JPH078520A - 使い捨ておむつ - Google Patents

使い捨ておむつ

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JPH078520A
JPH078520A JP5145881A JP14588193A JPH078520A JP H078520 A JPH078520 A JP H078520A JP 5145881 A JP5145881 A JP 5145881A JP 14588193 A JP14588193 A JP 14588193A JP H078520 A JPH078520 A JP H078520A
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lactic acid
acid
disposable diaper
mol
water
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JP5145881A
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English (en)
Inventor
Keiko Taniguchi
桂子 谷口
Masahiro Washino
正浩 鷲野
Shinobu Moriya
忍 森谷
Masanobu Ajioka
正伸 味岡
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Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Publication date
Application filed by Mitsui Toatsu Chemicals Inc filed Critical Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 自然環境下で分解可能な使い捨ておむつを提
供する。 【構成】 不透水性フィルム、吸収体および透水性不織
布から構成された使い捨ておむつにおいて、該不透水性
フィルムが乳酸系ポリマーを主成分とするフィルムであ
り、かつ、該透水性不織布が乳酸系ポリマーを主成分と
する不織布であることを特徴とする使い捨ておむつ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、使い捨ておむつに関す
る。詳しくは、不透水性フィルム、吸収体および透水性
不織布から構成された使い捨ておむつであって、不透水
性フィルムおよび透水性不織布が分解性ポリマーである
乳酸系ポリマーを素材として製造された分解性を有する
使い捨ておむつに関する。
【0002】
【従来の技術】乳幼児等、人体からの排泄液を吸収して
保持するために使い捨ておむつが用いられている。一般
的に使い捨ておむつは、尿透過性の表面シートと尿防漏
性裏当てシートとの間に吸収体を介在さる構造を有する
ものである。従来、尿防漏性裏当てシートとして、熱可
塑性樹脂シートが用いられていた。しかし、このシート
が蒸気透過性を有しないものであったため、長時間使用
すると着用箇所の温度が上昇し、所謂ムレた状態となる
欠点があった。
【0003】かかる欠点を解消するために、例えば、特
開昭58−149303号公報には、尿防漏性裏当てシ
ートとして、ポリオレフィン樹脂に特定量の充填剤およ
び特定の炭化水素重合体を配合し、成膜、延伸して得ら
れた透湿性の多孔性フィルムを用いた使い捨ておむつが
提案され、ムレ防止の点では有用なものであった。しか
し、ポリオレフィン樹脂は、自然環境下では分解速度が
きわめて遅いため使用後廃棄された場合、焼却処理され
ない限り廃棄物として蓄積することとなる。
【0004】廃棄物については、例えば、米国の年間ゴ
ミ廃棄量の内訳を例に取ってみても、全廃棄量の約80
%が埋設処理され、その内の約1〜2%が使い捨ておむ
つと言われている。我国においても、使い捨ておむつの
消費量が年々増加していることを考慮すると、近い将来
略同様の状況を呈するものと推測される。
【0005】一方、分解性を有するポリマーとして、ポ
リ乳酸または乳酸とその他のヒドロキシカルボン酸のコ
ポリマー(以下、乳酸系ポリマーと略称する。)が開発
されている。これらのポリマーは、生体内で数ケ月から
1年以内に略100%分解し、また、土壌や海水中、さ
らにはコンポスト(堆肥)中に置かれた場合、湿った環
境下では数週間で分解を始め、約1年から数年で消滅
し、さらに分解生成物は、最終的には二酸化炭素と水に
なるという特性を有している。
【0006】通常、ポリ乳酸は、ラクチドと呼ばれる乳
酸の環状二量体を開環重合することにより合成され、そ
の製造方法に関しては、米国特許第1,995,970
号、米国特許第2,362,511号、米国特許第2,
683,136号等に開示されている。
【0007】また、乳酸の環状二量体であるラクタイド
とヒドロキシカルボン酸の環状エステル中間体(通常グ
リコール酸の二量体であるグリコリド)から合成される
乳酸とその他のヒドロキシカルボン酸とのコポリマー
は、米国特許第3,636,956号、米国特許第3,
797,499号等にその製造方法が開示されている。
本出願人は、先に、特願平4−100883号に係わる
特許出願において、乳酸系ポリマーおよび特定量の可塑
剤と微粉状充填剤を含む多孔性フィルムを提案し、ま
た、特願平5−134425号に係わる特許出願におい
て、ヒドロキシカルボン酸を主成分とする繊維からなる
ウエブを結合した分解性不織布を提案した。本願は、こ
れらの分解性多孔性フィルムおよび分解性不織布等を活
用し、分解性を有する使い捨ておむつを提供するもので
