JPH05180309A - 車両用遊星歯車式変速機の潤滑装置 - Google Patents
車両用遊星歯車式変速機の潤滑装置Info
- Publication number
- JPH05180309A JPH05180309A JP36010491A JP36010491A JPH05180309A JP H05180309 A JPH05180309 A JP H05180309A JP 36010491 A JP36010491 A JP 36010491A JP 36010491 A JP36010491 A JP 36010491A JP H05180309 A JPH05180309 A JP H05180309A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gear
- lubricating oil
- rotating shaft
- planetary gear
- carrier
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
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Classifications
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16H—GEARING
- F16H57/00—General details of gearing
- F16H57/04—Features relating to lubrication or cooling or heating
- F16H57/048—Type of gearings to be lubricated, cooled or heated
- F16H57/0482—Gearings with gears having orbital motion
Landscapes
- Engineering & Computer Science (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- General Details Of Gearings (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 リングギヤ入力、キャリヤ出力形式の遊星歯
車装置において車両の被牽引時においても遊星ギヤの潤
滑が可能な車両用遊星歯車式変速機の潤滑装置を提供す
る。 【構成】 被牽引走行時において掻き上げられ且つ円筒
状の潤滑油案内部材200により案内された潤滑油は、
有底円筒状動力伝達部材201の環状突起202内に受
け入れられ、さらにその第1貫通穴206および連結部
材158の第2貫通穴208を通ってピン連結部210
の案内溝212に受けられ、径方向溝214を通ってキ
ャリヤピン160の潤滑油路216内へ導かれ、ピニオ
ンピン160によりベアリング161を介して支持され
る遊星ギヤ94が好適に潤滑される。このため、車両の
被牽引時における遊星ギヤ94の潤滑が可能となり、潤
滑不良による焼付などが好適に解消される。
車装置において車両の被牽引時においても遊星ギヤの潤
滑が可能な車両用遊星歯車式変速機の潤滑装置を提供す
る。 【構成】 被牽引走行時において掻き上げられ且つ円筒
状の潤滑油案内部材200により案内された潤滑油は、
有底円筒状動力伝達部材201の環状突起202内に受
け入れられ、さらにその第1貫通穴206および連結部
材158の第2貫通穴208を通ってピン連結部210
の案内溝212に受けられ、径方向溝214を通ってキ
ャリヤピン160の潤滑油路216内へ導かれ、ピニオ
ンピン160によりベアリング161を介して支持され
る遊星ギヤ94が好適に潤滑される。このため、車両の
被牽引時における遊星ギヤ94の潤滑が可能となり、潤
滑不良による焼付などが好適に解消される。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は車両用遊星歯車式変速機
の潤滑装置に関するものである。
の潤滑装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】たとえば、特開平2−107859号公
報に記載されている車両用遊星歯車式変速機が知られて
いる。この遊星歯車式変速機では、減速ギヤが掻き上げ
た潤滑油を、遊星歯車装置の出力部材であるキャリヤに
設けたレシーバで受けて、ピニオンピンの端面に開口す
る潤滑油路へ供給することにより、そのピニオンピンに
より回転可能に支持された遊星ギヤを潤滑するように構
成されている。
報に記載されている車両用遊星歯車式変速機が知られて
いる。この遊星歯車式変速機では、減速ギヤが掻き上げ
た潤滑油を、遊星歯車装置の出力部材であるキャリヤに
設けたレシーバで受けて、ピニオンピンの端面に開口す
る潤滑油路へ供給することにより、そのピニオンピンに
より回転可能に支持された遊星ギヤを潤滑するように構
成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、遊星歯車式
変速機では、それに含まれる遊星歯車装置の入力側およ
び出力側の回転軸が同軸に配置され且つリングギヤが円
板状の連結部材を介して入力側の回転軸と連結されると
ともに、遊星ギヤを入力側から回転可能に支持するキャ
リヤが有底円筒状動力伝達部材を介して出力側の回転軸
と連結され、しかもハウジングに設けられたブレーキな
どによりサンギヤが固定可能とされる場合がある。しか
し、このような場合には、上記有底円筒状動力伝達部材
およびキャリヤによってリングギヤが覆われた状態にな
り、ピニオンピンの入力側端部がキャリヤに支持される
ので、出力側において掻き上げられた潤滑油をそのキャ
リヤへ向かって供給したとしても、ピニオンピンの出力
側端面は円板状の連結部材とキャリヤのうちのそれと対
向する壁部により出力側と隔離されるので、特にエンジ
ンによって油圧ポンプが駆動されないためにサンギヤ内
部へ潤滑油の圧送が期待できない車両の被牽引時におい
ては遊星ギヤなどの潤滑が困難となり、潤滑不良による
