JPH05194565A - メチレンジホスホン酸誘導体、その製造方法およびその医薬用途 - Google Patents

メチレンジホスホン酸誘導体、その製造方法およびその医薬用途

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JPH05194565A
JPH05194565A JP18386692A JP18386692A JPH05194565A JP H05194565 A JPH05194565 A JP H05194565A JP 18386692 A JP18386692 A JP 18386692A JP 18386692 A JP18386692 A JP 18386692A JP H05194565 A JPH05194565 A JP H05194565A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 【化1】 [式中、Dは硫黄、酸素、NHまたはアルキル置換Nを
表し、−(X)m、−(Y)nはナフチル基に対する置
換基を表し、R1 、R2 、R3 、R4 は独立して、水
素、炭素数1〜7のアルキル基または薬理的に許容され
る陽イオンを表す。]に代表されるメチレンジホスホン
酸誘導体、製造方法およびその医薬用途。 【効果】 本発明化合物は、優れたIL−1抑制作用、
抗酸化作用、骨吸収抑制作用を持ち、抗炎症薬、抗リウ
マチ薬、自己免疫疾患薬などとして有用な化合物であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は生体内で発熱惹起反応、
炎症惹起反応、各種血球の活性化、骨破壊作用などを持
つインターロイキンー1の作用を抑制し、同時に細胞障
害や脂肪の変性などを引き起こす活性酸素の抑制作用お
よび骨粗鬆症や慢性関節リウマチ疾患時の骨破壊を抑制
する作用を持った新規メチレンジホスホン酸誘導体に関
する。
【0002】
【従来の技術】これまで主に骨代謝疾患薬として開発さ
れてきたジホスホン酸系化合物の多くは、骨破壊抑制作
用をもち、慢性関節リウマチなど関節炎発症時の骨破壊
を抑制することが期待されてきた。特開昭59ー423
95号公報、特開平2ー22285号公報、特開平3ー
77894号公報および特開昭60ー174792号公
報にはジホスホン酸構造の化合物が記載されているが、
これらのジホスホン酸系化合物は骨吸収抑制作用が中心
で、骨代謝疾患薬としては有効であるが慢性関節リウマ
チの治療としてはまだ十分ではない。ジホスホン酸系化
合物が慢性関節リウマチの治療などに用いられるには、
骨吸収抑制作用と同時に炎症に関与するメディエーター
であるインターロイキン−1(以下IL−1と略す)を
抑制し、活性化した好中球やマクロファージによる細胞
障害を抑制するなどの一層優れた作用をあわせ持った新
しい薬剤が望まれている。
【0003】発熱、炎症に関与するメディエーターとし
てIL−1が知られており、その抑制剤が抗炎症薬とし
て期待されてきた。しかしながら他の多くのサイトカイ
ンと同様にIL−1も主に局所で作用しているものと考
えられ、試験管内ではIL−1を抑制する物質は数多く
報告されてきたが、実際に生体内でIL−1を抑制し病
態を改善する充分な作用を持った抗炎症薬は、開発され
るに至っていない。また炎症時などには炎症部位に活性
化した好中球やマクロファージの浸潤が認められこれら
の血球が産生する活性酸素は異物消化という作用を持つ
が、炎症が慢性化したような場合には正常組織までも障
害する事が知られている。この様にIL−1抑制作用と
抗酸化作用を持つ化合物は抗炎症薬としてはもちろん、
慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患や、虚血時に起こ
る脳や肝臓の臓器障害などに対しても有用であると考え
られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、ジホス
ホン酸誘導体に骨代謝疾患薬としての作用だけでなく、
IL−1を抑制する作用や抗酸化作用を付与する事で、
優れた抗炎症作用等を示すジホスホン酸系化合物につい
て研究を重ねてきた。この研究の過程において、ジホス
ホン酸構造に対してナフタレン骨格を付与すれば、既存
薬にはないIL−1を抑制する効果や抗酸化作用が生じ
ることを見いだした。本発明は、インターロイキン−1
を抑制する作用、抗酸化作用並びに骨破壊抑制作用を持
つ有用な新規化合物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的は以下の本発
明により達成される。すなわち本発明は、一般式(I)
に示されるメチレンジホスホン酸誘導体
【化7】 [式中、X、Yはナフチル基上の置換基を表わし、ハロ
ゲン、ニトロ基、ニトリル基、アルキル基、アルコキシ
基、トリフルオロメチル基、
【化8】 基(ただし、Z1 およびZ2 は互いに独立した、水素、
アルキル基を意味し、または、Z1 とZ2 で炭素からな
る環またはヘテロ原子を含む炭素からなる環を形成して
もよい)、
【化9】 基(ただし、Z1 およびZ2 は上記と同じであり、Z3
は酸素または硫黄を意味する)、チオール基、水酸基、
アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、ア
シルアミノ基、アシルチオ基、アシル基、アルケニル
基、アリール基、シクロアルキル基、COOH基、また
はCOOアルキル基を意味し、mは0〜3の整数、nは
0〜4の整数を表わし、m個のXとn個のYはそれぞれ
同一または異なってもよい、Aは−(CH2 a
(D)b −(CH2 c −(Dは硫黄、酸素、NHまた
はアルキル置換Nであり、aとcは0〜10の整数であ
り、bは0または1である(ただし、b=0の場合はa
=c=0である))、Bは水素、アルキル基、アミノ
基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシ
ルアミノ基、水酸基、アルコキシ基またはアシルオキシ
基を意味する、R1 、R2 、R3 およびR4 は、水素、
炭素数1〜7の直鎖または分岐鎖のアルキル基または薬
