JP3360750B2 - 半導体超微粒子の製造方法および非線形光学材料 - Google Patents

半導体超微粒子の製造方法および非線形光学材料

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JP3360750B2 JP14449293A JP14449293A JP3360750B2 JP 3360750 B2 JP3360750 B2 JP 3360750B2 JP 14449293 A JP14449293 A JP 14449293A JP 14449293 A JP14449293 A JP 14449293A JP 3360750 B2 JP3360750 B2 JP 3360750B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光電子デバイスや非線
形光学材料、化学触媒として利用される、粒子径が制御
され、安定化された半導体超微粒子およびその製造方法
とこれを用いた非線形光学材料に関する。
【0002】
【従来の技術】超微粒子をデバイスに応用しようとする
場合、粒子径が揃い、粒子間の凝集・凝結などが防止さ
れている、即ち、粒子が安定化されていることが好まし
い。例えば、非線形光学材料として用いる場合は、100
オングストローム程度以下の粒子径において発現すると
ころの電子状態の量子閉じ込め効果を利用することが高
性能発現のために推奨されているが、そのためには、粒
子径を好ましくは100オングストローム程度以下にし、
かつ粒子径を揃えること、換言すると粒子径分布を出来
るだけ狭小化することが望ましい。
【0003】本発明において、超微粒子とは、粒子径
(直径)が約10〜1000オングストローム、好ましくは約
10〜100 オングストローム程度の粒子をさす。このよう
な超微粒子は、通常の機械的粉砕などで製造されるマイ
クロメートル程度の粒子径の粉体とは、特性において際
だった差がみられることが少なくなく、電子デバイス、
非線形光学材料、触媒などの材料として注目されてい
る。従来、粒子径が100オングストローム程度以下の半
導体超微粒子を製造する代表的な方法としては、表面が
フェニル基で安定化された硫化カドミウム超微粒子、あ
るいは、セレン化カドミウム超微粒子(L.E.Brusら、米
国化学学会誌、第110巻、3046-3050頁、1988年)や、ヘ
キサメタ燐酸ソーダなどの界面活性剤を用いた硫化カド
ミウム超微粒子の製造方法(A.Hengleinら、ベリヒテ・
デア・ブンゼンゲゼルシャフト・フューア・フィジカリ
ッシェ・ヒェミー Ber.Bunsenges.Phys.Chem.、第88
巻、969-977頁、1984年)などが開示されている。
【0004】前者の方法によると、超微粒子表面がフェ
ニル基で安定化されたものが得られるので、超微粒子を
溶液中で濃縮した場合や、粉末として取り出した場合で
も、超微粒子同士の凝集・焼結による粒子成長が防止さ
れた超微粒子、すなわち安定化された超微粒子が得られ
る。しかしながら、この方法は粒子径制御のために、界
面活性剤を用いる逆ミセル法を採用するので、溶媒抽出
など生成超微粒子取扱いの後続の操作において、複雑な
過程が必要とならざるをえない。後者の方法によると、
超微粒子は、粉体あるいはフィルム中等媒体における分
散体としては製造されず、産業的な有用性においては限
界がある。
【0005】さらに、粒子径制御、粒子径分布幅制御と
いう観点からすると、これらの方法には界面活性剤等の
性能に起因する、及び超微粒子生成反応に伴う化学平衡
に起因する粒子径分布が避けられない、という本質的な
難点が存在する。この点を克服するために、一度製造し
た超微粒子コロイド液をクロマトグラフによる方法で粒
子径毎に分割するという方法が提案されているが(A.He
nglein、ケミカル・レヴィユー Chem.Rev.、第89巻,186
1頁,1989年)、さらに工程を増やすという難点ととも
に、その分割効率は満足のいくものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】半導体超微粒子の粒子