ある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑み、自然環境下で分解可能な使い捨ておむつを提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、自然環境
下で分解可能な使い捨ておむつを得る目的で、乳酸系ポ
リマーに着目し、乳酸系ポリマーを主成分とする不透水
性フィルムおよび透水性不織布を使い捨ておむつの主要
素材として用いることにより、上記目的が達成し得るこ
とを見出し、本発明に到った。
【0010】すなわち、本発明は、不透水性フィルム、
吸収体および透水性不織布から構成された使い捨ておむ
つにおいて、該不透水性フィルムが乳酸系ポリマーを主
成分とするフィルムであり、かつ、該透水性不織布が乳
酸系ポリマーを主成分とする不織布であることを特徴と
する使い捨ておむつである。
【0011】本発明の使い捨ておむつの特徴は、おむつ
の最外層を形成する尿防漏性裏当てシートとして乳酸系
ポリマーを主成分とする不透水性フィルムを用い、か
つ、おむつの最内層を形成する吸収体の保持材として乳
酸系ポリマーを主成分とする透水性不織布を用いること
にある。
【0012】以下、本発明について詳細に説明する。先
ず、本願発明の使い捨ておむつの構造について説明す
る。本発明の使い捨ておむつの構造には特に制限はな
い。従来公知の構造のもので差支えない。一例として
〔図1〕および〔図2〕に示すものが挙げられる。即
ち、透水性不織布(大)2と透水性不織布(小)4によ
り吸収体3の上下を覆い、それを不透水性フィルム1の
上に配し、要部をヒートシール等によって封じることに
より製造される。すなわち、これらは内側から、透水性
不織布(小)4、吸収体3、透水性不織布(大)2、不
透水性フィルム1の順に積層されて一体に形成される。
最内層の透水性不織布(小)4は、着用される際に人肌
に直接接し、人体から排泄された尿等は、透水性不織布
(小)4を通過して吸収体3により吸収、保持される。
不透水性フィルム1は吸収体3により吸収、保持された
尿等が外部に漏洩するのを防止するものである。不透水
性フィルム1として透湿性を有する分解性多孔性フィル
ムが用いられる。本発明の使い捨ておむつは、上記3基
本部材の他に、固定具としての感圧テープ等、また漏れ
防止効果を出すための伸縮部材等、公知のおむつ部材が
備えられることは差支えない。
【0013】次いで、本発明の使い捨ておむつに用いる
乳酸系ポリマーを主成分とする不透水性フィルムについ
て説明する。本発明の使い捨ておむつには、最外層を形
成する尿防漏性裏当てシートとして、乳酸系ポリマーを
主成分とする不透水性フィルムが使用される。該不透水
性フィルムの成形方法には特に制限はなく、公知の成形
方法によりフィルム状に成形されたもので差支えない。
例えば、ポリ乳酸、乳酸−ヒドロキシカルボン酸コポリ
マー等の乳酸系ポリマーに可塑剤、無機充填剤、紫外線
吸収剤等の添加剤を配合し、T−ダイ式押出成形法、イ
ンフレーション式押出成形法、カレンダー式成形法等に
よりフィルム状に溶融成形する方法が挙げられる。
【0014】不透水性フィルムを使い捨ておむつの尿防
漏性裏当てシートとして用いた場合、着用箇所の体温に
よるムレ等、長期にわたり着用したときのおむつかぶれ
等を防止することを考慮すると、乳酸系ポリマーを主成
分とする不透水性フィルムは、透湿性を有する多孔性フ
ィルムであることが好ましい。
【0015】透湿性を有する多孔性フィルムは、例え
ば、乳酸系ポリマーに特定粒径の微粉状充填剤を加え、
ヘンシェルミキサー等により混合した後、ペレット化す
るか、またはしないで、一軸あるいは二軸式スクリュー
押出機を用いて溶融混練し、環状または線状のダイから
押出して製膜した後、延伸することにより多孔化する方
法により得られる。
【0016】多孔性フィルムの製造に用いる乳酸系ポリ
マーとは、ポリ乳酸または乳酸とヒドロキシカルボン酸
とのコポリマーである。コモノマーとして用いられるヒ
ドロキシカルボン酸として、グリコール酸、ヒドロキシ
酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒド
ロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等が例示され
る。
【0017】好ましいポリ乳酸の分子構造は、L−乳酸
またはD−乳酸いずれかの単位85〜100モル%とそ
れぞれの対掌体の乳酸単位0〜15モル%からなるもの
である。また、乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリ
マーは、L−乳酸またはD−乳酸いずれかの単位85〜
100モル%とヒドロキシカルボン酸単位0〜15モル
%からなるものである。好ましいヒドロキシカルボン酸
として、グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸が挙げら
れる。
【0018】これらの乳酸系ポリマーは、乳酸または乳
酸と他のヒドロキシカルボン酸を直接脱水重縮合する
か、または、乳酸または乳酸と他のヒドロキシカルボン
酸の環状二量体を開環重合することにより得られる。直
接脱水縮合する場合は、実質的に水の非存在下で、L−
乳酸、D−乳酸またはこれらの混合物、または、L−乳
酸、D−乳酸またはこれらの混合物とヒドロキシカルボ
ン酸、を有機溶媒を含む反応混合物中で脱水縮合する。
原料として用いる乳酸は、L−乳酸またはD−乳酸また
はそれらの混合物のいずれでもよい。開環重合する場合
は、乳酸の環状二量体であるラクチドまたはヒドロキシ
カルボン酸の環状エステル中間体、例えばグリコール酸
の二量体であるグリコリドや6−ヒドロキシカプロン酸
の環状エステルであるε−カプロラクトン等の共重合可
能なモノマーを適宜用いて開環重合する。
【0019】直接脱水重縮合する方法として、乳酸また
は乳酸と他のヒドロキシカルボン酸類の加熱脱水縮合反
