JPH05178652A - セラミックス成形方法及びそのための組成物 - Google Patents

セラミックス成形方法及びそのための組成物

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JPH05178652A
JPH05178652A JP3334402A JP33440291A JPH05178652A JP H05178652 A JPH05178652 A JP H05178652A JP 3334402 A JP3334402 A JP 3334402A JP 33440291 A JP33440291 A JP 33440291A JP H05178652 A JPH05178652 A JP H05178652A
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JP
Japan
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organic solvent
ceramic powder
gelling agent
volume
mold
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JP3334402A
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English (en)
Inventor
Tatsuya Kawahara
竜也 川原
Seiji Hashimoto
誠司 橋本
Koichi Kojima
康一 小島
Naoto Enoshima
尚登 榎島
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 セラミックス粉末の流動性を高め成形して脱
型後に成形体形状を保持でき、かつ成形体からの脱脂が
容易なセラミックスの成形方法、及びそのための組成物
を提供すること。 【構成】 有機溶媒中にセラミック粉末が分散されかつ
ゲル化剤を含むスラリー状組成物を型内に注入後、該組
成物をゲル化せしめてセラミックス成形体を得ることを
特徴とするセラミックス成形方法。ゲル化剤としてヒド
ロキシ基含有脂肪酸およびその誘導体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセラミックス粉末より成
形体を作製する方法、及びそのための組成物に係る。
【0002】
【従来の技術】従来、複雑形状のセラミックス製品を成
形する場合は、セラミックス粉末に高分子またはワック
スなどの熱可塑性物質をバインダーとして混合して射出
成形する方法があり実用化されている。また、セラミッ
クス粉末を水に分散させ、ゲル化剤で固化させる方法も
提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記有
機バインダーを用いる射出成形法では高粘度の材料を高
圧で金型内に射出注入するために、以下に示す問題点が
ある。成形品に関しては、流動性が不十分であること
でジェッティングが発生しやすい。中心部の密度が低
くなりやすい。脱脂に要する時間が長い。成形機に関
しては、成形機、金型の摩耗が大きい。これらはいず
れも樹脂の成形の場合のようには克服されていないのが
現状である。
【0004】また、水系ゲル成形では、水の除去(乾
燥)中に割れやすく、かつ水が除去されない、またセラ
ミックス粉末と水が反応してセラミックス焼結体に悪い
影響を与えるなどの問題がある。
【0005】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
ので、セラミックス粉末の流動性を高め成形して脱型後
に成形体形状を保持でき、かつ成形体からの脱脂が容易
なセラミックスの成形方法、及びそのための組成物を提
供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、有機溶媒中にセラミックス粉末が分散さ
れかつゲル化剤を含むスラリー状組成物を型内に注入
後、その組成物をゲル化せしめてセラミックス成形体を
得ることを特徴とするセラミックス成形方法を提供す
る。
【0007】この方法では、水に代えて有機溶媒を用
