JPH05177734A - 高分子網状体 - Google Patents

高分子網状体

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JPH05177734A
JPH05177734A JP4100882A JP10088292A JPH05177734A JP H05177734 A JPH05177734 A JP H05177734A JP 4100882 A JP4100882 A JP 4100882A JP 10088292 A JP10088292 A JP 10088292A JP H05177734 A JPH05177734 A JP H05177734A
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lactic acid
mol
acid
lactide
acid unit
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Norimasa Shinoda
法正 篠田
Kenji Morita
健次 森田
Koichi Uchiki
鋼一 内木
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明により、ポリ乳酸または乳酸−ヒドロ
キシカルボン酸コポリマー80〜100重量%、およ
び、可塑剤0〜20重量%を含むポリ乳酸系樹脂組成物
100重量部に対し、発泡剤0.2〜10重量部を添加
した混合物を溶融発泡押出し、開繊してなる高分子網状
体が提供される。 【効果】 本発明の高分子網状体は、適度に軟らかく、
かつ、加水分解性を有する点に特徴があり、そのため、
油、体液等の吸収材、遮光材、ろ過材または包装材等の
素材として有用であり、使用後廃棄された場合には、自
然界で加水分解されるため産業廃棄物として蓄積するこ
とがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、加水分解性を有する高
分子網状体に関する。さらに詳しくは、自然環境下で加
水分解性を有する乳酸系ポリマーを主体とする組成物よ
りなる加水分解性高分子網状体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来よりポリオレフィン系、ポリ塩化ビ
ニル系、ポリアミド系等の汎用樹脂に、有機または無機
の発泡剤を特定の割合で配合した後、溶融押出法により
発泡押出し、押出成形物中に発泡を生じさせた後、該押
出成形物を引き伸ばすことにより該発泡を開繊させた合
成樹脂製の網状体が知られている。例えば、特開昭51
−47170号公報には、ポリオレフィン、ポリウレタ
ン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂と発泡剤との混合物
を、溶融発泡押出し、開繊することにより得られる不織
繊維ネットワークが提案されている。該公報に開示され
る不織繊維ネットワークは、不織布、接着用資材等とし
て有用である。その他、油、体液等の吸収材、ろ過材ま
たは包装材等としても広く用いられている。これら用途
の内、特に油、体液等の吸収材、ろ過材、または包装材
等は、一般的には使用した後に直ちに廃棄される、所
謂、使い捨て用途である。しかし、上記樹脂から成形さ
れた不織繊維ネットワーク、すなわち、高分子網状体は
自然環境下での加水分解速度が極めて低いため、使用の
後埋設処理された場合、半永久的に地中に残存すること
となる。また、海洋投機された場合は景観を損なった
り、海洋生物の生活環境を破壊したりして、消費の拡大
と共に廃棄物の処理が社会問題となっている。
【0003】これまで、自然環境下で加水分解される高
分子網状体は知られていない。熱可塑性を有し、加水分
解性のポリマーとして、ポリ乳酸およびそのコポリマー
が知られている。これらの乳酸系ポリマーは、コーンス
ターチやコーンシロップのような安価な原料を醗酵して
得られ、また、エチレンのような石油化学原料からも得
られる。米国特許1,995,970号には、乳酸、ラ
