JPH05186947A - 軽量防音材料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の自動車用天井材に比較して、軽量で吸
音性能に優れた軽量天井材の開発。 【構成】 天然及び合成繊維を主成分とし、任意の形状
に成形してなる防音材料であって、防音材料の全繊維成
分中の１０〜１００ｗｔ％が繊維の体積の１０〜８０％
が中空である中空繊維であることを特徴とする軽量防音
材料。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は繊維系の防音材料に関
し、詳細には中空繊維を繊維成分に使用することによっ
て軽量かつ吸音性に優れ、コスト低減効果のある防音材
料に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、天然繊維、合成繊維を原料と
し、これにフェノール樹脂等の粉体熱硬化性樹脂をバイ
ンダーとして混合し、原反とした後、自動車用の天井、
ダッシュ部等の防音部品、あるいは住宅の壁用、天井
用、家電製品の防音部品等に使用されるため必要な形状
に成形加工された防音材料が公知である。また近時は材
料のリサイクル性に鑑み、熱硬化性樹脂に代わり熱可塑
性樹脂の繊維をバインダーとして使用する防音材料も開
発されている。

【０００３】ところで、繊維メーカー各社からは、繊維
の断面において中央部が中空である、「中空断面糸」す
なわち中空繊維が上市されている。このような繊維は、
繊維内部に空気層を有するため、断熱性、保温性が良
く、この特性を利用して防寒着、スポーツ、レジャー用
衣料、寝装具等への応用が図られている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、従来
の繊維性防音材料に比較して、優れた吸音性能を有し、
しかも軽量で低コストの防音材料を開発するという点に
有る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】かかる課題を解決せんと
して、本発明者らは鋭意研究の結果、中空繊維を従来の
繊維に代わり利用する事により、吸音性能を向上させ、
軽量化を実現した防音材料を開発したものである。本発
明の要旨は以下に存する。

【０００６】天然及び合成繊維を主成分とし任意の形状
に成形してなるる防音材料であって、防音材料の全繊維
成分中の１０〜１００ｗｔ％が繊維の体積の１０〜８０
％が中空である中空繊維であることを特徴とする軽量防
音材料。

【０００７】従来断熱性、保温性に注目されていた中空
繊維を防音材料の原料に応用したという点においては本
発明者が初めてである。本発明に使用できる中空繊維と
しては、繊維の体積の１０〜８０％が中空である中空繊
維であれば特に限定はされない。現在公知の中空繊維を
例示するならば、原料にはアクリルあるいはナイロン
６、ナイロン６６、ナイロン６１０、ナイロン１１、ナ
イロン１２等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステ
ル系及びポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン等のポリ
オレフィン系樹脂から選択される繊維原料により製造さ
れる中空繊維がある。特に、ナイロン６、ナイロン６６
等のポリアミド系樹脂繊維、及びポリエチレンテレフタ
テート等のポリエステル系樹脂繊維が多く使用されてい
る。寝装具用、衣料用、カーペット用など各種の用途向
けに開発されているが、難燃性の材料や難燃処理されて
いる繊維を使用すれば、建築材料としての防音材料の開
発も可能である。

【０００８】繊維体積の１０％未満が中空部であるの中
空繊維の場合、吸音効果の向上が普通繊維の防音材に比
較してあまり顕著ではなく、一方繊維体積の８０％を超
えて中空部分を有する中空繊維の場合、繊維を加工する
段階で繊維が割れてしまう可能性があり、所望の効果を
得られない虞れがある。中空繊維は防音材料の繊維成分
の１０〜１００ｗｔ％であることを必須とする。１０ｗ
ｔ％未満であると、吸音性能の向上、軽量化等の効果を
得られない。

【０００９】本発明に使用するその他の繊維原料として
は、動物性、植物性の天然繊維、化学合成繊維、ガラス
ウール、ロックウール等の無機系繊維等が全て含まれ
る。これらの従来繊維成分は必ずしも使用する必要はな
く、場合によっては繊維成分は全て中空繊維によって構
成されていても良い。

