JPH05164867A - 燃料集合体 - Google Patents

燃料集合体

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JPH05164867A
JPH05164867A JP3333708A JP33370891A JPH05164867A JP H05164867 A JPH05164867 A JP H05164867A JP 3333708 A JP3333708 A JP 3333708A JP 33370891 A JP33370891 A JP 33370891A JP H05164867 A JPH05164867 A JP H05164867A
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fuel
region
enrichment
rods
fuel rods
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JP3333708A
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Katsumasa Haikawa
勝正 配川
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

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  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】高燃焼度を目指したBWR用の燃料集合体にお
いて、濃縮度を高めたとき、冷温時において燃料集合体
コーナ部及びその周辺の燃料棒の出力を小さくし、設計
上の余裕の向上を図り、安全性を高める。 【構成】燃料集合体の平均濃縮度が上部領域で下部領域
より大きくなるように燃料棒1,2,3,4の濃縮度を
決める。また、正方格子状燃料配列の最外周の各コーナ
部に位置する燃料棒4とこの燃料棒に隣接する燃料棒3
の合計12本について、燃料棒の上部領域の濃縮度を下
部領域の濃縮度より小さくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は沸騰水型原子炉(以下B
WRと呼ぶ)の燃料集合体に係わり、特に、経済上の向
上を図った、高燃焼度用燃料集合体に関する。
【0002】
【従来の技術】燃焼度が零の新しい燃料集合体は、所定
の期間、原子炉の炉心内に装荷されており、寿命に達し
た後に使用済の燃料集合体として炉心外に取り出され
る。燃料集合体が炉心内に装荷されている間に、燃料集
合体を構成している燃料棒内の核分裂性物質、すなわち
ウラン235が分裂して熱を発生し、この熱が炉心に供
給される冷却水に伝えられる。沸騰水型原子炉であれ
ば、冷却水はウラン235の核分裂によって生じる熱に
より加熱されて蒸気になる。
【0003】燃焼度が零の新しい燃料集合体は、所定期
間の寿命を維持するように、即ち所定期間の末期におい
ても所定の核分裂を起こすように必要な濃縮度を有する
燃料ペレットを複数の燃料棒内に充填している。従っ
て、この新しい燃料集合体は、炉心内に装荷された初期
の時点では、過剰量の核分裂性物質を有しており、初期
余剰反応度を有している。しかしながら、原子炉は、初
期余剰反応度を考慮して可燃性毒物及び制御棒を用い
て、運転時に実効増倍率を1に維持すると同時に原子炉
の停止時に実効増倍率を1未満に低下させるように制御
される。
【0004】最近、燃料集合体の燃焼度を大きくするこ
とによって燃料経済性を向上することが考えられてい
る。燃料集合体の燃焼度を大きくするための一般的な手
法としては、炉心に装荷する新しい燃料集合体の平均濃
縮度を大きくすることである。即ち、特開昭58−17
9391号公報及び特開昭58−179392号公報に
示された燃料集合体の平均濃縮度は約3重量%である
が、高燃焼度化のためには、それ以上の平均濃縮度を有