クチドまたはそれらの混合物の重合に関する乳酸系ポリ
マーの製造方法が開示されている。この乳酸系ポリマー
は、その生体適合性と加水分解性から外科手術用の縫合
糸、医学用除放性材料として用いられる。しかし、ポリ
乳酸等の乳酸系ポリマーは柔軟性に欠ける欠点を有して
いるため、該ポリマーを溶融発泡した後開繊することは
困難であり、良好な網目状を有する、ポリ乳酸系樹脂組
成物からなる高分子網状体は今まで知られていなかっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
を解決し、加水分解性を有する高分子網状体を提供する
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意検討し、特定量の乳酸系ポリマーお
よび可塑剤を含むポリ乳酸系樹脂組成物に発泡剤を添加
し、溶融発泡押出し、開繊することにより、適度の柔ら
かさと加水分解性を有する高分子網状体が得られること
を見出し、本発明を完成するに到った。
【0006】すなわち、本発明は、ポリ乳酸または乳酸
−ヒドロキシカルボン酸コポリマー80〜100重量
%、および、可塑剤0〜20重量%を含むポリ乳酸系樹
脂組成物100重量部に対し、発泡剤0.2〜10重量
部を添加した混合物を溶融発泡押出し、開繊してなる高
分子網状体である。
【0007】本発明の高分子網状体は、乳酸系ポリマー
を主体とする樹脂組成物からなる網目構造を有する繊維
状に分岐した、多孔性の開繊した不織布状物である。本
発明の高分子網状体は、加水分解性を有することに特徴
があり、乳酸系ポリマーを主体とする樹脂組成物に発泡
剤を加え、リボンブレンダー等により混合し、その混合
物を一軸または二軸式スクリュウ押出機等を用いて溶融
混練し、環状または線状のダイのスリットから溶融発泡
体として吐出させ、その吐出物空気等を用いて冷却しな
がら引き伸ばすことにより開繊して、高分子網状体とす
る。得られた高分子網状体は、さらに延伸、熱処理等を
することも可能である。
【0008】以下、本発明について詳しく説明する。本
発明に用いる乳酸系ポリマーとは、ポリ乳酸または乳酸
とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーである。ヒドロ
キシカルボン酸として、グリコール酸、ヒドロキシ酪
酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロ
キシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等が例示され
る。好ましいポリ乳酸の分子構造は、L−乳酸またはD
−乳酸いずれかの単位85〜100モル%とそれぞれの
対掌体の乳酸単位0〜15モル%からなるものである。
また、乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーは、
L−乳酸またはD−乳酸いずれかの単位85〜100モ
ル%とヒドロキシカルボン酸単位0〜15モル%からな
るものである。好ましいヒドロキシカルボン酸として、
グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸が挙げられる。
【0009】これらの乳酸系ポリマーは、L−乳酸、D
−乳酸およびヒドロキシカルボン酸の中から必要とする
構造のものを選んで原料モノマーとし、脱水重縮合する
ことにより得ることができる。好ましくは、乳酸の環状
二量体であるラクチド、グリコール酸の環状二量体であ
るグリコリドおよびカプロラクトン等から必要とする構
造のものを選んで開環重合することにより得ることがで
きる。ラクチドには、L−乳酸の環状二量体であるL−
ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、
D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチド
およびD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物で
あるDL−ラクチドがある。本発明ではいずれのラクチ
