JPH0517496A - トリフルオロチミジン誘導体、その製造法およびそれを含有する抗腫瘍剤 - Google Patents

トリフルオロチミジン誘導体、その製造法およびそれを含有する抗腫瘍剤

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JPH0517496A
JPH0517496A JP16298291A JP16298291A JPH0517496A JP H0517496 A JPH0517496 A JP H0517496A JP 16298291 A JP16298291 A JP 16298291A JP 16298291 A JP16298291 A JP 16298291A JP H0517496 A JPH0517496 A JP H0517496A
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信幸 深沢
Hironori Komatsu
小松  弘典
Keiya Kawauchi
啓也 川内
Daiji Iwata
大二 岩田
Osamu Nakanishi
理 中西
Osamu Yano
理 矢野
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】一般式(1)で表されるトリフルオロチミジン
誘導体、その製造法およびそれを含有する抗腫瘍剤。 (式中、R1は水素原子、置換シリル基または置換もし
くは置換されていないトリチル基を表し、R2はアルド
ース残基、または低級アシル基、置換もしくは置換され
ていないベンゾイル基、アリールメチル基及びベンジリ
デン基のいずれかで置換されたアルドース残基またはフ
タロイルアミノ基で置換されたデオキシアルドース残基
を表す) 【効果】この化合物は低毒性でしかも強い抗腫瘍活性を
有していることから抗腫瘍剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、トリフルオロチミジン
誘導体、その製造法およびそれを含有する抗腫瘍剤に関
する。本発明化合物は文献未載の新規物質であって、低
毒性でしかも強い抗腫瘍活性を有していることから抗腫
瘍剤としての用途が期待される。
【0002】
【従来の技術】トリフルオロチミジン(以下「F3Th
d」という)は、ハイデルバーガー(Heidelbe
rger)らによって合成された(ジャーナル オブ
ザ アメリカン ケミカル ソサイエティ、第84巻、
第3579頁(1962年))各種のピリミジンアナロ
グの中のひとつで、DNA合成を阻害するものの、抗癌
剤としてよりも抗ウィルス剤としてヘルペスやワクシニ
ア感染症に有効であるとの評価が高い(プロシーディン
グ オブ ナショナル アカデミィ オブ サイエン
ス、ユー エス エー、第76巻、第2947頁(19
79年))。しかし上記F3Thdはin vitro
試験においては、チミジンキナーゼに特異的に作用し、
非常に強い殺細胞活性を示す旨報告がある(バイオケミ
カルファーマコロジー、第31巻、第6号、第1089
頁(1982年))。このような評価の違いは、F3
hdが消化管において吸収性が低いこと及び血中での持
続性が低いことに原因がある。その改善方法としてはこ
れまでに、有機合成化学的に使用されるような保護基で
置換し、F3Thdの脂溶性を向上させた例がある(ジ
ャーナル オブ メディシナル ケミストリー、第32
巻、第136頁(1989年)、特開昭 60−615
93))。またF3Thdは同時に消化管に対する毒性
が大きいという欠点を合わせもっている。これを克服す
るためには、生体内において、より緩慢に、しかも持続
性を伴ってF3Thdを放出するような誘導体の選択が
要求される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、F3
Thdの持つ潜在的な高活性に着目し、消化管吸収を上
昇させ、しかも血中濃度を適度に抑えることにより強い
抗腫瘍活性を有し、かつ消化管毒性の少ない新規なF3
Thd誘導体を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、F
3Thdを疑似二糖類へと導くことにより吸収量を消化
酵素依存的にすれば、急激な消化管吸収が起こることな
く適度な血中濃度を保つことが可能であると考えた。し
かも疑似二糖類であるグリコシル核酸は、ホスホリラー
ゼ及び各種酵素類の活性を調整する作用があることを示
唆する報告がある(アンゲバンテ ヘミー、第17巻、
第10号、第772頁(1978年))。即ち本発明者
らは、疑似二糖類としての新たな作用の付与を期待し、
鋭意検討を重ねた結果、驚くべきことにF3Thdに糖
類を置換することにより得た新規な化合物が優れた抗腫
瘍活性を示し、且つ低毒性であることを見いだし、本発
明を完成した。即ち、本発明は一般式(1)[化6]
【0005】
【化6】 (式中、R1は水素原子、置換シリル基または置換もし
くは置換されていないトリチル基を表し、R2はアルド
ース残基、または低級アシル基、置換もしくは置換され
ていないベンゾイル基、アリールメチル基及びベンジリ
デン基のいずれかで置換されたアルドース残基またはフ
タロイルアミノ基で置換されたデオキシアルドース残基
を表す)で表されるトリフルオロチミジン誘導体、その
製造法およびそれを含有する抗腫瘍剤に関する。
【0006】前記一般式(1)においてR1は、水素原
子、置換シリル基または置換もしくは置換されていない
トリチル基を表す。置換シリル基としては、具体的には
t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシ
リル基、イソプロピルジメチルシリル基、トリメチルシ
リル基、トリエチルシリル基等をあげることができる。
