JP3247158B2 - アズレン誘導体を含有する化粧品 - Google Patents

アズレン誘導体を含有する化粧品

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JP3247158B2 JP25482692A JP25482692A JP3247158B2 JP 3247158 B2 JP3247158 B2 JP 3247158B2 JP 25482692 A JP25482692 A JP 25482692A JP 25482692 A JP25482692 A JP 25482692A JP 3247158 B2 JP3247158 B2 JP 3247158B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として血管透過性抑
制作用、組織修復作用、紫外線吸収遮断作用に基づく抗
炎症作用を有する有用なアズレン誘導体またはその塩類
を抗炎症有効成分および/または着色料として含有する
抗炎症化粧品に関する。
【0002】
【従来の技術】南ヨーロッパ原産キク科植物のカミツレ
は古くから民間薬として胃腸薬、風邪薬、目薬、浴用
剤、喘息、湿疹等のアレルギー疾患の治癒に用いられて
いる。カミツレの有効成分は水に不溶な濃青色の油状物
質で、カマアズレンと呼ばれる五員環と七員環の縮合環
からなる非ベンゼン系芳香族化合物である。薬理学的研
究によって、カマアズレンおよびその類縁化合物のグア
イアズレンは消炎、抗アレルギーおよび組織再生作用が
あることが明らかになった。この点に注目してこれらの
アズレン誘導体を含む製剤が医薬、医薬部外品、化粧品
として市販されている。しかしながら、従来知られてい
るアズレン誘導体は一般に、光、熱あるいは酸および水
分によって経時的に分解する傾向があることや、水に対
して難溶性であること等の理由から、長期にわたって化
粧品を安定に維持できず及び水性基剤の化粧品には使用
が困難である等、実用上の問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は水溶性
を有し、長期間安定に保存することができ、かつ抗炎症
効果の優れたアズレン誘導体またはその塩類を含有する
化粧品を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式I:
【0005】
【0006】(式中、R1 は低級アルキル基、アルデヒ
ド基またはカルボキシル基もしくはその低級アルキルエ
ステルを表す)で示されるアズレン誘導体またはその塩
類を含む化粧品である。
【0007】一般式Iのアズレン誘導体は、4−位にメ
チル基を有し1位に前記定義のR1を有し、これにより
全体として優れた安定性、良好な紫外線遮断性を有し、
さらにその或るものは極めて良好な水溶性を有してい
る。これらのアズレン誘導体は公知であるか、あるい
は、本発明者らが発見した下記のカリポゲイア(Cal
ypogeia)属苔類の植物体またはその培養細胞を
以下の方法で培養することにより取得できる。C.グラ
ニュラタ(granulata), C.アズレア(a
zurea), C.ペルビアナ(peruvian
a), C.ムエレリアナ(muereriana),
C.トサナ(tosana)およびC.ネエシアナ
(neesiana)。これらのうち、C.アズレア
は、カリボゲイアアズレア(Calypogeia a
zurea) SUN1001Pと命名され、通産省工
業技術院微生物工業技術研究所において、1991年6
月14日に微工研条寄第3448号(FERM BP−
3448)として国際寄託されている。尚、上記カリポ
ゲイア属苔類のリストは、非限定的な例示であり、これ
ら以外にも一般式Iのアズレン誘導体を製造するカリポ
ゲイア属苔類は存在すると考えられる。
【0008】(1) カリポゲイア(Calypogei
a)属苔類の無菌培養 カリポゲイア(Calypogeia)属苔類の胞子を
含んださく(朔)を0.1%塩化ベンザルコニウムで洗
浄後、1%次亜塩素酸ナトリウム液により無菌化する。
無菌化したさく(朔)は、ムラシゲ−スコーグ(Mur
ashige−Skoog(MS))の基本培地の無機
成分のみを構成成分とし、その濃度を1/10にしたM
