JPH05168909A - 高含水ヒドロゲルおよびその製造方法 - Google Patents

高含水ヒドロゲルおよびその製造方法

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JPH05168909A
JPH05168909A JP27494791A JP27494791A JPH05168909A JP H05168909 A JPH05168909 A JP H05168909A JP 27494791 A JP27494791 A JP 27494791A JP 27494791 A JP27494791 A JP 27494791A JP H05168909 A JPH05168909 A JP H05168909A
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water
hydrogel
organic solvent
polar organic
gel
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JP27494791A
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English (en)
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Masanori Nakura
正宣 奈倉
Shogo Nakano
正吾 中野
Akira Mochizuki
明 望月
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Terumo Corp
Original Assignee
Terumo Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 重合度35以上でケン化度90%以上のポリ
ビニルアルコール系重合体および他の水溶性高分子化合
物を極性有機溶媒または極性有機溶媒と水との混合溶媒
に溶解した後、放置または極性貧溶媒中に浸漬してゲル
を形成させて高含水ヒドロゲルまたはその前駆体ゲルを
製造する。 【効果】 凍結装置や高圧装置等を使用することなく、
大気圧下でポリビニルアルコール系重合体を主構成成分
とする強靭な高含水ヒドロゲルを簡単に製造することが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリビニルアルコール
系重合体を主成分とする高含水ヒドロゲル、その前駆体
ゲル、高含水ヒドロゲルを乾燥してなる高含水性のゲ
ル、およびそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリビニルアルコール系重合体からなる
含水ヒドロゲルは従来から知られているが、その大半は
脆く強靭性に欠けるものであった。そこで、ポリビニル
アルコール系重合体から強靭な高含水ヒドロゲルを得る
ための研究が行われており、その一つとしてポリビニル
アルコールの高濃度水溶液を凍結した後真空乾燥する方
法(特開昭57−159826号公報)が知られてい
る。しかしながらこの方法は、凍結、解凍を繰り返して
行うことおよび真空乾燥が必要なため、工程および装置
が複雑になり、熱効率的にも劣っていた。しかも、この
方法による場合は、成形加工がむずかしく複雑な形状を
有するゲルの作製が困難であるという欠点があった。
【0003】一方、本出願人はポリビニルアルコール系
重合体と他の水溶性高分子を含有する高濃度水溶液を1
05℃以上の温度に加熱、加圧すると強靭なゴム状高含
水ヒドロゲルが得られることを見出して先に出願した
(特願平1−301424号)。しかし、この方法による
場合は、オートクレーブ等の高圧装置を使用して水溶液
を水の沸点以上に加熱することが必要であり、またゲル
の成形加工がむつかしという問題があった。
【0004】
【発明の内容】本発明者らは、強靭で優れた特性を有す
るポリビニルアルコール系重合体の高含水ヒドロゲル
を、凍結処理、高圧処理、真空処理等を行わずに、簡単
な方法および装置により効率よく製造する方法を開発す
ることを目的として研究を続けてきた。その結果、ポリ
ビニルアルコール系重合体および他の水溶性高分子化合
物を、極性有機溶媒または極性有機溶媒と水との混合溶
媒中に溶解させた溶液を使用して含水ヒドロゲルを製造