焼付などが発生する可能性がある。
変速機では、それに含まれる遊星歯車装置の入力側およ
び出力側の回転軸が同軸に配置され且つリングギヤが円
板状の連結部材を介して入力側の回転軸と連結されると
ともに、遊星ギヤを入力側から回転可能に支持するキャ
リヤが有底円筒状動力伝達部材を介して出力側の回転軸
と連結され、しかもハウジングに設けられたブレーキな
どによりサンギヤが固定可能とされる場合がある。しか
し、このような場合には、上記有底円筒状動力伝達部材
およびキャリヤによってリングギヤが覆われた状態にな
り、ピニオンピンの入力側端部がキャリヤに支持される
ので、出力側において掻き上げられた潤滑油をそのキャ
リヤへ向かって供給したとしても、ピニオンピンの出力
側端面は円板状の連結部材とキャリヤのうちのそれと対
向する壁部により出力側と隔離されるので、特にエンジ
ンによって油圧ポンプが駆動されないためにサンギヤ内
部へ潤滑油の圧送が期待できない車両の被牽引時におい
ては遊星ギヤなどの潤滑が困難となり、潤滑不良による
焼付などが発生する可能性がある。
【0004】本発明は以上の事情を背景として為された
もので、その目的とするところは、リングギヤ入力、キ
ャリヤ出力形式の遊星歯車装置において車両の被牽引時
においても遊星ギヤの潤滑が可能な車両用遊星歯車式変
速機の潤滑装置を提供することにある。
もので、その目的とするところは、リングギヤ入力、キ
ャリヤ出力形式の遊星歯車装置において車両の被牽引時
においても遊星ギヤの潤滑が可能な車両用遊星歯車式変
速機の潤滑装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めの本発明の要旨とするところは、共通の回転軸線を有
する第1回転軸および第2回転軸と、その第1回転軸と
相対回転可能に嵌合するサンギヤと、そのサンギヤを貫
通した第1回転軸の端部と円板状の第1連結部材を介し
て連結されるリングギヤと、上記サンギヤおよびリング
ギヤと噛み合う遊星ギヤと、その遊星ギヤをピニオンピ
ンにより第1回転軸側から回転可能に支持するキャリヤ
と、そのキャリヤと前記第2回転軸との間を前記リング
ギヤを覆うように連結する有底円筒状動力伝達部材とを
備えた車両用遊星歯車式変速機において、上記第2回転
軸を回転可能に支持する軸受を通過して前記キャリヤ側
へ流れる潤滑油を前記遊星ギヤの潤滑に用いる形式の潤
滑装置であって、(a) 前記キャリヤの前記第1連結部材
に対向する第1壁部に向かって開口し、前記軸受を通過
した潤滑油を上記第1壁部側へ流出させる筒状の潤滑油
案内部材と、(b) その潤滑油案内部材の開口から流出す
る潤滑油を通過させるために前記キャリヤの第1壁部お
よび第1連結部材にそれぞれ形成された第1貫通穴およ
び第2貫通穴と、(c) 前記キャリヤの一部であって、前
記ピニオンピンの第2回転軸側端部を連結する円板状の
ピン連結部と、(d) そのピン連結部に形成され、前記第
1貫通穴および第2貫通穴を通過した潤滑油を受けて前
記ピニオンピンの第2回転軸側端面に導く潤滑油案内溝
と、(e) 前記ピニオンピンに設けられ、そのピニオンピ
ンの第2回転軸側端面に開口する開口とピニオンピンの
外周面に開口する開口とを連結して前記遊星ギヤを潤滑
する潤滑油路とを、含むことを特徴とする。
めの本発明の要旨とするところは、共通の回転軸線を有
する第1回転軸および第2回転軸と、その第1回転軸と
相対回転可能に嵌合するサンギヤと、そのサンギヤを貫
通した第1回転軸の端部と円板状の第1連結部材を介し
て連結されるリングギヤと、上記サンギヤおよびリング
ギヤと噛み合う遊星ギヤと、その遊星ギヤをピニオンピ
ンにより第1回転軸側から回転可能に支持するキャリヤ
と、そのキャリヤと前記第2回転軸との間を前記リング
ギヤを覆うように連結する有底円筒状動力伝達部材とを
備えた車両用遊星歯車式変速機において、上記第2回転
軸を回転可能に支持する軸受を通過して前記キャリヤ側
へ流れる潤滑油を前記遊星ギヤの潤滑に用いる形式の潤
滑装置であって、(a) 前記キャリヤの前記第1連結部材
に対向する第1壁部に向かって開口し、前記軸受を通過
した潤滑油を上記第1壁部側へ流出させる筒状の潤滑油
案内部材と、(b) その潤滑油案内部材の開口から流出す
る潤滑油を通過させるために前記キャリヤの第1壁部お
よび第1連結部材にそれぞれ形成された第1貫通穴およ
び第2貫通穴と、(c) 前記キャリヤの一部であって、前
記ピニオンピンの第2回転軸側端部を連結する円板状の
ピン連結部と、(d) そのピン連結部に形成され、前記第
1貫通穴および第2貫通穴を通過した潤滑油を受けて前
記ピニオンピンの第2回転軸側端面に導く潤滑油案内溝
と、(e) 前記ピニオンピンに設けられ、そのピニオンピ
ンの第2回転軸側端面に開口する開口とピニオンピンの
外周面に開口する開口とを連結して前記遊星ギヤを潤滑
する潤滑油路とを、含むことを特徴とする。
【0006】
【作用】このようにすれば、潤滑油案内部材の開口から
流出する潤滑油は、前記キャリヤの第1壁部および第1
連結部材にそれぞれ形成された第1貫通穴および第2貫
通穴を通してピン連結部に到達し、そのピン連結部に形
成された前記潤滑油案内溝により受けられるとともにピ
ニオンピンの第2回転軸側端面に導かれる。このピニオ
ンピンには、その第2回転軸側端面に開口する開口とそ
の外周面に開口する開口とを連結する潤滑油路が設けら
れ、ピニオンピンの第2回転軸側端面からその潤滑油路
を通して遊星ギヤが潤滑される。
流出する潤滑油は、前記キャリヤの第1壁部および第1
連結部材にそれぞれ形成された第1貫通穴および第2貫
通穴を通してピン連結部に到達し、そのピン連結部に形
成された前記潤滑油案内溝により受けられるとともにピ
ニオンピンの第2回転軸側端面に導かれる。このピニオ
ンピンには、その第2回転軸側端面に開口する開口とそ
の外周面に開口する開口とを連結する潤滑油路が設けら
れ、ピニオンピンの第2回転軸側端面からその潤滑油路
を通して遊星ギヤが潤滑される。
【0007】
【発明の効果】通常、上記第2回転軸を回転可能に支持
する軸受を通過して前記キャリヤ側へ流れる潤滑油は、