い、かつ有機溶媒をゲル化剤で固化させる機構をセラミ
ックス粉末の成形方法に応用するものである。有機溶媒
を用いることによって、流動性の高いスラリーの状態で
成形した後固化させることができ、かつ成形後の乾燥、
脱脂が容易になり、しかもセラミックス粉末と水の反応
を回避でき、セラミックス焼結体物性に対する悪影響の
回避が実現される。
【0008】有機溶媒の固化はゲル化による。すなわ
ち、有機溶媒中に溶解又は分散しているゲル化剤が集合
又は反応して構造を持って固化し、しかも有機溶媒を含
んだまま固化してゼリー状になる作用を利用する。好ま
しくは、加熱冷却によるゲル化剤どうしの水素結合が結
合、切断することを利用する。このゲル化の際、有機溶
媒中にセラミックス粉末を分散せしめておくことによ
り、固化後、セラミックス成形体が得られる。
【0009】本発明で使用できるセラミックス粉末は特
に限定なく、窒化珪素炭化珪素等に広く適用できる。も
ちろん、焼結助剤等を含んでもよい。セラミックス粉末
の量は40〜70体積%の範囲が一般的で、粉末の粒度
分布に依存するが、望ましくは45〜65体積%であ
る。
【0010】本発明の方法に用いる有機溶媒は特に限定
されない。ゲル化剤を溶解又は分散させ得るものであれ
ばよく、セラミックス粉末の種類、ゲル化剤の種類に応
じて選択され、鉱物油、動植物油、炭化水素系溶媒、ケ
トン類、エステル類、アミド類、アルコール類、などで
ある。1つの好ましい有機溶媒として石油系炭化水素溶
剤が挙げられる。石油系炭化水素溶剤としてはパラフィ
ン系炭化水素(iso−パラフィン、n−パラフィ
ン)、芳香族系炭化水素(アルキルベンゼン等)、ナフ
テン系などが挙げられる。しかしながら、例えばSi3
4 粉末との濡れ性の良さ、取扱い性の良さ(水による
洗浄可等)からアルコール等の極性溶剤が好ましい場合
もある。
【0011】有機溶媒の量は一般的に30〜60体積%
よりゲル化剤、分散剤の添加量を引いた量である。有機
溶媒の量が60体積%より多いと、焼成時の収縮が大き
く、亀裂の発生する可能性が高く、さらに緻密な焼結体
が得られなくなる。また、30体積%より少ないとスラ
リー粘度が高くなりすぎて、ポアの残存等成形上好まし
くない。
【0012】セラミックス粉末を有機溶剤に分散させる
ために分散剤を用いることができる。分散剤の使用は、
極性が小さい有機溶剤中にセラミックス粉末を分散させ
る場合に特に有効である。分散剤としては、セラミック
ス粉末、有機溶媒からなる配合物を加熱して流動化され
たときセラミックス粉末を分散させる機能を有する化合
物であれば使用できるが、例えばポリエチレンアルキル
エーテル系フォスフェートやポリエチレングリコールア
ルキルエーテル、ポリオキシプロピレンモノアリルモノ
ブチルエーテルと無水マレイン酸及びスチレンの共重合
物などが石油系炭化水素溶剤に対して使用できる。
【0013】分散剤を用いた場合、その添加量は一般に
セラミックス粉末に対して1〜10wt%である。過剰に
添加するとスラリー粘度が増加し、過少の場合はスラリ
ーにすることができなくなる場合がある。また最適な添
加量は分散剤のタイプ、セラミックス粉末の特性(特に
比表面積)により決まる。
【0014】本発明で用いるゲル化剤は、有機溶媒をゲ
ル化し得る化合物であればよい。ゲル化の態様も限定さ
れないが、代表的には、有機溶媒との配合物を加熱した
状態で液状化し、型内で冷却するとゲル化する化合物が
ある。このような化合物としては、ヒドロキシ基含有脂
肪酸(特に炭素原子数10〜30のアルキル脂肪酸、例
えば12−ヒドロキシステアリン酸(ヒマシ硬化脂肪
酸))が挙げられ、この化合物は天然に多く存在し工業
的に使用可能である。その他合成により任意の炭素に水
酸基をつけた化合物も用いることができる。また、脂肪
酸の金属塩(例えば、ステアリン酸、パルミチン酸、2
−エチルヘキサンカルボン酸、12−ヒドロキシステア
リン酸などの脂肪酸のアルミニウム、マグネシウム、カ
ルシウム、リチウムなどの金属塩など、特に金属石鹸と
呼ばれるもの)、単糖類のジベンジリデン誘導体(グル
コース、ソルビトール、マニトールなどの糖類のシス位
の1,3−ジオールがベンズアルデヒドと酸触媒下で縮
合して得られるもの、特にジベンジリデンソルビトー