すると、凍結装置、高圧装置、真空装置等を使用すせず
に、強靭な高含水ヒドロゲルを簡単に得ることができる
ことを見出して本発明を完成した。
【0005】すなわち、本発明は、重合度が35以上で
ケン化度が90%以上のポリビニルアルコール系重合体
および他の水溶性高分子化合物を、極性有機溶媒、また
は極性有機溶媒と水との混合溶媒に溶解した後、放置ま
たは極性貧溶媒中に浸漬してゲルを形成させることを特
徴とする高含水ヒドロゲルまたはその前駆体ゲルの製造
方法である。そして、本発明は上記方法により製造され
た高含水ヒドロゲルまたはその前駆体ゲル、更にはその
高含水ヒドロゲルを乾燥して得られた高含水性のゲルを
包含する。
【0006】本発明で使用するポリビニルアルコール系
重合体とは、ビニルアルコールを主たる繰り返し単位と
するポリビニルアルコールの単独重合体またはビニルア
ルコールと他のビニルモノマーとの共重合体をいう。そ
して、ポリビニルアルコール系重合体がビニルアルコー
ル共重合体の場合は、他のビニルモノマーの割合が約3
5モル%以下であるのが望ましい。他のビニルモノマー
は、例えばエチレン;スチレン、スチレンスルホン酸;
(メタ)アクリル酸メチルや(メタ)アクリル酸エチル
等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル
酸;(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アク
リルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミ
ド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等の(N
−置換)(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリロ
ニトリル;N−ビニルピロリドン;ビニルピリジン;ビ
ニルスルホン酸;ビニルアセトアミド、N−メチルビニ
ルアセトアミド等のビニルアセトアミド類等を挙げるこ
とができるが、これらに限定されない。ビニルアルコー
ル共重合体では他のビニルモノマーの1種類または2種
以上がビニルアルコールと共重合していることができ
る。
【0007】そして、本発明ではポリビニルアルコール
系重合体の重合度が35以上であることが必要である。
重合度は約500以上であるのが好ましく、約1000
〜5000が特に好ましい。ポリビニルアルコール系重
合体の重合度が35未満であると生成する高含水ヒドロ
ゲルの強度が劣ったものとなる。また、ポリビニルアル
コール系重合体はケン化度が90%以上であることが必
要であり、特にケン化度が95%以上であるのが望まし
い。ポリビニルアルコール系重合体のケン化度が90%
未満であると、やはり得られる高含水ヒドロゲルの強度
が低くなる。
【0008】ポリビニルアルコール系重合体と一緒に用
いる他の水溶性高分子化合物としては、平均分子量が約
500〜1,000,000、特に1,000〜500,0
00のものが好ましい。他の水溶性高分子化合物として
は、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール等のポリエーテル類;(メタ)アクリルアミ
ド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメ
チル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メ
タ)アクリルアミド、モルホリルアクリルアミド等の
(N−置換)(メタ)アクリルアミド類、(メタ)アク
リル酸およびその塩、ビニルピロリドン、メチルビニル
エーテルやエチルビニルエーテル等のアルキルビニルエ
ーテル類、ビニルアセトアミドやN−メチルビニルアセ
トアミド等のビニルアセトアミド類等の極性ビニルモノ
マーの単独重合体または共重合体;ポリグルタミン酸等
のポリアミノ酸およびその塩;アルギン酸塩;ペクチン
酸塩;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロー
ス;ポリアリルアミンおよびその塩;コラーゲンおよび
その変性物;ポリエチレンイミンおよびその塩;ゼラチ
ン等を挙げることができる。
【0009】上記した水溶性高分子化合物のうち、特に
ポリエーテル、コラーゲンおよびその変性物、(N−置