する燃料集合体の開発が望まれている。平均濃縮度を高
くするためには、個々の燃料棒内に格納される燃料ペレ
ットの濃縮度、即ちウラン235の割合を大きくする必
要があるが、燃料ペレットの成型加工において、個々の
ペレットの濃縮度を無制限に大きくすることはできな
い。
【0005】一方、燃料集合体の平均濃縮度を上げると
き、減速材体燃料費を大きくしないで濃縮度を上げたの
では、中性子スペクトルが硬化してしまい、燃料集合体
の無限増倍率は、その濃縮度における最大値とはならな
い。特開昭62−217186号公報では、図12に示
すように、9行9列の正方格子状に配置された中央部の
7本の燃料棒を2本の太径水ロッドに置き換えることに
より減速材対燃料比を効率的に大きくし、さらに、7本
の燃料棒を取り除く代わりに、燃料棒9本分の断面積を
有する減速材領域を得て、中央部の中性子減速効果を高
め、熱中性子束の分布を周辺部、中央部で平坦にし、出
力分布を平坦化している。
【0006】また、一般的に、出力分布を平坦化するた
めには、図12及び図13に示すように、減速材が多く
存在し、減速効果が大きくて熱中性子束の大きい燃料集
合体のコーナ部の燃料棒についてその濃縮度を断面平均
濃縮度より小さくしている。これにより、熱中性子束が
大きくなっている分、燃料棒の濃縮度を下げることによ
って、その燃料棒の出力は他の燃料棒の出力と同程度に
することができる。
【0007】また、特開昭54−121389号公報の
第2図には、燃料の高濃縮化に際して、燃料の経済性の
向上を図るため、炉心上部の平均濃縮度を炉心下部の平
均濃縮度より小さくした燃料集合体が示されており、こ
の燃料集合体では、結果として燃料集合体のコーナ部及
びこの燃料棒に隣接する燃料棒においても、燃料棒の炉
心上部のウラン濃縮度が炉心下部のウラン濃縮度より小
さくなっている。
【0008】一方、BWRの炉心では、軸方向にボイド
分布を持つため、一般には軸方向出力分布は、炉心下部
近傍で出力がピーク値に達する歪んだ特性になってしま
う。そこで、BWRの燃料集合体では、特公昭58−2
9878号公報に記載のように、出力運転時における軸
方向の出力分布を平坦化するために、燃料集合体を燃料
棒の下端から軸方向全長の1/3と7/12との範囲に
おいて上部領域及び下部領域の2領域に分割し、上部領
域の濃縮度を下部領域の濃縮度より高くしている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、特開昭
62−217186号公報に記載の従来技術では、正方
格子状に燃料棒を配置した燃料集合体において、ウラン
−235の濃縮度を高くし、かつ燃料棒が少なくなるこ
とによる燃料装荷量の減少を少なくした上で、減速材対
燃料比を最適値に近づけ、ウランの効率的な燃焼を促進
し、高燃焼度化を図っている。
【0010】ところで、高燃焼度を達成するためには、
ウラン−235の濃縮度を高くした場合、上記のように
成形加工において取り扱えるペレットの最高濃縮度には
上限があるので、出力分布を平坦化するために熱中性子
束の高い燃料集合体コーナ部及びその周辺の燃料棒の濃
縮度も高くする必要がある。しかし、燃料集合体のコー
ナ部及びその近傍においては、熱中性子束が高くなって
いるので、コーナ部及びその周辺の燃料棒の濃縮度を高
くすると、高くした燃料棒の出力がこれまで以上に高く
なる。ここで、原子炉を停止した冷温時には、減速材の
温度が低くなることにより、減速材の密度は大きくな
り、燃料集合体コーナ部及びその周辺の燃料棒の位置で
は、減速効果はさらに大きくなり、熱中性子束はさらに
高くなる。そのため、コーナ部及びその周辺の燃料棒の
出力が高くなる傾向は、出力運転時よりも原子炉を停止
した冷温時の方が顕著となる。
【0011】原子炉施設の安全評価を実施する場合に
は、実際にはありえないが制御棒が何らかの理由で落下
し、制御棒が炉心から抜け出る事象について検討するこ
とになっている。この事象を考えた場合、上記のように
冷温時において燃料集合コーナ部及びその周辺の燃料棒
