JPH05183389A - デジタルフィルタの入力装置 - Google Patents

デジタルフィルタの入力装置

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JPH05183389A
JPH05183389A JP3359939A JP35993991A JPH05183389A JP H05183389 A JPH05183389 A JP H05183389A JP 3359939 A JP3359939 A JP 3359939A JP 35993991 A JP35993991 A JP 35993991A JP H05183389 A JPH05183389 A JP H05183389A
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digital filter
pole
input
digital
data
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JP3359939A
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Inventor
Koichiro Oki
広一郎 太期
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Casio Computer Co Ltd
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Casio Computer Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 使用者が入力するデータによってデジタルフ
ィルタの特性がどのようなものになるか視認できるよう
にする。 【構成】 マウス4の位置データに変化があれば(スイ
ッチ21)、その位置データをデジタルフィルタのZ平
面上の極の位置データに変換し(ステップS22)、次
いで、表示装置3の前回の極を消去し、今回の新しい極
の位置を表示する(ステップS23)。ステップS24
では新たな極の位置データによりデジタルフィルタ係数
を算出し、その係数をデジタルフィルタ回路6に転送す
る(ステップS25)。すなわち、デジタルフィルタの
極の位置を自由に動かすことにより、デジタルフィルタ
の係数を決定するためのデジタルフィルタのカットオフ
周波数とレゾナンスとを同時に、可変することが可能と
なる。そして、デジタルフィルタ回路6では転送された
フィルタ係数に応じてデジタルフィルタの特性が決定さ
れ、音源5からの波形値データに対してフィルタリング
が行われ、デジタル信号処理により所望の音色の楽音信
号が作成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子楽器等に利用され
るデジタルフィルタの入力装置に係わり、詳しくはデジ
タルフィルタの各種係数を外部から入力して変更可能で
あるとともに、デジタルフィルタの極の位置を表示可能
なデジタルフィルタの入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子楽器の楽音生成処理等にデジ
タルフィルタが用いられており、このようなデジタルフ
ィルタのフィルタ係数を外部から入力して変更し、各種
の電子音の生成に利用する試みが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
従来の電子楽器等に用いられるデジタルフィルタの入力
装置にあっては、デジタルフィルタのカットオフ周波数
を入力する手段と、レゾナンス(共振点の先鋭度)を入
力する手段とが別々に配置されている場合が多い。そし
て、この2つの手段により、デジタルフィルタのカット
オフポイントおよびレゾナンスを可変することによって
種々の特性のデジタルフィルタを作成することを可能に
している。
【0004】しかしながら、2つの手段によってはデジ
タルフィルタの周波数特性のうちのカットオフポイント
とレゾナンスの度合いしか決定されないから、周波数特
性全体がどのようなものか、使用者にはイメージしにく
く、また作られるデジタルフィルタの特性もこの2つの
パラメータからだけでは、非常に大まかなものとなり、
使用者の意図する特性とするには、かなりの熟練を必要
としていた。
【0005】このため、楽音作成の自由度が減り、幅広
い音色の楽音を作成するのは困難であった。
【0006】また、入力する信号を連続して特性の変化
するデジタルフィルタで処理させたいような場合には、
デジタルフィルタの周波数特性をどのように変化させれ
ばよいのか、従来の2つの手段だけではそのイメージを
