JPH0517538U - 光フアイバ用検出ヘツド - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 光ファイバの検出端面に研磨処理を施す必要
がなく、かつ比較的小さな出射ＮＡで検出光を出射でき
る光ファイバ用検出ヘッドを得る。 【構成】 一方の光ファイバ５と被検出体との間に、一
端が検出端面５ｃと対接し、該一端側より他端側に向か
って軸芯から離れる方向に形成される外周面２１ａを備
えた透明キャップ２１を設け、他方の光ファイバ６と前
記被検出体との間に、同様に構成される外周面２２ａを
備えた他の透明キャップ２２を設け、該外周面２１ａ、
２２ａの周囲に、透明キャップ２１、２２の屈折率より
小さな屈折率を有するクラッド部材１４を設けたことを
特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、検出光を一方の光ファイバの検出端面を介して被検出体に出射する とともに、該被検出体で反射された反射光を他方の光ファイバの検出端面を介し て受光する光ファイバ用検出ヘッドに関する。

【０００２】

【従来の技術】

光ファイバの検出端から出射光を被検出体で反射あるいは透過させ、これを光 センサで受光するようにしたファイバ式光電センサが広く使用されている。

【０００３】 図９はこの種のファイバ式光電センサに備えられる光ファイバ用検出ヘッドの 従来例を示す断面図で、この図９において、筒体１はＮｉメッキを施した黄銅材 からなり、先端側の外径が小さい２段状に形成され、軸芯を中心に孔２が設けら れている。また筒体１の外周には、ねじ部４が形成されていて、ねじ部４と螺合 する図示しないナット等を介して筒体１が保持される。

【０００４】 この筒体１の孔２には光ファイバ５、６が挿入され、孔２の内面に接着剤７が 塗布されて光ファイバ５、６を固着するようになっており、すなわち、該接着剤 ７により筒体１に光ファイバ５、６を固定する固定手段を構成している。一方の 光ファイバ５の先端部分で黒色ポリエチレン製の被覆部５ａが除去されてファイ バ部５ｂが露出されている。そして、このファイバ部５ｂの一端、つまり検出端 面５ｃが、接着剤７の硬化乾燥後に研磨され、検出端面５ｃに塵埃などが付着し にくく汚れ難い状態に処理されている。他方の光ファイバ６も同様で、被覆部６ ａが先端部分で除去されてファイバ部６ｂが露出されるとともに、検出端面６ｃ が接着剤７の硬化乾燥後に研磨されている。

【０００５】 そして、例えばファイバ部５ｂ、６ｂがプラスチック製の場合、検出端面５ｃ 、６ｃからは軸芯に対して３０度程度の開き角度、これをθ₁とすると、いわゆ る出射ＮＡつまりＮＡ＝Ｓｉｎθ₁で光が出射される。長距離検出を行なう場合 には、図１０に示すような、標準の光ファイバ５、６の先端に長距離レンズアタ ッチメントを取り付けたレンズ付き反射ユニットを別途使っている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

ところで上述した従来の光ファイバ用検出ヘッドでは、ファイバ部５ｂの検出 端面５ｃ、およびファイバ部６ｂの検出端面６ｃの研磨には数種類のサンドペー パーやバフを用いて研磨処理を繰り返す煩雑な工程が必要で、作業コストが高く なるという問題があった。また、長距離検出を行なう場合には、レンズ付き反射 ユニットを別途使っており、コストアップにつながり、ユニット自体大きくなり 、スペースをとってしまうという問題があった。

【０００７】 本考案はこのような従来技術における実情に鑑みてなされたもので、その目的 は、光ファイバのファイバ部の検出端面に研磨処理を施すことなく、該検出端面 に塵埃等が付着することを防止できるとともに、比較的小さな出射ＮＡで検出光 を出射することのできる光ファイバ用検出ヘッドを提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