また置換もしくは置換されていないトリチル基として
は、トリチル基、4−メトキシトリチル基、4,4’−
ジメトキシトリチル基等をあげることができる。
【0007】R2はアルドース残基、または低級アシル
基、置換もしくは置換されていないベンゾイル基、アリ
ールメチル基及びベンジリデン基のいずれかで置換され
たアルドース残基またはフタロイルアミノ基で置換され
たデオキシアルドース残基を表す。アルドース残基と
は、具体的にはD−リボース、L−リボース、D−キシ
ロース、L−キシロース、D−アラビノース、L−アラ
ビノース、D−リキソース、L−リキソース等を挙げる
ことができる。置換されたアルドース残基とは、低級ア
シル基、置換もしくは置換されていないベンゾイル基、
アリールメチル基及びベンジリデン基のいずれかで置換
されたアルドース残基を意味する。ここで、低級アシル
基とは、アルキル基の炭素原子数が1〜4のアシル基等
を表す。置換ベンゾイル基とは、パラクロロベンゾイ
ル、パラメトキシベンゾイル、パラトルオイル等を表
す。アリールメチル基とは、パラクロロベンジル、パラ
メトキシベンジル、パラメチルベンジル等を表す。フタ
ロイルアミノ基で置換されたデオキシアルドース残基と
は、具体的には、2−デオキシ−2−フタロイルアミノ
−D−グルコース、2−デオキシ−2−フタロイルアミ
ノ−L−グルコース、2−デオキシ−2−フタロイルア
ミノ−D−マンノース、2−デオキシ−2−フタロイル
アミノ−L−マンノース、2−デオキシ−2−フタロイ
ルアミノ−D−アロース、2−デオキシ−2−フタロイ
ルアミノ−L−アロース、2−デオキシ−2−フタロイ
ルアミノ−D−ガラクトース、2−デオキシ−2−フタ
ロイルアミノ−L−ガラクトース等を挙げることができ
る。R2を具体的に例示すると、D−リボース、L−リ
ボース、D−キシロース、L−キシロース、D−アラビ
ノース、L−アラビノース、D−リキソース、L−リキ
ソース、トリアセチル−D−リボース、トリアセチル−
L−リボース、トリアセチル−D−キシロース、トリア
セチル−L−キシロース、トリアセチル−D−アラビノ
ース、トリアセチル−L−アラビノース、トリアセチル
−D−リキソース、トリアセチル−L−リキソース、ト
リベンゾイル−D−リボース、トリベンゾイル−L−リ
ボース、トリベンゾイル−D−キシロース、トリベンゾ
イル−L−キシロース、トリベンゾイル−D−アラビノ
ース、トリベンゾイル−L−アラビノース、トリベンゾ
イル−D−リキソース、トリベンゾイル−L−リキソー
ス、トリベンジル−D−リボース、トリベンジル−L−
リボース、トリベンジル−D−キシロース、トリベンジ
ル−L−キシロース、トリベンジル−D−アラビノー
ス、トリベンジル−L−アラビノース、トリベンジル−
D−リキソース、トリベンジル−L−リキソース等のア
ルドペントースの残基、D−グルコース、L−グルコー
ス、D−マンノース、L−マンノース、D−アロース、
L−アロース、D−ガラクトース、L−ガラクトース、
テトラアセチル−D−グルコース、テトラアセチル−L
−グルコース、テトラアセチル−D−マンノース、テト
ラアセチル−L−マンノース、テトラアセチル−D−ア
ロース、テトラアセチル−L−アロース、テトラアセチ
ル−D−ガラクトース、テトラアセチル−L−ガラクト
ース、テトラベンジル−D−グルコース、テトラベンジ
ル−L−グルコース、テトラベンジル−D−マンノー
ス、テトラベンジル−L−マンノース、テトラベンジル
−D−アロース、テトラベンジル−L−アロース、テト
ラベンジル−D−ガラクトース、テトラベンジル−L−
ガラクトース、2,3−O−ベンゾイル−4,6−O−
ベンジリデン−D−グルコース、2,3−O−ベンゾイ
ル−4,6−O−ベンジリデン−L−グルコース、2,
3−O−ベンゾイル−4,6−O−ベンジリデン−D−
マンノース、2,3−O−ベンゾイル−4,6−O−ベ
ンジリデン−L−マンノース、2,3−O−ベンゾイル
−4,6−O−ベンジリデン−D−アロース、2,3−
O−ベンゾイル−4,6−O−ベンジリデン−L−アロ
ース、2,3−O−ベンゾイル−4,6−O−ベンジリ
デン−D−ガラクトース、2,3−O−ベンゾイル−
4,6−O−ベンジリデン−L−ガラクトース等のアル
ドヘキソースの残基、2−デオキシ−2−フタロイルア
ミノ−2,3−O−ベンゾイル−4,6−O−ベンジリ
デン−D−グルコース、2−デオキシ−2−フタロイル
アミノ−2,3−O−ベンゾイル−4,6−O−ベンジ
リデン−L−グルコース、2−デオキシ−2−フタロイ
ルアミノ−2,3−O−ベンゾイル−4,6−O−ベン
ジリデン−D−マンノース、2−デオキシ−2−フタロ
イルアミノ−2,3−O−ベンゾイル−4,6−O−ベ
ンジリデン−L−マンノース、2−デオキシ−2−フタ
ロイルアミノ−2,3−O−ベンゾイル−4,6−O−
ベンジリデン−D−アロース、2−デオキシ−2−フタ
ロイルアミノ−2,3−O−ベンゾイル−4,6−O−
ベンジリデン−L−アロース、2−デオキシ−2−フタ
ロイルアミノ−2,3−O−ベンゾイル−4,6−O−
ベンジリデン−D−ガラクトース、2−デオキシ−2−
フタロイルアミノ−2,3−O−ベンゾイル−4,6−
O−ベンジリデン−L−ガラクトース等のデオキシアル
ドヘキソースの残基となる。本発明のトリフルオロチミ
ジン誘導体は、例えば次式[化7]に示す方法によって
製造できる。
【0008】
【化7】 上記の反応式におけるR1は置換シリル基または置換も
しくは置換されていないトリチル基を表し、R2の定義
は前記と同じである。Xはハロゲン原子を表し、具体的
にはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等を挙げることができ
る。Yはハロゲン原子、低級アルキル基で置換されたス
