JPH0519449B2 - - Google Patents

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JPH0519449B2
JPH0519449B2 JP1950985A JP1950985A JPH0519449B2 JP H0519449 B2 JPH0519449 B2 JP H0519449B2 JP 1950985 A JP1950985 A JP 1950985A JP 1950985 A JP1950985 A JP 1950985A JP H0519449 B2 JPH0519449 B2 JP H0519449B2
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JP
Japan
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film
stretching
temperature
heat
transverse
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JP1950985A
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Tsugio Okumura
Naomichi Yamagishi
Masayoshi Sugyama
Kenji Mori
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Mitsubishi Kasei Polytec Co
Original Assignee
Mitsubishi Kasei Polytec Co
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Publication date
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Description

【発明の詳細な説明】
「産業上の利用分野」 本発明は、二軸延伸ポリアミドフイルムの製造
方法に関するものである。更に詳しくは、まずロ
ール式縦延伸方式によつて縦方向に延伸し、つい
でテンタークリツプで保持して横方向に延伸して
二軸延伸ポリアミドフイルムを製造する方法の改
良に関し、ボーイング現象を抑制し、フイルムの
幅方向に均一な物理的性質をもち、充分に熱固定
されたフイルムを製造する方法に関するものであ
る。 「従来の技術」 二軸延伸されたポリアミドフイルムは、優れた
強靭性、耐熱性、耐寒性、透明性、印刷適性、耐
薬品性等に優れ、かつ、ピンホールが生じにくい
等の特徴を有するところから、食品その他の包装
用基材フイルムとして広く利用されている。例え
ば、食品包装袋とするためには、通常印刷、ラミ
ネート加工、製袋、食品充填、ヒートシールが行
なわれる。この場合、基材フイルムのボーイング
歪の有無が、印刷、ラミネート加工、製袋工程等
での生産速度、歩留り等に大きな影響をおよぼ
す。すなわち、基材フイルムにボーイング歪があ
ると、印刷、ラミネート加工、製袋工程で印刷ピ
ツチのづれや皺の発生や、蛇行等のトラブルが発
生し、良品が得られないし、生産速度を上げるこ
とができない。したがつて基材フイルムのボーイ
ング歪の改良に対する要請は、きわめて強い。 「ボーイング歪」はボーイング現象に起因す
る。ボーイング現象とは、例えば特開昭58−
55221号公報、特開昭58−147322号公報で説明さ
れているように、未延伸のフイルムに移送方向に
対して直角に直線を印しておいたとすると、二軸
方向への延伸を終了し、熱固定したあとには、直
線はフイルムの中央部で遅れて弓状に歪む現象で
ある。また、直線に代えて、多数の小円を描いて
おくと、熱固定したあとにはフイルム中央部では
直径が拡大された円のままであるが、フイルム幅
方向縁部では、傾斜した楕円になる現象である。 このような二軸延伸フイルム製造時に生起する
ボーイング現象の防止方法として、例えば特公昭