理的に許容できる陽イオンであり、同一または異なって
もよい。]であり、該誘導体の製造方法ならびに該誘導
体を有効成分とする抗炎症薬、抗リウマチ薬、骨代謝疾
患薬、インターロイキン−1抑制薬、抗酸化薬、骨破壊
抑制薬などの医薬用途に関するものである。
【0006】無置換のナフチル基の場合は、1−ナフチ
ル基または2−ナフチル基を表わし、1個以上の置換基
を有するナフチル基の場合は、2位から8位に置換基を
有する1−ナフチル基または1位または3位から8位に
置換基を有する2−ナフチル基を表す。ナフチル基が置
換基を有する場合、好ましい置換基の位置は、ナフチル
基が1−ナフチル基の場合、Xで置換される位置は2位
および/または4位であり、Yで置換される位置は5位
および/または6位および/または8位であり、ナフチ
ル基が2−ナフチル基の場合、Xで置換される位置は1
位および/または4位であり、Yで置換される位置は5
位および/または6位および/または8位である。置換
基X、Yとして用いられるハロゲン原子はフッ素、塩
素、臭素、ヨウ素である。アルキル基(以下に示すアル
キル基は同じ意味を有する)は、炭素数1〜7の直鎖ま
たは分岐鎖のもので、例えばメチル、エチル、プロピ
ル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、
ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシルメチルなどが挙げ
られる。アルコキシ基は、炭素数1〜7からなるもの
で、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロ
ポキシ、ブトキシなどが挙げられる。
【0007】
【化10】 基(Z1 とZ2 のアルキルは上記と同じ)はアミノ、メ
チルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ブチルア
ミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ピロリジノ、
ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノなどが挙げら
れる。
【0008】
【化11】 基(Z1 、Z2 およびZ3 は上記と同じ)は、カルバモ
イル、チオカルバモイル、N−メチルアミノカルボニ
ル、N,N−ジメチルアミノカルボニル、ピペリジノカ
ルボニル、ピロリジノカルボニル、モルホリノカルボニ
ルなどが挙げられる。アルキルチオ基(アルキルは上記
のアルキル基と同じ)は、メチルチオ、エチルチオ、プ
ロピルチオ、イソプロピルチオ、シクロペンチルチオ、
シクロヘキシルチオなどが挙げられる。アリ−ルチオ基
は、好ましくは炭素数6〜15であり、フェニルチオ、
置換フェニルチオなどである。アシルオキシ、アシルア
ミノ、アシルチオ、アシル基のアシル(基)は、炭素数
2〜7の直鎖または分岐鎖のもので、例えはアセチル、
プロパノイル、ブタノイルなどが挙げられる。アルケニ
ル基は、炭素数2〜7の直鎖または分岐鎖のものでビニ
ル、アリル、2−プロペニル、イソプロペニル、ブテニ
ル、ペンテニルなどが挙げられる。アリ−ル基は好まし
くは炭素数6〜15であり、フェニル、置換フェニル、
ナフチルなどである。シクロアルキル基は、炭素数3〜
8のもので、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペ
ンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。COOアル
キル基(アルキルは上記のアルキル基と同じ)は、メト
キシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカル
ボニルなどが挙げられる。
【0009】Aは−(CH2 a −(D)b −(C
2 c −(Dは硫黄、酸素、NHまたはアルキル置換
Nであり、aとcは0〜10の整数であり、bは0また
は1である(ただし、b=0の場合はa=c=0であ
る))で、より好ましくはa、b、cが独立して0また
は1である。
【0010】さらに、Bが水素、アルキル基以外の場
合、C=0のものは化学的に不安定なため好ましくな
い。しかし、この場合でもa=b=c=0のものは安定
であり、好ましいものである。
【0011】特に好ましい具体例としては、AがS、
O、NH、CH2 S、CH2 O、CH2 NH、SC
2 、OCH2 、NHCH2 などである。またナフチル
基がAを介さずに(即ち、a=b=c=0のケース)、
メチレンジホスホン酸の炭素に直結する化合物も含まれ
る。
【0012】Bがモノアルキルアミノ基、ジアルキルア
ミノ基およびアルコキシ基の場合のアルキルは上記のア
ルキル基と同様であり、またアシルアミノ基、アシルオ
キシ基のアシルは上記のアシルと同様である。
【0013】R1 、R2 、R3 およびR4 のアルキル基
の代表的なものとしては、メチル、エチル、プロピル、
イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペン
チルなどが挙げられる。
【0014】R1 、R2 、R3 およびR4 が水素である
場合、式(I)のホスホン酸部分は無機または有機塩基
で塩を形成することができる。この場合の薬理的に許容
される陽イオンとしては、金属陽イオン、アンモニウム
NR4 (ただし、Rは上記のR1 〜R4 のアルキル基お
よび水素と同じ)をさし、特に好ましい金属陽イオン
は、アルカリ土類金属類、例えばマグネシウム、カルシ
ウムなどの陽イオンである。しかし、他の金属、例えば
アルミニウム、亜鉛、鉄などの陽イオンも本発明に含ま
れる。アンモニウムとしては、アンモニア、一級アミ
ン、二級アミン、三級アミンのアンモニウムおよび四級
アンモニウムである。これらとしては、アンモニア、メ
チルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチ
ルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、プロピ
