JPH05187448A - ドライブライン用のヨーク - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 構造が簡単で容易に着脱可能な廉価なドライ
ブライン用のヨークを提供する。 【構成】 ドライブライン用のヨーク１０は、スリーブ
１１と、スリーブに入れ子式に嵌合して取り外し可能に
固定されるリテーナ２０とを備える。スリーブは、角度
方向において隔置されかつ半径方向外方に伸長する一連
の突出部２５を有する。リテーナは、弾性的に屈曲可能
なスカート部２２を有する。スカート部には、突出部を
収容するための一連の開口３０が形成される。開口は、
軸方向の縁部３１、３２と円周方向の縁部３３とを有す
る。リテーナをスリーブに装着する際には、スカート部
を突出部のカム作用で半径方向外方に撓ませる。リテー
ナを取り外す際には、リテーナを回転させ、スカート部
を突出部のカム作用で半径方向外方に撓ませる。従っ
て、簡単な操作でリテーナの着脱を行うことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はドライブライン用のヨー
クに関し、より詳細には、外側にスプラインが形成され
た軸を入れ子式に収容するようになされた内側にスプラ
インが形成されたスリーブを有するヨークに関する。ス
リーブの中に潤滑剤を保持してスリーブの中に汚染物が
入るのを防止するための環状のシールが、取り外し可能
なコップ形状のリテーナにより、スリーブの端部に接し
て固定される。

【０００２】

【従来の技術】従来技術のあるヨークにおいては、リテ
ーナはスリーブの端部にねじ止めされている。しかしな
がらこの構成は、リテーナに内ネジを切り、またスリー
ブの端部には外ネジを切ることを必要とする。また、ね
じ止めされたリテーナは、長時間にわたって苛酷な振動
力を受けた場合には、緩んでしまう可能性がある。従来
技術の他のタイプのヨークには、角度方向において隔置
された係止タング（舌状片）を有するスナップ式のリテ
ーナが装着されており、上記タングは、上記リテーナを
形成する時に内方へ曲げられる。タングは、リテーナが
スリーブ上で入れ子式に運動する際に、ヨークのスリー
ブの環状の溝にスナップ式に嵌まって該溝とかみ合う。
そのようなリテーナは確実に保持されるが、リテーナを
取り外すためには上記タングを溝から強制的に押し出す
必要があり、往々にして曲がってしまい使用できなくな
る。リテーナを製造する時には、タングを曲げるために
かなり複雑な工具（ｔｏｏｌｉｎｇ）が必要とされる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明の概括的な目的
は、軸方向においてヨークのスリーブにスナップ式に嵌
めて該スリーブに確実に固定することができ、またスリ
ーブと相対的に回転させることにより取り外すことので
きる、構造が比較的簡単でかつ廉価なリテーナを提供す
ることである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明の他の目的は、ス
リーブを有するヨークにおいて、該ヨークに角度的に隔
置された突出部を形成し、リテーナの角度的に隔置され
た窓と協働し、リテーナを軸方向においてスリーブにス
ナップ式に嵌めて該スリーブ上に保持するように、上記
突出部を独特の形状とし、一方リテーナをスリーブ上で
回転させた時に、上記スナップ式の嵌合が解放されるよ
うにすることによって上記目的を達成することである。

【０００５】また本発明においては、各々の突出部の軸
方向を向いた一端部及び円周方向を向いた一端部にカム
面を設け、これにより、リテーナをスナップ式の運動で
スリーブに固定することができると共に、回転運動によ
りスリーブから取り外すことができるようにする。

【０００６】また本発明の他の目的は、シールの弾性を
用い、リテーナをスリーブ上に確実に保持する助けを効
果的に行わせることである。

【０００７】

【実施例】説明の目的で、本発明は、オフロード車両等
用の駆動列に用いられるタイプのスリップヨークに関し
て図面に示されている。ヨークはスリーブ部分１１を備
え、該スリーブ部分には、外側にスプラインが形成され
た駆動軸１３を収容するための軸方向に伸長するスプラ
インが形成された孔１２が形成されている。

【０００８】直径方向において隔置された耳状部１４
が、ヨーク１０のスリーブ１１の一端部から伸長してお
り、これら耳状部は、自在継手の十字軸（図示せず）等
をヨークに固定するためのストラップ（図示せず）の取
り付け点の役割を果たす。この特定の例においては、ヨ
ークは鉄を鋳造あるいは鍛造することにより形成され、
次にヨークのバランスを取るためにスリーブに旋削加工
を施している。

【０００９】ゴム又は他の弾性的に屈曲可能な材料から
形成された環状のシール１５が、スリーブ１１の軸方向
を向いた最外方の端部１６に係合して軸を包囲し、これ
により、スリーブの中に潤滑剤をシールすると共にスリ
ーブを汚染物から保護している。シール１５は、リテー
ナ２０によりスリーブの端部１６と係合した状態で保持
されており、上記リテーナ２０は、バネ鋼あるいは他の
弾性的に屈曲可能な材料から鍛造あるいは引き抜き加工
により形成されるのが好ましい。この例においては、リ
テーナは、半径方向に伸長する環状の端部壁２１を有し
ており、該端部壁は、スリーブの端部１６から軸方向に
隔置され、シール１５を軸に対して拘束する役割を果た
す。端部壁２１と一体に形成されて該端部壁から伸長し
ているのは円筒形のスカート部２２であり、該スカート
部は、スリーブ１１の縮径の端部分１１Ａ上で入れ子式
に運動するようになされていると共に、シールを軸方向
において拘束するようになされている。

【００１０】本発明によれば、スリーブ１１の端部分１
１Ａには、角度方向に隔置された複数の突出部２５が形
成されており、これら突出部は、リテーナ２０をスリー
ブにスナップ式に嵌めて該スリーブに確実に固定するこ
とを可能とし、また、簡単なねじり運動によりリテーナ
をスリーブから取り外すことを可能とする。突出部が設
けられている結果、リテーナは、極めて簡単でかつ廉価
な構造とすることができ、また損傷を与えることなくス
リーブから繰り返し取り外すことができる。

【００１１】この特定の例においては、スリーブの縮径
の部分１１Ａの両端部の間には、等間隔で隔置されかつ
半径方向外方に伸びる４つの突出部２５が形成されてい
る。各々の突出部は、ほぼ矩形の形状を有しており、ま
た円周方向を向きかつほぼ軸方向に伸長する２つの側縁
部２６を有している（図２及び図４）。側縁部の少なく
とも一方（好ましくは両方）はカム面を画成し、このカ
ム面を画成するために、各々の側縁部は、突出部から円
周方向に離れるに従って半径方向内方に進むように傾斜
している。

【００１２】各々の突出部２５はまた、軸方向において
対向する端部２７、２８を有している（図３）。突出部
の端部２７は、スリーブ１１の端部１６に隣接して設け
られてカム面を形成し、該カム面は、突出部から軸方向
に離れるに従って半径方向内方に進むように傾斜してい
る。突出部の反対側の端部２８は、スリーブの軸線に対
してほぼ直交して伸長する平面内に延在する直角の肩部
を画成する。

【００１３】図２に最も明瞭に示すように、リテーナ２
０のスカート部２２には、ほぼ矩形の４つの開口すなわ
ち窓３０が形成されており、これら開口すなわち窓は突
出部２５よりも幾分大きい。各々の窓は、軸方向におい
て対向する一対の縁部３１、３２（図３）と、円周方向
において対向する一対の縁部３３（図４）とを備えてい
る。縁部３１、３２は、スカート部２２の軸線にほぼ直
交して伸長する平行な平面内に延在する。

【００１４】シール１５及びリテーナ２０の取り付け
は、リテーナの端部壁２１とスカート部２２との接合部
にシールを定置し、このように組み立てられたアセンブ
リを図２に示す状態でスリーブ１１と相対的に位置決め
する。次にリテーナを軸方向に動かし、スリーブの縮径
の端部分１１Ａに入れ子式に嵌める。このようにする
と、スカート部２２の自由な縁部が突出部２５のカム面
２７に係合し、これにより、スカート部は図３に破線で
示すように外方へ撓む。この撓みは、スカート部が突出
部を越えて摺動することを可能とし、また、窓３０の縁
部３２が突出部の肩部２８を越えて移動すると同時に、
スカート部は、このスカート部の弾性によってバネ式に
内方に撓んでその通常の位置に着く。これにより、窓の
縁部３２が肩部２８の後方にスナップ式に嵌まり、リテ
ーナ２０をスリーブの部分１１Ａに確実に固定する。縁
部３２が肩部２８の後方に位置すると、エラストマ材料
製のシール１５が、スリーブ１１の端部１６とリテーナ
２０の端壁部２１との間で効果的に圧縮される。従っ
て、圧縮されたシールは縁部３２を押圧して肩部２８に
係合させ、これにより、リテーナを適所に確実に保持す
る助けをする。

【００１５】リテーナ２０の取り外しは、リテーナにレ
ンチを掛け該リテーナを若干の角度だけ回すことにより
簡単に実行することができる。リテーナが回ると、窓３
０の適当な側部３３が突出部２５の隣接する側縁部３３
に係合してスカート部２２を外方へ撓ませ、側縁部３２
を肩部２８の後方で半径方向外方に動かす。次に、リテ
ーナをスリーブの部分１１Ａから軸方向に引っ張ること
により、リテーナを簡単に取り外すことができる。

【００１６】リテーナ２０の装着及び取り外しの際にス
カート部２２を撓ませるために、スカート部の自由な縁
部分に軸方向において開放する切欠部すなわちノッチ３
６（図２）を形成し、各々のノッチを隣接する各窓３０
の間に設ける。従って、ノッチは、スカート部の自由な
縁部分を、比較的短い角度方向の長さを有する角度方向
に隔置された部分２２Ａとして形成する。これら隔置さ
れた部分は、リテーナの取り付けの際に各部分の自由縁
部が突出部２５のカム面２７に係合した時に、またリテ
ーナの取り外しの際に窓の縁部３３がカム面２６に係合
した時に、比較的容易に撓む。

【００１７】上記記載から、本発明が当業界に新規かつ
改善されたヨーク１０をもたらすことは明らかであろ
う。このヨークにおいては、スリーブ１１の突出部２５
がリテーナ２０の窓３０と協働し、軸方向のスナップ作
用によりリテーナを装着することを可能とし、また回転
方向のひねり作用によりリテーナを取り外すことを可能
とする。リテーナは、簡単な鍛造及び引き抜き加工によ
り形成することができて機械加工を必要としない極めて
廉価な構造を有している。突出部２５は、ヨーク１０の
鋳造あるいは鍛造の後に形成することができ、機械加工
をほとんどあるいは全く必要としない。肩部２８を機械
加工して直角を出す必要がある場合には、そのような機
械加工は、ヨークのバランスを取るために行う旋削加工
と同様の加工により実行することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の特徴を含む独特のリテーナが装着され
ている新規かつ改善されたドライブライン用のヨークを
ある部分を破断して断面で示す側方立面図である。

【図２】ヨーク及びリテーナの分解斜視図である。

【図３】ヨークのスリーブに装着されたリテーナを拡大
して部分的に示す断面図である。

【図４】図３の線４−４にほぼ沿って示す部分的な断面
図である。

【符号の説明】

１０ ヨーク １１ スリーブ １５ シール ２０ リテーナ ２１ 端部壁 ２５ 突出部 ２６ 側縁部 ２７ 軸方向に面
した端部 ２８ 軸方向に面した端部（肩部） ３０ 開口（窓） ３３ 円周方向に面した端部

フロントページの続き (72)発明者 ブルース・エス・ガーシュ アメリカ合衆国イリノイ州ハーヴァード, グラフ・ロード 23016

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内側にスプラインが形成されたスリーブ
   と、該スリーブに入れ子式に嵌合し、該スリーブに取り
   外し可能に固定されるようになされたリテーナとを備え
   るドライブライン用のヨークにおいて、前記スリーブ
   は、角度方向において隔置されかつ半径方向外方に伸長
   する一組の突出部を有し、前記リテーナは、前記突出部
   を収容するように角度方向に隔置された一組の開口が形
   成される、軸方向に伸長し弾性的に屈曲可能なスカート
   部を有し、前記開口は、軸方向に面する縁部を有すると
   共に、円周方向に面する縁部を有しており、前記突出部
   は、前記スカート部が前記スリーブ上に入れ子式に嵌合
   される際に、前記スカート部に対して瞬間的な外方への
   カム作用を行い、その後前記開口の前記軸方向に面する
   縁部に対して係止し、これにより前記リテーナを前記ス
   リーブ上で軸方向において拘束するような形状になされ
   ており、前記突出部は更に、前記リテーナが前記スリー
   ブ上で回転された時に、前記開口の前記円周方向に面す
   る縁部に対してカム作用を行って前記スカート部を外方
   へ撓ませ、これにより、前記開口の前記軸方向に面する
   縁部を前記突出部から解放して前記リテーナを前記スリ
   ーブから軸方向において取り外すことを可能とするよう
   な形状になされていることを特徴とする、前記ドライブ
   ライン用のヨーク。
2. 【請求項２】 請求項１のドライブライン用のヨークに
   おいて、前記スリーブは、軸方向に面する端部を有し、
   前記リテーナは、前記スカート部と一体に形成されると
   共に前記スリーブの端部と軸方向において隔置された関
   係で設けられる環状で半径方向に伸長する端部壁を有し
   ており、更に該ドライブライン用のヨークは、前記スリ
   ーブの端部と前記リテーナの端部壁との間で圧縮されて
   前記リテーナを前記スリーブから離れる方向へ軸方向に
   偏椅し、これにより、前記開口の前記軸方向に面する縁
   部を前記突出部にロック式に係合させる、弾性的に屈曲
   可能な材料から形成された環状のシールを備えることを
   特徴とする、前記ドライブライン用のヨーク。
3. 【請求項３】 請求項１又は２のドライブライン用のヨ
   ークにおいて、前記突出部及び前記開口はほぼ矩形状で
   あり、前記開口の前記軸方向に面する縁部は、前記スリ
   ーブの軸線にほぼ直交して伸長する平面内で配置され、
   前記各々の突出部は、第１のカム面を画成する第１の端
   部と、軸方向に面する肩部を画成する反対側の端部と、
   第２のカム面を画成する円周方向に面する側縁部とを備
   え、前記各々の突出部の第１のカム面は、前記突出部か
   ら軸方向に離れるに従って半径方向内方に進むように傾
   斜しており、前記各々の突出部の前記第２のカム面は、
   前記突出部から円周方向に離れるに従って半径方向内方
   に進むような形状になされていることを特徴とする、前
   記ドライブライン用のヨーク。