後段の減速ギヤ装置の回転とか終減速機の大径歯車の回
転により掻き上げられたものであり、車両の駆動輪の回
転にともなって発生させられる。したがって、リングギ
ヤ入力、キャリヤ出力形式の遊星歯車装置であっても、
車両の走行時、特に車両の被牽引時における遊星ギヤの
潤滑が可能となり、潤滑不良による焼付などが解消され
る。
する軸受を通過して前記キャリヤ側へ流れる潤滑油は、
後段の減速ギヤ装置の回転とか終減速機の大径歯車の回
転により掻き上げられたものであり、車両の駆動輪の回
転にともなって発生させられる。したがって、リングギ
ヤ入力、キャリヤ出力形式の遊星歯車装置であっても、
車両の走行時、特に車両の被牽引時における遊星ギヤの
潤滑が可能となり、潤滑不良による焼付などが解消され
る。
【0008】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。
細に説明する。
【0009】図1は、本発明の一実施例である車両用変
速装置を備えたFF車両用横置トランスアクスルの駆動
力伝達系を説明する骨子図であり、図2乃至図4は、そ
のトランスアクスルを示す断面図である。なお、上記ト
ランスアクスルの各軸は図5に示すように配置されてい
るけれども、上記図2乃至図4は理解を容易とするため
にそれ等の軸を一平面内に展開したものである。
速装置を備えたFF車両用横置トランスアクスルの駆動
力伝達系を説明する骨子図であり、図2乃至図4は、そ
のトランスアクスルを示す断面図である。なお、上記ト
ランスアクスルの各軸は図5に示すように配置されてい
るけれども、上記図2乃至図4は理解を容易とするため
にそれ等の軸を一平面内に展開したものである。
【0010】エンジン10の動力はロックアップクラッ
チ付フルードカップリング12、前後進切換装置14、
ベルト式無段変速機(以下、CVTという)16、有段
変速機18、減速ギヤ装置20、および差動歯車装置2
2を経て、駆動軸24に連結された車輪26へ伝達され
るようになっている。フルードカップリング12は、エ
ンジン10のクランク軸28と接続されているポンプ翼
車30と、そのポンプ翼車30からのオイルにより回転
させられるタービン翼車32と、そのタービン翼車32
に相対回転不能に連結された出力軸34と、ダンパ36
を介して出力軸34に設けられたロックアップクラッチ
38とを備えている。上記ポンプ翼車30には油圧ポン
プ40(図2参照)のロータ42が連結されており、そ
のロータ42に対して偏心して噛み合わされた内歯車4
4がロータ42と共に回転駆動されることにより、各部
の油圧アクチュエータを作動させるための油圧が発生さ
せられるようになっている。
チ付フルードカップリング12、前後進切換装置14、
ベルト式無段変速機(以下、CVTという)16、有段
変速機18、減速ギヤ装置20、および差動歯車装置2
2を経て、駆動軸24に連結された車輪26へ伝達され
るようになっている。フルードカップリング12は、エ
ンジン10のクランク軸28と接続されているポンプ翼
車30と、そのポンプ翼車30からのオイルにより回転
させられるタービン翼車32と、そのタービン翼車32
に相対回転不能に連結された出力軸34と、ダンパ36
を介して出力軸34に設けられたロックアップクラッチ
38とを備えている。上記ポンプ翼車30には油圧ポン
プ40(図2参照)のロータ42が連結されており、そ
のロータ42に対して偏心して噛み合わされた内歯車4
4がロータ42と共に回転駆動されることにより、各部
の油圧アクチュエータを作動させるための油圧が発生さ
せられるようになっている。
【0011】前後進切換装置14は、図示しないシフト
レバーの操作位置に従って前進ギヤ段または後進ギヤ段
に択一的に切り換えられるダブルピニオン型の遊星歯車
装置であって、CVT16を挟んで上記フルードカップ
リング12と反対側に配設されている。フルードカップ
リング12の出力軸34はCVT16の軸心を挿通して
反対側まで突き出しており、遊星歯車装置は、その出力
軸34に相対回転不能に設けられたサンギヤ50と、サ
ンギヤ50と同心に設けられたリングギヤ52と、それ
等サンギヤ50およびリングギヤ52の一方および他方
と噛み合い且つ互いに噛み合う一対の遊星ギヤ54およ
び56と、それ等の遊星ギヤ54および56を回転可能
に支持するとともにCVT16の入力軸58に相対回転
不能に連結されたキャリア60とを備えている。上記サ
ンギヤ50とキャリア60との間には多板式の前進クラ
ッチ62が設けられているとともに、リングギヤ52と
ハウジング64との間には多板式の後進ブレーキ66が
設けられており、それぞれ油圧シリンダ63、67(図
2参照)によって係合制御されるようになっている。後
進ブレーキ66が解放された状態において油圧シリンダ
63により前進クラッチ62が係合させられると、出力
軸34とキャリア60とが相対回転不能に連結されて入
力軸58が出力軸34と一体的に回転させられ、前進ク
ラッチ62が解放されるとともに油圧シリンダ67によ
り後進ブレーキ66が係合させられると、リングギヤ5
2の回転が阻止されるためキャリア60更には入力軸5
8が出力軸34と反対方向、すなわち車両を後進させる
方向へ変速比γG1(=出力軸34の回転速度/入力軸5
8の回転速度)=1−(リングギヤ52の歯数ZR /サ
ンギヤ50の歯数ZS )で回転させられる。上記入力軸
58には出力軸34を挿通させる挿通孔が形成されてお
り、入力軸58は出力軸34に対して共通の軸心aまわ
りの相対回転可能に配設されている。
レバーの操作位置に従って前進ギヤ段または後進ギヤ段
に択一的に切り換えられるダブルピニオン型の遊星歯車
装置であって、CVT16を挟んで上記フルードカップ
リング12と反対側に配設されている。フルードカップ
リング12の出力軸34はCVT16の軸心を挿通して
反対側まで突き出しており、遊星歯車装置は、その出力
軸34に相対回転不能に設けられたサンギヤ50と、サ
ンギヤ50と同心に設けられたリングギヤ52と、それ
等サンギヤ50およびリングギヤ52の一方および他方
と噛み合い且つ互いに噛み合う一対の遊星ギヤ54およ
び56と、それ等の遊星ギヤ54および56を回転可能
