JPH05190725A - 半導体装置用リードフレーム及び半導体装置 - Google Patents

半導体装置用リードフレーム及び半導体装置

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JPH05190725A
JPH05190725A JP247592A JP247592A JPH05190725A JP H05190725 A JPH05190725 A JP H05190725A JP 247592 A JP247592 A JP 247592A JP 247592 A JP247592 A JP 247592A JP H05190725 A JPH05190725 A JP H05190725A
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JP
Japan
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plating layer
lead frame
weight
alloy
semiconductor device
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Application number
JP247592A
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Shin Ishikawa
伸 石川
Masumitsu Soeda
益光 副田
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐酸化性、半田拡がり性及び曲げ加工性が優
れたリードフレーム及び信頼性が高い半導体装置を提供
することを目的とする。 【構成】 銅又は銅合金からなる下地の少なくとも半導
体素子接合部及びワイヤボンディング部上に 0.3乃至5
μmの厚さで形成されたNi−Fe−P合金めっき層を
有し、前記Ni−Fe−P合金めっき層はそのP/Fe
比が重量比で5.0以下であり、且つ、Fe含有量が1乃
至3重量%、P含有量が3乃至9重量%である。又は、
銅又は銅合金からなる下地と、この下地の少なくとも半
導体素子接合部及びワイヤボンディング部上に形成され
たNiめっき層と、このNiめっき層上に 0.2乃至0.5
μmの厚さで形成されたNi−Fe−P合金めっき層と
を有し、前記Ni−Fe−P合金めっき層はそのP/F
e比が重量比で 5.0以下であり、且つ、Fe含有量が1
乃至3重量%、P含有量が3乃至9重量%である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パワートランジスタ及
びパワーIC(集積回路)等に使用される銅又は銅合金
製の半導体装置用リードフレーム及びこのリードフレー
ムに半導体素子を搭載してなる半導体装置に関し、特に
半導体素子とリードフレームとの半田接合性及びリード
部の曲げ加工性が優れた半導体装置用リードフレーム及
び半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】パワートランジスタ及びパワーIC等の
半導体装置のリードフレームとして、その表面にNi又
はNi合金がめっきされた銅又は銅合金部材が使用され
ている。
【0003】半導体装置は、上述のリードフレームに半
導体素子を高温半田により半田接合(ダイボンディン
グ)する工程と、前記半導体素子に設けられた電極とリ
ードフレームのリード部とをアルミニウムワイヤ等のワ
イヤで配線(ワイヤボンディング)する工程と、前記半
導体素子を樹脂封止する工程と、前記リード部を予備半
田付けする工程とを順次経て製造される。そして、最終
的には、このようにして製造された半導体装置は所定の
プリント回路が形成された基板に実装され、半導体製品
が完成する。
【0004】半導体装置は極めて高い信頼性が要求され
る製品であり、特に半導体素子をリードフレーム上に接
合する半田ダイボンディング時の半田付け性及びリード
部の曲げ加工性が半導体装置の信頼性に大きな影響を与
える。即ち、半田ダイボンディング工程において、半田
の拡がり不良及びボイドが発生すると、電気抵抗が増加
する。また、半導体装置を基板に実装する際にリードの
曲げ修正が必須であることから、リードの曲げ加工性が