径制御と安定化を目的とした半導体超微粒子の製造方法
に関しては、上記のようにいくつかの方法が提案されて
いるが、生成する半導体超微粒子は、生成過程が種々の
化学平衡に基づくため、粒子径分布が広がることを避け
る事ができない。そのため、粒子径制御については、こ
れら従来技術による方法には本質的に難点があった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、粒子径が
制御され、安定化された半導体超微粒子の製造方法につ
いて鋭意研究してきた結果、前記課題を解決するに至
り、さらにこの製造方法を用いた高性能の非線形光学材
料を発明するに至った。すなわち、溶液中に、不飽和結
合を有する単量体及び製造されるべき半導体の原料を共
存させ、その原料に反応しうる試薬を断続的に供給しな
がら光照射して粒子径を制御し安定化することを特徴と
する半導体超微粒子の製造方法、であり、また溶液中
の、不飽和結合を有する単量体濃度が10ー2モル/リッ
トル以上である半導体超微粒子の製造方法、であり、ま
た、これらの製造方法によって合成した半導体超微粒子
非線形光学材料、であり、また、半導体超微粒子が媒体
中に含有せしめられた非線形光学材料、である。以下、
本発明の各構成要件について詳細に説明する。
【0008】本発明による方法においては、半導体超微
粒子が吸収する紫外・可視光線の長波長吸収端(以後、
光吸収波長端と称す)が粒子径に依存することを巧妙に
応用するのみならず、更に、半導体超微粒子の生成・成
長過程に併せて、その原料に反応しうる試薬を断続的に
供給し、超微粒子生成の初期過程及び成長過程を巧みに
制御し、効率よく粒子径を制御、安定化する点を特徴と
する。一般に、半導体超微粒子は粒子径が小さくなって
ゆくと、電子、正孔の量子閉じ込めによる電子状態エネ
ルギーの底上げが電子スペクトル、すなわち可視・紫外
吸収スペクトルに検出されるようになってくる。この量
子閉じ込めによる電子状態エネルギーの底上げ現象は、
粒子径が小さくなると共に、電子状態遷移に起因する光
吸収が起こる最長波長の光の波長(光吸収波長端)が短
波長側へ移動するという効果を誘起する。上記の現象を
半導体超微粒子の製造過程でみると、超微粒子生成反応
の進行と共に粒子径が徐々に大きくなっていき、その粒
子径に対応して光吸収波長端は長波長側へ移動してゆ
く。
【0009】本発明に於いては、この半導体超微粒子の
製造過程で溶液中に不飽和結合を有する単量体を共存さ
せ、光照射し、断続的に半導体原料に反応しうる試薬を
供給する。この際、照射する光を、特定波長よりも長波
長にのみスペクトル分布を有するように設定しておく
と、粒子径が大きくなっていく成長過程で、半導体超微
粒子の光吸収波長端が、照射光の最短波長(以後、特定
波長と称する)と一致するところに到る。この時初め
て、反応により成長しつつある半導体超微粒子は、その
設定された特定波長以上の波長の光を吸収するのであ
る。この際、適当な光化学反応系を設定しておけば、光
化学反応が引き起こされることになる。
【0010】この光化学反応系のひとつとして、本発明
者らが提案しているのは、半導体微粒子と不飽和結合を
有する単量体からなるところの光触媒重合反応系であ
る。このような、不飽和結合を有する単量体を原料化合
物と共存せしめて、光触媒重合反応系を形成し、好まし
くは、不飽和結合を有する単量体の濃度を十分高からし
めるとき、より好ましくは10ー2モル/リットルの濃度
以上であれば、超微粒子表面あるいはその付近に於ける
光触媒重合反応の効果により半導体超微粒子の粒子径制
御がなされることを本発明者らは見いだしたのである。
【0011】この反応機構は必ずしも明かではないが、
おそらく半導体超微粒子が光を吸収した結果、発生した
電子あるいは正孔が、不飽和結合を有する単量体濃度が
十分高い状態において、実用的な効率で直接または溶媒
を経て生成超微粒子近傍の単量体へ移動してイオンラジ
カルを発生し、ひきつづき、このイオンラジカルが開始