この目的を達成するために本考案は、一対の光ファイバの検出端部が挿入され る筒体と、この筒体に該光ファイバを固定する固定手段とを有し、検出光を一方 の光ファイバの検出端面を介して被検出体に出射するとともに、該被検出体で反 射された反射光を他方の光ファイバの検出端面を介して受光する光ファイバ用検 出ヘッドにおいて、前記光ファイバのそれぞれと前記被検出体との間に、一端が 前記検出端面と対接し、該一端側より他端側に向かって軸芯から離れる方向に形 成される外周面を備えた透明キャップを設けるとともに、該外周面の周囲に、こ の透明キャップの屈折率より小さな屈折率を有するクラッド部材を設けた構成に してある。

【０００９】

【作用】 本考案は上記のように構成したので、一方の光ファイバのファイバ部を介して 導かれた検出光は、該ファイバ部の検出端面から出射されると、この検出端面と 一端が対接する透明キャップに入射して該透明キャップを透過した後、この透明 キャップの他端側から被検出体に向けて出射される。次いで、被検出体で反射さ れた反射光が別の透明キャップを透過した後、他方の光ファイバの検出端面を介 して受光するようになっている。前記ファイバ部の検出端面から検出光が出射さ れるとき、該検出光が比較的大きな出射ＮＡで出射されるが、透明キャップを透 過する過程で、外周面の周囲に設けられたクラッド部材が透明キャップより小さ な屈折率を有することから、その境界面すなわち透明キャップ外周面で前記検出 光が全反射される。しかも、透明キャップの外周面は一端側より他端側に向かっ て軸芯から離れる方向に形成されているので、該外周面が軸芯と平行に形成され る場合よりも、軸芯に対して比較的小さな角度で前記検出光が全反射される。こ れによって、透明キャップの他端側から被検出体に向けて比較的小さな出射ＮＡ で検出光を出射することができる。

【００１０】 また、上記のように光ファイバのファイバ部の検出端面に透明キャップの一端 を対接させ、この透明キャップの外周面の周囲にクラッド部材を設けたので、こ れらの透明キャップおよびクラッド部材によって前記検出端面の部分に塵埃等が 侵入することが阻止されており、これによって、研磨処理を施すことなく該検出 端面に塵埃等が付着することを防止できる。また、キャップの光出射面（露出面 ）は滑らかな面であるため、塵埃等が付着することを防止できる。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案の光ファイバ用検出ヘッドの実施例を図に基づいて説明する。 図１は本考案の光ファイバ用検出ヘッドの第１の実施例を示す断面図、図２は 図１の検出ヘッドに備えられるキャップ部材を示す斜視図、図３は図１の検出ヘ ッドに備えられる筒体の後端部を示す側面図、図４は図３に示す筒体の後端部を 光ファイバ側から見た図、図５は図３の筒体の後端部をかしめた状態を示す側面 図、図６は図５に示す筒体の後端部を光ファイバ側から見た図、図７は図２のキ ャップ部材に備えられる透明キャップを説明する図である。なお、図１、図３〜 図６において、前述した図９に示すものと同等のものには同一符号を付してある 。すなわち、５、６は光ファイバ、５ａ、６ａは被覆部、５ｂ、６ｂはファイバ 部、５ｃ、６ｃは検出端面である。

【００１２】 図１に示す本実施例の光ファイバ用検出ヘッドは、一対の光ファイバ５、６の 検出端部が挿入される筒体１１を有している。この筒体１１は、表面にＮｉメッ キが施された黄銅材からなり、軸芯を中心に貫通孔１２が形成され、この貫通孔 １２の後側に光ファイバ５、６を挿入し、前側にキャップ部材１３およびクラッ ド部材１４を収納するようになっている。この筒体１１の後端部１１ａには、図 ３、図４に示すように、軸芯方向に沿って形成される４本の割溝１５〜１８が設 けられている。該後端部１１ａは、図５、図６に示すように、軸心に向かってか しめられた状態で被覆部５ａ、６ａに食い込むようになっており、すなわち筒体 １１に光ファイバ５、６を固定する固定手段を構成している。また筒体１１の外 周にはねじ部１９が形成されている。