ル)、アミノ酸誘導体(特に下記一般式)
【0015】
【化1】
【0016】で表わされるN−アシルアミノ酸のアミ
ド、およびその他N−アシルエステル、N−アシルアミ
ン塩などの長鎖のアルキル基を持つもの−式中、R1
5 はメチレン基、R2 ,R3 ,R4 ,R6 はアルキル
基を表わす−、など)、などを挙げることができる。
【0017】これらのうち、例えば、12−ヒドロキシ
ステアリン酸等は無極性溶媒と相性がよく、またジベン
ジリデンソルビノールは極性溶媒と相性がよい。ゲル化
剤の使用量は、ゲル化剤の種類、有機溶媒との組合せ、
さらに用いる分散剤の種類と量あるいは成形体に要求さ
れる硬さに大きく依存するので一概ではない。しかし、
一般的に述べると、有機溶媒の量を100体積部として
1.0〜150体積部が好ましく、さらに2〜120体
積部の範囲がより好ましい。1.0体積部未満ではセラ
ミックス粉末の固化が不十分となり、一方150体積部
を越えるとセラミックス粉末との配合物のスラリー粘度
が高くなり、低圧での型への注入が困難となる、あるい
は脱脂量が多くなるので好ましくない。分散剤の入った
系では分散剤の影響を受け、上記範囲が多少変動し、例
えば20〜120体積部が好ましくなる。
【0018】本発明のセラミックス成形方法では、セラ
ミックス粉末と有機溶媒とゲル化剤を含む流動性のスラ
リーを作成し、型内に注入後、ゲル化(固化)させる
が、流動性を有するスラリーの形成条件及びゲル化の条
件はゲル化剤等の種類に依存する。
【0019】図1を参照して代表的な工程を説明する。
セラミックス粉末、有機溶媒、ゲル化剤を混合するが、
ゲル化剤を有機溶媒に溶解させる必要があるので、加熱
によりゾル、冷却によりゲル化するゲル剤を使用する場
合では、先ず、セラミックス粉末、有機溶媒及び/又は
分散剤をミル中で混合し、その後加熱し、これに加熱し
て溶融状態にしたゲル化剤を添加し、加熱下で混合す
る。
【0020】ゲル化剤をより均一に混合するために余分
の有機溶剤を用いる場合には、次に、濃度調整を行な
う。すなわち、加熱して余分な有機溶媒蒸発除去する。
こうして得られる適当なセラミックス濃度と良好な流動
性を有するスラリーを例えば室温等、低温の型に注入し
て冷却固化(ゲル化)させる。この注入は低圧(例えば
1〜10kg/cm2 )下で可能である。
【0021】固化したセラミックス成形体は脱型後、1
00℃以下(例えば50〜80℃)程度の温度で10〜
24時間位乾燥させて、有機溶媒の殆んど又は全部を除
去する。次いで、脱脂し、焼結する。脱脂は例えば5〜
20℃/hrで昇温し、ゲル化剤が燃焼あるいは分解する
温度〔約480℃(max)〕で3〜5時間保持する。
その後最適な温度条件で焼結してセラミックス焼結体を
得る。乾燥後の成形体は有機固形分が少なくかつゲル化
剤が比較的低分子量であるので、また有機溶媒が飛散し
て気孔が発生しているので、脱脂は容易であり、かつ欠
陥の発生も防止される効果がある。
【0022】また、本発明によれば、新規なセラミック
ス成形用組成物として、セラミックス粉末、有機溶媒、
分散剤、及びゲル化剤としてヒドロキシ基含有脂肪酸又
はその誘導体からなることを特徴とするセラミックス成
形用組成物が提供される。ゲル化剤としてのヒドロキシ
基含有脂肪酸(例えば、12−ヒドロキシステアリン
酸)はどちらかといえば極性が低い溶媒、例えば石油系
炭化水素に好適である。
【0023】このゲル化剤は、スラリーの冷却過程で、
ゲル化剤がお互いに三次元的に結合(特に水素結合)し
巨大会合体を形成し、有機溶媒、セラミックス粉末で膨
潤した状態で固化する。メカニズム的には上記の12−
ヒドロキシステアリン酸の場合では、12位の水酸基が
重要である。この水酸基が他の分子の12位の水酸基又
はカルボン酸中の水酸基と水素結合することにより強度
のあるゲル成形体が得られる。
【0024】また、この系にはスラリーの流動性、成形
体強度等を考慮して、パラフィンワックス、マイクロク
リスタリンワックス、高級アルコール、脂肪酸及びその
誘導体、金属石ケン等を組合せて使用することも可能で
ある。
【0025】
【作用】有機溶媒にセラミックス粉末を分散させた系で
あるため、粘度が低く、流動性の良好なスラリーが得ら
れ、低圧での成形が可能でありながら、ゲル化されると