つかむことは、さらに困難になり、使用者の意図する特
性を作り出すことができなかった。
【0007】そこで本発明は、使用者の意図するデジタ
ルフィルタの特性を作り出せるように、その特性を容易
に視認することのできるデジタルフィルタの入力装置を
提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の発明によるデジタルフィルタの入力
装置は、入力される信号をフィルタリングして出力する
デジタルフィルタ手段と、このデジタルフィルタ手段の
Z平面の単位円上の極の位置を入力する入力手段と、入
力手段によって入力された極の位置に応じてフィルタ係
数を算出する演算手段と、演算手段によって算出された
フィルタ係数を前記デジタルフィルタ手段に転送する転
送手段と、前記入力手段の入力情報に基づいて前記デジ
タルフィルタ手段のZ平面の単位円上における極の位置
を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】また、請求項2記載の発明によるデジタル
フィルタの入力装置は、入力される信号をフィルタリン
グして出力するデジタルフィルタ手段と、このデジタル
フィルタ手段のZ平面の単位円上の極の位置を入力する
入力手段と、入力手段によって入力された極の位置に応
じてフィルタ係数を算出する演算手段と、演算手段によ
って算出されたフィルタ係数を前記デジタルフィルタ手
段に転送する転送手段と、前記入力手段で入力される極
の位置を移動させたときに極の位置データを順次連続し
て記憶する記憶手段と、この記憶手段の記憶情報に基づ
いて前記デジタルフィルタ手段の極の位置および極の移
動軌跡を表示する表示手段と、を備えたことを特徴とす
る。
【0010】
【作用】請求項1記載の発明では、入力手段によってデ
ジタルフィルタの極の位置が入力されると、この入力さ
れた極の位置に応じて演算手段によりフィルタ係数が算
出され、デジタルフィルタに転送される。そして、デジ
タルフィルタでは転送されたフィルタ係数に応じてフィ
ルタの特性が決定され、デジタル信号処理により音色が
作成される。また、入力手段の入力情報に基づき表示手
段によってデジタルフィルタのZ平面の単位円上におけ
る極の位置が表示される。
【0011】したがって、極の位置を自由に動かすこと
により、フィルタ係数を決定するためのデジタルフィル
タのカットオフ周波数とレゾナンスとを同時に可変させ
ることが可能となり、楽音作成の自由度が増加し、幅広
い音色の楽音作りができる。また、Z平面上の極の位置
が表示されるため、フィルタの特性がどのようなものか
が容易にイメージでき、使用者の意図するデジタルフィ
ルタの特性を作り出すことが容易になる。
【0012】請求項2記載の発明では、上記に加えて、
入力される極の位置を連続的に移動させることによる極
の移動軌跡データが順次記憶手段に記憶され、この記憶
情報に基づき表示手段によってデジタルフィルタの極の
位置および極の移動経路が表示される。
【0013】したがって、カットオフ周波数に対応する
カットオフポイントとレゾナンスの移動軌跡を視認で
き、これに伴うデジタルフィルタの特性の変化を再現す
ることが容易で、幅広い音色楽音作りが可能になる。
【0014】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。図1は本発明に係るデジタルフィルタの入
力装置を備えた電子楽器の一実施例の全体構成を示すブ
ロック図である。
【0015】図1において、この電子楽器は大きく分け
て、CPU1、スイッチ部2、表示装置3、マウス4、
音源5、デジタルフィルタ回路(デジタルフィルタ手
段)6、D/A変換器7、ローパスフィルタ8、アンプ
9およびスピーカ10によって構成される。
【0016】CPU1は楽器全体を制御するもので、C
PU1には制御プログラムや各種データを記憶している
ROMや演算でワーキングメモリとして使用するRAM
が内蔵されている。また、CPU1にはスイッチ部2、
表示装置3、マウス4、音源5およびデジタルフィルタ
回路6が接続されている。
【0017】スイッチ部2には各種機能キー21および
鍵盤22が設けられている。各種機能キー21はCPU
1に対して操作情報を入力するもので、音色指定キーや
自動演奏スタートキー等が配置されており、これらのキ
ーの操作情報および鍵盤22の操作情報はCPU1に与
えられる。
【0018】マウス(入力手段)4はデジタルフィルタ
回路6の極(以下、適宜デジタルフィルタおよびデジタ
ルフィルタの極と略称する)の位置を入力したり、その
他必要なデータを入力するために使用され、この入力情
報はCPU1に与えられる。CPU1はマウス4からの
位置情報により表示装置3に極の位置を変更するための