ルフィドを表す。ここで、ハロゲン原子とはフッ素、塩
素、臭素、ヨウ素等を意味し、低級アルキル基で置換さ
れたスルフィドとは、メチルスルフィド、エチルスルフ
ィド、n−プロピルスルフィド、n−ブチルスルフィド
等を意味する。R1Xを具体的に例示するとt−ブチル
ジメチルシリルクロリド、t−ブチルジフェニルシリル
クロリド、イソプロピルジメチルシリルクロリド、トリ
メチルシリルクロリド、トリエチルシリルクロリド、ト
リチルクロリド、4−メトキシトリチルクロリド、4,
4’−ジメトキシトリチルクロリド等である。一般式
(3)の化合物R2Yを具体的に例示すると2,3,
4,6,−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコピラ
ノシルブロミド、2,3,4,6,−テトラ−O−アセ
チル−β−D−グルコピラノシルブロミド、4,6−O
−ベンジリデン−2,3−ジ−O−ベンゾイル−β−D
−グルコピラノシルメチルスルフィド、2−デオキシ−
2−フタロイルアミノ−4,6−O−ベンジリデン−3
−O−ベンゾイル−β−D−グルコピラシルメチルスル
フィド、L−マンノシルエチルスルフィド、テトラアセ
チル−D−アロシルプロピルスルフィド、テトラベンジ
ル−D−ガラクトシルクロリド等である。一般式(4)
で表されるアルドース誘導体を例示すると2,3,4,
6,−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシ
ル トリクロロアセトイミデート、テトラベンジル−D
−マンノシル トリクロロアセトイミデート、テトラベ
ンジル−L−アロシル トリクロロアセトイミデート、
テトラベンジル−D−ガラクトシル トリクロロアセト
イミデート、2,3−O−ベンゾイル−4,6−O−ベ
ンジリデン−D−マンノシル トリクロロアセトイミデ
ート、2−デオキシ−2−フタロイルアミノ−2,3−
O−ベンゾイル−4,6−O−ベンジリデン−L−グル
コシル トリクロロアセトイミデート等である。
【0009】F3Thdから一般式(5)で表される化
合物を得る反応は通常の方法に従い実施することができ
る。即ち適当な溶媒中、適当なアルカリの存在下に行わ
れる。ここで用いられる溶媒としては反応に影響を与え
ない限り限定されるものではないが、具体的には、ジク
ロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロア
ルカン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルスルホキサイド、アセトニトリル等の極性
溶媒等をあげることができる。またアルカリとしては、
通常用いられるものでよいが、具体的には、炭酸カリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水素化ナト
リウム等の無機塩基、トリエチルアミン、ピリジン、イ
ミダゾール等の有機塩基及び金属アルコラート等をあげ
ることができる。反応温度は特に限定されないが、通常
−78℃から、使用される溶媒の沸点付近まで可能で、
望ましくは氷零下から室温付近である。反応時間は通常
0.5から48時間程度である。
【0010】さらに(5)から一般式(1a)で表され
る化合物を得る反応は通常の方法に従い実施することが
できる。即ち適当な溶媒中、適当な触媒の存在下に行わ
れる。ここで用いられる溶媒としては反応に影響を与え
ない限り限定されるものではないが、具体的には、ジク
ロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロア
ルカン類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルスルホキサイド、アセトニトリル等の極性
溶媒等をあげることができる。また触媒としては、この
種の反応に用いられる各種のものが使用できるが、具体
的には、メチルメタンスルフォナート等のアルキル化
剤、ボロントリフルオリド エテレート、四塩化スズ等
のルイス酸及びシアン化水銀、過塩素酸銀等の金属塩が
使用できる。触媒量は、通常0.01から10当量であ
る。反応温度は特に限定されないが、通常−78℃から
室温付近まででよく、望ましくは−40℃から室温付近
である。反応時間は通常0.5から48時間程度であ
る。
【0011】また一般式(1)で表される化合物のう
ち、R1が水素原子で置換された化合物(1b)は、上
記反応式中の(1a)式の化合物から通常用いられる方
法により得ることができる。即ち適当な溶媒中、適当な
触媒の存在下に行われる。ここで用いられる溶媒として
は反応に影響を与えない限り限定されるものではない
が、具体的には、ジクロロメタン、クロロホルム、ジク
ロロエタン等のハロアルカン類、ジメチルホルムアミ
ド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド、
アセトニトリル等の極性溶媒、ジエチルエーテル、テト
ラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエ
ーテル類等をあげることができる。また触媒としては、
この種の反応に用いられる各種のものが使用できるが、
具体的には、テトラブチルアンモニウムフロリド、フッ
化水素酸、フッ化セシウム等のフッ化物類、塩酸、硫酸
等の無機酸類、トルエンスルホン酸、トリフルオロメタ
ンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、酢酸等の有機酸類及
び酸性イオン交換樹脂をあげることができる。触媒量
は、通常0.01から100当量である。反応温度は特
に限定されないが、通常−20℃から200℃付近まで
でよく、望ましくは−10℃から溶媒の沸点付近であ
る。反応時間は通常0.5から48時間程度である。ま
た一般式(1)で表される化合物のうち、R2がアルド
ース残基で表される化合物は、例えば次式[化8]に示
す方法によって製造することもできる。
【0012】
【化8】 上記の反応式におけるR1は置換シリル基または置換も
しくは置換されていないトリチル基を表す。一般式(1
c)のR2は、低級アシル基、置換もしくは置換されて
いないベンゾイル基のいずれかで置換されたアルドース
残基を表す。また、一般式(1d)のR2は、アルドー
ス残基を表す。一般式(1c)から一般式(1d)で表
される化合物を得る反応は通常の方法に従い実施するこ
とができる。即ち適当な溶媒中、適当なアルカリの存在
下で行った後、さらに過剰の酸の存在下にさらすことに
より行われる。ここで用いられる溶媒としては反応に影
響を与えない限り限定されるものではないが、具体的に
は、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等
のハロアルカン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルア
セトアミド、ジメチルスルホキサイド、アセトニトリル
等の非プロトン性極性溶媒;メタノール、エタノール、
イソプロパノール、水等のプロトン性極性溶媒をあげる
ことができる。またアルカリとしては、通常用いられる
ものでよいが、具体的には、炭酸カリウム、炭酸ナトリ
ウム、炭酸水素ナトリウム、水素化ナトリウム等の無機
塩基、ジエチルアミン、メチルアミン、ベンジルアミン
等の有機塩基及びナトリウムメトキシド、カリウムt−
ブトキシド等の金属アルコラート類をあげることができ
る。また酸としては、塩酸、硫酸等の無機酸類トルエン
スルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフル
オロ酢酸、酢酸等の有機酸類及び酸性イオン交換樹脂を
あげることができる。反応温度は特に限定されないが、
通常−78℃から使用される溶媒の沸点付近まで可能
で、望ましくは氷零下から室温付近である。反応時間は
通常0.5から48時間程度である。
【0013】本発明化合物を腫瘍の進行防止および治療
剤として使用する場合、その投与量、剤形は化合物の物
性、投与対象の症状等により当然異なるが、経口的に投
与する場合、成人1日当り50〜1000mgを1回ま
たは数回に分割し、錠剤、顆粒剤、散剤、懸濁剤、カプ
セル剤等として、また非経口的に投与する場合、50〜
1000mgを1回または数回に分割し、例えば座剤と
して投与できる。例えば錠剤とする場合、吸着剤として
は結晶性セルロース、軟質無水ケイ酸等を用い、賦形剤
としてはトウモロコシデンプン、乳糖、燐酸カルシウ
ム、ステアリン酸マグネシウム等が用いられる。製剤中
における本発明の化合物の量は本発明の目的を達成する
範囲であれば特に制限はないが、一般的には1〜99重
量%である。
【0014】本発明に従った前記一般式(1)[並びに
これに包含される前記一般式(1a)、(1b)、(1
c)および(1d)]の化合物は、実施例において説明
するように、マウスにおいて望ましい血中濃度を維持
し、in vivo抗腫瘍活性スクリーニングにおいて
著しい抗腫瘍効果を示した。しかも小腸絨毛長及び体重
変化に対する影響が少ないことから、将来、制癌剤とし
ての用途が期待される有用な化合物である。
【0015】
【実施例】次に実施例によって本発明を更に詳細に説明
する。 実施例 1 3’−O−(2,3,4,6,−テトラ−O−ベンジル
−β−D−グルコピラノシル)−α,α,α−トリフル
オロチミジンの製造 a)5’−O−(t−ブチルジメチルシリル)−α,
α,α−トリフルオロチミジンの製造 α、α、α−トリフルオロチミジン197mg、クロロ
−t−ブチルジメチルシラン110mg、イミダゾール
58.9mg及びジメチルホルムアミド3.9mlの混
合物を室温で1時間撹拌した。反応終了後、濃縮しカラ
ムクロマトグラフィー(酢酸エチル−n−ヘキサン
(1:1))に付し、標記化合物220mgを得た。 b)3’−O−(2,3,4,6,−テトラ−O−ベン
ジル−β−D−グルコピラノシル)−α,α,α−トリ
フルオロチミジンの製造 5’−O−(t−ブチルジメチルシリル)−α,α,α
−トリフルオロチミジン0.5g及び2,3,4,6,
−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシル
トリクロロアセトイミデート0.8gをジクロロメタン
15mlに溶かし、−20℃でボラントリフルオリド
エテレート2.2mlを加え−20℃〜0℃で2.5時
間反応した。重曹水を加え、室温で30分間撹拌し、有
機層を洗浄後カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−
n−ヘキサン(1:1))に付し、標記化合物440m
gを得た。得られた化合物の分析結果は第一表に示す通
りであった。(化合物番号1)
【0016】実施例 2 3’−O−(4,6−O−ベンジリデン−2,3−ジ−
O−ベンゾイル−β−D−グルコピラノシル)−α,
α,α−トリフルオロチミジンの製造 5’−O−(t−ブチルジメチルシリル)−α,α,α
−トリフルオロチミジン0.42g、4,6−O−ベン
ジリデン−2,3−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グル
コピラノシルメチルスルフィド0.42g及びモルキュ
ラー シーブス(4A)1gをエーテル20mlにけん
だくし、メチル トリフルオロメタンスルフォネート
0.54gを加え、室温で終夜反応した。反応後濾過
し、濾液を濃縮後テトラヒドロフラン10ml及びテト
ラ−n−ブチルアンモニウム フルオリド(1Mテトラ