SK−3培地上に置き、無菌操作によって、胞子をさく
(朔)から取りだし、この上で約1月培養し、無菌植物
体を得る。
【0009】配偶体および無性芽より無菌植物体を得る
場合は、配偶体を5mmほどに切断し、無性芽はそのまま
の状態で、小型ステンレスメッシュで上下を挟んだ洗浄
装置に装着し、20mlの精製水または蒸留水に一滴加え
たTween−20、TritonX−100等の界面
活性剤溶液で洗浄し、引き続き、0.01〜1%次亜塩
素酸ナトリウム液で滅菌し、直ちに無菌蒸留水で十分洗
浄した後、MSK−3培地で培養する。
【0010】MSK−3培地上で生育した植物体は、M
SK−3培地にMSK−1培地の微量成分であるビタミ
ン、有機酸、その他糖類成分を加え、さらに10mM程度
のフマ−ル酸あるいはその塩、リンゴ酸あるいはその
塩、コハク酸あるいはその塩のうち一種類あるいは組み
合わせたものを加え、必要に応じて有機炭素源としてグ
ルコース等の単糖類あるいはサッカロース等の二糖類を
濃度として0.1〜6%加え、さらに0〜5%の二酸化
炭素を富化した液体培地で、20℃〜27℃、10〜2
00μmol の光を与えて培養をおこなう。
【0011】(2) 細胞培養 無菌化した胞子、無性芽および配偶体を培養して得た植
物体を、グルコースを主体とした単糖類あるいは二糖類
の濃度を0〜8%に組み合わせたMSK−3、MSK−
4またはMSK−1培地上で培養し、カルスを誘導す
る。誘導したカルスはMSK−1培地に、4%グルコー
ス、10mMフマール酸ナトリウムを加えた1410培地
で、生長調節物質を加えるかあるいは加えない状態で、
25℃、10〜100μmol の光を与えて培養を行う。
懸濁培養はカルス培養から開始し、種培養は700mlの
偏平フラスコに500mlの1410培地を加え、1%二
酸化炭素を富化した空気を0.1vvm(50ml/分)
程度の割合で通気管を用いて偏平フラスコの下部から撹
拌をかねて通気し、25℃、60〜100μmol の光を
与えて培養を行う。10リットルおよび50リットルタ
ンク培養は種培養から上記で述べた条件下で行う。
【0012】(3) アズレン誘導体の分離 アズレン誘導体は無菌培養を行った植物および培養細胞
を収穫した後、n−ヘキサンで抽出し、ヘキサン抽出物
は脱水、濃縮後オープン型のシリカゲルカラムを用いた
フラッシュカラム法(Still et al,J.O
rg.Chem.,Vol.43,p2923,197
8)により各アズレン誘導体に分画精製することができ
る。
【0013】一般式Iのアズレン誘導体およびその塩類
は、後記実施例に示されるように、極めて安定であり、
また、水に容易に溶けるものから水にほとんど溶けない
ものまで多様にわたり、化粧品の使用目的に応じて、公
知の方法により化粧品に配合して抗炎症性を付与するこ
とが可能である。また、これらのアズレン誘導体は、美
しい紫色ないし赤色を有するから、化粧品に好ましい色
彩を付与することもできる。これを配合する化粧品とし
ては、化粧水、ローション、リップスティクおよびクリ
ーム等の種々の剤形が可能であり、さらに例えば、石
鹸、シャンプー、歯磨き、整髪料、育毛剤などに配合し
てもよい。その配合量は目的に応じて適宜選択できる
が、一般に0.03〜3%であり、化粧品に抗炎症効果
を与える点から0.5%程度が特に好ましい。例えば、
安定性が従来のアズレン類に比べて著しく大きい一般式
Iのアズレン誘導体を約0.1〜2%の割合で含むリッ
プスティクあるいは日焼防止クリームは、紫外線による
唇や皮膚の傷害を防止するために特に適している。
【0014】なお、アズレン誘導体の安全性に関して
は、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムは1960年
から市販されており、安全面できわめて高い評価が与え
られている。したがって、一般式Iのアズレン誘導体に
おいても、構造の類似性からみて安全性に問題ないと考
えられる。
【0015】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
する。
【0016】実施例1 アズレン誘導体の製造 上記の方法により各カリポゲイア(Calypogei
a)属苔類からアズレン誘導体を得た。なお、4−メチ