データを送る。表示装置(表示手段)3は例えばLCD
からなり、マウス4からの入力情報に基づくCPU1か
らのデータに応じてデジタルフィルタ回路6の極の位置
を表示する。
【0019】音源5にはCPU1から発音を行うために
必要な各種データが与えられ、音源5は与えられた各種
データを処理して発音のための波形値(例えば、楽音信
号生成のための波形値)を演算してデジタルフィルタ回
路6に出力する。
【0020】また、CPU1はマウス4から極の位置が
入力されると、この入力された極の位置に応じてデジタ
ルフィルタ係数を演算し、デジタルフィルタ回路6にデ
ジタルフィルタ係数を転送する。デジタルフィルタ回路
6は転送されたデジタルフィルタ係数に応じてデジタル
フィルタの特性を決定し、音源5からの波形値データに
フィルタリングを行ってD/A変換器7に出力する。し
たがって、デジタル信号処理により所定の楽音の音色が
作成される。CPU1は演算手段および転送手段として
の機能を有する。
【0021】D/A変換器7はデジタルフィルタ回路6
によって作成されたデジタル値で表される楽音信号をア
ナログ値に変換し、アナログ値に変換された信号はロー
パスフィルタ8およびアンプ9を介した後、スピーカ1
0により放音される。
【0022】次に、CPU1による楽音発生およびデジ
タルフィルタ処理のフローチャートを説明する。
【0023】図2は楽音発生のメインフローである。こ
の電子楽器に設けられている電源スイッチを投入する
と、このメインフローがスタートし、CPU1はイニシ
ャライズ(イニシャル処理:初期設定)を行う(ステッ
プS1)。このイニシャライズではCPU1の内部レジ
スタがクリアされるとともに、初期値の設定等が行われ
る。
【0024】次いで、ステップS2でスイッチ部2にお
ける前記各種機能キー21の操作状態や鍵盤22の押
鍵、離鍵状態を、このメインフローの1周期毎に取り込
み、ステップS3でキーバッファ領域のレジスタに記憶
する(これは機能キー取り込み処理に相当する)。
【0025】そして、ステップS4で、このレジスタに
記憶された各種機能キー21の操作状態および鍵盤22
の押鍵、離鍵状態により各種フラグレジスタのフラグ処
理を行う(これは機能キー処理に相当する)。例えば、
楽音の音色、音量等に対応するフラグ処理である。
【0026】次いで、ステップS5でマウス状態取り込
み処理、すなわちマウス4からの位置情報をCPU1に
取り込み、マウス4によって指定されるデジタルフィル
タの極の位置に変化があれば、ステップS6でCPU1
は表示装置3とデジタルフィルタ回路6に新しい極の位
置によって演算したデータを送る。
【0027】これにより、デジタルフィルタ回路6では
転送されたデータ、すなわちデジタルフィルタ係数に応
じてデジタルフィルタの特性が決定されて音源5からの
波形値データにフィルタリングが行われ、デジタル信号
処理により所望の音色の楽音信号が作成される。これ
は、デジタルフィルタ処理に相当し、詳細は後述のサブ
ルーチンで示される。
【0028】次いで、ステップS7で鍵盤取り込み処
理、すなわち鍵盤22の押鍵、離鍵操作情報をCPU1
に取り込み、ステップS8で押鍵、離鍵操作状態により
発音処理に必要なデータをセットする。そして、これら
の処理を行った後、このメインフローで必要なタイマ値
を得るために、フローチャートの1周時間を基に演算を
行い、例えば96分音符値やエンペロープ用タイマ値等
を得る(ステップS9のタイマ処理)。
【0029】さらに、前記ステップS4でセットされた
フラグレジスタから実際に発音を行うための各種演算を
行って音源5にデータをセットする発音処理を行う(ス
テップS10)。
【0030】これにより、音源5に対してCPU1から
発音を行うために必要な各種データが与えられ、音源5
では与えられた各種データが処理されて発音のための波
形信号が作成され、デジタルフィルタ回路6に出力され
る。その後、デジタル信号処理により所望の音色の波形
信号が作成され、このデジタル波形信号がアナログ値に
変換されてローパスフィルタ8およびアンプ9を介した
後、スピーカ10から放音される。
【0031】ステップS11ではフロー1周準備処理、
すなわちこのフローチャート1周毎に必要な各種処理
(例えば、フラグの整理)を行い、以後、電源がオン状
態にある限り、ステップS2からステップS11のルー
プを繰り返す。
【0032】次に、図3は前記ステップS6におけるデ
ジタルフィルタ処理の詳細なサブルーチンである。ステ
ップS21では、前記ステップS5で取り込んだマウス
4の位置データに変化があったか否かを判別し、変化が
あればマウス4の位置データをデジタルフィルタのZ平
面上の極の位置データに変換する(ステップS22)。
