JPH05178716A - アズレン誘導体 - Google Patents

アズレン誘導体

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JPH05178716A
JPH05178716A JP4167099A JP16709992A JPH05178716A JP H05178716 A JPH05178716 A JP H05178716A JP 4167099 A JP4167099 A JP 4167099A JP 16709992 A JP16709992 A JP 16709992A JP H05178716 A JPH05178716 A JP H05178716A
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JP
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JP4167099A
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English (en)
Inventor
Kenji Kato
研治 加藤
Reiji Takeda
礼二 武田
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Suntory Ltd
Original Assignee
Suntory Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 一般式: (式中、R1 は低級アルキル基、アルデヒド基、カルボ
キシル基またはその低級アルキルエステルを表す)で示
されるアズレン誘導体および/またはその塩類を含む化
粧品および一般式: (式中、R1 およびR2 は各々独立して水素原子、アル
デヒド基、カルボキシル基またはカルボキシル基のメチ
ルエステルを表す)で示されるアズレン誘導体またはそ
の塩類を含む胃粘膜保護剤。 【効果】 美しい色と抗炎症作用を有し、かつ安定性に
優れたアズレン誘導体を含む化粧品、および抗炎症作
用、抗潰瘍作用およびヘリコバクテリウム属のバクテリ
ア,に対する抗菌活性を有するアズレン誘導体またはそ
の塩類を有効成分とする胃粘膜保護剤を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として、血管透過性
抑制作用、組織修復作用、紫外線吸収遮断作用に基づく
抗炎症作用を有する有用なアズレン誘導体またはその塩
類を抗炎症有効成分および/または着色料として含有す
る抗炎症化粧品に関する。本発明はまた、主として抗炎
症作用、抗潰瘍作用およびヘリコバクテリウム属のバク
テリアに対する抗菌活性を有する有用なアズレン誘導体
またはその塩類を有効成分とする胃粘膜保護剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術】南ヨーロッパ原産キク科植物のカミツレ
は古くから民間薬として胃腸薬、風邪薬、目薬、浴用
剤、喘息、湿疹等のアレルギー疾患の治癒に用いられて
いる。カミツレの有効成分は水に不溶な濃青色の油状物
質で、カマアズレンと呼ばれる五員環と七員環の縮合環
からなる非ベンゼン系芳香族化合物である。薬理学的研
究によって、カマアズレンおよびその類縁化合物のグア
イアズレンは消炎、抗アレルギーおよび組織再生作用が
あることが明らかになった。この点に注目してこれらの
アズレン誘導体を含む製剤が医薬、医薬部外品、化粧品
として市販されている。しかしながら、従来知られてい
るアズレン誘導体は一般に、光、熱あるいは酸および水
分によって経時的に分解する傾向があることや、水に対
して難溶性であること等の理由から、長期にわたって化
粧品を安定に維持できず及び水性基剤の化粧品には使用
が困難である等、実用上の問題があった。
【0003】一方、ヘリコバクテリウム属、特にヘリコ
バクテリウム ピロリは胃腺基底部に棲息する嫌気性の
細菌で、その増殖により胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍を
引き起こすことが知られている。治療薬としては弱い抗
菌活性を持つビスマス製剤が市販されている。
【0004】消化性潰瘍は攻撃因子である胃液の強力な
消化力と、胃・十二指腸壁での防御因子との間のバラン
スが何かの原因で損なわれたときにも発生する。損なわ
れたバランスを回復する目的で、消化性潰瘍治療薬とし
ては金属と糖を組み合わせた化合物が用いられてきた
が、金属の生体内への蓄積により重篤な障害を生じるこ
とが知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は水溶性
を有し、長期間安定に保存することができ、かつ抗炎症
効果の優れたアズレン誘導体またはその塩類を含有する
化粧品を提供することを目的とする。
【0006】本発明は、長期安定性で、水によく溶ける
優れたアズレン誘導体またはその塩類を有効成分とす
る、胃粘膜保護剤を提供することも目的とする。詳しく
は、本発明はアズレン誘導体またはその塩類によるヘリ
コバクテリウム属の感染、増殖に起因する胃炎、胃潰
瘍、十二指腸潰瘍に対する顕著な抗菌活性と、潰瘍底に
存在する蛋白質成分と結合して潰瘍底を保護する作用を
兼備し、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の治癒を促進する
医薬組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の化粧品は、一般
式I: (式中、R1 は低級アルキル基、アルデヒド基またはカ
ルボキシル基もしくはその低級アルキルエステルを表