に支持するとともにCVT16の入力軸58に相対回転
不能に連結されたキャリア60とを備えている。上記サ
ンギヤ50とキャリア60との間には多板式の前進クラ
ッチ62が設けられているとともに、リングギヤ52と
ハウジング64との間には多板式の後進ブレーキ66が
設けられており、それぞれ油圧シリンダ63、67(図
2参照)によって係合制御されるようになっている。後
進ブレーキ66が解放された状態において油圧シリンダ
63により前進クラッチ62が係合させられると、出力
軸34とキャリア60とが相対回転不能に連結されて入
力軸58が出力軸34と一体的に回転させられ、前進ク
ラッチ62が解放されるとともに油圧シリンダ67によ
り後進ブレーキ66が係合させられると、リングギヤ5
2の回転が阻止されるためキャリア60更には入力軸5
8が出力軸34と反対方向、すなわち車両を後進させる
方向へ変速比γG1(=出力軸34の回転速度/入力軸5
8の回転速度)=1−(リングギヤ52の歯数ZR /サ
ンギヤ50の歯数ZS )で回転させられる。上記入力軸
58には出力軸34を挿通させる挿通孔が形成されてお
り、入力軸58は出力軸34に対して共通の軸心aまわ
りの相対回転可能に配設されている。
【0012】CVT16は、入力軸58およびその入力
軸58の軸心aと平行な軸心bまわりの回転可能に配設
された出力軸70を備えており、それ等の入力軸58、
出力軸70には駆動側可変プーリ72、従動側可変プー
リ74がそれぞれ設けられているとともに、両可変プー
リ72、74間には伝動ベルト76が巻き掛けられてい
る。可変プーリ72および74は、入力軸58および出
力軸70にそれぞれ固定された固定回転体78および8
0と、入力軸58および出力軸70にそれぞれ軸方向の
移動可能且つ軸まわりの相対回転不能に設けられた可動
回転体82および84とから成り、可動回転体82およ
び84がそれぞれその背面側に配設された駆動手段とし
ての油圧シリンダ86および88によって軸方向へ移動
させられることによりV溝幅、すなわち伝動ベルト76
の掛り径(有効径)が変化させられて、CVT16の変
速比γ(=入力軸58の回転速度/出力軸70の回転速
度)が変更されるようになっている。
軸58の軸心aと平行な軸心bまわりの回転可能に配設
された出力軸70を備えており、それ等の入力軸58、
出力軸70には駆動側可変プーリ72、従動側可変プー
リ74がそれぞれ設けられているとともに、両可変プー
リ72、74間には伝動ベルト76が巻き掛けられてい
る。可変プーリ72および74は、入力軸58および出
力軸70にそれぞれ固定された固定回転体78および8
0と、入力軸58および出力軸70にそれぞれ軸方向の
移動可能且つ軸まわりの相対回転不能に設けられた可動
回転体82および84とから成り、可動回転体82およ
び84がそれぞれその背面側に配設された駆動手段とし
ての油圧シリンダ86および88によって軸方向へ移動
させられることによりV溝幅、すなわち伝動ベルト76
の掛り径(有効径)が変化させられて、CVT16の変
速比γ(=入力軸58の回転速度/出力軸70の回転速
度)が変更されるようになっている。
【0013】有段変速機18は、シングルピニオン型の
遊星歯車式自動変速機であって、出力軸70と同心に前
記従動側可変プーリ74の固定回転体80の背面側に配
設されている。この遊星歯車装置は、出力軸70と同心
まわりの回転可能に配設されたサンギヤ90と、出力軸
70に相対回転不能に連結されたリングギヤ92と、そ
れ等のサンギヤ90およびリングギヤ92と噛み合わさ
れた遊星ギヤ94と、その遊星ギヤ94を回転可能に支
持するとともに第2出力軸96に相対回転不能に連結さ
れたキャリア98とを備えている。上記サンギヤ90と
キャリア98との間には多板式の高速段用クラッチ10
0が設けられているとともに、サンギヤ90とハウジン
グ64との間には一方向クラッチ102および多板式の
低速段用ブレーキ104が直列に設けられている。高速
段用クラッチ100および低速段用ブレーキ104はそ
れぞれ油圧シリンダ106、108(図3参照)によっ
て係合制御されるようになっており、一方向クラッチ1
02は、低速段用ブレーキ104が係合制御された状態
において、サンギヤ90が前進時におけるリングギヤ9
2の回転方向と反対方向へ回転することを阻止するが、
その逆方向の回転は許容するものである。したがって、
高速段用クラッチ100が解放されるとともに低速段用
ブレーキ104が油圧シリンダ108によって係合制御
された状態において、出力軸70が車両を前進させる方
向へ回転させられると、キャリア98更には第2出力軸
96は一方向クラッチ102の作用によりその出力軸7
0の回転方向と同じ方向へ、変速比γG2(=出力軸70
の回転速度/第2出力軸96の回転速度)=1+(サン
ギヤ90の歯数ZS /リングギヤ92の歯数ZR )、す
なわちラビニヨ型複合遊星歯車装置を用いた場合の変速
比よりハイギヤ(小さな減速比)で減速回転させられ
る。逆に、低速段用ブレーキ104が解放されるととも
に高速段用クラッチ100が油圧シリンダ106によっ
て係合制御されると、サンギヤ90とキャリア98とが
相対回転不能に連結されるため、かかる遊星歯車装置は
一体回転させられるようになり、第2出力軸96は変速
比γG2=1で出力軸70と同じ方向へ回転させられる。
なお、前進時には低速段用ブレーキ104を係合させた
まま高速段用クラッチ100を係合制御して変速段を切
り換えることができる。
遊星歯車式自動変速機であって、出力軸70と同心に前
記従動側可変プーリ74の固定回転体80の背面側に配
設されている。この遊星歯車装置は、出力軸70と同心
まわりの回転可能に配設されたサンギヤ90と、出力軸
70に相対回転不能に連結されたリングギヤ92と、そ
れ等のサンギヤ90およびリングギヤ92と噛み合わさ
れた遊星ギヤ94と、その遊星ギヤ94を回転可能に支
持するとともに第2出力軸96に相対回転不能に連結さ
れたキャリア98とを備えている。上記サンギヤ90と
キャリア98との間には多板式の高速段用クラッチ10
0が設けられているとともに、サンギヤ90とハウジン
