JPH05171633A - 砂杭造成装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 十分な排土を行わせることができると共に、
掘孔の壁面を強固にして掘孔への掘削土の混入を防ぎ、
それによってきわめて良質の砂杭を造成することのでき
る砂杭造成装置を提供すること。 【構成】 外周面に排土用スクリュー５を備えた内側回
転ケーシング４に、透孔８が多数穿設されていて下端に
掘削刃９を突設した外側回転ケーシング６を外嵌すると
共に、両回転ケーシング４，６を回転駆動手段７に互い
に逆方向回転可能に連動連結し、内側回転ケーシング４
内には上端部が砂供給用ホッパー３に連通連結された固
定ケーシング１０を挿入し、この固定ケーシング１０内
に砂突き固め用の内杆１１を上下動可能に挿通して、そ
の上端部を上下駆動手段１２に連動連結してなること。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、軟弱地盤中に砂杭を造
成してその軟弱地盤を改良する工法に使用される砂杭造
成装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来におけるこの種の装置は、外周面に
掘進用のスクリューを螺設した回転ケーシングと、上端
部が砂供給用ホッパーに連通連結されていて前記回転ケ
ーシング内に挿入された固定ケーシングと、この固定ケ
ーシング内に挿通された上下動可能な砂突き固め用の内
杆とを備え、回転ケーシングを回転駆動手段により正転
させながら地盤中所定深さまで掘進した後、回転ケーシ
ングを逆転させて両ケーシングを引き抜きながら前記ス
クリューで掘削土を排土しつつ、前記ホッパーより固定
ケーシング内に供給された砂を当該固定ケーシング下端
から排出させ、また上下駆動手段により前記内杆を上下
動させることによって、地盤中に砂杭を造成するように
している。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記のような従来の装
置では、回転ケーシングを正転させてその外周面のスク
リューで地盤中所定深さまで掘削した後、ケーシングの
引き抜きの際に、この回転ケーシングを逆転させてその
スクリューで排土を行わせるようにしているため、排土
が十分でなく、つまり地盤の掘削量に較べ排土量が少な
く、従って掘孔への砂の充填量が少なくなって良質の砂
杭が形成できなくなると共に、ケーシングの引き抜き時
に掘孔の壁面が前記スクリューによって破壊され、固定
ケーシング下端から掘孔への砂の排出充填中に掘削土が
多量に混入してしまい、それがために良質の砂杭が造成
できなかった。更に従来の装置では、回転ケーシングの
回転をケーシングの打ち込み時と引き抜き時とで正逆に
切り換える必要があるため、操作が煩わしく、制御系統
が複雑になるという問題もあった。

【０００４】本発明は、従来装置における上記のような
課題に鑑み、十分な排土を行わせることができると共
に、掘孔の壁面を強固にして掘孔への掘削土の混入を防
ぎ、それによってきわめて良質の砂杭を造成することの
できる砂杭造成装置を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明による砂杭造成装
置は、外周面に排土用スクリューを備えた内側回転ケー
シングに、透孔が多数穿設されていて下端に掘削刃を備
えた外側回転ケーシングを外嵌すると共に、両回転ケー
シングを回転駆動手段に互いに逆方向回転可能に連動連
結し、前記内側回転ケーシング内には上端部が砂供給用
ホッパーに連通連結された固定ケーシングを挿入し、こ
の固定ケーシング内に砂突き固め用の内杆を上下動可能
に挿通して、その上端部を上下駆動手段に連動連結して
なることを特徴とする。