ルアミン、ジプロピルアミン、イソプロピルアミン、ジ
イソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、
イソブチルアミン、t−ブチルアミン、モノエタノール
アミン、ジエタノール、トリエタノールアミンなどのア
ンモニウムおよびテトラメチルアンモニウム、テトラエ
チルアンモニウムなどが挙げられる。なかでもナトリウ
ム、カリウム、アンモニア、アルキルアミンの陽イオン
が好ましい。またR1 〜R4 において陽イオンは同一で
も異なっていてもよく、また陽イオンと水素が混合した
もの、例えば一陽イオン塩、二陽イオン塩、三陽イオン
塩も本発明に含まれる。好ましくは、一般式(I)で示
されるメチレンジホスホン酸誘導体は、R1 〜R4 のす
べてが水素からなるもの、またはR1 〜R4 のうち2つ
が水素で、残り2つがナトリウムであるもの、または2
つが水素で、残りの2つがアンモニウムのものである。
【0015】本発明のメチレンジホスホン酸誘導体は、
当該分野における公知の方法に類似する方法によって製
造することができる。例えば、本発明の式(I)のメチ
レンジホスホン酸誘導体の1つ(BがHである場合)
は、次の反応式で示される方法によって製造できる。
【0016】
【化12】 使用される出発物質は、メチレンジホスホン酸の低級ア
ルキルエステル)(II)(ただし、低級アルキルとは炭
素数1〜7の直鎖または分岐鎖のアルキルである)であ
り、水素化ナトリウム、アルキルリチウムなどの塩基と
反応させることによって相応するメタル化メチレンジホ
スホン酸エステル(V)となし、これに種々のナフチル
−A基の導入剤(ここでナフチルは
【化13】 (X、Y、m、nは上記同じであり、)Aは上記定義に
同じ)を反応させて、化合物(VI)とする。ナフチル−
A基の導入剤として、ナフチル−(CH2 a −(D)
b −(CH2 c −ハロゲン、ナフチル−(CH2 a
−S−ハロゲンなどのハロゲン化物、または[ナフチル
−(CH2 a −S]2 のジスルフィド(D、a、b、
cは上記のものと同様)が用いられる。
【0017】反応温度および反応時間は使用される試薬
によって変わる。例えば、反応温度は−78℃と溶媒ま
たは溶媒混合物の沸点との間であり、反応時間は10分
から数日まで及ぶ。
【0018】R1 〜R4 がアルキル基であるメチレンジ
ホスホン酸(ホスホン酸エステル)からR1 〜R4 が水
素であるメチレンジホスホン酸誘導体は、加水分解など
によって得られる。例えば、ホスホン酸エステルは塩酸
などの酸と反応させるか、トリメチルシリルブロミド、
次いで水またはアルコールで処理することによって加水
分解される。かくして得られたメチレンジホスホン酸
は、その塩の1種に公知の方法で転化されることができ
る。
【0019】また、メチレンジホスホン酸エステルの部
分加水分解、あるいはメチレンジホスホン酸の部分エス
テル化によってR1 〜R4 のうち1〜3個のものがアル
キル基になっている化合物(メチレンジホスホン酸の部
分エステル)も本発明に含まれる。
【0020】また、本発明のメチレンジホスホン酸誘導
体の大部分はP=O結合がケト型として存在するが、化
合物自身の化学的性質、溶媒や温度といった外部環境に
よって一部エノール型として存在する場合があるが、こ
れらも本発明の化合物の中に含まれる。
【0021】また、すべての反応において、目的とする
反応以外の反応性置換基、反応性官能基を含有する場
合、これらの置換基、官能基は容易に除去することがで
きる試薬によってあらかじめブロックしておかなければ
ならない。
【0022】本発明の化合物の対象とする疾患は、炎症
性疾患、疼痛性疾患、皮膚疾患、呼吸器疾患、肝疾患、
感染症、自己免疫疾患、虚血性臓器障害ないし骨代謝疾
患である。例えば、(慢性)関節リウマチ、リウマチ様
多発関節炎、変形性関節症、肩甲関節周囲炎、頚肩腕症
候群、椎間板障害、腰痛症、腱・腱鞘炎、骨関節炎、五
十肩、結合織炎、筋肉痛、神経痛、痛風、手術後・外傷
後の炎症・腫脹など(抗炎症薬、抗リウマチ薬、抗関節
炎薬、鎮痛薬および解熱薬)または乾癬、喘息、肺サイ
ルコイドーシス、ウイルス性肝炎、ヒト免疫不全ウイル
ス感染症、原虫類感染症、虚血性心疾患、虚血性脳障
害、虚血性肝障害、動脈硬化症および骨粗鬆症、ページ
ェット病、ベヒチレフ病、高カルシウム血症、異所性骨
化など(代謝性骨疾患薬)の治療・予防活性の優れた薬
剤の提供にある。
【0023】本発明の新規メチレンおよびメタンジホス
ホン酸誘導体を、先に述べた本発明の用途に用いる場
合、そのままもしくは自体公知の薬学的に許容されうる
担体、賦形剤などと混合した医薬組成物として使用に供
される。投与は、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、丸
剤などの経口投与、注射剤、シロップ剤、軟膏剤、坐剤
などの非経口投与のいずれであっても良い。投与量は、
投与対象、投与ルート、症状などによって異なるが、約
0.1mg〜5g程度、好ましくは1mg〜2g程度で
あり、これを1日1〜数回に分けて、経口または非経口
投与する。
【0024】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明する。
【0025】実施例1 2−ナフチルチオメチレンジホスホン酸テトラエチル
(1)
【化14】 アルゴン雰囲気下、メチレンジホスホン酸テトラエチル
10.09g(35mmol)の乾燥テトラヒドロフラ
ン(100ml)溶液を−78℃に冷却し、これにn−
ブチルリチウムヘキサン溶液[1.59mol/l]2
2.01ml(35mmol)を加え、30分間攪拌し
た。次に、この混合物に2,2’−ジナフチルジスルフ
ィド11.15g(35mmol)の乾燥テトラヒドロ
フラン(75ml)溶液を加えた後、室温まで昇温し、
16時間攪拌した。得られた混合物を氷水中に投入し、
6規定の塩酸で中和した後、酢酸エチル(3×150m
l)で抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧下溶媒を
留去し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(展
開溶媒 エタノール:酢酸エチル=5:95)で精製
し、表題化合物8.82gを無色油状物として得た。収
率57%。
【0026】 1H−NMR(CDCl3 )[ppm]:
1.33(t,J=7Hz,12H),3.55(t,J=21Hz,1H),4.00〜4.55(m,8
H),7.46 〜7.52(m,3H),7.76 〜7.83(m,3H),8.07(S,1H) IR(KBr)[cm-1]:2984,1626,1589,1502,139
2,1257,1029,975 MASS(FAB) m/z:447(M+H) EA(C19286 2 Sとして) 計算値(%):C 51.12 H 6.33 測定値(%):C 51.10 H 6.29
【0027】実施例2 2−ナフチルチオメチレンジホスホン酸 (2)
【化15】 アルゴン雰囲気下、実施例1で得られた2−ナフチルチ
オメチレンジホスホン酸テトラエチル8.04g(18
mmol)の乾燥塩化メチレン(100ml)溶液に、
室温で臭化トリメチルシラン27.56g(180mm
ol)を滴下し、そのまま室温で72時間攪拌した。減
圧下溶媒および過剰の臭化トリメチルシランを留去した
後、得られた残渣を水:メタノール=5:95の混合液
に溶解し、30分間加熱・還流して再び減圧下溶媒を留
去した。得られた残渣をアセトン−塩化メチレンを溶媒
として結晶化させ、得られた結晶を再度同じ溶媒系から
再結晶して表題化合物を白色結晶として得た。収率86
%。
【0028】m.p.:218.5〜219.5℃(d
ec) 1 H−NMR(CD3 OD)[ppm]:3.51(t,J=21H
z,1H),7.42〜7.51(m,2H),7.65〜7.70(m,1H),7.74 〜7.8
7(m,3H),8.10 〜8.12(m,1H) IR(KBr)[cm-1]:2926,1657,1638,1620,115
1,973,812 MASS(FAB) m/z:335(M+H) EA(C11126 2 S)として 計算値(%): C 39.53 H 3.63 測定値(%): C 39.62 H 3.70
【0029】実施例3 6−メトキシ−2−ナフチルチオメチレンジホスホン酸
テトラエチル (3)
【化16】 (a)6,6’−ジメトキシ−2,2’−ジナフチルジ
スルフィド アルゴン雰囲気下、6,6’−ジヒドロキシ−2,2’
−ジナフチルジスルフィド10.00g(28.5mm
ol)の乾燥ジメチルホルムアミド(250ml)溶液
をー23℃に冷却し、これに水素化ナトリウム(60%
ミネラルオイルディスパージョン)3.42g(85.
5mmol)を徐々に加え、水素の発生が止むまで攪拌
した。次に、この混合物にヨウ化メチル12.14g
(85.5mmol)を加えた後、室温まで昇温し、2
時間攪拌した。得られた混合物を氷水中に投入し、酢酸
エチル(3×150ml)で抽出した。有機層を水およ
び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た後、減圧下溶媒を留去した。得られた結晶を酢酸エチ
ル−石油エーテルから再結晶して、6,6’−ジメトキ
シ−2,2’−ジナフチルスルフィド9.92gを橙色
結晶として得た。収率92%。
【0030】m.p.:125〜126℃ 1 H−NMR(CDCl3 )[ppm]:3.89(s,6H),
7.00 〜7.25(m,4H),7.45 〜7.75(m,6H),7.85 〜7.95(m,
2H)
【0031】(b)6−メトキシ−2−ナフチルチオメ
チレンジホスホン酸テトラエチル 実施例1と同様の方法により、メチレンジホスホン酸テ
トラエチル10.09g(35mmol)と6,6’−
ジメトキシ−2,2’−ジナフチルジスルフィド13.
25g(35mmol)から、表題化合物11.34g
を淡黄色油状物として得た。収率68%。
【0032】 1H−NMR(CDCl3 )[ppm]:
1.33(t,J=7Hz,6H),1.35(t,J=7Hz,6H),3.48(t,J=22Hz,1
H),3.91(s,3H),4.00 〜4.45(m,8H),7.00 〜7.30(m,2H),
7.50〜7.80(m,3H),8.00 〜8.10(m,1H) IR(KBr)[cm-1]:2984,2936,2910,1628,159
3,1390,1259,1214,1023,975 MASS(FAB)m/z:477(M+H) EA(C20307 2 Sとして) 計算値(%): C 50.42 H 6.36 測定値(%): C 50.65 H 6.42
【0033】実施例4 6−メトキシ−2−ナフチルチオメチレンジホスホン酸
(4)
【化17】 実施例2と同様の方法により、実施例3で得られた6−
メトキシ−2−ナフチルチオメチレンジホスホン酸テト
ラエチル7.15g(15mmol)を乾燥塩化メチレ
ン中、臭化トリメチルシランで処理し、その後加水分解
することにより、表題化合物4.21gを白色結晶とし
て得た。収率77%。
【0034】m.p.:234〜235℃(dec) 1 H−NMR(CD3 OD)[ppm]:3.37(t,J=21H
z,1H),3.90(s,3H),7.12 〜7.23(m,2H),7.65 〜7.75(m,3
H),8.05 〜8.09(m,1H) IR(KBr)[cm-1]:2920,1628,1466,1214,112
5,994,924,911 MASS(FAB)m/z:365(M+H) EA(C12147 2 Sとして) 計算値(%): C 39.57 H 3.88 測定値(%): C 39.55 H 3.79
【0035】実施例5 6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオメチレンジホスホン
酸テトラエチル (5)
【化18】 (a)6,6’−ジ(t−ブチルジメチルシロキシ)−
2、2’−ジナフチルジスルフィド アルゴン雰囲気下、6,6’−ジヒドロキシ−2,2’
−ジナフチルジスルフィド10.00g(28.5mm
ol)およびイミダゾール9.70g(140mmo
l)のジメチルホルムアミド(150ml)溶液を0℃
に冷却し、これにt−ブチルジメチルクロロシラン1
2.89g(85.5mmol)の乾燥ジメチルホルム
アミド(50ml)溶液を加え、室温まで昇温した後、
3時間攪拌した。得られた混合物を氷水中に投入し、酢
酸エチル(3×150ml)で抽出した。有機層を水お
よび飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥
した後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をカラム
クロマトグラフィー(展開溶媒酢酸エチル:n−ヘキサ
ン=5:95)で精製し、表題のジスルフィド化合物を
淡黄色油状物として得た。収率99%。
【0036】 1H−NMR(CDCl3 )[ppm]:
0.23(s,6H),1.00(s,9H),6.95〜7.20(m,2H),7.45 〜7.70
(m,3H),7.85 〜7.95(m,1H)
【0037】(b)6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオ
メチレンジホスホン酸テトラエチル 実施例1と同様の方法により、メチレンジホスホン酸テ
トラエチル10.09g(35mmol)と6,6’−
ジ(t−ブチルジメチルシロキシ)−2,2’−ジナフ
チルジスルフィド13.25g(35mmol)との反
応を行い、得られた残渣を単離することなく6規定塩
酸:メタノール=1:20の混合液に溶解し、50℃で
3時間加熱・攪拌して再び減圧下溶媒を留去した。得ら
れた残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 エタ
ノール:酢酸エチル=5:95)で精製し、表題化合物
10.02gを淡黄色の徐々に結晶化する油状物として
得た。収率62%。
【0038】m.p.:85.5〜86.5℃ 1 H−NMR(CDCl3 )[ppm]:1.35(t,J=7H
z,12H),3.50(t,J=22Hz,1H),4.05〜4.65(m,8H),6.95 〜
7.20(m,2H),7.25 〜7.70(m,3H),7.90 〜8.05(m,1H),8.9
5(brs,1H) IR(KBr)[cm-1]:3148,2984,1626,1392,123
2,1212,1027 MASS(FAB) m/z:463(M+H) EA(C19287 2 Sとして) 計算値(%): C 49.35 H 6.12 測定値(%): C 49.39 H 6.11
【0039】実施例6 6−ヒドロキシ−2−ナフチルチオメチレンジホスホン
酸 (6)
【化19】 実施例2と同様の方法により、実施例5で得られた6−
ヒドロキシ−2−ナフチルチオメチレンジホスホン酸テ
トラエチル7.15g(15mmol)を臭化トリメチ
ルシランで処理し、その後、加水分解することにより、
表題化合物4.21gを白色結晶として得た。
【0040】収率75%。
【0041】m.p.:210〜211℃ 1 H−NMR(D2 O)[ppm]:3.51(t,J=20Hz,1
H),7.02〜7.13(m,2H),7.48 〜7.55(m,1H),7.55 〜7.62
(m,1H),7.63 〜7.69(m,1H),7.90 〜7.97(m,1H) IR(KBr)[cm-1]:3570,3164,1636,1506,113
5,1046,939,919 MASS(FAB) m/z:351(M+H) EA(C11127 2 Sとして) 計算値(%): C 37.73 H 3.46 測定値(%): C 37.80 H 3.55
【0042】実施例7 1−ナフチルチオメタンジホスホン酸テトラエチル (7)
【化20】 (a)1,1´−ジナフチルジスルフィド アルゴン雰囲気下、1−ナフタレンスルホニルクロリド
22.67g(100.0mmol)の乾燥塩化メチレ
ン(250ml)溶液にヨードトリメチルシラン10
0.0g(500.0mmol)をゆっくり加え、6時
間攪拌した。得られた混合物を飽和炭酸水素ナトリウム
水溶液に投入し、塩化メチレン(3×150ml)で抽
出した。有機層をヨウ素の着色が消えるまで飽和チオ硫
酸ナトリウム水溶液で洗浄し、さらに水および飽和食塩
水で洗浄したのち、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。
減圧下溶媒を留去し、得られた結晶を酢酸エチル−n−
ヘキサンから再結晶して、表題化合物12.43gを淡
黄色結晶として得た。収率78%。
【0043】m.p.:85〜86℃ 1 H−NMR(CDCl3 )[ppm]:7.15〜8.00
(m,12H),8.20〜8.45(m,2H)
【0044】(b)1−ナフチルチオメタンジホスホン
酸テトラエチル 実施例1と同様の方法により、メチレンジホスホン酸テ
トラエチル10..9g(35mmol)と1,1´−
ジナフチルジスルフィド11.15g(35mmol)
から表題化合物9.38gを淡黄色油状物として得た。
収率60%。
【0045】 1H−NMR(CDCl3 )[ppm]:
1.30(t,J=7Hz,12H),3.55(t,J=21Hz,1H),3.95〜4.45(m,8
H), 7.30〜7.75(m,3H),7.75 〜8.10(m,3H),8.55 〜8.75
(m,1H) IR(KBr)[cm-1]:3434,2984,2934,2910,150
6,1444,1255,1164,1098,1013,971 MASS(FAB) m/z:447(M+H) EA(C19286 2 Sとして) 計算値(%): C 51.12 H 6.33 測定値(%): C 51.33 H 6.19
【0046】実施例8 1−ナフチルチオメタンジホスホン酸 (8)
【化21】 実施例2と同様の方法により、1−ナフチルチオメチレ
ンジホスホン酸テトラエチル6.70g(15mmo
l)を臭化トリメチルシランで処理し、その後、加水分
解することにより、表題化合物3.92gを白色結晶と
して得た。収率78%。
【0047】m.p.:241〜242℃(dec) 1 H−NMR(CD3 OD)[ppm]:3.45(t,J=21H
z,1H),7.30〜7.70(m,3H),7.75 〜8.10(m,3H),8.60 〜8.