成形体の形状を保持し、しかも乾燥して有機溶媒を除去
できるので、脱脂が簡単である。さらに、系が有機溶剤
系であるため、水系と異なりセラミックス粉末と水が反
応して物性に悪い影響を与える物質が生成しない。
【0026】
【実施例】実施例1 セラミックス粉末として下記配合物を用い、ボールミル
で湿式混粉した。 Si3 4 (粒径0.1〜1μm、平均粒径0.5μm)100重量部 (93.2体積%) Y2 3 (粒径0.1〜1μm、平均粒径0.8μm) 5重量部 (3体積%) Al2 3 (粒径0.1〜1μm、平均粒径0.3μm) 5重量部 (3体積%)
【0027】上記混粉50体積%に対して下記を添加
し、70℃に加熱し、攪拌機で10時間攪拌してスラリ
ーを調整した。 分散剤:ポリオキシエチレンアルキルエーテル系フォス
フェート 8体積% 有機溶媒:ミネラルスピリット
32体積% ゲル化剤:ヒマシ硬化脂肪酸(12−ヒドロキシステア
リン酸) 10体重%
【0028】このスラリーを30℃に温調した型内に5
kg/cm2 の圧力で注入し、5分後に脱型した。得られた
成形体は60℃×10時間の条件で溶媒を乾燥した。得
られた乾燥体は20℃/hrで450℃まで昇温後、3時
間保持してゲル化剤を除去し、その後N2 中、1800
℃で焼成しセラミックス焼成体を得た。セラミックス焼
成体はφ30×50の円筒で、その特性等を表Iに示
す。
【0029】比較例 比較のため、従来法に従い、実施例1と同じセラミック
ス粉末混合物50体積%に、分散剤としてポリオキシエ
チレンアルキルエーテル系フォスフェート8体積%、有
機溶媒としてミネラルスピリット42体積%を添加し、
40℃で10時間加熱攪拌してスラリーを作製した。こ
のスラリーを15℃に温調した型内に5kg/cm2 で注入
し、固化(180分)後脱型した。得られた成形体は6
0℃×10hrの条件で溶媒を乾燥した。
【0030】得られた乾燥体を20℃/hrで450℃ま
で昇温後3時間保持し分散剤を除去しN2 中、1800
℃で焼成しセラミックス焼成体を得た。表Iに、実施例
1と同形のセラミックス焼成体についてのデータを示
す。
【0031】 表 I 実施例1 実施例2 比較例 ─────────────────────────────── 固化時間 5 分 3 分 180分 成形体強度 30kg/cm2 30kg/cm2 5kg/cm2 脱脂結果 亀裂なし 亀裂なし 亀裂発生* ─────────────────────────────── * 成形体の不均質に起因すると考えられる。
【0032】実施例2 実施例1と同様にして、但し、セラミックス粉末50体
積%のほか、ポリオキシプロピレンモノアリルモノアリ
ルモノブチルエーテルと無水マレイン酸の共重合物4.
5体積%、ミネラルスピリット33.5体積%のほか、
ゲル化剤としてヒマシ硬化脂肪酸8体積%及びマイクロ
クリスタリンワックス4体積%の配合物を用いてφ30
×50のセラミックス焼成体を作製した。
【0033】結果を表Iに併せて示す。ノルマルパラフ
ィン(液体)と12−ヒドロキシステアリン酸を80℃
以上に加熱して溶解し、冷却したゲルの組織と、ミネラ
ルスピリット(イソパラフィン)に12−ヒドロキシス
テアリン酸を添加したゲルの組織を図2に示す。ノルマ
ルパラフィンを用いた方が微細なゲル組織となることが
わかる。次に実際の製造プロセスに応用する。
【0034】ノルマルパラフィン65体積%にセラミッ
クス粉末(91wt%Si3 4 +6wt%Y2 3 +3wt
%Al2 3 )35体積%を加え、さらにセラミックス
粉末に対して5体積%の分散剤(実施例2に使用したも
の)を加え、ボールミルでサスペンション化した。その
サスペンションを80℃以上に加熱して、12−ヒドロ
キシステアリン酸を10wt%添加して、攪拌した。次に
粉末濃度が45vol %になる様に溶媒を蒸発させ、30
00 MPa・s の粘度を有するスラリーを得た。このスラ
リーを20℃の金型に5kg/cm2 で成形して50×50
×10mmの平板を得た。この成形体を加熱して有機成分
を除去した。
【0035】この脱脂体を1750℃、N2 雰囲気中で
焼結して、JIS R 1601に従って4点曲げ強度
を測定した。(図3に結果を示す。) 一方、上記と同様な方法で溶媒をイソパラフィンにして
