JPH05171375A - 加工性を改善した粉末工具鋼 - Google Patents

加工性を改善した粉末工具鋼

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JPH05171375A
JPH05171375A JP34099591A JP34099591A JPH05171375A JP H05171375 A JPH05171375 A JP H05171375A JP 34099591 A JP34099591 A JP 34099591A JP 34099591 A JP34099591 A JP 34099591A JP H05171375 A JPH05171375 A JP H05171375A
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JP
Japan
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less
powder
tool steel
workability
regulated
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JP34099591A
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English (en)
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Kozo Ozaki
公造 尾崎
Yukinori Matsuda
幸紀 松田
Koichi Sudo
興一 須藤
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Daido Steel Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 粉末工具鋼の高合金化の度合の高いものにつ
いて、加工性を改善して工具への加工を容易にする。 【構成】 ハイス系またはダイス系の粉末工具鋼におい
て、特定の合金成分を選択するとともに、不純物を、S
i:0.15%以下、P:0.015%以下およびS:
0.005%以下の少なくともひとつの条件がみたされ
るように規制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高合金組成であって粉
末冶金法により工具を製造するための粉末工具鋼におい
て、加工性を改善したものに関する。
【0002】
【従来の技術】粉末工具鋼は、溶製工具鋼にくらべて高
合金化が可能であって、一般に組織が微細かつ均一であ
るから加工性は比較的良好であり、切削工具、ダイス、
冷間鍛造型その他の用途に広く用いられている。
【0003】しかし、高合金化を推し進めて行くと、加
工性の低下は避けられない。 一方で、工具の量産を可
能にするためには、鍛造や圧延などで荒加工できなけれ
ばならないが、高合金化の度合が高いものは荒加工工程
でトラブルが起きやすい。そのため、粉末工具鋼の合金
組成は、粉末製造のためのアトマイズが容易か否かとい
う面からの制約もあるが、加工性の面からの制約が大き
く立ちはだかっていて、高合金化に限界がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した制約を打破して、高合金の組成であり、製品に工具
として十分な性能を与えることができる粉末工具鋼にお
いて、熱間および冷間の加工性を改善したものを提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の加工性を改善し
た粉末工具鋼は、以下に示すようなハイス系のものとダ
イス系のものとを包含する。
【0006】ハイス系の粉末工具鋼は、基本的な態様と
して、C:1.9〜3.5%、Cr:3.0〜5.0
%、V:1.0〜10.0%およびCo:5.0〜1
5.0%を含有し、残部が実質上Feであって、不純物
を、Si:0.15%以下、P:0.015%以下およ
びS:0.005%以下の少なくとも一つの条件がみた
されるように規制した合金組成を有し、CrおよびVの
炭化物の総量が体積で少なくとも25%を占めるもので
ある。
【0007】上記の合金成分に加えて、Mo:20.0
%以下およびW:30.0%以下の1種または2種を含
有するものも、このハイス系の粉末工具鋼のグループに
属する。
【0008】ダイス系の粉末工具鋼は、やはり基本的な
態様として、C:2.4〜4.5%、Cr:5.0〜2
0.0%、Mo:0.5〜8.0%およびV:0.1〜
10.0%を含有し、残部が実質上Feであって、不純
物を、Si:0.15%以下、P:0.015%以下お
よびS:0.005%以下の少なくとも一つの条件がみ
たされるように規制した合金組成を有し、Cr,Moお
よびVの炭化物の総量が体積で少なくとも25%を占め
るものである。
【0009】上記の合金組成に加えて、W:15.0%
以下およびCo:10.0%以下の1種または2種を含
有するものも、このダイス系の粉末工具鋼のグループに
属する。 ただし、Wを含有する場合は、2Mo+Wが
15.0以下であるように、MoとWの合計量を調節す
る必要がある。
【0010】
【作用】高合金化した粉末工具鋼において、加工性が低
くなる原因としてまず考えられることは、炭化物総量の
増加による原理的なものと、炭化物のサイズのコントロ
ール不足とであるが、前者は工具鋼として所望の性能を
得るためには止むを得ない事項であり、後者は適正な炭
化物サイズを実現するという製造工程上の問題である。
従って発明者らは、加工性改善のよりどころとして、
結晶粒界の強度を向上させることに着目した。
【0011】発明者らのひとりは、さきに溶製材の冷間
工具鋼において、不純物P,S,OおよびNの含有量を
規制することが、粒界強度の不足を救って靭性を向上さ
せ、その結果、加工性を良好にすることを見出してすで
に開示した(特開平1−11945)。
【0012】粉末工具鋼においては、アトマイズ時に急
冷されるため結晶粒が比較的微細であり、これが靭性を
比較的高くしているが、破壊の状況を観察したところ、
粒界に沿って破壊が進行していることが確認され、やは
り粒界を強化する必要があること、またそれが加工性の
改善をもたらすであろうことがわかった。単位体積あた
りの全粒界面積を考えると、粉末材は溶製材にくらべて
面積が広いことから、粉末材における粒界の強化は、溶
製材におけるよりもさらに効果的であることが推測され
た。
【0013】実験により上記の推測が正しいことを確認
して完成したのが本発明であって、前記したように、特