ドも用いることができる。ただし、主原料としては、D
−ラクチド、L−ラクチド、グリコリドまたはカプロラ
クトンが好ましい。
【0010】本発明に好ましく用いられる乳酸系ポリマ
ーは、L−乳酸またはD−乳酸いずれかの単位85〜1
00モル%と、その対掌体の乳酸単位または該対掌体の
乳酸単位およびグリコール酸単位0〜15モル%とから
構成される乳酸系ポリマーであり、例えば、次の〜
の方法により得ることができる。 L−ラクチドをおよそ85モル%以上とD−ラクチド
および、またはグリコリドをおよそ15モル%以下とを
共重合させる、D−ラクチドをおよそ85モル%以上
とL−ラクチドおよび、またはグリコリドをおよそ15
モル%以下とを共重合させる、L−ラクチドをおよそ
70モル%以上とDL−ラクチドおよび、またはグリコ
リドをおよそ30モル%以下とを共重合させる、L−
ラクチドをおよそ70モル%以上とメソ−ラクチドおよ
び、またはグリコリドをおよそ30モル%以下とを共重
合させる、D−ラクチドをおよそ70モル%以上とD
L−ラクチドおよび、またはグリコリドをおよそ30モ
ル%以下とを共重合させる、D−ラクチドをおよそ7
0モル%以上とメソ−ラクチドおよび、またはグリコリ
ドをおよそ30モル%以下とを共重合させる。
【0011】これらの乳酸系ポリマーは高分子量である
ことが好ましく、濃度0.5g/dlのクロロホルム溶
液(25℃)の固有溶液粘度が1〜10であることが好
ましく、さらに好ましくは3〜7である。固有溶液粘度
が1未満であると、溶融粘度が低すぎて押出機のダイの
スリットから流下し、成形でき難いばかりでなく、脆す
ぎて取扱が困難であり、10を越えると、溶融粘度が高
すぎて、溶融押出性が悪くなるので、好ましくない。
【0012】ラクチド、または、ラクチドとグリコリド
を重合させて、短時間で高分子量のポリマーを得るため
には触媒を用いるのが好ましい。このような重合触媒と
しては、この重合反応に触媒効果を示す各種のものが使
用できる。例えば、公知なものとして、オクタン酸第一
錫、四塩化錫、塩化亜鉛、四塩化チタン、塩化鉄、三フ
ッ化ホウ素エーテル錯体、塩化アルミニウム、三フッ化
アンチモン、酸化鉛等の主として多価金属を含む化合物
が挙げられ、中でも錫化合物または亜鉛化合物が好まし
く使用される。錫化合物の中ではオクタン酸第一錫が特
に好ましい。使用量はラクチド、または、ラクチドとグ
リコリドの総量に対して、およそ0.001〜0.1重
量%程度が好ましい。
【0013】また、重合の際には、公知の連鎖増大剤を
用いることができる。連鎖増大剤としては、ラウリルア
ルコール等の高級アルコール類、乳酸やグリコール酸等
のヒドロキシ酸類が好ましく用いられる。連鎖増大剤の
共存により、重合速度が大きくなるので短時間でポリマ
ーを得ることができる。また、連鎖増大剤の量を加減す
ることによりポリマーの分子量を調節することもでき
る。しかし、連鎖増大剤の量を多くしすぎると生成ポリ
マーの分子量は小さくなる傾向があるので、連鎖増大剤
を使用する場合には、その量はラクチド、または、ラク
チドとグリコリドの総量に対して0.1重量%以下であ
ることが好ましい。
【0014】重合または共重合するに当たって、溶媒を
用いても用いなくてもよいが、高分子量のポリマーを得
るには、ラクチドまたはグリコリドを溶融した状態で塊
状重合することが好ましい。
【0015】重合温度は、溶融重合の場合には原則的に
はモノマーであるラクチド、またはラクチドとグリコリ
ドの融点(90℃付近)以上の温度であればよい。ま
た、例えば、クロロホルム等の溶媒を用いる溶液重合の
場合には、ラクチド、または、ラクチドとグリコリドの
融点以下の温度で重合することが可能である。いずれの
場合も、250℃を越えると生成ポリマーの分解が起こ
るので好ましくない。
【0016】本発明におけるポリ乳酸系樹脂組成物は、
上記乳酸系ポリマー80〜100重量%及び可塑剤0〜
20重量%を含む樹脂組成物である。可塑剤の量が20
重量%を越えると、該組成物を溶融押出し、発泡開繊す
る時の成形性が悪くなり、また、得られた成形物の強度
が弱くなるため好ましくない。