す)で示されるアズレン誘導体またはその塩類を含む。
【0008】本発明の胃粘膜保護剤は、一般式II: (式中、R1 およびR2 は各々独立して水素原子、アル
デヒド基、カルボキシル基またはカルボキシル基のメチ
ルエステルを表す)で示されるアズレン誘導体またはそ
の薬学的に許容される塩類を有効成分として含む。
【0009】一般式Iのアズレン誘導体は、1−位に前
記定義のR1 を有し4−位にメチル基を有し、これによ
り全体として優れた安定性、良好な紫外線遮断性を有
し、さらにその或るものは極めて良好な水溶性を有して
いる。
【0010】一般式IIのアズレン誘導体は、1−位およ
び4−位にそれぞれ前記定義のR1およびR2 を有し、
これにより全体として優れた安定性を有し、そのあるも
のはきわめて良好な水溶性を有している。また、一般式
IIのアズレン誘導体は、全体として胃粘膜保護作用を有
する。
【0011】これらのアズレン誘導体は公知であるか、
あるいは、本発明者らが発見した下記のカリポゲイア
(Calypogeia)属苔類の植物体またはその培
養細胞を以下の方法で培養することにより取得できる。
C.グラニュラタ(granulata), C.アズ
レア(azurea), C.ペルビアナ(peruv
iana), C.ムエレリアナ(muererian
a), C.トサナ(tosana)およびC.ネエシ
アナ(neesiana)。これらのうち、C.アズレ
アは、カリボゲイア アズレア(Calypogeia
azurea)SUN1001Pと命名され、通産省
工業技術院微生物工業技術研究所において、1991年
6月14日に微工研条寄第3448号(FERM BP
−3448)として国際寄託されている。尚、上記カリ
ポゲイア属苔類のリストは、非限定的な例示であり、こ
れら以外にも上記一般式のアズレン誘導体を製造するカ
リポゲイア属苔類は存在すると考えられる。
【0012】(1) カリポゲイア(Calypogei
a)属苔類の無菌培養 カリポゲイア(Calypogeia)属苔類の胞子を
含んださく(朔)を0.1%塩化ベンザルコニウムで洗
浄後、1%次亜塩素酸ナトリウム液により無菌化する。
無菌化したさく(朔)は、ムラシゲ−スコーグ(Mur
ashige−Skoog(MS))の基本培地の無機
成分のみを構成成分とし、その濃度を1/10にしたM
SK−3培地上に置き、無菌操作によって、胞子をさく
(朔)から取りだし、この上で約1月培養し、無菌植物
体を得る。
【0013】配偶体および無性芽より無菌植物体を得る
場合は、配偶体を5mmほどに切断し、無性芽はそのまま
の状態で、小型ステンレスメッシュで上下を挟んだ洗浄
装置に装着し、20mlの精製水または蒸留水に一滴加え
たTween−20、TritonX−100等の界面
活性剤溶液で洗浄し、引き続き、0.01〜1%次亜塩
素酸ナトリウム液で滅菌し、直ちに無菌蒸留水で十分洗
浄した後、MSK−3培地で培養する。
【0014】MSK−3培地上で生育した植物体は、M
SK−3培地にMSK−1培地の微量成分であるビタミ
ン、有機酸、その他糖類成分を加え、さらに10mM程度
のフマ−ル酸あるいはその塩、リンゴ酸あるいはその
塩、コハク酸あるいはその塩のうち一種類あるいは組み
合わせたものを加え、必要に応じて有機炭素源としてグ
ルコース等の単糖類あるいはサッカロース等の二糖類を
濃度として0.1〜6%加え、さらに0〜5%の二酸化
炭素を富化した液体培地で、20℃〜27℃、10〜2
00μmol の光を与えて培養をおこなう。
【0015】(2) 細胞培養 無菌化した胞子、無性芽および配偶体を培養して得た植
物体を、グルコースを主体とした単糖類あるいは二糖類
の濃度を0〜8%に組み合わせたMSK−3、MSK−
4またはMSK−1培地上で培養し、カルスを誘導す
る。誘導したカルスはMSK−1培地に、4%グルコー
ス、10mMフマール酸ナトリウムを加えた1410培地
で、生長調節物質を加えるかあるいは加えない状態で、
25℃、10〜100μmol の光を与えて培養を行う。
懸濁培養はカルス培養から開始し、種培養は700mlの
偏平フラスコに500mlの1410培地を加え、1%二
酸化炭素を富化した空気を0.1vvm(50ml/分)
程度の割合で通気管を用いて偏平フラスコの下部から撹
拌をかねて通気し、25℃、60〜100μmol の光を
与えて培養を行う。10リットルおよび50リットルタ
ンク培養は種培養から上記で述べた条件下で行う。
【0016】(3) アズレン誘導体の分離 アズレン誘導体は無菌培養を行った植物および培養細胞
を収穫した後、n−ヘキサンで抽出し、ヘキサン抽出物
は脱水、濃縮後オープン型のシリカゲルカラムを用いた
フラッシュカラム法(Still et al,J.O
rg.Chem.,Vol.43,p2923,197
8)により各アズレン誘導体に分画精製することができ
る。
【0017】分画精製したアズレン誘導体をさらに化学
合成的に修飾または変換して、式Iまたは式IIの他のア
ズレン誘導体を得ることもできる。
【0018】本発明のアズレン誘導体は化学反応により
合成することもできる。以下に各アズレン誘導体の合成
方法の例を示す。
【0019】(1) 1,4−ジメチルアズレンから4−メ
チルアズレン−1−カルブアルデヒドの合成(1−位の
CH3 を選択的にCHOに酸化する例) 1,4−ジメチルアズレンをカリポゲイア・アズレアか
ら分離した粗アズレンモノオキシダーゼ酵素液と反応さ
せ、反応液をシリカゲルカラムクロマトグラムにかけ、
4−メチルアズレン−1−カルブアルデヒドを精製す
る。
【0020】または、公知の方法により、活性二酸化マ
ンガンを用いて1,4−ジメチルアズレンの1位のメチ
ル基を選択的に酸化するか、1位ないし4位のメチル基
を同時に酸化した後、シリカゲルカラムクロマトグラム