ルアズレン−1−カルボン酸は、例えばエタノールに溶
解し、同モル量の水酸化ナトリウムを添加することによ
り、Na塩に変換できる。得られた各アズレン誘導体の
収量を表1に示す。
【0017】 表1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− カリポゲイア属苔類 アズレン誘導体 収量/100g乾重量 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− C.granulata 1,4-ジメチルアズレン 4g 4-メチルアズレン-1- カルブアルデヒド 1g −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1,4-ジメチルアズレン 2g C.azurea 4-メチルアズレン-1- カルボン酸 0.5g 4-メチル-1- メトキシカルボニルアズレン 3g 4-メチルアズレン-1- カルブアルデヒド 1g −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− C.peruviana 1,4-ジメチルアズレン 4g −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− C.muereriana 1,4-ジメチルアズレン 0.5g −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− C.tosana 1,4-ジメチルアズレン 0.5g −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− C.neesiana 1,4-ジメチルアズレン 0.5g −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例2 アズレンカルボン酸のナトリウム塩およびメ
チルエステルの経口投与 による血管透過性抑制作用 背部を毛刈りしたSD系ラット(1群8匹)にアズレン
カルボン酸ナトリウム塩およびメチルエステルを300
mg/kg経口投与した1時間後にヒスタミン100μg /
siteを皮内投与し、さらにその直後に1%エバンスブル
ー/生理食塩水溶液を尾静脈内投与した。色素投与30
分後、620nmにおける吸光度を測定し、漏出色素量を
算出した。陽性対照群にはグアイアズレンスルホン酸ナ
トリウム300mg/kgおよびインドメタシン10mg/kg
を経口投与した。
【0018】以上の試験結果を表2に示した。この結果
から、一般式Iのアズレン誘導体は、血管透過性抑制に
基づく抗炎症作用を有することが明らかになった。
【0019】 表2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 被検物質 投与量 色素漏出量 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 無処置 40.2±2.9 μg/site −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 4-メチルアズレン-1- カルボン酸ナトリウム 300mg/kg 32.2±2.2 μg/site −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 4-メチル-1- メトキシカルボニルアズレン 300mg/kg 35.1±1.6 μg/site −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− グアイアズレンスルホン酸ナトリウム 300mg/kg 33.2±1.8 μg/site −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− インドメタシン 10mg/kg 22.4±1.9 μg/site −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例3 アズレンカルボン酸のナトリウム塩およびメ
チルエステルの経皮投与 による血管透過性抑制作用 背部を毛刈りしたSD系ラット(1群8匹)にアズレン
カルボン酸のナトリウム塩およびメチルエステルを0.