悪いと、実装時にリード部の折損が発生したり、長期間
に亘る信頼性を確保することができなくなる。
【0005】半田ダイボンディング方法としては、リー
ドフレーム表面のNiめっき層の半田接合面にフラック
スを塗布して大気中又は不活性ガス雰囲気中でダイボン
ディングする方法と、還元性ガス雰囲気又は不活性ガス
雰囲気中でフラックスを使用しないでダイボンディング
する方法とがあるが、半導体素子の汚染防止のため、後
者のフラックスを使用しないダイボンディング方法が主
流となっている。
【0006】このフラックスを使用しない半田ダイボン
ディング方法においては、従来より半田ダイボンディン
グ時のNiめっき層表面の酸化皮膜を除去する方法とし
て、水素ガス又は水素ガスを含む雰囲気ガス中でダイボ
ンディングする方法が採用されていたが、水素ガスの爆
発に対する危険性及びコストの点から、現在は不活性ガ
ス雰囲気中でダイボンディングする方法が一般的になっ
ている。
【0007】不活性ガス雰囲気中での半田ダイボンディ
ング方法を以下に説明する。
【0008】先ず、Niめっきが施されたリードフレー
ムを酸素濃度が 100乃至200ppmに管理されたN2 ガス雰
囲気中で 360乃至400 ℃の温度に加熱する。そして、こ
のリードフレーム上に、例えばPb(95重量%)−Sn
( 2.5重量%)−Ag( 2.5重量%)のようにPbを主
成分とする高温半田からなる半田ボール又は半田箔を置
き、次いで、この半田ボール又は半田箔上に半導体素子
を置いてスクラブ処理し、リードフレームと半導体素子
とを接合する。これにより、ダイボンディングが完了す
る。
【0009】この半田ダイボンディング方法においては
リードフレームのNiめっき層表面と半田中のSnとが
合金層を形成することにより、強固な接合を得ることが
できる。しかし、上述のようにSn含有量が少ない高温
半田を使用してリードフレームと半導体素子とを接合す
るためには、高度の技術が必要である。つまり、良好な
接合状態を得るためには、リードフレーム表面の酸化物
が少ないこと及び加熱時にリードフレームの酸化が進行
しないことが重要である。
【0010】なお、良好な半田接合が可能なNiめっき
層表面の酸化状態として、ESCA分析(X線電子分光
法)によるNioxide/Ni0 比が 0.7以下であればよいとさ
れている。
【0011】不活性ガス雰囲気中でのダイボンディング
方法においては、水素ガス雰囲気の場合と異なり、雰囲
気によりリードフレーム表面の酸化皮膜を除去すること
ができないため、めっき層に酸化皮膜を還元する作用を
有する成分が含有されていることが必要である。このた
め、一般的に、リードフレーム表面にはNi−P合金め
っき層が形成されている。Ni−P合金めっき層は、酸
素との親和力が極めて強いPを含むため、めっき層表面
の酸化皮膜を除去する性質を有している。Ni−P合金
めっきを施したリードフレームは、安定した半田ダイボ
ンディング性を得ることができるため、広く用いられて
いる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Ni−
P合金めっき層は、半導体組み立て時の加熱により皮膜
が硬化するという欠点を有している。これは、半田ダイ
ボンディング時に 360乃至400 ℃に加熱する際に、Ni
−P合金めっき層中にNi3 Pが析出することによるも
ので、Ni3 Pの析出反応は 300℃以上の温度から発生
し、特に半田ダイボンディング時の 360乃至400 ℃の温
度において急激に反応が促進され、皮膜硬さがMHk 800
乃至1000に達する。この結果、リード部の曲げ加工時に
著しいクラックが発生し、リードの折損及び電気的な導
通不良等の問題点を生じることがある。なお、繰り返し
曲げ回数として、一般的に4回以上の曲げ加工性が要求
されている。
【0013】曲げ加工性改善の対策として、下地にPを
含まないNiめっき層を形成し、その上にPを含むNi
めっき層を形成した2層めっきが提案されている(特公
昭60-33312号)。
【0014】この場合、下層の軟質のNiめっき層上
に、硬いNi−Pめっき層を薄く構成することにより、
めっき層の曲げ加工性を改善することができるが、下層
めっき層と上層めっき層との間でめっき層が剥がれやす
いという難点がある。