により、生成した4−メチルアズレン−1−カルブアル
デヒドを分離する。
【0021】(2) 4−メチルアズレン−1−カルブアル
デヒドから4−メチルアズレン−1−カルボン酸の合成
(1−位のCHOを選択的にCOOHに酸化する例) 公知のα,β−不飽和アルデヒドの酸化法により、4−
メチルアズレン−1−カルブアルデヒドのアルデヒド基
を次亜塩素酸ナトリウムにより酸化し、4−メチルアズ
レン−1−カルボン酸を得る。
【0022】(3) 4−メチルアズレン−1−カルボン酸
から4−メチル−1−メトキシカルボニルアズレンの合
成(1−位のCOOHをエステル化する例) 公知の方法により、1gの4−メチルアズレン−1−カ
ルボン酸を20mlのメタノールに溶かし、ジアゾメタン
によりエステル化し、シリカゲルカラムクロマトグラム
を用いてエーテルで溶出して精製する。
【0023】(4) 4−メチル−1−メトキシカルボニル
アズレンから4−カルブ−1−メトキシカルボニルアズ
レンの合成(4−位のCH3 を選択的にCHOに酸化す
る例) 公知の方法により、1gの4−メチル−1−メトキシカ
ルボニルアズレンを、N−ブロモコハク酸イミドおよび
アゾイソブチロニトリルと反応させ、4−ブロモメチル
−1−メトキシカルボニルアズレンを得る。次にこの化
合物をアセトニトリルに溶解し、硝酸銀と反応させて1
−メトキシカルボニル−4−ニトロメチルアズレンを得
る。次にこの化合物を酢酸に溶解し、亜鉛末を加え0℃
で反応させ、ジエチルエーテルで抽出し、カラムクロマ
トグラムにより4−ヒドロキシメチル−1−メトキシカ
ルボニルアズレンを得る。このヒドロキシメチルエステ
ルをピリジンクロム酸混液と反応させ、カラムクロマト
グラムにより4−カルブ−1−メトキシカルボニルアズ
レンを得る。ここで得られた誘導体を、上記(2) −(3)
の例と同様にして、4−位の置換基をさらに別の置換基
に変換することが可能である。
【0024】こうして得られたアズレン誘導体がR1
たはR2 としてカルボキシル基をもつとき、これを薬学
的に許容される塩に変換することは当業者の慣用技術で
行うことができる。そのような塩の例として、1−カル
ボキシ−4−メチルアズレンのナトリウム塩またはカリ
ウム塩が挙げられる。
【0025】一般式Iのアズレン誘導体およびその塩類
は、後記実施例に示されるように、極めて安定であり、
また、水に容易に溶けるものから水にほとんど溶けない
ものまで多様にわたり、化粧品の使用目的に応じて、公
知の方法により化粧品に配合して抗炎症性を付与するこ
とが可能である。また、これらのアズレン誘導体は、美
しい紫色ないし赤色を有するから、化粧品に好ましい色
彩を付与することもできる。これを配合する化粧品とし
ては、化粧水、ローション、リップスティクおよびクリ
ーム等の種々の剤形が可能であり、さらに例えば、石
鹸、シャンプー、歯磨き、整髪料、育毛剤などに配合し
てもよい。その配合量は目的に応じて適宜選択できる
が、一般に0.03〜3%であり、化粧品に抗炎症効果
を与える点から0.5%程度が特に好ましい。例えば、
安定性が従来のアズレン類に比べて著しく大きい一般式
Iのアズレン誘導体を約0.1〜2%の割合で含むリッ
プスティクあるいは日焼防止クリームは、紫外線による
唇や皮膚の傷害を防止するために特に適している。
【0026】なお、アズレン誘導体の安全性に関して
は、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムは1960年
から市販されており、安全面できわめて高い評価が与え
られている。したがって、一般式Iのアズレン誘導体に
おいても、構造の類似性からみて安全性に問題ない。こ
のことは、後記実施例においても確認された。
【0027】一般式IIのアズレン誘導体は、胃粘膜保護
作用と胃腺基底部に棲息する有害細菌ヘリコバクテリウ
ム ピロリに対する抗菌作用を兼備し、しかも優れた安
定性と安全性も有している。従って、胃炎、胃潰瘍、十
二指腸潰瘍、咽頭炎、扁桃炎、口内炎、口腔創傷の患者
の治療のために有用である。胃粘膜保護作用と抗菌作用
の面で好ましい化合物は、R1 が特にアルデヒド基であ
り、R2 がカルボキシル基または特にメチル基であるも
のである。
【0028】式IIのアズレン誘導体は、単味でまたは製
剤用の担体または助剤とともに、上記患者に投与するこ
とができる。投与経路に特に制限はないが、好ましい投
与経路は一般に経口投与であり、その他、粘膜例えば頬
粘膜を経由して投与することもできる。経口投与用に
は、慣用方法により、粉末剤、細粒剤、錠剤、散剤、カ
プセル剤、液剤、シロップなどの剤形にすることができ
る。経粘膜投与のためには、バッカル剤、キャンデー、
ドロップなどの剤形にすることができる。これらの製剤
に使用する製剤用の助剤や担体は、製剤分野で周知であ
る。
【0029】一般式IIのアズレン誘導体は上記のとお
り、極めて安全である。従って、胃炎、胃潰瘍、十二指
腸潰瘍、咽頭炎、扁桃炎、口内炎、口腔創傷の治療のた
めの投与量は、患者の症状、年齢、反応に応じて医師が
適当に決定することができる。例えば細粒剤として成人
あたり1回1〜2gずつ1日3回投与し、あるいは一般
式IIのアズレン誘導体を1錠に0.25〜0.5g含む
錠剤を、成人あたり1回4錠ずつ、1日3回服用するこ
とができる。
【0030】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。
【0031】実施例1 アズレン誘導体の製造 上記の方法により各カリポゲイア(Calypogei
a)属苔類からアズレン誘導体を得た。なお、4−メチ
ル−アズレン−1−カルボン酸は、例えばエタノールに
溶解し、同モル量の水酸化ナトリウムを添加することに
