JPH0518901B2 - - Google Patents

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JPH0518901B2
JPH0518901B2 JP62227961A JP22796187A JPH0518901B2 JP H0518901 B2 JPH0518901 B2 JP H0518901B2 JP 62227961 A JP62227961 A JP 62227961A JP 22796187 A JP22796187 A JP 22796187A JP H0518901 B2 JPH0518901 B2 JP H0518901B2
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magnetic field
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amorphous
thin plate
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Osamu Kawamoto
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TDK Corp
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【発明の詳細な説明】
本発明は非晶質磁性合金の製造方法に関する。
更に詳しくは、高透磁率を有し、又磁気損失が少
ない非晶質磁性合金の薄板または薄膜の製造方法
に関する。 従来、結晶構造を有する高透磁率磁性合金材料
として、Fe−Si合金、Fe−Ni合金、Fe−Al合
金、Fe−Si−Al合金等が知られており。それぞ
れの特性に応じて多くの分野で使用されている。 しかし、これらの結晶質磁性合金も、なお、特
性上のそして使用上の欠点を持つている。 このうち、Fe−Si−Al系合金であるセンダス
トは、Si約10%を含有する透磁率の大きい合金で
あるが、塑性加工ができないという欠点を持つて
いる。そこで、その用途は、高い硬度が活かされ
る特殊な用途、例えばVTR用磁気ヘツド素子等
に限つて、特殊の加工を施した上で使用されてい
るにすぎない。又透磁率の周波数特性を満足でき
るものではない。 又、パーマロイ系の合金は、種々の弱電関係の
鉄芯として使用されているが、その製造方法が、
非常に多数の工程を経なければならず、高価でる
という欠点を持つている。又その飽和磁束密度も
小さく、その用途を限られたものとしている。こ
のような実情から、すぐれた特性を有ししかも使
用上の欠点のない磁性合金材料の開発が望まれて
いる。その中で、非晶質磁性合金が最近大きな注
目を集め、活発な研究が行われてきている。金属
は、通常、固体状態においては原子が規則配列状
態をとる結晶として存在しているものであるが、
ある種の合金融液を、例えば104〜105℃/secと
いう大きな速度で冷却凝固させた場合、固体状態
でも溶融状態に類似した原子配列をもつ非晶質の
合金が得られる。この非晶質合金、X線回折や電
子線回折によつても、結晶構造を示すような回折
線は得られず、結晶質とは構造的に異なる長範囲
規則性を持たない原子配列を有するものである。
このような非晶質合金からなる磁性材料は、通常
の結晶質とは異なり結晶磁気異方性を有さず、特
に遷移金属−半金属非晶質合金においては、保磁
力(Hc)が小さく、すぐれた軟磁性が期待され、
しかも電気抵抗が大きく、硬度が高く、薄板加工
等の加工性が良好で、製造方法も容易かつ安価で
ある等の、種々の軟磁性材料としてのすぐれた特
性と使用上の有利さをあわせ持つものである。 従来、このような非晶質合金としては遷移金属
成分としてFe,Co,Niを含み、これにSi,B,
C,P等の半金属成分を含むものが知られてい
る。これらはその組成に応じた特性を有し、その
特性に応じた用途が考えられ、一部実用化されて
いる。この内、遷移金属としてFeを主成分とす
るFe系は、磁歪は大きいが飽和磁束密度(Bs)
が大きく、又コストが安いという点から、トラン
ス材としての用途に適している。遷移金属として
Coを主成分とするCo系は、Fe系よりもBsは低
く、コストが高いが、磁歪零の組成が得られるの
で、磁気ヘツド用材料に適している。Niをある
量以上含むNi系は、Fe,CoをNiがある程度置換
しているので、透磁率は前2者よりも大きいが、
Bsが前2者と比べて低く、実用用途はあまり期
待されていない。 このように、非晶質磁性合金としては、種々の
組成のものが知られているが、その透磁率および
磁気損失ともに結晶質磁性合金を大きくは凌鴛す
るものが出現していないのが実情である。このた
め、これらの組成の磁性合金を非晶質化した後、
何らかの処理を施し、特にその透磁率を高め、磁
気損失を少なくすることができれば、磁気ヘツド
用材料、トランス材等としてより好ましいものと
なりそのような技術の開発が期待されている。 従来行われてきたこのような技術の一つとして
は、熱処理を挙げることができる。この熱処理
は、液相からの超急冷により非晶質の薄板を得た
後、この薄板に施すものであり、熱処理として
は、無磁場中で、合金のキユリー点(Tc)以上、
結晶化温度(Tcry)以下の温度に加熱保持した
後冷却し、これにより、超急冷による薄板製造の
際の内部歪を除去するとともに、透磁率を高める
ものである。 この熱処理が可能であるのは、Tc<Tcryの合
金についてであるが、このような合金ではTcが
大となると大きな透磁率を得るためには、熱処理
後急冷したり、複雑な冷却温度コントロールを行
つたりしなければならない。また、このような熱
処理によれば、Tc<Tcryの合金では確かに透磁
率は向上するものであるが、冷却時に内部歪が生
起し、このため特に初透磁率は、従来の結晶質合
金と比較して、格段すぐれた値が得られるわけで
はない。従つて、このような熱処理技術は有効で
はない。 これに対し、超急冷法によつて得られた薄板
を、磁場中で熱処理する技術が、特開昭51−
73923号公報、同52−114421号公報等に開示され
ている。特に特開昭52−114421号公報において
は、この磁場中の熱処理により最大透磁率μmが
格段と向上する旨が記載されている。この場合、
熱処理温度は結晶化温度以下であり、しかも用い
る磁場の強さは5000e以下で十分であるとされて
おり、更に磁界印加についての具体的方法につい
ては言及されていないが、磁界が「磁区図形を容
易軸方向に整列させる」と記載(同公報第6頁左
上欄)されていることから、磁界は一定方向のみ
から印加されていると推量されるものである。 そこで本発明者らは、上記公報に記載された磁
場中熱処理技術につき、種々の幅広い追試および
検討を行つてみた。その結果以下の事実が判明し
た。すなわち、一定方向に磁界を印加すれば、非
晶質磁性合金薄板中には磁界印加方向を容易とす
る誘導磁気異方性が生起される。この場合、磁化
容易軸に磁化は配向しやすく、このため残留磁束
密度(Br)は大きくなる。このとき逆方向に磁
界を印加すると、磁化と磁界のエネルギーを減少
させるため、180°磁壁に移動により、容易に磁化
反転がおこり、保磁力(Hc)は小さいものとな
る。従つて、前述のごとく残留磁束密度(Br)
は大きくなるので、静磁化特性としての最大透磁
率μm〓Br/Hcが増大するのは当然のことであ
る。 しかし、この磁場中熱処理を施し、磁気特性を
測定したところ。交流下での透磁率は減少するこ
とが確認された。すなわち、初透磁率が逆に減少
し、又10mOe程度の磁場下の透磁率(μ10)もほ
とんど増大しないのである。 本発明者は、このような実情に鑑み、超急冷法
によつて得られた非晶質磁性合金の薄板を熱処理
する際の従来生起していた種々の不都合を解消す
ること、より具体的には、透磁率の静特性のみな
らず、動特性をも格段と向上し、更には磁気損失
が格段と少ない非晶質磁性合金材料の熱処理方法
を提供することを主たる目的として、従来の熱処
理における不都合の原因を究明すべく種々検討を
行つた。 その結果、以下のことが判明した。すなわち、
従来の磁場中熱処理では、一定方向から磁界を印
加するため、前述のように磁化容易軸が誘起す
る。この場合、準静的に磁界を変化させるときに
は、透磁率に磁壁の移動速度(v)の影響は現わ
れない。従つて高いμmが得られる。しかし、交
流磁界下での透磁率は、磁壁の移動速度に依存
し、しかもそれとほぼ比例する。又、この移動速
度を低下させる制動係数(β)は磁気異方性
(K)の平方根に比例する。このため、磁場中熱
処理により薄板に磁化容易軸を誘起し、異方性を
生起せしめると、磁壁移動速度は小さくなり、交
流磁場下での透磁率、すなわち透磁率の動特性
値、特に初透磁率が減少するであろうと考えるに
至つた。 そこで本発明者は、上記のような磁場中熱処理
を印加磁界を回転させながら実施すれば、誘導磁
気異方性が等方的となり、すなわち磁気異方性が
局所的にもなく、それに伴い磁壁移動速度の制動
係数が減少し、透磁率の動特性値、特に初透磁率
の減少が阻止されるのみならず、逆に格段と向上
するのではないかとの着想を得、これをTc≦
Tcryである非晶質磁性合金材料について、キユ
リー点以下の温度において実際に適用したとこ
ろ、透磁率の動的および静的特性、ともに格段と
すぐれた特性値が得られ、更には磁気損失も格段
と減少することを見出し、本発明をなすに至つた
ものである。 なお、以上では、液相からの超急冷法により非
晶質磁性合金を得る場合について述べてきたが、
気相からスパツタリングにより非晶質合金薄膜を
得る場合についても本発明は有効である。 すなわち、本発明は、液相または気相から超急
冷することよりキユリー点以上の結晶化温度をも
つ非晶質磁性合金の薄板または薄膜を得、次い
で、この非晶質磁性合金のキユリー点以下の温度
にこの薄板または薄膜を加熱保持した状態で、こ
の薄板または薄膜に200Oe以上の磁界を印加する
とともに、この印加による磁界の面方向成分を少
なくとも一回回転し、誘導磁気異方性を等方的に
して、透磁率を向上し、磁気損失を低減すること
にある。 本発明によれば、得られる非晶質合金材料の透
磁率はより高いものとなる。すなわち、上述の無
磁場中での熱処理と比べ、透磁率の静的および動
的特性値は格段と向上する。しかも磁気損失も格
段と減少する。又、一定方向からの磁界を印加す
る磁場中熱処理のように透磁率の動的特性値、特
に初透磁率が減少してしまうということはなく、
逆に動的特性が格段と向上し、しかも磁気損失も
減少する。従つて、これまで用途に従い限定され
ていた非晶質合金の組成の制限が緩和され、その
結果すぐれた特性を有する種々の用途に対する実
用材料が可能となる。加えて、薄帯ないし薄膜製
造時の内部歪も有効に除去することができる。 このため、特にCo系の磁歪の小さい非晶質合
金材料について、センダスト合金以上の高飽和磁
束密度で高透磁率という実用上きわめてすぐれた
特性を得る。又、熱処理後徐冷が可能となるので
透磁率は格段と向上する。更にはTc以上の熱処
理ではTcの高いものではぜい化や酸化が生起す
るが、本発明ではTc以下の熱処理を施せばよい
ので、ぜい化は生じず、又空気中で実施しても酸
化は生じない。そして、熱処理温度が低下するの
で製造コストも安価となる。 なお、このような透磁率が格段と向上するとい
う効果は、非晶質磁性合金特有の効果であり、本
発明を結晶質磁性合金に適用しても結晶質では
K1またはK2のどちらかが103erg/cm2程度の結晶
磁気異方性が存在することに帰因して、このよう
な効果は実現しない。又、歪除去の熱処理は、
Tcryが存在しないため、Tc以上の高温で可能で
ある。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明はおよそ全ての非晶質磁性合金に適用可
能である。ただ、本発明を適用して、種々の実用
材料として好ましい特性を得るためには、下記式
で示される組成を有するものであることが好ま
しい。 式 MpTq ここに、MはFe,Co,Niのうち総計1モルの
1〜3種を表わし、TはSi,B,P,Cのうち総
計1モルの1〜4種を表わす。又、pとqの和は
100at%であり、qは10〜50at%である。 これらのうち、下記式で示される組成を有す
るものは特に好ましい。 式 (FeaCobNicx(SieBfy ここに、xおよびyは正の数、a,b,cおよ
びeは0また正の数、fは正の数であり、a+b
+c=1,e+f=1,x+y=100,0≦ax≦
85,0≦bx≦85,ax+bx≠0,0≦cx≦50,10
≦y≦50なる関係を有する。 この場合、上式で示される組成において、シリ
コンおよびボロンからなる半金属成分はそのシリ
コンおよびボロンの原子量比eおよびfを上記の
とおり維持したまま、その総量のうち50at%以下
をリンおよび/または炭素で置換したものであつ
てもよい。又、上式で示される組成を有する非晶
質磁性合金中には、5at%以下の範囲で、Ti,
Zr,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Zn,Al,Ga,
In,Ge,Sn,Pb,As,Sb,Bi,Gd等のうちの
1種または2種以上が含有されていてもよい。こ
のような上式で示される組成が特に好ましい理由
は以下のとおりである。 先ず、組成中FeとCoとは常温で強磁性を示す
ものであり、一方、非晶質化には半金属成分を必
要とするので、ax+bx≠0の条件の下で、それ
ぞれ0〜85at%とすることが好ましい。 Feおよび/またはCoをNiで置換すると、その
飽和磁束密度とキユリー点が減少してくる。従つ
て、Niの添加量cxは0〜50at%とすることが好
ましい。SiおよびBの半金属成分は合金の非晶質
化を助長する元素であるが、半金属成分が15at
%、特に10at%より少ない時、および33at%、特
に50at%より多いときには、逆に非晶質化を困難
とさせるので、yは10〜50at%、より好ましくは
15〜33at%とすることが好ましい。又、SiとBの
比については、スパツタリングで薄膜を形成する
場合、特に制限はないが、液体超急冷法による場
合は、Siが70at%より大とすると非晶質化が困難
となるので、eは0〜70at%の範囲となることが
好ましい。 そして、本発明ではこのような組成のうち、
Tc≦Tcryのものについて後に詳述する熱処理を
施すものである。 本発明においては、先ず、このような組成を有
する合金を液相または気相から超急冷して、実質
的に非晶質の薄板または薄膜を得る。 液相から超急冷して非晶質磁性合金薄板を得る
には、対応する組成の合金を溶融して融液とな
し、この融液を溶融状態から概ね101℃/sec以
上、通常104〜106℃/secの冷却速度で超急冷し、
冷却凝固させることによればよい。溶融状態の合
金融液を超急冷するには、公知の双ロール法、片
ロール法、あるいはインサイドインジエクシオン
法等種々の方式に従えばよい。従つて、合金の溶
融条件、合金融液の噴出条件、噴出の際のノズル
の形状、寸法等、双ロール等の冷却体の形状、寸
法、材質等は公知の超急冷法における条件範囲の
中から適宜決定すればよい。又、合金の溶融に際
しては、アルゴン等の不活性ガス中で行うか、あ
るいは不活性ガスを流入させながら行うことが好
ましいが、この融液の噴出は、不活性ガスあるい
は空気のいずれの雰囲気に対して行つてもよい。 このような超急冷法に用いる装置の一例の概略
図が第1図に示される。第1図において1は溶融
合金を噴出させるために、先端が細くなつた石英
管ノズルである。この石英管ノズルの中に、試料
母合金2を挿入し、加熱炉3で溶解する。この
際、試料母合金の酸化を防止するために、アルゴ
ンガスなどの不活性ガスを石英管の上部12から
焼結体p方向より低圧で流入させる。4,4′は
溶融合金を超急冷させ、非晶質合金薄板を得るた
めの相対向する金属製回転ロールである。この回
転ロール4,4′は、互いに0〜50μmの間隔で対
向し、図示しないモーターにより、両者共矢印
q,q′方向に、周速20m/sec以上の速さで高速
回転している。5は石英管ノズルを支持して上
下、矢印r方向に移動させるためのエアピストン
である。 試料母合金を石英管ノズル上部13からノズル
の先端部に挿入し、石英管ノズル上部12から矢
印p方向に流入される不活性ガスによる不活性雰
囲気中で加熱し十分に溶解する。加熱炉中心部で
溶解した合金を高速回転ロール4,4′の間隙部
に噴出させるために、すなわち第3図に示す状態
にするために、エアピストン5を用い、石英管ノ
ズル1を押し下げ、ノズルの先端を加熱炉の中心
部から高速回転ロール4,4′の間隙部に近づけ
る。次に石英管ノズル上部12からの高圧の不活
性ガスを矢印p方向に流入し、ノズルの先端から
溶融合金を高速回転ロール4,4′の間隙部に噴
出させて超急冷することによつて非晶質合金板を
得ることができる。このようにして厚さ5〜
200μm、好ましくは20μm〜60μm程度のリボン状
非晶質磁性合金薄板を製造することができる。 一方、後述の処理を施される非晶質磁性合金
は、気相から超急冷され薄膜として形成されたも
のであつてもよい。気相から超急冷するには、
種々の基板、例えば石英ガラス、アルミナ、岩塩
等の上に、スパツタリングにより非晶質磁性合金
薄膜を形成すればよい。スパツタリングにおける
諸条件は、公知の条件における中から適宜決定し
て用いればよい。これにより、基板上には、厚さ
500Å〜2mm程度の非晶質磁性合金薄膜が形成さ
れる。 このようにして得られる薄膜は、次の工程にお
いてそのまま用いることができるが、場合によつ
ては薄膜を基板から剥離して用いることもでき
る。 この後、このようにして得られたTc≦Tcryの
薄板または薄膜を、そのキユリー点以下の温度に
保持、加熱した状態で磁界を印加し、しかもこの
印加による磁界の面方向成分を少なくとも一回回
転させ、しかる後冷却する。 本発明におけるこのような磁場中熱処理の温度
としては、上に述べた方法によつて得られた薄板
または薄膜状の非晶質磁性合金の結晶化温度以下
に保持しなければならない。これは非晶質磁性合
金としての特性が失われてしまうためであるが、
本発明ではTc≦Tcryであるので問題はない。同
時に、その保持温度は、キユリー点以下でなけれ
ばならない。キユリー点以上では自発磁化が発生
せず、誘導磁気異方性が発生しないからである。
一方、保持温度の下限としては、一般に100℃以
上、より好ましくは150℃以上とすることが好ま
しい。又、保持時間は、一般500時間以内、好ま
しくは1分〜500時間程度である。加熱方式とし
ては、抵抗型の電気炉中で行う他、高周波加熱や
赤外線加熱を施したり、その他種々の方式が可能
である。 このような温度保持の条件下で、薄板または薄
膜には磁界が印加される。磁界は、薄板または薄
膜の上面または下面の面方向とほぼ平行とするこ
とが効率その他の点から一般的であるが、磁界は
この上面または下面における面方向成分を有すれ
ばよいので、磁界はこれらに対し傾斜して印加し
てもよい。ただ、面方向と直角にしたときには、
面方向成分が存在しないので、所定の効果を期待
することはできない。この場合、磁界の強度とし
ては磁性合金をほぼ飽和させる200Oeまたはそれ
以上を印加しなければならない。200Oe未満では
透磁率の向上や磁気損失の低減効果が不十分であ
る。 なお、特公昭59−354315号公報には、非晶質磁
性合金を回転磁界中で熱処理して磁気余効を減少
させる旨の提案がなされているが、このものでは
透磁率はほとんど向上していない。この公報に
は、印加磁界の強度について記載されていない
が、透磁率の向上がみられないことを考慮する
と、このものは200Oe未満の磁界強度であると考
えられる。このことは、後記実施例からも明らか
になるであろう。 なお、薄板または薄板の厚みや、その表面に存
在する凹凸に基づく反磁界を考慮に入れれば、概
ね500Oe以上、より好ましくは1000Oe程度以上
とすることが好ましい。 本発明においては、上に述べた印加による磁界
の薄板または薄膜の面方向、すなわち薄板または
薄膜の上面または下面と平行な面方向における成
分を、上述の加熱温度に実質的に保持されている
状態において、少なくとも一回回転させ、誘導磁
気異方性を等方的にする。この回転は、連続的に
行つてもよく、又間けつ的に行つてもよく、磁界
の面方向成分が少なくとも1回転しさえすれば、
磁界の面方向成分が一定方向のみに回転する場合
のみならず、アトランダムに回転変化し、結果と
して少なくとも1回転するような場合であつても
よい。すなわち、誘導磁界が少なくとも半回転す
れば、結果として誘導磁気異方性軸は1回転し、
その結果誘導磁気異方性は等方的となり、このた
め、誘導磁界を一定方向のみに回転せずアトラン
ダムに回転させてもその目的は達せられるからで
ある。ただ用いる装置の構成の簡易さという点で
は、連続的に一定方向に回転するように構成した
方がよく、そのとき加熱保持中における回転数と
しては1回以上ならどうであつてもよい。又、印
加磁界の面方向成分の向きを回転するには、薄板
または薄膜を回転させてもよく、あるいは磁界の
みを回転させてもよく、更には両者を併用しても
よい。この場合、薄板等の面に対する印加磁界の
入射角は、通常この回転に際し、一定に保持する
ことになるが、場合によつては入射角を回転に際
し連続的に変化させてもよい。 このような加熱保持状態において磁界印加を行
つた後、薄板または薄膜は冷却される。この冷却
は磁界印加を停止した後行つてもよいが、上に述
べた磁場中で行うことが好ましい。 また、冷却速度としては種々変更可能である
が、一般に徐冷とすることが好ましい。 なお、以上詳述したような磁場中熱処理は真空
中で行つても、又不活性ガス中で行つても、更に
は空気中で行つてもよい。又、処理を施す試料薄
板または薄膜の形状、寸法には種々変更が可能で
あるが、処理効率という点からは形状異方性の少
ない形状、例えば円板形状等とすることが好まし
い。 以上詳述した磁場中熱処理に用いる装置の好ま
しい一例が第2図に示される。第2図において非
晶質磁性合金の薄板または薄膜6は架台9上に載
置される。架台9は、図示しないモーターによ
り、図矢印a方向に連続回転可能とされている。
一方、架台9は電気炉8中に収納され、電気炉8
により架台9上の非晶質磁性合金6は一定の温度
に加熱保持可能となしてある。更に、電気炉8外
部には電磁石の磁極71,73が配置され、非晶
質磁性合金6の面方向に磁界印加可能となしてあ
る。このような構成において、電気炉8に通電し
非晶質磁性合金6を所定の温度に加熱保持ししか
も架台9を矢印a方向に回転しつつ、所定時間磁
石71,73により磁界を印加する。この後、電
気炉を断となし冷却すれば、非晶質磁性合金中に
誘起される磁気異方性は等方的になり、本発明所
定の効果が実現することになる。 本発明によつて得られる非晶質磁性合金は磁気
ヘツド材料、各種磁心、あるいはその他の用途に
用いてきわめてすぐれた特性を発揮する。 以下本発明の実施例を掲げ、本発明を更に詳述
に説明する。 実施例 1 Fe5Co70Si10B15の組成となるように純鉄(99.9
%)、電解コバルト(純度99.99%)、シリコン
(純度99.99%)およびクリスタルボロン(純度
99.9%)の各原料をそれぞれ秤量し、タンマン炉
にて、アルゴンガス気流中で溶解した。この溶解
した合金を石英管で吸上げ、急冷し母合金を調製
した。 次いで、この母合金を第1図に示される装置に
より溶融後106℃/sec程度の冷却速度で急冷し、
厚さ30μm、幅5cm、長さ20mの薄板を作製した。
この薄板についてX線回折および電子線回折を行
つたところ、結晶構造を示す回折像は全く検出さ
れなかつた。又、この薄板の結晶化温度(Tcry)
は510℃、キユリー点Tcは420℃であつた。 次に得られた薄板を超硬合金の金型により内径
6mmφ、外径10mmφのリンク状に打抜いた。この
抜打リングに対し、第2図に示される装置を用
い、本発明の磁場中熱処理を施した。すなわち、
装置全体は10-1Torrの真空下におき、磁極71,
73により3000Oeの磁界を印加しつつ、薄板6
を60rpmで回転しつつ、電気炉8により薄板6を
300℃に加熱保持した。この温度に30分保持後、
電気炉8のみを断として、真空中で回転磁界を印
加しながら徐冷を行つた。 このようにして本発明の磁場中熱処理を施した
リングを30枚用い、層間絶縁を行い積層した(試
料1)。次いで、得られた試料1につき、磁気特
性を測定した。 すなわち積分型BHループトレーサーを用い保
磁力(Hc)および残留磁束密度(Br)を、試料
振動型磁力計から飽和磁束密度(Bs)を、スト
レインゲージを用い磁歪(λ)を、マクスウエ
ル・ブリツジを用い1KHzでの初透磁率μ1(1mOe
での磁場下)およびμ10(10mOeでの磁場下)をそ
れぞれ測定した。 結果を表1に示す。
【表】 これとは別に比較のため、上記打抜後のリング
を何ら処理を施すことなく、前記試料1同様積層
して試料2を得た。 又、打抜後のリングを300℃の真空中で磁界を
印加することなく30分加熱保持した後、水中で急
冷した後、前記試料1同様積層して試料3を得
た。 更に、打抜後のリングにコイルを巻線した後、
真空中でコイルに通電して、リング円周方向に
300Oeの静磁場を印加しつつ、30分300℃に加熱
保持した後、徐冷した。この処理後のリングを前
記試料1同様積層して試料4を得た。 このようにして得た試料2〜4につき、試料1
と同様に各磁気特性を測定した。結果を表1に同
時に掲げる。 表1の結果から次のことが明白である。 試料3における300℃での歪取り焼鈍はキユリ
ー点以下の熱処理となり、その結果、局所的に分
散した誘導磁気異方性が発生し、Hcは増加し、
初透磁率μ1のみならずμ10も低下している。 一方、試料4は、静磁界中での熱処理を施した
ものであるが、保磁力(Hc)は向上したが、残
留磁束密度(Br)は8.0kGとなり、磁気回路方向
すなわち円周方向に磁化容易軸が誘起されたこと
がわかる。このため磁壁移動の制動係数が増し、
交流下での透磁率が減少している。なお、試料4
でμ10よりμ1が極度に小さいのは、磁壁移動を十
分起こすために必要な磁界のしきい値が1mOe以
上に増したためであると考察される。従つて、こ
のような試料4は、磁気再生ヘツド用に適用した
とき再生感度が低下し好ましくない。 一方、本発明による試料1は、保磁力について
は試料4と同じ8mOeであるが、Brは4.0kGであ
り、薄板面内で磁気的に等方性を示している。こ
の結果、1mOe,10mOeでの透磁率は格段と向上
している。 しかし、印加磁界が200Oe未満の試料5では透
磁率向上の効果はない。 さらに、印加磁界強度の臨界性を調べるため、
試料1,3,5において、磁界強度を種々かえ
て、同様の熱処理を行つた。 印加磁界強度とμ1との関係を第3図に示す。 第3図に示される結果から、印加磁界強度が
200Oe以上となると、μ1が臨界的に向上すること
がわかる。 実施例 2 Fe78Mo2B20の組成の非晶質磁性合金の薄板を
実施例1と同様にして作成した。この合金は飽和
磁束密度(Bs)16kGを有し、高Bs材であり、特
にトランス材として有用なものである。又、Tc
=Tcry400℃の材料である。 この薄板を実施例1と同様にリング状に打抜
き、実施例1に準じて下記表2に示される処理を
施した後、実施例1と同様に積層して磁気特性を
測定した。結果を表2に示す。なお、表2には、
U関数計を用いて測定した60Hz,1kGでの磁気損
失を併記する。
【表】
【表】 表2の結果から、トランス材としての非晶質磁
性合金に本発明を適用したとき、従来の無磁場な
いしは静磁界中の熱処理を施した場合と比べ、格
段と磁気損失が減少することがわかる。 なお、Fe40Ni40P14B6についても上記とほぼ同
様の磁気特性を得ている。 実施例 3 Fe5Co70Si10B15の合金をターゲツトとDC−4
極高速スパツタ装置を用い、スライドガラス上に
厚さ0.4mmで、内径6mm、外径10mmのリング状に
上記組成の非晶質磁性合金薄膜を形成した。 次いで、このように形成した薄膜に対し、実施
例1に準じ下記表3に示される処理を施した。次
いで、この薄膜を基板から剥離した後、これを実
施例1と同様に積層して、各磁気特性を測定し
た。結果を表3に示す。
【表】 表3の結果から、本発明をスパツタリングによ
り形成した非晶質薄膜に適用しても、その効果が
発揮されることがわる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明における非晶質磁性合金の薄
板を得る工程に用いる装置の一例を示す概略図で
あり、第2図は本発明における磁界中での熱処理
の工程に用いる装置の一例を示す概略図であり、
第3図は印加磁界強度と、1kHzでの初透磁率μ1
(1mOe)との関係を示すグラフである。 1……ノズル、2……母合金、4,4′……回
転ロール、6……非晶質磁性合金の薄板、8……
電気炉、71,73……磁極。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 1 液相または気相から超急冷することによりキ
    ユリー点以上の結晶化温度をもつ非晶質磁性合金
    の薄板または薄膜を得、次いで、上記非晶質磁性
    合金のキユリー点以下の温度に上記薄板または薄
    膜を加熱保持した状態で、上記薄板または薄膜に
    200Oe以上の磁界を印加するとともに、当該印加
    による磁界の面方向成分を少なくとも一回回転さ
    せ、誘導磁気異方性を等方性となし、この後冷却
    し、透磁率を向上し、磁気損失を低減することを
    特徴とする非晶質磁性合金の製造方法。
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JPS55110764A (en) * 1979-02-20 1980-08-26 Matsushita Electric Ind Co Ltd Method of thermal treatment for amorphous alloy

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