得られた焼結体の強度を比較として求めた。その結果n
パラフィンを使用した方が著しく高強度であった。これ
は、ゲルが微細のため成形体中の欠陥が小さくなり、さ
らに焼結体中にはほとんど欠陥が発生しないためと考え
られる。
【0036】実施例3 窒素珪素 (平均粒径0.2μm)96wt%(97体積
%) イットリア(平均粒径0.6μm)2wt% (1.2体
積%) スピネル (平均粒径0.4μm)2wt% (1.8体
積%)
【0037】を均一に混合した粉末に対してヒドロキシ
ル価160のヒマシ硬化脂肪酸を用い表IIに示す組成物
を70℃のポットボールミルにより均一混煉物を得る。
この時の混煉物の粘度(室温、70℃)を表IIに示す。
該混煉物を20℃のターボホイール金型内に5気圧で注
入し冷却固化して成形体を得た。
【0038】成形体内部のヒケの有無を破壊して確認し
た結果を表IIに併記する。成形体の離型が可能であった
かどうかを表IIに示す。該成形体を60℃24時間その
後時間当たり7℃で昇温し480℃まで加熱し脱脂し
た。脱脂後の成形体の亀裂発生の有無を表IIに示す。亀
裂のない脱脂体は1700℃〜1800℃窒素ガス中で
焼結した。
【0039】
【表1】
【0040】実施例4のサンプルNo. 4の条件で1cm×
2cm×10cmの成形体を成形し、3点曲げ強度を評価し
た。結果は50g/mm2 であった。
【0041】参考例 12−ヒドロキシステアリン酸と有機溶剤の組合せによ
るゲル化の状態を見る実験を行なった。
【0042】ヒマシ硬化脂肪酸(12−ヒドロキシステ
アリン酸85%含有)を1〜20体積%と、有機溶剤と
して混合溶媒のミネラルスピリット(キシダ化学製)、
イソパラフィン系のアソイパーG(エクソン製)、ケト
ン系のジイソブチルケトン(試薬)、エステル系の酢酸
ジエチルブチル(試薬)、芳香族系のイソプロピルベン
ゼン(試薬)、又はナフテン系(シクロパラフィン系)
のシクロヘキサン(試薬)を78〜99体積%とからな
るサンプル30ccを加熱混合後、50ccサンプルビン内
で室温(25℃)で自然放冷ゲル化させ、そのゲルの性
状を観察した。結果を表III にまとめて示す。
【0043】
【表2】
【0044】表III に見られるように、溶媒として芳香
族系炭化水素を用いた場合、ヒマシ硬化脂肪酸(固化
剤)の量が15体積%までは透明な非晶質ゲルとなり、
ゲル均一化が実現した。そして、この効果はイソプロピ
ルベンゼンに固有のものではなく、ジエチルベンゼン、
トリメチルベンゼン等でも同等な効果を確認した。特に
低分子の芳香族で、ゲル均一化効果が高い。ゲルの強度
は他の溶媒と同等以上である。
【0045】又、溶媒として、シクロパラフィンを用い
た場合、ヒマシ硬化脂肪酸(ゲル化剤)15体積%まで
均一ゲルとなったが、この場合は芳香族の時の様な非晶
質透明ゲルではなく、白濁ゲルであった。少なくとも結
晶の微細化が実現されている。この効果はシクロヘキサ
ンに固有のものではなく、メチルシクロヘキサン、エチ
ルシクロヘキサン等の誘導体でも同等の効果が得られ
た。ゲルの強度は他の溶媒と同等以上である。
【0046】これら、芳香族及びシクロパラフィンのゲ
ル均一化効果は、分子構造が平板状であるところに帰因
されると予想されるが、そのメカニズムは現在のところ
明確でない。一方、何らかの理由で、芳香族、又はシク
ロパラフィン100%の溶媒が使用不可の場合、一部混
合するだけでもゲル均一化効果がある。このように、芳
香族溶媒を用いて、非晶質ゲルとなった場合、バインダ
ーの固化(結晶化)に伴なう体積収縮が発生しないた
め、成形時の熱収縮によるヒケの発生が少なくなり、欠
陥の発生が防止される。
【0047】芳香族溶媒、シクロパラフィン系に限らず
極性の強い有機溶媒を用いると、12−ヒドロキシステ
アリン酸のゲル化温度は低下する。一方マイクロワック
ス、ポリエチレン等はほとんど変化しないため、シーデ
ィング効果を効率よく機能させることができる(少量の
添加でも効果大)。また、溶媒を適切に混合することに
より、成形上最も好ましいゲル化温度を設定することも
可能である。
【0048】実施例4 表〓のNo. 21のスラリーは、窒化珪素粉末3150g
に焼結助剤のイットリア175gとアルミナ175gと
からなるセラミックス粉末に有機溶媒としてエタノール
1500gと、脂肪酸の金属塩としてステアリン酸アル
ミニウム75gとの混合物を50〜150℃に加熱し、
さらに分散剤セラモD−18(第一工業製薬(株)製)
をセラミックス粉末に対して3wt%添加して、ホモジナ
イザーで1時間混合したものである。
【0049】このスラリーを約15〜20℃に保持した
金型に流しこみ1〜10kgf /cm2 に加圧しながら冷却
ゲル化させた。固化物を型より取出し乾燥機(50〜1
00℃)で有機溶媒を蒸発させ、さらに500℃で1時
間加熱し脂肪酸の金属塩を脱脂除去して成形体を得た。
この成形体を1750℃10気圧の窒素雰囲気下で4時
間焼結した。得られた焼結体はJIS R1601,1
604に基づき4点曲げ強度を測定した。結果を表IVに
示す。
【0050】
【表3】
【0051】No. 22は有機溶媒をn−プロパノール、
No. 23はミネラルスピリット、No. 4は、ケロシン、
No. 25はn−パラフィンに変えて用いた外はNo. 21
と同様の処理をおこない焼結体を作製して強度を評価し
た。表IVに示すように、4点曲げ強度はいずれの焼結体
とも室温では950MPa 前後の値を示し、良好な強度を
示した。また高温の1000℃における強度も850MP
a 前後の高い強度を示した。使用した溶媒の種類により
多少の差は有るが、実用上問題となるほどの差ではな
い。したがって、この脂肪酸の金属塩はバインダー成分
として有機溶媒と共に使用することが有効であることを
示している。
【0052】実施例5 表Vに示すNo. 41のスラリーは、窒化珪素粉末315
0gに焼結助剤のイットリア175gとアルミナ175
gとからなるセラミックス粉末に、バインダー組成物と
して有機溶媒にエタノール1500gと、単糖類のジベ
ンジリデン誘導体としてジベンジリデンソルビトール1
5gとさらに分散剤セラモD−18(第一製薬(株)
製)をセラミックス粉末に対して3wt%添加し、混合し
て50〜150℃に加熱し、ホモジナイザーで1時間混
合したものである。
【0053】このスラリーを約15〜20℃に保持した
金型に流しこみ1〜10kgf /cm2 に加圧しながら冷却
ゲル化させた。固化物を型より取出し乾燥機(50〜1
00℃)で有機溶媒を蒸発させ、さらに500℃で1時
間加熱し単糖類のジベンジリデン誘導体を脱脂除去して
成形体を得た。この成形体を1750℃で10気圧の窒
素雰囲気下で4時間焼結した。得られた焼結体をJIS
R1601に基づき4点曲げ強度を測定した。
【0054】結果を表Vに示す。No. 42はバインダー
組成物の有機溶媒をn−プロパノール、No. 43はトル
エン、No. 44は大豆油、No. 45はミネラルスピリッ
ト、No. 46はメチルイソブチルケトンに代替した外は
No. 41と同様にして焼結体を作製して強度を調べた。
【0055】表Vに示すように4点曲げ強度はいずれの
焼結体とも室温で1000MPa 前後の値を示し、良好な
強度を示した。また高温の1000℃における強度も9
50MPa 前後の値であり、有機溶媒の違いにより特に差
は認められなかった。したがって、この単糖類のジベン
ジリデン誘導体がバインダー成分として有機溶媒と共に
用いることが有効であることを示している。
【0056】
【表4】
【0057】
【化2】
【0058】実施例6 表VIに示すNo. 61のスラリーは、窒化珪素粉末315
0gに焼結助剤のイットリア175gとアルミナ175
gとからなるセラミックス粉末に、バインダー組成物と
して有機溶媒にミネラルスピリット(商品名)1500
gと、アミノ酸誘導体としてN−ラウロイル−L−グル
タミン酸−α,γ−ジ−n−ブチルアミド15gとを混
合してさらに最適な分散剤(マリアリムAAB−085
1 日本油脂(株)製)を粉末に対して3wt%添加して
50〜150℃に加熱し、ホモジナイザーで1時間混合
したものである。
【0059】このスラリーを約15〜20℃に保持した
金型に流しこみ1〜10kgf /cm2 に加圧しながら冷却
固化させた。固化物を型より取出し乾燥機(50℃)で
有機溶媒を蒸発させ、さらに500℃で2時間加熱しア
ミノ酸誘導体を脱脂して成形体を得た。この成形体を1
750℃で10気圧の窒素雰囲気下で4時間焼結した。
