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JP35013591A
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Inventor
Yasushi Murata
康 村田
Yoshihiro Uematsu
美博 植松
Takashi Igawa
孝 井川
Hiroshi Fujimoto
廣 藤本
Yoshiaki Hori
芳明 堀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 加工性に優れた構造用高強度ステンレス鋼材
の提供。 【構成】 各元素の含有量が調整され、室温で実質的に
マルテンサイト組織である鋼の焼鈍材に35%以上の冷
間圧延した後、550〜750℃で30分以下の範囲で
熱処理を施すことによってマルテンサイト相からオース
テナイト相への逆変態を生じさせた後、再び550〜7
50℃で30分以下の範囲で熱処理することによって未
変態のマルテンサイト相とオーステナイト相の微細な複
相組織を安定なものとする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は溶接性および加工性に優
れた構造用高強度ステンレス鋼材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術と問題点】既存の構造用高強度ステンレス
鋼材としては、例えば車輌用台枠部材においてSUS3
01Lなど準安定型オーステナイト相に強度の冷間加工
を付与し強度を得る加工硬化型ステンレス鋼材が挙げら
れ、強度と加工性を兼備している。しかしながら、この
系の材料は溶接などの入熱があると、その溶接部は軟化
するという欠点がある。また場合によっては溶接熱影響
部にCr炭化物の析出によるCr欠乏層が生じ、粒界応
力腐食割れが発生することもある。
【0003】以上に述べたように、構造用高強度ステン
レス鋼材として従来から知られている鋼は強度、加工
性、溶接軟化抵抗のすべてを兼ね備えてはいない。その
ような欠点のない新規な高強度ステンレス鋼材を得るた
めの研究は既に行われ、特開昭63−210234号公
報および特開昭63−210242号公報において焼入
れ後550〜750℃の温度に焼戻すことによる溶接軟
化のない高強度ステンレス鋼材が開示されている。しか
しながら、この焼戻し熱処理の入熱により材料強度(引
張強さ、耐力)が低下する現象があるため、連続ライン
において板厚が厚く板幅が広い材料の熱処理を行う場合
には、材料への入熱が不均一となり強度特性の不均一分
布の生じる問題があった。
【0004】
【問題を解決するための手段】連続熱処理ラインにおい
て種々実験検討を重ねた結果、焼戻し過程で入熱により
強度の低下した場合でも、再度焼戻し処理を行えば入熱
による強度の変動幅が小さくなり、均一な強度特性の分
布を有する材料の得られることを知見し、この知見によ
り本発明を完成した。
【0005】
【発明の構成】本発明は、重量%で、C:0.10%以
下、Si:5.5%以下、Mn:7.0%以下、P:
0.050%以下、S:0.020%以下、Cr:1
0.0〜17.0%、Ni:3.0〜10.0%、N:
0.10%以下を含有し、残部Feと不可避的不純物か
らなり、かつ Nieq=Ni+0.7Mn+0.5Cr+0.3Si+2
0(C+N) で定義されるNieqの値が13.0〜17.5の範囲
内にある鋼を35%以上冷間圧延した後、550〜75
0℃の温度範囲内で30分以下の範囲内で熱処理を施
し、マルテンサイト(M)単相あるいはM相と微細なオ
ーステナイト(γ)の複相組織とした後、再び550〜
750℃の温度範囲内で30分以下の範囲内で熱処理を
施すことによりM相とγ相の微細な複相組織とすること
を特徴とする加工性に優れた構造用高強度ステンレス鋼
材の製造方法を提供するものである。