ヒドロフラン溶液)2mlを加えて1時間反応した。反
応終了後、濃縮してカラムクロマトグラフィー(酢酸エ
チル−n−ヘキサン(1:1))に付し、標記化合物7
7mgを得た。得られた化合物の分析結果は第一表に示
す通りであった。(化合物番号2)
【0017】実施例 3 3’−O−(4,6−O−ベンジリデン−3−O−ベン
ゾイル−2−デオキシ−2−フタロイルアミノ−D−グ
ルコピラノシル)−α,α,α−トリフルオロチミジン
の製造 5’−O−(t−ブチルジメチルシリル)−α,α,α
−トリフルオロチミジン0.34g、2−デオキシ−2
−フタロイルアミノ−4,6−O−ベンジリデン−3−
O−ベンゾイル−β−D−グルコピラシルメチルスルフ
ィド0.54g、メチル トリフルオロメタンスルフォ
ネート0.54g及びエーテル18mlを用いて実施例
2と同様に処理し、標記化合物20mgを得た。得ら
れた化合物の分析結果は第一表に示す通りであった。
(化合物番号3)
【0018】実施例 4 5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3’−
O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D
−グルコピラノシル)−α,α,α−トリフルオロチミ
ジンの製造 a)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−
α,α,α−トリフルオロチミジンの製造 α,α,α−トリフルオロチミジン2gをピリジン10
mlに溶解し、4,4’−ジメトキシトリチルクロリド
2.7gを加え、遮光下室温にて終夜反応した。メタノ
ール20mlを加え、室温で2時間反応後、減圧下室温
で濃縮した。残渣をクロロホルム100mlに溶かした
後2回水洗して乾燥し、濃縮して得た油状物をカラムク
ロマトグラフィー(ジクロロメタン−n−ヘキサン
(1:1)に5%ピリジンを加えたものをメタノールで
グラジエントして用いた)で精製後、n−ヘキサン−エ
ーテルで結晶化させ標記化合物2.35gを得た。 b)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−
3’−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−
β−D−グルコピラノシル)−α,α,α−トリフルオ
ロチミジンの製造 5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−α,
α,α−トリフルオロチミジン662mg及び2,3,
4,6,−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラ
ノシルブロミド400mgをジクロロメタン8mlと
2,4,6−コリジン0.13mlの混合溶媒に溶解
し、遮光下に0℃で過塩素酸銀0.21gを加えて室温
で8時間激しく撹拌した。反応終了後クロロホルム50
mlを加え、不溶の銀塩を濾去し、0.1規定塩酸及び
重曹水で洗浄した。濃縮後カラムクロマトグラフィー
(メタノール−クロロホルム(1:40))で精製し、
標記化合物0.74gを得た。得られた化合物の分析結
果は第一表に示す通りであった。(化合物番号4)
【0019】実施例 5 β−D−グルコピラノシル−α,α,α−トリフルオロ
チミジンの製造 5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3’−
O−(2,3,4,6,−テトラ−O−アセチル−β−
D−グルコピラノシル)−α,α,α−トリフルオロチ
ミジン0.74gをメタノール10mlに溶かし、ナト
リウム メトキシド(28%メタノール溶液)を一滴加
えて室温にて1時間撹拌した。次いで過剰の酸性イオン
交換樹脂(Amberlite;IR120)を加えて
1時間撹拌した。反応終了後、濾過して濃縮後カラムク
ロマトグラフィー(メタノール−クロロホルム(1:4
0))で精製し、更にn−ヘキサン−クロロホルムで結
晶化して標記化合物0.27gを得た。得られた化合物
の分析結果は第一表に示す通りであった。(化合物番号
5)
【0020】実施例 6 3’−O−(2,3,4,6,−テトラ−O−アセチル
−β−D−グルコピラノシル)−α,α,α−トリフル
オロチミジンの製造 5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3’−
O−(2,3,4,6,−テトラ−O−アセチル−β−
D−グルコピラノシル)−α,α,α−トリフルオロチ
ミジン0.8gをジクロロメタン10mlに溶解し、ト
リフルオロ酢酸2mlを加えて室温で3時間反応した。
室温で濃縮し、クロロホルム−n−ヘキサン処理により
結晶化後エタノール−n−ヘキサンから再沈澱し、得ら
れた結晶をもn−ヘキサンで洗浄して標記化合物0.4
1gを得た。得られた化合物の分析結果は第一表に示す
通りであった。(化合物番号6)
【0021】
【表1】
【0022】試験例 上記製造方法により得た種々のトリフルオロチミジン誘
導体の血漿中濃度の時間推移、抗腫瘍効果及び毒性の薬
理試験結果として体重減少と小腸絨毛長を比較し、本発
明化合物の有用性を説明する。
【0023】試験例 1 血漿中濃度の時間推移の測定方法 動物;5週令雌性CDF1マウス(SPF)を1週間の
予備飼育後に用いた。 薬物投与及び抽出;本試験は1群5匹として試験を行っ
た。被検薬物は、メノウ乳鉢を用い0.1%Tween
80加0.5%カルボキシメチルセルロースに懸濁し
た。被検薬80mg/kgを経口投与した後、15分、
30分、1時間、2時間、4時間、8時間、24時間後
に、クロロホルムで麻酔したマウスから心臓採血を行っ
た。遠心操作により分取した血漿200μlに蒸留水2
