JPH051667Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は可変容量型ポンプに関するものであ
る。

〔従来の技術〕

特開昭62−55484号公報には、圧力と流量の設
定を電気信号で与え、吐出量可変要素の変位制御
を単一の比例電磁制御弁による閉ループの電気−
油圧制御系で行うことにより、吐出ラインに流量
制御弁を接続することなくポンプ吐出量と流量を
可変要素の変位によつて制御するようにしたロー
ドセンシング制御方式の可変容量型ポンプが示さ
れている。

この可変容量型ポンプでは、吐出量可変要素へ
操作力を与えるための操作ピストンの圧力室内の
油圧圧力を吐出圧油の一部の導入より増圧または
タンクへの導出により降圧させるように単一の比
例電磁三方制御弁を用いて吐出圧および吐出流量
の測定電気量に基づく閉ループフイードバツク制
御をすることにより吐出量可変要素を操作ピスト
ンを介してばね力に抗して位置制御し、設定圧力
以下では吐出流量を設定値に保つと共に吐出圧が
設定圧力に達したときには前記可変要素を吐出流
量が必要最小限になるカツトオフ位置に変位させ
ている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

前述のタイプの従来の可変容量型ポンプでは、
吐出ラインにおいて流量制御弁を用いることなく
可変要素の変位を制御することにより吐出流量と
吐出圧とを制御しているため、特に数／min程
度の微小流量制御状態の低圧時に吐出流量が設定
値より多くなる傾向がある。

すなわち、一般的な可変容量型ポンプと同様に
前述のタイプの従来の可変容量型ポンプでもフル
カツトオフ時の可変要素の位置安定性を向上させ
るためのパイロツト流れのドレン量の主要量を確
保するために、操作ピストンがフルカツトオフ位
置に達したときに操作ピストンによりドレンへ開
かれるブリード穴が前記圧力室の周壁の特定の位
置に固定的に穿たれているが、制御流量が数／
min程度の微小流量になると。操作ピストンはほ
ぼフルカツトオフ位置と同等の位置で作動し、パ
イロット流量がブリード穴からドレンへ逃げる状
態となる。このため、小流量制御状態で圧力を下
げて行くと、圧力室に作用するパイロツト圧力も
低下し、それに応じてパイロツト流量も低下する
ため、ブリード穴からのパイロツト流量の逃げ量
との兼合いでパイロツト圧が立たなくなる。

したがつて操作ピストンを押し込むことができ
ずに制御不能状態となり、可変要素が勝手にばね
力で吐出量増加方向へ変位してしまい、吐出流量
が指令に反して増加する結果となつていた。

従つてこの考案で課題とするところは、前述の
タイプの単一の比例電磁制御弁により圧力と流量
を閉ループ制御するロードセンシング型の可変容
量型ポンプにおいて、前述の微小流量制御時にお
ける低圧側での制御流量の設定値以上の増加を防
止して微小流量制御状態で低圧から安定した吐出
量を負荷へ供給することのできる可変容量型ポン
プを提供することである。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案では、前述の課題を達成するために、
吐出量可変要素へ操作力を与えるための操作ピス
トンの圧力室内の圧油圧力を吐出圧油の一部の導
入により増圧またはタンクへの導出により降圧さ
せるように単一の比例電磁三方制御弁を用いて吐
出圧および吐出流量の測定電気量に基づく閉ルー
プフイードバツク制御をすることにより吐出量可
変要素を操作ピストンを介してばね力に抗して位
置制御し、設定圧力以下では吐出流量を設定値に
保つと共に吐出圧が設定圧力に達したときには前
記可変要素を吐出流量が必要最小限になるカツト
オフ位置に変位させるようにした可変容量型ポン
プ、特に少なくとも前記可変要素を制御位置に安
定保持するに必要な流量について前記圧力室から
圧油の一部をドレンへ流出させるブリード穴を前
記操作ピストンがカツトオフ制御位置にあるとき
に開かれるように前記圧力室の周壁の所定位置に
設けたものにおいて、所定の吐出圧以下において
吐出流量の一部をタンクへ逃がす逃がし弁を設
け、この逃がし弁に、吐出圧の低下に反して逃が
し流量を増加させる固有特性を持たせたものであ
る。