【0017】本発明に用いる可塑剤は、例えば、ジ−n
−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレ
ート、ジベンジルフタレート等のフタル酸誘導体、ジイ
ソオクチルフタレート等のイソフタル酸誘導体、ジ−n
−ブチルアジペート、ジオクチルアジペート等のアジピ
ン酸誘導体、ジ−n−ブチルマレート等のマレイン酸誘
導体、トリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸誘導
体、モノブチルイタコネート等のイタコン酸誘導体、ブ
チルオレート等のオレイン酸誘導体、グリセリンモノリ
シノレート等のリシノール酸誘導体、トリクレジルフォ
スフェート、トリキシレニルフォスフェート等のリン酸
エステル系可塑剤、乳酸、直鎖状乳酸オリゴマー、環状
乳酸オリゴマーまたはラクチド等が例示できる。これら
の可塑剤は単独でもよいし、また、2種以上を混合して
用いてもよい。
【0018】上記可塑剤の内、可塑化効果の点で好まし
く用いられるのは、乳酸、直鎖状乳酸オリゴマー、環状
乳酸オリゴマーまたはラクチドである。上記の乳酸オリ
ゴマーは、50〜280℃において、乳酸を加熱脱水縮
合することにより容易に調製できる。通常の場合、この
方法で得られるオリゴマーの重合度は1〜30程度であ
る。また、グリコリドやラクチドを水およびグリコール
酸または乳酸の存在下で50〜280℃に加熱すること
によっても調製することができる。なお、本発明でいう
オリゴマーには、上記乳酸系ポリマーの合成時にモノマ
ーとして用いたラクチド(乳酸の環状二量体)も含まれ
る。
【0019】上記可塑剤を乳酸系ポリマーに添加するこ
とにより、乳酸系ポリマーは効果的に可塑化され、得ら
れる樹脂組成物は柔軟性を帯びる。樹脂組成物中の可塑
剤の量が5重量%以上になると柔軟性がはっきり現れる
ようになり、20重量%を越えると、該組成物を溶融押
出し、発泡開繊する時の成形性が悪くなり、また、得ら
れた成形物の強度が弱くなるため好ましくない。
【0020】乳酸系ポリマーに可塑剤を混合する方法と
して、乳酸系ポリマーをクロロホルム、塩化メチレン、
トルエンおよびキシレン等の溶媒に溶解させるか、また
は、乳酸系ポリマーを100〜280℃に加熱溶融さ
せ、所定量の可塑剤を添加、混合する方法が挙げられ
る。
【0021】好ましい可塑剤である乳酸または乳酸オリ
ゴマー(ラクチドも含まれる)を用いる場合の混合方法
として次の二方法が挙げられる。(a)ラクチドまたは
ラクチドとグリコリドの重合を行い、反応を完結させな
いで未反応のラクチドを残存させる方法、(b)ラクチ
ドまたはラクチドとグリコリドの重合を完結させた後、
所定量の乳酸または乳酸オリゴマー(ラクチドも含まれ
る)を追加、混合する方法、がある。また、(a)と
(b)の方法を併用してもよい。(a)の方法では未反
応のラクチドが乳酸系ポリマーと微視的によく混合し、
良好な可塑化効果を示す。モノマー(ラクチド)を、触
媒の存在下、場合によっては連鎖増大剤の共存下、加熱
し反応を開始したのち、所望の残存モノマー濃度に達し
た時点で加熱を止め反応を停止する。生成する乳酸系ポ
リマー中の残存モノマー量は、ガスクロマトグラフィー
分析および熱重量分析により定量することができる。
(b)の方法では、重合反応が終了した後、得られた乳
酸系ポリマーをクロロホルム、塩化メチレン、トルエン
およびキシレン等の溶媒に溶解させるか、乳酸系ポリマ
ーを100〜280℃に加熱溶融させ、所定量の乳酸ま
たは乳酸オリゴマーを添加、混合する。この方法は組成
物中の乳酸または乳酸オリゴマー量を容易に調節できる
という利点がある。
【0022】上記方法で得られたポリ乳酸系樹脂組成物
を180〜280℃において、圧縮成形、溶融押出成形
等してフィルム状、シート状または棒状等に成形し、こ
れをドライアイス−メタノール等を用いて約−20℃程
度に冷却した後、ハンマーミル等を用いて粉砕するか、
または、同様にして溶融押出成形等してペレット状にし
てもよい。
【0023】本発明では、ポリ乳酸系樹脂組成物に発泡
剤を混合した後、その混合物を一軸または二軸式スクリ