グ64との間には一方向クラッチ102および多板式の
低速段用ブレーキ104が直列に設けられている。高速
段用クラッチ100および低速段用ブレーキ104はそ
れぞれ油圧シリンダ106、108(図3参照)によっ
て係合制御されるようになっており、一方向クラッチ1
02は、低速段用ブレーキ104が係合制御された状態
において、サンギヤ90が前進時におけるリングギヤ9
2の回転方向と反対方向へ回転することを阻止するが、
その逆方向の回転は許容するものである。したがって、
高速段用クラッチ100が解放されるとともに低速段用
ブレーキ104が油圧シリンダ108によって係合制御
された状態において、出力軸70が車両を前進させる方
向へ回転させられると、キャリア98更には第2出力軸
96は一方向クラッチ102の作用によりその出力軸7
0の回転方向と同じ方向へ、変速比γG2(=出力軸70
の回転速度/第2出力軸96の回転速度)=1+(サン
ギヤ90の歯数ZS /リングギヤ92の歯数ZR )、す
なわちラビニヨ型複合遊星歯車装置を用いた場合の変速
比よりハイギヤ(小さな減速比)で減速回転させられ
る。逆に、低速段用ブレーキ104が解放されるととも
に高速段用クラッチ100が油圧シリンダ106によっ
て係合制御されると、サンギヤ90とキャリア98とが
相対回転不能に連結されるため、かかる遊星歯車装置は
一体回転させられるようになり、第2出力軸96は変速
比γG2=1で出力軸70と同じ方向へ回転させられる。
なお、前進時には低速段用ブレーキ104を係合させた
まま高速段用クラッチ100を係合制御して変速段を切
り換えることができる。
【0014】上記第2出力軸96には第1歯車110が
設けられており、中間軸112に設けられた第2歯車1
14と噛み合わされている。中間軸112は、第2出力
軸96の軸心bと平行な軸心cまわりの回転可能に配設
されているとともに、差動歯車装置22の大径歯車11
6と噛み合わされた第3歯車118を備えている。第2
歯車114は第1歯車110よりも大径で、第3歯車1
18は大径歯車116よりも小径であり、これ等の第1
歯車110、第2歯車114、および第3歯車118に
よって前記減速ギヤ装置20が構成されている。
設けられており、中間軸112に設けられた第2歯車1
14と噛み合わされている。中間軸112は、第2出力
軸96の軸心bと平行な軸心cまわりの回転可能に配設
されているとともに、差動歯車装置22の大径歯車11
6と噛み合わされた第3歯車118を備えている。第2
歯車114は第1歯車110よりも大径で、第3歯車1
18は大径歯車116よりも小径であり、これ等の第1
歯車110、第2歯車114、および第3歯車118に
よって前記減速ギヤ装置20が構成されている。
【0015】差動歯車装置22は、駆動軸24の回転軸
心dと直交する軸まわりに回転可能に支持され且つ大径
歯車116と一体的に回転する一対の差動小歯車120
と、その差動小歯車120と噛み合い且つ駆動軸24に
連結された一対の差動大歯車122とを備えている。し
たがって、減速ギヤ装置20から伝達された動力は、差
動歯車装置22において左右の駆動軸24へ均等に分配
された後、左右の車輪26へ伝達される。
心dと直交する軸まわりに回転可能に支持され且つ大径
歯車116と一体的に回転する一対の差動小歯車120
と、その差動小歯車120と噛み合い且つ駆動軸24に
連結された一対の差動大歯車122とを備えている。し
たがって、減速ギヤ装置20から伝達された動力は、差
動歯車装置22において左右の駆動軸24へ均等に分配
された後、左右の車輪26へ伝達される。
【0016】前記ハウジング64は例えばアルミニウム
ダイキャスト製品であって、図2乃至図4から明らかな
ように、多数のボルトにより互いに一体的に結合された
第1ケース130、第2ケース132、第3ケース13
4、およびキャップ136にて構成されており、フルー
ドカップリング12を収容する第1室138と、CVT
16を収容する第2室140と、前後進切換装置14を
収容する第3室142と、有段変速機18を収容する第
4室144と、減速ギヤ装置20および差動歯車装置2
2を収容する第5室146とが設けられている。また、
第2ケース132には、前記油圧シリンダ63、67、
106、108等に対する作動油の供給を制御する制御
弁などが組み込まれたバルブボディ148(図2参照)
がボルトによって固設されているとともに、そのバルブ
ボディ148を覆蓋するようにカバー150が固設され
ている。上記バルブボディ148には、油圧の変動を抑
制するためのアキュムレータ152が固設されており、
そのアキュムレータ152は第2室140内に位置させ
られている。第2ケース132にはまた、第1ケース1
30側端面に前記油圧ポンプ40を構成するポンプハウ
ジング154が固設されている。
ダイキャスト製品であって、図2乃至図4から明らかな
ように、多数のボルトにより互いに一体的に結合された
第1ケース130、第2ケース132、第3ケース13
4、およびキャップ136にて構成されており、フルー
ドカップリング12を収容する第1室138と、CVT
16を収容する第2室140と、前後進切換装置14を
収容する第3室142と、有段変速機18を収容する第
4室144と、減速ギヤ装置20および差動歯車装置2
2を収容する第5室146とが設けられている。また、
第2ケース132には、前記油圧シリンダ63、67、
106、108等に対する作動油の供給を制御する制御
弁などが組み込まれたバルブボディ148(図2参照)
がボルトによって固設されているとともに、そのバルブ
ボディ148を覆蓋するようにカバー150が固設され
ている。上記バルブボディ148には、油圧の変動を抑
制するためのアキュムレータ152が固設されており、
そのアキュムレータ152は第2室140内に位置させ
られている。第2ケース132にはまた、第1ケース1
30側端面に前記油圧ポンプ40を構成するポンプハウ
ジング154が固設されている。
【0017】そして、以上のように構成されたトランス
アクスルのクラッチ62、100、およびブレーキ6
6、104は、シフトレバーの操作レンジに応じて図6
に示されているように係合制御される。