応を有機溶媒中で行い、しかも生成した水を反応系外に
除去しながら行う方法が挙げられる。好ましくは、脱水
縮合反応により生成した水を有機溶媒と共に反応系外に
留出させると共に、留出した有機溶媒に溶解する水量以
下の水量を有する有機溶媒を反応系に追加しながら加熱
脱水縮合反応を行う方法である。反応系内の水分量が得
られるポリマーの分子量に影響するので、高分子量のポ
リマーを得るためには反応系に追加する有機溶媒中に含
まれる水分量は、50ppm以下であることが好まし
い。
【0020】上記直接脱水重縮合反応は、ポリマーの生
成速度または熱分解速度を考慮して、80〜200℃、
このましくは110〜170℃において行われる。脱水
重縮合反応は、通常、常圧下で使用有機溶媒の留出温度
において行われる。高沸点の有機溶媒を用いる場合は減
圧下で、また、低沸点の有機溶媒を用いる場合は、加圧
下で行ってもよい。
【0021】上記有機溶媒として、ジブチルエーテル、
アニソール、フェネトール等のエーテル類、ジフェニル
エーテル、4−メチルフェニルエーテル、3−メチルフ
ェニルエーテル、3−フェノキシトルエン、4−ブロモ
フェニルエーテル、4−メトキシジフェニルエーテル、
3−メトキシジフェニルエーテル、ジベンゾフラン等の
ジフェニルエーテル類、等が挙げられる。これらの有機
溶媒を用いることにより、分子量の高い乳酸系ポリマー
が得られる。有機溶媒の使用量は、反応系内のポリマー
濃度が10〜80重量%となる程度の量であることが好
ましい。
【0022】また、上記直接脱水重縮合反応は、触媒を
用いても、用いなくてもよいが、反応速度を高めるため
には用いた方がよい。触媒として、周期律表I、II、
IIIV、V族の金属、それらの酸化物、またはそれら
の塩が挙げられる。具体的には、亜鉛末、錫末、アルミ
ニウム、マグネシウム等の金属、酸化錫、酸化アンチモ
ン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等
の金属酸化物、塩化第一錫、塩化亜鉛、塩化マグネシウ
ム等の金属ハロゲン化物等が挙げられる。触媒の使用量
は、乳酸等のモノマーの0.0001〜10重量%、好
ましくは0.001〜2重量%である。
【0023】直接脱水重縮合反応の具体的例として、9
0重量%のL−乳酸(残部の略全量が水)を原料モノマ
ーとして用いる方法を例示する。水分離器(例えば、D
ean Stark trap)を備えた反応器に、所
定量の有機溶媒、所定量の90%L−乳酸および所定量
の触媒を装入する。反応器を加熱し、共沸により溶媒と
水を留出させ水分離器に導く。最初は、原料L−乳酸中
に含まれる水が溶媒と共に留出する。溶解度を超えた水
は水分離器で分離され系外に除去される。溶解度分の水
を含んだ溶媒は反応系に戻す。
【0024】この段階で原料L−乳酸に含まれる水はほ
ぼ完全に留出し、L−乳酸はオリゴマー化する。このと
きの平均分子量は、500〜1,000程度であるが、
環状二量体(すなわちラクタイド)を含んでいても良い
し、平均分子量が5,000程度までになっていても良
い。この間の反応時間はおよそ0.5時間から数時間で
ある。このオリゴマー化の反応は、予め別の反応器で、
無溶媒、無触媒、減圧下で行っていても良いし、無触媒
で溶媒を用いて行っても良い。
【0025】溶媒の留出温度で反応を続け生成する水を
溶媒と共に留出させ、溶解度を超えた水は水分離器で分
離して系外に除去し、水で飽和した溶媒を反応系に戻し
ながら反応を続ける。このまま数十時間反応を続けると
平均分子量15,000〜50,000のポリL−乳酸
が得られる。
【0026】さらに高分子量のポリマーを得るには、原
料中の水がほぼ留出した後、水分離器を外し、モレキュ
ラーシーブ等の乾燥剤を充填した乾燥管を取付け、留出
した溶媒と水をこの乾燥管を介して還流させる。また、
留出した溶媒と水を乾燥剤を入れた別の反応器で処理し
て反応器に戻す方法、または、新たな水分含量の低い溶
媒を反応器に装入する方法でもよい。これらの方法によ
り溶媒に溶解する水の量を50ppm以下に制御しなが
ら数十時間反応つづけることにより、溶媒の種類にもよ
るが、平均分子量50,000〜200,000程度の
ポリL−乳酸を得ることができる。
【0027】反応終了後の処理方法はどのような方法で
も良いが、例えば、反応液に塩化メチレンを加えた後、
混合液をメタノール中に排出し、析出した結晶を濾過、
乾燥することによりポリL−乳酸が得られる。
【0028】乳酸系ポリマーの分子量が低いと得られる
不透水性フィルムの強度が低下し、また高いと溶融状態
での粘度が高く成形加工性が低下する。かかる観点か
ら、不透水性フィルムの素材としての乳酸系ポリマーの
平均分子量は、5万以上、100万以下程度のものが好
ましい。特に好ましい平均分子量の範囲は5万以上、5
0万以下である。
【0029】本発明に用いられる多孔性フィルムは、上
記乳酸系ポリマーを80〜100重量%および可塑剤を
0〜20重量%含むことが好ましい。可塑剤として、例
えば、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘ
キシルフタレート等の公知の可塑剤が挙げられるが、分
解性の点で好ましく用いられるのは、乳酸、直鎖状乳酸
オリゴマー、環状乳酸オリゴマーまたはラクチドであ
る。
【0030】乳酸オリゴマーは、50〜280℃におい
て、乳酸を加熱脱水縮合することにより容易に調製でき
る。通常の場合、この方法で得られるオリゴマーの重合
度は1〜30程度である。また、グリコリドやラクチド
を水およびグリコール酸または乳酸の存在下で50〜2
80℃に加熱することによっても調製することができ
る。なお、本発明でいうオリゴマーには、上記乳酸系ポ
リマーの合成時にモノマーとして用いたラクチド(乳酸
の環状二量体)も含まれる。
【0031】上記可塑剤を乳酸系ポリマーに添加するこ