換)(メタ)アクリルアミド系重合体、(メタ)アクリ
ル酸重合体およびその塩、ポリビニルピロリドン、ポリ
アミノ酸およびその塩、アルギン酸塩およびゼラチンが
好ましい。他の水溶性高分子化合物は1種類のみを使用
しても、または2種類以上の水溶性高分子化合物をポリ
ビニルアルコール系重合体と併用してもよい。
【0010】ポリビニルアルコール系重合体と他の水溶
性高分子化合物の使用割合を、重量で、ポリビニルアル
コール系重合体:他の水溶性高分子化合物=約90:1
0〜約20:80、好ましくは約90:10〜約50:
50、特に80:20〜60:40にすると、強靭な高
含水ヒドロゲルを得ることができる。
【0011】本発明でポリビニルアルコール系重合体と
他の水溶性高分子化合物を溶解するのに用いる「極性有
機溶媒」とは、該極性有機溶媒、または該極性有機溶媒
と水との混合溶媒が、ポリビニルアルコール系重合体お
よび/または他の水溶性高分子化合物のいずれかを室温
又はそれ室温以上の温度で溶解して溶液を形成すること
ができる極性を有する有機溶媒を意味する。
【0012】本発明では、極性有機溶媒として、ジメチ
ルイミダゾロン等の尿素系溶媒、ホルムアミド、N,N
−ジメチルホルムアミド、アセドアミド、N,N−ジメ
チルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−
ピロリドン等のアミド系溶媒、ジメチルスルホキシド、
テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド等のスル
ホキシド系溶媒、グリセリンやエチレングリコール等の
多価アルコール等を用いると、ポリビニルアルコール系
重合体と他の水溶性高分子化合物を含有する溶液を円滑
に形成させることができる。上記溶液の形成に当たって
は、極性有機溶媒のみを用いても、または極性有機溶媒
と水との混合溶媒を使用してもよいが、極性有機溶媒と
水との混合溶媒を用いるのが好ましく、その場合には極
性有機溶媒:水との重量割合で約95:5〜約5:9
5、特に約90:10〜約50:10にするのが望まし
い。混合溶媒中における極性有機溶媒の濃度が5重量%
よりも低いと、強靭な高含水ヒドロゲルが得られにくく
なる。
【0013】極性有機溶媒、または極性有機溶媒と水と
の混合溶媒中へのポリビニルアルコール系重合体および
他の水溶性高分子化合物の溶解は、室温またはそれ以上
の温度で行い、特に50℃以上の温度で溶解させるの
が、溶解速度、溶液粘度等の点から望ましい。また、両
重合体の溶解は、通常大気圧下で充分達成することがで
きる。そして、溶液中の両重合体の濃度は、ポリビニル
アルコール系重合体の濃度が約3〜60重量%、特に5
〜40重量%になり、且つその他の水溶性高分子化合物
がポリビニルアルコール系重合体に対して上記した割合
になるようにするのがよい。
【0014】そして、上記のようにして形成されたポリ
ビニルアルコール系重合体と他の水溶性高分子化合物を
溶解含有する極性有機溶媒溶液または極性有機溶媒と水
との混合溶媒溶液を室温またはそれ以下(通常約40℃
以下)に放置して、通常、透明〜半透明のゲル状に固化
する。このゲルはそれ自体で自己支持性の強靭な固形物
であって砕けたりせずに取り扱うことができ、最終的な
高含水ヒドロゲル用の前駆体ゲルとして貯蔵、流通、販
売等が可能である。例えば、上記の溶液をガラス板等に
流延して前駆体ゲルの析出を行わせるとシートまたはフ
ィルム状の前駆体ゲルが形成され、また特定の容器や型
中に上記溶液を一定の厚さに注入してゲルの析出を行わ
せると容器や型の内部形状に一致した形状を有する前駆
体ゲルの成形体を形成することができる。そして、その
ようにして形成された前駆体ゲルは、水性溶媒中に浸漬
させることによって、或いは極性貧溶媒中に1〜14日
間浸漬後、水中に1〜14日間浸漬させることによって
高含水ヒドロゲルにすることができる。
【0015】また、本発明では、ポリビニルアルコール
系重合体と他の水溶性高分子化合物を溶解含有する上記
の溶液を、そのまま放置して前駆体ゲルを形成する代わ
りに、極性貧溶媒中に浸漬してゲルを形成することがで
き、その際の極性貧溶媒としては、水、メタノール、エ
タノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン等
