JPH05184913A - 半導体超微粒子の製造方法および非線形光学材料 - Google Patents

半導体超微粒子の製造方法および非線形光学材料

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JPH05184913A
JPH05184913A JP18370292A JP18370292A JPH05184913A JP H05184913 A JPH05184913 A JP H05184913A JP 18370292 A JP18370292 A JP 18370292A JP 18370292 A JP18370292 A JP 18370292A JP H05184913 A JPH05184913 A JP H05184913A
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Shigeru Takahara
茂 高原
Koichi Mizuma
浩一 水間
Toyoji Hayashi
豊治 林
Hiroshi Yao
浩史 八尾
Isao Naruse
功 成瀬
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 半導体超微粒子が生成する溶液中に不飽和結
合を有する単量体を共存させ、特定波長の光を照射しな
がら生成反応を行い、生長してきた粒子径に対応する光
吸収波長が照射光波長に一致したところで、超微粒子表
面で光重合反応が起こり、ポリマーで被覆安定化せしめ
る。 【効果】 粒子径が制御され、かつ安定化された半導体
超微粒子が得られ、高い3次の非線形性を有する分散体
が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光電子デバイスや非線
形光学材料、化学触媒として利用される、粒子径が制御
され、安定化された半導体超微粒子およびその製造方法
とこれを用いた非線形光学材料に関する。
【0002】
【従来の技術】超微粒子をデバイスに応用しようとする
場合、粒子径が揃い、粒子間の凝集・凝結などが防止さ
れている、すなわち粒子が安定化されていることが好ま
しい。たとえば、非線形光学材料として用いる場合は、
100 オングストローム程度以下の粒子径において顕現す
るところの電子状態の量子閉じ込め効果を利用すること
が高性能発現のために推奨されているが、そのために
は、粒子径を100 オングストローム程度以下にし、かつ
粒子径を揃えること、換言すると粒子径分布を狭小化す
ることが不可欠である。
【0003】本発明において、超微粒子とは、粒子径
(直径)が約10〜1000オングストローム程度の粒子をさ
す。このような超微粒子は、通常の機械的粉砕などで製
造されるマイクロメートル程度の粒子径の粉体とは、特
性において際だった差がみられることが少なくなく、電
子デバイス、非線形光学材料、触媒などの材料として注
目されている。
【0004】従来、粒子径が100 オングストローム程度
以下の半導体超微粒子を製造する代表的な方法として
は、表面がフェニル基で安定化された硫化カドミウム超
微粒子、あるいは、セレン化カドミウム超微粒子(L.E.
Brusら、米国化学学会誌、第110 巻3046-3050 頁、1988
年)や、ヘキサメタ燐酸ソーダなどの界面活性剤を用い
た硫化カドミウム超微粒子の製造方法(A.Hengleinら、
ベリヒテ・デア・ブンゼンゲゼルシャフト・フューア・
フィジカリッシェヒェミーBer.Bunsenges.Phys.Chem.、
第88巻、969-977 頁、1984年)などが開示されている。
【0005】前者の方法によると、超微粒子表面がフェ
ニル基で安定化されたものが得られるので、超微粒子を
溶液中で濃縮した場合や、粉末として取り出した場合で
も、超微粒子同士の凝集・焼結による粒子生長が防止さ
れた超微粒子、すなわち安定化された超微粒子が得られ
る。しかしながら、この方法は粒子径制御のために、界
面活性剤を用いる逆ミセル法を採用するので、溶媒抽出
など生成超微粒子取扱の後続の操作において複雑な過程
が必要とならざるをえない。後者の方法によると、超微
粒子は、粉体としてあるいはフィルム中の分散体として
は製造されないので、産業的な有用性においては限界が
ある。さらに、粒子径制御という観点からすると、これ