剤となり超微粒子表面あるいは表面付近での単量体の重
合反応によりポリマーが生成すると考えられる。その結
果、生成したポリマーによる超微粒子の保護、安定化が
生じ、半導体超微粒子の成長反応はそれ以上進行しない
で、粒子径の制御された超微粒子が得られたものと推定
される。
【0012】本発明における製造されるべき半導体の原
料とは、目的とする半導体の元素の一部あるいは全部を
有する化合物、単体、混合物である。また、原料に反応
する試薬とは、それと反応を起こして目的とする半導体
を生成することができる試薬を指称するのである。
【0013】しかして、本発明に於いては、ここで示し
た半導体微粒子の生成・成長段階で、その原料に反応し
うる試薬を、「断続的に供給して」合成することを大き
な特徴とする。かくすることにより、一層効率よく光触
媒重合反応による粒子径制御、安定化がなされるのであ
る。ここで効率よくとは、粒子径制御がより明確で、安
定化の効果が大きいことを意味する。
【0014】原料に反応しうる試薬を、「断続的に供給
する」とは、供給→停止→供給→停止→供給→停止──
のサイクルを形成せしめること、より具体的には、系の
中で、反応→停止→反応→停止→反応→停止──のサイ
クルを形成せしめること意味する。かくして、反応が断
続的に行われ、したがって、停止期間は核生成及び微粒
子成長のための熟成期間として機能し、それに引き続く
反応では、光触媒重合系に適した速度での粒子成長が誘
起され、明確にしかも大きな効果で光触媒重合反応によ
る粒子径制御、安定化がなされるのであろうと推定され
る。
【0015】以下、本発明の構成について説明するの
に、典型的な例示として、元素の周期律表第II−VI族元
素よりなる化合物半導体超微粒子を取り上げるが、本発
明は酸化物半導体超微粒子や第III −V 族化合物半導体
超微粒子などにも適用できること、また、光吸収におい
て直接遷移型半導体については、特に有効であることも
当業者であれば、本明細書記述内容に基づき、容易に理
解されるであろう。まず、製造されるべき半導体の原料
として、周期律表における第II族元素化合物原料、不飽
和結合を有する単量体を適当な溶媒に溶解させた溶液を
調製する。第II族元素化合物としては、用いる溶媒に溶
解するものであれば特に制限はなく、例えば、過塩素酸
カドミウム、硝酸亜鉛などの金属化合物が好適に用いら
れる。これらの濃度は、好ましくは10-1モル/リット
ル以下、より好ましくは10-8〜10-2モル/リットル
の濃度に調製される。
【0016】不飽和結合を有する単量体としては、好ま
しくは、スチレン、メタクリル酸メチル、アクリロニト
リル、ビニルピロリドン、あるいはこれらの混合物など
が用いられるが、一般に重合の可能な単量体であればよ
い。これらの単量体が共存すれば本質的には本発明の反
応は進むが、粒径の制御効果から濃度は高いことが好ま
しく、より好ましい不飽和結合を有する単量体の濃度と
しては、10ー2モル/リットル以上であればよい。溶媒
としては第II族元素化合物、不飽和結合を有する単量体
が溶解できるものであれば、特に制限がないが、好まし
くは、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルフォキシド、アセトン、水、あるいはこれらの混
合物などが用いられる。
【0017】原料に反応する試薬であるところの第VI族
元素化合物は、ガスあるいは溶液として用いる。ガスと
しては例えば硫化水素やセレン化水素、溶液としては例
えば硫水素化ナトリウムやセレン水素化ナトリウム溶
液、ビス(トリメチルシリル)硫化物、ビス(トリメチ
ルシリル)セレン化物などを用いうる。上記、製造され
るべき半導体の原料としての第II族元素化合物、不飽和
結合を有する単量体、溶媒からなる溶液を撹拌しなが
ら、原料に反応する試薬であるところの第VI族元素化合
物をガスあるいは溶液として徐々に添加・供給してゆ
く。この際、ガスは反応効率を上げる点から、溶液との
接触効率をよくするためにバブリングさせることが好ま
しい。また、溶液の場合は徐々に滴下・供給することに
よる反応方法をとるのが好ましい。
【0018】本発明においては、かかる原料に反応しう
る試薬を徐々に添加・供給するとき、これを断続的に供
給することを特徴とする。即ち、原料に反応する試薬
を、ある時間供給したら、次はある時間供給をやめ、引
続き試薬をある時間供給し、次は供給をやめる───、
という操作を繰り返しながら合成して行く。供給をやめ
ている供給停止の間は、そのまま放置していてもよい
し、アルゴンや窒素など不活性ガスをバブリングさせて
もよい。なお、光照射は、原料に反応する試薬を供給し
ている時はもちろん行うが、供給していない時は任意で
あり、好ましくは光照射を行わない。
【0019】超微粒子表面のポリマー安定化だけでな
く、粒子径を制御することを望むとき、原料に反応する
試薬としての第VI族元素含有ガスまたは溶液の第VI族元
素濃度と、その供給速度、更には供給のされ方は、光触
媒重合反応速度との兼ね合いで決定することが好まし
い。なぜなら、本発明者らが見いだしたところによれ
ば、光触媒重合反応は粒子の成長反応と競合過程にある
からである。すなわち、超微粒子が生成し、粒子径が増
大してゆく成長反応の速度(V1とする)は、第II族元素
濃度や温度などの条件を与件とするならば、おもに供給
する第VI族元素濃度と第II族元素化合物の濃度の積、原
料供給速度、核生成の速度等に比例する。それに対し
て、光触媒重合反応速度(V2とする)は、おもに光強
度、単量体濃度に比例する。
【0020】本発明者らの検討によると、常にV1>V2の
場合は、特定粒子径の超微粒子が生成してきたとして
も、光触媒重合反応が開始されないか、あるいは、不十
分なうちに成長がさらに進行してしまい、粒子径を特定
した、換言すると粒子径を制御した光触媒重合反応を起
こさせることができないのである。それゆえに、供給す
る第VI族元素化合物についてはガスの場合は、ヘリウム
や窒素などの不活性ガスで希釈し、また溶液の場合は濃
度を調節することが好ましい。これらの濃度としては、
体積分率で10%以下が好ましく、より好ましくは体積
分率1%以下が望ましい。更に、供給の方法を調節する
こと、具体的には、断続的に第VI族元素化合物を供給す
ることで核生成過程及び成長過程を調節して光触媒重合
反応をより効率的に起こさせる。反応溶液の量、濃度に
も依存し、これらは使用する系に対し、実験的に容易に
最適値を決定することが出来るが、例えば、溶液が10
0ミリリットル以下の時は、通常供給速度として1ml
/分〜500ml/分の流量が好適に用いられ、断続の
間隔としては、反応時間( 供給時間 )は数秒から30分
で、停止の時間は1分〜数時間が好ましく適用されるの
である。
【0021】光照射は水銀灯やキセノン灯等を適宜に用
いるが、必要な場合には、制御する目的の粒子径(特定
粒子径)に対応した波長(特定波長)の光を照射するた
めに、ローパスフィルタ、干渉フィルター等の光学フィ
ルター類を用いることや、レーザー光を用いるなどの手
段が採られる。光の強度はより強い方が好ましいが、余
りに強い時は光劣化を引き起こすことがあるので、好ま
しくは0.002 〜10kW/cm2 程度であるのが望まし
い。
【0022】反応容器は、ガスあるいは溶液供給口、光
照射用のガラス面を有した構造のものが用いられる。こ
のようにして製造された半導体超微粒子溶液をキャスト
し、ポリマーフィルムなどにすることも可能であり、ま
た、溶媒を除去し、粉体として取り出すことも可能であ
る。
【0023】したがって、本発明における合成方法で得
られた超微粒子は、コロイド溶液やその濃縮液、または
粉体を用いて、用途に応じたフィルム状や多層膜中の層
状、ブロック状、ファイバー状、導波路状形態等の形態
を有する媒体中に分散した良好な分散体とすることがで
きる。媒体中の分散体を調製する方法としては、例え
ば、コロイド溶液やその濃縮液に溶解する媒体材料を溶
解させ、溶媒を除去しながら目的の形態を得る方法や、
濃縮液や粉体に媒体材料と相溶するもうひとつの溶媒を
混合し、溶媒を除去しながら目的の形態を得る方法、粉
体と媒体材料を直接混合し、加熱押し出し等により目的
の形態を得る方法などがあげられる。
【0024】本発明における媒体材料としては、上記の
ような方法が使えるような溶解性、相溶性を有するもの
であれば良く、フィルムやファイバー等の形態にした場
合の光学材料としての用途から透明性を有することが望
ましい。より具体的には、例えば、ポリアクリル酸メチ
ル、ポリジメチルイタコネートなどのポリアクリル酸エ
ステル類、ポリビニルホルマール等のポリビニルアルコ
ール類、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデン、ポリフ
ッ化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル・ビニリデン
類、ポリアクリロニトリル等のポリビニルニトリル類、
ポリ酢酸ビニル等のポリビニルエステル類、ポリスチレ
ン等のポリスチレン類、ポリオキシカルボニルオキシ-
1,4- フェニレンイソプロピリデン-1,4- フェニレン等
のポリカーボネート類、ポリオキシカルボニル-1- ビニ
ルエチレン(ポリβ- ビニルβ- プロピオラクトン)、
ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル類、ポリ
エーテルスルホン、ポリN-1,2,4-トリアゾリルエチレ
ン、塩化ビニルと酢酸ビニルの共重合ポリマーやスチレ
ンとアクリロニトリルの共重合ポリマー等の前記ポリマ
ーの共重合ポリマー類、ポリシロキサン類等をあげるこ
とができる。また、これらの混合物であってもかまわな
い。
【0025】濃縮液や粉体と媒体材料を相溶させる場合
に用いる溶媒としては、コロイド溶液との相溶性や超微
粒子の分散性から極性溶媒であることが好ましく、具体
的な例としては、アセトニトリル等のニトリル類、メタ
ノール等のアルコール類、水、N,N-ジメチルホルムアミ
ド(DMF)やN,N-ジエチルホルムアミド等のアミド
類、ジプロピルアミン等のアミン類、アニリン等の芳香
族アミン類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類、ジオキサン等のエーテル類等をあげることができ
る。また、これらの溶媒を含む混合溶媒であってもかま
わない。特に好ましくは、DMFやN,N-ジエチルホルム
アミド等のアミド類があげられる。
【0026】これらの溶媒を用いて材料を調製する場合
には、媒体材料を含む溶液を塗布し、薄膜としたり、ま
たは、型に入れた後、溶媒は通常良く知られた手法であ
る風乾や減圧または加熱によって除去し、目的の形状に
することができる。また、溶媒を一部除去し、適当な粘
度にした後、圧延や押し出し、または引出しにより目的
とする形態にすることができる。非線形光学材料に適し
た形態としては、例えばフィルム状や多層膜中の層状、
ブロック状、ファイバー状、導波路状形態をあげること
ができる。
【0027】非線形光学特性の測定方法は種々あるが、
3次の非線形光学材料の非線形性感受率χ(3) の測定方
法として、一例としては縮退4光波混合法による位相共
役反射波率の測定が一般的に知られており、この方法を
用いて測定することができる。なお、図1は本発明の実
施例1により得られた硫化カドミウム超微粒子コロイド
液の可視・紫外吸収スペクトル(実線)と比較例1のそ
れ(点線)及び比較例2のそれ(1点鎖線)を示すもの
である。
【0028】
【実施例】以下に実施例に基づき、さらに詳細を述べ
る。 実施例1 過塩素酸カドミウム6水和物2.0 ×10 -3 モル/リット
ル、スチレン単量体4.0 ×10 -2 モル/リットルのアセ
トニトリル溶液3.0ミリリットルを調製した。これを光
路長1センチメートルの枝付き石英ガラス製反応容器に
仕込んだ。容器にはガス導入管が付属しており、導入ガ
スをバブリングできるようにしてある。
【0029】溶液を撹拌しながら、窒素ガスで置換した
後、500ワットキセノン灯からの光をレンズ系でほぼ平
行光にしてこれを東芝ガラス( 株 )製Y-44フィルターを
通し、反応溶液に照射する。組成が0.019容量%の硫化
水素/ヘリウム混合ガスを流量10ミリリットル/分でバ
ブリングさせる。断続的な硫化水素/ヘリウム混合ガス
の供給は、5分供給の後、10分アルゴンガスバブリン
グ、更に20分静置のサイクルを4回繰り返し、更に引続
き、10分供給、10分アルゴンガスバブリング、20分静置
により行った。この操作により、硫化水素/ヘリウム混
合ガスは、計30分間供給されたことに対応する。尚、光
照射は、硫化水素/ヘリウム混合ガスを通気している間
にのみ行った。
【0030】得られた硫化カドミウム超微粒子コロイド
液について可視・紫外吸収スペクトルを測定したとこ
ろ、図1に示す結果を得た。なお、本発明の実施例1に
より得られた可視・紫外吸収スペクトルは実線で示さ
れ、後記比較例1のそれは点線、比較例2のそれは1点
鎖線で示される。
【0031】図から、光照射しない場合の結果である後
記比較例1と比較すると、吸収スペクトルの立ち上がり
波長(光吸収波長端)は、著しく短波長側へ移動してお
り、光触媒重合反応による超微粒子の安定化ならびに粒
子径の制御がなされたことを示している。更にまた、連
続的に0.019容量%の硫化水素/ヘリウム混合ガスを供給
して得られた後記比較例2の結果と比べると、可視・紫
外吸収スペクトルの絶対的な吸光度は大きく、また、立
ち上がり波長(光吸収端波長)はより短波長に移動し急
峻である。これは、光触媒重合反応が効率的に、即ち、
明確かつ大きな効果が得られた結果である事を示してい
る。
【0032】比較例1 キセノン灯による光照射をしないという以外は、実施例
1と同様におこなった。得られた硫化カドミウム超微粒
子コロイド液の可視・紫外吸収スペクトルを図1に併せ
て示した。
【0033】比較例2 硫化水素/ヘリウム混合ガスを連続的に供給するという
以外は、実施例1と同様におこなった。得られた硫化カ
ドミウム超微粒子コロイド液の可視・紫外吸収スペクト
ルを図1に併せて示した。
【0034】実施例2 スチレン単量体濃度を2.0 ×10 -3 モル/リットルにす
る以外は、実施例1と同じ条件で硫化カドミウム超微粒
子コロイド液を合成した。得られた硫化カドミウム超微
粒子コロイド液について可視・紫外吸収スペクトルを測
定したところ、光照射しない場合の結果である比較例1
と比較すると、吸収スペクトルの立ち上がり波長(光吸
収波長端)は、実施例1に比べて効果が小さいものの短
波長側へ移動した。即ち、光触媒重合反応による超微粒
子の安定化ならびに粒子径の制御がなされたことが示さ
れる。
【0035】実施例3 過塩素酸カドミウム6水和物2.0 ×10 -3 モル/リット
ル、スチレン単量体4.0x10-2モル/リットルのアセトニ
トリル溶液3.0ミリリットルを調製した。これを光路長1
センチメートルの枝付き石英ガラス製反応容器に仕込ん
だ。容器にはガス導入管が付属しており、導入ガスをバ
ブリングできるようにしてある。
【0036】溶液を撹拌しながら、窒素ガスで置換した
後、500ワット超高圧水銀灯からの光をレンズ系でほぼ
平行光にしてこれを東芝ガラス( 株 )製Y-44フィルター
を通し、反応溶液に照射した。組成が0.019容量%の硫
化水素/ ヘリウム混合ガスを流量10ミリリットル/分で
バブリングさせる。断続的な硫化水素/ ヘリウム混合ガ
スの供給は、5分供給の後、10分アルゴンガスバブリン
グ、更に20分静置と云うサイクルを4回繰り返し、更に
引続き、10分供給、10分アルゴンガスバブリング、20分
静置により行った。この操作により、硫化水素/ヘリウ
ム混合ガスは、計30分間供給されたことに対応する。
尚、光照射は、硫化水素/ヘリウム混合ガスを通気して
いる間にのみ行った。
【0037】上記の操作を3回繰り返し、これらを合わ
せた硫化カドミウム超微粒子コロイド液を一旦3ミリリ
ットル程度に濃縮し、ここにスチレン−アクリロニトリ
ル共重合ポリマー0.6グラムを溶解させたN,N-ジメチル
ホルムアミド溶液3ミリリットルを加え、よく撹拌し
た。これをシャーレに滴下し、真空デシケーター中、減
