JPH05175097A - 位置合わせ装置 - Google Patents

位置合わせ装置

Info

Publication number
JPH05175097A
JPH05175097A JP3345195A JP34519591A JPH05175097A JP H05175097 A JPH05175097 A JP H05175097A JP 3345195 A JP3345195 A JP 3345195A JP 34519591 A JP34519591 A JP 34519591A JP H05175097 A JPH05175097 A JP H05175097A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reticle
light
diffraction grating
wafer
beams
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP3345195A
Other languages
English (en)
Inventor
Koichiro Komatsu
宏一郎 小松
Hideo Mizutani
英夫 水谷
Nobutaka Umagome
伸貴 馬込
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Priority to JP3345195A priority Critical patent/JPH05175097A/ja
Publication of JPH05175097A publication Critical patent/JPH05175097A/ja
Priority to US08/506,132 priority patent/US5689339A/en
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【目的】 レチクルとウエハとのアライメント精度を向
上させる。 【構成】 レチクルマークRMa、RMbからの1次回
折光DR1 、DR2 を、レチクルRと共役な面内に配置
されたプリズム(第2の絞り部材)12を介してモニタ
ー格子板13に照射し、ここで再回折された干渉ビーム
BTRを光電検出器16で受光する。光電検出器20は
ウエハマークWMからの干渉ビームBTWをプリズム1
2、及びウエハWと共役な面内に配置された視野絞り
(第1の絞り部材)17を介して受光する。そして、光
電検出器16、20からの各ビート信号(位相差ΦR
ΦW )に基づいて、中央制御系114はレチクルRとウ
エハWとの相対的な位置ずれ量を算出する。 【効果】 光電検出器16、20へのノイズ光の混入を
防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体素子や液晶表示
素子製造のリソグラフィ工程に使用されるマスクのパタ
ーンを感光基板へ転写する投影露光装置(ステッパー、
アライナー)やプロキシミティー方式の露光装置等に好
適なマスクと感光基板との位置合わせ装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、リソグラフィ工程では微細パター
ンを高分解能で感光基板(レジスト層が形成された半導
体ウエハ)上に転写する装置として、ステップ・アンド
・リピート方式の縮小投影型露光装置(ステッパー)が
多用されるようになっている。この種のステッパーでは
半導体素子の高集積化に伴い、露光光の短波長化や高開
口数(N.A.)の投影光学系の開発が行われ、最近ではウエ
ハ上での解像線幅がサブ・ミクロン(0.5μm程度)
に達している。このような高解像パターンを転写するに
は、その解像力に見合ったアライメント精度(通常、解
像線幅の1/5程度)で、マスクまたはレチクル(以
下、レチクルと称す)のパターンとウエハ上の1つのシ
ョット領域との位置合わせを行う必要がある。このよう
なステッパーのアライメント方式としては、例えばレチ
クルの回路パターン周辺に形成されたアライメントマー
クと、ウエハ上のショット領域周辺に形成されたアライ
メントマークとを同時に検出するTTR(Through The
Reticle)方式が従来から知られている。
【0003】TTR方式のアライメント系は、レチクル
上のアライメントマーク(レチクルマーク)とウエハ上
のアライメントマーク(ウエハマーク)とを共に高精度
に検出して、その相対位置ずれ量を求め、このずれ量が
補正されるようにレチクルまたはウエハを微動させる。
一般にステッパーを始めとする投影型露光装置では、レ
チクルパターンをウエハ上に高解像力で結像するため
に、投影光学系は露光光(例えば、g線、i線、または
エキシマレーザ光等)のみに対して良好に色収差補正さ
れているのが現状である。このことは、TTR方式のア
ライメント系においてマーク照明用の光(アライメント
光)が露光光の波長と同一、もしくは極めてそれに近い
波長に制限されることを意味する。
【0004】さて、露光工程のウエハには表面にレジス
ト層が形成されており、アライメント時にはレジスト層
を介してウエハマークを検出する。このレジスト層は、
より高解像のパターン形成を可能とするために、露光光
に対する吸収率が高く、透過率が低くなるような多層レ
ジスト構造等を採用することが考えられてきた。この場
合、アライメント用照明光がウエハマークに達するまで
に減衰を受けることと、マークからの反射光(正反射
光、散乱光、回折光等)も減衰を受けることによって、
ウエハマークがアライメント系によって十分な光量で認
識されず、その検出精度を低下させるといった問題が生
じる。さらに、アライメントのためにアライメント用照
明光がウエハマークに照射されると、その部分のレジス
ト層は当然に感光してしまい、現像後に各種プロセスを
通すと、ウエハ上の当該マークが破壊されてしまい、次
の層の重ね合わせ露光の時のアライメントに使えないと
いった問題も生じてしまう。
【0005】そこで、例えば特開昭63−153820
号公報に開示されたTTR方式の別波長アライメント系
(アライメント用照明光が露光光の波長と異なる方式)
をベースにして、ウエハまたはレチクル上に形成された
1次元の回折格子マークを光学的に検出し、そのピッチ
情報からウエハまたはレチクルの位置を高分解能(ピッ
チの数分の1〜数十分の1)に検出する方式が特開昭6
3−283129号公報で提案されている。従来から回
折格子マークを用いる位置検出には様々な手法が提案さ
れ、実用化されてきた。特開昭63−283129号公
報に開示された手法は、その中でも回折格子マークに対
して2方向からコヒーレントなレーザビーム(平行光
束)を同時に照射して1次元の干渉縞を作り、この干渉
縞を使って回折格子マークの位置を特定しようとする方
法である。
【0006】このような干渉縞を使ったアライメント方
式には、2方向から照射される2本のレーザビームに一
定の周波数差を与えるヘテロダイン法と、周波数差のな
いホモダイン法とがある。ホモダイン法では回折格子マ
ークと平行に静止した干渉縞が作られ、位置検出にあた
っては回折格子マーク(物体)をそのピッチ方向に微動
させる必要があり、格子マークの位置は干渉縞を基準と
して求められる。これに対してヘテロダイン法では2本
のレーザビームの周波数差(ビート周波数)のために、
干渉縞がその縞方向(ピッチ方向)に高速に流れること
になり、格子マークの位置は干渉縞を基準として求める
ことはできず、専ら干渉縞の高速移動に伴う時間的な要
素(位相差)を基準として求めることになる。
【0007】例えばヘテロダイン法では、格子マークか
らの±1次回折光をビート周波数で強度変調させて検出
した光電信号(光ビート信号)と、2本の送光ビームか
ら別途作成された参照用干渉光の光ビート信号との位相
差(±180°以内)を求め、格子ピッチPの±P/4
以内の位置ずれを検出するものである。ここで、格子ピ
ッチPを2μm(1μmのラインアンドスペース)と
し、位相差計測の分解能が0.5°程度であるものとす
ると、位置ずれ計測の分解能は、(P/4)×(0.5
/180)≒0.0014μmとなる。このような方式
のマーク位置検出は極めて高分解能であるため、従来の
マーク位置検出に比べて1桁以上高いアライメント精度
が得られるものと期待されている。
【0008】図11はTTR方式のアライメント系を備
えたステッパーの概略的な構成の一例を示す斜視図であ
って、露光光と異なる波長域のアライメント用照明光は
2光束周波数シフター(不図示)によって互いに周波数
が異なり、且つ共に直交した直線偏光を含む2本のレー
ザビームBM1 、BM2 に変換される。図11におい
て、レチクル74の上方には露光光と2本のビームBM
1 、BM2 との波長を分離するダイクロイックミラー7
3が設けられる。レチクル74のパターンはダイクロイ
ックミラー73で垂直下方に反射される露光光により照
射され、さらに両側テレセントリックな投影レンズ70
によって露光光のものでウエハ75上に結像される。投
影レンズ70は露光波長に関して色収差補正され、その
波長に関してレチクル74とウエハ75とが互いに共役
になるように配置される。レチクル74のパターン領域
76を囲む遮光帯の中に窓(透明部)RSTが形成さ
れ、さらに窓RSTの約半分の部分にレチクルマークR
Gが形成される。一方、ウエハ75上の各ショット領域
SAの周囲のストリートライン内の対応する位置にはウ
エハマークWGが形成される。
【0009】また、対物レンズ71は複屈折物質(水
晶、方解石等)の平凸レンズとガラスの平凹レンズの凸
面、凹面を貼り合わせた2焦点素子と、テレセントリッ
クな対物レンズとを一体に組み合わせたもので構成さ
れ、ビームBM1 、BM2 の偏光成分(例えば、2焦点
素子の結晶軸に平行な偏光成分をp偏光、垂直な偏光成
分をs偏光と定義する)に応じて異なるパワーを与える
ものである。従って、対物レンズ71を射出するビーム
BM1 、BM2 はミラー72で反射され、例えばビーム
BM1 、BM2 の夫々に含まれるp偏光ビームはレチク
ルマークRG上で結像(交差)し、s偏光ビームはレチ
クル74の上方の焦点面(ウエハ共役面)で一度交差し
た後、窓RST、投影レンズ70(瞳面70a)を通っ
てウエハマークWG上で結像(交差)する。尚、上記焦
点面とレチクル74の下面(パターン面)との間隔は、
アライメント用の2本のビームの波長における投影レン
ズ70のレチクル側での軸上色収差量に対応している。
例えば露光波長を248nm、アライメント波長を63
3nmとすると、その軸上色収差量は投影レンズ70の
光学特性にもよるが、500mm程度に達する。
【0010】さて、レチクルマークRG、ウエハマーク
WGの各々からは±1次回折光が発生し、その主光線は
アライメント系の光軸AXcと同軸に戻り、空間フィル
ターや視野絞り等を介して光電検出器にて分離して受光
される。光電検出器からはレチクル側の干渉光の光電信
号と、ウエハ側の干渉光の光電信号(共にビート周波
数)が出力され、2本の送光ビームから別途作成された
参照用干渉光のビート信号を基準とした2つの信号の波
形上の位相差を求める。そして、上記位相差が略零とな
るようにレチクル74とウエハ75とを相対移動させ,
レチクルパターンの投影像とショット領域SAとを正確
に一致させている。
【0011】しかしながら、上記の如き技術においては
半導体素子のチップサイズ(すなわち照明視野)の変更
やウエハマークの打ち替えに応じたレチクルマークの位
置変更に伴って、例えば特開昭58−150924号公
報に開示されているように、対物レンズ71と先端のミ
ラー72とを一体にアフォーカルな位置でレチクル74
と平行な平面内において(図11では光軸AXcに沿っ
て)移動させることが必要である。このため、対物レン
ズ71等の移動に伴う何等かの原因で装置が不安定にな
って、例えばアライメント系の光軸AXcがレチクルマ
ークRGのピッチ方向(計測方向)に傾斜し得る。そこ
で、図12を参照してアライメント系が傾く場合につい
て考えてみる。図12は光軸AXcがレチクル上方の焦
点面(ウエハ共役面)W’内の点W0 を中心としてピッ
チ方向(X方向)にεだけ傾いた様子を誇張して表して
いる。
【0012】図12に示すように、ウエハマークWGを
照射する2本のs偏光ビームの各主光線L1s、L2sにつ
いては、光軸AXcが上記点W0 を中心として傾いてい
るだけなので、上記傾斜に伴ってウエハ上での主光線L
1s、L2sの交差位置がピッチ方向にシフトすることはな
い。ところが、レチクルマークRGを照射するp偏光ビ
ームの主光線L1p、L2pについては、レチクル74上で
主光線L1p、L2pが交差する位置がX方向にΔDL1
けシフトする。つまり、主光線L1p、L2pの交差位置と
主光線L1s、L2sの交差位置とがピッチ方向に関してΔ
DL1 だけずれることになる。このため、上記シフト量
ΔDL1 に応じてレチクルとウエハとの相対的なずれ量
の検出精度が悪化し、これに伴ってアライメント精度が
低下するという問題点がある。
【0013】ここで、アライメント用照明光の波長のも
とでの投影レンズのレチクル側の軸上色収差量をΔLと
すると、シフト量ΔDL1 はΔDL1 =ΔL・ tanεと
表される。従って、軸上色収差量ΔLを500mmと
し、アライメント精度から考えたレチクル上での上記シ
フト量ΔDL1 の許容値(最大値)を0.05μmとす
ると、アライメント系において許される角度誤差(許容
傾斜量)εは、上記式からε=0.02''という非常に
小さな量となる。このことはアライメント系全体の傾斜
量を0.02''以内に抑えなければならないことを意味
する。しかしながら、可動式のアライメント系の安定性
を考えると、振動や熱変動を最小限に抑えても系全体で
1〜2''程度の傾きは発生してしまう。従って、レチク
ル上では主光線L1p、L2pの交差位置が少なくとも2.