のケトン類、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテ
ル類、アセトニトリル等を挙げることができる。極性貧
溶媒は、1種類のみを使用してもまたは2種類以上を使
用してもよく、2種類以上を使用する場合は、2種類以
上の極性貧溶媒混合物中に上記ゲルを浸漬しても、また
は最初に第1の極性貧溶媒中に浸漬した後、第2、第3
の極性貧溶媒中に逐次浸漬してもよい。
【0016】ポリビニルアルコール系重合体および他の
水溶性高分子化合物を含む溶液を浸漬する極性貧溶媒と
して水を使用した場合には、前駆体ゲルを経ないで高含
水ヒドロゲルが直接そのまま形成される。また、上記溶
液をアルコールなどの水以外極性貧溶媒中に最初に浸漬
した場合は、その最初の浸漬により前駆体ゲルが形成さ
れるので、それをアルコールなどの極性貧溶媒から取り
出して更に水中に浸漬すると、高含水ヒドロゲルを形成
することができる。
【0017】ポリビニルアルコール系重合体および他の
水溶性高分子化合物を含有する極性有機溶媒溶液、また
は極性有機溶媒と水との混合溶媒溶液を極性貧溶媒中に
浸漬する際の温度および浸漬時間は、使用した他の水溶
性高分子化合物の種類、ポリビニルアルコール系重合体
と他の水溶性高分子化合物の割合等に応じて適宜選ぶこ
とができるが、通常、約0〜50℃の極性貧溶媒中に約
1日〜2週間浸漬するのがよい。
【0018】また、ポリビニルアルコール系重合体およ
び他の水溶性高分子化合物を含有する極性有機溶媒溶
液、または極性有機溶媒と水との混合溶媒溶液をそのま
ま放置して前駆体ゲルを形成させた後に極性貧溶媒中に
浸漬し、更に水中に浸漬することにより高含水ヒドロゲ
ルを製造してもよい。この場合も、上記したと同様の温
度および浸漬時間を採用して前駆体ゲルから高含水ヒド
ロゲルを形成させることができる。そして、前駆体ゲル
を極性貧溶媒中に浸漬することによって、ゲル形成に関
与しなかった残余の水溶性高分子化合物等が除去され
て、品質の良好なゲルを得ることができる。
【0019】冷凍処理や高圧での処理が必要であった従
来技術に対して、本発明においてそのような凍結処理や
高圧処理を施さなくても高強力なヒドロゲルが得られる
理由は未だ充分解明されていないが、これは次の理由に
よるものと推測される。
【0020】すなわち、極性有機溶媒を含まない水系で
は、水はポリビニルアルコール系重合体に対しての良溶
媒でないために、ポリビニルアルコール系重合体および
他の水溶性高分子化合物の溶解時にポリビニルアルコー
ル分子間の相互作用が強く、常温下ではポリビニルアル
コール系重合体と他の水溶性高分子化合物との相互溶解
性が乏しく相分離の状態になり分子間コンプレックスを
形成するに至らない。したがって、100℃以上の高温
のような苛酷な条件を設定することによって初めて両高
分子間の相互拡散が起きて、ヒドロゲルの形成に必要な
分子間コンプレックスが形成される。これに対して、本
発明で使用する極性有機溶媒または極性有機溶媒と水と
の混合溶媒は、ポリビニルアルコール系重合体および他
の水溶性高分子化合物に対する溶解能が従来の水系に比
べて格段に高く、このために高圧をかけなくても常圧下
である程度の温度に加温するだけで、各高分子の分子運
動が活発になって分子溶解状態となり均一またはほぼ均
一に近い状態での溶解がおき、分子間コンプレックスが
形成し易くなり、これを冷却することによって両高分子
が複合した高含水ヒドロゲルが形成されると推定され
る。
【0021】そして、上記により形成された本発明の高
含水ヒドロゲルは、通常、白色半透明〜透明を呈する機
械的強度の優れた強靭なゴム状物質であり、押圧しても
その含有水分を外部に放出しない。この高含水ヒドロゲ
ルは、水不溶性であり、高含水時の重量を基準にして、
通常約60〜95%という多量の水分を保有しており、
切断等により任意の形状や大きさにすることができる。
【0022】また、この高含水ヒドロゲルは、酸素透過
性が高く、製造条件や組成等を選ぶことによって透明度
を大きくすることも可能であり、コンタクトレンズ等の
素材として有効である。更に、その極めて高い弾性率、
保水性等により、人工関節、人工皮膚、超音波診断装置
用プローブ等への利用も可能である。また、この高含水
ヒドロゲルを空気中に放置すると、大気中に長期間にわ
たって徐々に水分を放出するので、高含水ヒドロゲルの
製造時に予め揮発性の香料、防臭剤、殺菌剤、殺虫剤等