マウス4の位置データは、例えばX軸、Y軸データによ
って求め、変化の有無を判断する。
【0033】次いで、表示装置3の前回の極を消去し、
今回の極の位置を表示する(ステップS23)。すなわ
ち、表示装置3の画面から現在表示してある極を意味す
る図形を消去し、その後、表示装置3に対して新しい極
の位置に今回の極を意味する図形を表示するためのデー
タを送り、画面に表示させる。ただし、この例では後述
のようにZ平面上の零点を固定している。
【0034】次いで、ステップS24で新たな極の位置
データによりデジタルフィルタの係数(フィルタ係数)
を算出し、その係数をデジタルフィルタ回路6に転送す
る(ステップS25)。その後、次の処理に移行する。
【0035】これにより、デジタルフィルタ回路6では
転送されたフィルタ係数に応じてデジタルフィルタの特
性が決定され、音源5からの波形値データに対してフィ
ルタリングが行われ、デジタル信号処理により所望の音
色の楽音信号が作成される。
【0036】一方、ステップS21において、取り込ん
だマウス4の位置データに変化がない場合には、上記ス
テップS22〜ステップS25をジャンプし、次の処理
に移行する。したがって、前回のフィルタ係数のままで
デジタルフィルタ回路6の特性が決定され、フィルタリ
ングが行われる。
【0037】ここで、図4は表示装置3の画面上に表示
されるデジタルフィルタの特性を図形化した一例を示す
ものである。図4は実数軸Reと虚数軸Imとからなる
座標平面(Z平面)で示されるデジタルフィルタの伝達
関数を表示しており、デジタルフィルタの特性上、伝達
関数のすべての極α1、α2が単位円内に存在すること
が、デジタルフィルタの安定上必要である。
【0038】したがって、図4はデジタルフィルタが安
定して動作するための単位円31も示している。単位円
31の内部にある極1(α1)と極2(α2)とは共役で
あり、実数軸Reに対して常に対象に置かれるので、マ
ウス4で動かす極は、実際上は極1だけでよい。
【0039】また、ZPは零点であり、零点ZPは固定
となっている。なお、零点ZPが−1側にあるときはロ
ーパスフィルタ、+1側にあるときはハイパスフィルタ
となる。そして、極が単位円31に近づけば近づく程、
レゾナンスが大きくなる(先鋭度がシャープになる)。
また、極の実数軸Re上の位置に応じてカットオフ周波
数が変化し、例えば極が−1に近づく程、カットオフ周
波数が高くなる。
【0040】本実施例は2次のIIR型デジタルフィル
タの例であり、その伝達関数H(z)は次の数式1(い
わゆる2次バターワースLPFの伝達関数)で表され
る。
【数1】
【0041】数式1から極、零点を求めるために、数式
1の分母、分子にz2を乗じ、次の数式2のように変形
する。
【0042】
【数2】
【0043】数式2に対して因数分解を実行すると、 極:α1=0.57149+j0.2936 α2=0.57149−j0.2936 零点:β1=−1、β2=−1(重根)となり、Z平面上
の位置は図4に示す通りである。極α1、α2が単位円内
に位置するので、このデジタルフィルタは安定となる。
【0044】図5は数式1の伝達関数によって表される
デジタルフィルタの回路構成の一例を示している。図5
において、41〜43はそれぞれ入力される信号に対し
て乗算係数a0、a1、a2で乗算を行う乗算器、44、
45はそれぞれ入力される信号に対して乗算係数b1
2で乗算を行う乗算器、51〜54は入力信号を遅延
させて各乗算器42、43、53、54に供給する遅延
器、61は各乗算器41〜45からの出力の総和を求め
る加算器であり、加算器61の出力がデジタルフィルタ
の出力として取り出される。
【0045】このように、本実施例ではマウス4によっ
てデジタルフィルタの極の位置が入力されると、この入
力された極の位置に応じてCPU1によりフィルタ係数
が演算され、デジタルフィルタに転送される。そして、
デジタルフィルタでは転送されたフィルタ係数に応じて
フィルタの特性が決定され、デジタル信号処理により所
望の音色の楽音信号が作成される。また、このときマウ
ス4の入力情報(位置情報)に基づき表示装置3によっ
てデジタルフィルタの極の位置が表示される。
【0046】したがって、マウス4の操作によって極の
位置を自由に動かすことにより、デジタルフィルタの係
数を決定するためのデジタルフィルタのカットオフ周波
数とレゾナンスとを同時にしかも自由に動かすことが可
能となり、楽音作成の自由度が増加し、幅広い音色作り
をすることができる。
【0047】また、表示装置3ではこうして入力される
フィルタ係数より求まるZ平面上の極の位置が表示され
るため、極とその係数でのフィルタ効果の相関を容易に
イメージすることができ、デジタル信号処理を十分に行
うことができる。