【0015】本願発明者等は、この原因を調査するため
に、めっき層の内部応力について調べた。その結果、N
iめっき層の内部応力が圧縮応力(-11.0 kg/mm2 ,3
μm)であるのに対し、Ni−P合金めっき層は引張応
力(+2.5kg/mm2 ,3 μm)であり、応力として相反す
る性質を有していることから、めっき中の層間剥離や、
リードフレーム形状にプレス加工する際の剪断面からの
剥がれ、さらには半導体組み立て工程におけるリード曲
げ加工時の剥がれ等を引き起こすことが判明した。従っ
て、層間剥離を防止するためには、下層のNiめっき層
の活性化処理又は酸化皮膜を除去する工程が必要となる
等の実用上困難な課題があり、実用化が遅れている原因
となっている。また、従来の半導体装置は、上述のリー
ドフレームを使用して形成されているため、製造歩留り
及び製品の信頼性が満足できるものではない。このた
め、Ni−Pめっき層が設けられたリードフレームと同
等以上のダイボンディング性を有すると共に、曲げ加工
性が優れたリードフレームが要望されている。
【0016】なお、リードフレームに関して、以下に示
すように種々の提案がなされている。これらは、いずれ
もめっき層中にFeを含有するものである。 (1)JOURNAL OF THE ELECTROCHEMICAL SOCIETY(Janu
ary 1964) (2)金属表面技術協会第78回講演大会予稿集 (3)特開昭61-42941号 (4)特開平1-245551号
【0017】(1)は、Ni−Fe−P合金めっきの10
00乃至3200Åの薄膜における磁性特性について検討した
ものであり、上述の問題点を解消するものではない。
【0018】(2)は、Fe含有量が 0.5乃至40重量
%、P含有量が 2乃至8 重量%のNi−Fe−P合金め
っき層を形成し、その結晶構造及び耐食性等について検
討したものであり、目的が異なると共に、この提案のみ
では上述の問題点を解消することができない。
【0019】(3)は、半導体素子搭載部のリードフレ
ーム表面に、P、B、Fe及びCoからなる群から選択
された少なくとも1種以上の元素を含有するNi層を設
け、その上に銅又は銅合金層及び銀層を順次設けた半導
体用リードフレームに係る提案である。この提案は銀め
っき層の密着性及び外部リードの半田の密着性を改善す
るためになされたものであり、上述の問題点を解消する
ものではない。
【0020】(4)は、Feを含有するNi合金めっき
に関する提案であるが、この提案のNi−Fe−P合金
めっき層の構成のみでは前述の問題点を解消することが
できない。
【0021】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、ダイボンディング性が優れていると共に曲
げ加工性が優れており、製品の信頼性を向上できる半導
体装置用リードフレーム及び半導体装置を提供すること
を目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本願の第1発明に係る半
導体装置用リードフレームは、その表面上に半導体素子
が搭載され、この半導体素子に設けられた電極とワイヤ
を介して電気的に接続される半導体装置に使用されるリ
ードフレームにおいて、銅又は銅合金からなる下地部材
と、この下地部材の少なくとも半導体素子接合部及びワ
イヤボンディング部上に 0.3乃至5 μmの厚さで形成さ
れたNi−Fe−P合金めっき層とを有し、前記Ni−
Fe−P合金めっき層はそのP/Fe比が重量比で 5.0
以下であり、且つ、Fe含有量が1乃至3重量%、P含
有量が3乃至9重量%であることを特徴とする。
【0023】本願の第2発明に係る半導体装置用リード
フレームは、その表面上に半導体素子が搭載され、この
半導体素子に設けられた電極とワイヤを介して電気的に
接続される半導体装置に使用されるリードフレームにお
いて、銅又は銅合金からなる下地部材と、この下地部材
の少なくとも半導体素子接合部及びワイヤボンディング
部上に形成されたNiめっき層と、このNiめっき層上
に 0.2乃至0.5 μmの厚さで形成されたNi−Fe−P
合金めっき層とを有し、前記Ni−Fe−P合金めっき
層はそのP/Fe比が重量比で 5.0以下であり、且つ、
Fe含有量が1乃至3重量%、P含有量が3乃至9重量
%であることを特徴とする。