43−9919号公報、特公昭55−27847号公報に記載
の技術が提案されている。これら公報で提案され
ている技術は、同時二軸延伸法に適用される技術
であつて、本発明方法のような逐次二軸延伸法に
適用しても効果がない。 そのほかに、特開昭51−80372号公報、特開昭
57−57629号公報等に記載の技術も提案されてい
る。本発明者らは、これら技術を本発明方法に適
用する試験を行なつたが、ボーイング現象を改良
することはできなかつた。 本発明者らは、二軸延伸ポリアミドフイルムの
製造方法を完成した(例えば、特開昭59−
171626、特願昭59−301014等参照)が、この方法
に従つてフイルムを製造する場合には、フイルム
のボーイング現象は、フイルムを熱固定する工程
で発生することが分つた。 「発明が解決しようとした問題点」 本発明は、逐次二軸延伸法に従つて二軸延伸ポ
リアミドフイルムを熱固定する際に生ずるボーイ
ング現象を防止して、幅方向に均一な物理的性質
をもち、平坦性に優れたフイルムの製造方法を提
供することを目的とする。 「問題点を解決するための手段」 しかして本発明の要旨とするところは、実質的
に無定形で配向していないポリアミドフイルム
を、温度45〜65℃の範囲内で、ロール式縦延伸方
式によつて、変形速度を10000%/分以上で、2.7
〜3.5倍に縦方向に延伸し、ついでこのフイルム
の端部をテンタークリツプで保持し、フイルム温
度を100℃以下とし、平均変形速度を2000〜10000
%/分の範囲で、3〜5倍に横方向に延伸したの
ち、フイルム温度を経時的に、一般式 135×(1−10-0.17t)+70<θ< 97×(1−10-0.21t)+100 ただし、 θ=フイルム温度(℃)、 t=横方向への遠心終了後の経過時間(秒) を満足する条件で190℃まで昇温し、その後190〜
210℃の温度範囲で3秒間以上保持して熱固定す
ることを特徴とする、二軸延伸ポリアミドフイル
ムの製造方法に存する。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明においてポリアミドとは、ε−カプロラ
クタムの単独重合体(ホモポリマー)、ε−カプ
ロラクタムを主成分とし、2〜10モル%までのこ
れと共重合可能な他の化合物との共重合体(コポ
リマー)、およびこれらホモポリマー及び/又は
コポリマーに、これらと相溶性のある重合体を5
〜20重量%まで混合したものをいう。 ε−カプロラクタムと共重合可能な化合物とし
ては、脂肪族又は芳香族のジアミン類、脂肪族又
は芳香族のジアミン類と脂肪族又は芳香族のジカ
ルボン酸類との縮合物があげられる。ジアミン類
の具体例としては、エチレンジアミン、テトラメ
チレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキ
サメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、
デカメチレンジアミン、メタキシレンジアミン、
パラキシレンジアミン等があげられる。ジカルボ
ン酸類としては、アジピン酸、セバシン酸、コル
ク酸、グルタール酸、アゼライン酸、β−メチル
アジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、デカ
メチレンジカルボン酸、ドデカメチレンジカルボ
ン酸、ピメリン酸等があげられる。 前記ホモポリマー及び/又はコポリマーと相溶
性のある重合体としては、上記ジアミン類と上記
ジカルボン酸類との共重合体があげられる。 これらポリアミドには、滑剤、帯電防止剤、ブ
ロツキング防止剤、安定剤、染料、顔料、無機微
粒子等の各種樹脂添加剤を、フイルムの性質に悪
影響を与えない範囲で、添加することができる。 本発明方法によるときは、実質的に無定形なポ
リアミドフイルム(以下これを「未延伸フイル
ム」という。)を用いる。未延伸フイルムは、例
えばポリアミドを押出機で加熱溶融し、T−ダイ
からフイルム状に押出し、これをエアナイフキヤ
スト法、静電印加法、バキユウムチヤンバー法等
の公知のキヤステイング法で、40℃以下、さらに