とにより、乳酸系ポリマーは効果的に可塑化され、得ら
れる樹脂組成物は柔軟性を帯びる。樹脂組成物中の可塑
剤の量が5重量%以上になると柔軟性がはっきり現れる
ようになり、20重量%を越えると、該組成物を溶融押
出し、延伸する時の成形性が悪くなり、また、得られた
成形物の強度が弱くなるため好ましくない。
【0032】乳酸系ポリマーに好ましくは可塑剤を添加
し、さらに微粉状充填剤を混合して原料樹脂組成物とす
る。上記微粉状充填剤は、無機質微粉体または有機質微
粉体であり、無機質微粉体としては、炭酸カルシウム、
炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸マグネシウム、
硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネ
シウム、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化マグネシウ
ム、アルミナ、水酸化アルミニウム、ヒドロキシアパタ
イト、シリカ、マイカ、タルク、カオリン、クレー、ガ
ラス粉、アスベスト粉、ゼオライト、珪酸白土等が用い
られ、特に、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、硫酸
バリウム、シリカ、珪酸白土等が好ましく用いられる。
また、有機質微粉体としては、木粉、パルプ粉等のセル
ロース系粉末等が用いられる。
【0033】これらの微粉状充填剤の平均粒径として
は、0.3〜4μmのものが好ましい。さらに好ましく
は、上記粒径を有し、かつ比表面積が15m2/g以下
のものである。比表面積が0.5〜5m2/gの範囲の
ものがさらに好ましい。
【0034】平均粒径が、4μmを超えるとフィルムの
延伸性が悪く、均一に白化する前にフィルムが切れるこ
とがある。そのため、作業安定性に劣り、フィルムを均
一にに多孔化できないことがあり好ましくない。また、
0.3μm未満だと微粉状充填剤を高充填できなくなり
フィルムの多孔化が不可能となる。また、比表面積が1
5mm2/gを越えると、微粉状充填剤の形状が無定
型、板状、針状などとなるので粒径分布が広くなり、フ
ィルムの延伸性が低下し、フィルムを多孔化するための
成形性が低下するので好ましくない。
【0035】微粉状充填剤の使用量が少ないとフィルム
の多孔化が不充分で連通孔が少なくなるため、充分な通
気性及び透湿性が得られず、また、多いと溶融押出性、
成形性および延伸性が低下する。かかる観点から、微粉
状充填剤の使用量は、ポリ乳酸系樹脂組成物100重量
部に対し40〜250重量部が好ましく、さらに好まし
くは60〜150重量部である。
【0036】多孔性フィルムの製造方法として下記方法
が例示される。ポリ乳酸系樹脂組成物に微粉状充填剤を
加え、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブ
ラー型混合機等を用いて常温にて5〜30分程度混合
し、その後、通常の一軸または二軸スクリュー押出機に
よって混練し、ペレット化する。次いで、得られたペレ
ットをインフレーション成形機または、Tダイ成形機を
用いて製膜する。ペレット化せず直接押出機で成膜する
こともできる。押出温度は、好ましくは、100〜27
0℃の範囲、より好ましくは、130〜250℃の範囲
である。100℃未満では、押出安定性が得難く、また
過負荷に陥りやすく、270℃を越えると、乳酸系ポリ
マーの分解が激しくなるので、好ましくない。押出機の
ダイは、環状または線状のスリットを有するものでよ
い。ダイの温度は押出温度範囲と同じ程度で良い。
【0037】その後、少なくとも一軸方向に、1.1〜
10倍、好ましくは1.1〜7倍延伸を行う。延伸は多
段階に分けて行ってもよいし、二軸方向に延伸してもよ
い。延伸倍率が1.1倍未満の場合は、フィルムの多孔
化が不充分となる。10倍を超えるとフィルムが破れる
ことが多くなり好ましくない。
【0038】延伸温度は乳酸系ポリマーのガラス転移点
(以下、Tgという)〜Tg+50℃の範囲が好まし
い。延伸後、孔の形態安定性を増すために熱固定を行っ
てもよい。多孔性フィルムの厚さは、一般的には10〜
300μm程度である。なお、多孔性フィルムには本発
明の目的を損なわない範囲で着色剤、強化剤及びその他
の充填剤等を添加することも可能である。
【0039】次いで、本発明の使い捨ておむつに用いる
乳酸系ポリマーを主成分とする透水性不織布について説
明する。本発明の使い捨ておむつに用いる乳酸系ポリマ
ーを主成分とする透水性不織布の製造方法には特に制限
はなく、公知の方法により製造されたもので差支えな
い。例えば、乳酸系ポリマーを紡糸し、繊維とした後ウ
エブを形成し、該ウエブを従来公知の方法、例えばニー
ドルパンチ法、ステッチボンド法、ジェットボンド法、
サーマルボンド法、レジンボンド法等により結合するこ
とにより得られる。上記乳酸系ポリマーには必要に応じ
て、可塑剤、各種の改質剤等の他の添加剤を加えてもよ
い。
【0040】透水性不織布の製造に用いる乳酸系ポリマ
ーは、乳酸または乳酸と他のヒドロキシカルボン酸を直
接脱水重縮合するか、または、乳酸または乳酸と他のヒ
ドロキシカルボン酸の環状二量体を開環重合することに
より得られ、製造方法は前記の不透水性フィルムに用い
た乳酸系ポリマーと同様である。コモノマーとして用い
られるヒドロキシカルボン酸として、グリコール酸、ヒ
ドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン
酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等が
例示される。好ましいヒドロキシカルボン酸としては、
グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸が挙げられる。