ュー押出機等を用いて溶融混練し、環状または線状のダ
イから溶融発泡体として押し出す。
【0024】本発明に用いられる発泡剤として、アゾイ
ソ酪酸ジニトリル、ジアゾアミノベンゼン、1,3-ビス
(p−キセニル)トリアジン、アゾジカルボン酸アミド
を代表とする有機系発泡剤、または、蓚酸アンモニウム
と蓚酸、炭酸水素ナトリウムと蓚酸、炭酸水素アンモニ
ウムおよび炭酸アンモニウムと亜硝酸ナトリウムとの混
合物を代表とする無機系発泡剤が例示される。これらの
有機系発泡剤および無機系発泡剤は、押出温度より低い
温度で分解するものであれば良い。また、アセトン、メ
チルエチルケトン、酢酸エチル、塩化メチル、塩化エチ
ル、クロロホルム、塩化メチレン、臭化メチレン等の揮
発性液体及び、窒素、二酸化炭素、アンモニア、メタ
ン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、気状ハ
ロゲン化炭化水素等の室温で気体の化合物も例示され
る。
【0025】発泡剤の使用量は、所望する網状体によっ
て異なり、また、発泡剤の種類によっても異なるが、ポ
リ乳酸系樹脂組成物100重量部に対して0.2〜10
重量部である。使用量が0.2重量部未満であると低発
泡となり解繊し難く、また、10重量部を越えると押出
性が悪くなると共に、非経済的であり好ましくない。ポ
リ乳酸系樹脂組成物と発泡剤の混合は、リボンブレンダ
ー、コニカルブレンダー等による通常の混合方法で良
い。混合条件は、該乳酸系樹脂組成物と発泡剤が良く混
合すればよいが、室温で5〜30分間行うのが好まし
い。
【0026】ポリ乳酸系樹脂組成物と発泡剤の混合物の
溶融押出には、通常の一軸または二軸スクリュー式押出
機等が用いられる。押出温度は、好ましくは、100〜
270℃の範囲、より好ましくは、130〜250℃の
範囲である。100℃未満では、押出安定性が得難く、
また過負荷に陥りやすく、270℃を越えると、乳酸系
ポリマーの分解が激しくなるので、好ましくない。
【0027】本発明で用いる押出機のダイは、環状また
は線状のスリットを有するものでよい。ダイの温度は押
出温度範囲と同じ程度で良い。
【0028】本発明では、ポリ乳酸系樹脂組成物と発泡
剤の混合物を溶融発泡体として押出機ダイから吐出させ
た直後に、10〜50℃の空気等の気体を吹きつけて冷
却しながら引き伸ばし、溶融発泡体中に存在する気泡を
破壊し、開繊させて網状体とする。開繊網状体は10〜
50℃の表面温度を有する引取ロール上で固化させと
後、巻き取る。引取ロールによる引取り速度は、ドラフ
ト比10〜500となるように実施する。この範囲外で
は良好な開繊状態とならないので好ましくない。用いる
冷却用気体としては、経済性、取扱性の面から空気が最
適であるが、窒素、二酸化炭素等他の気体でも良い。冷
却用気体の使用量は温度により影響されるが、室温の場
合は網状体1m2当たり1〜15m3が好ましい。1m3
未満では冷却効果が不充分で良好な開繊状とならない。
また、15m3を越えると冷却速度が高くなり、生じた
気泡が破壊される前に固化することがあり好ましくな
い。
【0029】空気等の気体を用いて上記温度範囲に冷却
しながら引き伸ばさなければ、ポリ乳酸系樹脂組成物の
溶融発泡体は、垂れ落ち易い性質を持つため開繊するこ
とが困難である。ダイ温度を低めにして、該組成物の溶
融粘度を上げても、開繊が不均一になる。発泡度合いを
高くしたい場合は、発泡剤の添加量を多くするか、また
は、ガイから吐出した溶融発泡体を冷却するタイミング
を遅らせるとよい。発泡度合いを低くしたい場合は、そ
の逆の対応をするとよい。開繊度合いは、ガイから吐出
した溶融発泡体の引き伸ばしの程度により調節される
が、通常は、押出し直後の長さの1.5〜5倍を目途に
引き伸ばされる。
【0030】なお、本発明に用いるポリ乳酸系樹脂組成
物は、発泡剤の他、本発明の目的を損なわない範囲で着
色剤、充填剤、強化剤等を含んでもよい。また、得られ
た高分子網状体は、さらに延伸、熱処理等をすることも
可能である。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明する。なお、この実施例で用いた評価方法は、下記の