5μm、すなわちウエハ上では0.5μm(投影レンズ
の投影倍率が1/5の場合)程度シフトすることにな
り、ノイズ等の影響も考慮した実用的な計測分解能が
0.01μm程度はある高分解能なアライメント系であ
っても実用上意味をなさなくなる。尚、アライメント系
の振動による傾斜だけでなく、例えばレーザ光源の内部
に設けられた1対の共振ミラーの位置変動等によるビー
ムBM1 、BM2 のドリフト等もアライメント精度の低
下の要因となり得る。
【0014】また、例えば対物レンズ71(テレセント
リックな対物レンズのみ)がアライメント系の光軸AX
c(又は光軸AX’)に対して偏心した場合も、図13
に示すようにウエハ(共役面W’)上での主光線L1s
2sの交差位置とレチクル上での主光線L1p、L2pの交
差位置とは、X方向(ピッチ方向)に関してΔDL2
けずれが生じ、同様にこのシフト量ΔDL2 がそのまま
アライメント誤差となる。従って、露光波長と異なる波
長域の照明光を用いるアライメント系では、その光学系
の傾斜や光学部材の偏心等によりアライメントマークの
計測方向(ピッチ方向)に関してアライメントビームが
傾くと、軸上色収差量ΔLのためにアライメント精度が
著しく低下するという問題点があった。
【0015】そこで、本願出願人は上記の如きアライメ
ント系の不安定性(傾斜や光学部材の偏心等)によるア
ライメント精度の低下を防止できる位置合わせ装置につ
いて先に出願を行っている(特願平2−109293
号)。以下、この公知ではない先願に開示された技術に
ついて簡単に説明する。上記先願では、所定の波長域の
露光光を用いてレチクルに形成されたパターンを投影レ
ンズを介してウエハ上に結像投影する装置に設けられ、
レチクルに形成された第1の回折格子とウエハに形成さ
れた第2の回折格子とを光学的に検出することによりレ
チクルとウエハとを位置合わせする装置において、ウエ
ハに形成された第2の回折格子に対して、対物光学系を
介して露光光と異なる波長域のコヒーレントな2本のビ
ームを所定の交差角で入射(結像)させるとともに、そ
の第2の回折格子とほぼ共役な面、もしくはその近傍に
第3の回折格子を配置する。また、2本のビームが交差
して照射される第2の回折格子からほぼ同一方向に発生
した回折光同士の干渉光を光電検出する第1の受光手段
を設ける。ところで、第2の回折格子上で交差させるよ
うに対物光学系を介して2本のビームを照射すると、投
影レンズはアライメント波長に関して軸上色収差(縦の
収差)や倍率色収差(横の収差)を生じるので、2本の
ビームは互いに分離したままレチクル上に照射されるこ
とになる。そこで、レチクル上で2本のビームが分離し
て照射される各領域内に第1の回折格子を形成してお
き、ここで発生する回折光のうち、2本の送光ビームの
各々を逆進する2本の回折光を、対物光学系を介して第
3の回折格子に所定の交差角で照射し、さらに第3の回
折格子で再回折してほぼ同一方向に発生した回折光を互
いに干渉させ、この干渉光を光電検出する第2の受光手
段を設ける。そして、第1の受光手段と第2の受光手段
の各々からの信号を比較してレチクルとウエハとの相対
変位に対応した検出信号を得ることとした。このため、
アライメント系の不安定性(傾斜や光学部材の偏心等)
によるアライメント精度の低下を防止できる。
【0016】そこで、図10を参照して上記構成の装置
の原理を説明する。図10はアライメント系のテレセン
トリックな対物光学系(不図示)から射出される2本の
ビームがその後側焦点面(ウエハとほぼ共役な面)W’
内の点Aで一度交差してレチクルRmに入射する様子を
示したもので、ここでは2本のビーム(平面波)が点A
を中心として角度εだけ傾いた時の主光線LL’,L
R’を実線にて示し、傾きが零のときの2本のビームの
主光線LL,LRを点線にて示している。また、2本の
ビームの主光線LL’,LR’はレチクルRm上の点
P’,Q’に入射し、その反射光のうち1次回折光LL
1 、LR2 は焦点面W’内の点Bで交差している。
【0017】さて、点Aを通ってレチクルRmに入射す
る2本のビーム(主光線LL’,LR’)のうち、紙面
内左側の主光線LL’については、波面がレチクルRm
上の点P(回折格子マーク)で回折され、再び点Aに戻
るときの光路長をSL とすると、光路長SL は以下の数
式1で表される。
【0018】
【数1】
【0019】一方、右側の主光線LR’についても同様
に、点Q(回折格子マーク)で回折された波面が再び点
Aに戻るときの光路長SR は、以下の数式2で表され
る。
【0020】
【数2】
【0021】ところで、ビームが角度εだけ傾いて回折
格子マークに入射すると、そのマークからの回折光も角
度εだけ傾いた方向に発生することから、 ΔAPT≡ΔAQRより ∴AT=AR ΔAPM≡ΔAQLより ∴PM=QL 従って、QL=SL' 、PM=UM' となる。
【0022】以上のことから、以下の数式3が求まる。
【0023】
【数3】
【0024】つまり、上記数式1〜3より、 SL =SR なる関係が成り立つ。従って、点Aを通ってレチクルR
m上に形成されるレチクルマーク(第1の回折格子)で
回折され、再び焦点面W’内で交差する2本のビーム
(主光線LL1 、LR1 )の光路差は傾きに依らず一定
であるので、その各回折光が焦点面W’内で作る干渉縞
の位置は(焦点面W’内では)ずれることなく不動であ
る。
【0025】先に述べたように、上記構成の装置ではこ
の焦点面W’と共役な面、もしくはその近傍の面内に第
3の回折格子を配置しているので、アライメント系が傾
いても第3の回折格子上で干渉縞がその計測方向(ピッ
チ方向)にずれることはない。一方、焦点面W’はウエ
ハ上に形成されるウエハマーク(第2の回折格子)とも
ほぼ共役となっているので、同様に2本のビームにより
作られる干渉縞はウエハマーク上でその計測方向にずれ
ることはない。このことから、アライメント系が焦点面
W’内の点Aを中心として傾く、つまり2本のビームが
傾いても、レチクルとウエハとのアライメント精度が低
下することはない。
【0026】尚、ここでは点Aを中心としたアライメン
ト系の傾きのみについて考えたが、その光学系の一部の
ピッチ方向への平行移動についてはレチクルマーク、ウ
エハマークの各々に入射する2本のビームが共に同じ量
だけシフトするだけなので、レチクルとウエハとの相対
的な位置ずれ量を検出する限りアライメント誤差とはな
らない。従って、点A以外の点を中心として傾く場合で
あっても、最終的には点Aを中心とした傾きに平行移動
を組み合わせことに帰着されるので、上記構成を採れ
ば、任意の点での回転、平行移動はアライメント誤差と
ならない。このため、点Aを中心とする傾きのみを考え
るだけで十分であることが分かる。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
成の装置において第1の受光手段(以下、ウエハ検出系
と呼ぶ)は、レチクルの透明窓、及び投影レンズを介し
て2本の送光ビームをウエハマーク(第2の回折格子)
上に照射したときに、当該マークからほぼ同一方向に発
生する回折光同士の干渉光を光電検出する。このため、
アライメント波長に関して投影レンズの軸上色収差量や
倍率色収差量が大きい場合には、レチクルの窓は2本の
ビームに対して開口絞りとして働き、その光束を絞る作
用を持つことになるので、2本のビームの各々は平行光
束となってウエハマークに照射されずに、ウエハ上で広
がってしまう。従って、ウエハマーク以外にも2本の送
光ビームが照射されることになり、このマーク以外から
の光情報の混入によるアライメント精度の低下を防止す
るためには、例えばビームの広がりに合わせてウエハマ
ークを大きくする必要がある。ところが、ウエハマーク
はウエハからチップを切り出すための切りしろ部分(い
わゆるスクライブライン)に設けられており、このスク
ライブラインをできる限り細くした方が1枚のウエハか
ら切り出せるチップの数が多くなることから、現在では
スクライブラインをより一層細くすることが求められて
おり、ビームの広がりに合わせてウエハマークを大きく
することは難しい。
【0028】また、2本の送光ビームはレチクルマーク
と窓(すなわちウエハマーク)の各々を照射する必要が
あるため、レチクル上での各ビームの断面寸法は大きく
設定されている。さらに2本の送光ビームはレチクル上
で交差せず、レチクル上方の面、すなわち対物光学系の
後側焦点面(ウエハ面と共役な面)内で一度交差した
後、互いに分離してレチクルを照射することになる。通
常、対物光学系の後側焦点面とほぼ共役な面内には、2
本の送光ビームの照射領域を制限するための視野絞りが
配置されており、2本の送光ビームはレチクル上で広が
ることになる。このため、2本の送光ビームの一部がレ
チクルパターンに照射されて、このパターンから発生す
る回折光、さらにはレチクルマークから発生する回折光
までもウエハマークからの光情報に混入して、アライメ
ント精度を低下させ得るという問題点がある。また、上
記構成の装置において第2の受光手段(以下、レチクル
検出系と呼ぶ)は、2本の送光ビームの照射によってレ
チクルマーク(第1の回折格子)から発生した各回折光
を第3の回折格子に所定の交差角で照射しているが、上
記の同様にレチクルマークからの回折光とともに、ウエ
ハマークやレチクルパターンからの回折光がノイズ成分
として混入して第3の回折格子に照射され、これによっ
てアライメント精度が低下し得るという問題点もある。
【0029】本発明は以上の点を考慮してなされたもの
であり、ノイズ成分の混入によるアライメント精度の低
下を防止できる位置合わせ装置を得ることを目的として
いる。
【0030】
【課題を解決する為の手段】上記問題点を解決するため
本発明においては、所定の波長域の照明光でマスクに形
成されたパターンを投影光学系を介して感光基板上に結
像投影する装置に設けられ、前記マスクに形成された第
1の回折格子と前記感光基板に形成された第2の回折格
子とを光学的に検出することにより前記マスクと感光基
板とを位置合わせする装置において、マスクに形成され
た第1の回折格子と感光基板に形成された第2の回折格
子とのいずれか一方に対物光学系を介して照明光と異な
る波長域のコヒーレントな2本のビームを所定の交差角
で入射させるとともに、その回折格子とほぼ共役な面、
もしくはその近傍の面内に第3の回折格子を配置する。
また、2本のビームが交差して照射される一方の回折格