【0048】すなわち、デジタルフィルタのZ平面上の
極の位置がデジタルフィルタが安定して動作する単位円
内のどの位置にあるかを容易にかつ的確に知ることがで
きる。したがって、例えばデジタルフィルタの特性を変
更したような場合に、その変更後の特性が作成された楽
音の音色にどのように影響するかを容易に知ることがで
き、デジタル信号処理の効果を十分に発揮することがで
きる。このような効果は、例えばデジタル信号処理の学
習をする上においても有効である。
【0049】次に、図6、図7は本発明に係るデジタル
フィルタの入力装置を備えた電子楽器の他の実施例を示
す図であり、本実施例のハード的構成およびメインフロ
ーは前記実施例と同様であるため、省略する。
【0050】図6はデジタルフィルタ処理のサブルーチ
ンを示すフローチャートである。図6において、まずス
テップS71でデジタルフィルタタイマが一定値になっ
たか否かを判別する。デジタルフィルタタイマは前述し
た図2のステップS9においてメインフローで必要なタ
イマ値を得るために、時間計測を行っているものであ
る。
【0051】ステップS71の判別結果、デジタルフィ
ルタタイマが一定値になったときはステップS72でデ
ジタルフィルタの入力モードを判別する。この入力モー
ドはマウス4のスイッチ操作によって決定されるもの
で、次の3つの態様がある。このスイッチ操作として
は、例えば左右のマウススイッチのクリック操作を1回
あるいは2回実行することによって3つの態様を実現す
る。
【0052】 ・ノーマルモード ・書き込みモード ・再現モード
【0053】ノーマルモード ノーマルモードは、通常のモードであり、新しい極の位
置を指定し、デジタルフィルの係数を算出するものであ
る(極の軌跡は描かない)。ノーマルモードと判断した
ときは、まずステップS73でノーマルモードの開始で
あるか否かを判別し、YESのときは続くステップS7
4で表示装置3の表示画面を初期化する。すなわち、前
回まで他のモードであったので、極の軌跡等の消去を行
う。一方、ノーマルモードの開始でないときは、表示画
面の初期化を省略してステップS75に進む。
【0054】ステップS75では、マウス4の位置デー
タをZ平面上の極の位置データに変換するとともに、ス
テップS76で表示装置3に現在表示してある極を意味
する図形を消去し、新しい極の位置を意味する図形を表
示するためのデータを表示装置3に送り、この図形を表
示させる。
【0055】次いで、ステップS77で今回の極の位置
データに基づいてデジタルフィルの係数を算出し、その
係数をデジタルフィルタ回路6に転送する(ステップS
78)。その後、次の処理に移行する。これにより、デ
ジタルフィルタ回路6では転送されたフィルタ係数に応
じてデジタルフィルタの特性が決定され、音源5からの
波形値データに対してフィルタリングが行われ、デジタ
ル信号処理により音色が作成される。
【0056】書き込みモード 書き込みモードは、新しい極の位置を順次書き込んでい
く処理を行うものである。書き込みモードと判断したと
き(例えば、スタートスイッチの操作によって判断)
は、まずステップS81で書き込みモードの開始である
か否かを判別し、YESのときは続くステップS82で
極の位置を記憶するためのCPU1内のRAMに対する
アドレスを指定するレジスタに、極の位置記憶の先頭ア
ドレスをセットする。
【0057】次いで、ステップS83で表示装置3の表
示画面を初期化する。すなわち、前回まで書き込み以外
の他のモードであったので、極の軌跡等の消去を行うた
めに初期化処理を行う。一方、書き込みモードの開始で
ないときは、表示画面の初期化を省略してステップS8
4に進む。
【0058】ステップS84では、マウス4の位置デー
タをZ平面上の極の位置データに変換するとともに、こ
の変換した極の位置データを前述したRAMに書き込
み、そのアドレスを指定するレジスタのアドレスデータ
を[1]だけインクリメントする(ステップS85)。
これにより、次の極の位置データをRAMに書き込む準
備が行われる。
【0059】次いで、ステップS86で今回の極の位置
を意味する図形を表示するためのデータを表示装置3に
送り、この図形を表示装置3に表示させる。その後、ノ
ーマルモードの場合と同様にステップS77、ステップ
S78を実行する。
【0060】したがって、新しい極の位置がアドレスを
指定しながらCPU1内のRAMに順次書き込まれてい
くとともに、新しい極の位置データに基づいてデジタル
フィルタの係数が算出され、その係数がデジタルフィル
タ回路6に転送されてデジタルフィルタの特性が決定さ
れ、音源5からの波形値データに対してフィルタリング
が行われ、デジタル信号処理により所望の音色の波形信
号が作成される。
