JPH05194827A - 木質化粧材用樹脂組成物、処理木質化粧材および複合板 - Google Patents

木質化粧材用樹脂組成物、処理木質化粧材および複合板

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JPH05194827A
JPH05194827A JP746592A JP746592A JPH05194827A JP H05194827 A JPH05194827 A JP H05194827A JP 746592 A JP746592 A JP 746592A JP 746592 A JP746592 A JP 746592A JP H05194827 A JPH05194827 A JP H05194827A
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JP
Japan
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vinyl acetate
weight
polybasic acid
unsaturated polyester
average molecular
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JP746592A
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English (en)
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Minoru Fujishima
稔 藤島
Tomoaki Aoki
知明 青木
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Showa Denko Materials Co Ltd
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
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Publication date
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 木質化粧材に用いた場合に耐久性、硬さ、寸
法安定性、仕上り性および研削作業性に優れる樹脂組成
物を提供する。 【構成】 不飽和ポリエステル(A)、酢酸ビニルのホ
モポリマー(B)、重合性単量体(C)および有機過酸
化物(D)を含む樹脂組成物であり、(A)は(a)飽
和多塩基酸:α、β−不飽和多塩基酸がモル比で0〜
0.8:1.0〜0.2である多塩基酸成分と、(b)
モル比で1.0〜0.3のプロピレングリコールおよび
/またはジプロピレングリコールを含む多価アルコール
成分と反応して得られ、酸価50以下であり、(B)は
数平均分子量10,000〜50,000、Mw/Mn
が1.5〜5.0であり、(A)と(B)を重量比で9
5〜10:5〜90になるように使用し、前記重合性単
量体(C)の使用量が(A)、(B)および(C)の総
量に対して20〜80重量%ならびに前記有機過酸化物
(D)を(A)、(B)および(C)の総量に対して
0.1〜10重量%とした木質化粧材用樹脂組成物、こ
の組成物を用いた処理木質化粧材、複合板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は木質化粧材用樹脂組成
物、さらに詳しくは特に桧材等白木材を床材等に用いた
建築用仕上げ材、家具表面材などに好適に用いることが
できる木質化粧材用樹脂組成物、処理木質化粧材および
複合板に関する。
【0002】
【従来の技術】木材は加工がし易く、杢目が美しいなど
の点から化粧材、内装材、家具等に広く利用されている
が、木材は多孔質であり、摩耗や損傷、毛羽立ちなどの
が発生し易く、また汚染や変色が生じ、短時間で汚損す
るという問題がある。
【0003】この問題を解決するため、通常、木材表面
に塗膜が施されているが、塗膜厚を30μ以上とする必
要があるため、木材の素材観を損なうとともに、またこ
のような厚さの塗膜を施すには下塗りと乾燥工程を繰返
して行わねばならず、生産性が低下するという欠点があ
る。この欠点の改善策として、木質化粧材(以下、単板
と称する)を合成樹脂、重合性単量体等の混合物に浸漬
し、単板の導管部に樹脂等を含浸し(以下、混合物を含
浸した単板を含浸単板と称する)、加熱圧縮して単板と
合成樹脂の複合化(ウッド・プラスチック・コンビネー
ション、以下、WPCと略す)を図る方法が開発されて
いる(以下、WPCによって得られるものを処理単板と