を含有させておくことによって、徐放性の香料ゲル、防
臭ゲル、殺菌・殺虫ゲル等として使用することも可能で
ある。更に、この高含水ヒドロゲルを乾燥して水分含量
を約0〜30%にしたものは、水に浸すことにより再度
上記約60〜95%の高い含水量とすることができるの
で、高水分吸収体、すなわち含水性のヒドロゲルとして
利用できる。また、本発明の高含水ヒドロゲルの製造時
には、ゲル形成の妨げにならない限りは、意図する用途
等に応じて、染顔料、種々の薬剤、その他の添加剤を加
えることができる。
【0023】
【実施例】なお、以下の実施例等において、含水ヒドロ
ゲルの含水率は下記の数式1により算出した。
【0024】
【数1】含水率(%)={(A−B)/A}×100 但し A:含水ヒドロゲルの重量(g) B:乾燥後のゲルの重量(g)
【0025】また、ヒドロゲルの強度、伸度および弾性
率は、東洋精機製のストログラフ−Tを使用して、20
mm/分の割合で試料を引っ張り、ひずみ/強度曲線の
初期勾配から求めた値である。
【0026】《実施例1〜6》表1に示した組成比から
なるジメチルスルホキシド(以後「DMSO」という)水
溶液100mlに、表1に示した量(g)のポリエチレ
ングリコール(以後「PEG」という)(和光純薬製の
#2000または#4000)を60℃で溶解させた。
次いで表1に示した量(g)のポリビニルアルコール
(以後「PVA」という)(重合度2000、ケン化度
99〜100%;ナカライテスク社製)を加えて、撹拌
しながら100℃に1時間保ってPVAを完全に溶解さ
せた。これらの溶液は、均一透明な溶液になるか、また
は一部相分離が認められてやや白濁していた。各溶液を
ガラス製シャーレ上にキャストし、室温(25℃)に放
置してシート状の前駆体ゲルを得た。キャストしてから
24時後に該ゲルを25℃のメタノール中に浸漬してそ
のまま1週間放置した。その後、該ゲルをメタノールか
ら取り出して、25℃の水中に更に1週間以上放置した
ところ、強靭なゴム状高含水ヒドロゲルが各実施例で得
られた。各実施例で得られた高含水ヒドロゲルの物性を
下記の表1に示す。
【0027】
【表1】 DMSO水溶液 DMSO/水 PEG PVA/PEG 強度 伸度 弾性率 含水率実施例 (ml)/(ml) # (g)/(g) (g/mm2) (%) (g/mm2) (%) 1 90/10 2000 15/15 14 23 3.5 87.8 2 70/30 2000 15/15 29 126 5.0 87.0 3 30/70 2000 15/15 57 198 7.9 88.7 4 70/30 2000 25/25 − − 12.9 80.5 5 70/30 2000 7.5/7.5 7 126 2.9 92.3 6 70/30 4000 15/15 31 120 6.0 88.0
【0028】《実施例 7》100mlのDMSOに、
PEG(和光純薬製の#2000)15gを60℃で溶
解させた。次いでPVA(重合度2000、ケン化度9
9〜100%;ナカライテスク社製)15gを加えて、
撹拌しながら115℃に加熱してその温度に2時間保っ
てPVAを完全に溶解させて均一透明な溶液を得た。こ
の溶液をガラス製シャーレ上にキャストし、室温に24
時間放置したが、この段階ではゲル化が認められなかっ
た。このシャーレを水中に1週間浸漬したところ、シー
ト状の強靭なゲルを得た。このゲルは強度12g/mm
、伸度18%、弾性率3.0g/mmおよび含水率
89%であった。
【0029】《実施例 8》70mlのDMSOおよび
水30mlのからなるDMSO水溶液に、ポリプロピレ
ングリコール(和光純薬製の#2000)15gを60
℃で溶解させた。次いでポリビニルアルコール(重合度
2000、ケン化度99〜100%;ナカライテスク社
製)15gを加えて、撹拌しながら110℃に加熱して
その温度に1時間保ってポリビニルアルコールを完全に
溶解させた。この溶液はポリプロピレングリコールの一
部が相分離した透明粘稠な溶液であった。この溶液をガ
ラス製シャーレ上にキャストし、室温に2日間放置した
ところ、シート状の強靭な前駆体ゲルを得た。このシー
ト状ゲルをメタノール中に室温下で1週間浸漬放置し、
その後更に1週間水中に浸漬して高含水ヒドロゲルを得
た。この高含水ヒドロゲルは、強度37g/mm、伸
度148%、弾性率6.6g/mmおよび含水率85.
6%であった。
【0030】《実施例9〜14》表2に示した組成比お
よび量からなる極性有機溶媒と水との混合溶媒に、ポリ
ビニルピロリドン(以後「PVP」という)(ナカライ
テスク社製のK−30)を加えて溶解させた。次いでP
VA(重合度2000、ケン化度99〜100%;ナカ
ライテスク社製)を加えて、撹拌しながら100℃に1
時間保ってPVAを完全に溶解させた。これらの溶液に
は無色透明なものや、やや白濁しているものもあった
が、相分離は認められなかった。各溶液をガラス製シャ
ーレ上にキャストし、室温下に放置してシート状の前駆
体ゲルを得た。キャストしてから24時後に該ゲルを2
5℃のメタノール中に浸漬してそのまま1週間放置し、
その後該ゲルをメタノールから取り出して、25℃の水
中に更に1週間以上放置したところ、強靭なゴム状高含
水ヒドロゲルが各実施例で得られた。各実施例で得られ
た高含水ヒドロゲルの物性を下記の表2に示す。
【0031】
【表2】 極性有機溶媒/水組成 組 合 せ 割 合 PVA/PVP 強度 伸度 弾性率 含水率 実施例 (g)/(g) (g)/(g) (g/mm2) (%) (g/mm2) (%) 9 DMSO /水=90/10 15/6.7 20.8 193 7.5 87.5 10 FAm1)/水=60/60 20/6.7 17.7 211 8.4 88.3 11 THTD2)/水=60/60 20/6.7 65.1 390 16.9 80.1 12 NMP3)/水=60/60 20/6.7 22.4 199 11.3 85.6 13 DMSO /水=70/30 15/15 23.0 109 4.7 89.4 14 DMSO /水=60/60 20/6.7 15.1 36 4.3 88.5 1) ホルムアミド 2) テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド 3) N−メチル−2−ピロリドン
【0032】《実施例15〜17》PVPをポリアクリ
ルアミド(以後「PAAm」という)(和光純薬品社
製)の10%水溶液に代えた以外は実施例9〜14と同
様にしてPVA/PAAmブレンドからなる強靭なゴム
状高含水ヒドロゲルを得た。各実施例で得られた高含水
ヒドロゲルの物性を下記の表3に示す。
【0033】
【表3】 極性有機溶媒/水組成 組 合 せ 割 合 PVA/PAAm 強度 伸度 弾性率 含水率 実施例 (g)/(g) (g)/(g) (g/mm2) (%) (g/mm2) (%) 15 DMI1)/水=60/60 20/6.7 7.3 132 5.6 89.2 16 DMF2)/水=60/60 20/6.7 5.2 94.6 5.6 89.0 17 DMSO /水=60/60 15/6.7 32 87 1.9 91.5 1) ジメチルイミダゾロン 2) N,N−ジメチルホルムアミド
【0034】《実施例18〜19》PVPをポリモルホ
リルアクリルアミド(以後「PMOAA」という)に代
えた以外は実施例9〜14と同様にしてPVA/PMO
AAブレンドからなる強靭なゴム状高含水ヒドロゲルを
得た。各実施例で得られた高含水ヒドロゲルの物性を下
記の表4に示す。
【0035】
【表4】 極性有機溶媒/水組成 組 合 せ 割 合 PVA/PMOAA 強度 伸度 弾性率 含水率 実施例 (g)/(g) (g)/(g) (g/mm2) (%) (g/mm2) (%) 18 DMF1)/水=60/60 20/3.0 33.4 312 10.7 83.7 19 DMSO /水=60/60 20/6.7 48.0 361 6.8 85.1 1) N,N−ジメチルホルムアミド
【0036】《実施例 20》PVPの代わりにポリ
(N,N−ジメチルアクリルアミド)を使用した他は実施
例19と同様にして高含水ヒドロゲルを得た。この高含
水ヒドロゲルは、強度25.6g/mm、伸度76
%、弾性率5.3g/mmおよび含水率87.1%であ
った。
【0037】《実施例 21》50mlのDMSOおよ
び水50mlのからなるDMSO水溶液に、PVA(重
合度2000、ケン化度99〜100%;ナカライテス
ク社製)15gを加えて、撹拌下、80℃でコラーゲン
(高研製)3gを添加して溶解した。この溶液はやや白
濁していたが相分離することはなかった。この溶液をガ
ラス製シャーレ上にキャストし、室温下に静置したとこ
ろ、やや失透したシート状の強靭な前駆体ゲルを得た。
このシート状ゲルを水中に室温下で1週間浸漬して高含
水ヒドロゲルを得た。この高含水ヒドロゲルは、強度2
0g/mm、伸度50%、弾性率4.9g/mm
よび含水率87.9%であった。
【0038】《比較例 1》PVA(重合度2000、
ケン化度99〜100%;ナカライテスク社製)15g
を蒸留水100mlに加えて、撹拌しながら100℃で
溶解させた。ここにPEG(和光純薬社製の#200
