JPH05195048A - カムプレートの熱処理法 - Google Patents
カムプレートの熱処理法Info
- Publication number
- JPH05195048A JPH05195048A JP815992A JP815992A JPH05195048A JP H05195048 A JPH05195048 A JP H05195048A JP 815992 A JP815992 A JP 815992A JP 815992 A JP815992 A JP 815992A JP H05195048 A JPH05195048 A JP H05195048A
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- JP
- Japan
- Prior art keywords
- cam plate
- heat treatment
- temperature
- treatment method
- quenching
- Prior art date
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 断面形状が不均一なカムプレートの熱処理法
の改善に関する。 【構成】 油圧モータの構成部品として用いられる断面
形状が不均一なカムプレートの熱処理法であって、該カ
ムプレートを焼入温度からの冷却をマルテンサイト開始
温度と同変態終了温度の中間温度で一旦停止させ、その
後２回の焼戻し処理を行ういわゆる中断焼入れ及び２段
焼戻し処理を行うようにしたカムプレートの熱処理法。
の改善に関する。 【構成】 油圧モータの構成部品として用いられる断面
形状が不均一なカムプレートの熱処理法であって、該カ
ムプレートを焼入温度からの冷却をマルテンサイト開始
温度と同変態終了温度の中間温度で一旦停止させ、その
後２回の焼戻し処理を行ういわゆる中断焼入れ及び２段
焼戻し処理を行うようにしたカムプレートの熱処理法。
Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は油圧機器や一般構造製品
の高強度部材に適用される球状黒鉛鋳鉄製品、特に断面
形状が不均一なカムプレートの熱処理法の改善に関す
る。
の高強度部材に適用される球状黒鉛鋳鉄製品、特に断面
形状が不均一なカムプレートの熱処理法の改善に関す
る。
【０００２】
【従来の技術】図２は従来技術における油圧モータ用カ
ムプレートの正面図、図３は図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線上
で切断した断面図、図４は同油圧モータ用カムプレート
の従来技術の熱処理線図を示す。油圧モータ用カムプレ
ートは説明簡略化のため以下ではカムプレートと呼ぶ。
ムプレートの正面図、図３は図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線上
で切断した断面図、図４は同油圧モータ用カムプレート
の従来技術の熱処理線図を示す。油圧モータ用カムプレ
ートは説明簡略化のため以下ではカムプレートと呼ぶ。
【０００３】図２及び図３に示すように、カムプレート
１は摺動面２内に溝３ａ，３ｂ，３ｃ，３ｄが加工さ
れ、かつ、摺動面２が斜面を成すなど断面形状が不均一
である。
１は摺動面２内に溝３ａ，３ｂ，３ｃ，３ｄが加工さ
れ、かつ、摺動面２が斜面を成すなど断面形状が不均一
である。
【０００４】一方、カムプレート１は作用面圧に耐え、
かつ、摺動面２は耐摩耗性を必要とするため高硬度（高
強度）が保証されなければならない。このため従来技術
においては焼入性の高い材料が使用され、図４に示すよ
うに浸炭雰囲気中の加熱炉で８８０〜９２０℃に加熱・
保持後、常温または４０〜６０℃の油中に急冷し、その
後、約１８０℃に加熱するいわゆる焼入れ、焼戻し処理
が施されていた。
かつ、摺動面２は耐摩耗性を必要とするため高硬度（高
強度）が保証されなければならない。このため従来技術
においては焼入性の高い材料が使用され、図４に示すよ
うに浸炭雰囲気中の加熱炉で８８０〜９２０℃に加熱・
保持後、常温または４０〜６０℃の油中に急冷し、その
後、約１８０℃に加熱するいわゆる焼入れ、焼戻し処理
が施されていた。
【０００５】しかし、焼入性の高い材料を使用し、か
つ、図２及び図３に示すような断面形状が不均一なカム
プレート１の焼入れ、焼戻し処理においては、従来の熱
処理技術では摺動面２内に加工された溝３ａ，３ｂ，３
ｃ，３ｄの底部コーナや溝３ｃと溝３ｄ間に焼割れが発
生することが多く、製品としての歩留りが低下し品質が
一定していなかった。
つ、図２及び図３に示すような断面形状が不均一なカム