称する)。このWPCによって処理単板表面の強度は著
しく増加するが、店舗等の床材として使用するために
は、さらに苛酷な条件、すなわち一層の耐久性、表面硬
さ、耐汚染性および寸法安定性が必要であり、また天然
の木材が有する色調や感触が要求される。
【0004】しかし、従来の方法、特に桧単板を使用し
て処理単板とした際、春材部と秋材部の境界に熱および
冷却の繰返しにより表面にクラックが生じたり、春材部
と秋材部の濃度差をそのまま維持できず、変色する欠点
があった。これらの欠点を改善するため、単板そのもの
を処理する方法が開発されているが(特開昭63−56
402号公報、特開昭63−56403号公報)、塗装
作業性が大幅に低下する欠点がある。
【0005】また、特公昭63−98401号公報に
は、春材部と秋材部の濃淡を鮮明にする方法として、不
飽和ポリエステル樹脂とアルキド系低収縮付与剤を混合
使用し、硬化物の白色度を調整することにより木質化粧
材の素材感を維持する方法が記載されているが、適正な
白色度を調整するために、また、混合系塗料の保存性
(経日による相分離等)を得るための不飽和ポリエステ
ル樹脂および/またはアルキド系低収縮付与剤の種類の
選択に多くの時間を要するという欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の問題点を解決し、特に桧等の白木を単板として用い
た場合でも耐久性、硬さ、寸法安定性および春材部と秋
材部の濃淡の鮮明な仕上り性を有する塗膜を任意に、ま
た容易に得ることができる単板用樹脂組成物ならびにこ
れを用いた処理単板および複合板を提供するものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
に鑑み鋭意研究した結果、特定成分、分子量および酸価
を有する不飽和ポリエステル(A)と特定の分子量およ
び分散度を有する酢酸ビニルのホモポリマー(以下酢ビ
ポリマーと称する)(B)を特定量使用し、重合性単量
体(C)および有機過酸化物(D)を一定の割合で含有
する組成物が、前記課題を解決できることを見出し、本
発明に到達した。
【0008】すなわち本発明は、不飽和ポリエステル
(A)、酢ビポリマー(B)、重合性単量体(C)およ
び有機過酸化物(D)を含み、粘度(25℃、ガード
ナ)が50〜500センチポイズである樹脂組成物であ
り、前記不飽和ポリエステル(A)は(a)飽和多塩基
酸とα、β−不飽和多塩基酸とから得られ、その使用割
合がモル比で0〜0.8:1.0〜0.2(飽和多塩基
酸:α、β−不飽和多塩基酸)である多塩基酸成分と、
(b)多価アルコール全成分中モル比で1.0〜0.3
のプロピレングリコールおよび/またはジプロピレング
リコールを含む多価アルコール成分と反応して得られ数
平均分子量300〜10,000、酸価50以下であ
り、前記酢ビポリマー(B)は数平均分子量10,00
0〜50,000、分散度(重量平均分子量を数平均分
子量で除した値)が1.5〜5.0であり、前記不飽和
ポリエステル(A)と該酢ビポリマー(B)を重量比で
95〜10:5〜90(不飽和ポリエステル:酢ビポリ
マー)になるように使用し、前記重合性単量体(C)の
使用量が(A)、(B)および(C)の総量に対して2
0〜80重量%ならびに前記有機過酸化物(D)を
(A)、(B)および(C)の総量に対して0.1〜1
0重量%とした木質化粧材用樹脂組成物、この木質化粧
材用樹脂組成物を単板に含浸し、硬化してなる処理木質
化粧材およびこの処理木質化粧材を基材に接着してなる
複合板に関する。
【0009】本発明に用いられる不飽和ポリエステル
(A)は多塩基酸成分と多価アルコール成分の縮合反応
によって得られる。多塩基酸成分の飽和多塩基酸:α、
β−不飽和多塩基酸はモル比で0〜0.8:1.0〜
0.2好ましくは0〜0.4:1.0〜0.6とされ
る。α、β−不飽和多塩基酸が0.2モル未満では含浸
単板を加熱圧縮成形し、処理単板とする際に樹脂組成物
の硬化が不充分で、表面高度が充分でなく、床材として
使用した際にワレが発生しやすい。
【0010】不飽和ポリエステルのα、β−不飽和多塩
基酸として、例えば無水マレイン酸、マレイン酸、フマ
ール酸、イタコン酸等が用いられる。また、必要に応じ
て使用される他の飽和多塩基酸としては、例えば無水フ
タル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テト
ラハイドロ無水フタル酸、ハイミック酸、トリメリット
酸等が挙げられる。多塩基酸成分は2種以上を併用して
もよい。
【0011】不飽和ポリエステルの多価アルコール成分
(b)として、全多価アルコール成分中、モル比で1.