0)15gを加えて100℃で加熱撹拌を続けた。溶液
は完全に相分離しており、白濁していた。90分間ゆる
やかに還流した後、撹拌を止めると、白濁層と透明層の
2層に分離した。層分離した下層の溶液をガラス製シャ
ーレ上にキャストし、室温に放置したところ、不均一な
海島構造にゲル化した。このゲルは極めて柔らかく、外
力により伸びきってしまい、機械強度の測定は不可能で
あった。
【0039】《比較例 2》10%ポリアクリルアミド
水溶液(和光純薬社製)66.7gに水60mlを加
え、これにPVA(重合度2000、ケン化度99〜1
00%;ナカライテスク社製)20gを加えて、100
℃に撹拌しながら加熱して溶解させた。この溶液は層分
離しており白濁していた。この溶液をガラス製シャーレ
上にキャストし、室温に放置したところ、24時間放置
後もゲル化の兆候が全く見られなかった。
【0040】
【発明の効果】本発明では、ポリビニルアルコール系重
合体および他の水溶性高分子化合物を、極性有機溶媒、
または極性有機溶媒と水との混合溶媒中に溶解させた溶
液を放置または極性貧溶媒に浸漬することによって、凍
結処理、高圧処理、真空処理等を施さなくても、強靭な
ゴム状を呈する高含水ヒドロゲルを極めて簡単に製造す
ることができる。そして、本発明で得られる弾性を有す
る高含水ヒドロゲルは、高い含水率を有し保水性に優
れ、機械的強度が大きく、酸素透過性が高く、製造条件
や組成等を選ぶことによって透明度を大きくすることも
可能であるので、上記したように、コンタクトレンズ等
の素材、人工関節、人工皮膚、超音波診断装置用プロー
ブ等の種々の用途に利用可能である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合度が35以上でケン化度が90%以
    上のポリビニルアルコール系重合体および他の水溶性高
    分子化合物を、極性有機溶媒、または極性有機溶媒と水
    との混合溶媒に溶解した後、放置または極性貧溶媒中に
    浸漬してゲルを形成させることを特徴とする高含水ヒド
    ロゲルまたはその前駆体ゲルの製造方法。
  2. 【請求項2】 極性有機溶媒と水との混合溶媒における
    極性有機溶媒の濃度が5重量%以上である請求項1の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 極性有機溶媒が、ジメチルスルホキシ
    ド、ジメチルイミダゾロン、ホルムアミド、N,N−ジ
    メチルホルムアミド、アセドアミド、N,N−ジメチル
    アセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロ
    リドン、テトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド
    および多価アルコールからなる群から選ばれる請求項1
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 水溶性高分子化合物が、ポリエーテル、
    コラーゲンおよびその変性物、(N−置換)(メタ)ア
    クリルアミド系重合体、(メタ)アクリル酸重合体およ
    びその塩、ポリビニルピロリドン、ポリアミノ酸および
    その塩、ゼラチンおよびアルギン酸塩からなる群から選
    ばれる少なくとも1種である請求項1の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4のいずれか1項の方
    法により製造された高含水ヒドロゲルまたはその前駆体
    ゲル。
  6. 【請求項6】 請求項1〜請求項4のいずれか1項によ
    り製造された高含水ヒドロゲルを乾燥して高含水性のゲ
    ルを製造する方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002212452A (ja) * 2001-01-22 2002-07-31 Hokkaido Technology Licence Office Co Ltd 直鎖状高分子を有する低摩擦ハイドロゲルおよびその製造方法
JP2007500764A (ja) * 2003-07-31 2007-01-18 ケンブリッジ、ポリマー、グループ、インコーポレイテッド 重合体ゲルを制御および形成する装置ならびに方法
JP2007520622A (ja) * 2004-02-04 2007-07-26 ケンブリッジ、ポリマー、グループ、インコーポレイテッド ポリマーゲルを制御および形成するための系および方法
CN109267177A (zh) * 2018-09-03 2019-01-25 浙江理工大学 一种具有自修复性能的导电水凝胶纤维及其制备方法

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