より、Na塩に変換できる。得られた各アズレン誘導体
の収量を表1に示す。
【0032】
【表1】 表1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− カリポゲイア属苔類 アズレン誘導体 収量/100g乾重量 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− C.granulata 1,4-ジメチルアズレン 4g 4-メチル- アズレン-1- カルブアルデヒド 1g −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1,4-ジメチルアズレン 2g C.azurea 4-メチル- アズレン-1- カルボン酸 0.5g 4-メチル-1- メトキシカルボニルアズレン 3g 4-メチル- アズレン-1- カルブアルデヒド 1g −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− C.peruviana 1,4-ジメチルアズレン 4g −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− C.muereriana 1,4-ジメチルアズレン 0.5g −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− C.tosana 1,4-ジメチルアズレン 0.5g −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− C.neesiana 1,4-ジメチルアズレン 0.5g −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例2 アズレンカルボン酸のナトリウム塩およびメ
チルエステルの経口投与による血管透過性抑制作用 背部を毛刈りしたSD系ラット(1群8匹)にアズレン
カルボン酸ナトリウム塩およびメチルエステルを300
mg/kg経口投与した1時間後にヒスタミン100μg /
siteを皮内投与し、さらにその直後に1%エバンスブル
ー/生理食塩水溶液を尾静脈内投与した。色素投与30
分後、620nmにおける吸光度を測定し、漏出色素量を
算出した。陽性対照群にはグアイアズレンスルホン酸ナ
トリウム300mg/kgおよびインドメタシン10mg/kg
を経口投与した。
【0033】以上の試験結果を表2に示した。この結果
から、一般式Iのアズレン誘導体は、血管透過性抑制に
基づく抗炎症作用を有することが明らかになった。
【0034】
【表2】 表2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 被検物質 投与量 色素漏出量 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 無処置 40.2±2.9 μg/site −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 4-メチルアズレン-1- カルボン酸ナトリウム 300mg/kg 32.2±2.2 μg/site −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 4-メチル-1- メトキシカルボニルアズレン 300mg/kg 35.1±1.6 μg/site −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− グアイアズレンスルホン酸ナトリウム 300mg/kg 33.2±1.8 μg/site −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− インドメタシン 10mg/kg 22.4±1.9 μg/site −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例3 アズレンカルボン酸のナトリウム塩およびメ
チルエステルの経皮投与 による血管透過性抑制作用 背部を毛刈りしたSD系ラット(1群8匹)にアズレン
カルボン酸のナトリウム塩およびメチルエステルを0.
1%配合した軟膏1gを塗布した1時間後にヒスタミン
100μg /siteを皮内投与し、さらにその直後に1%
エバンスブルー/生理食塩水溶液を尾静脈内投与した。
色素投与30分後、ラットを放血致死させ、背部皮膚を
皮内投与部位を中心に剥離して色素を抽出後、620nm
における吸光度を測定し、漏出色素量を算出した。
【0035】陽性対照群には0.1%グアイアズレンス
ルホン酸ナトリウム軟膏1gを経皮投与およびインドメ
タシン10mg/kgを経口投与した。
【0036】以上の試験の結果を表3に示した。この結
果から、一般式Iのアズレン誘導体は、経皮投与によっ
ても実施例2と同様の抗炎症作用を有することが明らか
になった。
【0037】
【表3】 表3 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 被検物質 投与量 色素漏出量 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 無処置 39.8±3.0 μg/site −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 4-メチルアズレン-1- カルボン酸ナトリウム 300mg/kg 34.7±1.6 μg/site −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 4-メチル-1- メトキシカルボニルアズレン 300mg/kg 31.4±1.5 μg/site −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− グアイアズレンスルホン酸ナトリウム 300mg/kg 34.9±1.6 μg/site −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− インドメタシン 10mg/kg 22.4±2.1 μg/site −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例4 肥満細胞からヒスタミン遊離抑制試験 下記の方法で、ヒスタミン遊離抑制活性を平井祐子らの