得られた焼結体をJIS R1601に基づき4点曲げ
強度を測定した。結果を表VIに示す。
【0060】No. 62はバインダー組成物中の有機溶媒
をメチルイソブチルケトン、No. 63はトルエン、No.
64はジブチルフタレート、No. 65はn−パラフィン
を代替した外はNo. 61と同様にして焼結体を作製して
強度を調べた。表VIに示すように、4点曲げ強度はいず
れの焼結体とも室温では1000MPa前後の値を示し、
良好な強度を示した。また高温の1000℃での曲げ強
度も950MPa 前後の値であり、有機溶媒の違いにより
曲げ強度は特に差が認められなかった。したがって、ア
ミノ酸誘導体の使用が効果的であることを示している。
【0061】
【表5】
【0062】
【化3】
【0063】
【発明の効果】本発明の方法及び組成物によれば、流動
性が良好なスラリー状となり容易に型内に注入すること
ができ、このスラリーは型内で容易に固化し短時間で成
形体に成形できる。また、脱型後は、有機溶媒を乾燥除
去できるので、比較的少量でかつ比較的低分子量のゲル
化剤を脱脂すればよいので脱脂も容易である。さらに、
溶媒としても、有機溶媒は水よりもセラミックス粉末と
のなじみがよいなどの利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法の例を示す工程図である。
【図2】n−パラフィン及びiso−パラフィンを用い
たセラミックス成形用ゲルの結晶構造を示す図面に代る
写真である。
【図3】n−パラフィンとiso−パラフィンを用いた
場合の焼結体の強度特性を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 榎島 尚登 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機溶媒中にセラミック粉末が分散され
    かつゲル化剤を含むスラリー状組成物を型内に注入後、
    該組成物をゲル化せしめてセラミックス成形体を得るこ
    とを特徴とするセラミックス成形方法。
  2. 【請求項2】 セラミックス粉末、有機溶媒、分散剤、
    及びゲル化剤としてヒドロキシ基含有脂肪酸又はその誘
    導体を含むことを特徴とするセラミックス成形用組成
    物。
JP3334402A 1990-11-22 1991-11-22 セラミックス成形方法及びそのための組成物 Pending JPH05178652A (ja)

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Application Number Priority Date Filing Date Title
JP31579690 1990-11-22
JP2-315796 1990-11-22
JP20356291 1991-07-19
JP31856191 1991-11-07
JP3-203562 1991-11-07
JP3-318561 1991-11-07

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6045748A (en) * 1997-08-06 2000-04-04 Ngk Insulators, Ltd. Method for molding an article from powder
US6403001B1 (en) 2000-03-22 2002-06-11 Ngk Insulators, Ltd. Production of powder-molded body
JP2018536556A (ja) * 2015-10-09 2018-12-13 パーティクル3ディー アプスParticle3D ApS 3d印刷用供給原料およびその使用

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US6403001B1 (en) 2000-03-22 2002-06-11 Ngk Insulators, Ltd. Production of powder-molded body
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