〔作用〕

この考案の可変容量型ポンプでは、微小流量制
御状態での低圧時における吐出流量の増加分を、
吐出圧の低下に応じて逃がし流量を増加させる逃
がし弁でタンクへ逃がすものである。すなわち、
逃がし弁はポンプ吐出圧に感応し、吐出圧がその
調圧機構に設定した所定圧力値以上では吐出ライ
ンからタンクへの連通を閉じているが、吐出圧が
前記所定圧力値にまで下がつてくると開きはじ
め、吐出圧の前記所定圧力値以下での低下に応じ
てその開度を徐々に大きくし、逃がし流量を吐出
圧の低下に反して増加させる。これによつて微小
流量制御状態での低圧時の吐出流量の増加を補償
し、負荷への供給流量を設定流量値に保つもので
ある。

この場合、微小流量制御時の低圧側での吐出量
の増加は圧力変化に対して二次関数的に非直線変
化をするので、好ましくは前記逃がし弁の圧力対
流量特性も、例えば前記非直線変化を補償するよ
うな非線形特性とし、これは例えば逃がし弁の開
口制御部を弁ストロークに対する開口面積変化が
非直線となるような形状に形成することで可能で
ある。

このように本考案では吐出圧が低圧になると吐
出流量のタンクへの逃がし流量が逆に増加し、こ
れにより微小流量制御状態でも低圧から安定した
制御流量を負荷へ供給することができるようにな
るものである。

この考案の好適な実施例を図面と共に説明すれ
ば以下の通りである。

〔実施例〕

第１図において、本実施例に係る可変容量型ポ
ンプは、原動機（図示せず）で回転駆動されるポ
ンプ要素１と、このポンプ要素１の押退け容積を
その変位によつて変えてポンプ吐出量を制御する
吐出量可変要素（例えばピストンポンプにおいて
は斜板）２と、ばね３などの力に対抗して前記可
変要素を変位させるためにその尾端の圧力室４ａ
の油圧力で変位制御される操作ピストン４と、比
例電磁三方制御弁５と、安全弁６と、ポンプ吐出
量に対応した量として可変要素２の変位量を電気
信号として検出する変位検出器７と、ポンプ吐出
圧を電気信号として検出する圧力センサ８と、設
定入力端子９ａ，９ｂを有する制御アンプ装置１
０と、ポンプ吐出ラインPpとタンクラインＴと
の間に接続された逃がし弁１１と、ばね３と共に
吐出圧によつて可変要素を２をその最大押退け容
積位置へ向けて押圧するバイアスピストン１２と
を備えている。

尚、前記操作ピストン４の圧力室４ａには従来
のポンプと同様にカツトオフ対応位置にブリード
穴が設けられているものとする。

前記比例電磁三方制御弁５は、アンプ装置１０
からの制御信号の入力が最大のときに、操作ピス
トン４の圧力室４ａに通じるパイロットライン
LpをパイロツトＴラインに全開させてタンクへ
落としており、その後、入力の減少に応じて入力
電流に比例した開度でこれを徐々に絞り、次いで
パイロツトラインLpを、ポンプ吐出ラインＰに
通じたパイロツトＰラインPpに徐々に開きはじ
め、入力電流がなくなるとパイロツトＰライン
Ppへ全開で連通させて、圧力室４ａの圧力をタ
ンク圧から吐出圧まで入力に比例して制御するこ
とにより、可変要素２の変位を最大吐出量位置か
らフルカツトオフ位置まで制御する。

安全弁６はポンプ吐出ラインＰ側でのブロツク
など、負荷圧が異常に高くなつてその設定回路上
限圧に達したときだけ吐出ラインＰからポンプ吐
出圧をパイロツトラインLpへ直線導入し、圧力
室４ａに吐出圧を作用させて操作ピストン４を介
して可変要素２をフルカツトオフ位置へ強制的に
変位させる。

制御アンプ装置１０は、前記制御弁５に対して
前記制御入力電流を与えるために例えば制御弁５
に搭載された形で設けられている。このアンプ装
置１０は、例えば出願人により先に提案された特
願昭61−61994または同61−68448によるものを用
いればよく、圧力センサ８によつて測定された吐
出圧が端子９ａに与えられた設定値以下のとき
は、変位検出器７からの流量測定信号と端子９ｂ
へ与えられた流量設定信号とによる閉ループ制御
により吐出量が設定値になるように可変要素２の
変位を制御弁５および操作ピストン４を介して制
御し、吐出圧が設定圧なつたときには圧力センサ
８からの吐出圧測定信号と端子９ａへ与えられた
圧力設定信号とによる閉ループ制御により制御弁
５と操作ピストン４を介して可変要素２をフルカ
ツトオフ位置へ変位させる。