子とほぼ共役な面内に第1の絞り部材を設けるととも
に、2本のビームが交差して照射される回折格子と異な
る他方の回折格子とほぼ共役な面内に第2の絞り部材を
設ける。さらに、一方の回折格子からほぼ同一方向に発
生した回折光同士の干渉光を、対物光学系、第1の絞り
部材、及び第2の絞り部材を介して光電検出する第1の
受光手段と、2本のビームの照射により他方の回折格子
から発生する各回折光を、対物光学系と第2の絞り部材
とを介して第3の回折格子に所定の交差角で照射し、第
3の回折格子からほぼ同一方向に発生した回折光を互い
に干渉させ、この干渉光を光電検出する第2の受光手段
を設ける。そして、第1の受光手段と第2の受光手段の
各々からの信号を比較してマスクと感光基板との相対変
位に対応した検出信号を得ることとした。
【0031】
【作用】上記の如き構成においては、一方の回折格子と
ほぼ共役な面内に第1の絞り部材を配置し、かつ他方の
回折格子とほぼ共役な面内に第2の絞り部材を配置して
いるので、一方の回折格子から発生した回折光のみが第
1の受光手段に入射することになる。また、第2の絞り
部材によって他方の回折格子から発生した回折光のみが
第3の回折格子に照射されることになる。このため、2
本のビームの各々は分離して他方の回折格子に照射され
るが、ここでのビームの広がり等に起因して回折格子以
外から生じ得る光情報(ノイズ成分)が第1の受光手段
と第2の受光手段の各々に混入するのを防止して、アラ
イメント精度を向上されることが可能となる。
【0032】
【実施例】次に、本発明の位置合わせ装置(アライメン
ト系)が適用される投影露光装置の全体構成の一例を図
6を参照して説明する。図6において、回路パターンや
アライメントマークを有するレチクルRは、X、Y、θ
方向に2次元移動可能なレチクルステージRST上に保
持される。レチクルステージRSTはレチクルRの装置
内での位置決め、あるいはレチクルRとウエハWとのア
ライメントのために、モータ等を含むレチクルステージ
制御系100によって駆動される。また、レチクルステ
ージRSTのXY平面(投影光学系PLの光軸AXと垂
直な面)内での移動位置を検出するために、レチクル干
渉計102が設けられている。レチクル干渉計102
は、レチクルステージRST(すなわちレチクルR)の
X方向、Y方向の移動位置と、θ方向の変位量(XY平
面内での回転量)とを計測する。
【0033】一方、ウエハWは2次元移動可能なウエハ
ステージWST上に保持され、投影光学系としての縮小
投影レンズPLの光軸AXと垂直なXY平面(ウエハ干
渉計106によって規定される)で移動する。ウエハス
テージWSTは、モータ等を含むウエハステージ制御系
104によって駆動制御され、その位置はウエハ干渉計
106によって計測される。ここで投影レンズPLは、
オプチカルインテグレータ(フライアイレンズ)等を含
む露光用照明系108からの照明光(g線、i線、ある
いはKrFエキシマレーザ等)の波長λ0 に対して良好
に色収差補正された両側テレセントリックな系(射出
瞳、入射瞳の両方がほぼ無限遠に位置する系)とする。
このため、投影レンズPLの瞳面(フーリエ変換面)F
P上の中心点(光軸AXが通る点)を通る主光線は、レ
チクルR側、及びウエハW側において光軸AXとほぼ平
行になる。そして、露光波長λ0 のもとで、レチクルR
のパターン面とウエハWの表面とは、投影レンズPLに
関して互いに共役に配置される。
【0034】TTR方式のアライメント系に関しては、
ダイクロイックミラーDCMの上方に、露光用照明光I
Lと異なる波長域のアライメント用照明光の送光/受光
を分離するためのプリズム(ビームスプリッター)6、
第1対物レンズ7等を含む複数組のアライメント光学系
を配置し、アライメントビーム送光系110からのアラ
イメントビームを、各アライメント光学系の第1対物レ
ンズ7へ導くようにする。尚、各アライメント光学系の
構成は同一であるので、以下本実施例では1組のアライ
メント光学系の構成のみについて説明する。
【0035】ここで、ダイクロイックミラーDCMはレ
チクルRの上方に45°で斜設され、露光用照明光IL
の波長に対しては90%以上の反射率を有し、アライメ
ント用照明光の波長(通常、露光光よりも長波長)に対
しては90%以上の透過率を有するものである。また、
各アライメント光学系は半導体素子のチップサイズ(ま
たはレチクルR上での照明視野)の偏光やウエハマーク
の打ち替えに応じたレチクルマークの位置変更に対応し
て、ダイクロイックミラーDCMの上方で移動可能に構
成されている。
【0036】さて、参照信号作成部111は基準格子板
や光電素子等から構成され、アライメントビーム送光系
110からのアライメントビームを送受光分離プリズム
6によって一部分岐して基準格子板(2組の参照用回折
格子)に照射し、当該回折格子からほぼ同一方向に発生
する回折光同士(干渉光)を光電検出するための系であ
る。アライメント受光系112は、第1対物レンズ7、
及び送受光分離プリズム6を介して、レチクルRに形成
されたアライメントマーク(レチクルマーク)とウエハ
Wに形成されたアライメントマーク(ウエハマーク)の
各々からの回折光を独立に光電検出するための系であっ
て、レチクル検出系(第2の受光手段)とウエハ検出系
(第1の受光手段)とで構成されている(詳細後述)。
アライメント信号処理系113は、参照信号作成部11
1やアライメント受光系112で光電検出された各種信
号を処理して、その処理結果(位相差情報)を中央制御
系114へ送る。中央制御系114はマイコンまたはミ
ニコンを有し、アライメント信号処理系113からの情
報に基づいて、レチクルマーク、ウエハマークの各位
置、あるいはその相対的な位置ずれ量を算出するととも
に、各種制御系との間のコミュニケーション、シーケン
ス、パラメータ設定、エラー処理等を統括管理する。
【0037】次に、図1〜図5を参照して本発明の実施
例によるヘテロダイン法を適用したTTR方式のアライ
メント系の具体的な構成を説明する。本実施例では、図
4に示すレチクル上のマーク配置に基づいて、レチクル
マークRMa、RMb(第1の回折格子)の各々を照射
する2本のビームLBr1、LBr2と、窓RWを通ってウ
エハマークWM(第2の回折格子)を照射する2本のビ
ームLBw1、LBw2とを像空間では互いに分離するよう
にしたものである。
【0038】図1では、レチクルマーク用の2本のビー
ムLBr1、LBr2と、ウエハマーク用の2本のビームL
w1、LBw2とが紙面と垂直な方向に関して重なってい
るため、2本のビームLBw1、LBw2のみを図示してい
る。また、図1ではレーザ光源1、4光束発生手段2、
レンズ系3、視野絞り4、及び第2対物レンズ5が図6
中に示したアライメントビーム送光系110を構成し、
さらにレンズ系8、基準格子板9、及び光電検出器10
が参照信号作成部111を構成している。また、レンズ
系11から符号順に光電検出器20までがアライメント
受光系112を構成し、特にレンズ系11、プリズム
(第2の絞り部材)12、モニター格子板13、集光レ
ンズ14、空間フィルター15、及び光電検出器16が
レチクル検出系(第2の受光手段)を、さらにレンズ系
11、プリズム12、視野絞り(第1の絞り部材)1
7、レンズ系(瞳結像レンズ)18、空間フィルター1
9、及び光電検出器20がウエハ検出系(第1の受光手
段)を構成している。
【0039】ところで、図2は図1に示したアライメン
ト光学系を紙面と平行な方向から見た図であり、実際に
は図1を基準として示せば、参照信号作成部111とア
ライメント受光系112とが紙面と垂直な方向に延びて
配置されているはずであるが、ここでは説明を簡単にす
るため、アライメントビーム送光系110(視野絞り4
等)と同一紙面内に示してある。
【0040】さて、図1に示すようにレーザ光源1はア
ライメント用照明光LBを発生し、4光束発生手段2は
レチクルマーク用の2本のビームLBr1、LBr2と、ウ
エハマーク用の2本のビームLBw1、LBw2とを射出す
る。照明光LBは露光用照明光ILの波長域と異なる波
長域のレーザビームであって、例えばレジスト層に対し
てほとんど感度を持たない波長633nmのHe−Neレ
ーザとする。
【0041】図5は4光束発生手段2の具体的な構成の
一例を示す斜視図であって、He−Neレーザ管1から
の平行ビームLBは、ビーム径を拡大するビームエクス
パンダー21を通り、ビームスプリッター22で2つに
分割される。ここで分割された一方のビームLB1 はミ
ラー23で反射され、周波数シフターとしての音響光学
変調器24(以下、単にAOM24と呼ぶ)に入射する
とともに、分割された他方のビームLB2 は音響光学変
調器27(以下、単にAOM27と呼ぶ)に入射する。
AOM24は周波数f1 の高周波信号SF1 でドライブ
され、その周波数f1 で決まる回折角だけ偏向された1
次回折光をビームLB1 として出力する。また、AOM
27は周波数f1 であるビームLB1 との差周波数がΔ
fとなるように周波数f2(f2 =f1 −Δf)の高周波
信号SF2 でドライブされ、同様にその周波数f2 で決
まる回折角だけ偏向された1次回折光をビームLB2
して出力する。
【0042】ここで、AOM24、27の各々から射出
したビームのうち+1次回折光以外の射出ビームは、適
当な位置に配置されたスリット25、28によって遮光
される。また、本実施例ではAOM24、27のドライ
ブ周波数f1 、f2 を、例えば80.000MHz 、7
9.950MHz とし、その周波数差Δfを50KHz と低
く設定するため、2つのAOM24、27での1次回折
光の回折角はともに等しくなる。尚、ビームLB1 、L
2 の周波数シフターとして、AOMの代わりに光導波
路を用いても良い。
【0043】AOM24により周波数f1 に変調されて
射出したビームLB1 は、レンズ26によって面ESに
集光した後、発散していく。また、AOM27により周
波数f2 に変調されて射出したビームLB2 は、レンズ
29、ミラー30、31を介して面ESで集光した後、
発散していく。面ESは図2中の焦点面Epと共役な位
置であり、面ESを通る2本のビームLB1 、LB2
各中心線は互いに平行であり、かつ一定の間隔をもって
いる。2本のビームLB1 、LB2 は、さらにミラー3
2を介してレンズ系(逆フーリエ変換レンズ)33に入
射し、このレンズ系33からは後側焦点位置で交差する