80(m,1H) IR(KBr)[cm-1]:2910,2892,1506,1185,114
1,1006,932 MASS(FAB) m/z:335(M+H) EA(C11126 2 Sとして) 計算値(%): C 39.53 H 3.63 測定値(%): C 39.44 H 3.70
【0048】実施例9アジュバント関節炎試験 結核菌アジュバントをラットに注射すると、ヒト慢性関
節リウマチに似た多発性関節炎が生ずる。このアジュバ
ント関節炎モデルを用いて、以下の手順で、本発明の化
合物の抗炎症・抗リウマチおよび骨代謝改善の作用を調
べた。
【0049】結核菌(Mycobacterium butyricum )乾燥
死菌体0.1mgを流動パラフィン0.1mlに懸濁さ
せ、Lewis系雌性ラット7週齢の左後肢足蹠皮内に
注射した。実施例で得られた化合物は、減菌蒸留水に溶
解して、体重1kgあたり20mgの割合で、アジュバ
ント注射日から8日目より21日目まで2週間連日皮下
投与した。この間、左右後肢の足容積の測定を行ない、
下記式により浮腫率を算定した。
【0050】
【数1】 さらに下記式にて浮腫抑制率を求め、表1に示す。
【数2】
【0051】22日目にラットを屠殺し、左右後肢の軟
X線写真を撮影した。軟X線写真をもとに、左右後肢5
ケ所における骨破壊の程度を、それぞれ5段階の点数を
つけて評価し、総数を骨破壊点数とした。さらに骨破壊
抑制率を下記式にて算出し、表1に示す。
【0052】
【数3】
【0053】得られた結果は、スチューデントのt検定
およびチューキィの多重比較法により、滅菌蒸留水のみ
を投与した対照群に対して、危険率P<0.001で有
意のものは*** 印を、P<0.01で有意のものには**
印を、P<0.05で有意のものには* 印を付した。表
1より明らかなとおり、本発明による化合物により、ア
ジュバント関節炎の1次および2次炎症による足浮腫と
骨破壊は抑制された。
【0054】
【表1】
【0055】実施例10マウスマクロファージ株細胞J774−1よりのIL−
1産生に対する作用 リンパ球であるマクロファージは、異物排除機構とし
て、侵入してきた微生物や血球の破片などを貪食し、B
細胞に抗原提示すると共に、活性酸素を放出して異物を
消化する。この際にマクロファージは、種々のサイトカ
インを放出するが、なかでもIL−1は発熱や、炎症、
軟骨・骨破壊、白血球の活性化、血管内皮細胞の障害な
どの作用を持ち、さらに他のサイトカインを誘導するこ
とで種々の作用を示すことが知られている。
【0056】マウスマクロファージ株細胞J774−1
はIL−1の高い産生を示すものから選択された株細胞
であり、LPSで刺激を行うとIL−1産生を示すこと
が知られている。この細胞株を用いて、以下の手順で本
発明の化合物のIL−1産生抑制作用を測定した。
【0057】J774−1細胞を、10%牛胎児血清お
よび2−メルカプトエタノール 50μMを含むRPM
I−1640培地にて培養し、2×105 個/mlの細
胞数に調製した。24ウエルプレートにこの細胞浮遊液
を1mlずつ入れ30分間培養した。その後にLPSを
最終濃度1μg/mlとなるように添加し、同時に実施
例で得られた化合物を、滅菌蒸留水に溶解して100μ
Mの濃度でで添加した。37℃、5%CO2 環境下で2
4時間培養した後上清を採取し、遠心して細胞の破片等
を除いた後、0.22μmのフィルターを通して滅菌し
た。
【0058】IL−1の活性測定は、C3H/He J
雄性マウスの胸腺細胞増殖活性で測定した。即ち、C3
H/He J雄性マウスの4〜6週齢を用い、胸腺を採
取した。胸腺を10%牛胎児血清および2−メルカプト
エタノール 50μMを含むRPMI−1640培地中
でほぐし、2×107 個/mlの濃度に細胞液を調製し
た。この細胞浮遊液にフィトヘマグルチニンを最終濃度
1%になるように添加しておきこれをT細胞浮遊液とし
た。
【0059】上記で得られたサンプルを50μlの容量
で96ウエルマルチプレート中で2倍系列希釈を行って
おき、ここにT細胞浮遊液を50μlずつ添加した。T
細胞を72時間培養し、細胞の増殖率でIL−1活性を
求めた。細胞増殖は培養終了4時間前に、3−[4,5
−ジメチルチアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニ
ルテトラゾリウムブロミドを添加し生細胞のミトコンド
リアにより還元されて発色する色素の570nmでの吸
光度を指標に、遺伝子組み替えヒトIL−1でT細胞の
最大増殖を起こさせた場合を増殖度100%とし、IL
−1を添加しなかった場合の増殖を0%としてTさいぼ
うの増殖を50%引き起こすときのサンプルの希釈倍率
をそのサンプルのユニット数として計算した。
【0060】この時下記の式によりJ774−1細胞の
LPS 1μg/ml刺激時のIL−1産生に対して本
発明の化合物の抑制率を算定した。結果を表2に示す。
【数4】
【表2】
【0061】実施例11 ウサギ膝関節の軟骨を分離・培養し、IL−1刺激を行
うと軟骨細胞の主要構成成分である糖タンパク質のプロ
テオグリカンが遊離する。この作用を指標とし、本発明
の化合物のIL−1抑制作用を以下の通り測定した。
【0062】ニュージーランドホワイト種の雄性ウサ
ギ、生後3週齢、体重250g〜300gのものを、ジ
エチルエーテル麻酔下に脱血致死し、膝関節を分離し
た。膝関節よりメスで軟骨部分を切り出し、0.14M
塩化ナトリウム、4mM塩化カリウム、0.4mMリン
酸二水素ナトリウム、12mM炭酸水素ナトリウム、
0.2mMリン酸二水素カリウム、11mMブドウ糖か
らなるCMF溶液に浸しておいた。この軟骨を0.1%
EDTAに入れ37℃、20分間インキュベートした。
上清を除去した後、0.15%トリプシンを添加し37
℃、60分間インキュベートした。CMF溶液で3回洗