【０００６】

【実施例】実施例について図面を参照して説明すると、
図１は本発明に係る砂杭造成装置の全体を示しており、
この図において１はリーダ（図示省略）の頂部より昇降
操作用ワイヤー（図示省略）を介して懸吊され且つ前記
リーダのガイドレール（図示省略）に沿って昇降自在に
支持された装置機枠で、この機枠１の上部に砂収容タン
ク２が設けられ、このタンク２の側部に砂供給ホッパー
３が装備されている。４は外周面に排土用スクリュー５
を備えた円筒状の内側回転ケーシング、６はこの内側回
転ケーシング４に外嵌された円筒状の外側回転ケーシン
グで、これら両回転ケーシング４，６は、それぞれ装置
機枠１の下部に回転自在に吊支されていると共に、前記
機枠１の下部に設けられた両側一対の回転駆動手段７，
７に互いに逆方向回転可能に連動連結されている。前記
外側回転ケーシング６には多数の透孔８が全域に亘って
穿設されており、またこのケーシング６の下端には複数
個の掘削刃９が下向き且つ内向きに一体突設されてい
る。

【０００７】前記内側回転ケーシング４内にはこれより
若干径小の円筒状固定ケーシング１０が同心状に垂下挿
入され、この固定ケーシング１０の上端部は前記砂収容
タンク２の底壁部２ａに連通連結されており、更にこの
固定ケーシング１０内には砂突き固め用の中空状内杆１
１が上下動可能に挿入され、この内杆１１の上端部は前
記砂収容タンク２を挿通して、前記機枠１の頂部に設置
された内杆上下駆動手段１２に連動連結されている。ま
た、前記内杆１１の下端部には砂締め固め用の電動式バ
イブロフロット１３が設けられ、このバイブロフロット
１３の電動機への給電を行う電線は図示は省略するが、
前記内杆１１の内部に挿通されて、その上部所要箇所か
ら外部に延出されている。

【０００８】前記一対の回転駆動手段７，７は、外側回
転ケーシング６を挟んでその両側対称位置に配置されて
いて、各回転駆動手段７における電動機１４の出力軸１
５の基端部側に固着された駆動歯車１６が、内側回転ケ
ーシング４の上端外周面部に固着された従動歯車１７に
中間伝動歯車１８を介して噛合され、前記出力軸１５の
先端部側に固着された駆動歯車１９が、外側回転ケーシ
ング６の上端外周面部に固着された従動歯車２０に噛合
され、しかして電動機１４の作動による出力軸１５の回
転により内側回転ケーシング４及び外側回転ケーシング
６が互いに逆方向に回転されるようになっている。ま
た、前記内側回転ケーシング４の上端部における前記従
動歯車１７の下側近接位置に天板２１が突設され、この
天板２１と前記外側回転ケーシング６の上端に突設され
た外向きフランジ２２との間に環状の排土口２３が形成
されている。

【０００９】前記内杆上下駆動手段１２は、両側一対の
周知構造のエアばね装置２４，２４からなるもので、各
エアばね装置２４の上半部が下動用エアばね２４ａ、下
半部が上動用エアばね２４ｂを構成すると共に、両エア
ばね２４ａ，２４ｂ間に介設された可動枠２５に前記内
杆１１の上端が連結され、可動枠２５は両側一対のガイ
ド支柱２６，２６にスライド可能に支持されおり、しか
してエアコンプレッサからの圧力エアが、各下動用エア
ばね２４ａと上動用エアばね２４ｂとに対し交互に供給
されることにより、両エアばね２４ａ，２４ｂが交互に
伸縮して、内杆１１が所定のストロークで上下動するよ
うになっている。

【００１０】前記砂収容タンク２内には底壁部２ａに近
い側に隔壁部２ｂが設けられ、この隔壁部２ｂにはその
両側対称位置に砂投入口２７，２７が開口され、各砂投
入口２７に開閉弁２８が設けてあり、また前記隔壁部２
ｂと底壁部２ａとの間に形成される空間部２９に圧力エ
アを供給するエアノズル３０が突入配管されている。
尚、前記砂収容タンク２内には、前記各開閉弁２８が閉
弁された状態で前記隔壁部２ｂより上方に少なくとも造
成砂杭一本分の砂が一時的に収容されるようになってい
る。またこの各開閉弁２８は、図示は省略するが、シリ
ンダ等の弁開閉駆動手段に連動連結されていて、この駆
動手段によって開閉駆動される。

【００１１】次に、上述したような構成を有する砂杭造
成装置の使用方法を説明すると、先ず装置機枠１をリー
ダ頂部より適当高さに懸吊支持した状態で、回転駆動手
段７を作動させて外側回転ケーシング６を正転、内側回
転ケーシング４を逆転させながら、装置機枠１の昇降操
作用ワイヤーを繰り出しつつ地盤中に貫入してゆく。こ
のケーシング貫入時には、装置全体の自重及び外側回転
ケーシング６の正転作用と共に、この外側回転ケーシン
グ６下端の掘削刃９の掘削作用によって地盤を掘削しな
がらケーシング４，６，１０全体が地盤中に埋入してゆ
き、その掘削土は、内外両回転ケーシング４，６の間か
ら内側回転ケーシング６の排土用スクリューで押し上げ
られつつ、その一部が外側回転ケーシング６の透孔８よ
り外部に押し出されて掘孔の壁面に圧着され、その透孔
８より排出されなかった掘削土はそのまま押し上げられ
て内外両回転ケーシング４，６上端の排土口２３より地
上へ排出される。

【００１２】また、このケーシング貫入中において、ス
クリューを有していない外側回転ケーシング６の場合に
は、普通であればその外周面に地盤周囲から相当大きな
土圧がかかってその圧力摩擦抵抗により回転貫入作用が
阻害されることになるけれども、この外側回転ケーシン
グ６にはその全域に亘って多数の透孔８が穿設してある
ため、この透孔８によって上記圧力摩擦抵抗が軽減さ
れ、それによりこの外側回転ケーシング６はスクリュー
付き回転ケーシングと何ら変わりなくスムーズに回転し
て地盤中に貫入される。またこの場合、スクリューを有
していない外側回転ケーシング６が掘孔壁面に対し圧接
しながら回転すると共に、前記排土用スクリュー５によ
って掘削土が当該ケーシング６の各透孔８から押し出さ
れて掘孔壁面に圧着されるため、掘孔の壁面は強固な壁
面となって、従来装置による場合のように崩落すること
がなくなる。

【００１３】前記外側回転ケーシング６が地盤中所定深
さに達したならば、砂を砂供給ホッパー３より砂投入口
２７が閉弁された砂収容タンク２内に供給し、このタン
ク２内に砂が所定量（例えば砂杭１本分の砂量）供給さ
れた後、前記各開閉弁２８を開放操作して、前記タンク
２内の砂を砂投入口２７より前記空間部２９を通じて固
定ケーシング１０内に投入する。この砂の投入を終えた
状態で投入砂の上面が前記空間部２９の中間部位に位置
し、この時点で前記開閉弁２８を閉弁操作し、前記エア
ノズル３０より圧力エアの供給を開始して、前記空間部
２９の内圧を上昇させてゆく。

【００１４】前記空間部２９の内圧が所定圧に達したこ
ろに、前記内杆上下駆動手段１２を作動させて内杆１１
を上下動させ、更にこの内杆１１先端のバイブロフロッ
ト１３を作動させる。前記回転駆動手段７はケーシング
貫入時より継続運転して内外回転ケーシング４，６をそ
のまま回転駆動させてもよいし、ケーシング貫入終了の
時点で停止させてもよい。斯かる状態で、装置機枠１の
昇降操作用ワイヤーを巻き上げながら、内外回転ケーシ
ング４，６を引き抜いてゆくと、固定ケーシング１０内
の砂は、内杆１１の上下動による突き固め作用及びバイ
ブロフロット１３の振動作用により十分に締め固められ
ると共に、前記空間部２９側の圧力上方より押圧されな
がら、固定ケーシング１０の下端から効果的に押し出さ
れて、地盤中に圧密された強固な砂杭を形成することに
なる。

【００１５】

【発明の作用及び効果】本発明の砂杭造成装置によれ
ば、ケーシングの貫入にあたって、回転駆動手段を作動
させて外側回転ケーシングを正転、内側回転ケーシング
を逆転させながら、内外回転ケーシングを地盤中に貫入
してゆく。このケーシング貫入時には、装置全体の自重
及び外側回転ケーシングの正転作用と共に、この外側回
転ケーシング下端の掘削刃の掘削作用によって地盤を掘
孔してゆくが、この掘孔に伴う掘削土は、内外両回転ケ
ーシングの間から内側回転ケーシングの排土用スクリュ
ーで引き上げられつつ、その一部が外側回転ケーシング
の透孔より外部に押し出されて掘孔の壁面に圧着され、
その透孔より排出されなかった掘削土はそのまま押し上
げられて外両回転ケーシングの上端から地上へ排出され
る。従って、ケーシング貫入時に掘削土のほとんどが有
効に排出される。

【００１６】このケーシング貫入中において、スクリュ
ーを有していない外側回転ケーシングの場合には、普通
であればその外周面に地盤周囲から相当大きな土圧がか
かってその圧力摩擦抵抗により回転貫入作用が阻害され
ることになるけれども、この外側回転ケーシングにはそ
の全域に亘って多数の透孔が穿設してあるため、この透
孔によって上記圧力摩擦抵抗が軽減され、それによりこ
の外側回転ケーシングはスクリュー付き回転ケーシング
と何ら変わりなくスムーズに回転して地盤中に貫入され
る。またケーシング貫入中に、スクリューを有していな
い外側回転ケーシングが掘孔壁面に対し圧接しながら回
転すると共に、排土用スクリューによって掘削土が当該
ケーシングの各透孔から押し出されて掘孔壁面に圧着さ
れるため、掘孔の壁面は強固な壁面となって、従来装置
の場合のように崩落することがなく、ケーシング引き抜
き時に掘削土が掘孔内に入り込んだり、固定ケーシング
から排出される砂中に混入するようなことが少なくな
る。

【００１７】前記外側回転ケーシングが地盤中所定深さ
に達した後、内杆上下駆動手段を作動させて内杆を上下
動させる。また回転駆動手段はケーシング貫入時より継
続運転して内外回転ケーシングを貫入時と同一方向に回
転駆動させてもよいし、ケーシング貫入終了の時点で停
止させてもよい。斯かる状態で、内外回転ケーシングを
引き抜いてゆくと、砂供給ホッパーから固定ケーシング
内に供給された砂は、内杆の上下動による突き固め作用
により十分に突き固められながら、固定ケーシングの下
端から押し出されて掘孔内に排出される。その結果、密
度の高い良質の砂杭が形成される。また、このケーシン
グ引き抜き時には従来装置のように回転ケーシングを逆
転させる必要がないため、操作が容易で制御系統も簡単
なものとすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例を示す砂杭造成装置の縦断面図
である。

【符号の説明】

１ 装置機枠 ２ 砂収容タンク ３ 砂供給ホッパー ４ 内側回転ケーシング ５ 排土用スクリュー ６ 外側回転ケーシング ７ 回転駆動手段 ８ 透孔 ９ 掘削刃 １０ 固定ケーシング １１ 砂突き固め用の内杆 １２ 内杆上下駆動手段

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外周面に排土用スクリューを備えた内側
   回転ケーシングに、透孔が多数穿設されていて下端に掘
   削刃を備えた外側回転ケーシングを外嵌すると共に、両
   回転ケーシングを回転駆動手段に互いに逆方向回転可能
   に連動連結し、前記内側回転ケーシング内には上端部が
   砂供給用ホッパーに連通連結された固定ケーシングを挿
   入し、この固定ケーシング内に砂突き固め用の内杆を上
   下動可能に挿通して、その上端部を上下駆動手段に連動
   連結してなる砂杭造成装置。