アクスルのクラッチ62、100、およびブレーキ6
6、104は、シフトレバーの操作レンジに応じて図6
に示されているように係合制御される。
【0018】図7に詳しく示すように、有段変速機18
の入力軸として機能するCVT16の出力軸70の軸端
部にスプライン嵌合する円板状の連結部材158を介し
て、リングギヤ92が出力軸70に連結されている。第
2出力軸96は、それ自体の端部開口内に上記出力軸7
0の軸端を嵌め入れた状態でその出力軸70と共通の軸
心まわりに相対回転可能に設けられている。キャリヤ9
8を第2出力軸96と連結するための有底円筒状動力伝
達部材201の中心部は第2出力軸96の軸端部とスプ
ライン嵌合されており、キャリヤ98は、遊星ギヤ94
をその出力軸70側、すなわちCVT16側からピニオ
ンピン160およびベアリング161を介して回転可能
に支持している。サンギヤ90は管状部材162の端部
に設けられている。
の入力軸として機能するCVT16の出力軸70の軸端
部にスプライン嵌合する円板状の連結部材158を介し
て、リングギヤ92が出力軸70に連結されている。第
2出力軸96は、それ自体の端部開口内に上記出力軸7
0の軸端を嵌め入れた状態でその出力軸70と共通の軸
心まわりに相対回転可能に設けられている。キャリヤ9
8を第2出力軸96と連結するための有底円筒状動力伝
達部材201の中心部は第2出力軸96の軸端部とスプ
ライン嵌合されており、キャリヤ98は、遊星ギヤ94
をその出力軸70側、すなわちCVT16側からピニオ
ンピン160およびベアリング161を介して回転可能
に支持している。サンギヤ90は管状部材162の端部
に設けられている。
【0019】管状部材162は、出力軸70の外周側に
おいて、第2ケース132から突き出した円筒部164
によりその内周面に嵌合されたスリーブ166およびベ
アリング168を介して相対回転可能に支持されてい
る。出力軸70の軸端部と管状部材162の内周面との
間にはベアリング169が介挿されており、これにより
有段変速機18を構成する遊星歯車装置と出力軸70と
の間の心出しが行われている。
おいて、第2ケース132から突き出した円筒部164
によりその内周面に嵌合されたスリーブ166およびベ
アリング168を介して相対回転可能に支持されてい
る。出力軸70の軸端部と管状部材162の内周面との
間にはベアリング169が介挿されており、これにより
有段変速機18を構成する遊星歯車装置と出力軸70と
の間の心出しが行われている。
【0020】上記管状部材162には、クラッチドラム
170が内周部材172を介して固定されている。ま
た、その内周部材172の外周には一方向クラッチ10
2および外周部材174が嵌合されている。それら内周
部材172および外周部材174は一方向クラッチ10
2の内周輪および外周輪に相当する。第2ケース132
の内壁と上記外周部材174の外周部とには、低速段用
ブレーキ104を構成する複数枚の円板状の摩擦板17
6aおよび176bが互いに重ねられた状態で軸方向の
移動可能に係合させられている。そして、それら摩擦板
176aおよび176bが油圧シリンダ108により押
圧されるようになっている。
170が内周部材172を介して固定されている。ま
た、その内周部材172の外周には一方向クラッチ10
2および外周部材174が嵌合されている。それら内周
部材172および外周部材174は一方向クラッチ10
2の内周輪および外周輪に相当する。第2ケース132
の内壁と上記外周部材174の外周部とには、低速段用
ブレーキ104を構成する複数枚の円板状の摩擦板17
6aおよび176bが互いに重ねられた状態で軸方向の
移動可能に係合させられている。そして、それら摩擦板
176aおよび176bが油圧シリンダ108により押
圧されるようになっている。
【0021】上記クラッチドラム170の底部には環状
溝188が形成されており、その環状溝188には油圧
シリンダ106の環状ピストン190が摺動可能に嵌合
されている。上記クラッチドラム170の外周壁内周面
のリブとキャリヤ98の外周面のリブとには、高速段用
クラッチ100を構成する複数枚の円板状の摩擦板19
6aおよび196bが互いに重ねられた状態で軸方向の
移動可能に係合させられている。それら摩擦板196a
および196bは、上記環状ピストン190から突設さ
れた図示しない突起により押圧されるようになってい
る。また、上記環状ピストン190はリターンスプリン
グ202により戻されるようになっている。
溝188が形成されており、その環状溝188には油圧
シリンダ106の環状ピストン190が摺動可能に嵌合
されている。上記クラッチドラム170の外周壁内周面
のリブとキャリヤ98の外周面のリブとには、高速段用
クラッチ100を構成する複数枚の円板状の摩擦板19
6aおよび196bが互いに重ねられた状態で軸方向の
移動可能に係合させられている。それら摩擦板196a
および196bは、上記環状ピストン190から突設さ
れた図示しない突起により押圧されるようになってい
る。また、上記環状ピストン190はリターンスプリン
グ202により戻されるようになっている。
【0022】そして、本実施例では、差動歯車装置22
の大径歯車116、減速ギヤ装置22の第3歯車11
8、第2歯車114、および第1歯車110によって掻
き上げられた潤滑油は、第2出力軸96を支持する軸受
198を通してキャリヤ98側へ流動させられ、ハウジ
ングを構成する第2ケース132の一部に設けられた円
筒状の潤滑油案内部材200により回転軸心に沿って案
内されるとともに、その潤滑油案内部材200の開口か
ら有底円筒状動力伝達部材201の中心部へ向かって流
出させられるようになっている。
の大径歯車116、減速ギヤ装置22の第3歯車11
8、第2歯車114、および第1歯車110によって掻
き上げられた潤滑油は、第2出力軸96を支持する軸受
198を通してキャリヤ98側へ流動させられ、ハウジ
ングを構成する第2ケース132の一部に設けられた円
筒状の潤滑油案内部材200により回転軸心に沿って案
内されるとともに、その潤滑油案内部材200の開口か