通りである。 残存モノマー量 重合反応終了後、反応混合物をヘキサフルオロイソプロ
パノール(以下、HFIPという)、または、塩化メチ
レンに溶解して濃度既知の溶液とし、ガスクロマトグラ
フィーにて残存モノマー量を定量した。 溶液粘度 乳酸系ポリマーをクロロホルムに溶解し(濃度0.5g
/dl)、ウベローデ型粘度計を用いて25±0.05
℃で溶液粘度を測定し、次式により固有粘度ηを算出し
た。 η=log(T/T)/C T0:溶媒の測定時間(sec) T1:試料溶液の測定
時間(sec) C:試料溶液の濃度(g/dl) 開繊状態 組織が繊維状の細かい網目構造に開繊された状態を、良
とし、5mm以上の開繊、開孔されない部分が100c
2内に3か所以上あるか、30mm以上の開繊、開孔
されない部分が1m2内に5か所以上ある状態を、不良
とした。 坪量 5cm四方の広さの試料の重量を測定し、1m2当たり
の重量に換算し、坪量(g/m2)とした。 剛直率 幅20mmの試料を測定長(把持間隔)50mmとなる
ように引張試験機にセットし、引張速度50mm/分に
て巻取り方向に引張り、荷重−歪み曲線を得た。この曲
線の初期の立ち上がり部分の接線を外挿して100%引
張時の荷重を求め、次式により算出した。
【0032】剛直率(kgf・m/g)=100×R×
1/W×1/M ここで、R:100%引張時の荷重(kgf)、W:試
料幅(cm),M:坪量(g/m )である。 オリゴマーの重合度 オリゴマーをテトラヒドロフランまたはクロロルムに溶
解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(G
PC)にて重合度分布を測定し、算出した。
【0033】調製例 反応機に入れたL−ラクチド1.8kgに乳酸水溶液
(濃度87重量%)1.0kgを加え、100℃におい
て、2時間加熱した。冷却したところ常温で粘りのある
透明の液体が得られた。GPCで測定した結果、この液
体には乳酸および乳酸オリゴマーが含まれていた。平均
重合度は2.8であった。以後LAオリゴマーと記す。
【0034】実施例1〜15、比較例1〜4 市販のL−ラクチド(以下、L−LTDという)、D−
ラクチド(以下、D−LTDという)、DL−ラクチド
(以下、DL−LTDという)およびグリコリド(以
下、GLDという)をそれぞれ酢酸エチルを用いて4回
再結晶して精製した。また、ε−カプロラクトン(以
下、CLという)を水素化カルシウム上で乾燥した後、
蒸留して精製した。表面をシラン処理したガラス製反応
容器に〔表1〕に示す量の上記L−LTD、D−LT
D、DL−LTD、GLD、CLおよび触媒としてオク
タン酸第一錫を仕込み、該容器内を減圧脱気して1昼夜
乾燥した。該反応容器を〔表1〕に示す所定温度まで加
熱して所定時間重合した。反応終了後、反応容器より、
反応生成物を取り出した。得られた乳酸系ポリマーを、
P1〜P6と呼ぶ。これらの乳酸系ポリマーの固有粘度
および残存モノマー量を測定し、その結果を〔表1〕に
示す。
【0035】
【表1】 次いで、これらの乳酸系ポリマーにL−LTDまたは調
製例で得られたLAオリゴマーを〔表2〕に示す割合で
添加した後、〔表2〕に示す温度でプラストミルを用い
て混合し、ポリ乳酸系樹脂組成物、C1〜C8を得た。
さらに、これらの樹脂組成物を〔表2〕に示す温度で1
00kg/cm2でプレスして厚さ1mmのシート状に
加工した。
【0036】
【表2】 〔表3〕に示すポリ乳酸系樹脂組成物を液体窒素を用い
て冷却し、ハンマーミル粉砕機を用いて粉砕した後、発
泡剤(アゾジカルボン酸アミド)を〔表3〕に示す割合
で添加し、リボンブレンダーを用いて室温で混合した。
該混合物を口径19mmの一軸式押出機を用いて〔表
3〕に示す押出温度で溶融混練し、〔表3〕に示す温度
の150mm幅のTダイのスリットより、吐出量30g
/分にて溶融発泡体または非発泡体として吐出させた。
その溶融発泡体を、吐出直後に室温の空気を〔表3〕に
示す風量で吹き付けることにより冷却しながら引き伸ば
し、開繊させながら10m/分の引伸し速度にて巻き取