らの方法には超微粒子生成反応に伴う化学平衡に起因す
る粒子径分布が避けられない、という本質的な難点が存
在する。この点を克服するために、一度製造した超微粒
子コロイド液をクロマトグラフィーによる方法で粒子径
毎に分割するという方法が提案されているが(A.Hengle
in、ケミカル・レヴィユー Chem.Rev.、第89巻,1861
頁,1989年)、さらに工程を増やすという難点ととも
に、その分割効率は満足のいくものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】半導体超微粒子の粒子
径制御と安定化を目的とした半導体超微粒子の製造方法
に関しては、上記のようにいくつかの方法が提案されて
いるが、生成する半導体超微粒子は、生成過程が化学平
衡に基づくため、粒子径分布が広がることが避けられな
い。そのため、粒子径制御については、これら従来技術
による方法には本質的に難点があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは粒子径が制
御され、安定化された半導体超微粒子の製造方法につい
て鋭意研究してきた結果、前記課題を解決するに至り、
さらにこの製造方法を用いた高性能の非線形光学材料を
発明した。すなわち、本発明は基本的に、溶液中で半導
体粒子の生成反応を行わせるのに際し、該溶液中に不飽
和結合を有する単量体を共存させ、光照射して生成する
ことを特徴とする粒子の粒子径が制御された安定化され
た半導体超微粒子の製造方法、を要旨とするものであ
る。本発明による方法においては、半導体超微粒子が吸
収する紫外・可視光線の長波長吸収端(以後、光吸収波
長端と称す)が粒子径に依存することを巧妙に応用する
ものである。
【0008】一般に、半導体超微粒子は粒子径が小さく
なってゆくと、空間的量子化による電子状態エネルギー
の底上げが電子スペクトル、すなわち可視・紫外吸収ス
ペクトルに検出されるようになってくる。この空間的量
子化による電子状態エネルギーの底上げ現象は、粒子径
が小さくなると共に、電子状態遷移に起因する光吸収が
起こる最長波長の光の波長(光吸収波長端)が短波長側
へ移動するという効果を惹起する。上記の現象を半導体
超微粒子の製造過程でみると、溶液中で起きる超微粒子
生成反応の進行と共に粒子径が徐々に大きくなってい
き、その粒子径に対応して光吸収波長端は長波長側へ移
動してゆく。
【0009】本発明における方法では、この製造過程で
溶液中に不飽和結合を有する単量体を共存させ、光照射
する点に最大の特徴点が存する。すなわち、照射する光
を、特定波長よりも長波長にのみスペクトル分布を有す
るように設定しておくと、粒子径が大きくなっていく生
長過程にある半導体超微粒子の光吸収波長端が、照射光
の最短波長(以後、特定波長と称する)と一致するとこ
ろに到る。この時初めて、反応により生長しつつある半
導体超微粒子は、その設定された特定波長以上の波長の
光を吸収する。この際、適当な光化学反応系があれば光
化学反応が惹起されることになる。例えば以下のように
光重合反応を惹起せしめるようにすれば、この段階では
じめて超微粒子表面で光重合反応が起こり、粒子は生成
ポリマーで被覆安定化される。すなわち、この光化学反
応系のひとつとして、半導体微粒子と電子伝達剤ならび
に不飽和結合を有する単量体からなるところの光触媒重
合反応系が考えられる。これは、半導体粒子が光を吸収
した結果発生した電子あるいは正孔が電子伝達剤へ移動
し、イオンラジカルを発生し、ひきつづき、このイオン
ラジカルが開始剤となり、粒子表面あるいは表面付近で
の単量体の重合反応によりポリマーが生成すると説明さ
れる。
【0010】本発明者らは、半導体超微粒子の合成法
に、このような電子伝達剤を介した光触媒重合反応の応
用をすでに提案している。この触媒重合反応によって生
成したポリマーにより、超微粒子が生長したことによっ
て光触媒反応を起こした超微粒子自身の安定化が生じ、
半導体超微粒子の生長反応はそれ以上進行しないで、粒
子径の制御された超微粒子が得られるものと説明するこ
とができる。しかして、本発明においては、驚くべきこ
とに、不飽和結合を有する単量体のみが共存すれば、半
導体粒子と単量体との間の電子伝達を受け持つ電子伝達
剤がなくとも、基本的に半導体超粒子径制御がなされる
こと、好ましくは、不飽和結合を有する単量体の濃度が
十分高いとき、さらに好ましくは、10ー2Mの濃度以上