方法(生薬学雑誌、37巻,374−380,198
3)により測定した。即ち、脱血致死させたウィスター
系ラットの腹腔内にタイロード液を注入して採取した腹
腔細胞から、ウシ血清アルブミン(BSA)−生理食塩
水(比重:1.068)を用いる重層遠心法により肥満
細胞を単離した。得られた細胞は2x106 個/mlとな
るように0.1%BSA含有タイロード液に懸濁し、細
胞浮遊液を調製した。
【0038】試料溶液10μl に細胞浮遊液10μl を
加えて37℃,10分間放置した後、脱顆粒誘発剤とし
てコンパウンド48/80(5μg /ml)20μl を加
えて37℃,10分間反応させた。その後、いったん氷
冷し、遠心分離(150 xg,5分)した上清中に遊
離されたヒスタミン量を、螢光検出器付高速液体クロマ
トグラフィーにより測定した。
【0039】ヒスタミン遊離抑制活性は次式により算出
した。
【0040】 %インヒビション = 100 x (1−(SR−C)/(R−C)) (但し、 C: 対照の細胞から遊離されるヒスタミン量 R: 誘発剤を加えたときに細胞から遊離されるヒスタ
ミン量 SR:試料を共存させて誘発剤を加えたときに細胞から
遊離されるヒスタミン量) 以上の結果を表4に示す。この結果から、一般式Iのア
ズレン誘導体はヒスタミン遊離抑制に基づく抗炎症作用
も有することが明らかとなった。
【0041】
【表4】 表4 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 被試験試料 ヒスタミン遊離抑制活性 IC50(ppm) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− DSCG(ジソジウム クロモグリケート) 220 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 4−メチルアズレン−1−カルボン酸ナトリウム 80 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 4−メチル−1−メトキシカルボニルアズレン 100 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例5 長期安定性および過酷試験における安定性 4−メチル−1−メトキシカルボニルアズレンを、バッ
ファー成分(1.4mmolar)でpH6.5〜7.0に調整
した化粧水中に0.03%の濃度に溶解し、室温に保存
し一週間おきに525.4nmにおける吸収を分光光度計
で測定し、試験開始時を100とした相対値を算出し
た。結果を図1に示す。
【0042】また同じ溶液を屋外の直射日光に晒し、5
25.4nmにおける吸収を分光光度計で測定した。紫外
線(300〜400nm)の積算値に対し、試験開始時を
100とした相対値を算出した。結果を図2に示す。図
中、横軸の1ラングレー(Langley) = 1 Cal/cm2 = 69.
97 mW/分/cm2である。
【0043】同様の安定性は、4−メチルアズレン−1
−カルボン酸ナトリウムについても観察された。
【0044】 実施例6 口紅(スティク型) 基剤 ヒマシ油 45.3% ヘキサデシルアルコール 25.0 ラノリン 4.0 ミツロウ 5.0 オゾケライト 4.0 キャンデリラロウ 7.0 カルナバロウ 2.0 一般式I のアズレン誘導体 0.3 酸化防止剤・防腐剤 適量 色剤 酸化チタン 2.0 色素(赤色、橙色) 適量 香料 適量 (製法):基剤原料を加熱融解し、均一に混和する。こ
れに色剤を加え、ロールミルで練り、均一に分散させた
後、再融解して香料を加え、型に流しこみ、急冷して固
める。固まったものを型から取りだし、容器に装填す
る。次にスティクの外観を整えてから炎の中を通し、表
面を均一にする。
【0045】 実施例7 ほほ紅(固形) 基剤 タルク 60% カオリン 20 酸化チタン 4 ステアリン酸亜鉛 5 コメデンプン 5 一般式I のアズレン誘導体 0.3 (不足の場合色剤を3%まで加える) 香料 適量 結合剤 流動パラフィン 3 防腐剤 適量 精製水 78.5% (製法):精製水にグリセリン、プロピレングリコール
を加え、室温下に溶解する。一方エタノールにエモリエ
ント、界面活性剤、防腐剤、香料を加えて室温下に溶解
し、精製水部に加えて可溶化する。ろ過後製品とする。
【0046】実施例8 ファンデーション(油性) 基剤 流動パラフィン 24.5% パルミチン酸イソプロピル 15 ラノリンアルコール 2 酢酸ラノリン 3 マイクロクリスタリンワックス 7 オゾケライト 8 キャンデリラロウ 0.5 防腐剤、酸化防止剤 適量 顔料 酸化チタン 15 カオリン 15 タルク 6 一般式I のアズレン誘導体 0.3 香料 適量 (製法):顔料を混合する。別に基剤を混合し、加熱融
解して均一にする。とけた基剤に顔料を加える。混合物
をロールミルで練る。練ったものを再融解し、調色した
後ゆっくり撹拌して泡を浮上させる。撹拌しつつ冷却
し、60℃で香料を加え、容器に流しこみ放冷して固め
る。
【0047】 実施例9 化粧水(柔軟化粧水、弱酸性) 保湿剤 グリセリン 5% プロピレングリコール 4 エモリエント オレイルアルコール 0.1 界面活性剤 ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル(20E.O) 1.5 ポリオキシエチルラウリルエーテル(20E.O) 0.5 エタノール 10 4−メチルアズレン−1−カルボン酸ナトリウム 0.3 香料 0.1 防腐剤 適量 精製水 78.5 (製法):精製水にグリセリン、プロピレングリコール
を加え、室温下に溶解する。一方エタノールにエモリエ
ント、界面活性剤、防腐剤、香料を加えて室温下に溶解
し、精製水部に加えて可溶化する。ろ過後製品とする。
【0048】実施例10 浴剤 (製法):上記成分をよく撹拌混和して製品とする。
【0049】実施例11 紫外線吸収遮断作用 一般式I のアズレン誘導体(カルボン酸ナトリウム塩お
よびカルボン酸メチルエステル)の経皮投与による紫外
線紅斑予防効果を次のようにして調べた。
【0050】背部を毛刈りしたHartley系モルモ
ット(1群6匹)にアズレンカルボン酸のナトリウム塩
またはメチルエステルを0.1%配合したエタノール溶
液を0.1ml塗布後、MED(最小紅斑量)の2倍量の
UVBを照射した。UVB照射4時間後に紅斑の程度を
下記の判定基準に従って肉眼判定し、その平均値を紫外
線紅斑指数とした。
【0051】コントロール部位にはエタノールを、陽性
対照部位には0.1%グアイアズレンスルホン酸ナトリ
ウムおよび1%オキシベンゾンを塗布した。
【0052】以上の試験の結果を表5に示した。
【0053】
【表5】 表5 〔判定基準〕 +++ :強度の紅斑(3点) ++ :中程度の紅斑(2点) + :明瞭な紅斑(1点) ± :わずかな紅斑(0.5点) − :変化なし(0点) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 被検物質 投与量 紫外線紅斑指数 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− コントロール − 1.7±0.4 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 4-メチルアズレン-1- カルボン酸Na 0.1% 0.8±0.2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 4-メチル-1- メトキシカルボニルアズレン 0.1% 0.6±0.1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− グアイアズレンスルホン酸Na 0.1% 0.8±0.2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− オキシベンゾン* 1% 0.5±0.2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− * ユビナールM40 実施例12 溶解度 本発明によれば、一般式Iに含まれる4−メチルアズレ
ン−1−カルボン酸ナトリウムの水溶性が、予期に反す
るほど大きいことが見出された。
【0054】溶解度は平衡法(新実験化学講座1巻,丸
善)により測定した。4−メチルアズレン−1−カルボ
ン酸ナトリウムおよび比較対照のグアイアズレンスルホ
ン酸ナトリウム(従来、最も水溶性が大きかったアズレ
ン)をガラス容器に取り、水を加え、密栓して適当時間
振り混ぜた。1時間静置した後遠心分離(3500回
転,10分間)し、上清を水で1000倍に希釈後、分
光光度計で吸光度(568nm:グアイアズレンスルホン
酸ナトリウム,536.2nm:4−メチルアズレン−1
−カルボン酸ナトリウム)を測定した。標準線により濃
度をもとめた。その結果4−メチルアズレン−1−カル
ボン酸ナトリウムの水に対する溶解度は60%(w/
v)以上で、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムは
1.53%(w/v)であった。したがって、本発明に
より、従来の水溶性アズレン(グアイアズレンスルホン
酸ナトリウム)に比べて40倍も水溶性の高いアズレン
化合物を得ることができた。
【0055】実施例13 Mild irritant
および脱血・再潅流による胃粘膜障害に対する作用 (1) 本実施例以下で用いた式IIのアズレン誘導体を表6
に示す(なお、以下の説明において、アズレン誘導体を
表6の誘導体No.で特定する場合がある)。
【0056】
【表6】 表6 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 誘導体No. R12 物性値 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1H 13C δ J δ A CHO CH3 CHO-1 10.36s - 186.8 Me-4 2.99s - 25.2 B COONa CH3 Me-4 2.99s - 25.2 COONa-1 170.2 C COOCH3 CH3 Me-4 2.97s - 25.1 COOMe-1 51.0 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (2) 式IIの化合物の胃粘膜保護作用を調べるため、次の
実験を行った。
【0057】CrjSD雄性ラット(体重360から4
60g)を24時間絶食後、ウレタン麻酔下(1.25
/kg i.p.)に使用した。気道を確保するためカニュー
レを挿入し、頚部と食道を結紮した。脱血用に左総頚動
脈にカニューレを挿入し、術創を縫合した。血圧モニタ
ー用に大腿動脈にカニューレを挿入した後、腹部を正中
切開し、胃および十二指腸起始部を露呈した。幽門輪を
血管を避けて結紮し、胃大弩を切開して粘膜を露出し、
アクリル製チャンバー(直径2cm)に胃を固定した。胃
粘膜表面を温生理食塩水で洗浄した後、2mlの生理食塩
水をチャンバー内に注入し、胃粘膜表面を覆った。
【0058】胃粘膜血流量をlaseer doppl
er法で、胃粘膜電位差(PD)をチャンバー内と腹腔
内(不関電極)に設置した寒天電極で経時的に記録し、
また、血圧および心拍数も同時にモニターし、各々のパ
ラメーターが安定した後に実験を開始した。図4の上方
に操作の手順を示すとおり、試験すべきアズレン誘導体
(被検薬)をtween80−生理食塩水に懸濁したも
のでチャンバー内の生理食塩水を置換し、30分後、1
M NaCl溶液で置換した(Mild irrita
ntとして作用し、胃粘膜上皮細胞の広範囲な脱落を誘
起する)。30分後、50mM塩酸で置換し、酸の存在
下、10分後頚動脈より脱血した。血液はヘパリン処理
した5mlの注射筒に平均血圧が40mmHgになるまで採血
した(約1.25ml/100g体重)。20分後血液を
ふたたび頚動脈より戻し、50mMHClを交換した。3
0分後、温生理食塩水に置換し、その後30分毎に生理
食塩水を交換し、2時間後、障害を受けた胃粘膜上皮細
胞の再構築をPDを指標として連続的に記録した。
【0059】なお、実験終了時には胃を摘出し、画像解
析装置を用いてチャンバー内の胃粘膜表面積および障害
部面積を測定し、図3に示した。以上の結果、アズレン
誘導体Aは胃粘膜保護作用(図3)およびアズレン誘導
体AとCはPDを指標とした障害後の胃粘膜再構築につ
いて回復促進作用を有することが明らかとなった(図
4)。
【0060】実施例14 塩酸エタノール潰瘍に対する
作用 Sprague−Dawley(SD)系雄性ラット
(体重:195〜220g)を24時間絶食して使用し
た。アズレン誘導体を3、10、30mg/kg/5mlの割
合で経口投与し、30分後に150mM塩酸・60%エタ
ノール溶液を個体当たり1.3ml経口投与した。60分
後エーテル麻酔下に胃を摘出し、2%ホルマリン溶液中
に15分間浸漬して胃壁の内外を固定した。胃を大弩に
沿って切開し、胃粘膜に生じた損傷の長さの総和(mm)
を実体顕微鏡下(×10)で測定した。
【0061】アズレンカルボン酸ナトリウム(誘導体
B)は精製水に溶解し、アズレンアルデヒド(誘導体
A)は1滴のtween80で湿潤した後に精製水で懸
濁し、3、10または30mg/kgを経口投与した。
【0062】塩酸エタノールにより惹起される胃粘膜障
害に対して、アズレン誘導体A、BおよびCはほぼ用量
依存的に抑制し、30mg/kg, p.o.ではいずれも有意に
胃粘膜障害を抑制した。とくにアズレンアルデヒド(誘
導体A)は、3〜30mg/kg, p.o.で強い抑制効果を示
した。しかしながら、マーズレン−S(アズレンスルホ
ン酸ナトリウム)はいずれの用量においても塩酸−エタ
ノールによる胃粘膜障害を抑制しなかった(図5および
図6)。
【0063】実施例15 水浸拘束ストレス潰瘍に対す
る作用 SD系雄性ラット(体重:260〜290g)を24時
間絶食して使用した。アズレン誘導体を上記と同様に調
製して10または30mg/kgを経口投与し、30分後に
ラットをステンレス製ストレスケージに入れ、22℃の
恒温水槽に胸部剣状突起まで垂直に浸した。5時間後、
エーテル麻酔下に尾静脈より1%エバァンス ブルー溶
液を個体当たり1.2ml注入し、その後約5分後、胃を
摘出した。胃粘膜損傷の測定は上記と同様にして行っ
た。
【0064】5時間の水浸拘束を負荷することにより生
じる胃粘膜障害に対して、式IIのアズレン誘導体は抑制
効果を示し、特にアズレンアルデヒド(誘導体A)およ
びアズレンカルボン酸ナトリウム(誘導体B)は30mg
/kg, p.o.で胃粘膜阻害を抑制した(図7)。
【0065】実施例16 ヘリコバクター ピロリ(H
elycobacterpylori)に対する抗菌作
用 ヘリコバクター ピロリ(Helycobacter
pylori)はスキロ培地(ニッケン生物医学研究所
製)上で増殖させ、スタフィロコッカス アウレウス
ヘモリティクス(Staphylococcus au
reus haemolyticus)、スタフィロコ
ッカス ヘモリティクス(Staphylococcu
s haemolyticus)、エスシェリア コラ
イ(Escheria coli)、およびバクテリウ
ム プロテウス ブルガリス(Bacterium p
roteus vulgaris)はTSA培地(トリ
プシン ダイズ培地)を用いて抗菌性試験をおこなっ
た。菌液の濃度は107 〜108 細胞/mlとし、抗菌試
験用プレート(32×24.5cm)に注ぎ、コンラージ
棒で培地全面によく拡げた後、余分な菌液を滅菌パスツ
ールピペットで吸取った。培地表面をクリーンベンチ内
で乾燥させてから、20μl の被検液を載せたディスク
を培地表面にのせ、24時間後ディスクの周辺に形成さ
れる阻止円の大きさを測定し、抗菌作用の有無を判断し
た。被検液の濃度は0.1、0.25、0.5、1.0
および2.0とした。その結果、0.25mg/mlでは殺
菌効果がなかったが0.5mg/mlでは、式IIのアズレン
誘導体はいずれも有意に殺菌効果を示した。
【0066】実施例17 安全性試験 本発明のアズレン誘導体の安全性を確認するため、1−
メトキシカルボニル−4−メチルアズレン(誘導体C)
および4−メチルアズレン−1−カルボキシレート(誘
導体B)を用いて次の各試験を行った。
【0067】(1) 急性毒性 ICR雄性マウスに経口投与(1500および2000