2本の平行光束として射出する。
【0044】レンズ系33の後側焦点面には、ビーム断
面を整形するアパーチャ板34が配置され、ここを通過
した2本のビームLB1 、LB2 が分割器35に入射す
る。分割器35は三角柱状のプリズムを背中合わせに貼
り合わせたもので、その接合面がビームスプリッター
(ハーフミラー)として作用するもので、通常の直方体
状のビームスプリッターでも良い。本実施例では、分割
器35の接合面と一致するようにアライメント光学系の
光軸AXaが設定され、2本のビームLB1 、LB2
接合面から偏心した位置の斜面に入射するように設定さ
れる。これによって、分割器35は互いに分離した4本
のビームLBr1、LBr2、LBw1、LBw2を射出する。
このとき、ビームLBr1、LBw1は周波数f1 、ビーム
LBr2、LBw2は周波数f2 となっている。さらに4本
のビームはレンズ系36に入射し、その後側焦点面(面
ESと共役な面)でスポット状に集光した後、レンズ系
3に入射する。
【0045】以上の構成において、アパーチャ板34は
ビーム断面内での強度分布を一様にする機能も有する。
通常、He−Neレーザ光はその断面内でガウス分布の
強度を持つので、アパーチャ板34の矩形開口の領域が
ガウス分布の中心(ピーク)付近になるようにビームエ
クスパンダー21の拡大率を設定すると、ガウス分布の
不要な両サイドをカットすることができる。尚、4光束
発生手段2は図5に示した構成に限られるものではな
く、上記の如き分割器35を用いずとも、例えば4組の
AOMの各々に、ミラーやビームスプリッター等によっ
てHe−Neレーザ管1からの平行ビームを入射させる
ことで、4本のビームLBr1、LBr2、LBw1、LBw2
を射出するように構成しても構わない。また、図5中の
レンズ系36と図1中のレンズ系3とでリレーレンズ系
を構成していたが、特にこのようなリレーレンズ系を用
いる必要はなく、例えばレンズ系33の代わりにレンズ
系3を配置するとともに、レンズ系3と視野絞り4(図
1)との間の光路中に分割器35を配置するように構成
しても良く、この場合にはレンズ系33、アパーチャ板
34、及びレンズ系36が不要となる。
【0046】さて、図1、図2に示すように4光束発生
手段2から射出された2組の2本のビーム(LBr1、L
r2)と(LBw1、LBw2)の各々は、レンズ系3を介
して平行光束の状態で面(ウエハWと共役な面)PW2
に配置された視野絞り4で一度交差し、それぞれ平行四
辺形状(または矩形状や菱形状でも良い)の開口部4
a、4bを通過した後、第2対物レンズ5に達する。
尚、ここではアライメントビームの送光路中に、図1中
に示す視野絞り4と図5中に示すアパーチャ板34とを
設けているが、特に両方とも設けておく必要はなく、い
ずれか一方のみを配置しておくだけでも良い。
【0047】2本のビームLBr1、LBr2は、さらに送
受光分離プリズム6、及び第1対物レンズ7を介して面
(ウエハWと共役な面)PW1 で一度交差した後、レチ
クルR上のマークRMa、RMbの各々を照射する。図
2に示すように2本のビームLBr1、LBr2は、第1対
物レンズ7の前側焦点面(投影レンズPLの瞳面FPと
共役な面)Epでは傾いた光路を通り、第1対物レンズ
7から射出するときは、第1対物レンズ7の光軸から偏
心した位置に、その光軸と平行な中心線(2本のビーム
LBr1、LBr2の2等分線)を有するように設定され
る。
【0048】一方、ウエハマーク用の2本のビームLB
w1、LBw2は、同様に送受光分離プリズム6、及び第1
対物レンズ7を介して面(ウエハ共役面)PW1 で一度
交差した後、レチクルR上の窓RWを通過して投影レン
ズPLに入射し、その瞳面FPで一度スポット状に集光
する。しかる後、ウエハW上のマークWMのピッチ方向
(X方向)に関して光軸AXを挟んで互いに対称的な角
度で傾いた平行光束となって、ウエハマークWM上に異
なる2方向から所定の交差角で入射し結像(交差)す
る。2本のビームLBw1、LBw2は、図2に示すように
焦点面Epを傾いて通り、第1対物レンズ7から射出す
るときは、2本のビームLBr1、LBr2の各々に対して
一定間隔をあけて平行に進む。
【0049】ここで、図3を参照して2組の2本のビー
ム(LBr1、LBr2)と(LBw1、LBw2)との幾何学
的な光学配置を簡単に説明する。図3では、第2対物レ
ンズ5と第1対物レンズ7との間に配置される送受光分
離プリズム6を省略してある。図3において、4光束発
生手段2から射出される2組の2本のビーム(LBr1
LBr2)と(LBw1、LBw2)の各々は、レンズ系3に
よって面PW2(ウエハ面と共役な面であって、視野絞り
4が配置される面)内で平行光束の状態で交差した後、
アライメント光学系(第2対物レンズ5)の光軸AXa
に関して対称的に傾いて第2対物レンズ5に入射する。
【0050】さらに4本のビームは、第2対物レンズ5
によってフーリエ変換されると、焦点面(瞳面FPと共
役な面)Ep上ではX方向(計測方向)に光軸AXaを
挟んで対称的に位置する2つのスポットSP1 、SP2
になり、第1対物レンズ7に入射することになる。スポ
ットSP1 はビームLBr1とLBw1とがいずれもビーム
ウエストとなる位置で交差することによって生じ、スポ
ットSP2 はビームLBr2とLBw2とがいずれもビーム
ウエストとなる位置で交差することによって生じる。
【0051】ところで、本実施例ではヘテロダイン法を
採用しているため、レチクルRやウエハWの位置ずれ量
を検出するのに基準信号(参照信号)が必要となる。そ
こで、図1、図2に示すようにアライメント光学系の光
路中の送受光分離プリズム6の位置で、4本のビームを
一部分岐して参照信号作成部111(図6)、すなわち
レンズ系(逆フーリエ変換レンズ)8に入射させる。こ
れによって、図2に示すように2本のビームLBr1、L
r2は平行光束となって、レンズ系8の後側焦点面に配
置された基準格子板9の上半分に形成した参照用回折格
子9mr上で交差する一方、2本のビームLBw1、LB
w2も平行光束となって基準格子板9の下半分に形成した
参照用回折格子9mw上で交差する。図2に示すように
基準格子板9、すなわち参照用回折格子9mr、9mw
の各々からは、レチクル用の2本の送光ビームLBr1
LBr2から作られた干渉ビームBTSrと、ウエハ用の
2本の送光ビームLBw1、LBw2から作られた干渉ビー
ムBTSwとが分離して発生し、これらは光電検出器1
0R、10Wによって個別に受光される。
【0052】ここで、図1に示すように光電検出器10
Wは2組の受光素子(もしくは2分割受光素子)を有
し、例えば回折格子9mwを通過したビームLBw1の0
次回折光と、これと同軸に進むビームLBw2の+1次回
折光との干渉ビームBTSw1、及びビームLBw1の−1
次回折光と、これと同軸に進むビームLBw2の0次回折
光との干渉ビームBTSw2を、それぞれ独立に受光(光
電変換)するように構成されている。それら2つの干渉
ビームBTSw1、BTSw2の強度に応じた正弦波状の光
電信号は不図示のアンプによって加算され、この結果得
られる光電信号SRmは、ビームLBw1、LBw2の差周
波数Δfに比例した周波数となり、ビート信号(交流信
号)となる。ここで、回折格子9mwの格子ピッチはビ
ームLBw1、LBw2によって作られる干渉縞のピッチと
等しくなるように定められている。
【0053】尚、光電検出器10Wは上記2つの干渉ビ
ームBTSw1、BTSw2を同一受光面上で受光し、この
受光面上で加算された干渉ビームの強度に応じた光電信
号を出力するものであっても良い。以上のように構成す
れば、基準格子板9と光電検出器10Wとの間隔を短く
することができるといった利点がある。ここではウエハ
用の2本のビームLBw1、LBw2、回折格子9mw、及
び光電検出器10Wのみについて説明したが、レチクル
用の2本のビームLBr1、LBr2、回折格子9mr、及
び光電検出器10R(図2)についても上記と全く同様
であるので説明は省略する。上記の如く光電検出器10
R、10Wの各々から得られる基準信号SRm、SRw
はアライメント信号処理系113に出力される。
【0054】さて、送受光分離プリズム6を通過して第
1対物レンズ7を射出した4本のビームは、面PW1(ウ
エハWと共役な面)で平行光束の状態で交差した後、ア
ライメント光学系の光軸AXaに関して対照的に傾い
て、図4に示すようにレチクルR上に照射される。レチ
クル用の2本のビームLBr1、LBr2の各々はレチクル
マークRMa、RMbのみをほぼカバーする大きさの断
面(平行四辺形、矩形、または菱形)をもつ平行光束と
して照射され、ウエハ用の2本のビームLBw1、LBw2
の各々は窓RW内のみを通過する大きさの断面(平行四
辺形、矩形、または菱形)をもつ平行光束として照射さ
れる。本実施例では、視野絞り4の開口部4a、4bの
各々を同一形状、寸法にすると、4本のビームのレチク
ルR上での各断面形状50a、50bは全て同じ寸法と
なる。
【0055】ここで、図4に示したマーク配置について
簡単に説明する。図4において、パターン領域を囲む一
定幅の遮光帯(クロム層)LSBの中にあって、レチク
ル用の2本のビームLBr1、LBr2の各照射領域内に
は、マーク位置計測方向(ここではX方向)に関して所
定間隔だけ離れ、かつX方向にピッチを有する2組の回
折格子状のマークRMa、RMb(第1の回折格子であ
って、デューティは1:1)がともにピッチPR で形成
されている。さらに、レチクルマークRMa、RMbの
ピッチ方向(X方向)と直交する方向(Y方向)には、
ウエハ用の2本のビームLBw1、LBw2をウエハW上の
マークWMに照射するための窓RWが形成されている。
【0056】図1中に示したウエハマークWMはウエハ
W上の1つのショット領域に付随して設けられ、かつX
方向にピッチを有する回折格子状のマークであり、レチ
クルパターンの投影像とウエハ(ショット領域)とのア
ライメントが達成された状態では、4本のアライメント
ビームの波長λ1 に対して投影レンズPLが倍率色収差
(横の色収差)を有するため、図4のように窓RWとレ
チクルマークRMa、RMbとの間の凸状の遮光部の直
下に位置する。つまり、露光波長のもとで凸状遮光部と
ウエハマークWMとが結像関係となる。従って、この状
態で露光が行われても、ウエハマークWMには窓RWを
通過した露光用照明光ILが照射されることがなく、保