【0041】本発明の使い捨ておむつに用いられる乳酸
系ポリマーを主成分とする透水性不織布は、人肌に直接
接触して用いられるので、乳酸、グリコール酸等のモノ
マー類を極力含まない乳酸系ポリマーであることが好ま
しい。乳酸、グリコール酸等のモノマー類が多量含まれ
るとおむつの着用箇所が刺激を受けて、赤くかぶれるな
ど悪影響を及ぼすことがある。特に、乳幼児の皮膚は敏
感であるので残存モノマー類が少ない方が好ましい。か
かる観点から、本発明で使用する不織布用資材としての
乳酸系ポリマー中の残存モノマー含有量は、3重量%以
下であることが好ましい。さらに好ましくは2重量%以
下、最も好ましくは1重量%以下である。
【0042】ラクチドまたはヒドロキシカルボン酸の環
状エステル中間体の開環重合により得られる乳酸系ポリ
マーには、数%のラクチド等の環状二量体が残存してい
ることが一般的である。これらの環状二量体等は、水分
の存在下で加水分解を起こし、乳酸またはそれぞれのヒ
ドロキシカルボン酸を発生する。そのため、透水性不織
布の素材としては、上記方法の内、乳酸または乳酸と他
のヒドロキシカルボン酸を直接脱水重縮合する方法によ
り得られる乳酸系ポリマーが好ましい。直接脱水重縮合
する方法は前記と同様である。
【0043】乳酸系ポリマーの分子量が低いと得られる
不織布の強度が低下し、また高いと溶融状態での粘度が
高く成形加工性が低下する。かかる観点から、不織布用
素材としての乳酸系ポリマーの平均分子量は、5万以
上、100万以下程度のものが好ましい。特に好ましい
平均分子量の範囲は5万以上、50万以下である。
【0044】本発明に用いる透水性不織布に好ましく用
いられる乳酸系ポリマーの組成は、L−乳酸単位または
D−乳酸単位を80モル%以上もつポリ乳酸、L−乳酸
単位70モル%以上もつ(L−乳酸)−ヒドロキシカル
ボン酸コポリマー、および、D−乳酸単位を70モル%
以上もつ(D−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマ
ー、およびそれらの混合物である。
【0045】上記組成を有する乳酸系ポリマーは、適度
の結晶性を有し、優れた機械的強度を有するので繊維に
した場合、強度の高い繊維が得られる。また、融点を有
するポリマーであるので加熱圧縮により繊維どうしを融
着させることができ、不織布用素材として適している。
【0046】原料繊維の紡糸方法は、公知の紡糸法が適
用される。例えば、乳酸系ポリマーを、押出機を用いて
溶融紡糸する溶融紡糸法、乳酸系ポリマーを溶媒に溶解
し、溶液とした後、該溶液をノズルから貧溶媒中に吐出
させる湿式紡糸法、該溶液をノズルから乾燥気体中に吐
出させる乾式紡糸等が適用される。湿式紡糸法または乾
式紡糸法に用いられる溶媒として、トルエン、キシレ
ン、クロロホルム、メチレンクロライド等が例示でき
る。また、湿式紡糸法に用いられる貧溶媒として、メタ
ノール、ヘキサン、アセトン等が例示できる。
【0047】溶融紡糸法には、一軸押出機、二軸押出機
等公知の押出機を用いることができる。押出温度が低い
と押出安定性が得難く、また過負荷に陥りやすい。押出
温度が高いとポリマーの熱分解が激しくなり、分子量の
低下、強度低下、着色等が起こりる。これらの点を考慮
すると、押出温度は、好ましくは100〜280℃の範
囲であり、更に好ましくは130〜250℃の範囲であ
る。
【0048】押出機の口金(ノズル)の口径は、必要と
する繊維の直径(糸径)と、押出機の吐出速度や引き取
り速度との関係によって適宜決定されるが、好ましくは
口径0.1〜3.0mm程度である。
【0049】いずれの紡糸法においても、紡糸後の繊維
の延伸は必ずしも行う必要性はないが、延伸を行う場合
には、1.1〜10倍、好ましくは2〜7倍に延伸す
る。延伸温度は、使用する乳酸系ポリマーの種類に応じ
て60〜210℃の範囲から選択される。乳酸系ポリマ
ー繊維の好ましい糸径は、0.5〜40デニールであ
る。また、好ましい繊維長は、0.5〜30cmであ
る。
【0050】得られた乳酸系ポリマーの繊維から、ウェ
ブと呼ばれる繊維の塊状体を形成させる。ウェブの状態
では繊維どうしが結合していないのでこのままでは不織
布とはいえない。
【0051】ウェブの製造方法としては公知の方法を用
いることができ、特に限定されない。例えば、フラット
カード機、ローラカード機、ガーネット機等を用いるカ
ード式、メルトブローン式が挙げられる。また、乳酸系
ポリマーを紡糸する際、紡糸機のノズルから繊維が出る
ときに高速空気を吹き付け、気流に直角な穴あきコンベ
ア上に集めてウェブを形成させるスパンボンド式でもよ
い。
【0052】乳酸系ポリマーの繊維からなるウェブか
ら、不織布を得るには公知の方法を用いることができ
る。例えば、針により交絡させるニードルパンチ法、糸
により交絡させるステッチボンド法、水流により交絡さ
せるジェットボンド法、熱により接着するサーマルボン
ド法、樹脂の接着を利用するレジンボンド法が挙げられ
る。
【0053】ウェブから分解性不織布を製造する好まし
い方法として、(1)乳酸系ポリマー繊維のウェブを、
該繊維の(融点−50)℃〜融点未満の温度範囲で圧縮
する方法が挙げられる。また、他の方法として、(2)
乳酸系ポリマー繊維の主ウェブに低温熱可塑性ポリマー
繊維のウェブを所定の割合で混合し、室温〜70℃の温
度範囲で圧縮する方法が挙げられる。
【0054】上記(1)の方法に好ましく用いられる乳
酸系ポリマー繊維のウェブ、および上記(2)の方法に
好ましく用いられる乳酸系ポリマー繊維の主ウェブは、
L−乳酸単位またはD−乳酸単位を80モル%以上もつ
ポリ乳酸繊維、L−乳酸単位70モル%以上もつ(L−
乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマー繊維、およ