圧下で溶媒を除去したところ、膜厚95マイクロメートル
の淡黄色透明なフィルムが得られた。
【0038】光照射しない場合の分散フィルムである比
較例3と比較すると、吸収スペクトルの立ち上がり波長
(光吸収波長端)は、著しく短波長側へ移動しており、
光触媒重合反応による超微粒子の安定化ならびに粒子径
の制御がなされたまま、良好な分散体が調製できたこと
を示唆する。このフィルムについて、縮退4光波混合法
による位相共役反射波率の測定を行い、3次の非線形感
受率χ(3)を求めた。比較のため、膜の吸光度αでわっ
た値χ(3) /α静電単位・センチメートル(esu ・ cm)
で値を表示すると、波長450ナノメートルでは7.2 ×10
-10esu ・ cmの値が得られ、光照射しない場合の分散フ
ィルムである比較例3よりも、2.3 倍の値が得られた。
【0039】比較例3 実施例3と光を照射しないこと以外は同じ条件でコロイ
ド溶液を合成し、フィルムを調製した。この結果膜厚10
8 マイクロメートルの黄色透明なフィルムが得られた。
光照射した場合の分散フィルムである実施例3と比較す
ると、吸収スペクトルの立ち上がり波長(光吸収波長
端)は、著しく長波長側へ移動しており、光触媒重合反
応が起こらずに微粒子の粒子径の制御がなされず大きな
粒子ができていることが分かった。
【0040】このフィルムについて、縮退4光波混合法
による位相共役反射波率の測定を行い、3次の非線形感
受率χ(3) を求めた。比較のため、膜の吸光度αでわっ
た値χ(3) /α静電単位・センチメートル(esu ・ cm)
で値を表示すると、波長450ナノメートルでは3.1 ×10
-10esu ・ cmの値が得られ、実施例3に比べ小さな値と
なった。したがって、実施例3においては、光照射によ
って超微粒子の大きさが制御され、この超微粒子の分散
体が高い非線形性を示すことが示される。
【0041】
【発明の効果】本発明方法によると、効率的に粒子径が
制御され、粒子径分布が広がらず、かつ安定化された超
微粒子をコロイド液、粉末、フィルム等各種の形態で得
ることができる。本発明方法により得られた超微粒子を
分散した媒体は、大きな非線形性を有し、有用な非線形
性光学材料を製造することができる。したがって、非線
形光学材料の超微粒子応用光電子デバイスに大きく貢献
することができる。また、粒子径分布を極めて効果的に
制御できることから、新規触媒等にも本発明方法は貢献
することが期待され、産業上極めて大なる意義を有する
発明であると云わざるを得ないのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】硫化カドミウム超微粒子コロイド液の可視・紫
外吸収スペクトル
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−189801(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00 - 2/60 B01J 19/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶液中に、不飽和結合を有する単量体及
    び製造されるべき半導体の原料を共存させ、その原料に
    反応しうる試薬を断続的に供給しながら光照射して粒子
    径を制御し安定化することを特徴とする半導体超微粒子
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 溶液中の、不飽和結合を有する単量体濃
    度が10ー2モル/リットル以上である請求項1記載の半
    導体超微粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2の製造方法によ
    って合成した半導体超微粒子非線形光学材料。
  4. 【請求項4】 半導体超微粒子が成形可能な媒体中に含
    有せしめられた請求項3記載の非線形光学材料。
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