護されることになる。
【0057】ところで、ウエハ用の2本のビームL
w1、LBw2は、極力窓RWのエッジにかからないよう
に設定され、この2本のビームLBw1、LBw2は窓RW
を介して投影レンズPLに入射し、その瞳面FPにおい
て瞳中心(光軸AX)に関してほぼ点対称となるように
一度スポット状に集光した後、ウエハマークWM上で交
差し、干渉縞が生成される。ここで、2本のビームLB
w1、LBw2が交差角2θW でウエハマークWMに入射す
ると、ビームLBw1、LBw2が交差している空間領域内
で光軸AXと垂直な任意の面内(ウエハ面)には、ウエ
ハマークWMのピッチPW に対して1/N倍(Nは自然
数)のピッチPf (本実施例ではPf =PW /2と定め
る)で、1次元の干渉縞が作られることになる。この干
渉縞はウエハマークWMのピッチ方向(X方向)に、ビ
ームLBw1、LBw2の差周波数Δfに対応して移動する
(流れる)ことになり、その速度VはV=Δf・Pf
る関係式で表される。また、交差角2θW はアライメン
トビームLBの波長をλとすると、 sinθW =λ/PW
なる関係式を満足するように定められる。
【0058】この結果、ウエハマークWMからは干渉縞
の移動によって明暗の変化を周期的に繰り返すビート波
面になる±1次回折光が発生する。このマークWMから
ほぼ垂直に発生する干渉ビーム(±1次回折光の干渉)
BTWは投影レンズPLに入射し、その瞳面FPの中心
を通るように光軸AXに沿って逆進する。さらにレチク
ルRの窓RWの中央部を、ほぼ矩形の断面形状50cの
平行光束となって通過する(図4)。断面形状50cの
寸法は2本のビームLBw1、LBw2によって、ウエハW
上での照射領域の形状とウエハマークWMの外形との重
複領域の寸法、形状で決まる。
【0059】ここで、図4中の直線Laはレチクルマー
クRMa、RMbと窓RWとの計測方向(X方向)に関
する中心線を表し、この直線Laの矢印方向が回路パタ
ーン領域のほぼ中心に向かうように配置される。さら
に、窓RWとレチクルマークRMa、RMbとの間でX
方向に伸びた破線Lbは、露光用照明系108内に設け
られた結像式レチクルブラインド(照明視野絞り)のエ
ッジ像を表し、レチクルマークRMa、RMbに露光光
が照射されることを防止している。つまり、レチクルブ
ラインドによって規定される照明領域Lbは、回路パタ
ーン領域と窓RWとを含む範囲の大きさ、すなわちウエ
ハ上で1つのショット領域とその周囲4辺のストリート
ラインとをカバーする大きさに設定される。尚、遮光帯
LSBの幅はウエハ上のストリートラインの幅の1/M
倍(投影レンズPLの露光波長のもとでの投影倍率をM
とする)以上の値に設定される。
【0060】さて、ウエハマークWMからの干渉ビーム
BTWは窓RWを通過した後、図2に示すように第1対
物レンズ7によって焦点面Ep内の中心点(光軸AXa
が通る点)でスポット状に集光する。さらに送受光分離
プリズム6で反射されてアライメント受光系112(ウ
エハ検出系)、すなわちレンズ系11に導かれ、平行光
束となってプリズム12及び視野絞り(第1の絞り部
材)17を通過する。
【0061】プリズム(第2の絞り部材)12は、レチ
クルRのパターン面とほぼ共役な面内に配置されてお
り、ウエハマークWMからの光情報とレチクルマークR
Ma、RMbからの光情報とを分離するものである。す
なわちプリズム12は、レチクルRの窓RWと共役な位
置に、その窓RWとほぼ同一形状、大きさ(但し、第1
対物レンズ7とレンズ系11との合成系の倍率が1倍の
とき)の矩形開口12aが形成されたミラーであって、
ウエハマークWMからの光情報、特に本実施例では干渉
ビームBTW(及び後述の0次回折光DW1 、DW2)の
み通過させ、レチクルマークRMa、RMbからの光情
報(後述の1次回折光DR1 、DR2)は反射して、後述
のレチクル検出系(モニター格子板13)に導く。尚、
上記合成系の倍率が1倍以外のときは、その倍率に応じ
て矩形開口12aの大きさを定める必要がある。また、
矩形開口12aは干渉ビームBTWのみを通過させるよ
うに形成しておいても構わない。
【0062】また、視野絞り(第1の絞り部材)17は
面PW3 内に配置されており、この面PW3 は第1対物
レンズ7とレンズ系11との合成系に関して面(ウエハ
共役面)PW1 とほぼ共役な位置にある。視野絞り17
には、面PW3 内でアライメント光学系の光軸AXaに
対して偏心した位置(すなわちウエハマークWMと共役
な位置)に、ウエハマークWMとほぼ同一形状、大きさ
(面積)の開口(不図示)が形成されており、ここでノ
イズ成分(マークWM以外からの回折光等)をカットし
てウエハマークWMからの回折光のみ通過させる。尚、
視野絞り17の上記開口の大きさは、ウエハマークWM
(のマーク形成領域)の大きさ、及び第1対物レンズ7
とレンズ系11との合成系や投影レンズの倍率に応じて
定められる。
【0063】尚、プリズム12は窓RWと共役な位置の
みに矩形開口12aを有するものとしたが、レチクルマ
ークRMa、RMbからの光情報、特に1次回折光DR
1 、DR2 のみをレチクル検出系に導くため、換言すれ
ばレチクル検出系へのノイズ成分(例えばレチクルパタ
ーンやウエハマークWMからの回折光等)の混入を防止
するため、1次回折光DR1 、DR2 の各照射領域、す
なわちレチクルマークRMa、RMbの各々と共役な部
分領域のみに、クロム等の遮光層を形成しておくだけで
も良い。このとき、上記ノイズ成分はウエハマークWM
からの干渉ビームBTW等とともにウエハ検出系、すな
わち光電検出器20に入射し得るが、本実施例では視野
絞り17(さらには後述の空間フィルター19)によっ
て上記ノイズ成分を除去できるようにも構成されてい
る。
【0064】ところで、ウエハ用の2本のビームL
w1、LBw2はいずれも対称的な入射角θW でウエハマ
ークWMを照射するので、各ビームによる0次回折光D
1 、DW2 は2本のビームLBw1、LBw2の各光路を
そのまま逆進することになる。この2つの0次回折光D
1 、DW2 もプリズム12(開口12a)を通過し
て、視野絞り17(面PW3)上で交差する平行光束とな
る。ここで面PW3 内で干渉ビームBTWと0次回折光
DW1 、DW2 とは互いに交差し合うため、面PW3
の交差部の断面形状は送光ビームLBw1、LBw2の断面
形状(すなわち視野絞り4の開口4bの形状)と相似と
なる。
【0065】さらに視野絞り17を通過した干渉ビーム
BTW、及び0次回折光DW1 、DW2 はレンズ系(フ
ーリエ変換レンズ)18に入射し、その後側焦点面(焦
点面Epと共役なフーリエ変換面)Ep1 内に配置され
た空間フィルター19上でスポット状に集光する。ここ
で0次回折光DW1 、DW2 やノイズ成分(プリズム1
2で除去しきれなかったレチクルマークからの回折光
等)がカットされ、干渉ビームBTWのみが光電検出器
20に受光される。光電検出器20は干渉ビームBTW
に対応した光電信号を作り、この光電信号は干渉縞の明
暗変化の周期に応じた正弦波状の交流信号、すなわち周
波数差Δfのビート周波数をもつビート信号SDW とな
ってアライメント信号処理系113(図6)に出力され
る。
【0066】尚、干渉ビームBTWの集光位置近傍のみ
に受光面を有する光電検出器を用いれば、当然ながら空
間フィルター19を設ける必要がなくなる。また、干渉
ビーム(±1次回折光の干渉)BTW以外にも、先に述
べたビームLBw1、LBw2の主光線と全く同軸に戻るビ
ームLBw1の0次回折光DW1 とビームLBw2の−2次
回折光との干渉ビーム、及びビームLBw1の+2次回折
光とビームLBw2の0次回折光DW2 との干渉ビーム
を、それぞれ独立に面Ep1 に配置した空間フィルター
19で抽出して光電検出器20で受光するようにしても
良い。この場合、これら2つの干渉ビームの強度に応じ
た正弦波状の光電信号(ビート信号)のいずれか一方、
あるいは2つの光電信号をアンプにて加算して得たビー
ト信号を、先のビート信号SDW の代わりに用いる、も
しくはこの2つのビート信号の各々(または加算して得
たビート信号)とビート信号SDW とを、例えばその信
号振幅等に応じて使い分けるようにしても構わない。
【0067】一方、ビームLBr1、LBr2が照射される
レチクルマークRMa、RMbの格子ピッチPR は、面
PW1 でのビームLBr1、LBr2の交差角2θR に応じ
て、以下のように定められている。但し、MALはアライ
メント波長λ1 のもとでの投影レンズPLの投影倍率で
ある。
【0068】
【数4】
【0069】従って、レチクルマークRMaから発生す
る1次回折光DR1(周波数f1)と、レチクルマークRM
bから発生する1次回折光DR2(同f2)とが、送光ビー
ムLBr1、LBr2の各々の光路を逆進し、第1対物レン
ズ7、送受光分離プリズム6、レンズ系11、及びプリ
ズム12を介して面PW4 上で平行光束となって交差す
る。面PW4 はレンズ系11の後側焦点面、すなわち面
PW1 と共役な面であって、透過型のモニター格子板1
3(第3の回折格子)が配置されている。ここで、1次
回折光DR1 、DR2 が交差する部分の面PW4 内での
断面形状は、レチクルマークRMa、RMbの外形とほ
ぼ相似となっている。
【0070】さて、レチクルマークRMa、RMbから
の1次回折光DR1 、DR2 はモニター格子板13上で
交差し、ここにその周波数差Δfに対応してピッチ方向
に流れる1次元の干渉縞が作られることになる。ここ
で、本実施例では説明を簡単にするため、面PW1 とモ
ニター格子板13との間の倍率を等倍(1倍)とし、モ
ニター格子板13の格子ピッチPGRをPGR=2×PR
設定しておくものとする。また、ウエハマークWMから
の干渉ビームBTW及び0次回折光DW1 、DW 2 とレ
チクルマークRMa、RMbからの1次回折光DR1
DR2 とはプリズム12で分離されるとともに、像面
(例えば面PW4)内で空間的に分離しているので、ここ
では1次回折光DR1 、DR2 による干渉縞の大きさ、
位置に応じてモニター格子板13を面PW4 内に配置し
ておく。
【0071】この結果、1次回折光DR1 、DR2 がモ
ニター格子板13に入射すると、モニター格子板13か
らは再回折された±1次回折光が同軸に進み、この干渉
ビームBTR(平行光束)はレンズ系(フーリエ変換レ
ンズ)14、及びその後側焦点面Ep2(焦点面Epと共