り、高分子網状体を得た。得られた高分子網状体につい
て、開繊状態、坪量および、柔軟性の目安となる剛直率
について評価し、その結果を〔表3〕に示す。
【0037】
【表3】 これらの高分子網状体の実用評価をした結果、食用油の
拭き取りに良好に使用できた。また、綿や羽毛を包み、
まとめることも、通気性を損なうことなく可能であっ
た。家庭の台所の生ごみの水切りの良いごみ袋として好
適に使用できた。肉、魚の刺身等の包装用下敷として用
いた場合、血液等の液を吸収させることができた。植木
の根を包んだり、日光の遮光材としても好適であった。
通風部のフィルターとしても、好適に使用できた。
【0038】次いで、実施例1、2および5で得られた
高分子網状体およびポリオレフィン樹脂から得られた高
分子網状体(三井東圧化学(株)社製、商品名:ノイネ
ッツU)を37℃の蒸留水中に浸漬し、120日経過後
の重量減少率を測定した。その結果、重量減少率はそれ
ぞれ、9%、17%、27%および0%であった。
【0039】
【発明の効果】本発明の加水分解性高分子網状体は、加
水分解性を有することに特徴があり、その上、適度の柔
らかさを有する。そのため、油、体液等の吸収材、遮光
材、断熱材、ろ過材または包装材等の素材として有用で
あり、使用後廃棄された場合には、自然界で加水分解さ
れるため産業廃棄物として蓄積されることがない。ま
た、海洋投機された場合には、海洋生物の生活環境を破
壊することもない。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 67/04 KJV 8933−4J D01D 5/00 7199−3B D04H 3/02 7199−3B 13/00 7199−3B // B29K 67:00 4F 105:04 B29L 28:00 4F

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリ乳酸または乳酸−ヒドロキシカルボ
    ン酸コポリマー80〜100重量%、および、可塑剤0
    〜20重量%を含むポリ乳酸系樹脂組成物100重量部
    に対し、発泡剤0.2〜10重量部を添加した混合物を
    溶融発泡押出し、開繊してなる高分子網状体。
  2. 【請求項2】 ポリ乳酸が、L−乳酸単位85〜100
    モル%およびD−乳酸単位0〜15モル%、または、D
    −乳酸単位85〜100モル%およびL−乳酸単位0〜
    15モル%を含むポリ乳酸である請求項1記載の高分子
    網状体。
  3. 【請求項3】 乳酸−ヒドロキシカルボン酸コポリマー
    が、L−乳酸単位85〜100モル%およびグリコール
    酸単位0〜15モル%、または、D−乳酸単位85〜1
    00モル%およびグリコール酸単位0〜15モル%を含
    むコポリマーである請求項1記載の高分子網状体。
  4. 【請求項4】 可塑剤が、乳酸、乳酸オリゴマーまたは
    ラクチドである請求項1記載の高分子網状体。
  5. 【請求項5】 ポリ乳酸(A)がL−乳酸単位85〜1
    00モル%およびD−乳酸単位0〜15モル%、また
    は、D−乳酸単位85〜100モル%およびL−乳酸単
    位0〜15モル%を含み、乳酸−ヒドロキシカルボン酸
    コポリマー(B)がL−乳酸単位85〜100モル%、
    または、D−乳酸単位85〜100モル%およびグリコ
    ール酸単位0〜15モル%を含み、且つ、可塑剤(C)
    が乳酸、乳酸オリゴマーまたはラクチドである請求項1
    記載の高分子網状体。
  6. 【請求項6】 発泡剤が、アゾジカルボン酸アミドであ
    る請求項1または5記載の高分子網状体。
  7. 【請求項7】 溶融発泡押出温度が100〜270℃の
    範囲である請求項1または5記載の高分子網状体。
  8. 【請求項8】 開繊時の冷却用気体量が0.1〜15m
    3/分・m2である請求項1または5記載の高分子網状体
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