び、D−乳酸単位を70モル%以上もつ(D−乳酸)−
ヒドロキシカルボン酸コポリマー繊維から選ばれた少な
くとも一種の分解性繊維から製造されたウェブである。
【0055】上記(2)の方法は、(1)の方法で用い
る乳酸系ポリマー繊維の主ウェブに、70℃以下の温度
で溶融または軟化する低温熱可塑性ポリマー繊維のウェ
ブを添加混合し、該低温熱可塑性ポリマー繊維のウェブ
を室温〜70℃の温度範囲で溶融・軟化させ、主繊維ど
うしを接着する方法である。この方法に用いる低温熱可
塑性ポリマー繊維の好ましいウェブとして、L−乳酸単
位とD−乳酸単位とのモル比が1:4〜4:1であるポ
リ(DL−乳酸)、L−乳酸単位とD−乳酸単位とのモ
ル比が任意である(DL−乳酸)−ヒドロキシカルボン
酸コポリマー、L−乳酸単位を0〜70モル%もつ(D
−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマー、およびそ
れらの混合物を主成分とする乳酸系ポリマー繊維のウェ
ブが挙げられる。
【0056】上記(1)および(2)のいずれの方法に
おいても、圧縮温度が低くなると繊維どうしの融着性が
低下し、また高いと固いシート状となり、適度な風合い
を有する柔らかい不織布が得難くなる。かかる観点から
圧縮温度を上記範囲とすることが好ましい。また、いず
れの方法においても圧縮圧力は、1.1〜200kg/
cm2の範囲から選択される。
【0057】この低温熱可塑性乳酸系ポリマー繊維のウ
ェブを混合して用いることにより、加熱圧縮温度を低下
することが可能である。低温熱可塑性乳酸系ポリマー繊
維のウェブは、上記主ウェブと同様にして紡糸、ウェブ
化される。
【0058】低温熱可塑性乳酸系ポリマー繊維のウェブ
の添加量が増加すると、得られる不織布が固くなり、か
つ、不織布の強度が低くなる傾向を示す。また、減少す
ると主ウェブの接着が不十分となり、良好な不織布が得
難くなる。かかる観点から、低温熱可塑性乳酸系ポリマ
ー繊維のウェブの量は、全ウェブの総重量の10〜60
重量%の範囲から選択されることが好ましい。さらに好
ましくは20〜40重量%である。上記組成の乳酸系ポ
リマー繊維の主ウェブを用いることにより、適度の風合
いを有し、柔軟性のある不織布を得ることができる。
【0059】本発明に用いる不織布には、乳酸系ポリマ
ーに必要に応じて可塑剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱
安定剤、滑剤、酸化防止剤等を配合したのち紡糸した繊
維を用いてもよい。
【0060】本発明に用いる吸収体として、綿状パルプ
等が挙げられる。吸収体の吸収液保持性をよくするため
に、綿状パルプ等に高吸水性ポリマーを混合して用いる
ことが好ましい。高吸水性ポリマーは公知のもので差支
えなく、例えば、澱粉・アクリル酸グラフト共重合体架
橋物(三洋化成工業(株)製、サンウェットIM−10
00)等が例示される。
【0061】
【実施例】以下、実施例を示して本発明をさらに詳しく
説明する。 <ポリ乳酸又は乳酸とその他のヒドロキシカルボン酸と
のコポリマーの製造例> 製造例1 Dean Stark Trap を備えた反応器に、
90%L−乳酸8.5kgと90%D−乳酸1.5kg
を装入し、150℃、50mmHgで3時間撹拌しなが
ら水を留出させた後、錫末6.2gを加え、150℃、
30mmHgでさらに2時間撹拌してオリゴマー化し
た。このオリゴマーに錫末28.8gとジフェニルエー
テル21.1kgを加え、150℃、35mmHgで共
沸脱水反応を行い、留出した水と溶媒を水分離器で分離
して溶媒のみを反応器に戻した。2時間後、反応器に戻
す有機溶媒を、4.6kgのモレキュラシーブ3Aを充
填したカラムに通してから反応機器に戻るようにして、
150℃、35mmHgで40時間反応を行いポリ乳酸
溶液を得た。
【0062】この溶液に脱水したジフェニルエーテル4
4kgを加え希釈した後、40℃まで冷却して、析出し
た結晶を濾過し、10kgのn−ヘキサンで3回洗浄し
て60℃、50mmHgで乾燥した。この粉末に0.5
N−HCl12.0kgとエタノール12.0kgを加
え、35℃で1時間撹拌した後濾過し、60℃、50m
mHgで乾燥して、ポリ(DL−乳酸)粉末6.1kg
(収率85%)を得た。この粉末をペレット機で処理し
ペレット状にし、ポリ(DL−乳酸)ペレットを得た。
【0063】ポリ(DL−乳酸)の粉末をクロロホルム
に溶解し、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィー)法で測定したところ、このポリマーの平均分子
量は約11万であった。また、同様にアセトニトリルに
溶解し、HLC(高速液体クロマトグラフィー)法で測
定したところ、このポリマー中の残存モノマーの含有量
は0.2重量%であった。このポリマーを以下P−1と
称する。
【0064】製造例2 製造例1のL−乳酸8.5kgとD−乳酸1.5kg
を、L−乳酸9.0kgとグリコール酸1.0kgに変
えた他は、製造例1と同様にして乳酸−グリコール酸コ
ポリマー粉末を得た。得られたコポリマー粉末を製造例
1と同様にしてペレットとした。得られた乳酸−グリコ
ール酸コポリマーの平均分子量は約10万であった。ま
た、このポリマー中の残存モノマーの含有量は0.2重
量%であった。このポリマーを以下P−2と称する。
【0065】製造例3 製造例1のL−乳酸8.5kgとD−乳酸1.5kg
を、L−乳酸10.0kgに変えた他は、製造例1と同
様にしてポリ(L−乳酸)粉末を得た。得られたポリ
(L−乳酸)粉末を製造例1と同様にしてペレットとし
た。得られたポリ(L−乳酸)の平均分子量は約10万
であった。また、このポリマー中の残存モノマーの含有
量は0.2重量%であった。このポリマーを以下P−3
と称する。