好ましくは35℃以下で、結露温度以上に保たれた
キヤステイングロール上で、急冷して製造するこ
とができる。 本発明方法によるときは、未延伸フイルムを、
まずロール式縦延伸方式によつて、縦方向に延伸
(以下、単に「縦延伸」という。)する。ロール式
縦延伸方式による延伸とは、ロール式縦延伸機を
用いて縦延伸する方式をいう。本発明において
は、従来から知られているロール式高速縦延伸機
が使用できる。 未延伸フイルムを縦延伸するには、温度調節さ
れた予熱ロールによつて、先ず、未延伸フイルム
を45〜65℃に加熱温調するのがよい。 未延伸フイルムの温度が45℃より低いと、縦延
伸後のフイルムに縦延伸斑を生じ易く、65℃より
高いと、フイルムがロール表面上に粘着しやすく
なり、これまた縦延伸後のフイルムに縦延伸斑を
生じ易く、更には延伸された方向に方向性をもつ
た水素結合が生起し、次の横方向への延伸(以
下、単に「横延伸」という。)時に、フイルムに
横延伸斑や未延伸残部を生じたり、フイルムが裂
けたりし易くなるので、好ましくない。 縦延伸工程においては、変形速度を10000%/
分以上、延伸倍率を2.7〜3.5倍の範囲、なる延伸
条件を採用する必要がある。 ここで、変形速度とは、次の()式で表わさ
れる式によつて算出される値をいう。 VMD=(X−1)/L×(UL+UH)/2×100() [()式において、各々の記号は次の意味を有
する。 VMD:フイルムの縦変形速度(%/分) X:フイルムの延伸倍率(倍)で、UH/ULより
求まる。 L:縦方向延伸区間の長さ(m) UL:低速ロールの線速度(m/分) UH:高速ロールの線速度(m/分)] 変形速度(VMD)が10000%/分より低いと、
縦延伸は良好に行なわれたとしても、次の横延伸
時に、フイルムの横延伸斑を生じ易くなり、好ま
しくない。10000%/分より大であると、縦延伸
は良好に行なわれ、次の横延伸時に、フイルムに
横延伸斑が生じることがないので好ましい。変形
速度の上限は、使用する装置の構造、性能、延伸
開始時のフイルムの温度等によつて、種々選ぶこ
とができるが、中でも50000%/分以下とするの
がよい。 なお、延伸開始時のフイルム温度が低いとき
は、変形速度は上記範囲において小さくし、フイ
ルム温度が高いときは、上記範囲において、大き
くするのが好ましい。 フイルムの縦延伸倍率が2.7倍より小さいとき
は、最終的に得られるフイルムに、所望の配向効
果を賦与することができず、3.5倍より大きいと
きは、次の横延伸時に、横延伸斑や未延伸残部を
生じ易く、かつ、また裂け易くなるので好ましく
ない。フイルムの縦延伸倍率は、ロール式縦延伸
機における高速ロールと低速ロールの線速度を変
えることにより、種々変更することができる。 本発明方法によるときは、上記の条件で縦延伸
したフイルムを、直ちに45〜60℃の温度範囲に調
節し、次の()式で表わされる時間、すなわち t′=e(3.9-0.053T1) ……() [()式において、t′は縦方向への延伸終了後、
横方向への延伸を開始するまでの時間(秒)を意
味し、eは自然対数の底、T1はこの間のフイル
ムの温度(℃)であつて、45〜60℃の範囲から選
ばれる。] の時間内に、次の横延伸開始位置(テンターレー
ルが拡巾を開始する位置をいう。)まで移送する
のがよい。 縦延伸を終了したのちに、このフイルムを45〜
60℃の温度範囲に調節するのは、次の理由によ
る。すなわち、フイルムの温度が45℃より低い
と、次の横延伸工程で横延伸を行なう場合に温度
が低すぎて、フイルムが破れ易くなるので好まし
くなく、60℃より高いと、縦延伸終了後横延伸開
始位置までの移送時間が、極めて短かくなるの
で、縦延伸機と横延伸機との間隔を極端に短くし
たり、横延伸機のフイルム導入部(フイルムを噛
ませる部分)を著しく短かくしなければならず、
装置の設計や配置、または操作性の点で問題が生
じ、好ましくないからである。 延伸工程での変形速度が10000%/分以上であ
ると、延伸中に発熱をともない、フイルム温度は
若干(10〜20℃)上昇するので、フイルムを45〜