ら有底円筒状動力伝達部材201の中心部へ向かって流
出させられるようになっている。
【0023】図8は、有底円筒状動力伝達部材201を
第2出力軸96側から見た図である。前記円板状の連結
部材158と対向する有底円筒状動力伝達部材201の
底壁には、図に示すように、出力軸96側へ突き出す環
状突起202が形成されている。この環状突起202内
には、前記潤滑油案内部材200の先端開口が僅かに差
し入れられて径方向において重なる状態とされ、潤滑油
が効率的に環状突起202内に受け入れられるようにな
っている。上記環状突起202の内周側には、有底穴2
04とこの有底穴204の底面から貫通する第1貫通穴
206とが周方向において等間隔に4個形成されてい
る。図中の矢印は車両被牽引時の回転方向を示してお
り、上記第1貫通穴206はその被牽引時において潤滑
油が多く滞留する側、すなわち、有底穴204内におい
て車両被牽引時の回転方向と反対側に形成されている。
第2出力軸96側から見た図である。前記円板状の連結
部材158と対向する有底円筒状動力伝達部材201の
底壁には、図に示すように、出力軸96側へ突き出す環
状突起202が形成されている。この環状突起202内
には、前記潤滑油案内部材200の先端開口が僅かに差
し入れられて径方向において重なる状態とされ、潤滑油
が効率的に環状突起202内に受け入れられるようにな
っている。上記環状突起202の内周側には、有底穴2
04とこの有底穴204の底面から貫通する第1貫通穴
206とが周方向において等間隔に4個形成されてい
る。図中の矢印は車両被牽引時の回転方向を示してお
り、上記第1貫通穴206はその被牽引時において潤滑
油が多く滞留する側、すなわち、有底穴204内におい
て車両被牽引時の回転方向と反対側に形成されている。
【0024】リングギヤ92を支持する円板状の連結部
材158にも、上記第1貫通穴206と同様の位置にそ
れよりも2倍程度の径の第2貫通穴208が形成されて
おり、上記環状突起202内に受け入れられた潤滑油
が、第1貫通穴206および第2貫通穴208を通して
ピニオンピン160の第2出力軸96側に供給される。
そして、ピニオンピン160の第2出力軸96側の端部
は、キャリヤ98の一部を構成するピン連結部210に
より連結されている。図9は、そのピン連結部210を
第2出力軸96側から見た図である。
材158にも、上記第1貫通穴206と同様の位置にそ
れよりも2倍程度の径の第2貫通穴208が形成されて
おり、上記環状突起202内に受け入れられた潤滑油
が、第1貫通穴206および第2貫通穴208を通して
ピニオンピン160の第2出力軸96側に供給される。
そして、ピニオンピン160の第2出力軸96側の端部
は、キャリヤ98の一部を構成するピン連結部210に
より連結されている。図9は、そのピン連結部210を
第2出力軸96側から見た図である。
【0025】図9に詳しく示すように、上記ピン連結部
210には、遠心力の作用により外周側へ流動する潤滑
油を受けてピニオンピン160の第2出力軸96側の端
部へ導くための環状の案内溝212が形成されている。
ピニオンピン160には、その第2出力軸96側の端面
に開く開口とピニオンピン160の外周面に開く開口と
を連通させて潤滑油を導く潤滑油路214と、その潤滑
油路214の第2出力軸96側の端面において上記案内
溝212と連通する径方向溝216とが設けられてい
る。
210には、遠心力の作用により外周側へ流動する潤滑
油を受けてピニオンピン160の第2出力軸96側の端
部へ導くための環状の案内溝212が形成されている。
ピニオンピン160には、その第2出力軸96側の端面
に開く開口とピニオンピン160の外周面に開く開口と
を連通させて潤滑油を導く潤滑油路214と、その潤滑
油路214の第2出力軸96側の端面において上記案内
溝212と連通する径方向溝216とが設けられてい
る。
【0026】本実施例によれば、図7の破線の矢印に示
すように、車両の走行時、特に油圧ポンプ40がエンジ
ン10により駆動されないため油路220へ潤滑油が圧
送されない被牽引走行時において、差動歯車装置22の
大径歯車116、減速ギヤ装置22の第3歯車118、
第2歯車114、および第1歯車110によって掻き上
げられた潤滑油が、円筒状の潤滑油案内部材200によ
り案内されることにより、有底円筒状動力伝達部材20
1の環状突起202内に受け入れられ、さらにその第1
貫通穴206および連結部材158の第2貫通穴208
を通ってピン連結部210の案内溝212に受けられ、
径方向溝214を通ってピニオンピン160の潤滑油路
216内へ導かれ、ピニオンピン160によりベアリン
グ161を介して支持される遊星ギヤ94が好適に潤滑
される。
すように、車両の走行時、特に油圧ポンプ40がエンジ
ン10により駆動されないため油路220へ潤滑油が圧
送されない被牽引走行時において、差動歯車装置22の
大径歯車116、減速ギヤ装置22の第3歯車118、
第2歯車114、および第1歯車110によって掻き上
げられた潤滑油が、円筒状の潤滑油案内部材200によ
り案内されることにより、有底円筒状動力伝達部材20
1の環状突起202内に受け入れられ、さらにその第1
貫通穴206および連結部材158の第2貫通穴208
を通ってピン連結部210の案内溝212に受けられ、
径方向溝214を通ってピニオンピン160の潤滑油路
216内へ導かれ、ピニオンピン160によりベアリン
グ161を介して支持される遊星ギヤ94が好適に潤滑
される。
【0027】したがって、本実施例のように、リングギ
ヤ入力、キャリヤ出力形式の遊星歯車式有段変速機18
であっても、車両の走行時、特に車両の被牽引時におけ
る遊星ギヤ94の潤滑が可能となり、潤滑不良による焼
付などが好適に解消されるのである。
ヤ入力、キャリヤ出力形式の遊星歯車式有段変速機18
であっても、車両の走行時、特に車両の被牽引時におけ
る遊星ギヤ94の潤滑が可能となり、潤滑不良による焼
付などが好適に解消されるのである。
【0028】以上、本発明の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、本発明は他の態様で実施することも
