JPH0519349A - 投射型表示装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スクリーンサイズに対応させるためのフォー
カス距離、集中角及び、シャインプルフ角の調整を容易
にできる投射型表示装置を提供すること。 【構成】 カプラーによって投射管に固定され投射管の
光軸方向に沿って伸長するフレームガイド筒体の中空部
において、投射管の光軸方向に沿って移動自在に嵌合さ
れかつ投射レンズの光軸を投射管の光軸に対し偏心させ
て投射レンズを保持する嵌合リング体を有し、嵌合リン
グ体とフレームガイド筒体との間に配置されかつ嵌合リ
ング体を投射管の光軸の回りにて自転自在としかつ嵌合
リング体が自転する場合嵌合リング体へ投射管の光軸方
向に沿って相対移動を生ぜしめ、投射レンズの主点を投
射管の光軸の周りにて螺旋運動させる移動手段を有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、投射レンズ及び曲率を
有する蛍光面を備えた投射管の光軸がスクリーンに対し
傾斜している光学系を有し、投射管の蛍光面に映し出さ
れた像を投射レンズでスクリーン上に投射する投射型表
示装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】投射型表示装置には、ＣＲＴ方式の背面
投射型とＣＲＴ方式又は液晶方式の前面投射型とがあ
る。背面投射型は、図４に示すように、投射管１による
光をミラー等を介して投射レンズ２で透過スクリーン３
の裏面から投射し映す方式であって、一つの筐体に収め
てあるので、リアプロジェクションテレビと呼ばれるよ
うに見掛けは通常の直視型テレビジョンとあまり変らな
い。前面投射型は、図５に示すように、投射管１による
光を投射レンズ２で反射スクリーン３の前面から映す方
式であって、映写機に近い。

【０００３】従来この種の投射型テレビジョンには、投
射管の数に応じて単管式や３管式のプロジェクションテ
レビ等がある。特に、３管式のプロジェクションテレビ
の光学系においては、図６の上方から眺めた平面図に示
すように、投射管１０Ｒ，１０Ｇ，１０Ｂの蛍光面の画
像から赤、緑及び青の３色の光線を投射レンズ２０Ｒ，
２０Ｇ，２０Ｂでそれぞれ集光して、スクリーン３上に
それぞれ一致させてカラー画像を映しだす。このとき、
中心の投射レンズ２０Ｇはその光軸がスクリーン３に対
して直角になるように配置されるので問題はないが、左
右の投射レンズ２０Ｒ，２０Ｂについてはそれらの各光
軸がスクリーン３に対して傾くように配置される。傾け
て設置された左右の赤、青の投射管１０Ｒ，１０Ｂ及び
投射レンズ２０Ｒ，２０Ｂの両光軸が一直線上に位置す
ると、その投射映像は台形となるばかりでなく、ピント
も光軸上だけでしか、合わないこととなる。

【０００４】投射レンズの光軸がスクリーンに対して傾
いていても、スクリーン３の全面でピントが合うように
するため、投射管１０Ｒ，１０Ｂの管面（画像面）は、
所謂シャインプルフの法則に従って、投射レンズ２０
Ｒ，２０Ｂの各レンズ面に対してそれぞれ角度θsだけ
傾斜させてある。シャインプルフの法則は、図７に示す
ように、この投射レンズ２０Ｂの主面と投射管１０Ｂの
管面との傾斜角度（以後シャインプルフ角という）θs
が、投射レンズ２０Ｂの倍率をｍ＝ｂ／ａ、該主面とス
クリーン３のなす角度を集中角θkとしたときに、次式
の関係となることをいう。

【０００５】（１／ｍ）ｔａｎθk＝ｔａｎθs 図８に示すように、かかるシャインプルフ角θsを保持
し投射管と投射レンズとを光学的に結合するために、
赤、緑及び青の３色の投射管及びと投射レンズの組につ
いて、カプラー３０が投射管１０と投射レンズ２０との
間にそれぞれ設けられている。カプラーには、投射レン
ズによる像面湾曲を補正するための像面補正用メニスカ
スレンズが内蔵されている。

【０００６】このようにして、３色の投射管１０Ｒ，１
０Ｇ，１０Ｂの画像光線は、投射レンズ２０Ｒ，２０
Ｇ，２０Ｂでそれぞれ収束され、スクリーン３上にピン
トが合わせられて、スクリーン３上にカラー画像が映し
だされる。図８に示すように、カプラー３０は投射管１
０の前面に結合されており、中央に空洞部を有するカプ
ラー枠３０ａの投射レンズ２０側の面にメニスカスレン
ズ３０ｂがパッキン３０ｃを介して取付けられ、投射管
１０側にパッキン３０ｄを介して投射管１０の管面１０
ａが密着して取付けられる構造になっている。