60℃の温度範囲に調節するには、フイルムを冷却
することが必要な場合も生ずる。 縦延伸を終了したフイルムは、これを次の横延
伸工程に移送するが、ポリアミドの場合は結晶化
速度が速いので、縦延伸後のフイルムは、経時的
に水素結合が強固となる。このため、縦延伸後の
フイルムを急冷し、横延伸機の予熱帯で再度延伸
可能温度まで加熱するという手法は採用し難く、
水素結合が強固になるのを抑制しつつ、かつ、横
延伸可能なできるだけ低い温度で、短時間に移送
するのが好ましい。 本発明者らの実験によれば、縦延伸を終了した
フイルムを、次の横延伸工程に移送する時間は、
前記()式で算出される時間以内とすることが
よいことが分つた。具体的には、縦延伸終了後に
温度調節されたフイルム温度が、45℃の場合には
t′は4.5秒以内、50℃の場合にはt′は3.5秒以内、60
℃の場合にはt′は2.1秒以内にする必要があること
が分つた。前記()式で算出される時間をこえ
る場合には、次の横延伸工程で延伸する際に、フ
イルムに横延伸斑が生じ易くなるか、またはフイ
ルムの巾方向の縁部に、未延伸残部を生じ易く、
好ましくない。本発明方法によるときは、縦延伸
されたフイルムを横延伸工程に移送し、横延伸開
始位置でのフイルム厚さプロフアイルを、巾方向
端部から巾方向中央部に沿つて滑らかに漸減さ
せ、かつ、フイルム巾方向中央部の厚さを、巾方
向端部(テンタークリツプ把持部)の厚さの75〜
90%の範囲とするのがよい。 横延伸開始位置でのフイルム厚さプロフアイル
を、上のようにするのは、テンタークリツプ近傍
でのネツク発生を抑制(フイルム破断を避けるた
め)し、フイルム巾方向中央部でのネツク延伸発
生位置をランダムにする(ネツク延伸発生位置を
固定しないで、延伸後のフイルムに特定の固定さ
れた厚さプロフアイルの発生を防止する)ためで
ある。 本発明方法によるときは、テンター式横延伸方
式により横延伸するときは、テンタークリツプ間
の機械的設定倍率が元の間隙の1.4倍以上に達す
る迄は、フイルム巾方向中心線に対して6度以内
の角度で拡巾し、この間のテンタークリツプの温
度(T2)を、T2<T1なる温度条件とするのが好
ましい。 横延伸開始直後の条件を上のようにするのは、
テンタークリツプ近傍でのネツク発生を抑制(フ
イルム破断を避けるため)し、フイルム巾方向中
央部でのネツク延伸発生位置をランダムにする
(ネツク延伸発生位置を固定しないで、フイルム
に特定の固定された厚さプロフアイルの発生を防
止する)ためである。 テンターによる横延伸を行なう際には、また、
横延伸開始位置からフイルム温度を段階的に昇温
し、横延伸終了位置では、フイルム温度が70〜
100℃、さらに好ましくは75〜90℃の範囲内に入
るような温度条件とする必要がある。 前記方法で縦延伸したフイルムは、延伸された
方向に方向性をもつた水素結合が、経時的に強固
になるので、極めて短時間に横延伸開始位置まで
移送し、横延伸を開始する。この際のフイルム温
度、すなわち45〜60℃は、フイルムを横延伸する
温度としては低すぎ、この温度で横延伸を行なう
と、テンタークリツプでのフイルム破断がおこり
やすく、安定した横延伸は困難である。 安定した横延伸を行なうため、さらには縦方向
の配向が比較的バランスしたフイルムを得るため
には、前記したとおり、横延伸工程に供するフイ
ルムの厚さプロフアイルを特定とし、かつ、横延
伸工程の初期の段階でのテンタークリツプの拡巾
角度を特定とすることにより、フイルム巾方向中
央部に発生するネツク延伸開始点をランダムにす
ることに加え、フイルムを段階的に昇温しつつ横
延伸する。フイルムを横延伸する際に急激に昇温
すると、フイルムのネツク延伸の始まつていない
部分、すなわちフイルムの未だ横延伸されていな
い部分は、強い熱をうける結果、縦延伸工程で生
じた方向性をもつた水素結合が強固となり、これ
を横延伸すると、横延伸斑や未延伸残部を生じた
り、さもなければ横延伸倍率を著しく大きくしな
ければならない。その結果として、縦方向と横方
向の配向が著しくバランスしないフイルムとなる