【0024】本願の第3発明に係る半導体装置は、銅又
は銅合金からなる下地部材の少なくとも半導体素子接合
部及びワイヤボンディング部上に 0.3乃至5 μmの厚さ
でNi−Fe−P合金めっき層が設けられたリードフレ
ームと、このリードフレーム上に搭載された半導体素子
とを有し、前記Ni−Fe−P合金めっき層はそのP/
Fe比が重量比で 5.0以下であり、且つ、Fe含有量が
1乃至3重量%、P含有量が3乃至9重量%であること
を特徴とする。
【0025】本願の第4発明に係る半導体装置は、銅又
は銅合金からなる下地の少なくとも半導体素子接合部及
びワイヤボンディング部上に、Niめっき層及び 0.2乃
至0.5 μmの厚さのNi−Fe−Pめっき層が積層され
たリードフレームと、このリードフレーム上に搭載され
た半導体素子とを有し、前記Ni−Fe−Pめっき層は
そのP/Fe比が重量比で 5.0以下であり、且つ、Fe
含有量が1乃至3重量%、P含有量が3乃至9重量%で
あることを特徴とする。
【0026】
【作用】本願発明者等は、ダイボンディング性及び曲げ
加工性が共に優れたリードフレームを得るべく、種々実
験研究を行なった。即ち、先ず、本願発明者等は、Ni
−P合金めっきが半田ダイボンディング性に優れるメカ
ニズムに着目し、Pと同様に酸素との親和力が強い元素
を含むNi合金めっきについて研究を進めた。酸素との
親和力が強いB,Cu,Zn及びFe等の元素について
Ni合金めっきを検討した結果、いずれも僅かながら効
果が認められたが、量産化を前提とした場合に、めっき
液の管理が難しく、実用的でないとの結論を得た。次
に、本願発明者等は、Ni−Pに添加元素を添加するこ
とにより曲げ加工性を改善できないか詳細に検討した。
その結果、Ni−Fe−P合金めっき層を適正な層厚で
形成することにより、良好な結果を得ることができた。
また、このNi−Fe−P合金めっき層上に酸化防止皮
膜を形成することにより、経時的な特性の変化を抑制で
きて、信頼性をより一層向上できるとの知見を得た。
【0027】そして、本願発明者等は、最適なめっきの
構成を鋭意研究し、Ni−Fe−P合金めっき層中のF
e及びP含有量を適正範囲にすること及び一層の信頼性
の改善を図るために酸化防止皮膜を形成することによ
り、半田接合性及び曲げ加工性の両特性を満足できると
の知見を得た。また、Niめっき層とNi−Fe−P合
金めっき層との2層構造とすることにより、曲げ加工性
をより一層改善することができることも判明した。即
ち、従来のNi−P合金めっき層の内部応力が引張応力
であるのに対し、Ni−Fe−P合金めっき層の内部応
力は圧縮応力(-2.2乃至-7.1kg/mm2 ,3μm)であり、
下層のNiめっき層と略等しい応力特性を有することか
ら、下層めっき層の活性化及び酸化物の除去等の煩雑な
処理を必要としないで密着性の優れた実用的な2層めっ
き構造を得ることができる。
【0028】次に、成分の添加理由について説明する。
【0029】P(りん) Pは、酸素との親和力が強いため、半田接合時にPが優
先的に酸化され、その結果として半田接合時のNi表面
の酸化物を除去する効果を有する。
【0030】Fe(鉄) Feの詳細な作用については現時点では明確ではないも
のの、Ni−Pめっきの加熱による硬化の原因であるN
3 Pの析出状況に差があるものと考え、Ni− 6%P
めっきとNi− 1.5%Fe− 6%Pめっきとについて半
田ダイボンディングを想定した加熱(N2 雰囲気中、 3
50乃至40℃、5分間加熱)後のNi3 Pの析出状況をX
線回析にて確認した。その結果、Ni− 1.5%Fe− 6
%Pめっきは、Ni− 6%Pめっきに比してNi3 Pの
回折ピーク強度{Ni(111)ピークに対する強度
比}が低いことが認められた。このことから、Feは、
加熱硬化の原因であるNi3 Pの析出を抑制する作用を
有するものと推定される。
【0031】なお、Feは酸化しやすい性質を有してお
り、めっき後比較的短時間で使用する場合には実用上差
支えないが、長期の保管においては、酸化が促進され、
Niめっき表面の酸化物濃度が増加するという問題点が
ある。このため、めっき層上には酸化防止皮膜を被着す
ることが好ましい。
【0032】次に、数値の限定理由について説明する。
【0033】下地部材上に直接Ni−Fe−P合金めっ
き層を形成する場合は、Ni−Fe−P合金めっき層の
層厚は 0.3乃至5 μmとする。Ni−Fe−P合金めっ
き層の場合、層厚 0.3μmが素地の拡散を防止するため
に必要な均一なめっき層を形成できる下限であると共
に、安定した半田接合性が得られる下限である。一方、
十分な曲げ加工性を得るためには、Ni−Fe−P合金
めっき層の層厚は 5μm以下であることが必要である。
従って、下地部材上に直接Ni−Fe−P合金めっき層
を形成する場合は、その層厚を 0.3乃至5 μmとする。
【0034】下地部材上にNiめっき層を形成し、この
Niめっき層上にNi−Fe−P合金めっき層を形成す
る場合は、Ni−Fe−P合金めっき層の層厚を 0.2乃
至0.5 μmとする。Ni−Fe−P合金めっき層の層厚
が 0.2μm未満では酸化物を除去する作用が得られな
い。一方、Ni−Fe−P合金めっき層の層厚が 0.5μ
mを超えると、曲げ加工性が低下する。従って、下地部
材上にNiめっき層を形成し、このNiめっき層上にN
i−Fe−P合金めっき層を形成する場合は、Ni−F
e−P合金めっき層の層厚を 0.2乃至0.5 μmとするこ
とが必要である。
【0035】また、Ni−Fe−P合金めっき層におい
て、P/Fe比が重量比で 5.0を超える場合、Fe含有
量が1重量%未満の場合又はP含有量が9重量%を超え
る場合は、曲げ加工性が低下する。一方、P含有量が3
重量%未満の場合又はFe含有量が3重量%を超える場
合は、半田接合性が低下する。従って、Ni−Fe−P
合金めっき層において、P/Fe比が重量比で 5.0以下
であり、且つ、Fe含有量が1乃至3重量%、P含有量
が3乃至9重量%であることが必要である。
【0036】酸化防止皮膜については、特にその成分等
を規制しないが、リードフレーム形状に成形した後の有
機溶剤による洗浄又は半田ダイボンディング時の加熱
(例えば、 300℃、1分間以上)で除去できることが必
要である。また、この酸化防止皮膜の層厚は数Å程度以
上あればよい。
【0037】
【実施例】次に、本発明の実施例について比較例と比較
して説明する。
【0038】先ず、銅合金製リードフレーム素材(ヒー
トシンク部の板厚が 2.0mm、リード部の板厚が 0.6mm)
を使用して、アルカリ脱脂、電解脱脂及び酸洗処理を順
次行なった後、下記表1,2に示す組成のめっき浴を用
いて前記リードフレーム素材上にNi−Fe−P合金め
っき層又はNi−P合金めっき層を直接形成し、その
後、純水洗浄を行なって供試材とした。次に、特定の供
試材については、めっき層上に酸化防止皮膜を形成し
た。
【0039】次に、各供試材のめっき層中のNi、Fe
及びP含有量を分析した。その結果を下記表3に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】次に、実施例、比較例及び従来例の各供試
材について、下記に示す酸化試験条件で加熱した後、N
iの酸化状態を調べ、ESCAのNi2PスペクトルのNi
oxide/Ni0 比により酸化状態を評価した。また、下記に
示す半田濡れ試験条件及び繰り返し曲げ試験条件で半田
拡がり性及び曲げ加工性を調べた。
【0044】酸化試験条件2 雰囲気中(酸素濃度100ppm)で温度が 380℃に維持
されたホットプレート上に各供試材を載置して1分間加
熱し、前記N2 雰囲気中で冷却した後、ESCA分析を
行なった。なお、各供試材は2種類づつ用意し、一方は
めっき後の耐酸化性を調べるのに使用し、他方は長期間
保管した後の状態を想定して、恒温恒湿試験(40℃,85
%RH、1時間)後の状態で耐酸化性を調べるのに使用
した。
【0045】半田濡れ性試験条件 各供試材をN2 ガス雰囲気中(酸素濃度100ppm)で 380
℃に加熱されたヒータブロック上に置き、10秒後(試験
片が 380℃に昇温)に半田ボール(Pb含有量が92.5重
量%、Sn含有量が 5重量%、Ag含有量が 2.5重量
%、直径が 1.6mm)を各供試材上に置いた。そして、10
秒間放置した後、ヒータブロックから各供試材を取って
冷却した。その後、半田の面積を画像解析装置にて測定
した。
【0046】繰り返し曲げ試験条件 リードフレームのリード部(板厚 0.6mm、幅 1.0mm)に
450gの荷重を加え、90°往復曲げを行ない、リードが
破断するまでの繰り返し曲げ回数を測定した。
【0047】これらの試験結果を下記表4に示す。但
し、耐酸化性は、めっき後及び経時試験(40℃、85%R
H、1時間)後の試験材をN2 (O2 100ppm)雰囲気中
で 380℃の温度で1分間加熱した後、ESCA分析によ
りNi2PスペクトルのNioxide/Ni0 強度比を測定した。
また、半田拡がり性は、半田ボールの拡がった面積を測
定した。更に、曲げ加工性は、実施例、比較例及び従来
例の各供試材として各5本のリードを用意し、リードが
破断するまでの繰り返し曲げ回数を測定して、その平均
値を示した。
【0048】
【表4】
【0049】この表4から明らかなように、Feを含有
しないNi−P合金めっき層を設けた従来例1,2は、
曲げ加工試験の繰り返し曲げ回数が少ない。また、経時
試験後の耐酸化性(Nioxide/Ni0 )が半田接合可能なNi
oxide/Ni0 0.7 以上であり、半田拡がり性もやや劣る。
【0050】本発明の請求範囲から外れる組成のNi−
Fe−P合金めっき層が設けられた比較例1〜4は、曲
げ加工性が従来例に比して若干改善されているものの、
実用限界の4回以下である。また、酸化防止皮膜が形成
されていないため、経時試験後の耐酸化性及び半田拡が
り性が劣る。
【0051】一方、実施例10〜12は酸化防止皮膜を
形成しない実施例であり、耐酸化性が経時変化の影響を
受けるが、曲げ加工性は従来材より優れている。また、
実施例1〜9は酸化防止皮膜を形成した実施例であり、
恒温恒湿試験後における耐酸化性も、Nioxide/Ni0
0.7以下であり、半田拡がり性及び曲げ加工性(4回以
上)のいずれも優れている。
【0052】次に、2層めっきした実施例、比較例及び
従来例について説明する。
【0053】先ず、銅合金製リードフレーム素材(ヒー
トシンク部の板厚が 2.0mm、リード部の板厚が 0.6mm)
を使用して、アルカリ脱脂、電解脱脂及び酸洗処理を順
次行なった後、下記表5に示すめっき浴を用いて、下記
表6に示す層厚でNiめっき層を形成した。次に、この
Niめっき層上に、前記表1に示しためっき浴を用い
て、Ni−Fe−P合金めっき層を表6に併せて示す層
厚で形成し、実施例、比較例及び従来例の各供試材とし
た。
【0054】
【表5】
【0055】
【表6】
【0056】これらの各供試材について、前述した酸化
試験条件、半田濡れ性試験条件及び繰り返し曲げ試験条
件で、耐酸化性、半田拡がり性及び曲げ加工性を調べ
た。また、以下に示す方法により、めっき層の密着性を
調べた。
【0057】めっき層の密着性 20本のリード部について、N2 雰囲気中で 380℃、1
分間の加熱後、0.5 R、90°曲げ戻し加工を行ない、め
っき層の剥がれの有無を実態顕微鏡(倍率10倍)で観察
した。
【0058】これらの結果を下記表7に示す。但し、耐
酸化性、半田拡がり性、曲げ加工性は、前記表4の場合
と同様にして調べた。また、めっき層の密着性は、20
本のリード部のめっきの剥がれた本数で判定した。そし
て、めっきが剥がれたものがない場合を○、めっきが剥
がれた本数が5本以下の場合を△、6本以上の場合を×
で示した。
【0059】
【表7】
【0060】この表7から明らかなように、上層のめっ
き層がNi−P合金である従来例3〜5は、半田拡がり
性が良好であるものの、経時後の耐酸化性が劣ると共
に、曲げ加工性が4.25〜5.0 回であり、後述するの実施
例13〜18に比して劣る。更に、めっきの密着性も十
分であるとはいえない。
【0061】比較例5〜7は、半田拡がり性が良好であ
るものの、経時後の耐酸化性及び曲げ加工性が満足でき
るものではない。
【0062】一方、酸化防止皮膜を形成していない実施
例16〜18は、曲げ加工性が優れている。しかし、耐
酸化性においては、経時変化の影響を若干受ける。ま
た、酸化防止皮膜を形成した実施例13〜15は、半田
拡がり性及び曲げ加工性が優れていると共に、耐酸化性
においても経時変化がない。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る半導体
装置用リードフレームは、所定の組成のNi−Fe−P
合金めっき層が所定の層厚で形成されているから、耐酸
化性、半田拡がり性及び曲げ加工性が優れている。
【0064】また、本発明に係る半導体装置は、上述の
リードフレームを用いて製造されているからリードフレ
ームを含めたコスト低減が可能であると共に、半導体装
置の長期間に亘る信頼性を確保することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その表面上に半導体素子が搭載され、こ
    の半導体素子に設けられた電極とワイヤを介して電気的
    に接続される半導体装置に使用されるリードフレームに
    おいて、銅又は銅合金からなる下地部材と、この下地部
    材の少なくとも半導体素子接合部及びワイヤボンディン
    グ部上に 0.3乃至5 μmの厚さで形成されたNi−Fe
    −P合金めっき層とを有し、前記Ni−Fe−P合金め
    っき層はそのP/Fe比が重量比で 5.0以下であり、且
    つ、Fe含有量が1乃至3重量%、P含有量が3乃至9
    重量%であることを特徴とする半導体装置用リードフレ
    ーム。
  2. 【請求項2】 前記Ni−Fe−P合金めっき層上に、
    加熱又は有機溶剤での洗浄により除去可能の酸化防止皮
    膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の
    半導体装置用リードフレーム。
  3. 【請求項3】 その表面上に半導体素子が搭載され、こ
    の半導体素子に設けられた電極とワイヤを介して電気的
    に接続される半導体装置に使用されるリードフレームに
    おいて、銅又は銅合金からなる下地部材と、この下地部
    材の少なくとも半導体素子接合部及びワイヤボンディン
    グ部上に形成されたNiめっき層と、このNiめっき層
    上に 0.2乃至0.5 μmの厚さで形成されたNi−Fe−
    P合金めっき層とを有し、前記Ni−Fe−P合金めっ
    き層はそのP/Fe比が重量比で 5.0以下であり、且
    つ、Fe含有量が1乃至3重量%、P含有量が3乃至9
    重量%であることを特徴とする半導体装置用リードフレ
    ーム。
  4. 【請求項4】 前記Ni−Fe−P合金めっき層上に、
    加熱又は有機溶剤での洗浄により除去可能の酸化防止皮
    膜が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の
    半導体装置用リードフレーム。
  5. 【請求項5】 銅又は銅合金からなる下地部材の少なく
    とも半導体素子接合部及びワイヤボンディング部上に
    0.3乃至5 μmの厚さでNi−Fe−P合金めっき層が
    設けられたリードフレームと、このリードフレーム上に
    搭載された半導体素子とを有し、前記Ni−Fe−P合
    金めっき層はそのP/Fe比が重量比で5.0以下であ
    り、且つ、Fe含有量が1乃至3重量%、P含有量が3
    乃至9重量%であることを特徴とする半導体装置。
  6. 【請求項6】 銅又は銅合金からなる下地の少なくとも
    半導体素子接合部及びワイヤボンディング部上に、Ni
    めっき層及び 0.2乃至0.5 μmの厚さのNi−Fe−P
    めっき層が積層されたリードフレームと、このリードフ
    レーム上に搭載された半導体素子とを有し、前記Ni−
    Fe−Pめっき層はそのP/Fe比が重量比で 5.0以下
    であり、且つ、Fe含有量が1乃至3重量%、P含有量
    が3乃至9重量%であることを特徴とする半導体装置。
JP247592A 1992-01-09 1992-01-09 半導体装置用リードフレーム及び半導体装置 Pending JPH05190725A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6824668B2 (en) 2002-03-25 2004-11-30 Korea Atomic Energy Research Institute Method for electroplating Ni-Fe-P alloys using sulfamate solution
JP2016122799A (ja) * 2014-12-25 2016-07-07 ローム株式会社 半導体装置

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