【０００７】また、メニスカスレンズ３０ｂと管面１０
ａとの間の空洞部には光学的カップリングと管面１０ａ
の冷却とを行うための液体若しくはゾルなどが充填され
る。そのため、実際には上記のシャインプルフの法則に
従って、投射レンズ２０の倍率をｍ、冷却液の屈折率を
ｎ、集中角をθkとした時に、 ｔａｎθs＝（ｎ／ｍ）ｔａｎθk なる式のシャインプルフ角θsだけ、投射レンズ２０の
光軸を投射管１０の光軸に対して傾けていた。

【０００８】図８に示すように、投射レンズ２０は中央
に空洞部を有する嵌合リング体２０ｂの中央に固定さ
れ、嵌合リング体２０が中央に空洞部を有するフレーム
ガイド円筒体２０ａの中央に移動自在に固定される。フ
レームガイド円筒体２０ａはメニスカスレンズ３０ｂと
投射レンズ２０との光軸が一致するように、嵌合リング
体２０ｂを保持する。このように、フレームガイド円筒
体２０ａは投射レンズ２０をカプラー枠３０ａに取付け
るための投射レンズ用の枠である。

【０００９】この３管式プロジェクションテレビ等の投
射型テレビにおいては、スクリーンサイズ（インチ数）
が変わると、投射距離の違いに応じて、左右両側の投射
レンズと中心の投射レンズとの各光軸のなす集中角θk
（レンズ面とスクリーンのなす角度θk）と、投射レン
ズの倍率ｍが変化するため、シャインプルフ角θsもス
クリーンサイズに応じて決まることになる。

【００１０】このため従来は、カプラー枠のメニスカス
レンズが取付けられる面に対する投射管の管面が密着さ
れる面の角度（シャインプルフ角θs）が、スクリーン
サイズ毎に異なるように、スクリーンサイズに応じた専
用のカプラー枠をそれぞれ個別に製造するようにしてい
た。しかしながら、カプラー枠は一般にアルミダイカス
ト鋳造等で製造されるため、プロジェクションテレビの
スクリーンサイズに合わせて鋳型を用意する必要があ
り、コスト面で問題があった。

【００１１】また、投射管を精度良くシャインプルフ角
θsにて傾ける必要があるため、投射管の取付けに関連
する部品の精度も要求されて、各スクリーンサイズ毎に
この精度を必要とし、その加工の治具等をスクリーンサ
イズに応じて共用することができない問題もあった。さ
らに、種々のスクリーンサイズに対応させるために、そ
のスクリーンサイズ毎に、フォーカス距離、集中角θ
k、シャインプルフ角θｓを調整する必要があるが、従
来は各調整のためにフレームガイド円筒体２０ａ及びカ
プラー枠３０ａ間にスペーサを用い、かつ別々に行わね
ばならない。この場合、かかる光学系の調整作業に分
解、組立てを要し、かつ段階的な可変であり厳密な調整
が不可能である。

【００１２】

【発明の目的】本発明の目的は、スクリーンサイズに対
応させるフォーカス距離、集中角及び、シャインプルフ
角の調整を容易にできる投射型表示装置を提供すること
にある。

【００１３】

【発明の構成】本発明の投射型表示装置は、曲率を有す
る蛍光面を備えた投射管と投射レンズとを有し、これら
の光軸がスクリーンに対し傾斜し、前記蛍光面に映し出
された像を前記投射レンズでスクリーン上に投射する投
射型表示装置であって、カプラーによって前記投射管に
固定され前記投射管の光軸方向に沿って伸長するフレー
ムガイド筒体と、前記フレームガイド筒体の中空部にお
いて前記投射管の光軸方向に沿って移動自在に嵌合され
かつ前記投射レンズの光軸を前記投射管の光軸に対し偏
心させて前記投射レンズを保持する嵌合リング体と、前
記嵌合リング体と前記フレームガイド筒体との間に配置
されかつ前記嵌合リング体を前記投射管の光軸の回りに
て自転自在としかつ前記嵌合リング体が自転する場合前
記嵌合リング体へ前記投射管の光軸方向に沿って相対移
動を生ぜしめ、前記投射レンズの主点を前記投射管の光
軸の周りにて螺旋運動させる移動手段とを有することを
特徴とする。

【００１４】

【発明の作用】本発明によれば、投射管の光軸と投射レ
ンズの光軸とが偏心されると共に、投射レンズが光軸方
向に沿って相対移動するよう作用するので、1つの調整
動作でスクリーン全面でのピント合わせを行うことが可
能になり、スクリーンサイズに対応したカプラーをスク
リーンサイズ毎に設計、製作する必要がなくなる。

【００１５】

【実施例】以下に本発明の実施例を図面を参照しつつ説
明する。図１に示す本実施例において、図８に示す部材
と同じ部材は同一符号で示す。本実施例においては、投
射管１０とカプラー３０との光軸が共軸となっている。
嵌合リング体２０ｂは、投射レンズ２０の光軸が投射管
１０の光軸に対し垂直方向に平行な方向に偏心量δだけ
偏心するように投射レンズ２０を保持している。フレー
ムガイド円筒体２０ａは、偏心した投射レンズ２０を保
持する嵌合リング体２０ｂを囲繞するように保持してい
る。

【００１６】さらに、本実施例においては、嵌合リング
体２０ｂの外側に凸部であるピン１００が設けられ、ピ
ン１００と係合するようにフレームガイド円筒体２０ａ
の内壁に螺旋状に伸長した凹部であるスリット１０１が
設けられている。また、逆に嵌合リング体２０ｂの外側
にスリットを設け、フレームガイド円筒体２０ａの内壁
にピンを設けてもよい。更にスリット及びピンの代わり
にフレームガイド円筒体２０ａ及び嵌合リング体２０ｂ
の間にねじ山を設けてもよい。これら摺動移動手段であ
るスリット及びピンあるいはねじ山をフレームガイド円
筒体２０ａ及び嵌合リング体２０ｂの間に配置すれば、
嵌合リング体２０ｂが自体の光軸回りにて回転自在とな
り、嵌合リング体２０ｂを回転させる場合、嵌合リング
体２０ｂにフレームガイド円筒体の光軸方向において相
対移動を生ぜしめるとともに、投射レンズ２０の主点を
投射管１０の光軸の周りにて螺旋運動させることができ
る。

【００１７】このカプラー３０の光軸は投射管１０の光
軸と同一直線上に位置し、投射レンズ２０の光軸は投射
管１０の光軸に対し、スクリーン入射角θkが大きくな
る方向へ偏心量δだけ偏心されている。例えば、３管方
式の場合、両脇の投射レンズは偏心量δだけ中心の投射
管から離れる側に偏心されている。本実施例では、シャ
インプルフ角θsに代えて、投射レンズ２０の光軸を次
の式に示す偏心量δだけ偏心させてある。

【００１８】δ＝Ｒｓｉｎθs 式中、θsはシャインプルフの法則に従って、投射レン
ズの倍率をｍ、冷却液の屈折率をｎ、スクリーン入射角
（集中角）をθkとした時に、上記した ｔａｎθs＝（ｎ／ｍ）ｔａｎθk を満たすシャインプルフ角であり、Ｒは投射管１０の蛍
光面の曲率である。

【００１９】ここで投射管１０は、蛍光面を有してい
る。すなわち、本実施例においては曲率を有する蛍光面
を備えた投射管が用いられる。スクリーンの画面上の輝
度は均一であることが望ましいからである。投射レンズ
の画角が大きくなるにつれ、スクリーンの周辺部は暗く
なり、プロジェクションテレビの小型化のための短焦点
光学系ではとくに不利である。よって、この点を蛍光面
の曲率を大きくし、蛍光面周辺部をレンズの瞳方向に傾
けることによって周辺光量を増している。

【００２０】かかる曲率を有する投射管を逆ＲＣＲＴと
呼ぶが、この逆ＲＣＲＴでは、シャインプルフ角θｓの
調整を図１ような偏心の調整に置き換えられるので、図
３に示すよう、投射型表示装置においてフレームガイド
円筒体２０ａ、投射レンズ２０、嵌合リング体２０ｂ及
び投射管１０並びに摺動移動手段１００，１０１を配置
して、図２に示す如く、投射レンズ２０の中心Ｐと嵌合
リング体の中心Ｑすなわち投射管１０の光軸をずらせる
ことにより、レンズ中心Ｐは、嵌合リング体の回転によ
ってフォーカス動作と同時にこの投射管１０の光軸回り
にて螺旋軌跡ＰＰ’を描くことになる。この螺旋軌道の
左右方向の成分が、各スクリーンサイズの所定の偏心と
一致するよう各部部材の寸法を定めれば、上で述べたフ
ォーカス距離及び偏心の調整が同時に行えることにな
る。

【００２１】従って、偏心量δだけ投射管１０の光軸
と、投射レンズの光軸を偏心させることは、シャインプ
ルフの法則に従って、投射管１０の光軸と投射レンズ２
０の光軸を傾けたのと同じ作用を奏することとなる。そ
のため、スクリーン上での台形歪（キーストン歪）、中
心以外でのピントのずれを防止できることとなる。さら
に、スクリーンサイズの異なるプロジェクションテレビ
であっても、メニスカスレンズが取付けられる面と投射
管の管面が密着される面とを平行にした、同じカプラー
枠を使用することができる。

【００２２】本実施例において３管式プロジェクション
テレビについて説明したが、投射レンズ及び投射管の光
軸がスクリーンに対し傾斜している単管式プロジェクシ
ョンテレビでも適用できる。

【００２３】

【発明の効果】以上のように、本発明の投射型表示装置
によれば、カプラーによって投射管に固定され投射管の
光軸方向に沿って伸長するフレームガイド円筒体と、フ
レームガイド円筒体の中空部において投射管の光軸方向
に沿って移動自在に嵌合されかつ投射レンズの光軸を投
射管の光軸に対し偏心量δだけ偏心させて投射レンズを
保持する嵌合リング体と、嵌合リング体とフレームガイ
ド円筒体との間に配置されかつ嵌合リング体を投射管の
光軸の回りにて自転自在としかつ嵌合リング体が自転す
る場合嵌合リング体へ投射管の光軸方向に沿って相対移
動を生ぜしめ、投射レンズの主点を投射管の光軸の周り
にて螺旋運動させる移動手段とを有するので、スペーサ
方式のシャインプルフ角θｓの調整することなく、偏心
量δとフォーカスの調整が同時にかつ手間をかけずに行
え、調整が連続動作となり、スペーサ方式より精度が高
くなる。従って、投射管の光軸と投射レンズの光軸は平
行となり、そのため投射レンズは投射管の取付け面に垂
直に取付ければよいことになる。

【００２４】更に、スクリーンの大きさが変わって、投
射レンズからスクリーンまでの距離が変わっても、メニ
スカスレンズが取付けられ、冷却液が収容されているカ
プラー枠を、投射管に対する偏心量を変化させるべくず
らせばよいことになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施例による投射型表示装置におけるカプラ
ー、フレームガイド円筒体、投射レンズ、嵌合リング体
及び摺動移動手段を説明する概略断面図である。

【図２】本実施例による投射型表示装置における光学系
の概略正面図である。

【図３】本実施例による投射型表示装置におけるフレー
ムガイド円筒体、投射レンズ、嵌合リング体及び投射管
並びに摺動移動手段を説明する概略分解斜視図である。

【図４】リアプロジェクションテレビの概略図である。

【図５】フロントプロジェクションテレビの概略図であ
る。

【図６】従来の３管式プロジェクションテレビの概略図
である。

【図７】シャインプルフ角を説明する概略図である。

【図８】従来の投射型表示装置におけるカプラー、フレ
ームガイド円筒体、投射レンズ及び嵌合リング体を説明
する概略断面図である。

【主要部分の符号の説明】

１０……投射管 １０ａ……蛍光面 ２０ａ……フレームガイド ２０……レンズ ２０ｂ……嵌合リング １００……ピン １０１……スリット

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 曲率を有する蛍光面を備えた投射管と投
   射レンズとを有し、これらの光軸がスクリーンに対し傾
   斜し、前記蛍光面に映し出された像を前記投射レンズで
   スクリーン上に投射する投射型表示装置であって、 カプラーによって前記投射管に固定され前記投射管の光
   軸方向に沿って伸長するフレームガイド筒体と、 前記フレームガイド筒体の中空部において前記投射管の
   光軸方向に沿って移動自在に嵌合されかつ前記投射レン
   ズの光軸を前記投射管の光軸に対し偏心させて前記投射
   レンズを保持する嵌合リング体と、 前記嵌合リング体と前記フレームガイド筒体との間に配
   置されかつ前記嵌合リング体を前記投射管の光軸の回り
   にて自転自在としかつ前記嵌合リング体が自転する場合
   前記嵌合リング体へ前記投射管の光軸方向に沿って相対
   移動を生ぜしめ、前記投射レンズの主点を前記投射管の
   光軸の周りにて螺旋運動させる移動手段とを有すること
   を特徴とする投射型表示装置。
2. 【請求項２】 前記移動手段は、前記嵌合リング体の外
   側に設けられた凸部又は凹部と、前記凸部又は凹部と係
   合しかつ前記フレームガイド筒体の内壁に形成され前記
   螺旋運動の方向に伸長した凹部又は凸部とからなること
   を特徴とする請求項１記載の投射型表示装置。
3. 【請求項３】 前記カプラーによって冷却液が前記投射
   管の管面上に保持されており、前記投射レンズの光軸及
   び前記投射管の光軸の間の偏心量は、次の式、 δ＝Ｒｓｉｎθs （式中、θsは前記投射レンズの倍率をｍ、前記冷却液
   の屈折率をｎ、スクリーン入射角をθkとした時に、ｔ
   ａｎθs＝（ｎ／ｍ）ｔａｎθkを満たす角であり、Ｒは
   前記投射管の蛍光面の曲率である）を満たすδだけ偏心
   させてあることを特徴とする請求項１記載の投射型表示
   装置。