【0006】本発明はまた、前記の組成に加えて、合計
で4%以下のCu、Mo、Coの1種または2種以上、
および/または合計で1%以下のTi、Nb、V、Z
r、Al、B、Taの1種または2種以上を含有する鋼
を素材とする同様の鋼材の製造方法が提供される。その
場合Nieqの定義は成分に応じて修正される。Cu、
Mo、Coの1種または2種以上を含有する場合は、 Nieq=Ni+0.7Mn+0.5Cr+0.3Si+20
(C+N)+Cu+Mo+0.2Co となり、Ti、Nb、V、Zr、Al、B、Taの1種
または2種以上を含有する場合は、 Nieq=Ni+0.7Mn+0.5Cr+0.3Si となり、Cu、Mo、Coの1種または2種以上、およ
びTi、Nb、V、Zr、Al、B、Taの1種または
2種以上を含有する場合は、 Nieq=Ni+0.7Mn+0.5Cr+0.3Si+C
u+Mo+0.2Co となる。本発明の鋼材の鋼は、その組成を上記の範囲内
とし、かつ、上記のように定義するNieqが13.0
〜17.5になるように、組成を調整することによって
焼入状態で実質的にマルテンサイト相からなる組織を呈
する。
【0007】
【発明の具体的開示】本発明に係る加工性に優れた構造
用高強度ステンレス鋼材の製造方法について具体的に説
明する。
【0008】本発明の素材鋼における組成限定の理由は
次の通りである。C:Cはオーステナイト生成元素であ
り、高温でのオーステナイト相形成に有効であり、熱処
理後の逆変態オーステナイト相およびマルテンサイト相
の強化に有効であるが、多すぎると伸び率を低下させ、
また、溶接部の耐食性を劣化させるので、0.10%を
限度とする。
【0009】N:NはCと同様にオーステナイト形成元
素であり、高温でのオーステナイト相形成に有効であ
り、熱処理後の逆変態オーステナイト相の強度を上げ、
強化に有効であるが、多すぎると伸び率を低下させるの
で0.10%を上限とする。
【0010】Si:Siは熱処理後の逆変態オーステナ
イト相の強化に有効であり、かつ、熱処理時の温度の許
容範囲を広くするので有効な元素であるが、多すぎる
と、凝固時や溶接時の凝固割れを促進するので5.5%
を上限とする。
【0011】Mn:Mnはオーステナイト相形成元素で
あり、Ms点の調整に必要な元素であるが、多すぎると
製鋼時に弊害となるので7.0%を上限とする。
【0012】Cr:Crは耐食性を付与する基本的成分
であり、10.0%未満ではその効果がなく、一方1
7.0%を越えると、高温でオーステナイト形成元素を
多量に必要とし、その結果常温に持ち来らせられる時、
所望の組織が得られないので17.0%を上限とする。
【0013】Ni:Niはオーステナイト形成元素であ
り、高温でのオーステナイト単相化およびMs点の調整
に必要な元素である。他の元素の含有量によって必要な
Niの含有量は異なってくる。高温でのオーステナイト
単相化とMs点調整のためには少なくとも約3.0%を
必要とするが、他の成分の量が低減しても、Niが約1
0.0%を越えると所望の組織が得られなくなる。
【0014】P:Pは溶製時に原料、副原料から混入し
てくる不可避的不純物であるが、多く含まれると、鋼を
脆くするので、0.050%を上限とする。
【0015】S:Sも溶製時に原料、副原料から混入し
て鋼を脆くするので0.020%を上限とする。
【0016】Cu:Cuは元来耐食性を向上させるのに
有効な元素であるが、本発明鋼においてはMs点を低下
させるのに有効である。約4.0%を越えると、熱間加
工性を著しく害するので約4.0%を上限とする。
【0017】Mo:Moも耐食性を向上させ、逆変態オ
ーステナイトの強度を上昇させ、Ms点を低下させるの
に有効であるが、高価な材料であり多すぎると鋼材の価
格を上昇させるので4.0%を上限とする。
【0018】Co:Coは高温域でのオーステナイト化
作用が大きくMs点を低下させる。Cr含有量の多い系
の組成調整に非常に有効な元素であるが、多すぎると鋼
の価格を上昇させるので4.0%を上限とする。以上の
Cu、MoおよびCoの3元素は共通して耐食性を向上
させながら、マルテンサイト形成能力を他の成分との関
係において調整するのに有効である。この意味において
均等物である。
【0019】Ti:Tiは炭化物形成元素であり、溶接
時のCr炭化物の析出によるCr欠乏層発生の抑制や逆
変態オーステナイト相の結晶成長の抑制に有効な元素で
あるが、多すぎると表面疵の原因となったり、溶接時に
スカム形成の原因となるので、1.0%を上限とする。
【0020】Nb:Nbは溶接時のCr炭化物の析出に
よるCr欠乏層の発生の抑制や逆変態オーステナイト相
の結晶粒成長の抑制に有効な成分であるが、多すぎると
鋳造時や溶接時の凝固割れを促進するばかりでなく、材
料の延性をも害するので1.0%を上限とする。
【0021】V:Vは溶接時のCr炭化物析出によるC
r欠乏層の抑制や逆変態オーステナイト相の結晶粒成長
の抑制に有効な成分であるが、多すぎると材料の延性を
害するので1.0%を上限とする。
【0022】Zr:Zrは溶接時のCr炭化物の析出に
よるCr欠乏層の発生の抑制や逆変態オーステナイト相
の結晶粒の抑制に有効な元素であるが、多すぎると鋳造
時や溶接時に酸化物系の非金属介在物を形成し、鋼の延
性や表面性状を害するので1.0%を上限とする。
【0023】Al:Alは鋼中のNを固定し、逆変態オ
ーステナイト相の結晶粒成長を抑制する効果が著しい
が、多すぎると溶接時の湯流れが悪くなるので1.0%
を上限とする。
【0024】B:Bは逆変態オーステナイト相の結晶粒
成長の抑制や熱間加工性の改善に有効であるが、多すぎ
ると鋼の延性を害するので1.0%を上限とする。
【0025】Ta:Taは溶接時のCr炭化物の析出に
よるCr欠乏層の発生の抑制や逆変態オーステナイト相
の結晶粒成長の抑制に有効な元素であるが、多すぎると
鋳造時や溶接時の凝固割れを促進するばかりでなく、材
料の延性をも害するので1.0%を上限とする。以上の
7元素は、炭化物、窒化物形成元素であって、いずれも
逆変態オーステナイトの結晶粒の成長を抑制し、その効
果が著しい。その意味で均等物である。
【0026】ニッケル当量値(Nieq)限定理由は次
の通りである。本発明方法の素材鋼において、マルテン
サイト変態終了温度は室温(150〜−10℃)近くで
なくてはならない。本発明方法の素材鋼は熱間圧延時、
焼鈍時あるいは溶接時にさらされるような高温領域で
は、オーステナイト単相または、少量の(約10%)の
δフェライト相を含むオーステナイト相であるが、この
状態から室温まで持ち来たされてきた時には実質的にマ
ルテンサイト組織でなければならない。「実質的」と
は、少量(約25%)のオーステナイトおよび少量(約
10%)のフェライトが存在していてもよいことを意味
する。本発明の素材鋼において、種々の元素が合金化さ
れているが、本発明者等は、その組成が先に示した成分
表と定義されたニッケル当量(Nieq)の限定式に従
う限り、室温で実質的にマルテンサイト組織であり、冒
頭に記した本発明の目的を達成できることを知見した。
【0027】即ち、前述の組成範囲内にあっても、それ
ぞれ定義したニッケル当量値が13未満の鋼はMs点が
高すぎて、本発明で規定する熱処理を施しても所望の高
い伸びを達成できない。また、この値が17.5より大
きい鋼は溶接のように熱履歴を受けると溶接部が軟化
し、目的とする高強度部材が得られない。Nieqの式
について、各成分元素の変態に対する寄与度を考慮して
Niのオーステナイト形成能を基準として係数を定めて
Ni量に換算したものである。Ti以下の7元素は、上
記の性質に関して中立的であり、かつC、Nのオーステ
ナイト形成能を打ち消すので、これらを含む組成では、
これらの元素およびC、Nは考慮に入れない。
【0028】本発明方法における熱処理条件の限定の理
由は次の通りである。焼鈍状態でマルテンサイト組織で
ある鋼は1000N/mm2程度の引張強さを有する
が、伸び率は高々6%程度で、満足な加工性を有すると
は言い難い。550〜750℃の温度範囲内で30分以
下の熱処理を施しマルテンサイトの一部をオーステナイ
トに逆変態させる。この逆変態オーステナイトは組織的
に多少とも安定で、その後の冷却によって必ずしも全量
がマルテンサイトに戻らず、オーステナイトのまま留ま
ることもある。この熱処理により大きな延性がもたらさ
れるが、550℃未満ではこの延性をもたらす効果が少
なく、750℃より高い温度では耐力が低下するととも
に延性も低下する。時間は処理温度に依存し処理温度が
高い場合は逆変態処理時間は短時間であり、また処理温
度が低い場合は比較的長時間となる。この際、熱処理温
度の上昇による耐力の低下が大きい問題点を有してい
た。そこで、比較的低い温度で長時間の熱処理を行えば
耐力低下の問題が生じないため、ベル炉を用いる長時間
熱処理方法については前述のように本発明者らが既に特
許出願している。しかし、生産能率の観点からはバッチ
式のベル炉による方法ではなく連続熱処理炉による短時
間加熱方法を確立することが望まれていた。ところが、
連続熱処理炉による短時間熱処理方法では材料の板厚が
厚かったり、板幅が大きいなどの熱容量が大きい場合に
は30分以下の短時間熱処理による入熱の不均一に起因
する強度特性の材料内変動が発生する場合があった。そ
こで、連続熱処理炉において一段熱処理を施した後、再
度550〜750℃の温度範囲内で30分以下の熱処理
を施せば、図1に示すように熱処理に伴う材料特性の変
動幅が小さく、板厚、板幅、板長手方向に均一な材料特
性を有する材料の得られることが明らかとなった。
【0029】熱処理前の冷間圧延率は35%未満では熱
処理されて生じる逆変態オーステナイトが十分に小さく
ならず、十分高い耐力が得られない。本発明の熱処理方
法においては、要求される表面特性によって雰囲気が選
択される。すなわち、光輝表面が必要な場合は、水素、
水素と窒素、水素と不活性ガス等の雰囲気が選択され
る。一方、本発明の熱処理を行った後に、酸洗によって
スケール除去を経る場合は、重油、灯油、軽油などの可
燃性油やプロパン等の可燃性ガスの燃焼雰囲気および大
気、窒素、不活性ガス等の雰囲気等が選択されるが、こ
れらの雰囲気で本発明の熱処理が実施された場合、熱処
理後の機械的性質には何ら影響がないことが確認されて
いる。また熱処理設備については、連続光輝焼鈍ライン
および連続焼鈍酸洗ラインなどの連続熱処理設備を用い
ることが可能である。
【0030】
【実施例】本発明方法の具体例を比較例とともに示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1に本発明方法の鋼の具体例を比較鋼と
ともに示す。試料No.1〜7は本発明の方法の鋼であ
る。試料No.A、Bは比較鋼であり、その組成は規定
された組成範囲内にあるが、Ni当量値がAでは13未
満であり、Bでは17.5を越えており、本発明の範囲
を外れている。それぞれの鋼を30kg高周波誘導溶解
炉で溶製し、鍛造、熱間圧延、溶体化処理、冷間圧延に
より2mm厚、100mm幅とし、さらに1030℃×
5分(均熱)の焼鈍を施し実質的にマルテンサイト
(M)相組織とした後に、50%の冷間圧延を施し1m
m厚とし、次いで550〜750℃×0分(均熱)の逆
変態熱処理を施してM相とオーステナイト(γ)相の混
合組織とした(1段熱処理材)後、再び550〜750
℃×0分(均熱)の熱処理を施した(2段熱処理材)も
のを試験片とした。これらの試験片について引張試験を
行い耐力、引張強さおよび伸びを測定した。
【0033】
【表2】
【0034】表2は表1に示す各鋼について、50%冷
間圧延後、700℃×0分(均熱)の熱処理を施した後
および再度700℃×0分(均熱)の熱処理を施した後
の耐力、引張強さ、伸びおよび硬さを示したものであ
る。
【0035】
【表3】
【0036】表3は試料No.1(Ni当量:13.