1%配合した軟膏1gを塗布した1時間後にヒスタミン
100μg /siteを皮内投与し、さらにその直後に1%
エバンスブルー/生理食塩水溶液を尾静脈内投与した。
色素投与30分後、ラットを放血致死させ、背部皮膚を
皮内投与部位を中心に剥離して色素を抽出後、620nm
における吸光度を測定し、漏出色素量を算出した。
【0020】陽性対照群には0.1%グアイアズレンス
ルホン酸ナトリウム軟膏1gを経皮投与およびインドメ
タシン10mg/kgを経口投与した。
【0021】以上の試験の結果を表3に示した。この結
果から、一般式Iのアズレン誘導体は、経皮投与によっ
ても実施例2と同様の抗炎症作用を有することが明らか
になった。
【0022】 表3 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 被検物質 投与量 色素漏出量 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 無処置 39.8±3.0 μg/site −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 4-メチルアズレン-1- カルボン酸ナトリウム 300mg/kg 34.7±1.6 μg/site −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 4-メチル-1- メトキシカルボニルアズレン 300mg/kg 31.4±1.5 μg/site −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− グアイアズレンスルホン酸ナトリウム 300mg/kg 34.9±1.6 μg/site −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− インドメタシン 10mg/kg 22.4±2.1 μg/site −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例4 肥満細胞からヒスタミン遊離抑制試験 下記の方法で、ヒスタミン遊離抑制活性を平井祐子らの
方法(生薬学雑誌、37巻,374−380,198
3)により測定した。即ち、脱血致死させたウィスター
系ラットの腹腔内にタイロード液を注入して採取した腹
腔細胞から、ウシ血清アルブミン(BSA)−生理食塩
水(比重:1.068)を用いる重層遠心法により肥満
細胞を単離した。得られた細胞は2x106 個/mlとな
るように0.1%BSA含有タイロード液に懸濁し、細
胞浮遊液を調製した。
【0023】試料溶液10μl に細胞浮遊液10μl を
加えて37℃,10分間放置した後、脱顆粒誘発剤とし
てコンパウンド48/80(5μg /ml)20μl を加
えて37℃,10分間反応させた。その後、いったん氷
冷し、遠心分離(150 xg,5分)した上清中に遊
離されたヒスタミン量を、螢光検出器付高速液体クロマ
トグラフィーにより測定した。
【0024】ヒスタミン遊離抑制活性は次式により算出
した。
【0025】%インヒビション = 100 x (1
−(SR−C)/(R−C)) 但し、C: 対照の細胞から遊離されるヒスタミン量 R: 誘発剤を加えたときに細胞から遊離されるヒスタ
ミン量 SR:試料を共存させて誘発剤を加えたときに細胞から
遊離されるヒスタミン量 以上の結果を表4に示す。この結果から、一般式Iのア
ズレン誘導体はヒスタミン遊離抑制に基づく抗炎症作用
も有することが明らかとなった。
【0026】 表4 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 被試験試料 ヒスタミン遊離抑制活性 IC50(ppm) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− DSCG(ジソジウム クロモグリケート) 220 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 4−メチルアズレン−1−カルボン酸ナトリウム 80 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 4−メチル−1−メトキシカルボニルアズレン 100 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 実施例5 化粧水中での安定性および過酷試験における
安定性 4−メチル−1−メトキシカルボニルアズレンを、バッ
ファー成分(1.4mmolar)でpH6.5〜7.0に調整
した化粧水中に0.03%の濃度に溶解し、室温に保存
し一週間おきに525.4nmにおける吸収を分光光度計
で測定し、試験開始時を100とした相対値を算出し
た。結果を図1に示す。
【0027】また同じ溶液を屋外の直射日光に晒し、5
25.4nmにおける吸収を分光光度計で測定した。紫外
線(300〜400nm)の積算値に対し、試験開始時を
100とした相対値を算出した。結果を図2に示す。図
中、横軸の1ラングレー(Langley) = 1 Cal/cm2 = 69.
97 mW/分/cm2である。
【0028】同様の安定性は、4−メチルアズレン−1
−カルボン酸ナトリウムについても観察された。
【0029】実施例6 口紅(スティク型) 基剤 ヒマシ油 45.3% ヘキサデシルアルコール 25.0 ラノリン 4.0 ミツロウ 5.0 オゾケライト 4.0 キャンデリラロウ 7.0 カルナバロウ 2.0 一般式I のアズレン誘導体 0.3 酸化防止剤・防腐剤 適量 色剤 酸化チタン 2.0 色素(赤色、橙色) 適量 香料 適量 (製法):基剤原料を加熱融解し、均一に混和する。こ
れに色剤を加え、ロールミルで練り、均一に分散させた
後、再融解して香料を加え、型に流しこみ、急冷して固
める。固まったものを型から取りだし、容器に装填す
る。次にスティクの外観を整えてから炎の中を通し、表
面を均一にする。
【0030】実施例7 ほほ紅(固形) 基剤 タルク 60% カオリン 20 酸化チタン 4 ステアリン酸亜鉛 5 コメデンプン 5 一般式I のアズレン誘導体 0.3(不足の場合色剤
を3%まで加える) 香料 適量 結合剤 流動パラフィン 3 防腐剤 適量 精製水 78.5% (製法):精製水にグリセリン、プロピレングリコール
を加え、室温下に溶解する。一方エタノールにエモリエ
ント、界面活性剤、防腐剤、香料を加えて室温下に溶解
し、精製水部に加えて可溶化する。ろ過後製品とする。
【0031】実施例8 ファンデーション(油性) 基剤 流動パラフィン 24.5% パルミチン酸イソプロピル 15 ラノリンアルコール 2 酢酸ラノリン 3 マイクロクリスタリンワックス 7 オゾケライト 8 キャンデリラロウ 0.5 防腐剤、酸化防止剤 適量 顔料 酸化チタン 15 カオリン 15 タルク 6 一般式I のアズレン誘導体 0.3 香料 適量 (製法):顔料を混合する。別に基剤を混合し、加熱融
解して均一にする。とけた基剤に顔料を加える。混合物
をロールミルで練る。練ったものを再融解し、調色した
後ゆっくり撹拌して泡を浮上させる。撹拌しつつ冷却
し、60℃で香料を加え、容器に流しこみ放冷して固め
る。
【0032】 実施例9 化粧水(柔軟化粧水、弱酸性) 保湿剤 グリセリン 5% プロピレングリコール 4 エモリエント オレイルアルコール 0.1 界面活性剤 ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリン酸エステル(20E.O) 1.5 ポリオキシエチルラウリルエーテル(20E.O) 0.5 エタノール 10 4−メチルアズレン−1−カルボン酸ナトリウム 0.3 香料 0.1 防腐剤 適量 精製水 78.5 (製法):精製水にグリセリン、プロピレングリコール
を加え、室温下に溶解する。一方エタノールにエモリエ
ント、界面活性剤、防腐剤、香料を加えて室温下に溶解
し、精製水部に加えて可溶化する。ろ過後製品とする。
【0033】 実施例10 浴剤 重炭酸ナトリウム 20.0% 炭酸ナトリウム(無水) 25.0 硫酸ナトリウム(芒硝)(無水) 48.0 ホウ砂 3.0 4−メチルアズレン−1−カルボン酸ナトリウム 0.3〜2.0 エデト酸二ナトリウム 2.0 香料 適量 色素 適量 (製法):上記成分をよく撹拌混和して製品とする。
【0034】実施例11 紫外線吸収遮断作用 一般式I のアズレン誘導体(カルボン酸ナトリウム塩お
よびカルボン酸メチルエステル)の経皮投与による紫外
線紅斑予防効果を次のようにして調べた。
【0035】背部を毛刈りしたHartley系モルモ
ット(1群6匹)にアズレンカルボン酸のナトリウム塩
またはメチルエステルを0.1%配合したエタノール溶
液を0.1ml塗布後、MED(最小紅斑量)の2倍量の
UVBを照射した。UVB照射4時間後に紅斑の程度を
下記の判定基準に従って肉眼判定し、その平均値を紫外
線紅斑指数とした。
【0036】コントロール部位にはエタノールを、陽性
対照部位には0.1%グアイアズレンスルホン酸ナトリ
ウムおよび1%オキシベンゾンを塗布した。
【0037】以上の試験の結果を表5に示した。
【0038】 表5 〔判定基準〕 +++ :強度の紅斑(3点) ++ :中程度の紅斑(2点) + :明瞭な紅斑(1点) ± :わずかな紅斑(0.5点) − :変化なし(0点) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 被検物質 投与量 紫外線紅斑指数 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− コントロール − 1.7±0.4 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 4-メチルアズレン-1- カルボン酸Na 0.1% 0.8±0.2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 4-メチル-1- メトキシカルボニルアズレン 0.1% 0.6±0.1 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− グアイアズレンスルホン酸Na 0.1% 0.8±0.2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− オキシベンゾン* 1% 0.5±0.2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− * ユビナールM40 実施例12 溶解度 本発明によれば、一般式Iに含まれる4−メチルアズレ
ン−1−カルボン酸ナトリウムの水溶性が、予期に反す
るほど大きいことが見出された。
【0039】溶解度は平衡法(新実験化学講座1巻,丸
善)により測定した。4−メチルアズレン−1−カルボ
ン酸ナトリウムおよび比較対照のグアイアズレンスルホ
ン酸ナトリウム(従来、最も水溶性が大きかったアズレ
ン)をガラス容器に取り、水を加え、密栓して適当時間
振り混ぜた。1時間静置した後遠心分離(3500回
転,10分間)し、上清を水で1000倍に希釈後、分
光光度計で吸光度(568nm:グアイアズレンスルホン
酸ナトリウム,536.2nm:4−メチルアズレン−1
−カルボン酸ナトリウム)を測定した。標準線により濃
度をもとめた。その結果4−メチルアズレン−1−カル
ボン酸ナトリウムの水に対する溶解度は60%(w/
v)以上で、グアイアズレンスルホン酸ナトリウムは
1.53%(w/v)であった。したがって、本発明に
より、従来の水溶性アズレン(グアイアズレンスルホン
酸ナトリウム)に比べて40倍も水溶性の高いアズレン
化合物を得ることができた。
【0040】
【発明の効果】本発明におけるアズレン誘導体は水溶性
を有し、長期間安定に保存することができ、かつ抗炎症
効果の優れたアズレン誘導体であるため、実用化上の問
題点を克服した有用な当該誘導体および/またはその塩
類を有効成分とする化粧品を提供することが可能となっ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】化粧水に含まれる4−メチル−1−メトキシカ
ルボニルアズレン(濃度0.03%)の室温における長
期安定性を示すグラフである。
【図2】化粧水に含まれる4−メチル−1−メトキシカ
ルボニルアズレン(濃度0.03%)の直射日光中にお
ける安定性を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A61K 7/50 A61K 7/50 (56)参考文献 特開 平1−186809(JP,A) 特開 昭60−19710(JP,A) 特開 平5−178716(JP,A) 特公 昭45−21396(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/00 - 7/50 CA(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I): 【式1】 (式中、R1 はカルボキシル基又はその低級アルキルエ
    ステルを表わす)で示されるアズレン誘導体および/ま
    たはその塩類を含む化粧品。
  2. 【請求項2】 アズレン誘導体が、4−メチルアズレン
    −1−カルボン酸または4−メチルアズレン−1−メト
    キシカルボニルアズレンである請求項1記載の化粧品。
  3. 【請求項3】 アズレン誘導体および/またはその塩類
    が、カリポゲイア属の苔類を培養し、該培養物より回
    収、精製して得られるものである、請求項2記載の化粧
    品。
  4. 【請求項4】 一般式(I): 【式2】 (式中、R1 はカルボキシル基又はその低級アルキルエ
    ステルを表わす)で示されるアズレン誘導体および/ま
    たはその塩類を化粧品に配合することよりなる、アズレ
    ン誘導体および/またはその塩類を含む化粧品の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 アズレン誘導体が、4−メチルアズレン
    −1−カルボン酸または4−メチルアズレン−1−メト
    キシカルボニルアズレンである請求項4記載の化粧品の
    製造方法。
  6. 【請求項6】 アズレン誘導体および/またはその塩類
    が、カリポゲイア属の苔類を培養し、該培養物より回
    収、精製して得られるものである、請求項5記載の化粧
    品の製造方法。
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