【0061】再現モード 再現モードは、極の移動軌跡を再現する処理を行うもの
である。再現モードと判断したときは、まずステップS
91で再現モードの開始であるか否かを判別し、YES
のときは続くステップS92で極の位置を記憶している
CPU1内のRAMに対するアドレスを指定するレジス
タに、極の位置記憶の先頭アドレスをセットする。
【0062】次いで、ステップS93で表示装置3の表
示画面を初期化する。すなわち、前回まで再現モード以
外の他のモードであったので、前回までの不要な画面の
消去を行うために初期化処理を行う。一方、再現モード
の開始でないときは、表示画面の初期化を省略してステ
ップS94に進む。
【0063】ステップS94では、極の位置データを前
述したRAMから読み出し、RAMのアドレスを指定す
るレジスタからのアドレスデータを[1]だけインクリ
メントする。これにより、次の極の位置データをRAM
から読み出す準備が行われる。
【0064】次いで、ステップS86に進み、前述した
書き込みモードの場合と同様に、極の位置を意味する図
形を表示するためのデータを表示装置3に送り、この図
形を表示装置3に表示させる。その後、ステップS7
7、ステップS78を実行する。
【0065】したがって、記憶された極の位置がアドレ
スを指定しながらCPU1内のRAMから順次読み出さ
れていくとともに、その読み出した極の位置データに基
づいてデジタルフィルタの係数が算出され、その係数が
デジタルフィルタ回路6に転送されてデジタルフィルタ
の特性が決定され、音源5からの波形値データに対して
フィルタリングが行われ、デジタル信号処理により音色
が作成される。
【0066】このように、本実施例ではマウス4によっ
てデジタルフィルタの極の位置が入力されると、この入
力された新しい極の位置がCPU1内のRAMに順次書
き込まれつつ、デジタルフィルタの係数が算出されてデ
ジタルフィルタ処理が行われる。また、表示装置3には
RAMに書き込む極の位置を意味する図形が表示される
とともに、記憶された極の位置がRAMから順次読み出
され、その軌跡が表示装置3によって表示される。
【0067】ここで、図7は表示装置3の画面上に表示
されるデジタルフィルタの特性を図形化した一例を示す
もので、特に書き込みモードのときの表示例である。単
位円31等の表示は前述した図4の場合と同様である。
単位円31の内部にある極1(α1)と極2(α2)とは
共役であり、同図に示す最初の位置が始点となってい
る。また、これらの極1、極2は実数軸Reに対して常
に対象に置かれるので、マウス4で動かす極は、実際上
は極1だけでよい。
【0068】また、零点ZPは固定で重極となってい
る。図7に示すものは、2次のIIR型デジタルフィル
タの例であり、その伝達関数H(z)は前述した数式1
で表される(同様なので省略する)。図7では極1およ
び極2のそれぞれの移動の軌跡が表示されている。
【0069】なお、本実施例の場合、数式1の伝達関数
によって表されるデジタルフィルタの回路構成の一例は
前述した図5に示すものと同様であるため、省略する。
【0070】このように、本実施例にあっては、マウス
4の操作によって極の位置を連続的に動かすとき、極の
移動による極の移動軌跡データが順次記憶され、この記
憶情報に基づき表示装置3によってデジタルフィルタの
極の位置および極の移動軌跡が表示される。
【0071】したがって、カットオフ周波数に対応する
カットオフポイントとレゾナンスの連続的変化がその極
の移動軌跡を視認することにより、確認することがで
き、それに応じて変化するフィルタ係数に関するデータ
を順次連続的に記憶し、この記憶されたデータを順次読
み出すことにより、カットオフポイントおよびレゾナン
スの変化を再現することが容易となり、幅広い音色の楽
音作りが可能になるという効果が得られる。そのため、
例えばプリセットされている音色をエディットするとき
にも有効であるという利点がある。
【0072】なお、本発明の範囲内で種々の変形が可能
である。例えば、上記実施例ではデジタルフィルタとし
て2次のIIR型デジタルフィルタの例で説明したが、
高次のデジタルフィルタで複数の極の位置をマウスによ
って設定し、そのうちの1点(1つの極)をマウスで選
択し、動かすようにしてもよい。
【0073】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、入力手段
の操作によって極の位置を自由に動かすことにより、そ
れに対応してデジタルフィルタの係数を決定するための
デジタルフィルタのカットオフ周波数とレゾナンスとを
同時に、しかも極めて広範囲でかつ精密に自由に動かす
ことが可能となり、波形信号作成の自由度が増加し、幅
広い音色の楽音信号作りをすることができる。