4)、No.2(Ni当量:17.1)およびNo.4
(Ni当量:15.5)について6mm厚の熱延板に1
030℃×5分(均熱)の焼鈍をした後、50%の冷間
圧延により3mm厚とし、次いで550〜750℃×0
分(均熱)の短時間逆変態処理を施したもの(1段熱処
理材)と700℃×0分(均熱)で第1回目処理を施し
た後に550〜750℃×0分(均熱)の短時間逆変態
処理を施したものを試験片とした。表3の結果を図1に
示す。
【0037】図1にS.No.1、S.No.2、S.
No.4の耐力(σ0.2)および伸びに及ぼす逆変態
処理温度の影響を示す。この場合の加工熱処理条件は、
(イ)焼鈍材に50%の冷間圧延を施し、次いで均熱時
間0分で550〜750℃の温度範囲で熱処理を行った
ものと、(ロ)焼鈍材に50%の冷間圧延を施し、次い
で700℃で均熱0分の熱処理を行った後、さらに均熱
時間0分で550〜750℃の温度範囲で熱処理を行っ
たものである。図示されるように、二段熱処理材は一段
熱処理材に比べて、処理温度の上昇にともなう耐力の減
少量は小さい。すなわち、一段熱処理材では処理温度が
550℃から750℃に上昇すると耐力は約800N/
mm2低下するが、二段熱処理材では約200N/mm2
減少するにとどまる。一方、伸びも処理温度による変動
幅は一段熱処理材に比べて二段熱処理材の方が小さい。
また、表4には厚さ3mmの材料に一段熱処理した場合
と二段熱処理した場合の機械特性の比較を示す。
【0038】
【表4】 表4 コイル中央部 コイル端部 σ0.2×10 δ σ0.2×10 δ (N/mm2) (%) (N/mm2) (%) 1段熱処理*1 118 10.2 101 21.3 2段熱処理*2 80 20.3 79 19.8 ・Fe−13.2Cr−7.4Mn−3.1Si−0.01C−
0.01N *1 連続焼鈍ライン、設定炉温:720℃ *2 連続焼鈍ライン、設定炉温:750℃ 表4より、一段熱処理を付与しただけの材料では、コイ
ル中央部に比べてコイル端部では耐力が低く伸びが高い
が、二段熱処理を施した材料では、コイル全幅にわたっ
てほぼ一様な耐力および伸び即ち、耐力800N/mm
2程度の強度レベルと約20%の伸びが得られている。
したがって、本発明の熱処理温度範囲内では板厚につい
て短時間逆変態処理後に板幅、板厚、板長方向に短時間
の逆変態処理を付与する場合に二段熱処理が有用である
ことが明らかである。
【0039】
【発明の効果】本発明の方法によれば従来存在しなかっ
た材料、すなわち、耐力800N/mm2程度の強度レ
ベルと約20%の伸びを有し、溶接部の強度低下のない
ステンレス鋼を製造することが可能となり、車輌台枠材
や建築部材などに代表される厚板で曲げ性、高強度と耐
溶接軟化性が要求される構造部材等の分野へ本発明がも
たらす効果は極めて大きなものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 耐力および伸びに及ぼす逆変態処理温度の影
響を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C22C 38/58 (72)発明者 井川 孝 山口県新南陽市野村南町4976番地 日新製 鋼株式会社鉄鋼研究所ステンレス・高合金 研究部内 (72)発明者 藤本 廣 山口県新南陽市野村南町4976番地 日新製 鋼株式会社鉄鋼研究所ステンレス・高合金 研究部内 (72)発明者 堀 芳明 山口県新南陽市野村南町4976番地 日新製 鋼株式会社鉄鋼研究所ステンレス・高合金 研究部内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C:0.10%以下 Si:5.5%以下 Mn:7.0%以下 P:0.050%以下 S:0.020%以下 Cr:10.0〜17.0% Ni:3.0〜10.0% N:0.10%以下を含有し、残部Feと不可避的不純
    物からなり、かつNieq=Ni+0.7Mn+0.5C
    r+0.3Si+20(C+N) で定義されるNieqの値が13.0〜17.5の範囲
    内にある鋼を常法によって熱延コイルとし、35%以上
    冷間圧延した後、550〜750℃の温度範囲内で30
    分以下の範囲内で熱処理を施し、マルテンサイト(M)
    単相あるいはM相と微細なオーステナイト(γ)相の複
    相組織とした後、再び550〜750℃の温度範囲内で
    30分以下の範囲内で熱処理を施すことによりM相とγ
    相の微細な複相組織とすることを特徴とする加工性に優
    れた構造用高強度ステンレス鋼材の製造方法。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C:0.10%以下 Si:5.5%以下 Mn:7.0%以下 P:0.050%以下 S:0.020%以下 Cr:10.0〜17.0% Ni:3.0〜10.0% N:0.10%以下を含有し、 Cu、Mo、Coの1種または2種以上を合計で4%以
    下を含有し、残部Feと不可避的不純物からなり、かつ Nieq=Ni+0.7Mn+0.5Cr+0.3Si+20
    (C+N)+Cu+Mo+0.2Co で定義されるNieqの値が13.0〜17.5の範囲
    内にある鋼を35%以上冷間圧延した後、550〜75
    0℃の温度範囲内で30分以下の範囲内で熱処理を施
    し、M単相あるいはM相と微細なγ相の複相組織とした
    後、再び550〜750℃の温度範囲内で30分以下の
    範囲内で熱処理を施すことによりM相とγ相の微細な複
    相組織とすることを特徴とする加工性に優れた構造用高
    強度ステンレス鋼材の製造方法。
  3. 【請求項3】 重量%で、 C:0.10%以下 Si:5.5%以下 Mn:7.0%以下 P:0.050%以下 S:0.020%以下 Cr:10.0〜17.0% Ni:3.0〜10.0% N:0.10%以下 Ti、Nb、V、Zr、Al、B、Taの1種または2
    種以上を合計で1.0%以下含有し、残部Feと不可避
    的不純物からなり、かつ Nieq=Ni+0.7Mn+0.5Cr+0.3Si で定義されるNieqの値が13.0〜17.5の範囲
    内にある鋼を35%以上冷間圧延した後、550〜75
    0℃の温度範囲内で30分以下の範囲内で熱処理を施
    し、M単相あるいはM相と微細なγ相の複相組織とした
    後、再び550〜750℃の温度範囲内で30分以下の
    範囲内で熱処理を施すことによりM相とγ相の微細な複
    相組織とすることを特徴とする加工性に優れた構造用高
    強度ステンレス鋼材の製造方法。
  4. 【請求項4】 重量%で、 C:0.10%以下 Si:5.5%以下 Mn:7.0%以下 P:0.050%以下 S:0.020%以下 Cr:10.0〜17.0% Ni:3.0〜10.0% N:0.10%以下 Cu、Mo、Coの1種または2種以上を合計で4.0
    %以下、Ti、Nb、V、Zr、Al、B、Taの1種
    または2種以上を合計で1.0%以下含有し、残部Fe
    と不可避的不純物からなり、かつ Nieq=Ni+0.7Mn+0.5Cr+0.3Si+C
    u+Mo+0.2Co で定義されるNieqの値が13.0〜17.5の範囲
    内にある鋼を35%以上冷間圧延した後、550〜75
    0℃の温度範囲内で30分以下の範囲内で熱処理を施
    し、M単相あるいはM相と微細なγ相の複相組織とした
    後、再び550〜750℃の温度範囲内で30分以下の
    範囲内で熱処理を施すことによりM相とγ相の微細な複
    相組織とすることを特徴とする加工性に優れた構造用高
    強度ステンレス鋼材の製造方法。
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