の出力が高くなっていると、この事象はより厳しいもの
となり、設計上の余裕が減少する傾向となる。
【0012】また、上記特公昭58−29878号公報
に記載のように、BWRの燃料集合体においては出力運
転時における軸方向の出力分布を平坦化するために、軸
方向の上部領域の濃縮度を下部領域の濃縮度より高くし
ているが、この技術を高濃縮度燃料の燃料集合体に適用
した場合、冷温時には、出力運転時に炉心上部に発生し
ているボイドがなくなるので、炉心上部領域の濃縮度が
高い分、軸方向上部の出力が更に大きくなる。
【0013】なお、特開昭54−121389号公報に
記載の燃料集合体では、炉心上部の平均濃縮度を炉心下
部の平均濃縮度より小さくしているため、出力運転時に
おける軸方向の出力分布は平坦化できず、特公昭58−
29878号公報に記載の技術を利用しようとした場
合、相入れない技術である。また、炉心上部の平均濃縮
度を炉心下部の平均濃縮度より小さくするのは、燃料棒
上方部分での転換を利用して燃料の経済性の向上を図る
ためであり、原子炉を停止した冷温時での出力上昇を配
慮したものではない。
【0014】本発明の目的は、燃料集合体横断面の平均
濃縮度を上部領域で下部領域より大きくしたもので燃料
の濃縮度を高めた場合でも、冷温時において燃料集合体
コーナ部及びその周辺の燃料棒の出力を小さくし、設計
上の余裕の向上が図れ安全性を高める燃料集合体を提供
することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、上部タイプレートと、下部タイプレート
と、正方格子状に配列され、前記上部タイプレート及び
前記下部タイプレートに上端及び下端を支持された複数
の燃料棒と、前記燃料棒相互間を所定の間隔に保持する
燃料スペーサとを備え、燃料集合体横断面の平均濃縮度
が少なくとも上部及び下部の2つの領域で異なり、上部
領域の平均濃縮度が下部領域の平均濃縮度より大きい燃
料集合体において、前記複数の燃料棒のうち、前記正方
格子状燃料配列の最外周の各コーナ部に位置する燃料棒
とこの燃料棒に隣接する2本の燃料棒の合計3本の燃料
棒の少なくともコーナ部の1本につき、上部領域の濃縮
度を下部領域の濃縮度より小さくする。
【0016】前記上部領域の濃縮度が下部領域の濃縮度
より小さい燃料棒は、前記正方格子状燃料配列の最外周
の4つのコーナ部に位置する4本の燃料棒であってもよ
いし、正方格子状燃料配列の最外周の4つのコーナ部に
位置する4本とこれに隣接して位置する8本の合計12
本の燃料棒であってもよい。
【0017】好ましくは、上記燃料集合体は、燃料棒の
1本の横断面積の2倍以上の減速材領域の横断面積を有
する複数の水ロッドをさらに備え、前記2本の水ロッド
が互いに前記正方格子状燃料配列に対して斜めに隣接し
て配置されている。この場合、好ましくは、前記複数の
燃料棒は、軸方向の上端部及び下端部の少なくとも一方
に天然ウラン領域が設置されている燃料棒を含む。
【0018】また好ましくは、前記上部領域の濃縮度が
下部領域の濃縮度より小さい燃料棒は、軸方向に下端か
ら上端まで24等分したとき、前記濃縮度が相対的に小
さい上部領域として少なくとも下端から17/24の位
置から22/24の位置までの領域を含み、前記濃縮度
が相対的に高い下部領域として少なくとも下端から2/
24の位置から8/24の位置までの領域を含む。
【0019】
【作用】燃料集合体のコーナー部及びその近辺において
は、熱中性子束が高くなっている。そのため、コーナ部
及びコーナ部に隣接する燃料棒の濃縮度を高くせざるを
得ない高燃焼度用燃料集合体においては、コーナ部及び
コーナ部に隣接する燃料棒の出力がこれまで以上に高く
なる。この傾向は、出力運転時よりも炉停止して減速材
である水の量がコーナ部で多くなる冷温時の方が顕著と
なる。従って、制御棒が抜け出す事象を考える場合に
は、冷温時の出力分布が高くなっている分、設計に対す
る余裕は小さくなっている。
【0020】上記本発明においては、各コーナ部に位置