【0066】製造例4 製造例1のL−乳酸8.5kgとD−乳酸1.5kg
を、L−乳酸5.0kgとヒドロキシカプロン酸5.0
kgとに変えた他は製造例1と同様にして乳酸−ヒドロ
キシカプロン酸コポリマー粉末を得た。得られたコポリ
マー粉末を製造例1と同様にしてペレットとした。得ら
れた乳酸−ヒドロキシカプロン酸コポリマーの平均分子
量は約7万であった。また、このポリマー中の残存モノ
マーの含有量は0.2重量%であった。このポリマーを
以下P−4と称する。
【0067】製造例5 L−ラクチド200gおよびオクタン酸第一スズ0.0
1重量%と、ラウリルアルコール0.03重量%を、撹
拌機を備えた肉厚の円筒型ステンレス製重合容器に封入
し、真空で2時間脱気した後窒素ガスで置換した。この
混合物を窒素雰囲気下で撹拌しつつ200℃で3時間加
熱した。温度をそのまま保ちながら、排気管およびガラ
ス製受器を介して真空ポンプにより徐々に脱気し反応容
器内を3mmHgまでに減圧した。脱気開始から1時間
後、モノマーや低分子量揮発分の留出がなくなったの
で、容器内を窒素置換し、容器下部からポリマーを紐状
に抜き出してペレット化し、ポリ(L−乳酸)を得た。
このポリマーの平均分子量は約10万であった。また、
このポリマー中の残存モノマーの含有量は4.0重量%
であった。このポリマーを以下P−5と称する。
【0068】<可塑剤の製造例> 製造例6 反応器に入れたL−ラクタイド1.8kgに乳酸水溶液
(濃度87重量%)1.0kgを加え、100℃におい
て、2時間加熱した。冷却したところ常温で粘りのある
透明の液体が得られた。このオリゴマーをクロロホルム
に溶解し、GPC法にて重合度分布を測定した結果、乳
酸および乳酸オリゴマーが含まれていた。平均重合度は
2.8であった。以後LAオリゴマーと記す。
【0069】<透水性不織布の製造例> 製造例7 製造例1〜5で得られた乳酸系ポリマーP−1〜P−5
を、スクリュー式小型押出機を用いて、約200℃の温
度で溶融押出して紡糸し、約75℃で5〜6倍に延伸し
た。得られた乳酸系ポリマー繊維をF−1〜F−5と称
する。得られた乳酸系ポリマー繊維をそれぞれ長さ4〜
5cmの短繊維に切断し、撹拌してランダムなウェブに
した。〔表2〕の製造条件により、厚さ約50μmの分
解性不織布を得た。得られた不織布をNW−1〜NW−
4と称する。
【0070】<皮膚への影響調査>不織布NW−1〜N
W−4を半径1cmの円形に切断、採取し、無作為に選
んだ20人の首筋に貼付し、2週間後の変化を観察し、
下記のランクをつけ評価した。その結果を〔表2〕に示
す。 ×・・・・赤くかぶれ、刺激を伴った △・・・・若干赤くなったが、刺激はない ○・・・・全く皮膚に変化がない
【0071】<不透水性フィルムの製造例> 製造例8 製造例1〜3で得られた乳酸系ポリマーP−1〜P−3
に製造例6で得られたLAオリゴマーと無機充填剤を
〔表3〕に示す割合で添加、混合した。得られた樹脂組
成物をTダイ法により、約200℃で押出し、延伸後の
厚みが〔表3〕に示す厚みになるように製膜した。次い
で、60℃において〔表3〕に示す延伸倍率でロール延
伸し、不透水性多孔性フィルムを得た。これらのフィル
ムをそれぞれBF−1〜BF−3と称する。
【0072】<吸収体の製造例> 製造例9 所定量の綿状パルプに所定量の高吸水性ポリマー(澱粉
・アクリル酸グラフト共重合体架橋物、三洋化成工業
(株)製、サンウェットIM−1000)を混合、分散
し、吸収体とした。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】実施例1〜6 〔表2〕および〔表3〕に示した透水性不織布NW−1
〜NW−4と不透水性フィルムBF−1〜BF−3を
〔表4〕に示すように組み合わせ、また、〔表4〕に示
す割合で調製した吸収体を用いた。透水性不織布NW−
1〜NW−4を縦45cm、横30cmに、不透水性フ
ィルムBF−1〜BF−3を縦45cm、横30cm
(大)および縦42cm、横18cm(小)に、吸収体
を縦40cm、横16cmにそれぞれ第2図に示すよう
に裁断した。切断されたそれぞれの部材を、第1図およ
び第2図にすように、不透水性フィルム、透水性不織布
(大)、吸収体、透水性不織布(小)の順に積層し、第
2図に示すAA’、A’F’、F’F、FAの4辺およ
びBB’、EE’の2辺を110℃でヒートシールし、
使い捨ておむつを得た。
【0077】比較例1〜2 〔表4〕に示した市販の使い捨ておむつaとbをそれぞ
れ比較例1、比較例2とした。
【0078】<分解性評価>実施例1〜6で得られた使
い捨ておむつ及び比較例1〜2の使い捨ておむつを温度
35℃、水分30%の土壌中に埋め込み、経時によるお
むつの原形からの変化を観察し、分解性を下記のランク
で評価した。その結果を〔表4〕に示す。 ×・・・・・原形を保ったまま △・・・・・原形の約半分を消滅 ○・・・・・原形をほとんどを消滅 ◎・・・・・原形を全くとどめない
【0079】
【表4】
【0080】
【発明の効果】本発明の使い捨ておむつは、使用後廃棄
された場合、紙や木等の天然物と同じように自然環境中
で比較的短い期間内に無害な水と炭酸ガスに分解するの
で、廃棄物として蓄積することがない。また、人肌に直
接接触する透水性不織布の素材として乳酸の直接脱水重
縮合反応により得られる乳酸系ポリマーを用いた場合
は、乳酸等の未反応モノマー類の含有量を極めて低く抑
えることが可能となり、着用者の肌を刺激することがな
い利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の使い捨ておむつの断面を示す模式
図の一例である。
【図2】は、本発明の使い捨ておむつの内側から見た展
開図の一例である。
【符号の説明】
1 不透水性フィルム 2 分解性不織布(大) 3 吸収体 4 分解性不織布(小) A、A’、F’、F 不透水性フィルムと分解性不織布
(大)のコーナー部 B、B’、E’、E 分解性不織布(小)のコーナー部 C、C’、D’、D 吸収体のコーナー部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // D01F 6/62 305 Z 7199−3B 6/84 301 G 7199−3B (72)発明者 味岡 正伸 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不透水性フィルム、吸収体および透水性
    不織布から構成された使い捨ておむつにおいて、該不透
    水性フィルムが乳酸系ポリマーを主成分とするフィルム
    であり、かつ、該透水性不織布が乳酸系ポリマーを主成
    分とする不織布であることを特徴とする使い捨ておむ
    つ。
  2. 【請求項2】 前記乳酸系ポリマーを主成分とするフィ
    ルムが、ポリ乳酸または乳酸−ヒドロキシカルボン酸コ
    ポリマー80〜100重量%、および可塑剤0〜20重
    量%を含むポリ乳酸系樹脂組成物100重量部に対し、
    平均粒径0.3〜4μmの微粉状充填剤40〜250重
    量部を添加した混合物を溶融成膜した後、少なくとも一
    軸方向に1.1倍以上延伸した多孔性フィルムであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の使い捨ておむつ。
  3. 【請求項3】 前記ポリ乳酸が、L−乳酸単位85〜1
    00モル%およびD−乳酸単位0〜15モル%、また
    は、D−乳酸単位85〜100モル%およびL−乳酸単
    位0〜15モル%を含むポリ乳酸であることを特徴とす
    る請求項2記載の使い捨ておむつ。
  4. 【請求項4】 前記乳酸−ヒドロキシカルボン酸コポリ
    マーが、L−乳酸単位85〜100モル%およびグリコ
    ール酸単位0〜15モル%、または、D−乳酸単位85
    〜100モル%およびグリコール酸単位0〜15モル%
    を含むコポリマーであることを特徴とする請求項2記載
    の使い捨ておむつ。
  5. 【請求項5】 前記可塑剤が、乳酸、乳酸オリゴマーま
    たはラクチドであることを特徴とする請求項2記載の使
    い捨ておむつ。
  6. 【請求項6】 前記乳酸系ポリマーを主成分とする不織
    布が、ポリ乳酸および乳酸−ヒドロキシカルボン酸コポ
    リマーから選ばれた少なくとも一種の乳酸系ポリマーを
    主成分とする繊維からなるウエブを結合させた不織布で
    あることを特徴とする請求項1記載の使い捨ておむつ。
  7. 【請求項7】 前記繊維が、L−乳酸単位またはD−乳
    酸単位を80モル%以上もつポリ乳酸繊維、L−乳酸単
    位70モル%以上もつ(L−乳酸)−ヒドロキシカルボ
    ン酸コポリマー繊維、および、D−乳酸単位を70モル
    %以上もつ(D−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリ
    マー繊維から選ばれた少なくとも一種の分解性繊維であ
    ることを特徴とする請求項6記載の使い捨ておむつ。
  8. 【請求項8】 前記繊維が、L−乳酸単位またはD−乳
    酸単位を80モル%以上もつポリ乳酸繊維、L−乳酸単
    位70モル%以上もつ(L−乳酸)−ヒドロキシカルボ
    ン酸コポリマー繊維、および、D−乳酸単位を70モル
    %以上もつ(D−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリ
    マー繊維から選ばれた少なくとも一種の分解性繊維
    (A)と、L−乳酸単位とD−乳酸単位とのモル比が
    1:4〜4:1であるポリ(DL−乳酸)繊維、L−乳
    酸単位とD−乳酸単位とのモル比が任意である(DL−
    乳酸)−ヒドロキシカルボン酸コポリマー繊維、L−乳
    酸単位を0〜70モル%もつ(L−乳酸)−ヒドロキシ
    カルボン酸コポリマー繊維、および、D−乳酸単位を0
    〜70モル%もつ(D−乳酸)−ヒドロキシカルボン酸
    コポリマー繊維から選ばれた少なくとも一種の低温熱可
    塑性分解性繊維(B)との混合繊維であることを特徴と
    する請求項6記載の使い捨ておむつ。
  9. 【請求項9】 前記混合繊維が、低温熱可塑性分解性繊
    維(B)を10〜60重量%含むことを特徴とする請求
    項8記載の使い捨ておむつ。
  10. 【請求項10】 前記乳酸系ポリマーが、実質的に水の
    非存在下で、L−乳酸、D−乳酸またはこれらの混合
    物、または、L−乳酸、D−乳酸またはこれらの混合物
    とヒドロキシカルボン酸、を有機溶媒を含む反応混合物
    中で脱水縮合して得られた重量平均分子量が約50,0
    00以上である乳酸系ポリマーであることを特徴とする
    請求項6記載の使い捨ておむつ。
  11. 【請求項11】 前記ヒドロキシカルボン酸が、グリコ
    ール酸またはヒドロキシカプロン酸であることを特徴と
    する請求項10記載の使い捨ておむつ。
  12. 【請求項12】 前記乳酸系ポリマーが含有する未反応
    モノマーおよび/またはコモマーの含有量が3重量%以
    下であることを特徴とする請求項10記載の使い捨てお
    むつ。
  13. 【請求項13】 前記吸収体が、綿状パルプと、澱粉・
    アクリル酸グラフト共重合体架橋物を含む高吸水性ポリ
    マーとの混合物であることを特徴とする請求項1記載の
    使い捨ておむつ。
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