00μl、5−FU 5μg、酢酸エチル4mlを添加
した後、振盪、遠心を行った。次いで酢酸エチル層3m
lを別の試験管に移し、窒素気流下で蒸発乾固を行っ
た。その残渣に200μlの50%アセトニトリル、2
5mMリン酸ナトリウム(pH4.0)を加え溶解した
後、不溶物を遠心除去し、上清を分取した。 HPLCによる分析;上記上清20μlを核酸分析用ゲ
ル濾過カラム(Asahipak GS−320H)を
用いてHPLCによる分析に供した。分析は流速0.5
ml/min、波長254nmの吸光度を測定すること
により行った。移動層としては50%アセトニトリル、
25mMリン酸ナトリウム(pH4.0)を用いた。F
3Thd及びその誘導体の定量はクロマトパックC−R
6Aを用いて絶対検量線法により行った。 得られた結果は第一図に示した通りであり、急激な増加
及び減少を伴うことなく緩慢で持続的にF3Thdを放
出していることが分かる。
【0024】
【図1】
【0025】試験例 2 抗腫瘍活性値の測定方法 1)投与方法;被検体は、メノウ乳鉢を用い、0.1%
Tween80加0.5%カルボキシメチルセルロース
液にて均一な懸濁液とした。投与は経口ゾンデにより強
制経口投与を行った。 2)使用動物;6週令雌性CDF1マウスを用いた。 3)使用腫瘍;Meth A フィブロザルコーマ 4)試験方法;マウス右側腹部皮下に2×106個の腫
瘍細胞を移植した。その翌日(day1) 無作為に群分けし、経口ゾンデを用い7日間連日(da
y1−7)強制経口投与を行った。 5)抗腫瘍活性の評価;day13に腫瘍を摘出して重
量を測定し、腫瘍増殖率(T/C%)を[{(薬剤処理
群の平均腫瘍重量)÷(対照群の平均腫瘍重量)}×1
00]の式により算出した。
【0026】試験例 3 本質的な消化管に対する毒性の評価方法として、従来用
いられてきた方法に加えて腸管絨毛長の測定を行った。 毒性値の測定方法 1)体重変化 初回投与前と最終投与翌日に体重を測定し体重変化を比
較した。 2)腸管絨毛長の変化 day8に小腸を摘出して絨毛の長さを測定し、変化率
(T/C%)を[{(薬剤処理群の平均小腸絨毛長)÷
(対照群の平均小腸絨毛長)}×100]の式により算
出した。 得られた結果は第二表に示す通りであり、この結果から
本発明化合物が体重減少が殆どなく、さらに小腸絨毛長
の測定の結果から、活性の上昇に伴う本質的な消化管毒
性を与えないことが明らかである。
【0027】
【表2】
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年2月18日
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】追加
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】化合物番号6の化合物の血中動態を表した図で
ある。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正内容】
【0015】
【実施例】次に実施例によって本発明を更に詳細に説明
する。 実施例 1 3’−O−(2,3,4,6,−テトラ−O−ベンジル
−β−D−グルコピラノシル)−α,α,α−トリフル
オロチミジンの製造 a)5’−O−(t−ブチルジメチルシリル)−α,
α,α−トリフルオロチミジンの製造 α、α、α−トリフルオロチミジン197mg、クロロ
−t−ブチルジメチルシラン110mg、イミダゾール
58.9mg及びジメチルホルムアミド3.9mlの混
合物を室温で1時間撹拌した。反応終了後、濃縮しカラ
ムクロマトグラフィー(酢酸エチル−n−ヘキサン
(1:1))に付し、標記化合物220mgを得た。 b)3’−O−(2,3,4,6,−テトラ−O−ベン
ジル−β−D−グルコピラノシル)−α,α,α−トリ
フルオロチミジンの製造 5’−O−(t−ブチルジメチルシリル)−α,α,α
−トリフルオロチミジン0.5g及び2,3,4,6,
−テトラ−O−ベンジル−α−D−グルコピラノシル
トリクロロアセトイミデート0.8gをジクロロメタン
15mlに溶かし、−20℃でボラントリフルオリド
エテレート2.2mlを加え−20℃〜0℃で2.5時
間反応した。重曹水を加え、室温で30分間撹拌し、有
機層を洗浄後カラムクロマトグラフィー(酢酸エチル−
n−ヘキサン(1:1))に付し、標記化合物440m
gを得た。得られた化合物の分析結果は表1に示す通り
であった。(化合物番号1)
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】実施例 2 3’−O−(4,6−O−ベンジリデン−2,3−ジ−
O−ベンゾイル−β−D−グルコピラノシル)−α,
α,α−トリフルオロチミジンの製造 5’−O−(t−ブチルジメチルシリル)−α,α,α
−トリフルオロチミジン0.42g、4,6−O−ベン
ジリデン−2,3−ジ−O−ベンゾイル−β−D−グル
コピラノシルメチルスルフィド0.42g及びモルキュ
ラー シーブス(4A)1gをエーテル20mlにけん
だくし、メチル トリフルオロメタンスルフォネート
0.54gを加え、室温で終夜反応した。反応後濾過
し、濾液を濃縮後テトラヒドロフラン10m1及びテト
ラ−n−ブチルアンモニウム フルオリド(1Mテトラ
ヒドロフラン溶液)2mlを加えて1時間反応した。反
応終了後、濃縮してカラムクロマトグラフィー(酢酸エ
チル−n−ヘキサン(1:1))に付し、標記化合物7
7mgを得た。得られた化合物の分析結果は表1に示す
通りであった。(化合物番号2)
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】実施例 3 3’−O−(4,6−O−ベンジリデン−3−O−ベン
ゾイル−2−デオキシ−2−フタロイルアミノ−D−グ
ルコピラノシル)−α,α,α−トリフルオロチミジン
の製造 5’−O−(t−ブチルジメチルシリル)−α,α,α
−トリフルオロチミジン0.34g、2−デオキシ−2
−フタロイルアミノ−4,6−O−ベンジリデン−3−
O−ベンゾイル−β−D−グルコピラシルメチルスルフ
ィド0.54g、メチル トリフルオロメタンスルフォ
ネート0.54g及びエーテル18mlを用いて実施例
2と同様に処理し、標記化合物20mgを得た。得ら
れた化合物の分析結果は表1に示す通りであった。(化
合物番号3)
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】変更
【補正内容】
【0018】実施例 4 5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3’−
O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−β−D
−グルコピラノシル)−α,α,α−トリフルオロチミ
ジンの製造 a)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−
α,α,α−トリフルオロチミジンの製造 α,α,α−トリフルオロチミジン2gをピリジン10
mlに溶解し、4,4’−ジメトキシトリチルクロリド
2.7gを加え、遮光下室温にて終夜反応した。メタノ
ール20mlを加え、室温で2時間反応後、減圧下室温
で濃縮した。残渣をクロロホルム100mlに溶かした
後2回水洗して乾燥し、濃縮して得た油状物をカラムク
ロマトグラフィー(ジクロロメタン−n−ヘキサン
(1:1)に5%ピリジンを加えたものをメタノールで
グラジエントして用いた)で精製後、n−ヘキサン−エ
ーテルで結晶化させ標記化合物2.35gを得た。 b)5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−
3’−O−(2,3,4,6−テトラ−O−アセチル−
β−D−グルコピラノシル)−α,α,α−トリフルオ
ロチミジンの製造 5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−α,
α,α−トリフルオロチミジン662mg及び2,3,
4,6,−テトラ−O−アセチル−β−D−グルコピラ
ノシルブロミド400mgをジクロロメタン8mlと
2,4,6−コリジン0.13mlの混合溶媒に溶解
し、遮光下に0℃で過塩素酸銀0.21gを加えて室温
で8時間激しく撹拌した。反応終了後クロロホルム50
mlを加え、不溶の銀塩を濾去し、0.1規定塩酸及び
重曹水で洗浄した。濃縮後カラムクロマトグラフィー
(メタノール−クロロホルム(1:40))で精製し、
標記化合物0.74gを得た。得られた化合物の分析結
果は表1に示す通りであった。(化合物番号4)
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】実施例 5 β−D−グルコピラノシル−α,α,α−トリフルオロ
チミジンの製造 5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3’−
O−(2,3,4,6,−テトラ−O−アセチル−β−
D−グルコピラノシル)−α,α,α−トリフルオロチ
ミジン0.74gをメタノール10mlに溶かし、ナト
リウム メトキシド(28%メタノール溶液)を一滴加
えて室温にて1時間撹拌した。次いで過剰の酸性イオン
交換樹脂(Amberlite;IR120)を加えて
1時間撹拌した。反応終了後、濾過して濃縮後カラムク
ロマトグラフィー(メタノール−クロロホルム(1:4
0))で精製し、更にn−ヘキサン−クロロホルムで結
晶化して標記化合物0.27gを得た。得られた化合物
の分析結果は表1に示す通りであった。(化合物番号
5)
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正内容】
【0020】実施例 6 3’−O−(2,3,4,6,−テトラ−O−アセチル
−β−D−グルコピラノシル)−α,α,α−トリフル
オロチミジンの製造 5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)−3’−
O−(2,3,4,6,−テトラ−O−アセチル−β−
D−グルコピラノシル)−α,α,α−トリフルオロチ
ミジン0.8gをジクロロメタン10mlに溶解し、ト
リフルオロ酢酸2mlを加えて室温で3時間反応した。
室温で濃縮し、クロロホルム−n−ヘキサン処理により
結晶化後エタノール−n−ヘキサンから再沈澱し、得ら
れた結晶をもn−ヘキサンで洗浄して標記化合物0.4
1gを得た。得られた化合物の分析結果は表1に示す通
りであった。(化合物番号6)
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】試験例 1 血漿中濃度の時間推移の測定方法 動物;5週令雌性CDFマウス(SPF)を1週間の
予備飼育後に用いた。 薬物投与及び抽出;本試験は1群5匹として試験を行っ
た。被検薬物は、メノウ乳鉢を用い0.1%Tween
800.5%カルボキシメチルセルロースに懸濁し
た。被検薬80mg/kgを経口投与した後、15分、
30分、1時間、2時間、4時間、8時間、24時間後
に、クロロホルムで麻酔したマウスから心臓採血を行っ
た。遠心操作により分取した血漿200μlに蒸留水2
00μl、5−FU(フルオロウラシル)5μg、酢酸
エチル4mlを添加した後、振盪、遠心を行った。次い
で酢酸エチル層3mlを別の試験管に移し、窒素気流下
で蒸発乾固を行った。その残渣に200μlの50%ア
セトニトリル、25mMリン酸ナトリウム(pH4.
0)を加え溶解した後、不溶物を遠心除去し、上清を分
取した。 HPLCによる分析;上記上清20μlを核酸分析用ゲ
ル濾過カラム(Asahipak GS−320H(旭
化成工業(株)))を用いてHPLCによる分析に供し
た。分析は流速0.5ml/min、波長254nmの
吸光度を測定することにより行った。移動層としては5
0%アセトニトリル、25mMリン酸ナトリウム(pH
4.0)を用いた。FThd及びその誘導体の定量は
クロマトパックC−R6A(島津製作所)を用いて絶対
検量線法により行った。得られた結果のうち化合物番号
6の化合物の血中動態は図1に示した通りであり、急激
な増加及び減少を伴うことなく緩慢で持続的にFTh
dを放出していることが分かる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】試験例 2 抗腫瘍活性値の測定方法 1)投与方法;被検体は、メノウ乳鉢を用い、0.1%
Tween800.5%カルボキシメチルセルロース
液にて均一な懸濁液とした。投与は経口ゾンデにより強
制経口投与を行った。 2)使用動物;6週令雌性CDFマウスを用いた。 3)使用腫瘍;Meth A フィブロザルコーマ 4)試験方法;マウス右側腹部皮下に2×10個の腫
瘍細胞を移植した。その翌日(day1)無作為に群分
けし、経口ゾンデを用い7日間連日(day1−7)強
制経口投与を行った。 5)抗腫瘍活性の評価;day13に腫瘍を摘出して重
量を測定し、腫瘍増殖率(T/C%)を[{(薬剤処理
群の平均腫瘍重量)÷(対照群の平均腫瘍重量)}×1
00]の式により算出した。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】試験例 3 本質的な消化管に対する毒性の評価方法として、従来用
いられてきた方法に加えて腸管絨毛長の測定を行った。 毒性値の測定方法 1)体重変化 初回投与前と最終投与翌日に体重を測定し体重変化を比
較した。 2)腸管絨毛長の変化 day8に小腸を摘出して絨毛の長さを測定し、変化率
(T/C%)を[{(薬剤処理群の平均小腸絨毛長)÷
(対照群の平均小腸絨毛長)}×100]の式により算
出した。 得られた結果は表2に示す通りであり、この結果から本
発明化合物が体重減少が殆どなく、さらに小腸絨毛長の
測定の結果から、活性の上昇に伴う本質的な消化管毒性
を与えないことが明らかである。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正内容】
【0027】
【表2】
【手続補正13】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】追加
【補正内容】
【図1】
フロントページの続き (72)発明者 岩田 大二 千葉県茂原市東郷1900番地の1 三井東圧 化学株式会社内 (72)発明者 中西 理 千葉県茂原市東郷1900番地の1 三井東圧 化学株式会社内 (72)発明者 矢野 理 千葉県茂原市東郷1900番地の1 三井東圧 化学株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)[化1] 【化1】 (式中、R1は水素原子、置換シリル基または置換もし
    くは置換されていないトリチル基を表し、R2はアルド
    ース残基、または低級アシル基、置換もしくは置換され
    ていないベンゾイル基、アリールメチル基及びベンジリ
    デン基のいずれかで置換されたアルドース残基またはフ
    タロイルアミノ基で置換されたデオキシアルドース残基
    を表す)で表されるトリフルオロチミジン誘導体。
  2. 【請求項2】 一般式(1)[化2] 【化2】 (式中、R1は置換シリル基または置換もしくは置換さ
    れていないトリチル基を表し、R2の定義は前記に同
    じ。)で表されるトリフルオロチミジン誘導体の製造に
    おいて、一般式(2)[化3] 【化3】 (式中、R1は置換シリル基または置換もしくは置換さ
    れていないトリチル基を表す。)で表されるトリフルオ
    ロチミジン誘導体と一般式(3) R2−Y (3) (式中、R2の定義は前記と同じであり、Yはハロゲン
    原子、低級アルキル基で置換されたスルフィドを表す)
    または一般式(4)[化4] 【化4】 (式中、R2の定義は前記に同じ)で表されるアルドー
    ス誘導体とを反応させることを特徴とする一般式(1)
    で表される化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項2において、さらに反応後R1を水
    素原子に置き換えることを特徴とする一般式(1)で表
    される化合物(但しR1は水素原子である)の製造方
    法。
  4. 【請求項4】請求項2において、さらに反応後R2から
    低級アシル基、または置換もしくは置換されていないベ
    ンゾイル基を外した後、直ちにR1を水素原子に置き換
    えることを特徴とする一般式(1)で表される化合物
    (但しR1は水素原子、R2はアルドース残基を表す)の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 一般式(1)[化5] 【化5】 (式中、R1は水素原子、置換シリル基または置換もし
    くは置換されていないトリチル基を表し、R2の定義は
    前記に同じ)で表されるトリフルオロチミジン誘導体を
    含有する抗腫瘍剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109959733A (zh) * 2017-12-22 2019-07-02 大鹏药品工业株式会社 源自曲氟尿苷及/或替吡嘧啶的类似物质的检测方法

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