mg/kg)を1回行い、その後1週間症状を観察し、剖検
した結果、以下のような成績が得られた。
【0068】1)投与後の一般状態に何ら異常は認めら
れなかった。
【0069】2)剖検所見としては、肝臓の小葉像明瞭
化および白斑が認められたが用量相関は認められなかっ
た。
【0070】3)LD50値は経口投与において>200
0mg/kgとなった。
【0071】以上のことから、本発明のアズレン誘導体
は急性毒性に関して問題ないものと判断した。
【0072】(2) 変異原性試験 250〜2500μg /プレートの用量域で、エイムス
/サルモネラ変異原性試験を直接法によりおこなった
が、サルモネラ ティフィムリウム TA97,TA9
8,TA100およびTA102のいずれの株において
も突然変異原性は認められなかった。また、スプラグイ
−ダウレイ(Sprague−Dawley)系雄性ラ
ットの肝ミクロソーム画分(S−9)を用いた代謝活性
化によっても、500〜5000μg /プレートの用量
域で本被検物質に突然変異原性は検出されなかった。
【0073】以上の結果、本発明のアズレン誘導体は変
異原性試験において陰性と認められた。
【0074】(3) 皮膚一次刺激性試験 ハートレイ(Hartley)系雄性モルモットの腹側
部を剃毛した4時間後、被検物質の調製液(0.1およ
び1%)をパッチテスト用絆創膏を用いて、24時間閉
塞貼布した。その結果0.1および1%のいずれの濃度
においても陽性例は認められず、平均刺激値もワセリン
との間に有意差が認められなかった。
【0075】以上の結果、本発明のアズレン誘導体は皮
膚一次刺激性試験において陰性と認められた。
【0076】
【発明の効果】本発明におけるアズレン誘導体は水溶性
を有し、長期間安定に保存することができ、かつ抗炎症
効果の優れたアズレン誘導体であるため、実用化上の問
題点を克服した有用な当該誘導体および/またはその塩
類を有効成分とする化粧品を提供することが可能となっ
た。また、本発明におけるアズレン誘導体は抗炎症作
用、抗潰瘍作用およびヘリコバクテリウム属のバクテリ
アに対する抗菌活性を有し、これにより優れた胃粘膜保
護剤が提供された。
【図面の簡単な説明】
【図1】化粧水に含まれる4−メチル−1−メトキシカ
ルボニルアズレン(濃度0.03%)の室温における長
期安定性を示すグラフである。
【図2】化粧水に含まれる4−メチル−1−メトキシカ
ルボニルアズレン(濃度0.03%)の直射日光中にお
ける安定性を示すグラフである。
【図3】1M NaClおよび脱血−再潅流により誘発
された胃粘膜障害に対するアスレン誘導体の抗潰瘍作用
を示すグラフである。
【図4】1M NaClおよび脱血−再潅流により誘発
された胃粘膜血流量および胃粘膜電位差の変化におよぼ
すアズレン誘導体の作用を示すグラフである。
【図5】アズレン誘導体の塩酸エタノール潰瘍に対する
作用を示すグラフである。
【図6】アズレン誘導体の塩酸エタノール潰瘍に対する
作用を示す図5とは別の実験結果のグラフである。
【図7】アズレン誘導体の水浸拘束ストレス潰瘍に対す
る作用を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // A61K 31/015 ABE 8413−4C 31/11 ACL 8413−4C 31/19 ADZ 8413−4C 31/215 ADT 8413−4C 31/405 7252−4C

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式: (式中、R1 は低級アルキル基、アルデヒド基またはカ
    ルボキシル基もしくはその低級アルキルエステルを表
    す)で示されるアズレン誘導体および/またはその塩類
    を含む化粧品。
  2. 【請求項2】 カリポゲイア(Calypogeia)
    属の苔類を培養して得られる請求項1記載のアズレン誘
    導体および/またはその塩類を含む化粧品。
  3. 【請求項3】 カリポゲイア属の苔類を培養し、該培養
    物よりアズレン誘導体を回収、精製することを特徴とす
    る一般式: (式中、R1 は低級アルキル基、アルデヒド基またはカ
    ルボキシル基もしくはその低級アルキルエステルを表
    す)で示されるアズレン誘導体の製造方法。
  4. 【請求項4】 一般式: (式中、R1 およびR2 は各々独立して水素原子、アル
    デヒド基、カルボキシル基またはカルボキシル基のメチ
    ルエステルを表す)で示されるアズレン誘導体またはそ
    の塩類を含む、胃粘膜保護剤。
  5. 【請求項5】 カリポゲイア属の苔類を培養し、該培養
    物よりアズレン誘導体を回収、精製することを特徴とす
    る一般式: (式中、R1 およびR2 は各々独立して水素原子、アル
    デヒド基、カルボキシル基またはカルボキシル基のメチ
    ルエステルを表す)で示されるアズレン誘導体の製造方
    法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004339167A (ja) * 2003-05-16 2004-12-02 Canon Inc 新規アズレン化合物
KR101484760B1 (ko) * 2010-11-05 2015-01-23 한국생명공학연구원 젖버섯아재비로부터 신규한 세스퀴테르핀계 화합물의 제조방법과 이를 함유하는 면역강화 또는 항염증용 조성물
WO2023045612A1 (zh) * 2021-09-23 2023-03-30 江西本草天工科技有限责任公司 一种薁类化合物及其制备方法与应用

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