浄した後0.15%コラゲナーゼを入れ更に37℃、1
05分間処理した。軟骨組織片をピペッティングで軟骨
細胞に単離させ、120μmのナイロンメッシュを通し
た後、4℃、500g、7分間遠心し軟骨細胞を得た。
細胞を3回洗浄し10%牛胎児血清を含むダルベッコM
EM培地に1.2×105 個/mlとなるように細胞を
浮遊させた。48ウエルプレートに細胞を250μlず
つ入れコンフルエントに達するまで5日間培養した。そ
の後培養液を0.3%牛胎児血清を含むダルベッコME
Mに交換してさらに24時間培養したのち35Sラベルし
た無機硫酸を185キロベクレルの濃度で添加し24時
間培養した。細胞をダルベッコMEM培地で3回洗浄し
た後、培地を0.1%牛血清アルブミンを含むBGjb
培地に交換し、遺伝子組み替え型ヒトIL−1βを30
ユニット/mlの濃度で添加した。同時に本発明の化合
物を滅菌蒸留水に溶解し、最終濃度100μMで添加し
た。IL−1刺激後24時間後に培養上清、並びに細胞
層を採取した。
【0063】細胞層はプロナーゼEを200μg添加
し、37℃、24時間処理して分解した。培養上清には
0.1mg/mlコンドロイチン硫酸を0.05ml、
2mM硫酸マグネシウムを0.5ml、5mM塩化カル
シウム0.2Mトリス塩酸緩衝液溶液(pH7.8)
0.5ml、1%塩化セチルピリジニウム20mM塩化
ナトリウム溶液0.5mlを順次添加し、37℃ 2時
間処理して析出したプロテオグリカンをグラスフィルタ
ーに集め液体シンチレータを加え、液体シンチレーショ
ンカウンタでカウントした。
【0064】細胞層には0.1mg/mlコンドロイチ
ン硫酸を0.05ml、2mM硫酸マグネシウムを0.
5ml、1%塩化セチルピリジニウム20mM塩化ナト
リウム溶液0.5mlを順次添加し、37℃ 2時間処
理して析出したプロテオグリカンをグラスフィルターに
集め液体シンチレータを加え、液体シンチレーションカ
ウンタでカウントした。
【0065】それぞれ得られたカウントを最初に添加し
た無機硫酸のカウントで割りパーセントとして表した。
得られた結果はスチューデントのt−検定を用い、無刺
激対照群に対して危険率P<0.01で有意のものを$$
印を、IL−1刺激対照群に対して危険率P<0.01
で有意のものを**印で示した。表3に示すように本発明
の化合物は、IL−1刺激での細胞層からのプロテオグ
リカン遊離を抑制し、IL−1抑制薬として有用であ
る。
【0066】
【表3】
【0067】実施例12 好中球は生体防御反応として、異物を排除するために異
物を貪食し、活性酸素や消化酵素を産生することが知ら
れている。しかしながら慢性炎症時などには好中球の産
生した活性酸素や消化酵素が正常組織をも障害し、さら
に炎症を増強することが考えられる。そこでヒト好中球
からの活性酸素放出に対する本発明の化合物の作用を以
下のように測定した。
【0068】3.8%クエン酸ナトリウムを抗凝固剤と
して使用し、ヒト静脈より50ml採血した。この血液
と2%デキストラン生理食塩液溶液を等量ずつ混和し、
数回振とうした後37℃、30分静置した。上層を分離
し、等量のFicoll−Paque 液上に重層した。20℃、1
400回転で30分間遠心した後の沈澱をとり、ハンク
ス緩衝液で細胞を再浮遊して、さらに20℃、1000
回転、5分間遠心して細胞を洗浄した。混入した赤血球
は浸透圧ショックをかけて除き、最終的に好中球を1×
106 個/mlの濃度にハンクス緩衝液に浮遊させる。
この好中球1×105 個と刺激剤であるformyl−methio
nyl −leucyl−phenylalanine (fMLP)107 Mを
37℃でインキュベートし、同時に本発明の化合物を添
加して産生した活性酸素を測定した。活性酸素測定には
2−methyl−6−phenyl−3,7−dihydroimidazo
[1,2a ]pyradin −3−one (CLA)が活性酸素
と反応して、励起カルボニル体となりこれが基底状態に
遷移する過程で380nmで発光する現象を利用し、ル
ミノメーターで最大発光量を求めた。下記の式により活
性酸素産生抑制率を算定した。結果を表4に示す。
【0069】
【数5】
【表4】
【0070】実施例13 骨粗粗鬆症病態時には、骨形成と骨破壊のバランスが崩
れ、骨破壊が亢進している状態にあると考えられる。骨
破壊は破骨細胞の活性化や数の増加により生じると考え
られており、そのモデルとして象牙片上にマウス骨細胞
を蒔き、活性型ビタミンD3 刺激で骨吸収を生じさせる
実験がある。このモデルを用いて本発明の化合物の骨吸
収抑制作用について測定した。
【0071】生後10〜15日齢のICR系のマウスか
ら大腿骨および脛骨を分離して、5%牛胎児血清を含む
α−MEM培地中で細切し、骨髄細胞と骨基質を含む骨
細胞浮遊液を調製した。骨の大きな破片はナイロンメッ
シュで除き、生細胞をトリパンブルー排除法染色で、破
骨細胞を酒石酸耐性酸性ホスファターゼ染色で染色し、
破骨細胞を0.05〜0.1%程度の割合で含む細胞浮
遊液を調製した。象牙は低速回転ダイヤモンドカッター
により150μmの厚さに切断し、96ウエルプレート
のウエルの大きさに合わせてパンチで打ち抜いた。これ
らの象牙片を96ウエルプレートに入れ、その上に上記
で調製した細胞浮遊液を、破骨細胞がウエルあたり50
0個入るように入れた。活性型ビタミンD3 の10nM
を刺激剤として添加し、同時に本発明の薬剤を10μM
および100μMの濃度で添加した。37℃、10%C
2 環境下で細胞を培養し4日後に、象牙片上に形成さ
れた吸収窩をヘマトキシリンにて染色して顕微鏡下に観
察して、計数した。下記の式により吸収窩形成抑制率を
算定した。
【0072】
【数6】 結果を表5に示す。結果はスチューデントのt−検定で
統計計算を行い、活性型ビタミンD3 刺激対照群に対し
て危険率P<0.05で有意のものに* 印を、P<0.
01で有意のものに**印を付した。
【0073】
【表5】
【0074】
【発明の効果】本発明の化合物は、IL−1抑制作用、
抗酸化作用、骨吸収抑制作用などにより、抗炎症薬、鎮
痛薬、抗リウマチ薬、骨代謝疾患薬、自己免疫疾患薬、
感染症薬、皮膚病薬、抗アレルギー薬、抗酸化薬、虚血
性臓器障害治療薬として有用である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 31/675 ADF 8314−4C AED C07F 9/38 E 7106−4H (72)発明者 川辺 紀雄 神奈川県鎌倉市手広1111番地 東レ株式会 社基礎研究所内 (72)発明者 内呂 拓実 神奈川県鎌倉市手広1111番地 東レ株式会 社基礎研究所内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)で示されるメチレンジホス
    ホン酸誘導体。 【化1】 [式中、X、Yはナフチル基上の置換基を表わし、ハロ
    ゲン、ニトロ基、ニトリル基、アルキル基、アルコキシ
    基、トリフルオロメチル基、 【化2】 基(ただし、Z1 およびZ2 は互いに独立して、水素、
    アルキル基を意味し、または、Z1 とZ2 で炭素からな
    る環またはヘテロ原子を含む炭素からなる環を形成して
    もよい)、 【化3】 基(ただし、Z1 およびZ2 は上記と同じであり、Z3
    は酸素または硫黄を意味する)、チオール基、水酸基、
    アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、ア
    シルアミノ基、アシルチオ基、アシル基、アルケニル
    基、アリール基、シクロアルキル基、COOH基、また
    はCOOアルキル基を意味し、mは0〜3の整数、nは
    0〜4の整数を表わし、m個のXとn個のYは、それぞ
    れ同一または異なってもよい、Aは−(CH2 a
    (D)b −(CH2 c −(Dは硫黄、酸素、NHまた
    はアルキル置換Nであり、aとcは0〜10の整数であ
    り、bは0または1である(ただし、b=0の場合はa
    =c=0である))、Bは水素、アルキル基、アミノ
    基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アシ
    ルアミノ基、水酸基、アルコキシ基またはアシルオキシ
    基を意味する、R1 、R2 、R3 およびR4 は、水素、
    炭素数1〜7の直鎖または分岐鎖のアルキル基または薬
    理的に許容できる陽イオンであり、同一または異なって
    もよい。]
  2. 【請求項2】 ナフチル基が1ーナフチル基または2ー
    ナフチル基である請求項1記載のメチレンジホスホン酸
    誘導体。
  3. 【請求項3】 塩基の存在下において、式(III ) 【化4】 (ただし、Halはハロゲンを意味し、X、Y、m、n
    およびAは上記と同じ)の化合物または式(IV) 【化5】 (ただし、X、Y、m、nおよびaは上記と同じ)の化
    合物を、一般式(II)のジホスホネート化合物 【化6】 [式中、R1 は炭素数1〜7の直鎖または分岐鎖のアル
    キル基であり、同一でも異なってもよい]と反応させ、
    式(I)のメチレンジホスホン酸誘導体を得ることを特
    徴とする請求項1記載のメチレンジホスホン酸誘導体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1または2記載のメタンジホスホ
    ン酸誘導体を有効成分とする抗炎症薬。
  5. 【請求項5】 請求項1または2記載のメタンジホスホ
    ン酸誘導体を有効成分とする抗リウマチ薬。
  6. 【請求項6】 請求項1または2記載のメタンジホスホ
    ン酸誘導体を有効成分とする骨代謝疾患薬。
  7. 【請求項7】 請求項1または2記載のメチレンジホス
    ホン酸誘導体を有効成分とするインターロイキンー1抑
    制薬。
  8. 【請求項8】 請求項1または2記載のメチレンジホス
    ホン酸誘導体を有効成分とする抗酸化薬。
  9. 【請求項9】 請求項1または2記載のメチレンジホス
    ホン酸誘導体を有効成分とする骨吸収抑制薬。
JP18386692A 1991-07-11 1992-07-10 メチレンジホスホン酸誘導体、その製造方法およびその医薬用途 Expired - Fee Related JP3341303B2 (ja)

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