【００１０】本発明に使用するバインダー成分として
は、フェノール樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂等の熱
硬化性樹脂、特に粉体樹脂が好ましい。また、ポリエチ
レン、ポリアミド、ポリプロピレン、ナイロン系樹脂等
の熱可塑性樹脂系繊維をバインダーとして使用しても良
い。バインダー成分の添加量としては、防音材料全量に
対して５〜３０ｗｔ％が適当である。５ｗｔ％未満であ
ると成形時に充分な形状付与が出来ない虞れがあり、３
０ｗｔ％を超えて添加すると吸音性能を低下させる可能
性がある。

【００１１】本発明になる防音材料を製造するには、中
空繊維とバインダー成分を混合し、その他の繊維成分を
使用する場合にはばらばらに解繊した状態でやはりバイ
ンダー成分と混合し、バインダーが熱硬化性樹脂の場合
には加熱して原反を形成する。バインダーが熱可塑性樹
脂系繊維を使用する場合には、ニードル加工あるいは熱
ローラー処理等により、やはり原反を形成する。

【００１２】形成された原反を、プレヒートして冷却し
た成形型により加圧成形するか、加熱型により加熱加圧
同時成形する事により、任意の形状の防音材料を得るこ
とができる。本発明になる防音材料は主として吸音材と
して使用される性質のものであるが、アスファルト、ゴ
ム等に高比重の充填材を配合し、シート状に加工した遮
音材と組み合わせ、あるいは積層する事によって、さら
に優れた防音効果を得ることも可能である。

【００１３】

【実施例】以下に実施例を挙げ本考案のより詳細な理解
に供する。当然のことながら本考案は以下の実施例のみ
に限定されるものではない。

【００１４】

【実施例１】中空繊維としてブライト＃６８６（東洋紡
株式会社（製））を使用し、天然、及び化学繊維の解繊
した繊維に５０％中空繊維を混合して、フェノール樹脂
を混合し、熱風炉で１５０℃にて１２０ｓｅｃ加熱し、
セミキュア状態の原反となした。この原反を加圧成形し
て、自動車用天井材、同フードインシュレータ、同ダッ
シュインシュレータ、同建築用天井吸音材を防音材料１
として得た。

【００１５】

【実施例２】中空繊維としてバルキーＴＴ９４（帝人株
式会社（製））を使用し、天然及び化学繊維の解繊した
繊維に５０％中空繊維を混合して、フェノール樹脂を混
合し、熱風炉で１５０℃にて１２０ｓｅｃ加熱し、セミ
キュア状態の原反となした。この原反を加圧成形して、
自動車用天井材、同フードインシュレータ、同ダッシュ
インシュレータ、同建築用天井吸音材を防音材料２とし
て得た。

【比較例】

【００１６】天然及び化学繊維の解繊した繊維にフェノ
ール樹脂を混合し、熱風炉で１５０℃にて１２０ｓｅｃ
加熱し、セミキュア状態の原反となした。この原反を加
圧成形して、自動車用天井材、同フードインシュレー
タ、同ダッシュインシュレータ、同建築用天井吸音材を
防音材料３として得た。

【００１７】

【試験方法】

（１）残響法により各防音材料の５００Ｈｚにおける吸
音率を測定した。 （２）比較例における防音材料３の繊維数を１００とし
た時の防音材料１及び２の繊維数を測定した。

【００１８】

【結果】

試験（１）及び試験（２）の結果を表１〜表４に示す。

【００１９】

【発明の効果】本発明になる防音材料は、中空繊維の中
空部分の分だけ少なくとも嵩高であり、同体積の従来の
防音材料と比較して軽量である。また、中空繊維内部に
空気層を有するため吸音効果が高く、従来の防音材料と
同体積だけ中空繊維を使用した場合、著しく優れた吸音
率を顕現するものである。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 天然及び合成繊維を主成分とし、任意の
   形状に成形してなる防音材料であって、防音材料の全繊
   維成分中の１０〜１００ｗｔ％が繊維の体積の１０〜８
   ０％が中空である中空繊維であることを特徴とする軽量
   防音材料。