0〜0.3好ましくは1.0〜0.5がプロピレングリ
コールおよび/またはジプロピレングリコールが使用さ
れる。プロピレングリコールおよび/またはジプロピレ
ングリコールが0.3モル未満では、前記酢ビポリマー
(B)と混合使用した際に樹脂組成物が経時で相分離お
よび白濁するため、均一な硬化物が得られず、処理単板
の仕上り性を著しく低下させる。プロピレングリコール
およびジプロピレングリコールは全多価アルコール成分
中、モル比で0.3モル以上になるように併用しても良
い。
【0012】必要に応じて使用されるその他の多価アル
コール成分としては、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサ
ンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタン
ジオール、水添ビスフェノールA、グリセリン、トリメ
チロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリ
スリトール、グリセリン等が挙げられ、これらの2種以
上を併用しても良い。また前記成分以外の材料として、
トリメチロールプロパンジアリルエーテルなどのアリル
基含有化合物、大豆油、魚油などの動植物油、エピコー
ト828(シェル化学製商品名)などのエポキシ樹脂、
石油樹脂等を酢ビポリマー(B)との相溶性を阻害しな
い範囲で、必要に応じて使用してもよい。
【0013】不飽和ポリエステル(A)は公知の方法に
より合成される。例えば上記の割合の飽和多塩基酸、
α、β−不飽和多塩基酸、多価アルコール、必要に応じ
て他の多価アルコール、他の材料および少量の重合禁止
剤を反応釜に仕込み、150℃〜220℃で反応水を除
きながら1〜20時間加熱し、所定の数平均分子量およ
び酸価になるように調整するか、または0.8モル以下
の多塩基酸、0.3モル以上のプロピレングリコールお
よび/またはジプロピレングリコール、必要に応じて他
の多価アルコール成分および少量の重合禁止剤を仕込
み、140℃〜220℃で1〜15時間加熱後、α、β
−不飽和多塩基および必要に応じて他の材料を仕込み、
再び140℃〜220℃で1〜20時間加熱し、所定の
特性になるように調整される。重合禁止剤としてはハイ
ドロキノン、パラベンゾキノン、トルキノン等が用いら
れる。
【0014】本発明において、不飽和ポリエステル
(A)は数平均分子量が300〜10000、好ましく
は300〜3000、酸価が50以下、好ましくは40
以下に調整されるが、このためには多価アルコールおよ
び必要に応じて使用される多価アルコールの総量が、
α、β−不飽和多塩基および必要に応じて使用される飽
和多塩基酸の総量に対して、等モル以上で、2.0モル
以下の範囲となるように調整して反応させることが好ま
しい。不飽和ポリエステル(A)の数平均分子量が30
0未満では硬化後の塗膜が脆く、冷熱サイクル試験等で
処理単板の表面にクラックが発生しやすい。また不飽和
ポリエステル(A)の数平均分子量が10000を超え
ると、本発明の樹脂組成物の粘度が500センチポイズ
を超えるため含浸単板とする際の作業性が著しく低下す
るためである。
【0015】本発明に用いられる酢ビポリマー(B)
は、常圧または加圧下で、溶液重合法またはバルク重合
法により、反応温度および重合触媒の種類および量を選
択することにより、数平均分子量および分散度を調整す
ることが可能である。例え前者の重合法ではトルオー
ル、キシロール等の溶媒を反応釜に仕込み、2〜3kg
/cm2に加圧して釜内の温度を120℃にし、酢酸ビ
ニルにアゾビスイソブチルニトリル、クメンヒドロパー
オキサイド、t−ブチルペルオキシド等の重合触媒を
0.1〜5.0重量%添加した溶液を1〜5時間で均一
に滴下し、さらに滴下終了後同温度で1〜10時間保持
後、釜内を減圧下(2〜5mmHg/cm2)にし溶媒
及び未反応の酢酸ビニルを除去することにより得られ
る。また後者の方法は、釜内に酢酸ビニルの一部を仕込
み、前者と同様に加圧下で昇温して、残りの酢酸ビニル
に前記と同様な重合触媒を添加して、同様に滴下、保温
および減圧下で未反応の酢酸ビニルを除去することによ
り得られる。
【0016】前記酢ビポリマー(B)は数平均分子量1
0,000〜50,000、好ましくは15,000〜
30,000、分散度1.5〜5.0、好ましくは2.