できる。
詳細に説明したが、本発明は他の態様で実施することも
できる。
【0029】例えば、前記実施例では、遊星歯車式自動
変速機の一例として、CVT16に併設される有段変速
機18が説明されていたが、複数の遊星歯車装置が軸方
向において配設されことにより複数段のギヤ段が選択的
に成立させられる形式の自動変速機、所謂A/Tと称さ
れる自動変速機であってもよいのである。
変速機の一例として、CVT16に併設される有段変速
機18が説明されていたが、複数の遊星歯車装置が軸方
向において配設されことにより複数段のギヤ段が選択的
に成立させられる形式の自動変速機、所謂A/Tと称さ
れる自動変速機であってもよいのである。
【0030】また、前記実施例の有段変速機18には一
方向クラッチ102が設けられているが、必ずしも必須
なものではない。
方向クラッチ102が設けられているが、必ずしも必須
なものではない。
【0031】その他一々例示はしないが、本発明は当業
者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実
施することができる。
者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実
施することができる。
【図1】本発明が適用されたトランスアクスルの駆動力
伝達系を説明する骨子図である。
伝達系を説明する骨子図である。
【図2】図3および図4と共に図1の実施例の構成を示
す部分断面図である。
す部分断面図である。
【図3】図2および図4と共に図1の実施例の構成を示
す部分断面図である。
す部分断面図である。
【図4】図2および図3と共に図1の実施例の構成を示
す部分断面図である。
す部分断面図である。
【図5】図1の実施例の各軸の位置関係を示す側面図で
ある。
ある。
【図6】図1の実施例におけるクラッチおよびブレーキ
の作動を説明する図である。
の作動を説明する図である。
【図7】図3に示す有段変速機を詳細に説明する図であ
る。
る。
【図8】図7のキャリヤを第2出力軸側から見た図であ
る。
る。
【図9】図7のピン連結部を第2出力軸側から見た図で
ある。
ある。
18 有段変速機(遊星歯車式変速機) 70 出力軸(第1回転軸) 90 サンギヤ 92 リングギヤ 94 遊星ギヤ 96 第2出力軸(第2回転軸) 98 キャリヤ 158 連結部材 160 ピニオンピン 198 軸受 200 潤滑油案内部材 201 有底円筒状動力伝達部材 206 第1貫通穴 208 第2貫通穴 210 ピン連結部 212 案内溝 216 潤滑油路
Claims (1)
- 【請求項1】 共通の回転軸線を有する第1回転軸およ
び第2回転軸と、該第1回転軸と相対回転可能に嵌合す
るサンギヤと、該サンギヤを貫通した第1回転軸の端部
と円板状の第1連結部材を介して連結されるリングギヤ
と、該サンギヤおよびリングギヤと噛み合う遊星ギヤ
と、該遊星ギヤをピニオンピンにより第1回転軸側から
回転可能に支持するキャリヤと、該キャリヤと前記第2
回転軸との間を前記リングギヤを覆うように連結する有
底円筒状動力伝達部材とを備えた車両用遊星歯車式変速
機において、該第2回転軸を回転可能に支持する軸受を
通過して前記キャリヤ側へ流れる潤滑油を前記遊星ギヤ
の潤滑に用いる形式の潤滑装置であって、 前記キャリヤの前記第1連結部材に対向する第1壁部に
向かって開口し、前記軸受を通過した潤滑油を該第1壁
部側へ流出させる筒状の潤滑油案内部材と、 該潤滑油案内部材の開口から流出する潤滑油を通過させ
るために前記キャリヤの第1壁部および第1連結部材に
それぞれ形成された第1貫通穴および第2貫通穴と、 前記キャリヤの一部であって、前記ピニオンピンの第2
回転軸側端部を連結する円板状のピン連結部と、 該ピン連結部に形成され、前記第1貫通穴および第2貫
通穴を通過した潤滑油を受けて前記ピニオンピンの第2
回転軸側端面に導く潤滑油案内溝と、 前記ピニオンピンに設けられ、該ピニオンピンの第2回
転軸側端面に開口する開口と該ピニオンピンの外周面に
開口する開口とを連結して前記遊星ギヤを潤滑する潤滑
油路とを、含むことを特徴とする車両用遊星歯車式変速
機の潤滑装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36010491A JPH0830527B2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 車両用遊星歯車式変速機の潤滑装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP36010491A JPH0830527B2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 車両用遊星歯車式変速機の潤滑装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05180309A true JPH05180309A (ja) | 1993-07-20 |
JPH0830527B2 JPH0830527B2 (ja) | 1996-03-27 |
Family
ID=18467920
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP36010491A Expired - Fee Related JPH0830527B2 (ja) | 1991-12-27 | 1991-12-27 | 車両用遊星歯車式変速機の潤滑装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0830527B2 (ja) |
-
1991
- 1991-12-27 JP JP36010491A patent/JPH0830527B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0830527B2 (ja) | 1996-03-27 |
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