ので、好ましくない。 本発明者らの実験によれば、フイルムをテンタ
ーによつて横延伸を行なう際に、横延伸開始位置
からフイルム温度を段階的に昇温し、横延伸終了
位置では、フイルム温度が70〜100℃、さらに好
ましくは75〜90℃の範囲に入る温度条件とする
と、水素結合が強固とならないように抑制し、か
つ、ネツク延伸消失点を、横延伸工程の早い時期
におこさせることができ、配向バランスがよく、
また厚さ精度の良好なフイルムを、安定して製造
できることが判つた。 横延伸工程で、フイルムを段階的に昇温するに
は、フイルムの上面および/または下面に、フイ
ルム進行方向に対して直角の方向に、少なくとも
2区画以上の区画を設け、各区画内に、熱風を吹
きこむ方法、赤外線ヒーターを設置する方法、こ
れらを組み合せる方法等のいずれかによればよ
い。 横延伸終了位置でのフイルム温度は、70〜100
℃の温度範囲が好適であるが、フイルムの変形速
度および延伸倍率が高い場合は、フイルム温度は
上記範囲内で高めを選び、変形速度および延伸倍
率が低い場合はフイルム温度は上記範囲内で低め
を選ぶのが好ましい。 横延伸工程においては、平均変形速度を2000〜
10000%/分の範囲、延伸倍率を3〜5倍、さら
に好ましくは3.5〜4.5倍の範囲、なる延伸条件を
採用する必要がある。 ここで平均変形速度とは、次の()式で表わ
される式によつて算出される値をいう。 VTD=(Y−1)/LT×UT×100 ……() [()式において各々の記号は次の意味を有す
る。 VTD:フイルムの平均変形速度(%/分) Y:フイルムの機械的設定延伸倍率(倍)で、
y2/y1より求まる。y1は横延伸開始位置でのテ
ンター間の幅、y2は横延伸終了位置でのテンタ
ー間の幅を意味する。 UT:テンターの速度(m/分) LT:横延伸区間の長さ(m) 平均変形速度(VTD)が、2000%/分より低い
と、フイルムに横延伸斑が生じ易く、10000%/
分より大であると、フイルムに破断が生じ易く、
好ましくない。 フイルムの横延伸倍率が3倍より小さいとき
は、未延伸残部を生じ易く、5倍を超えるとき
は、横延伸フイルムの破断が生じ易く、好ましく
ない。 本発明方法によるときは、以上説明したように
逐次二軸延伸したフイルム温度(θ)を経時的
に、前記一般式を満足する条件で190℃まで昇温
し、その後190℃〜210℃の温度範囲で3秒間以上
保持して熱固定する。 本発明者らは、横延伸工程を終了したフイルム
につき、熱固定する条件とボーイング歪の大きさ
について実験したところ、横延伸工程を終了した
フイルムの温度(θ)を、経時的に、前記一般式
を満足する条件、すなわち、第1図で曲線A、曲
線Cで囲まれた領域内に沿つて190℃に昇温する
ときは、熱固定工程でのボーイング歪を著しく小
さくできることが判つた。 第1図において、曲線Aは、θ=135×(1−
10-0.17t)+70に由来する曲線であり、曲線Cは、
θ=97(1−10-0.21t)+100に由来する曲線であ
る。曲線Bはフイルム温度の好ましい昇温曲線で
あり、曲線D、曲線Eはそれぞれ好ましくない昇
温曲線の例である。 本発明者らの実験によれば、さらに、フイルム
を熱固定する温度は190℃〜210℃の範囲とし、熱
固定時間は3秒以上とするのがよいことが分つ
た。この温度が190℃より低いと、フイルムを充
分に熱固定するために時間がかかりすぎて好まし
くなく、210℃を超えると温度が高すぎ、フイル
ムが溶融寸前となり、白化失透しやすいので好ま
しくない。また、加熱時間が3秒に満たないとき
は、フイルムを充分に熱固定することができず、
品質の良好なフイルムが得られない。 上の条件でフイルムを熱固定する場合には、フ
イルム両端部を保持している保持具間の間隙を狭
め、3〜15%の範囲の弛緩を与えるのが好まし
い。 熱固定する際に、フイルムの温をの上の一般式
を満たすように昇温するには、フイルムの移送
(流れ)方向に沿つて、多数個の赤外線パネルヒ
ーターを設置して順次昇温する方法とか、フイル
ムの移送方向に対して直角方向に隔壁を設置して
多数個の区画を設け、熱風により順次昇温する方