0〜4.0に調整される。このためには1.5〜3.5
kg/cm2の加圧下で、重合温度を酢酸ビニルの沸点
以上(80℃以上)にして、重合触媒を酢酸ビニルに対
して0.2〜1.0重量%使用して重合させるか、ま
た、沸点以下で重合させる場合は酢酸ビニルに対して重
合触媒を1.0〜5.0重量%使用して、酢酸ビニルの
重合を速めることにより上記の範囲に数平均分子量およ
び分散度を調整することができる。
【0017】酢ビポリマー(B)の数平均分子量が1
0,000未満では硬化後の塗膜が脆く、冷熱サイクル
試験等で処理単板の表面にクラックが発生しやすい。ま
た酢ビポリマー(B)の数平均分子量が50,000を
超えると単板導管部への浸透が不充分となり、冷熱サイ
クル試験で容易に処理単板の表面にクラックが発生しや
すい。酢ビポリマー(B)の分散度を1.5未満にする
ことは困難であり、酢ビポリマー(B)の分散度が5.
0を越えると単板導管部への浸透が不均一となり、天然
の木管の色調が得られない。
【0018】前記不飽和ポリエステル(A)と前記酢ビ
ポリマー(B)を重量比で95〜10:5〜95(不飽
和ポリエステル:酢ビポリマー)、好ましくは80〜3
0:20〜70になるように使用される。この範囲内の
場合に硬化物を安定、均一に白色化させることにより処
理単板、特に桧等の白木の春材部と秋材部の濃淡を鮮明
させると同時に、該酢ビポリマー(B)が低収縮剤の働
きをして、硬化時の塗膜の収縮を防止し、処理単板の寸
法安定性および冷熱サイクルでクラック等を著しく向上
できる。
【0019】本発明の樹脂組成物の硬化物の外観、白色
度及び寸法安定性は、例えば、100mm×100mm
×2mm厚の注形板に本発明の樹脂組成物を注入させ、
90℃で60分間加熱し、冷却後硬化物を取り出し次の
試験により次のように評価される。 外観:色ムラがなく均一な白色硬化物を有している。 白色度:JIS Z8734に準じて(45°/0°拡
散反射率)、2度視野XYZ値よりY値が硫酸バリウム
を100とした際、60以上を有している。 寸法安定性:注形板の大きさに対する硬化物の変形割合
が1.0%以下である。
【0020】前記の割合において不飽和ポリエステル
(A)が95を超えると硬化物の白色度が60未満にな
り、また、硬化物の変形割合が1.0%を超える。ま
た、不飽和ポリエステル(A)が10未満では処理単板
表面の硬さが充分でなくキズがつきやすくなる。
【0021】本発明に用いられる重合性単量体(C)と
しては例えばスチレン、ビニルトルエン、α−メチルス
チレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸エステ
ル、メタクリル酸エステル、グリシジルメタクリレー
ト、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシ(メタ)プロピルアクリレート等の1種また
は2種以上が使用される。特に重合性単量体中にスチレ
ンを100〜50重量%含有することが好ましい。重合
性単量体(C)の使用量は(A)、(B)および(C)
の総量に対して20〜80重量%、好ましくは30〜7
0重量%である。重合性単量体(C)の使用量が20重
量%未満では、不飽和ポリエステル(A)との反応が充
分でなく、高硬度の塗膜が得られず、80重量%を超え
ると硬化性が低下するため含浸単板加熱圧縮時間が長く
なり、作業性が著しく低下する。
【0022】本発明に用いられる有機過酸化物(D)と
しては、例えばベンゾイルパーオキサイド、メチルエチ
ルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサンパーオ
キサイド等のケトンパーオキサイド、1,1−ビス(t
−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロ
ヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパー
オキシ)バレレート等のパーオキシケタール、t−ブチ
ルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハ
イドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド、ジ
−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド
等のジアルキルパーオキサイド、アセトンパーオキサイ
ド等のジアシルパーオキサイド、オクタノールパーオキ
サイド、ラウリルパーオキサイド等のジアシルパーオキ
サイドなどがあり、これらは2種以上を併用してもよ
い。特にベンゾイルパーオキサイドが好ましい。
【0023】有機過酸化物(D)の使用量は、(A)、
(B)および(C)の総量に対して0.1〜10重量
%、好ましくは0.1〜5.0重量%である。この使用
量が0.1重量%未満では、加熱圧縮成形後の塗膜の硬
化が不充分であり、表面硬度、耐シンナー性等が低下
し、また10重量%を超えると、有機過酸化物が可塑剤