であれば、半導体粒子と単量体との間の電子伝達を受け
持つ電子伝達剤がなくとも、半導体超粒子径制御がなさ
れることを見いだし、本発明を完成させた。この反応機
構は必ずしも明かではないが、おそらく半導体超微粒子
が光を吸収した結果発生した電子あるいは正孔が、不飽
和結合を有する単量体濃度が十分高ければ、実用的な効
率で直接または溶媒をへて単量体へ移動し、イオンラジ
カルを発生し、ひきつづき、このイオンラジカルが開始
剤となり、超微粒子表面あるいは表面付近での単量体の
重合反応によりポリマーが生成すると考えられる。その
結果、生成したポリマーによる超微粒子の安定化が生
じ、半導体超微粒子の生長反応はそれ以上進行しない
で、粒子径の制御された超微粒子が得られたものと推定
される。
【0011】以下、本発明の構成について説明するの
に、例示として、元素の周期律表第II−VI族元素化合物
半導体超微粒子を取り上げるが、本発明は酸化物半導体
超微粒子や第III −V 族化合物半導体超微粒子などにも
適用できること、また、光吸収において直接遷移型半導
体については、特に有効であることも当業者であれば、
本明細書記述内容に基づき、容易に理解されるであろ
う。
【0012】まず、周期律表における第II族元素化合
物、不飽和結合を有する単量体を適当な溶媒に溶解させ
た溶液を調製する。II族元素化合物としては過塩素酸カ
ドミウム、硝酸亜鉛などで、用いる溶媒に溶解するもの
であれば、特に制限はない。不飽和結合を有する単量体
としては、好ましくは、スチレン、メタクリル酸メチ
ル、アクリロニトリル、ビニルピロリドン、あるいはこ
れらの混合物などが用いられるが、一般に重合の可能な
単量体であればよい。これらの単量体が共存すれば本質
的には本発明の反応は進むが、粒径の制御効果から濃度
は高いことが好ましく、より好ましい布飽和結合を有す
る単量体の濃度としては、10ー2M以上であればよい。
溶液を生成するための溶媒としては第II族元素化合物、
不飽和結合を有する単量体が溶解できるものであれば、
特に制限がないが、好ましくは、アセトニトリル、ジメ
チルホルムアミド、アセトン、水、あるいはこれらの混
合物などが用いられる。
【0013】第VI族元素化合物は、ガスあるいは溶液と
して用いる。ガスとしては硫化水素やセレン化水素、溶
液としては硫水素化ナトリウムやセレン水素化ナトリウ
ム溶液などを用い得る。上記、第II族元素化合物、不飽
和結合を有する単量体、溶媒からなる溶液を撹拌しなが
ら、第VI族元素化合物をガスあるいは溶液として徐々に
添加してゆく。この際、ガスは反応効率を上げる点か
ら、溶液との接触効率をよくするためにバブリングさせ
ることが好ましい。また、溶液の場合は徐々に滴下する
反応方法をとるのが好ましい。たんに超微粒子表面のポ
リマー安定化だけでなく、粒子径を制御することを望む
時、このことは本発明における主眼であるが、第VI族元
素含有ガスまたは溶液の、第VI族元素濃度とその供給速
度は光触媒重合反応速度との兼ね合いで決定することが
好ましい。なぜなら、光触媒重合反応は粒子の生長反応
と競合過程にあるからである。すなわち、超微粒子が生
成し、粒子径が増大してゆく生長反応の速度(V1とす
る)は第II族元素濃度や温度などの条件を与件とするな
らば、おもに供給する第VI族元素濃度と第II族元素化合
物の濃度の積ならびに原料供給速度に比例する。それに
対して、光触媒重合反応速度(V2とする)は、おもに光
強度、単量体濃度に比例する。
【0014】V1>V2の場合は、特定粒子径の超微粒子が
生成してきたとしても、光触媒重合反応が開始されない
か、あるいは、不十分なうちに生長がさらに進行してし
まい、粒子径を特定した、換言すると粒子径を制御した
光触媒重合反応を起こさせることができない。それゆえ
に、供給する第VI族元素化合物についてはガスの場合
は、ヘリウムや窒素などの不活性ガスで希釈し、また溶
液の場合は濃度を調節することが好ましい。
【0015】本発明における光照射は、水銀灯やキセノ
ン灯を適宜に用いるが、必要な場合には、制御する目的
の粒子径(特定粒子径)に対応した波長(特定波長)の
光を照射するために、ローパスフィルタ、干渉フィルタ
ー等の光学フィルターを用いることや、レーザー光を用
いるなどの手段が採られる。反応容器は、ガスあるいは
溶液供給口、光照射用のガラス面を有した構造のものが