法等によればよい。 「発明の効果」 本発明方法によるときは、逐次延伸方式で二軸
延伸したポリアミドフイルムを熱固定する際に生
ずるボーイング現象を抑制することができ、従つ
てフイルムの幅方向に均一な物理的性質をもち、
平坦性に優れ、充分に熱固定されたフイルムを容
易に製造することができる。 「実施例」 次に、本発明を実施例にもとづいて更に詳細に
説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、
以下の例に限定されるものではない。 実施例 1 相対粘度が3.5のポリ−ε−カプロアミド(三
菱化成工業(株)製、ノバミツド1020CA)を、
90mmφの押出機で、シリンダー温度260℃の条件
で混練し、T−ダイでフイルム状に押出し、35℃
に冷却された600mmφのキヤステイングロール上
で急冷し、厚さ約150ミクロン、幅約350mmの実質
的に無定形な(未延伸)フイルムを得た。 この未延伸フイルムの表面に、赤色のフエルト
ペンで、フイルムの移送方向に対して直角の方向
に直線を描いた。この未延伸フイルムを、150mm
φ、幅700mmの複数ロールで構成される縦延伸機
に、8m/分の移送速度で導き、50℃に加熱、調
節したのち、周速度の異なるロール間で、変形速
度14700%/分、延伸倍率3.1倍の条件として縦延
伸を行なつた。 縦延伸したフイルムを、縦延伸ゾーンに後続す
るロール群によつて直ちに45℃に温調し、この温
度に維持しながら、3.5秒間で、幅1.5m、長さ20
mの大きさのテンター式横延伸機の横延伸開始位
置まで移送した。 この位置に移送されたフイルムの厚さは、クリ
ツプ把持部で80ミクロン、フイルム巾方向中央部
で68ミクロンであり、中央部の厚さは、クリツプ
把持部の厚さに対し85%であつた。 テンター式横延伸機のテンタークリツプは、テ
ンターレールに鋳込み、埋設された水冷パイプに
冷却水を通せる構造とされており、横延伸部分
(ゾーン)は等間隔で3つに区画し、各区画には
赤外線ヒーターを配置し、各区画を独立に温度調
節可能な構造とした。 縦延伸したフイルムの両端を、40℃に冷却した
テンタークリツプで把持し、機械的設定倍率が
2.0倍の位置まで、テンターレールをフイルム巾
方向中心線に対して5度の角度で拡巾し、平均変
形速度3000%/分で、延伸倍率3.5倍まで横延伸
を行なつた。横延伸ゾーンにおけるフイルム温度
は、第1の区画では60℃、第2の区画では70℃、
第3の区画では80℃とした。 横延伸を終了したフイルムは、引き続き、熱固
定ゾーンに移送し、次の条件で熱固定した。 熱固定ゾーンはほぼ等間隔で8つに区画し、各
区画には赤外線ヒーターを配置し、各々を独立に
温度調節可能な構造とした。なお、各区画間には
隙間を設け、走査型赤外温度計でフイルム温度を
検知可能な構造とした。 フイルムが各区画を通過する時間は約1.4秒と
し、第1区画出口でのフイルム温度135℃、第2
区画出口で165℃、第3区画出口で180℃、第4区
画出口で190℃となる様に昇温した。この昇温パ
ターンは、第1図で曲線Bとして示される。引き
つづく第5区画〜第8区画で、フイルム温度を
198とした。第6区画〜第8区画の区間では、フ
イルム端部を保持しているクリツプのレール間隙
を5%狭めて、弛緩熱固定した。 熱固定工程終了後のフイルムは徐冷したのち、
テンタークリツプから解放し、フイルム両耳を切
り取らない状態でワインダーによつて巻き取つ
た。巻き取つたフイルム両耳を含めない部分の平
均厚さは、約15ミクロンであつた。 このようにして得られたフイルムについて、次
のようにしてボーイング歪の量を測定した。 未延伸フイルムの表面に描いた赤線は、最終的
に得られたフイルム上で、第2図に示したよう
に、若干弓形になつている。この弓形の状況を、
式 B=l/L×100 ここで、 B=ボーイング歪の量(%) L=テンタークリツプの間隙(mm) l=赤線の最大ふくらみ量(mm) こに従つてボーイング歪の量を算出した。結果
を、横延伸工程終了の温度条件とともに、第1表
に示す。 第2図において、1はフイルム、2はフイルム
の移送方向を示す矢印を示す。 この例で得られたフイルムのボーイング歪の量
は4.7%であり、実用上問題がないとされている
5%より小さかつた。 また、この例で得られたフイルムの幅方向、移
送(長さ)方向の屈折率をAbbe屈折計で測定し
た。これら測定値の平均は1.5433であり、充分に
結晶化しており、好ましく熱固定されていると判
断された。包装用基材フイルムとしての用途に
は、平均屈折立が1.542以上であると実用上の問
題がないとされている。 実施例 2〜3 実施例1で使用したと同種の未延伸フイルム
を、同例に記載したと同様の手順で二軸方向に延
伸した。 横延伸を終了したフイルムを、実施例1で用い
たと同じ加熱、熱固定装置を用いて、第1表に記
載した条件で加熱し、熱固定した。 得られたフイルムについて、実施例1に記載し
た方法に準拠し、ボーイング歪の量と屈折率とを
測定した。結果を、第1表に示す。 比較例 1〜3 実施例1で使用したと同種の未延伸フイルム
を、同例に記載したと同様の手順で二軸方向に延
伸した。 横延伸を終了したフイルムを、実施例1で用い
たと同じ加熱、熱固定装置を用いて、第1表に記
載した条件で加熱し、熱固定した。 得られたフイルムについて、実施例1に記載し
た方法に準拠し、ボーイング歪の量と屈折率とを
測定した。結果を、第1表に示す。
【表】 註 ※1 昇温パターンはそれぞれ、第1図に示
した曲線を意味する。
第1表より、次のことが明らかとなる。 (1) 本発明方法によつて得られた二軸延伸ポリア
ミドフイルムは、ボーイング歪の量が5%以下
であり、フイルムの幅方向に均一な物理的性質
をもつている。また、平均屈折率も充分に高く
充分に結晶化した状態で熱固定されている。 (2) 比較例によつて得られた二軸延伸ポリアミド
フイルムは、ボーイング歪の量が大きすぎたり
(比較例1、2)、熱固定が不足していたりし
て、実用する際に、問題が生じ易いものであ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明方法によるシートの加熱・熱
固定の際のフイルム温度の経時的変化を示す図で
あり、曲線Aと曲線Cとで囲まれた領域(斜線を
付した領域)内での昇温が好ましいことを示す。
第2図は、ボーイング歪の量の算出方式を示す図
であり、1はフイルム、2はフイルムの移送方
向、3は赤線、Lはテンタークリツプの間隙、l
=赤線の最大ふくらみ量を示す。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 実質的に無定形で配向していないポリアミド
    フイルムを、温度45〜65℃の範囲内で、ロール式
    縦延伸方式によつて、変形速度10000%/分以上
    で、2.7〜3.5倍に縦方向に延伸し、ついでこのフ
    イルムの端部をテンタークリツプで保持し、フイ
    ルム温度を100℃以下とし、平均変形速度2000〜
    10000%/分の範囲で、3〜5倍に横方向に延伸
    したのち、フイルム温度を経時的に、一般式 135×(1−10-0.17t)+70<θ< 97×(1−10-0.21t)+100 ただし、 θ=フイルム温度(℃)、 t=横方向への遠心終了後の経過時間(秒) を満足する条件で190℃まで昇温し、その後190〜
    210℃の温度範囲で3秒間以上保持して熱固定す
    ることを特徴とする二軸延伸ポリアミドフイルム
    の製造方法。
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JP2845324B2 (ja) * 1988-10-13 1999-01-13 株式会社興人 二軸延伸ポリアミド系フィルム及びその製造方法
JP5546349B2 (ja) * 2009-05-25 2014-07-09 ユニチカ株式会社 半芳香族ポリアミド延伸フィルムの製造方法およびその方法で製造された半芳香族ポリアミド延伸フィルム

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