【0074】また、表示手段ではZ平面上の極の位置が
表示されるので、フィルタの特性がどのようなものかを
容易にイメージすることができ、使用者の意図するデジ
タル信号処理を行うことができる。すなわち、デジタル
フィルタのZ平面上の極の位置がデジタルフィルタが安
定して動作する単位円内のどの位置にあるかで、カット
オフポイント、レゾナンスの大きさを容易にかつ的確に
知ることができる。
【0075】したがって、例えばデジタルフィルタの特
性を変更したような場合に、その変更後の特性が波形信
号作成にどのように影響するかを容易に知ることがで
き、デジタル信号処理の効果を十分に発揮することがで
きる。このような効果は、例えばデジタル信号処理の学
習をする上においても有効である。
【0076】また、請求項2記載の発明では、上記効果
に加えて、極の移動による極の移動軌跡データを順次連
続的に記憶手段に記憶し、この記憶情報に基づき表示手
段によってデジタルフィルタの極の位置および極の移動
軌跡を表示しているので、この極移動に伴うカットオフ
周波数に対応するカットオフポイントとレゾナンスの変
化を視認することができ、そのフィルタ係数に関するデ
ータを記憶し、さらにこのデータに基づいて再現するこ
とが容易となり、幅広い音色の楽音信号作りをすること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るデジタルフィルタの入力装置を備
えた電子楽器の一実施例の全体構成を示すブロック図で
ある。
【図2】同実施例の楽音発生処理のメインフローチャー
トである。
【図3】同実施例のデジタルフィルタ処理の詳細なサブ
ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】同実施例の表示装置の画面上に表示されるデジ
タルフィルタの特性を図形化した一例を示す図である。
【図5】同実施例の数式1の伝達関数によって表される
デジタルフィルタの回路構成の一例を示す図である。
【図6】本発明に係るデジタルフィルタの入力装置を備
えた電子楽器の他の実施例のデジタルフィルタ処理のサ
ブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】同実施例の表示装置の画面上に表示されるデジ
タルフィルタの特性を図形化した一例を示す図である。
【符号の説明】
1 CPU(演算手段、転送手段) 2 スイッチ部 3 表示装置(表示手段) 4 マウス(入力手段) 5 音源 6 デジタルフィルタ回路(デジタルフィルタ手段) 7 D/A変換器 8 ローパスフィルタ 9 アンプ9 10 スピーカ 21 各種機能キー 22 鍵盤

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力される信号をフィルタリングして出
    力するデジタルフィルタ手段と、 このデジタルフィルタ手段のZ平面の単位円上の極の位
    置を入力する入力手段と、 入力手段によって入力された極の位置に応じてフィルタ
    係数を算出する演算手段と、 演算手段によって算出されたフィルタ係数を前記デジタ
    ルフィルタ手段に転送する転送手段と、 前記入力手段の入力情報に基づいて前記デジタルフィル
    タ手段のZ平面の単位円上における極の位置を表示する
    表示手段と、 を備えたことを特徴とするデジタルフィルタの入力装
    置。
  2. 【請求項2】 入力される信号をフィルタリングして出
    力するデジタルフィルタ手段と、 このデジタルフィルタ手段のZ平面の単位円上の極の位
    置を入力する入力手段と、 入力手段によって入力された極の位置に応じてフィルタ
    係数を算出する演算手段と、 演算手段によって算出されたフィルタ係数を前記デジタ
    ルフィルタ手段に転送する転送手段と、 前記入力手段で入力される極の位置を移動させたときに
    極の位置データを順次連続して記憶する記憶手段と、 この記憶手段の記憶情報に基づいて前記デジタルフィル
    タ手段の極の位置および極の移動軌跡を表示する表示手
    段と、 を備えたことを特徴とするデジタルフィルタの入力装
    置。
JP3359939A 1991-12-27 1991-12-27 デジタルフィルタの入力装置 Pending JPH05183389A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7499895B2 (en) 2002-02-21 2009-03-03 Sony Corporation Signal processor

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