役な面)に配置された空間フィルター15を介して光電
検出器16に受光される。空間フィルター15は干渉ビ
ームBTRのみを通過させ、これ以外の回折光はカット
する。光電検出器16からの干渉ビームBTRに対応し
た光電信号(ビート信号)SDR は、干渉縞の明暗変化
の周期に応じた正弦波状の交流信号となってアライメン
ト信号処理系113に出力される。
【0072】尚、上記の如く1次回折光DR1 、DR2
はプリズム(第2の絞り部材)12を介してモニター格
子板13に照射されるが、このときノイズ成分、例えば
レチクルパターンやウエハマークWMからの回折光、レ
チクルマークRMからの上記回折光を除く回折光等もモ
ニター格子板13に照射され得る。そこで、モニター格
子板13上に形成する回折格子(第3の回折格子)を、
面PW1 内での1次回折光DR1 、DR2 の交差領域と
ほぼ共役な位置に、レチクルマークRMa、RMbの外
形とほぼ同一形状、大きさで形成する。換言すれば、面
PW4 内で1次回折光DR1 、DR2 が交差する領域
(干渉縞の形成領域に相当)内のみに回折格子を形成し
ておくことが望ましい。また、プリズム12上でウエハ
マークWMからの干渉ビームBTW、及び0次回折光D
1 、DW2 と、レチクルマークRMa、RMbからの
1次回折光DR1 、DR2 とが、図4中でY方向(非計
測方向)に十分に分離するように、レチクルマークRM
a、RMbと窓RWとのY方向の間隔を広げておくこと
が望ましい。これにより、プリズム12においてウエハ
マークWMからの光情報とレチクルマークRMa、RM
bからの光情報とを分離し易くなり、レチクル検出系と
ウエハ検出系の各々へのノイズ成分の混入を低減でき
る。
【0073】さて、図6中に示したアライメント信号処
理系113は、参照信号作成部111、すなわち光電検
出器10Rから得られる参照信号SRr と、レチクル検
出系(光電検出器16)から得られるビート信号SDR
との位相差ΦR 、及び光電検出器10Wから得られる参
照信号SRW と、ウエハ検出系(光電検出器20)から
得られるビート信号SDW との位相差ΦW を検出し、こ
の位相差情報を中央制御系114に出力する。これらの
4つの信号SRr 、SRW 、SDR 、SDW は、いずれ
も周波数Δfのビート周波数である。また、位相差ΦR
はレチクルマークRMa、RMbのピッチPR の1/2
の位置ずれに対して2π(1周期)だけ変化し、位相差
ΦW もウエハマークWMのピッチPW の1/2の位置ず
れに対して2πだけ変化する。中央制御系114は、ア
ライメント信号処理系113からの位相差情報に基づい
てレチクルマークRMとウエハマークWMとの相対位置
ずれを、格子ピッチPW の±PW /4の範囲内で高精度
に算出し、さらに位置ずれ量をほぼ零とするようにレチ
クルステージRSTとウエハステージWSTの両方、ま
たは一方を制御する。
【0074】ところで、本実施例では図1、図2に示す
ようにモニター格子板13が斜めに配置されている。こ
れは、露光すべきパターンのサイズの変更やウエハマー
クの打ち替えに応じて、レチクルR上でレチクルマーク
RMを任意の位置に設定する必要があるため、そのマー
クRMの位置に対応して第1対物レンズ7をダイクロイ
ックミラーDCMの上方で移動することになる。このた
め、第1対物レンズ7とレンズ系11との合成系におい
てレチクルマークRMの位置変更に対応してアライメン
トビームの倍率も変化し、モニター格子板13の格子ピ
ッチPGRと、レチクルマークRMa、RMbからの1次
回折光DR1 、DR2 によって生成される干渉縞のピッ
チPGfとの関係(例えばPGf=PGR/2)が変化し得る
ことになる。そこで、モニター格子板13のピッチ方向
と垂直な方向を回転軸とし、図1の紙面内でモニター格
子板13を回転可能に構成しておけば、モニター格子板
13を傾けて設定することにより格子ピッチを見掛け上
変化させ、常にモニター格子板13の格子ピッチと干渉
縞のピッチとが一定の関係となるように調整できる。こ
のような構成を採ることによって、第1対物レンズ7や
レンズ系11をズームレンズ系としてその焦点距離を任
意に調整可能に構成するよりも簡単にピッチ調整を行う
ことが可能となる。
【0075】さらに本実施例では、第1対物レンズ7と
第2対物レンズ5との間の光路中に送受光分離プリズム
(光分割器)6を配置することによって、2組の2本の
送光ビーム(LBr1、LBr2)、(LBw1、LBw2)の
各々を一部分岐して参照信号作成部111(レンズ系
8)に導くとともに、レチクルマークRMa、RMbか
らの1次回折光DR1 、DR2 をレチクル検出系(モニ
ター格子板13等)へ、ウエハマークWMからの干渉ビ
ームBTWをウエハ検出系(光電検出器20等)へ導く
ように構成した。この結果、参照信号作成部111、レ
チクル検出系、及びウエハ検出系を近接して配置するこ
とができ、これらを一体に熱膨張率の低い1枚の金属板
PT(図1中に点線、インバー等が望ましい)上に固定
することが可能となる。このような構成を採ることによ
って、特にモニター格子板13と基準格子板9とは温度
変動があってもほとんど同じように動くので、温度変動
による位置ずれの影響をキャンセル(相殺)でき、アラ
イメント精度の低下を防止することが可能となる。
【0076】ところで、露光すべきレチクルパターンの
サイズ等に応じてレチクルマークの位置も変更されるこ
とから、そのマーク位置に対応して第1対物レンズ7の
観察位置を移動する必要がある。ここで、図1、図2で
は構成を分かり易く図示するため、アライメント光学系
をレチクルRの上方に延ばして示していたが、実際に
は、例えば図7に示すように、第1対物レンズ7の上方
には折り返しミラーMR 1 が配置されており、ミラーM
1 と第1対物レンズ7とが一体に固定された保持金物
(不図示)を移動することによって、第1対物レンズ7
の観察位置を少なくともレチクルR上でその中心を通る
放射方向の線上で自由に変更できるように構成されてい
る。尚、図7では送受光分離プリズム6を図示していな
いが、第1対物レンズ7(ここではミラーMR1 )と第
2対物レンズ11との間の光路中に配置される。
【0077】しかしながら、第1対物レンズ7の移動に
伴って、各共役点(ウエハマークやレチクルマークと共
役な点)が移動してしまうことになる。そこで、本実施
例では第1対物レンズ7と第2対物レンズ(5または1
1)とを、第1対物レンズ7の検出側焦点位置(前側焦
点位置)と第2対物レンズ11のレチクル側焦点位置
(後側焦点位置)とがほぼ一致するように配置し、かつ
各対物レンズ7、11の焦点距離と第1対物レンズ7の
移動量とを制限することによって、光路長を補正するた
めの光学系(例えばトロンボーン光学系等)を使用せず
に、実用上全く問題なく簡単な構成のまま、第1対物レ
ンズ1の観察位置を移動可能としている。以下、図7〜
図9を参照して上記構成について詳細に説明する。
【0078】一般に、第1対物レンズ、第2対物レンズ
の焦点距離をf1 、f2 とすると、第1対物レンズと第
2対物レンズとの主平面間距離が(f1 +f2 +e)
で、物体が第1対物レンズの焦点位置よりもΔだけ遠い
所にある場合、像の位置は次式で表される距離δだけ第
2対物レンズの焦点位置より近くになる。
【0079】
【数5】
【0080】さて、本実施例では図1に示したように、
レチクルRと共役な位置とウエハWと共役な位置の各々
に、第2の絞り部材(プリズム12)と第1の絞り部材
(視野絞り17)とを設けている。この際、第1対物レ
ンズ7の移動に伴う(すなわち数式5のeの変化に対す
る)レチクル共役位置、及びウエハ共役位置の各移動量
が第2対物レンズの焦点深度内となっていれば、特別な
光路長補正光学系(トロンボーン光学系等)は不要とな
る。
【0081】ところで、図1、図2に示したアライメン
ト光学系においては、第1対物レンズ7によって2組の
2本の送光ビーム(LBr1、LBr2)、(LBw1、LB
w2)の各々をウエハ共役位置(図1中の面PW1)で交差
させるので、第1対物レンズ7の物体側ではレチクルR
(パターン面)の位置とウエハ共役位置とは、投影レン
ズPLの露光光とアライメント光との軸上色収差量に相
当する距離ΔLだけ離れることになる。そこで、可動の
第1対物レンズ7と固定の第2対物レンズ11とを用い
て、レチクル像とウエハ共役像とを特別な光路長補正光
学系を用いることなくリレーする方法を以下に述べる。
【0082】第1の例として、図7に示すように第1対
物レンズ7の後側焦点位置に、ウエハ共役面W’を一致
させた状態を保ちながら、第1対物レンズ7と第2対物
レンズ11との間隔を変化させることにより第1対物レ
ンズ7を可動とする。図7では、第1対物レンズ7とミ
ラーMR1 とを一体に固定した状態で、第1対物レンズ
7をレチクル面とほぼ平行に移動するような構成とす
る。
【0083】このような構成において、第1対物レンズ
7と第2対物レンズ11との主平面間距離を、第1対物
レンズ7、第2対物レンズの焦点距離f1 、f2 と、レ
ンズ間隔の変動分eとの和(f1 +f2 +e)として表
すと、ウエハ共役位置は第2対物レンズ11の焦点位置
W''になり、レチクル共役位置は第2対物レンズ11の
焦点位置よりf2 2・ΔL/(f1 2−e・ΔL)だけレチ
クル側の位置R’になる。つまり、第1対物レンズ7の
移動に対して、ウエハ共役位置W''は変わらず、レチク
ル共役位置R’が移動することになる。
【0084】そこで、第2対物レンズ11による像の焦
点深度をD2 とすると、第1対物レンズ7の可動範囲
は、レンズ間隔の変動分eの不等式として次式のように
表される。
【0085】
【数6】
【0086】第1対物レンズ7、第2対物レンズ11の
焦点距離f1 、f2 をそれぞれ200mm、240mm
とし、投影レンズPLの軸上色収差量ΔLを40mm、
焦点深度D2 をウエハ上で6μmピッチの格子が解像で
きる範囲、ここでは約1mmとすると、第1対物レンズ
7の可動範囲(変動分e)は、−17.67mmから+
17.06mmまでの比較的広い範囲を得ることができ
る。
【0087】さらに、第1対物レンズ7の可動範囲を広
くするため、図8に示すように第1対物レンズ7の焦点
面を、レチクルR(パターン面)とウエハ共役面W’と
の間に設定する。このような配置を採ると、第1対物レ
ンズ7と第2対物レンズ11とでリレーされるレチクル
共役位置R’とウエハ共役位置W''はともに、第1対物