定の合金成分を組み合わせ、それらの組成範囲を選択す
るとともに、不純物を、Si:0.15%以下、P:
0.015%以下、S:0.005%以下の条件の少な
くともひとつ、好ましくは二つ、さらに好ましくは三つ
がみたされるように規制することが本発明の特徴をな
す。
【0014】工業的実施におけるこれらの不純物の規制
の難易を考えると、Sの除去は精錬により比較的容易に
できるから、まずこれを行なうべきであり、Pの除去は
やや困難であるから実際上無理のないレベルまで行なえ
ばよい。 Siの規制は、原料を吟味することによって
可能であろう。
【0015】合金成分の組成範囲の限定理由は、まずC
についていえば、ハイス系の1.9〜3.5%、ダイス
系の2.4〜4.5%のそれぞれの下限は、工具鋼とし
て必要な炭化物を形成するために必要な量であり、上限
は、それを超えると靭性が著しく低下して加工性が損な
われるため設けた値である。
【0016】Crの添加量範囲、ハイス系で3.0〜
5.0%、ダイス系で5.0〜20.0%は、主たる炭
化物であるクロム炭化物の形成に必要な量が下限であ
り、上限は過大な炭化物生成を避けるために設けたもの
である。
【0017】Vの含有量、ハイス系で1.0〜10.0
%、ダイス系で0.1〜10.0%は、結晶粒を微細化
するために必要な量を下限とし、上限は総炭化物量を適
切にする見地から定めた。
【0018】Coは、ハイス系においては5.0〜1
5.0%を添加し、ダイス系においては10.0%まで
の範囲で任意に添加する成分であって、そのはたらきは
耐熱性の向上にあり、上限は硬さの低下を理由に設けた
ものである。
【0019】どちらの系においても任意に添加するMo
およびWは、炭化物の形成を意図した成分であって、上
限界は、それらを超えると熱間加工が不可能になるため
設定した値である。 ダイス系における2Mo+Wが1
5.0以下という制限も、これと同趣旨である。
【0020】炭化物の総量が体積で25%以上を占める
という要件は、粉末工具鋼に所要の性能を与える上での
必要性にもとづくこと、容易に理解されるとおりであ
る。
【0021】
【実施例】表1に示す合金組成のハイス鋼およびダイス
鋼を溶製し、ガス噴霧法によりアトマイズし、42メッ
シュ以下のサイズの粉末をふるい分けた。 表1の鋼種
記号において、比較例a〜fは実施例A〜Fに、比較例
g〜kは実施例G〜Kにそれぞれ対応する組成をもつ。
【0022】上記の粉末を軟鋼製の缶に充填し、真空下
に密封してから、圧力100kgf/cm2、温度1100
℃×1時間のHIP処理により焼結し、冷却後とり出し
て、焼結体の熱間加工性、温間加工性および熱処理後の
物性を測定した。 試験法は、それぞれ下記のとおりで
ある。
【0023】(熱間加工性)グリーブル試験 ヘッド速度:2インチ/秒 加熱方式:通電 (温間加工性)JIS4号(M18)試験片 クロスヘッド速度:5mm/分 (物性)3点曲げ 熱処理条件: ハイス系工具鋼(ソルトバス使用) 高Cr(10%以上)合金 焼入れ 1000〜1050℃×20分間、油冷 焼戻し 520〜540℃×1時間、空冷、2回繰り返
し 低Cr(10%未満)合金 焼入れ 1050〜1150℃×3分間、油冷 焼戻し 560〜600℃×1時間、空冷、2回繰り返
し 試験片:3mm×5mm×30mm 支点間距離:20mm 結果を表2に示す。 表2のデータから、本発明の実施
例のものは比較例より熱間および温間の加工性が高く、
硬さは同等であり、抗折力はすぐれていることがわか
る。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
【発明の効果】本発明の粉末工具鋼は、高合金化の度合
を高めたものであるが、加工性が良好である。 従っ
て、工具の量産に必要な荒加工工程で割れを生じたりす
ることが少なく、それにより所望の性能をもった工具を
廉価に提供することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:1.9〜3.5%、Cr:3.0〜
    5.0%、V:1.0〜10.0%およびCo:5.0
    〜15.0%を含有し、残部が実質上Feであって、不
    純物を、Si:0.15%以下、P:0.015%以下
    およびS:0.005%以下の少なくとも一つの条件が
    みたされるように規制した合金組成を有し、Crおよび
    Vの炭化物の総量が体積で少なくとも25%を占める、
    加工性を改善した粉末工具鋼。
  2. 【請求項2】 C:1.9〜3.5%、Cr:3.0〜
    5.0%、V:1.0〜10.0%およびCo:5.0
    〜15.0%に加えて、Mo:20.0%以下および
    W:30.0%以下の1種または2種を含有し、残部が
    実質上Feであって、不純物を、Si:0.15%以
    下、P:0.015%以下およびS:0.005%以下
    の少なくとも一つの条件がみたされるように規制した合
    金組成を有し、Cr,V,MoおよびWの炭化物の総量
    が体積で少なくとも25%を占める、加工性を改善した
    粉末工具鋼。
  3. 【請求項3】 C:2.4〜4.5%、Cr:5.0〜
    20.0%、Mo:0.5〜8.0%およびV:0.1
    〜10.0%を含有し、残部が実質上Feであって、不
    純物を、Si:0.15%以下、P:0.015%以下
    およびS:0.005%以下の少なくとも一つの条件が
    みたされるように規制した合金組成を有し、Cr,Mo
    およびVの炭化物の総量が体積で少なくとも25%を占
    める、加工性を改善した粉末工具鋼。
  4. 【請求項4】 C:2.4〜4.5%、Cr:5.0〜
    20.0%、Mo:0.5〜8.0%およびV:0.1
    〜10.0%に加えて、W:15.0%以下およびC
    o:10.0%以下の1種または2種を含有し、ただし
    Wを含有する場合は2Mo+Wが15.0以下であり、
    残部が実質上Feであって、不純物を、Si:0.15
    %以下、P:0.015%以下およびS:0.005%
    以下の少なくとも一つの条件がみたされるように規制し
    た合金組成を有し、Cr,Mo,VおよびWの炭化物の
    総量が体積で少なくとも25%を占める、加工性を改善
    した粉末工具鋼。
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Cited By (3)

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