【００１３】 前記キャップ部材１３は、図２に示すように、光ファイバ５、６のそれぞれと 被検出体との間に設けられる一対の透明キャップ２１、２２と、該透明キャップ ２１、２２と平行に配置された一対のガイド用突起２３、２４と、筒体１１の先 端部１１ｂに保持され、平坦状の端面を有する基部２５とからなるとともに、例 えば１．５８程度の屈折率を有するポリカーボネート樹脂から一体的に形成され ている。一方の透明キャップ２１は、検出端面５ｃと対接する一端側より他端側 に向かって軸芯から離れる方向に形成される外周面２１ａを有し、すなわち該透 明キャップ２１は円錐状に形成されている。同様に、他方の透明キャップ２２も 、他の検出端面６ｃと対接する一端側より他端側に向かって軸芯から離れる方向 に形成される外周面２２ａを有し、円錐状に形成されている。前記ガイド用突起 ２３、２４は、透明キャップ２１、２２より長い寸法を有し、該透明キャップ２ １、２２の回転を防止するようになっている。前記クラッド部材１４は、例えば １．４６程度の屈折率を有するグリースからなり、貫通孔１２内に封入されてお り、透明キャップ２１の外周面２１ａおよび透明キャップ２２の外周面２２ａの 周囲には、該クラッド部材１４が設けられている。

【００１４】 この第１の実施例にあっては、図７の（ａ）に示すように、発光側の光ファイ バ５のファイバ部５ｂの検出端面５ｃから出射された検出光２５は、該検出端面 ５ｃと一端が対接する透明キャップ２１に入射して該透明キャップ２１を透過し た後、基部２５の端面から被検出体に向けて出射される。次いで、被検出体で反 射された反射光は別の透明キャップ２２を透過した後、該反射光を他方の光ファ イバ６を介して導くようになっている。

【００１５】 このとき、前記検出端面５ｃからは比較的大きな第１の出射角度“θ₀”（例 えばファイバ部５ｂがプラスチック製の場合、θ₀≒２０度）で検出光２５が出 射され、次いで、透明キャップ２１を透過する過程で、この透明キャップ２１の 外周面２１ａの周囲に設けられたクラッド部材１４が透明キャップ２１より小さ な屈折率を有することから、その境界面、すなわち透明キャップ２１の外周面２ １ａで検出光２５が全反射される。しかも、透明キャップ２１の外周面２１ａは 一端側より他端側に向かって軸芯から離れる方向に形成され、軸芯に対して所定 の角度ψで傾斜しているので、該外周面２１ａが軸芯と平行に形成される場合よ りも、軸芯に対して比較的小さな角度で検出光２５が全反射され、したがって、 基部２５の端面から被検出体に向けて比較的小さな第２の出射角度“θ”で出射 される。ここで、透明キャップ２１の屈折率をｎ、透明キャップ２１内での反射 回数をＮとすると、第２の出射角度θは図７の（ｂ）に示す式により求められる 。（ただし、周囲の媒質は空気とする。） この図７の（ｂ）に示す式からわかるように、外周面２１ａの傾斜角度ψが大 きいほど、あるいは反射回数Ｎが大きいほど第２の出射角度θが小さくなる。ま た、透明キャップ２１の長さ寸法が大きいほど反射回数Ｎが多くなり、第２の出 射角度θが小さくなる。なお、外周面２１ａの傾斜角度ψがθ₀より大きいか、 あるいは等しい角度で設定された場合、透明キャップ２１の長さ寸法がいくら長 くても外周面２１ａで全反射することなく該透明キャップ２１の他端側の基部２ ５より検出光が出射される。

【００１６】 このように構成した第１の実施例では、被検出体に向けて比較的小さな第２の 出射角度θで出射できるので、長距離検出用のレンズ付き反射ユニットを特別に 要することなく長距離検出を行なうことができる。また、光ファイバ５の検出端 面５ｃおよび光ファイバ６の検出端面６ｃを筒体１１内に収納するとともに、該 検出端面５ｃ、６ｃに透明キャップ２１、２２の一端をそれぞれ対接させ、外周 面２１ａ、２２ａの周囲にクラッド部材１４を設けたので、検出端面５ｃ、６ｃ の部分に塵埃等が侵入することが阻止されており、このことから、ファイバ部５ ｂ、６ｂをカッタ等で切断するのみで済み、検出端面５ｃ、６ｃに研磨処理を施 す必要がない。また、キャップ部材１３の露出面は滑らかな面なので、塵埃など が付着することもない。そして、クラッド部材１４は筒体１１の貫通孔１２内に 封入されたグリースからなることから、水や油などの異物が検出端面５ｃ、６ｃ の部分に侵入することを防止できるとともに、ファイバ部５ｂと透明キャップ２ １間に介在する前記グリースにより該ファイバ部５ｂと透明キャップ２１間の結 合効率を向上させることができる。同様に、他方のファイバ部６ｂと透明キャッ プ２２間の結合効率も向上させることができる。さらに、透明キャップ２１の外 周面２１ａの傾斜角度ψや、透明キャップ２１の長さ寸法を変えて設定すること により、異なった出射角度θを得ることができ、他の透明キャップ２２も同様で あるので、種々の光ファイバ用検出ヘッドを容易に製作することができる。さら に、光ファイバ５の被覆部５ａ、光ファイバ６の被覆部６ａを除去することなく 、筒体１１の貫通孔１２に該光ファイバ５、６を挿入することができ、被覆部５ ａ、６ａの除去に要する手間を省くことができるとともに、被覆部５ａ、６ａの 除去する際にカッタ等でファイバ部５ｂ、６ｂを傷つけて光伝達効率を低下させ ることがない。また、筒体１１の後端部１１ａをかしめることによって筒体１１ に光ファイバ５、６を固定するようになっているので、接着剤を用いる場合と比 べて、貫通孔１２の内面に接着剤を塗布する手間を省くことができるとともに、 接着剤が乾燥硬化するまで待つ必要もない。

【００１７】 なお、本実施例では筒体１１の後端部１１ａに、軸芯方向に沿って形成される ４本の割溝１５〜１８を設けたが、これらの割溝１５〜１８の代わりに、他の本 数の割溝を設けることもできる。

【００１８】 図８は本考案の光ファイバ用検出ヘッドの第２の実施例に備えられるキャップ 部材を示す断面図である。なお、図８において、前述した図１、図２および図７ に示すものと同等のものには同一符号を付してある。すなわち、２１、２２は透 明キャップ、２１ａ、２２ａは外周面、２４はガイド用突起である。

【００１９】 第２の実施例の光ファイバ用検出ヘッドは、図８に示すキャップ部材３１を有 し、その他の構成は前述した第１の実施例と同様である。このキャップ部材３１ は、一対の透明キャップ２１、２２と、ガイド用突起２４、および図２に示す他 のガイド用突起２３と、図２の筒体１１の先端部１１ｂに保持される基部３２と からなり、例えば１．５８程度の屈折率を有するポリカーボネート樹脂から一体 的に形成されている。前記基部３２は、レンズ効果を有する球面状、あるいは非 球面状の端面、例えば滑らかに成型された一対の凸状わん曲面３２ａ、３２ｂを 備えている。