逃がし弁１１は、吐出ラインＰからのパイロツ
ト圧、すなちわ吐出圧に感応し、吐出圧がその調
圧機構を構成する調圧ばね１１ａの設定で定まる
所定圧力値以上ではばね１１ａに抗して閉じてお
り、吐出圧が前記所定圧力値より低下すると、ば
ね１１ａの力で徐々に開いて吐出ラインPpをタ
ンクラインＴへ連通させる。

ここで逃がし弁１１がスプールと吐出圧に対抗
するばね１１ａとを有するものとし、スプール径
をｄ、ポンプ吐出流量が設定流量よりも多くなり
はじめる吐出圧力値をPsとすると、逃がし弁１
１が開きはじめるスプール位置で前記ばね１１ａ
の力Ｆが Ｆ＝（π／４）d₂・Ps となるようにばね１１ａの初期たわみ量を予め調
整しておく。

吐出圧がPs以上ではスプールがばね１１ａの
力に打勝つてその開口制御部を閉じているから吐
出ラインPpとタンクラインＴとは遮断されてお
り、吐出量は全量負荷へ供給される。

吐出圧がPs以下ではばね１１ａの力のほうが
勝るのでスプールは吐出ラインPpとタンクライ
ンＴとを連通させるように移動し、この場合、ス
プールの開口制御部の形状を、例えばエンドミル
加工によつて円弧形状にするなど、ストロークに
対して開口面積が非線形に変化するようにしてお
くと、圧力変化に対して吐出ラインPpとタンク
ラインＴとの連通開度が非線形に変化する。従つ
て吐出ラインPpから逃がし弁１１の開口制御部
を介して吐出量の一部、即ち低圧領域での吐出量
増加分に相当する量が、吐出圧に対して二次関数
的に反比例した流量変化特性でタンクラインＴへ
逃がされることになり、これによつて負荷への供
給流量が設定値に保持されるものである。

尚、バイアスピストン１２は、吐出圧を受けて
可変要素２をその最大押退け容積位置へ向けてば
ね３のばね力と加算的に押圧し、これによりばね
３を必要最低限の強さのもので済ませて、低圧時
でも可変要素２を作動できるようにし、以て最低
調整圧力を低く設定できるようにするためのもの
である。

〔考案の効果〕

以上に述べたように、この考案によれば、単一
の比例電磁制御弁により圧力と流量を閉ループ制
御するロードセンシング形の可変容量型ポンプに
おいて、微小流量制御状態での低圧時における吐
出流量の増加分を、吐出圧の低下に応じて逃がし
流量を増加させる逃がし弁でタンクへ逃がすよう
にしたから、微小流量制御状態で低圧時の吐出量
増加現象が補償され、低圧からカツトオフ圧まで
安定した制御流量を負荷へ供給することができる
ようになるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例に係り可変容量型
ポンプの構成を示す油圧回路図である。 １……ポンプ要素、２……吐出量可変要素、３
……ばね、４……操作ピストン、５……比例電磁
三方制御弁、６……安全弁、７……変位検出器、
８……圧力センサ、９ａ，９ｂ……設定入力端
子、１０……制御アンプ装置、１１……逃がし
弁、１２……バイアスピストン。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 吐出量可変要素へ操作力を与えるための操作
   ピストンの圧力室内の圧油圧力を吐出圧油の一
   部の導入により増圧またはタンクへの導出によ
   り降圧させるように単一の比例電磁三方制御弁
   を用いて吐出圧および吐出流量の測定電気量に
   基づく閉ループフイードバツク制御をすること
   により吐出量可変要素を操作ピストンを介して
   ばね力に抗して位置制御し、設定圧力以下では
   吐出流量を設定値に保つと共に吐出圧が設定圧
   力に達したときには前記可変要素を吐出流量が
   必要最小限になるカツトオフ位置に変位させる
   ようにした可変容量型ポンプであつて、少なく
   とも前記可変要素を制御位置に安定保持するに
   必要な流量について前記圧力室から圧油の一部
   をドレンへ流出させるブリード穴を前記操作ピ
   ストンがカツトオフ制御位置にあるときに開か
   れるように前記圧力室の周壁の所定位置に設け
   たものにおいて、所定の吐出圧以下において吐
   出流量の一部をタンクへ逃がす逃がし弁を備
   え、この逃がし弁が、吐出圧の低下に反して逃
   がし流量を増加させる固有特性を有するもので
   あることを特徴とする可変容量型ポンプ。 ２ 逃がし弁が前記固有特性として吐出圧の低下
   に対して逃がし流量を非線形に増加させる非線
   形特性を有するものであることを特徴とする実
   用新案登録請求の範囲第１項に記載の可変容量
   型ポンプ。