する燃料棒とこの燃料棒に隣接する2本の燃料棒の合計
3本の燃料棒の少なくともコーナ部の1本につき、燃料
棒の上部領域の濃縮度を下部領域の濃縮度より小さくす
ることにより、上部領域において濃縮度が小さくなった
分、熱中性子束は高いままでも冷温時の出力は小さくな
る。これにより設計に対する余裕が大きくなり、より安
全性の高い燃料を実現できる。一方、下部領域において
は、濃縮度は高いままになっているので、燃料集合体全
体の平均濃縮度は、高燃焼度を達成するのに十分なほ
ど、濃縮度を高くできる。
【0021】コーナ部以外の燃料棒については、上部領
域の濃縮度を下部領域の濃縮度より高くすることができ
るので、従来通り特公昭58−29878に示す技術も
使用して、燃料集合体の上部領域の平均濃縮度を下部領
域の平均濃縮度より高くしており、これにより出力運転
時における軸方向の出力分布を平坦化できる。
【0022】本願発明者等の検討によれば、燃料棒毎で
考えた場合に冷温時に炉心内で最も出力が高くなるの
は、軸方向については下端から上端までを24分割した
とき、下端から17/24の位置から22/24の位置
までの領域である(図5参照)。このことから、燃料集
合体コーナ部及びコーナ部に隣接する燃料棒の濃縮度が
小さい上部領域には少なくとも下端から17/24の位
置から22/24の位置までの領域を含ませる。
【0023】一方、特公昭58−29878号公報に記
載のように、上部領域の平均濃縮度を下部領域の平均濃
縮度より高くする場合、軸方向の平均濃縮度の変化する
位置は、燃料棒の下端から軸方向全長の1/3(=8/
24)と7/12(=14/24)との範囲に位置させ
ることが適切であることが分かっている。軸方向の平均
濃縮度の変化する位置をこのように設定したとき、上記
のように燃料集合体コーナ部及びコーナ部に隣接する燃
料棒に対して、濃縮度が小さい上部領域には少なくとも
下端から17/24の位置から22/24の位置までの
領域を含ませると共に、濃縮度が高い下部領域に少なく
とも下端から2/24の位置から8/24の位置までの
領域を含ませることにより、上記燃料棒の軸方向の濃縮
度の変化する位置を燃料集合体の軸方向の平均濃縮度の
変化する位置と同じにでき、これにより燃料集合体の軸
方向の濃縮度変化位置の数を少なくできる。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面により説明す
る。まず、本発明の第1の実施例を図1及び図2によ
り、第2の実施例を図3及び図4により、これら実施例
の作用を図5により説明する。図1において、第1の実
施例の燃料集合体40は、燃料棒1,2,3,4を有
し、燃料棒1,2,3,4は9行9列の正方格子状に規
則正しく配列されている。燃料集合体40の中央部には
2本の水ロッド20が配置されており、これら2本の水
ロッド20を配置するために、9行9列に配置される8
1本の燃料棒のうち7本の燃料棒が取り除かれている。
これら燃料棒1〜4及び水ロッド20を取り囲むように
横断面矩形のチャンネルボックス30があり、チャンネ
ルボックス30は冷却材の沸騰領域(チャンネルボック
スの内側)と非沸騰領域(チャンネルボックスの外側)
を分ける役目をしている。
【0025】図1に示されている燃料棒1,2,3,4
の各々の軸方向の濃縮度の分布が図2に示されている。
燃料棒の四角の図の中の数値は、ウラン−235の濃縮
度を示している。燃料棒1においては、燃料ペレットの
ウラン−235の濃縮度は、5.0重量%である。燃料
棒2においては、炉心上部領域の燃料の濃縮度は5.0
重量%であるのに対し、下部領域においては、4.0重
量%となっている。燃料棒2の上部領域と下部領域の濃
縮度の境界、即ち濃縮度が変化する位置は、軸方向に下
端から上端まで24等分したとき11/24の位置にな
っている。燃料棒3及び4が本発明を特徴付けるもので
あり、燃料棒3の上部領域のウラン−235の濃縮度が
3.0重量%であるのに対し、下部領域においては、