の働きをして硬化塗膜が軟質となる。
【0024】本発明の単板用樹脂組成物は、粘度(25
℃、ガードナ)が50〜500センチポイズ、好ましく
は100〜300センチポイズになるように調整され
る。粘度が50センチポイズ未満では単板への含浸は容
易となるが、重合性単量体(C)の量を80重量%より
多く使用しなければならず、加熱圧縮成形後の塗膜が脆
くなる。また500センチポイズを超えると単板への含
浸性が低下し、強靱さを有する成形物が得られない。
【0025】単板に樹脂組成物を含浸する方法として
は、公知の方法を採用することができる。一般には単板
を減圧下(2〜5mmHg/cm2)に置き、単板中の
導管へ組成物が進入し易い状態として組成物を含浸した
後、直ちに解圧し、常圧または加圧(常通30kg/c
2)で数時間(通常、約10〜24時間)放置するこ
とによって行われる。このようにして得られた含浸単板
を加熱圧縮(例えば80〜150℃で3〜20分、8〜
20kg/cm2)し、硬化して処理単板とする。処理
単板は合板等の基材と接着して用いてもよく、含浸単板
を接着時に同時に加熱、加圧して硬化してもよい。処理
単板と基材との接着の際には、公知の接着剤を使用する
ことができる。
【0026】本発明の単板用樹脂組成物は、特に桧材か
らなる処理単板の仕上がり性と耐久性に著しく効果が見
られるが、使用する単板には制限がなく、目的に応じて
杉、松、ナラ、ブナ等からなる単板にも使用できる。
【0027】処理単板は合板等の基材に接着して複合板
とされる。合板に接着した処理単板は、その表面をサン
ドペーパー、ブラストサンダー等で研削することによ
り、表面に付着した余分の樹脂が除去され、表面層が露
出して木質本来の微細な杢目が現出されるとともに、上
塗り塗料(ウレタン塗料、ラッカー塗料)との付着性が
与えられる。本発明の単板用樹脂組成物を用いた処理単
板および複合板は研削がし易く、作業性に優れる。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。下記
例の「部」および「%」は、特に断らない限り「重量
部」および「重量%」を意味する。 (1)不飽和ポリエステル(A−1)の製造 撹拌機、ガス導入管、還流冷却器及び温度計を備えた2
リットルのフラスコに、無水マレイン酸980部(1
0.0モル)、プロピレングリコール836部(11.
0モル)およびハイドロキノン0.18部を入れ、窒素
ガスを吹込みながら6時間で200℃に昇温し、同温度
で酸価35(KOHmg/g、以下同じ)になるまで反
応させ、不飽和ポリエステル(A−1)を得た。反応時
間は6時間を要した。得られた不飽和ポリエステル(A
−1)の数平均分子量をHLC(ハイスピード・リキッ
ド・クロマトグラフ、日立製作所製、日立クロマトグラ
フ 635−0200)で標準物質にポリスチレンを使
用して測定したところ、数平均分子量は2200であっ
た。
【0029】(2)不飽和ポリエステル(A−2)の製
造 (1)と同様の2リットルのフラスコに無水マレイン酸
597部(6.09モル)、無水フタル酸386部
(2.61モル)、プロピレングリコール417部
(5.49モル)、ジエチレングリコール387部
(3.65モル)およびハイドロキノン0.18部を入
れ4時間で220℃に昇温し、酸価28になるまで反応
させ、不飽和ポリエステル(A−2)を得た。反応時間
は10時間を要した。この数平均分子量を(1)と同様
に測定したところ、2800であった。
【0030】(3)不飽和ポリエステル(A−3)の製
造 (1)と同様の2リットルのフラスコにイソフタル酸3
44部(2.01モル)、ジプロピレングリコール97
1部(7.25モル)を仕込み、5時間で220℃に昇
温し、同温度で酸価が9.8になるまで反応させた。反
応時間は4.5時間を要した。次いで120℃に冷却
し、無水マレイン酸473部(4.83モル)およびハ
イドロキノン0.18部を加え、再び220℃に昇温
し、同温度で7時間加熱後、酸価12.6の不飽和ポリ
エステル(A−3)を得た。この数平均分子量を(1)
と同様に測定したところ、2,780であった。
【0031】(4)不飽和ポリエステル(A−4)の製
造 (1)と同様の2リットルのフラスコに無水マレイン酸
529部(5.40モル)、無水フタル酸533部
(3.74モル)、プロピレングリコール205部
(2.70モル)、ジプロピレングリコール286部
(2.13モル)エチレングリコール223部(3.6
0モル)およびハイドロキノン0.18部を仕込み、5
時間で220℃に昇温し、同温度で12時間加熱後、酸
価18.6の不飽和ポリエステル(A−4)を得た。こ
の数平均分子量を(1)と同様に測定したところ、32
00であった。
【0032】(5)不飽和ポリエステル(Z−1)の製
造 (1)と同様の2リットルのフラスコに無水マレイン酸
665部(6.83モル)、無水フタル酸431部
(2.91モル)、プロピレングリコール162部
(2.13モル)、エチレングリコール529部(8.