【００２０】 この第２の実施例にあっても、第１の実施例と同様に、発光側の光ファイバ５ のファイバ部５ｂの検出端面５ｃから出射された検出光は、該検出端面５ｃと一 端が対接する透明キャップ２１に入射して該透明キャップ２１を透過した後、基 部３２のわん曲面３２ａから被検出体に向けて出射される。このとき、透明キャ ップ２１の外周面２１ａで検出光が全反射されるとともに、わん曲面３２ａで該 検出光が収束され、より小さな出射ＮＡで被検出体に向けて出射される。

【００２１】 このように構成した第２の実施例でも、第１の実施例の場合と同様の効果を得 ることができる。なお、クラッド材として用いたグリースの代りにｎ＝１．４５ 程度のシリカ薄膜をコーティングしても同様の効果が得られる。また、わん曲面 ３２ａで検出光が収束されるので、被検出体に向けてさらに小さな出射ＮＡで出 射することができ、より長い距離の検出を行なうことができる。

【００２２】 なお、本実施例では基部３２に一対のわん曲面３２ａ、３２ｂの両方を備えた が、該わん曲面３２ａ、３２ｂのいずれか一方のみを備えることもできる。さら に、一対のわん曲面３２ａ、３２ｂの代わりに、１つの球面を備えて検出可能範 囲を限定し、いわゆる限定反射検出を行なうこともできる。さらに、これらの球 面の代わりに、レンズ効果を有する非球面を備えることもできる。

【００２３】

【考案の効果】

本考案は以上のように構成したので、光ファイバのファイバ部の検出端面に研 磨処理を施すことなく、該検出端面に塵埃等が付着することを防止でき、したが って、作業コストを小さくすることができる。また、比較的小さな出射ＮＡで検 出光を被検出体に向けて出射することができ、したがって、長距離検出用レンズ 付き反射ユニットを特別に要することなく、長距離検出を行なうことができると ともに、小形でかさばらない光ファイバ用検出ヘッドを得ることもできる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の光ファイバ用検出ヘッドの第１の実施
例を示す断面図である。

【図２】図１の検出ヘッドに備えられるキャップ部材を
示す斜視図である。

【図３】図１の検出ヘッドに備えられる筒体の後端部を
示す側面図である。

【図４】図３に示す筒体の後端部を光ファイバ側から見
た図である。

【図５】図３の筒体の後端部をかしめた状態を示す側面
図である。

【図６】図５に示す筒体の後端部を光ファイバ側から見
た図である。

【図７】図２のキャップ部材に備えられる透明キャップ
を説明する図である。

【図８】本考案の光ファイバ用検出ヘッドの第２の実施
例に備えられるキャップ部材をを示す断面図である。

【図９】光ファイバ用検出ヘッドの従来例を示す断面図
である。

【図１０】従来のレンズ付き反射ユニットの側面図であ
る。

【符号の説明】

５、６ 光ファイバ ５ｃ、６ｃ 検出端面 １１ 筒体 １１ａ 後端部 １３ キャップ部材 １４ クラッド部材 １５〜１８ 割溝 ２１、２２ 透明キャップ ２１ａ、２２ａ 外周面 ２３、２４ ガイド用突起 ２５ 基部 ３１ キャップ部材 ３２ 基部 ３２ａ、３２ｂ わん曲面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対の光ファイバの検出端部が挿入され
   る筒体と、この筒体に該光ファイバを固定する固定手段
   とを有し、検出光を一方の光ファイバの検出端面を介し
   て被検出体に出射するとともに、該被検出体で反射され
   た反射光を他方の光ファイバの検出端面を介して受光す
   る光ファイバ用検出ヘッドにおいて、前記光ファイバの
   それぞれと前記被検出体との間に、一端が前記検出端面
   と対接し、該一端側より他端側に向かって軸芯から離れ
   る方向に形成される外周面を備えた透明キャップを設け
   るとともに、該外周面の周囲に、この透明キャップの屈
   折率より小さな屈折率を有するクラッド部材を設けたこ
   とを特徴とする光ファイバ用検出ヘッド。