用いられる。このようにして製造された半導体超微粒子
溶液をそのままキャストし、ポリマーフィルムなどにす
ることも可能であり、また、溶媒を除去し、粉体として
取り出すことも可能である。さらに詳しくは、本発明に
おける合成方法で得られた超微粒子は、コロイド溶液や
その濃縮液、または粉体を用いて、後記するような用途
に応じた形態を有する媒体中に分散した良好な分散体と
することができる。
【0016】かかる分散体を調製する方法としては、例
えば、コロイド溶液やその濃縮液に溶解する媒体材料を
溶解させ、溶媒を除去しながら目的の形態を得る方法
や、濃縮液や粉体に媒体材料と相溶するもうひとつの溶
媒を混合し、溶媒を除去しながら目的の形態を得る方
法、粉体と媒体材料を直接混合し、加熱押しだし等によ
り目的の形態を得る方法などがあげられる。
【0017】本発明における媒体材料としては、上記の
ような方法が使えるような溶解性、相溶性を有するもの
であれば良く、フィルムやファイバー等の形態にした場
合の光学材料としての用途から透明性を有することが望
ましい。より具体的には、例えば、ポリアクリル酸メチ
ル、ポリジメチルイタコネートなどのポリアクリル酸エ
ステル類、ポリビニルホルマール等のポリビニルアルコ
ール類、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン、ポリフ
ッ化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル類、ポリアク
リロニトリル等のポリビニルニトリル類、ポリ酢酸ビニ
ル等のポリビニルエステル類、ポリスチレン等のポリス
チレン類、ポリオキシカルボニルオキシ-1,4- フェニレ
ンイソプロピリデン-1,4- フェニレン等のポリカーボネ
ート類、ポリオキシカルボニル-1- ビニルエチレン(ポ
リβ- ビニルβ- プロピオラクトン)、ポリエチレンテ
レフタレート等のポリエステル類、ポリエーテルスルホ
ン、ポリN-1,2,4-トリアゾリルエチレン、塩化ビニルと
酢酸ビニルの共重合ポリマーやスチレンとアクリロニト
リルの共重合ポリマー等の前記ポリマーの共重合ポリマ
ー類、ポリシロキサン類等をあげることができる。ま
た、これらの混合物であってもかまわない。
【0018】濃縮液や粉体と媒体材料を相溶させる場合
に用いる溶媒としては、コロイド溶液との相溶性や超微
粒子の分散性から極性溶媒であることが好ましく、具体
的な例としては、アセトニトリル等のニトリル類、メタ
ノールやエタノール等のアルコール類、水、N,N-ジメチ
ルホルムアミド(DMF)やN,N-ジエチルホルムアミド
等のアミド類、ジプロピルアミン等のアミン類、アニリ
ンやN,N-ジメチルアニリン等のアニリン類、アセトン、
メチルエチルケトン等のケトン類、ジオキサン等のエー
テル類等をあげることができる。また、これらの溶媒を
含む混合溶媒であってもかまわない。特に好ましくは、
N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)やN,N-ジエチルホ
ルムアミド等のアミド類があげられる。
【0019】これらの溶媒を用いて材料を調製する場合
には、媒体材料を含む溶液を塗布し、薄膜としたり、ま
たは、型に入れた後、溶媒は通常良く知られた手法であ
る風乾や減圧または加熱によって除去し、目的の形状に
することができる。また、溶媒を一部除去し、適当な粘
度にした後、圧延や押しだし、または引出しにより目的
とする形態にすることができる。
【0020】非線形光学材料に適した形態としては、例
えばフィルム状や多層膜中の層状、ブロック状、ファイ
バー状、導波路状形態をあげることができる。なお、場
合によっては、上記媒体材料( マトリックス )なしに、
安定化された粒子のみからなる層を一層または多層形成
し、これを例えば導波路中のコンポーネントとすること
も出来る。なお、このような、粒子のみからなる層はそ
のまま使用してもよく、また、所望の形状に形成した上
記した透明な媒体材料( マトリックス )中に層状に担持
させて使用することも出来る。また、本願発明は、気相
中での半導体粒子生成技術についても同様に適用するこ
とが出来る。非線形光学特性の測定方法は種種あるが、
3次の非線形光学材料の非線形性感受率χ(3) の測定方
法として、縮退4光波混合法による位相共役反射波率の
測定が一般的に知られており、この方法を用いて測定す
ることができる。
【0021】
【実施例】以下に実施例に基づき、さらに詳細を述べ
る。 実施例1 過塩素酸カドミウム6水和物2x10-3モル/リットル、ス
チレン単量体2x10-2モル/リットルのアセトニトリル溶
液50ミリリットルを調製した。これを100ミリリットル
枝付きガラス製反応容器に仕込んだ。容器にはガス導入
管が付属しており、導入ガスをバブリングできるように
してある。溶液を撹拌しながら、窒素ガスで置換した
後、500 ワット水銀灯からの光を東芝ガラス (株) 製Y-
44フィルターを通し、反応溶液に照射する。組成が0.1
容量%の硫化水素/ 窒素混合ガスを流量150 ミリリット
ル/分でバブリングさせる。20分経過したのち通気を止
め、反応を終了した。得られた硫化カドミウム超微粒子
コロイド液について可視・紫外吸収スペクトルを測定し
たところ、図1に示す結果を得た。光照射しない場合の
結果である比較例1と比較すると、吸収スペクトルの立
ち上がり波長(光吸収波長端)は、著しく短波長側へ移
動しており、光触媒重合反応による超微粒子の安定化な
らびに粒子径の制御がなされたことを示している。
【0022】比較例1 水銀灯による光照射をしないという以外は、実施例1と
同様におこなった。得られた硫化カドミウム超微粒子コ
ロイド液の可視・紫外吸収スペクトルを図1に併せて示
した。
【0023】実施例2 実施例1と同様に実施したのち、得られたコロイド液中
にガラス基板を浸し、デッピング操作を行った後、溶媒
を除去乾燥したところ、ガラス基板上に良好な透明性を
有した硫化カドミウム超微粒子が分散したポリスチレン
フィルムが得られた。
【0024】実施例3 スチレン単量体濃度を2x10-3モル/リットルにする以外
は、実施例1と同じ条件で硫化カドミウム超微粒子コロ
イド液を合成した。得られた硫化カドミウム超微粒子コ
ロイド液について可視・紫外吸収スペクトルを測定した
ところ、光照射しない場合の結果である比較例1と比較
すると、吸収スペクトルの立ち上がり波長(光吸収波長
端)は、実施例1に比べて効果が小さいものの短波長側
へ移動した。すなわち、光触媒重合反応による超微粒子
の安定化ならびに粒子径の制御がなされたことが示され
る。
【0025】実施例4 過塩素酸カドミウム6水和物2x10-3モル/リットル、ス
チレン単量体2x10-2モル/リットルのアセトニトリル溶
液45ミリリットルを調製した。これを100ミリリットル
枝付きガラス製反応容器に仕込んだ。容器にはガス導入
管が付属しており、導入ガスをバブリングできるように
してある。溶液を撹拌しながら、窒素ガスで置換した
後、500 ワットキセノン灯からの光を東芝ガラス (株)
製Y-46フィルターを通し、反応溶液に照射した。組成が
0.1容量%の硫化水素/ ヘリウム混合ガスを流量350 ミ
リリットル/分でバブリングさせ、45分経過したのち通
気を止め、反応を終了した。得られた硫化カドミウム超
微粒子コロイド液を真空デシケーター中、減圧下で3 ミ
リミットルまで濃縮した。これにスチレン−アクリロニ
トリル共重合ポリマー0.6 グラムを溶解させたN,N-ジメ
チルホルムアミド溶液3 ミリリットルを加え、よく撹拌
した。これをシャーレに滴下し、真空デシケーター中、
減圧下で溶媒を除去したところ、膜厚103 マイクロメー
トルの黄色透明なフィルムが得られた。この可視・紫外
吸収スペクトルを測定した結果を、図2中に示す。光照
射しない場合の分散フィルムである比較例4と比較する
と、吸収スペクトルの立ち上がり波長(光吸収波長端)
は、著しく短波長側へ移動しており、光触媒重合反応に
よる超微粒子の安定化ならびに粒子径の制御がなされた
まま、良好な分散体が調製できたことを示している。こ
のフィルムについて、縮退4光波混合法による位相共役
反射波率の測定を行い、3次の非線形感受率χ(3) を各
波長で求めた。比較のため、膜の吸光度αでわった値χ
(3) /α 静電単位・センチメートルで値を表示する
と、波長450 ナノメートルでは5.4x10-10 静電単位・セ
ンチメートルの値が得られ、各波長での比較でも光照射
しない場合の分散フィルムである比較例4よりも、1.3
〜2 倍の値が得られた。これらの値を図2中に示す。
【0026】比較例2 実施例3と光を照射しないこと以外は同じ条件でコロイ
ド溶液を合成し、フィルムを調製した。この結果膜厚10
6マイクロメートルの黄色透明なフィルムが得られた。
この可視・紫外吸収スペクトルを測定した結果を、図2
中に示す。光照射した場合の分散フィルムである実施例
3と比較すると、吸収スペクトルの立ち上がり波長(光
吸収波長端)は、著しく長波長側へ移動しており、光触
媒重合反応が起こらずに微粒子の粒子径の制御がなされ
ずおおきな粒子ができていることが示されている。この
フィルムについて、縮退4光波混合法による位相共役反
射波率の測定を行い、3次の非線形感受率χ(3) を各波
長で求めた。比較のため、膜の吸光度αでわった値χ
(3) /α 静電単位・センチメートルで値を表示する
と、波長450 ナノメートルでは3.2x10-10 静電単位・セ
ンチメートルの値が得られ、実施例3に比べ小さな値と
なっている。これらの値を図2中に示す。したがって、
光照射によって超微粒子の大きさが制御され、この超微
粒子の分散体が高い非線形性を示すことが示される。
【0027】
【発明の効果】本発明方法によると、粒子径分布が制御
されて広がらず、かつ安定化された超微粒子をコロイド
液、粉末、フィルム等各種の形態で得ることができる。
本発明方法により得られた超微粒子を分散した媒体は、
大きな非線形性を有し、有用な非線形性光学材料を製造
することができる。したがって、非線形光学材料の超微
粒子応用光電子デバイスに大きく貢献することができ
る。また、粒子径分布を制御できることから、新規触媒
等にも本発明方法は貢献することができ、産業上重大な
意義を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1により得られた硫化カドミウ
ム超微粒子コロイド液の可視・紫外吸収スペクトル(実
線)と比較例1のそれ(点線)を示す図。
【図2】本発明の実施例4により得られた硫化カドミウ
ム超微粒子分散フィルムの可視・紫外吸収スペクトル
(実線)及びχ(3) /α(黒丸)と比較例2の可視・紫
外吸収スペクトル(点線)及びχ(3) /α(白丸)を示
す図。
フロントページの続き (72)発明者 八尾 浩史 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 成瀬 功 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶液中で半導体粒子の生成反応を行わせ
    るのに際し、該溶液中に不飽和結合を有する単量体を共
    存させ、光照射して生成することを特徴とする粒子の粒
    子径が制御されかつ安定化された半導体超微粒子の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 溶液中に不飽和結合を有する単量体を1
    ー2M以上の濃度で共存させ、光照射する粒子径が制御
    されかつ安定化された請求項1記載の半導体超微粒子の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2の製造方法によ
    って製造した半導体超微粒子からなる非線形光学材料。
  4. 【請求項4】 半導体超微粒子が媒体中に含有せしめら
    れた請求項3記載の非線形光学材料。
JP18370292A 1991-07-10 1992-07-10 半導体超微粒子の製造方法および非線形光学材料 Pending JPH05184913A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US5993701A (en) * 1996-11-27 1999-11-30 Industrial Science & Technology Third-order nonlinear optical material and method for production thereof
JP2005279328A (ja) * 2004-03-26 2005-10-13 Hamamatsu Photonics Kk 微粒子化条件の決定方法、決定装置、及び微粒子の製造方法、製造装置
JP2006213592A (ja) * 2005-01-06 2006-08-17 Hitachi Software Eng Co Ltd 半導体ナノ粒子表面修飾方法

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