JPH0517326Y2 - - Google Patents

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JPH0517326Y2
JPH0517326Y2 JP8995488U JP8995488U JPH0517326Y2 JP H0517326 Y2 JPH0517326 Y2 JP H0517326Y2 JP 8995488 U JP8995488 U JP 8995488U JP 8995488 U JP8995488 U JP 8995488U JP H0517326 Y2 JPH0517326 Y2 JP H0517326Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕 本考案は、自動車用バンパーの芯材に関するも
のである。近年、エネルギー消費の効率化を目的
として自動車の軽量化が図られ、素材産業の発達
ともあいまつて、自動車用部材に種々のプラスチ
ツクが利用されている。本考案はエネルギー吸収
効率にすぐれた密度の異なる、プロピレン系重合
体の発泡成形体からなる、自動車用バンパーの芯
材を提供しようとするものである。 〔従来の技術および課題〕 自動車用バンパーの芯材としてプラスチツク発
泡体を使用することは、これまでも数多く提案さ
れている。例えばポリ(スチレン−エチレン)共
重合体の発泡成形体を素材とする特開昭第57−
40136号、実開昭第55−163254号、ポリプロピレ
ン発泡成形体を素材とする特開昭第60−189660
号、これらの樹脂の密度の異なる樹脂発泡体を素
材とする実開昭第60−70165号、実開昭第62−
60457号、実開昭第62−29964号、実開昭第62−
29965号、実開昭第62−100252号等があり、また、
自動車技術、35巻8号(1981)971頁にも、ウレ
タンバンパーについての紹介がある。しかし、こ
れらのいずれも、未だ自動車用バンパーの芯材と
しては、十分の特性を備えていない。 バンパーの芯材に要求される性能は、衝撃時の
圧縮応力およびエネルギー吸収力およびエネルギ
ー吸収効率が大きく、しかも衝撃力を除去した後
は、変形がすみやかに回復し、衝撃前の状態にで
きるだけ復元することおよび軽量であることであ
る。 かかる要求性能を調査する方法として、第4図
に示すような圧縮応力と圧縮歪みの相関図を求
め、発泡体の50%圧縮等の圧縮応力Aが1Kg/cm2
以上、エネルギー吸収効率(曲線OB、直線OCお
よびBCにより囲まれるOBCの面積÷四角形
OABCの面積)が大きい(50%以上)ことを確
認する。OBCの面積をエネルギー吸収量という。 一般にバンパー芯材素材が単一素材の発泡体の
場合、発泡体の密度が大きい(発泡倍率が小さ
い)程、圧縮応力が大きく、エネルギー吸収量は
大きい。 したがつて、発泡体の密度の大きいものを芯材
として用いるのが好ましいが、芯材自体の自重が
重くなるとともに、衝突時の発生荷重が増加(圧
縮応力が大)するので、車体側に伝わる衝撃荷重
が大きくなる。そのため車体の構造材料の強度を
大きくする必要があり、ひいては車体材料の肉厚
を大きくすることになるので、自動車の軽量化の
面からみると、発泡体芯材の密度を大きくするに
も制限がある。 かかる課題を解決する手段として、実開昭第62
−29964号は、ポリオレフイン系樹脂発泡体より
なる自動車用バンパー芯材であつて、密度が
0.015〜0.1g/cm3の発泡体層の内部に、密度0.1〜
1.5g/cm3の合成樹脂成形体を埋設してなり、かつ
上記発泡体層の重量と合成樹脂成形体の重量との
比が50/1〜1/1であることを特徴とする、自
動車用バンパー芯材を提案している。 しかしながら、このバンパー芯材は、外側がす
べて密度の小さい(0.015〜0.1g/cm3)発泡体で
あるため、発泡体の応力が小さいく、衝突時の発
生荷重により芯材が変形し、変形が回復しないこ
とがしばしばある。 また、実開昭第62−125651号は、比重の異なる
2種以上のウレタンフオームを用い、衝突時に最
初に当たる部分(芯材の衝撃受面側)を比重の大
きい(発泡倍率の小さい)発泡体としたバンパー
芯材を提案している。 このバンパー芯材においては、衝突時の発生荷
重が大きくなるので、車体の材料、例えばバンパ
ーの芯材の取付け板や治具等を厚肉にする必要が
ある。 本考案者等は鋭意研究の結果、特定の密度範囲
のプロピレン系重合体よりなる発泡体を、特定構
造に組み合わせることにより、極めて優れたエネ
ルギー吸収効率を示す、自動車用バンパーの芯材
が得られることを見いだしたものである。 〔課題を解決するための手段〕 本考案は、衝突時の発生荷重は小さく、かつ、
変形の小さなバンパー芯材を提供することを目的
とする。 すなわち本考案は、密度0.030〜0.100g/cm3
高密度発泡体Aおよび密度0.015〜0.08g/cm3の低
密度発泡体Bからなり、かつ発泡体Aと発泡体B
の密度差が0.01g/cm3以上である、密度の異なる
2種類のプロピレン系重合体の発泡体を組合わせ
てなる、自動車用バンパーの芯材であつて、高密
度発泡体Aが少なくとも2カ所に分散し、バンパ
ー芯材としてセツトされた状態で、少なくとも1
個が中心線より上半分に、1個が下半分に位置す
るように設けられた構造の、自動車用バンパーの
芯材を提供する(第1図)。 その際、さらにバンパー芯材先端部における実
質衝撃受圧面積において、高密度発泡体Aの実質
衝撃受圧面積の比率が10〜50%であることも、有
効な改良因子である。 ここで実質衝撃受圧面積とは、バンパーに衝撃
負荷がかかるとき、その衝撃を受ける実質面積で
ある。実際の衝撃は多方面から起こる可能性もあ
るが、本考案においては、最も衝撃を受ける確率
の高い自動車の中心線に垂直なバンパー断面とす
る。また、通常のバンパーは必ずしも直方体では
なく、デザイン、はめ合わせなどを考慮して、曲
線部分、テーパー部分、肉ぬすみ部分などがあ
り、すべての面で均一な断面を有していないが、
上記の垂直断面において、中心線方向に荷重をか
けた場合、車体にそのまま力が伝わる部分の総面
積を意味する。例えば、第2図においては、A−
A′の断面が実質衝撃受圧面積であり、第3図に
おいては、A1−A1′およびA2−A2′の和が実質衝
撃受圧面積である。 ここでエネルギー吸収効率とは、エネルギー吸
収体(バンパー芯材)に圧縮負荷をかけ、第4図
に示すような、応力−歪み曲線O〜Bを得たと
き、四角形OABCの面積に対する斜線部OBCの
面積の比率をエネルギー吸収効率といい、この値
が大なるほどバンパー芯材としてのエネルギー吸
収が良い。 曲線OBは吸収体の材質で変わる。比較的高密
度高強度発泡体を使用すると、面積OBCは増加
するが、B点(またはA点)の応力(衝突時に受
ける最大荷重)も増加し、車体本体への負荷が増
加してしまうため、車体の強度を上げる必要を生
じ、コストアツプになり好ましくない。 理想的な応力−歪み曲線は、第5図に示すよう
に、衝突の初期には急激に応力が増加し、運転
者、車体に安全な範囲のある一定の値の点D近傍
から緩やかな曲線でBに達する、いいかえると応
力の増加がなく歪みの増加のみが起こるようにす
るものである。このようにすると、全体として面
積ODBCの大きい、すなわちエネルギー吸収効率
の大きいバンパー特性が得られる。 本考案においては、プロスチツク発泡体を使用
し、その複合化を図ることにより、前述の理想曲
線に出来るだけ近付けるようにした。すなわち、
比較的高密度発泡体Aと比較的低密度発泡体Bと
を組み合わせ、衝撃発生の初期OD間にはA部材
により高いヤング率(ヤング率=応力/歪み)を
示し、D付近でA部材が座屈することにより、ヤ
ング率が急激に低下し、Bに到るようにした。 上述の目的を達成するためには、部材の選択お
よびその配置の設計が必要である。 (部材の材質) このような発泡体を選択することにより、前述
したような、衝撃発生時の初期には高いヤング率
を示し、圧縮負荷の途中で座屈し、なおかつ破壊
しない特性を出すためには、靱性も要求される。
このためには、発泡ポリスチレンや硬質ウレタン
ではそのような特性を出すことができない。 したがつて、本考案で使用する部材としては、
プラスチツク発泡体とりわけ耐熱性の優れるプロ
ピレン系重合体の発泡体であることが好ましい。
しかも、その高密度発泡体と低密度発泡体とを複
合化することにより、最も好ましい特性を得るこ
とができる。 プロピレン系重合体としては、プロピレンの単
独重合体、プロピレンを主成分とし、これとエチ
レン、ブテン−1、ヘキセン−1,4−メチル−
ペンテン−1等のα−オレフインより選ばれたも
のの1種または2種以上との共重合体、プロピレ
ン・エチレンブロツク共重合体等が利用できる。 (高密度発泡体 A) 本考案に使用する高密度発泡体Aは、衝撃初期
の負荷の大部分を吸収する働きを吸収するもので
あり、比較的高いヤング率を有するものである。
本考案の複合体においては、密度範囲0.030〜
0.100g/cm3、好ましくは、0.05〜0.08g/cm3の密度
範囲のものである。 (低密度発泡体 B) 本考案の低密度発泡体Bは、バンパー心材の実
質の形状を保持し、高密度発泡体Aを複合して、
主として座屈後の負荷を吸収し、緩衝する働きを
するものである。本考案においては、密度範囲
0.015〜0.08g/cm3、好ましくは、0.025〜0.06g/
cm3である。 本考案においては、また高密度発泡体Aと低密
度発泡体Bとの密度の差も重要なことである。こ
のことにより、本考案が意図する衝撃初期の負荷
の大部分を吸収する高ヤング率と、一定の負荷以
上を緩衝する低ヤング率の組み合わせが達成され
る。 本考案においては、両者の密度の差は0.01g/
cm3以上、より好ましくは0.015g/cm3以上あること
が好ましい。 (部材の配置) 本考案においては、高密度発泡体Aの部材は、
バンパー芯材の高さ方向において、上半分および
下半分に分割して配置されていることが必要であ
る。すなわち、自動車用が物体と衝突する場合、
衝突する相手により大別して次の3つの場合に分
けられる。 a 全面に負荷がかかる場合 第6図−a b 上の部分に負荷がかかる場合 第6図−b c 下の部分に負荷がかかる場合 第6図−c この可能性を考慮し、いずれの場合にも対応で
きるようにすると、高密度発泡体Aの部材は、上
半分および下半分に分割されて配置されているこ
とが好ましい。 (部材使用割合) 前述の目的を達成するためには、高密度発泡体
Aの部材および低密度発泡体Bの部材の使用割合
の選択も重要である。すなわち、高密度発泡体A
の部材の強度があまりに高ぎると、最大応力が増
加し、車体にその応力が伝わり好ましくない。ま
たその強度が低すぎると、当然のことながら補強
効果があがらない。このために、全体の実質衝撃
受圧面積中にしめる、高密度発泡体A部材の受圧
面積の割合は、10〜50%、好ましくは、20〜40%
である。 以下、実施例により本考案をさらに詳細に説明
する。 〔実施例 1〕 本考案のバンパー芯材ならびに対象用の芯材
1,2および3の4種類の試験用バンパー芯材
(長さ1500mm、幅100mm、高さ190mm)を作成し、
静的圧縮試験を行つた。試験用バンパーは、第7
図に示す基本断面形状により作成され、芯材の部
材の密度、実質受圧面積、および寸法は次のとお
りであつた。
【表】 これらの芯材の製造に使用したプラスチツク発
泡体は、エチレン含量が2.6重量%、プロピレン
含量が97.4重量%、メルトインデツクスが4g/10
分のプロピレン・エチレン共重合体を素材とした
ものである(特開昭第62−26145号、同63−4940
号)。 これらの試験用芯材を次の条件で試験した。 試験機 インストロン社万能試験機 圧縮速度 10mm/分 雰囲気温度 23℃ 雰囲気湿度 50%R.H. 以上の測定から得られた応力−歪み曲線から計
算されるエネルギー吸収効率および50%歪み時の
圧縮応力は、次のとおりであつた。
〔実施例 2〕
同様にして、実施例1における本考案品の高密
度発泡体Aの密度を0.040g/cm3にした以外は同様
の条件で試験を行つた。エネルギー吸収効率は向
上しなかつた。 また、実施例1における本考案品と同じA,B
部材を使用し、Aの実質受圧面積を5%とした以
外は、同様の条件で試験を行つた。みるべき改良
はなかつた。 実施例 3 第1図bおよび第1図cに示すように、密度が
0.075g/cm3、高さ22mm、長さ300mm、幅100mmの高
密度発泡体A(プロピレン・エチレン共重合体)
を複数個バンパー芯材の上端面ならびに下端面よ
り30mmの位置に隣との距離が30mmとなるように、
かつ上下間の距離は86mmにして、密度が0.028g/
cm3の低密度発泡体B(プロピレン・エチレン共重
合体)製バンパーの基体の空所に挿入して、バン
パー芯材を得た(Aの受圧面積21%、芯材の平均
密度0.038g/cm3)。 このバンパー芯材を試験したところ、エネルギ
ー吸収効率は68%,50%歪み時の圧縮応力は約
2.9Kg/cm2であつた。 〔考案の効果〕 本考案は、以上のとおり高密度発泡体Aからな
る部材を、上下2つの部分に分けて低密度発泡体
Bと複合して構成した自動車用バンパーの芯材で
あるので、エネルギー吸収効率が高く、かつ車体
強度との関係で適切な最大負荷に止どめ得るもの
である。また全体が発泡プラスチツクから構成さ
れているので、バンパーの重量が軽く、自動車の
軽量化、消費エネルギーの軽減化に貢献するもの
である。
【図面の簡単な説明】
第1図aおよび第1図bは、本考案のバンパー
芯材の一例を示す斜視図である。第1図cは第1
図bにおけるバンパー芯材の寸法を示すための部
分斜視図である。図において、Aは高密度発泡体
Aを示し、Bは低密度発泡体Bを示す。第2図
は、バンパー芯材の一例の平面図である。図にお
いて、A−A′線は、実質受圧面を示す。第3図
は、バンパー芯材の他の例の平面図である。図に
おいて、A1−A1′およびA2−A2′は実質受圧面を
示す。第4図は、バンパー芯材における応力−歪
み曲線の例を示す。第5図は、バンパー芯材にお
ける応力−歪み曲線の好ましい例を示す。第6図
a,bおよびcは、衝突時にバンパー芯材に負荷
のかかる態様を示す。第7図は、本考案の試験に
使用したバンパー用芯材の横手方向(自動車の中
心線の方向)の断面図であり、A1およびA2は高
密度発泡体Aの厚みを示し、B1,B2およびB3
低密度発泡体Bの厚みを示す。

Claims (1)

  1. 【実用新案登録請求の範囲】 1 密度0.030〜0.100g/cm3の高密度発泡体Aお
    よび密度0.015〜0.08g/cm3の低密度発泡体Bか
    らなり、かつ発泡体Aと発泡体Bの密度差が
    0.01g/cm3以上である、密度の異なる2種類の
    プロピレン系重合体の発泡体を組合わせてな
    る、自動車用バンパーの芯材であつて、高密度
    発泡体Aが少なくとも2カ所に分散し、バンパ
    ー芯材としてセツトされた状態で、少なくとも
    1個が中心線より上半分に、1個が下半分に位
    置するように設けられた構造の、自動車用バン
    パーの芯材。 2 バンパー芯材先端部における衝撃受圧面積に
    おいて、高密度発泡体Aの衝撃受圧面積の比率
    が10〜50%である、実用新案登録請求の範囲第
    1項記載の自動車用バンパーの芯材。
JP8995488U 1988-07-08 1988-07-08 Expired - Lifetime JPH0517326Y2 (ja)

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