53モル)およびハイドロキノン0.18部を仕込み、
5時間で220℃に昇温し、同温度で10時間加熱後、
酸価17.2の不飽和ポリエステル(Z−1)を得た。
この数平均分子量を(1)と同様に測定したところ、
2,980であった。
【0033】(6)酢ビポリマー(B−1)の製造 撹拌機、ガス導入管、還流冷却器、滴下導入管及び温度
計を備えた2リットルの加圧、減圧型フラスコにトルオ
ール720部を入れ、窒素ガスを吹込みながらフラスコ
内を2.0kg/cm2に加圧し、120℃まで昇温さ
せる。温度安定後、フラスコ上部の滴下導入管より、酢
酸ビニル1,080部にアゾビスイソブチルニトリル
5.4部(酢酸ビニルに対して0.5%)の溶解液を
2.0kg/cm2の加圧下で3時間かけて均一に滴下
し、滴下終了後同条件で8時間加熱した。酢酸ビニルの
重合率は98%〔釜内内溶物をとり出し、直ちに冷却
後、微量のハイドロキノンを添加して108℃で3時間
加熱した際の加熱残分より重合率を算出した。
【数1】 であった。その後、同温度で徐々に減圧して、減圧度3
mmHg/cm2で5時間で、釜内のトルオールおよび
未反応の酢酸ビニルを除去し、酢ビポリマー(B−1)
を得た。(1)と同様に分子量を測定したところ、数平
均分子量26000、分散度3.3であった。
【0034】(7)酢ビポリマー(X−1)の製造 (6)と同様の2リットルのフラスコにトリオヘール7
20部を入れ、窒素ガスを吹込みながら、常圧で75℃
に昇温させた。温度安定後フラスコ上部の滴下導入管よ
り、酢酸ビニル1080部にアゾビスイソブチルニトリ
ル5.4部の溶解液を常圧で3時間滴下し、滴下終了
後、同温度で20時間加熱した。酢酸ビニルの重合率は
95%であった。その後徐々に加熱して120℃で8時
間かけてトリオールおよび未反応の酢酸ビニルを除去
し、酢ビポリマー(Z−1)を除いた。(1)と同様に
平均分子量を測定したところ、78,000、分散度
8.2であった。
【0035】実施例1〜4および比較例1〜3 表1に示す組成および配合量(単位は重量部)で単板用
樹脂組成物をそれぞれ作製した。
【0036】
【表1】
【0037】試験例 下記の試験を行いその結果を表2に示した。 (1)貯蔵安定性:表1に従って作製した樹脂組成物を
18φ×20cmの試験管にとり、25℃の恒温室内に
7日間静置し樹脂組成物の外状(相分離性)を観察し
た。 (2)白色度:表1に従って作製した樹脂組成物を10
0mm×100mm×2mm厚の注形板に注入し、90
℃で60分間加熱後の硬化物の白色度をスガ試験機社、
カラーコンピューターSM−3を用いて45°/0°拡
散反射率の2度視野X、Y、Z値よりY値を標準物質に
硫酸バリウムを100%とした際の値を算出した。 (3)寸法安定性:(2)で作製した硬化物の横および
縦の長さを測定し、注形板のそれぞれの長さに対する変
形割合を算出した(横と縦の変形割合を加算して2で除
した)。 (4)処理単板の性能試験 厚さ1.5mmの桧単板を4リットルのステンレス製タ
ンクに入れ、タンク内を4mmHg/cm2に減圧して
4時間放置後解圧し、表1に従って作製したそれぞれの
樹脂組成物を注入し、タンク内の圧力を30kg圧/c
2に加圧し、その状態で20時間放置後、解圧して含
浸単板を得た。
【0038】この含浸単板を取出してホットプレス(1
20℃で7分、15kg圧/cm2 )で硬化させて処理
単板を得た。さらにこの処理単板を接着剤で合板に接着
させて複合板を得た。この複合板について研削性、仕上
り性、硬さおよび耐久性(冷熱繰返し試験)を下記のよ
うにして調べた。 (1)研削性:耐水ペーパー#240のベルトサンダー
で複合板上の処理単板表面を研削した際の研削のし易さ
を比較し、下記のように評価した。 ◎…1回の研磨で表面が完全に研削できる 〇…2回の研磨で表面が完全に研削できる △…5回の研磨で表面が完全に研削できる (2)仕上り性:目視により下記のように評価した。 〇…複合板上の処理単板の春材部と秋材部の模様(濃度