レンズ7の移動に伴ってシフト(移動)することにな
る。つまり、第2対物レンズ11によってレチクル共役
位置R’とウエハ共役位置W''の各々は、第2対物レン
ズ11の後側焦点位置に対して次式のような位置にでき
る。
【0088】
【数7】
【0089】そこで、第1対物レンズ7の移動に対し
て、レチクル共役位置R’及びウエハ共役位置W''がと
もに、第2対物レンズ11による像の焦点深度D2 の範
囲以内に入るためには、第1対物レンズ7の可動範囲
(移動量)eが次式のように制限される。
【0090】
【数8】
【0091】さて、図7に示した系と同様に、第1対物
レンズ7、第2対物レンズ11の焦点距離f1 、f2
それぞれ200mm、240mmとし、投影レンズPL
の軸上色収差量ΔLを40mm、焦点深度D2 を1mm
とすると、第1対物レンズ7の可動範囲(変動分e)
は、−67.11mmから+67.11mmまでのかな
り広い範囲を得ることができる。
【0092】さらに、図9に示すように第1対物レンズ
7と第2対物レンズ11とのリレー系の間に、さらにミ
ラーMR2 を追加配置することによって、レチクルR上
でアライメント光学系(第1対物レンズ7)を2次元移
動可能とすることができる。図9の例では、X方向(例
えばレチクルパターンのサイズ変更に応じて第1対物レ
ンズ7を移動する方向であって、レチクル中心へ向かう
方向)への移動においては、ミラーMR1 と第1対物レ
ンズ7とを一体に保持金物(図中の点線で囲んだ部分に
相当)に固定して移動するようにし、Y方向(例えばウ
エハマークの打ち替えに応じて第1対物レンズ7を移動
する方向であって、レチクルのパターン領域に沿った方
向)への移動においては、さらにミラーMR2 までも一
体に保持金物(図中の一点鎖線で囲んだ部分に相当)に
固定して移動すれば良い。尚、X、Y方向への第1対物
レンズ7の各移動量は、上記と全く同様の手法にて定め
られる。また、図9において第1対物レンズ7をミラー
MR1 とレチクルRとの間に配置しても良い。
【0093】以上、図7〜図9を参照してアライメント
光学系(第1対物レンズ7)の移動機構について説明し
たが、図1中に示した第1対物レンズ7(可動)と第2
対物レンズ5(固定)とを、上記と全く同様にリレー系
として構成してその可動範囲を定めれば、レチクルR上
で第1対物レンズ7を移動しても、ビーム送光系におい
て共役関係が崩れることはない。尚、第1対物レンズ7
の可動範囲(移動量)は、ビーム受光系(レンズ系1
1)とビーム送光系(第2対物レンズ5)の各々で定め
られる範囲によって決定される。
【0094】次に、本実施例による装置の動作(アライ
メントシーケンス)を簡単に説明する。図6に示したス
テッパーでは、まずレチクルアライメント系(不図示)
によりレチクルRのアライメントを行い、装置に対して
レチクルRを所定精度で位置決めした後、レチクルステ
ージRSに真空吸着する。しかる後、第1対物レンズ7
の光軸AXaがY方向に関してレチクルマークRMa、
RMbと窓RWとのほぼ中央、X方向に関してレチクル
マークRMaとRMbとのほぼ中央にくるまで第1対物
レンズ7を移動して、アライメント系の観察位置を調整
する。次に、ウエハステージWSTをステッピングさせ
て、ウエハW上の1つのショット領域の中心とレチクル
Rの中心とをほぼ一致させる。このとき、ウエハWのグ
ローバルアライメントがオフアクシス方式のアライメン
ト系(不図示)により正しく行なわれているものとする
と、両者の位置ずれはウエハW上で±1μm程度以下で
ある。従って、ウエハW上のマークWMはレチクルRの
窓RWを通して観察できる位置にくる、つまりビームL
w1、LBw2に対して常にウエハマークWM(ピッチP
W =2μmとする)が±PW /4以内に位置決めされる
ことになる。
【0095】次に、アライメント系によりレチクルRと
ウエハWとの位置合わせを実行する。ビームLBr1、L
r2をレチクルRに照射すると、レチクルマークRM
a、RMbから発生する1次回折光DR1 、DR2 がモ
ニター格子板13に入射し、光電検出器16はモニター
格子板13から再回折した干渉ビームBTRを受光して
ビート信号SDR をアライメント信号処理系113に出
力する。これによって、アライメント信号処理系113
は光電検出器10Rからの参照信号SRr に対する位相
差ΦR を求めて記憶する。このとき、レチクルRのずれ
量ΔXR は以下に示す数式9から算出される。
【0096】
【数9】
【0097】一方、ビームLBw1、LBw2をウエハマー
クWMに照射すると、光電検出器20は干渉ビームBT
Wのみを抽出して受光し、そのビート信号SDW をアラ
イメント信号処理系113に出力する。アライメント信
号処理系113は参照信号SRW に対する位相差ΦW
求めて記憶する。このとき、ウエハWのずれ量ΔX
W は、以下に示す数式10から算出される。
【0098】
【数10】
【0099】しかる後、中央制御系114は先に求めた
位相差ΦR 、ΦW に基づいて、以下に示す数式11から
レチクルRとウエハWとの相対的な位置ずれ量ΔXを算
出する。
【0100】
【数11】
【0101】さらに中央制御系114は、ステージ制御
系100または104を用いて上記ずれ量ΔXが一定
値、もしくは零となるようにレチクルステージRST、
またはウエハステージWSTを微動させ、レチクルパタ
ーンの投影像とショット領域とを正確に重ね合わせる。
この結果、本実施例では第1対物レンズ7の移動に伴っ
てアライメント系全体が傾いたとしてもアライメント誤
差は生じず、極めて高精度のアライメントが達成され
る。このとき、ずれ量ΔXが所定の許容範囲(例えば、
±0.10μm)以内に入った時点で、露光照明系10
8からの露光光ILがレチクルRに照射されることにな
る。
【0102】尚、本実施例ではダイクロイックミラーD
CMを設けているため、露光動作中もレチクルRとウエ
ハW(ショット領域)とのずれ量ΔXを常時検出でき、
そのずれ量ΔXが許容範囲内にあるようにレチクルステ
ージRST、またはウエハステージWSTをフィードバ
ック制御することが可能であり、露光動作中に生じ得る
不要な振動による像ぶれがなくなるといった利点が得ら
れる。また、レチクル検出系において1次回折光D
1 ,DR2 によって作られる干渉縞のピッチとモニタ
ー格子板13の格子ピッチとを等しくなるように定め、
参照信号作成部111と全く同様の方式でビート信号S
R を得るようにしても良い。
【0103】以上の通り本発明の実施例では、2組の2
本の送光ビーム(LBr1、LBr2)、(LBw1、L
w2)の各々を、レチクルマークRMa、RMbとウエ
ハマークWMとに照射するようにしていたが、例えば2
本の送光ビームをレチクルR上でY方向(非計測方向)
に拡大して照射するようにすれば、2本の送光ビームの
みで上記実施例と同様にレチクルRMa、RMbとウエ
ハマークWMの各々から回折光(DR1 、DR2 及び干
渉ビームBTW)を得ることができる。
【0104】また、上記実施例では2本の送光ビームL
w1、LBw2をウエハW上で交差させていたが、レチク
ル用の2本の送光ビームLBr1、LBr2をレチクルR上
で交差させ、ウエハ用の2本の送光ビームLBw1、LB
w2はウエハW上で分離するように照射しても構わない。
さらに、上記実施例では1次回折光DR1 、DR2 が2
本の送光ビームLBr1、LBr2の各主光線と同軸に戻る
ようにレチクルマークRMa、RMbの格子ピッチPR
を定めていたが、ビームLBr1、LBr2の各主光線と同
軸に戻る回折光であれば1次回折光以外であっても使用
して構わない。例えば、格子ピッチPR をPR =λ/ s
inθR とし、レチクルマークRMa、RMbのデューテ
ィ比を変えると、ビームLBr1、LBr2の各主光線と同
軸に2次回折光が発生するので、この2次回折光を使っ
てビート信号SDR を得るようにしても良い。要は所定
次数の回折光が面PW1 (ウエハ共役面)内で交差すれ
ば良い。
【0105】また、上記実施例では基準格子板9やモニ
ター格子板13上に回折格子を形成しておくものとした
が、例えばウォラストンプリズムを基準格子板9やモニ
ター格子板13の代わりに配置するとともに、1/2波
長板等を用いてこのウォラストンプリズムに入射する2
本のビームの各偏光状態を互いに直交状態にし、かつウ
ォラストンプリズムから同一方向に射出した2本の回折
光を検光子によって互いに干渉させて光電検出器で受光
するように構成しても良く、この場合には照射光量が増
大するといった利点が得られる。
【0106】さらに、上記実施例では図1中に示したプ
リズム12において、ウエハマークWMからの光情報は
透過し、レチクルマークRMからの光情報は反射するよ
うにしていたが、その逆でも良く、この場合にはプリズ
ム12において矩形開口12aの部分のみを逆に遮光部
とすれば良い。また、矩形開口12aを形成せずとも、
図1の紙面内で右半分を透過部、左半分を遮光部とする
だけでも良い。
【0107】ところで、プリズム12で矩形開口12a
が形成された面(反射面)は、アライメント光学系の光
軸に対して傾いているため、正確にはその反射面とレチ
クルRのパターン面とが完全に共役となっていないが、
レチクルマークRMやウエハマークWMからの回折光
(平行光束)は焦点深度(ビームウエスト)が大きいの
で、このことは実質的にアライメント精度に悪影響を及
ぼさない。尚、レチクル検出系へのノイズ成分の混入を
完全に除去する場合は、例えばモニター格子板13上の
回折格子の大きさ(面積)を、面PW4 内での1次回折
光DR1 、DR2 の交差領域(干渉縞の形成領域)より
小さく設定すれば良い。このとき、さらにモニター格子
板13に極近接して視野絞りを設けると良い。
【0108】また、上記実施例ではウエハマークWMや
レチクルマークRMからの光情報を送受光分離プリズム
6を介してウエハ検出系やレチクル検出系に導くことと
したが、アライメントビームの光路中に2組のビームス
プリッター(ハーフミラー)を配置し、各マークからの
光情報を別々にレチクル検出系やウエハ検出系に導くよ
うに構成しても良く、この場合にはレチクル(第1の回
折格子)と共役な位置とウエハ(第2の回折格子)と共
役な位置の各々に視野絞りを設ければ良い。
【0109】さらに、2組の2本の送光ビーム(L
r1、LBr2)、(LBw1、LBw2)の各々を、平行平
面板(ハービング)等を用いて2本のビームの交差角を