プレート１の焼入れ、焼戻し処理においては、従来の熱
処理技術では摺動面２内に加工された溝３ａ，３ｂ，３
ｃ，３ｄの底部コーナや溝３ｃと溝３ｄ間に焼割れが発
生することが多く、製品としての歩留りが低下し品質が
一定していなかった。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】従来の熱処理技術にお
いては焼入れ温度（８８０〜９２０℃）から常温又は４
０〜６０℃まで油中で急冷するためカムプレートの表面
と内部に大きな温度差が生じこれに伴う熱応力の発生及
び表面と内部の温度差によるマルテンサイト変態開始の
ずれに伴う変態応力の発生等により焼割れが生じてい
た。
いては焼入れ温度（８８０〜９２０℃）から常温又は４
０〜６０℃まで油中で急冷するためカムプレートの表面
と内部に大きな温度差が生じこれに伴う熱応力の発生及
び表面と内部の温度差によるマルテンサイト変態開始の
ずれに伴う変態応力の発生等により焼割れが生じてい
た。
【０００７】本発明は従来の熱処理技術における上記熱
応力や変態応力を軽減し焼割れの発生を防止するための
熱処理技術を提供するものである。
応力や変態応力を軽減し焼割れの発生を防止するための
熱処理技術を提供するものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】本発明は油圧モータの構
成部品として用いられる断面形状が不均一なカムプレー
トの熱処理法であって、該カムプレートを焼入温度から
の冷却をマルテンサイト開始温度と同変態終了温度の中
間温度で一旦停止させ、その後２回の焼戻し処理を行う
いわゆる中断焼入れ及び２段焼戻し処理を行うことを特
徴とするカムプレートの熱処理法である。
成部品として用いられる断面形状が不均一なカムプレー
トの熱処理法であって、該カムプレートを焼入温度から
の冷却をマルテンサイト開始温度と同変態終了温度の中
間温度で一旦停止させ、その後２回の焼戻し処理を行う
いわゆる中断焼入れ及び２段焼戻し処理を行うことを特
徴とするカムプレートの熱処理法である。
【０００９】本発明の熱処理法を図１の線図によって説
明する。すなわち、本発明の熱処理法は焼入温度（８８
０〜９２０℃）からの冷却をマルテンサイト変態開始温
度と同変態終了温度の中間温度で一旦停止させ、この中
間温度で任意の時間保持した後、直ちに焼戻温度まで加
熱・保持し、マルテンサイト変態温度より若干低い温度
に冷却した後、再び焼戻し処理を行う、いわゆる中断焼
入れ後、二段焼戻し処理を行うようにするものである。
明する。すなわち、本発明の熱処理法は焼入温度（８８
０〜９２０℃）からの冷却をマルテンサイト変態開始温
度と同変態終了温度の中間温度で一旦停止させ、この中
間温度で任意の時間保持した後、直ちに焼戻温度まで加
熱・保持し、マルテンサイト変態温度より若干低い温度
に冷却した後、再び焼戻し処理を行う、いわゆる中断焼
入れ後、二段焼戻し処理を行うようにするものである。
【００１０】
【作用】本発明の熱処理法は焼入温度からの冷却をマル
テンサイト変態開始温度と同変態終了温度の中間温度で
一旦停止させ、同中間温度に保持させることにより、カ
ムプレートの表面と内部の温度差をできるだけ小さくす
ると共に、マルテンサイト変態を一気に終了させること
なく、一部をマルテンサイト変態させて焼入れマルテン
サイト組織とし、残部は未変態オーステナイトとして残
す。
テンサイト変態開始温度と同変態終了温度の中間温度で
一旦停止させ、同中間温度に保持させることにより、カ
ムプレートの表面と内部の温度差をできるだけ小さくす
ると共に、マルテンサイト変態を一気に終了させること
なく、一部をマルテンサイト変態させて焼入れマルテン
サイト組織とし、残部は未変態オーステナイトとして残
す。
【００１１】この状態から直ちに焼戻し温度に加熱する
が、この時、上記で生じた一部の焼入れマルテンサイト
は焼戻され、未変態オーステナイト部はそのままの状態
で保持される。
が、この時、上記で生じた一部の焼入れマルテンサイト
は焼戻され、未変態オーステナイト部はそのままの状態
で保持される。
【００１２】その後、マルテンサイト変態終了温度より
若干低い温度に冷却することにより未変態オーステナイ
ト部がマルテンサイト変態を起こし、焼入れマルテンサ
イト組織となる。この状態では焼戻しマルテンサイトと
焼入れマルテンサイトが混合した組織となる。
若干低い温度に冷却することにより未変態オーステナイ
ト部がマルテンサイト変態を起こし、焼入れマルテンサ
イト組織となる。この状態では焼戻しマルテンサイトと
焼入れマルテンサイトが混合した組織となる。
【００１３】焼入れマルテンサイトは非常に硬いが、こ
のままの状態で使用または放置すると遅れ割れを起こ
す。したがって、この遅れ割れを防止するために再度、
焼戻し処理を行うのである。焼戻し処理は１５０〜２０
０℃程度のいわゆる低温焼戻しを行うことにより硬度低
下は少なくなる。
のままの状態で使用または放置すると遅れ割れを起こ
す。したがって、この遅れ割れを防止するために再度、
焼戻し処理を行うのである。焼戻し処理は１５０〜２０
０℃程度のいわゆる低温焼戻しを行うことにより硬度低
下は少なくなる。
【００１４】すなわち、本発明の熱処理法は次の３つの
作用を有する。 （１）焼入温度からの冷却をマルテンサイト変態開始温
度と同変態終了温度の中間温度で停止させ、同中間温度
に保持させることにより、カムプレートの表面と内部の
温度差をできるだけ小さくする。これにより焼入れ時の
熱応力を軽減する。
作用を有する。 （１）焼入温度からの冷却をマルテンサイト変態開始温
度と同変態終了温度の中間温度で停止させ、同中間温度
に保持させることにより、カムプレートの表面と内部の
温度差をできるだけ小さくする。これにより焼入れ時の
熱応力を軽減する。
【００１５】（２）（１）項の中間温度に保持すること
により、一部がマルテンサイト、残部が未変態オーステ
ナイトとなるが、この状態ではマルテンサイト変態に伴
う変形は軟らかな未変態オーステナイトに吸収され、変
態応力が低下する。さらに、一段焼戻し後のマルテンサ
イト変態に伴う変形も変形能が回復した焼戻しマルテン
サイトに吸収され、変態応力は低下する。
により、一部がマルテンサイト、残部が未変態オーステ
ナイトとなるが、この状態ではマルテンサイト変態に伴
う変形は軟らかな未変態オーステナイトに吸収され、変
態応力が低下する。さらに、一段焼戻し後のマルテンサ
イト変態に伴う変形も変形能が回復した焼戻しマルテン
サイトに吸収され、変態応力は低下する。
【００１６】（３）一段及び二段の焼戻しを低温で行う
ことにより、硬度低下は少なく、従って、マルテンサイ
ト変態で得られた高硬度が維持される。
ことにより、硬度低下は少なく、従って、マルテンサイ
ト変態で得られた高硬度が維持される。
【００１７】
【実施例】本発明のカムプレートの熱処理の一実施例を
図１によって説明する。カムプレートの材質はＪＩＳ
Ｇ５５０２に規定されているＦＣＤ６０であり、Ｍｎ及
びＣｕを多めに添加した焼入性の高い材料である。同材
料のマルテンサイト変態開始温度（Ｍｓ）及び同変態の
終了温度（Ｍｆ）はあらかじめ実測し、Ｍｓ＝２２０
℃、Ｍｆ＝６０℃を得た上でＭｓとＭｆの中間温度（Ｍ
ｉ）は１３０℃とした。
図１によって説明する。カムプレートの材質はＪＩＳ
Ｇ５５０２に規定されているＦＣＤ６０であり、Ｍｎ及
びＣｕを多めに添加した焼入性の高い材料である。同材
料のマルテンサイト変態開始温度（Ｍｓ）及び同変態の
終了温度（Ｍｆ）はあらかじめ実測し、Ｍｓ＝２２０
℃、Ｍｆ＝６０℃を得た上でＭｓとＭｆの中間温度（Ｍ
ｉ）は１３０℃とした。
【００１８】すなわち、この実施例では加熱炉の雰囲気
及び焼入温度・保持時間は従来技術と同様、浸炭雰囲気
で９００℃に１時間加熱したカムプレートは１３０℃の
中間温度に加熱制御した焼入れ油槽中に投入し２０分間
保持後、１８０℃の炉中へすばやく移し、この温度で２
時間保持する（一段焼戻し）。その後炉外に放置し５０
℃（Ｍｆよりやや低い温度）まで空冷し、再び１７０℃
の炉中で２時間加熱した後空冷を行った（二段焼戻
し）。
及び焼入温度・保持時間は従来技術と同様、浸炭雰囲気
で９００℃に１時間加熱したカムプレートは１３０℃の
中間温度に加熱制御した焼入れ油槽中に投入し２０分間
保持後、１８０℃の炉中へすばやく移し、この温度で２
時間保持する（一段焼戻し）。その後炉外に放置し５０
℃（Ｍｆよりやや低い温度）まで空冷し、再び１７０℃
の炉中で２時間加熱した後空冷を行った（二段焼戻
し）。
【００１９】従来技術の熱処理ではカムプレート４６個
中２０個に割れが発生していた。割れ発生位置は図２の
溝３ａ，３ｂ，３ｃ，３ｄの底部及び溝３ｃと３ｄ間で
あり、特に溝３ｃと３ｄ間では互に貫通する格好の割れ
が見られたのに対し、本発明の熱処理法ではカムプレー
ト５０個中割れの発生は皆無であった。なお、割れの点
検は染色浸透探傷法（ＰＴ）で行なった。
中２０個に割れが発生していた。割れ発生位置は図２の
溝３ａ，３ｂ，３ｃ，３ｄの底部及び溝３ｃと３ｄ間で
あり、特に溝３ｃと３ｄ間では互に貫通する格好の割れ
が見られたのに対し、本発明の熱処理法ではカムプレー
ト５０個中割れの発生は皆無であった。なお、割れの点
検は染色浸透探傷法（ＰＴ）で行なった。
【００２０】
【発明の効果】本発明によれば、不均一な断面を有する
カムプレートの熱処理割れを防止できる。従って、本発
明によれば、従来技術に較べ製品歩留りの向上及び品質
向上が期待できる。
カムプレートの熱処理割れを防止できる。従って、本発
明によれば、従来技術に較べ製品歩留りの向上及び品質
向上が期待できる。
【図１】本発明の一実施例のカムプレートの熱処理線
図。
図。
【図２】不均一断面を有するカムプレートの正面図。
【図３】図２におけるＩＩＩ−ＩＩＩ線で切断した断面
図。
図。
【図４】従来のカムプレートの熱処理線図。
Claims (1)
- 【請求項１】 油圧モータの構成部品として用いられる
断面形状が不均一なカムプレートの熱処理法であって、
該カムプレートを焼入温度からの冷却をマルテンサイト
開始温度と同変態終了温度の中間温度で一旦停止させ、
その後２回の焼戻し処理を行ういわゆる中断焼入れ及び
２段焼戻し処理を行うことを特徴とするカムプレートの
熱処理法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP815992A JPH05195048A (ja) | 1992-01-21 | 1992-01-21 | カムプレートの熱処理法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP815992A JPH05195048A (ja) | 1992-01-21 | 1992-01-21 | カムプレートの熱処理法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH05195048A true JPH05195048A (ja) | 1993-08-03 |
Family
ID=11685555
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP815992A Withdrawn JPH05195048A (ja) | 1992-01-21 | 1992-01-21 | カムプレートの熱処理法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JPH05195048A (ja) |
Cited By (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| DE102004051546A1 (de) * | 2004-10-22 | 2006-05-04 | Ald Vacuum Technologies Ag | Verfahren zum verzugsarmen Härten von metallischen Bauteilen |
| KR100989758B1 (ko) * | 2008-05-28 | 2010-10-26 | 현대제철 주식회사 | 롤의 변태응력 조절 열처리방법 |
| CN106545491A (zh) * | 2015-09-22 | 2017-03-29 | 无锡市德美嘉机械科技有限公司 | 一种新型配流盘 |
| CN107557537A (zh) * | 2017-08-29 | 2018-01-09 | 马鞍山市晨光高耐磨科技发展有限公司 | 高韧高耐磨复合板的制备方法 |
-
1992
- 1992-01-21 JP JP815992A patent/JPH05195048A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| DE102004051546A1 (de) * | 2004-10-22 | 2006-05-04 | Ald Vacuum Technologies Ag | Verfahren zum verzugsarmen Härten von metallischen Bauteilen |
| KR100989758B1 (ko) * | 2008-05-28 | 2010-10-26 | 현대제철 주식회사 | 롤의 변태응력 조절 열처리방법 |
| CN106545491A (zh) * | 2015-09-22 | 2017-03-29 | 无锡市德美嘉机械科技有限公司 | 一种新型配流盘 |
| CN107557537A (zh) * | 2017-08-29 | 2018-01-09 | 马鞍山市晨光高耐磨科技发展有限公司 | 高韧高耐磨复合板的制备方法 |
| CN107557537B (zh) * | 2017-08-29 | 2019-04-12 | 马鞍山市晨光高耐磨科技发展有限公司 | 高韧高耐磨复合板的制备方法 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19990408 |