差)が鮮明に出る。 △…複合板上の処理単板の春材部と秋材部の模様がやや
ぼけて見える(濃度差が鮮明でない)。 ×…複合板上の処理単板の春材部と秋材部の模様がぼけ
て見える(濃度差がほとんどない)。 (3)硬さ:バーコール935を用いて複合板表面の硬
さを調べた。 (4)冷熱繰返し試験:複合板を80℃の乾燥機に2時
間放置後、直ちに−20℃の冷蔵庫に2時間放置し、こ
れを1サイクルとして繰返し試験を行い、複合板表面の
クラックの発生状態を目視で観察した。
【0039】
【表2】
【0040】表2から、実施例では、樹脂組成物の貯蔵
安定性にすぐれ、またその硬化物は安定した白色度を有
するとともに、単板に桧材を使用した場合でも春材部と
秋材部の模様が鮮明な仕上り性および高耐久性を有する
複合板が得られることが示される。
【0041】
【発明の効果】本発明の単板用樹脂組成物によれば、単
板に桧材を用いた場合でも、耐久性、硬さ、寸法安定
性、仕上り性および研削作業性に優れた処理単板および
複合板を得ることができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不飽和ポリエステル(A)、酢酸ビニル
    のホモポリマー(B)、重合性単量体(C)および有機
    過酸化物(D)を含み、粘度(25℃、ガードナ)が5
    0〜500センチポイズである樹脂組成物であり、 前記不飽和ポリエステル(A)は(a)飽和多塩基酸と
    α、β−不飽和多塩基酸とから得られ、その使用割合が
    モル比で0〜0.8:1.0〜0.2(飽和多塩基酸:
    α、β−不飽和多塩基酸)である多塩基酸成分と、
    (b)多価アルコール全成分中モル比で1.0〜0.3
    のプロピレングリコールおよび/またはジプロピレング
    リコールを含む多価アルコール成分と反応して得られ数
    平均分子量300〜10,000、酸価50以下であ
    り、 前記酢酸ビニルのホモポリマー(B)は数平均分子量1
    0,000〜50,000、分散度(重量平均分子量を
    数平均分子量で除した値)が1.5〜5.0であり、前
    記不飽和ポリエステル(A)と該酢酸ビニルのホモポリ
    マー(B)を重量比で95〜10:5〜90(不飽和ポ
    リエステル:酢酸ビニルのホモポリマー)になるように
    使用し、 前記重合性単量体(C)の使用量が(A)、(B)およ
    び(C)の総量に対して20〜80重量%ならびに前記
    有機過酸化物(D)を(A)、(B)および(C)の総
    量に対して0.1〜10重量%とした木質化粧材用樹脂
    組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の木質化粧材用樹脂組成物
    を木質化粧材に含浸し、硬化してなる処理木質化粧材。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の処理木質化粧材を基材に
    接着してなる複合板。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013159715A (ja) * 2012-02-06 2013-08-19 Panasonic Corp 不飽和ポリエステル樹脂材料、及び不飽和ポリエステル樹脂材料を成形して成る繊維強化プラスチック成形材料

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JP2013159715A (ja) * 2012-02-06 2013-08-19 Panasonic Corp 不飽和ポリエステル樹脂材料、及び不飽和ポリエステル樹脂材料を成形して成る繊維強化プラスチック成形材料

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