独立に設定可能に構成しておいても良い。例えば第1対
物レンズ7の観察位置を変更する場合、特にウエハ用の
2本のビームLBw1、LBw2は、その位置によって投影
レンズPLによる倍率が変化するが、上記構成によれ
ば、この倍率変化に応じて2本のビームLBw1、LBw2
の交差角2θW のみを微調整できるといった利点が得ら
れる。
【0110】また、上記実施例は投影光学系(屈折光学
系、反射光学系、あるいはそれらを組み合わせ系のいず
れでも良い)を備えた露光装置に位置合わせ装置(アラ
イメント系)を適用した場合について述べたが、プロキ
シミティー方式の露光装置に対しても本発明を適用して
同様の効果を得ることができる。さらに、本発明はヘテ
ロダイン方式のアライメント系だけでなく、ホモダイン
方式、さらには2本のビームの偏光成分を異ならせて格
子マーク上では干渉縞を作らず、格子マークから戻って
くるp偏光ビームとs偏光ビームとを検光子(複屈折
板)により干渉光にした後に光電検出する方式に対して
も適用でき、上記実施例と全く同様の効果を得ることが
できる。
【0111】
【発明の効果】本発明によれば、第1の受光手段(ウエ
ハ検出系)と第2の受光手段(レチクル検出系)の各々
に混入し得るノイズ成分(迷光)を除去でき、マスクと
感光基板とのアライメント精度を向上させることが可能
となる。また、第1の受光手段と第2の受光手段の一部
の光学部材を共用させることによって、特に第1の受光
手段はマスク(第1の回折格子)と共役な面内に配置さ
れた第2の絞り部材と、感光基板(第2の回折格子)と
共役な面内に配置された第1の絞り部材とを介して、第
2の回折格子からの光情報を光電検出することになるの
で、より一層アライメント精度を向上させることができ
る。さらに第2の受光手段でも、第3の回折格子の大き
さを、第1の回折格子(すなわち2本のビームによる照
射領域)とほぼ同一の大きさに設定するので、ノイズ成
分の混入をほとんど除去できる。また、対物光学系(第
1対物レンズ)と受光手段側の第2対物光学系とをリレ
ー系とするだけで、光路長補正光学系(トロンボーン光
学系等)を用いることなく、アライメント光学系を広い
範囲で移動することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるTTR方式のアライメン
ト系の具体的な構成を示す平面図。
【図2】本発明の実施例によるTTR方式のアライメン
ト系の具体的な構成を示す平面図。
【図3】図1、図2に示したアライメント系の2組の2
本のビームの送光状態を示す図。
【図4】本発明の実施例に適用されるレチクル上のマー
ク及び窓の配置を示す図。
【図5】図1中に示した4光束発生手段の具体的な構成
を示す斜視図。
【図6】本発明の実施例によるアライメント系が適用さ
れる投影露光装置の全体構成の一例を模式的に示す平面
図。
【図7】図1に示したアライメント系の移動機構の一例
を説明する図。
【図8】図1に示したアライメント系の移動機構の一例
を説明する図。
【図9】図1に示したアライメント系の移動機構の一例
を説明する図。
【図10】本発明による位置合わせ装置の原理説明に供
する図。
【図11】従来の位置合わせ装置の構成を示す斜視図。
【図12】従来装置の問題点の説明に供する図。
【図13】従来装置の問題点の説明に供する図。
【符号の説明】
2 4光束発生手段 4 視野絞り 7 第1対物レンズ 8、11 レンズ系 9 基準格子板 10R、10W、16、20 光電検出器 12 プリズム(第2の絞り部材) 13 モニター格子板(第3の回折格子) 15、19 空間フィルター 17 視野絞り(第1の絞り部材) R レチクル PL 投影レンズ W ウエハ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の波長域の照明光でマスクに形成さ
    れたパターンを投影光学系を介して感光基板上に結像投
    影する装置に設けられ、前記マスクに形成された第1の
    回折格子と前記感光基板に形成された第2の回折格子と
    を光学的に検出することにより前記マスクと感光基板と
    を位置合わせする装置において、 前記第1の回折格子と第2の回折格子とのいずれか一方
    に対物光学系を介して前記照明光と異なる波長域のコヒ
    ーレントな2本のビームを所定の交差角で照射する照射
    手段と;前記2本のビームが交差して照射される一方の
    回折格子とほぼ共役な面内に配置された第1の絞り部材
    を有し、該一方の回折格子からほぼ同一方向に発生した
    回折光同士の干渉光を前記対物光学系と前記第1の絞り
    部材とを介して光電検出する第1の受光手段と;前記一
    方の回折格子とほぼ共役な面、もしくはその近傍に配置
    された第3の回折格子と;前記2本のビームが交差して
    照射される回折格子と異なる他方の回折格子とほぼ共役
    な面内に配置された第2の絞り部材を有し、前記2本の
    ビームの照射により前記他方の回折格子から発生する各
    回折光を、前記対物光学系と前記第2の絞り部材とを介
    して前記第3の回折格子に所定の交差角で照射し、前記
    第3の回折格子からほぼ同一方向に発生した回折光を互
    いに干渉させ、該干渉光を光電検出する第2の受光手段
    と;前記第1の受光手段と第2の受光手段の各々からの
    信号を比較して前記マスクと感光基板との相対変位に対
    応した検出信号を出力する検出手段と;該検出信号に基
    づいて前記マスクと感光基板との相対位置を変化させる
    移動手段とを備えたことを特徴とする位置合わせ装置。
JP3345195A 1991-10-23 1991-12-26 位置合わせ装置 Pending JPH05175097A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3345195A JPH05175097A (ja) 1991-12-26 1991-12-26 位置合わせ装置
US08/506,132 US5689339A (en) 1991-10-23 1995-07-24 Alignment apparatus

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3345195A JPH05175097A (ja) 1991-12-26 1991-12-26 位置合わせ装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05175097A true JPH05175097A (ja) 1993-07-13

Family

ID=18374941

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3345195A Pending JPH05175097A (ja) 1991-10-23 1991-12-26 位置合わせ装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05175097A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018507425A (ja) * 2014-12-15 2018-03-15 エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ. 光学瞳対称化のための方法および装置
CN113314451A (zh) * 2021-06-10 2021-08-27 哈尔滨工业大学 一种基于莫尔条纹的晶圆键合对准系统及方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018507425A (ja) * 2014-12-15 2018-03-15 エーエスエムエル ホールディング エヌ.ブイ. 光学瞳対称化のための方法および装置
CN113314451A (zh) * 2021-06-10 2021-08-27 哈尔滨工业大学 一种基于莫尔条纹的晶圆键合对准系统及方法
CN113314451B (zh) * 2021-06-10 2022-08-02 哈尔滨工业大学 一种基于莫尔条纹的晶圆键合对准系统及方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2913755B2 (ja) 位置合わせ方法及び装置
JP2658051B2 (ja) 位置合わせ装置,該装置を用いた投影露光装置及び投影露光方法
JP2893823B2 (ja) 位置合わせ方法及び装置
JP4023695B2 (ja) アラインメント装置及びこの装置が設けられているリソグラフィ装置
JP3128827B2 (ja) 投影露光装置、並びに投影露光方法、及びその投影露光方法を用いたデバイス製造方法、及びそのデバイス製造方法により製造されたデバイス
US5689339A (en) Alignment apparatus
JPH033224A (ja) マスクパターンを基板上に投影する装置
JPH0642448B2 (ja) 位置合わせ方法
JPH0513297A (ja) 位置合わせ装置
JP3221057B2 (ja) アライメント装置
JP2814538B2 (ja) 位置合わせ装置及び位置合わせ方法
JPH05175097A (ja) 位置合わせ装置
JPH06120116A (ja) ベストフォーカス計測方法
JPH02133913A (ja) 位置合わせ装置,露光装置及び素子製造方法
JP2808595B2 (ja) 位置検出装置及び該装置を用いた投影露光装置
JP2888233B2 (ja) 位置検出装置、露光装置及び方法
JPH10122815A (ja) 位置検出装置及び方法
JPH07283110A (ja) 走査露光装置
JPH05226224A (ja) 露光装置の位置合わせ装置
JPH05175095A (ja) 位置合わせ装置
JPH09119811A (ja) 位置合わせ装置、露光装置及び露光方法
JPH08124830A (ja) 投影露光装置
JPH02251707A (ja) 位置検出装置
JP2787698B2 (ja) アライメント装置および位置検出装置
JPH06310402A (ja) アライメント装置

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees