JPH0517329U - 高温溶融炉における排気ダクトのダスト除去装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 排気ダクト２の鉛直部2a内上方にアーム部材
８を鉛直軸心回りで回転自在に支持するとともに、この
アーム部材８を回転させる駆動用モータ７を設け、アー
ム部材８に、排気ダクト２の内壁面に沿ってダスト掻落
とし用のチェーン９を吊持させた高温溶融炉における排
気ダクトの閉塞防止装置である。 【効果】 排気ダクトの内壁面に沿ってダスト掻落とし
用のチェーンを回転させるようにしたので、容易にかつ
連続的にダストの除去を行うことができ、しかも従来の
ように、掃除穴からダストを除去する場合と異なり、排
気ダクト内を外部に開放する必要がないので、燃焼また
は温度制御に悪影響を与えることがなくなるとともに、
圧力損失の増大による運転停止の心配もない。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、廃棄物或は廃棄物焼却灰の減容或は無害化させる溶融炉、または石 炭高温ガス化炉（石炭灰溶融抜き出し炉）、または製鋼用電気炉などの高温溶融 炉における排気ダクトのダスト除去装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

上記のような高温溶融炉、例えば廃棄物焼却灰などの固形物を高温溶融させる 際に、多量の酸化または分解ガスが発生するとともに、そのガスの発生に伴って 微粒子状のダストが飛散し、排気ガスと一緒にダストも排出されていた。

【０００３】 また、このダストは、溶融または半溶融状態にあるため、排気ダクト内壁面へ の付着性が強く、内壁面に堆積していた。 従来、この堆積したダストを除去するために、図４に示すように、高温溶融炉 ５１における排気ダクト５２の適当箇所に、掃除穴（図示せず）を形成しておき 、そして運転中に、または装置自体を停止させて、掃除穴から掻落とし棒を挿入 して排気ダクト５２の内壁面に付着したダストを掻き落としたり、または高速ジ ェット流を吹き付けてダストを除去していた。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記従来のダスト除去方法によると、掃除穴を間欠的に開放しなけれ ばならず、この時、炉内圧力が変動して炉内の燃焼または温度制御が困難になる とともに、付着性の強いダストの除去を完全に行うことができず、圧力損失が増 大して運転を停止しなければならないという問題があった。

【０００５】 そこで、本考案は上記問題を解消し得る高温溶融炉における排気ダクトのダス ト除去装置を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記課題を解決するため、本考案の第１の手段は、溶融炉本体内で発生した排 気ガスを排出するための排気ダクトのダスト除去装置であって、排気ダクトの鉛 直部内上方にアーム部材を鉛直軸心回りで回転自在に支持するとともに、このア ーム部材を回転させる回転駆動装置を設け、上記アーム部材に、排気ダクトの内 壁面に沿ってダスト掻き落とし用の掻落とし具を吊持させた高温溶融炉における 排気ダクトの閉塞防止装置である。

【０００７】 また、上記課題を解決するため、本考案の第２の実施例は、溶融炉本体内で発 生した排気ガスを排出するための排気ダクトのダスト除去装置であって、排気ダ クトの内部に、環状の掻落とし具を配置するとともに、この掻落とし具を排気ダ クト内壁面に沿って往復移動させる移動装置を設けた高温溶融炉における排気ダ クトの閉塞防止装置である。

【０００８】

【作用】

上記の構成によると、溶融炉本体内で発生したダストは排気ガスと一緒に排気 ダクトを経て排気ガス処理装置に導入されるが、この時、排気ダクト内に入った ダストは排気ダクトの内壁面に付着する。そして、この内壁面に付着したダスト は、排気ダクトの内壁面に沿って配置された掻落とし具が回転または往復移動さ れることにより、連続的に掻き落とされる。

【０００９】

【実施例】

以下、本考案の第１の実施例を図１に基づき説明する。 図１において、１は例えば廃棄物の焼却灰などを加熱溶融させる高温溶融炉の 溶融炉本体で、その上壁部１ａには、溶融炉本体１内で発生した排気ガスを排気 ガス処理装置（図示しないが、例えば集塵器など）に導くための断面円形状の排 気ダクト２が接続されている。

【００１０】 この排気ダクト２の上壁部１ａに接続されている部分は、所定高さに亘って立 ち上げられて鉛直部２ａにされ、その上方部は水平部２ｂにされるとともにその 先端は上述したように排気ガス処理装置に接続されている。

【００１１】 また、この排気ダクト２の高温部、すなわち少なくとも鉛直部２ａは、二重壁 構造にされるとともにこの二重壁内に冷却水が供給されて、冷却ジャケットが形 成されている。なお、３は冷却水供給管、４は冷却水排出管である。

【００１２】 そして、上記排気ダクト２の鉛直部２ａの上部、すなわち排気ダクト２の屈曲 部水平箇所には、軸受５を介して鉛直方向の回転軸体６が回転自在に挿通支持さ れるとともに、その上端には駆動用モータ（回転駆動装置）７が接続され、また その下端には水平方向でアーム部材８が取り付けられている。

【００１３】 このアーム部材８の一端部には、排気ダクト２の鉛直部２ａ内壁面に沿ってダ スト掻き落とし用のチェーン（掻落とし具の一例で、例えばワイヤーでもよい） ９が鉛直部２ａの下端位置まで吊持されている。なお、アーム部材８の他端部に はバランスウエイト１０が吊持されている。

【００１４】 上記構成において、溶融炉本体１内で発生した排気ガスは、排気ダクト２の鉛 直部２ａ内に入った後、水平部２ｂを介して排気ガス処理装置に導かれる。 そして、この時、鉛直部２ａ内に吊持されたチェーン９が、駆動用モータ７に より内壁面に沿って回転され、内壁面に付着したダストが掻き落とされる。

【００１５】 また、排気ダクト２の内壁面は、水冷ジャケット内を流れる冷却水により、冷 却されて温度が下げられ、溶融または半溶融状態のダストの付着性が弱められて いる。

【００１６】 このように、排気ダクト２の鉛直部２ａ内に吊持されたチェーン９を、駆動用 モータ７により内壁面に沿って回転させるだけで、容易にダストの除去を連続的 に行うことができ、しかも従来のように、掃除穴からダストを除去する場合と異 なり、排気ダクト２内を外部に開放する必要がないので、燃焼または温度制御に 悪影響を与えることがなくなるとともに、圧力損失の増大による運転停止の心配 もない。

【００１７】 次に、本考案の第２の実施例を図２に基づき説明する。 上記第１の実施例においては、排気ダクト２の鉛直部２ａ内にチェーン９を吊 持するとともに回転させることにより、その内壁面に付着したダストを掻き落と すようにしたが、本第２の実施例においては、円環状の掻落とし具を、上下方向 で移動させることにより、ダストを除去するようにしたものである。

【００１８】 すなわち、排気ダクト２の鉛直部２ａの上壁部からウインチ装置（移動装置） １１を介してチェーン（ワイヤーでもよい）１２が垂下されるとともに、このチ ェーン１２の先端部に、帯板で構成された円環状の掻落とし板（円環状の掻落と し具）１３がアーム部材１４を介して連結されている。なお、１５はチェーン１ ２の案内滑車、１６はチェーン１２の下端に取り付けられた錘である。

【００１９】 したがって、ウインチ装置１１により、チェーン１２を介して掻落とし板１３ を上下方向で移動させると、すなわち昇降させると、排気ダクト２の鉛直部２ａ の内壁面に付着したダストは、容易にかつ連続的に除去される。この装置は、付 着性が強いダストの場合に、非常に有効である。

【００２０】 次に、本考案の第３の実施例を、図３に基づき説明する。 上記各実施例においては、排気ダクト２の鉛直部２ａに付着したダストを除去 する場合について説明したが、この第３の実施例においては、鉛直部２ａと水平 部２ｂの両方の部分に付着したダストを除去するようにしたものである。

【００２１】 すなわち、鉛直部２ａについては、第２の実施例と同様に、帯板で構成された 円環状の第１掻落とし板２１が、チェーン（ワイヤーでもよい）２２を介してウ インチ装置（移動装置）２３により昇降自在に設けられ、また水平部２ｂについ ては、帯板で構成された円環状の第２掻落とし板２４が、往復駆動装置（移動装 置の一例で、例えばリニア駆動装置が使用される）２５により水平方向で出退自 在にされた出退棒２６の先端部に連結されている。

【００２２】 なお、この場合、排気ダクト２の鉛直部２ａの上方には、第１掻落とし板２１ の収納部２ｃが設けられるとともに、水平部２ｂの一端部には、第２掻落とし板 ２４の収納部２ｄが設けられている。これは、一方の掻落とし板が使用されてい る時に、その使用に邪魔にならないように、他方の掻落とし板をその収納部に待 避させておくためである。

【００２３】 したがって、第２掻落とし板２４を、水平部２ｂの収納部２ｄ内に待避させた 状態で、ウインチ装置２３により第１掻落とし板２１を昇降させれば、鉛直部２ ａ内壁面に付着したダストを掻き落とすことができ、また逆に、第１掻落とし板 ２１を、鉛直部２ａの収納部２ｃ内に待避させた状態で、往復移動装置２５によ り第２掻落とし板２４を水平方向で往復移動させれば、水平部２ｂの内壁面に付 着したダストを取り除くことができる。

【００２４】 なお、図中、２７は排気ダクト２の水平部２ｂの他端部に接続された排気ガス 処理装置（例えば集塵器）であり、またこの場合の排気ダクト２の高温部につい ても、水冷ジャケットにされている。

【００２５】 また、上記第２掻落とし板２４を往復移動させるのに、往復移動装置２５によ り出退棒２６を往復移動させるようにしたが、ラック・ピニオン機構を有する駆 動装置を使用してもよく、またシリンダー装置などを使用してもよい。

【００２６】

【考案の効果】

以上のように本考案の構成によると、排気ダクトの内壁面に沿ってダストの掻 落とし具を回転または移動させるようにしたので、容易にかつ連続的にダストの 除去を行うことができ、しかも従来のように、掃除穴からダストを除去する場合 と異なり、排気ダクト内を外部に開放する必要がないので、燃焼または温度制御 に悪影響を与えることがなくなるとともに、圧力損失の増大による運転停止の心 配もない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１の実施例におけるダスト除去装置
の概略構成を示す断面図である。

【図２】本考案の第２の実施例におけるダスト除去装置
の概略構成を示す断面図である。

【図３】本考案の第３の実施例におけるダスト除去装置
の概略構成を示す断面図である。

【図４】従来例におけるダストの除去方法を説明する高
温溶融炉の概略断面図である。

【符号の説明】

１ 溶融炉本体 １ａ 上壁部 ２ 排気ダクト ２ａ 鉛直部 ２ｂ 水平部 ６ 回転軸体 ７ 駆動用モータ ８ アーム部材 ９ チェーン １１ ウインチ装置 １２ チェーン １３ 掻落とし板 ２１ 第１掻落とし板 ２２ チェーン ２３ ウインチ装置 ２４ 第２掻落とし板 ２５ 往復駆動装置

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】溶融炉本体内で発生した排気ガスを排出す
   るための排気ダクトのダスト除去装置であって、排気ダ
   クトの鉛直部内上方にアーム部材を鉛直軸心回りで回転
   自在に支持するとともに、このアーム部材を回転させる
   回転駆動装置を設け、上記アーム部材に、排気ダクトの
   内壁面に沿ってダスト掻き落とし用の掻落とし具を吊持
   させたことを特徴とする高温溶融炉における排気ダクト
   のダスト除去装置。
2. 【請求項２】溶融炉本体内で発生した排気ガスを排出す
   るための排気ダクトのダスト除去装置であって、排気ダ
   クトの内部に、環状の掻落とし具を配置するとともに、
   この掻落とし具を排気ダクト内壁面に沿って往復移動さ
   せる移動装置を設けたことを特徴とする高温溶融炉にお
   ける排気ダクトのダスト除去装置。