4.0重量%となっている。また、燃料棒4も、上部領
域のウラン−235の濃縮度が2.0重量%であるのに
対し、下部領域は、3.0重量%であり、燃料棒3及び
4ともに上部領域の濃縮度の方が下部領域よりも小さく
なっている。燃料棒3及び4の上部領域と下部領域の濃
縮度の境界、即ち濃縮度が変化する位置は、軸方向に下
端から上端まで24等分したとき上記燃料棒2と同じ1
1/24の位置になっている。即ち、軸方向の濃縮度が
変化する位置の数は増加していない。
【0026】燃料棒4は、図1に示すように9行9列の
正方格子状に配列された燃料棒の4つのコーナ部にそれ
ぞれ1本ずつ合計4本配置され、燃料棒3は燃料棒4の
横または縦に隣接した位置、即ち最外周格子線上の隣り
に、それぞれ、合計8本配置されている。
【0027】燃料棒3及び4は、上部領域の濃縮度が下
部領域の濃縮度より低いが、燃料棒2はその逆で、上部
領域の濃縮度が下部領域の濃縮度より高くなっている。
燃料集合体内に配置されている本数は全部で40本であ
り、燃料集合体全体で考えると、軸方向の平均濃縮度分
布は上部領域で高く、下部領域で低くなっており、燃料
集合体全体の軸方向の出力分布は、ボイドの発生を考慮
して、平坦化されている。
【0028】また、第3図において、本発明の第2の実
施例による燃料集合体40Aは、9行9列の正方格子状
に配列された燃料棒1,2,4,5を有している。燃料
棒1,2,4,5の軸方向の濃縮度の分布は、図4に示
されている。即ち、本実施例では、上部領域の濃縮度が
下部領域の濃縮度より低いのは、燃料棒4だけであり、
この燃料棒は図3に示すようにコーナ部4箇所に1本ず
つ配置されている。第1の実施例では、コーナ部の燃料
棒4の隣にも、上部領域の濃縮度が下部領域より低い燃
料棒3が配置されていたが、この実施例の場合には、コ
ーナ部の燃料棒4の隣には上部領域と下部領域の濃縮度
が同じである燃料棒5が配置されている。この場合に
も、燃料棒2の本数が24本あるので、燃料集合体の軸
方向の平均濃縮度の分布は、上部領域で高く、下部領域
で低くなっており、燃料集合体全体の出力分布は、ボイ
ドの発生を考慮して、平坦化されている。
【0029】以上の燃料集合体40,40Aの冷温時に
おける炉心平均軸方向出力分布を図5にそれぞれ破線4
1、実線42で示す。この図から分るように、冷温時に
は炉心平均の軸方向出力分布は、炉心上方に大きく歪む
ことが分る。これは、冷温時には燃料集合体よりの熱の
発生がないため、出力運転中に発生しているボイドがな
くなって、炉心上方の平均濃縮度が高い分、出力が上方
で高くなるからである。この場合、燃料棒下端から17
/24の位置から22/24の位置までの軸方向領域4
3においては、出力分布が高くなっていて、本発明を実
施しない場合には、制御棒が抜け出す事象を考える場合
には、コーナ部及びコーナ部に隣接する位置にある燃料
棒の設計上の余裕は小さくなってしまう。
【0030】本発明の燃料集合体40,40Aにおいて
は、コーナ部に位置する燃料棒4及びこれに隣接する燃
料棒3は、冷温時に出力が高くなる燃料棒下端から17
/24の位置から22/24の位置までの軸方向領域4
3を含む上部領域において、上述したように濃縮度が低
くなっている。そのため、冷温時にチャンネルボックス
内の沸騰領域が全て水に満たされ、チャンネルボックス
の外側の非沸騰領域の水とともに温度に下がることで、
水の分子が増加して、コーナ部付近で熱中性子束が大き
くなっても、濃縮度が低くなっているので、冷温時にお
いて出力を低く抑えることが可能となっている。
【0031】一方、燃料棒3及び4の下部領域において
は、濃縮度が比較的に高くなっている。そのため、出力
運転時においては、燃料棒3及び4の出力が高くなるこ
とが心配される。そこで、下部領域における燃料の濃縮
度分布は、最大線出力密度が満たせるように適切に決め
ることになる。しかしながら、炉心の下部領域において
は、チャンネルボックス内の冷却材がまだ、あまり沸騰
していないために、減速材である水の量がチャンネルボ
ックス内に十分存在する。そのために、コーナ部のみが
熱中性子束が高いわけではなく、出力分布は平坦になっ
ている。炉心の上部領域では、ボイドが多く発生してお
り、チャンネルボックス内の水の量は少なくなってい
る。そのため、チャンネル外の水によって発生する熱中
性子の影響を受けやすいコーナ部付近の燃料棒の出力
は、高くなりやすいことが分かる。この傾向は、冷温時
には水の密度が増えるので、さらに顕著となる。
【0032】また、上記2つの実施例では、燃料棒は9
行9列の正方格子配列であり、燃料棒の本数は従来の6
0本から74本に増加し、1本あたりの燃料棒出力が本
数に比例して小さくなっている。このため、最大線出力
密度を適切な値にするのに必要な最大の局所出力も大き
くすることができる。以上により、出力運転時において
は、局所出力が大きくなり過ぎるいう問題は、発生しに
くいことが分かる。
【0033】以上のように、第1及び第2の実施例によ
れば、冷温時においてコーナ部の局所出力が小さくなる
ので、冷温時における制御棒の抜け出し事象評価におい
て、燃料ペレットのエンタルピが小さくなり、設計上の
余裕の向上が図れ、安全性を高めることができる。ま
た、コーナ部の燃料棒の下部領域の濃縮度は高くできる
ので、燃料経済性の損失は最小限にできる。
【0034】本発明の第3の実施例を図6及び図7によ
り説明する。原子炉の炉心に、燃料集合体を規則的に配
列していく場合に、チャンネルボックスの4辺とチャン
ネル外領域をはさんで向か合ったもう1つの別の燃料集
合体との間隔が4つとも等しい炉心と、そうでなく2辺
ずつが等しい炉心(D格子炉心)とがある。本実施例
は、後者のD格子炉心に本発明を実施したものであり、
燃料集合体40Bは第2の実施例の燃料集合体40Aと
同様に、9行9列の正方格子状に配列された燃料棒1,
2,4,5を有している。ただし、上部領域の濃縮度が
下部領域に濃縮度より低い燃料棒4は、チャンネル同士
の幅が広い方のコーナ部にのみ配置されている。D格子
炉心では、チャンネル同士のギャップ幅の広い方のコー
ナ部には、熱中性子が多く発生するので、このコーナ部
に特に出力が大きくなりやすく、他方、他のコーナ部で
は熱中性子束は大きくならないので、上部領域の濃縮度
が下部領域の濃縮度と同じ燃料棒5を配置している。本
実施例によれば、D格子炉心に対して上記実施例と同様
の効果が得られる。
【0035】本発明の第4の実施例を図8及び図9によ
り説明する。本実施例の燃料集合体40Cは、9行9列
の正方格子状に配列された燃料棒7,8,9,10,1
1を有し、燃料棒7,8,9,10には、下端部及び上
端部に天然ウラン部NU(濃縮度約0.71重量%)が
配置され、中性子の炉心上下方向への漏れを小さくし、
燃料の経済性を向上させている。また、燃料棒11は、
燃料有効長が途中でなくなっている部分長の燃料棒であ
る。燃料棒11の燃料有効部の切れ目は、燃料棒11を
軸方向に下端から上端まで24等分したとき15/24
の位置になっている。
【0036】また、燃料棒8は、天然ウラン部NUを除
いた上部領域の濃縮度が下部領域の濃縮度よりも高くな
っている。燃料棒9は、上部領域の濃縮度が下部領域の
濃縮度より小さくなっている。燃料棒8,9の軸方向の
濃縮度が変化する位置は、燃料棒を軸方向に下端から上
端まで24等分したとき11/24の位置になってい
る。燃料棒10については、燃料棒9と同様に上部領域
の濃縮度が下部領域の濃縮度より小さくなっているが、
上部領域と下部領域の濃縮度の境界が燃料棒9より上方
の、下端より15/24の位置になっている。この場合
にも、図5に示すように、冷温時に軸方向の出力が高く
なる17/24から22/24の位置では、濃縮度が低
くなっており、冷温時において燃料集合体コーナ部及び
その周辺の燃料棒の出力を小さくし、設計上の余裕を向
上し安全性を高めることができる。また、燃料棒10に
おける濃縮度2.0重量%と3.0重量パーセントの境
界が、燃料棒11の燃料有効部の切れ目と同じ位置にな
るようになっていて、燃料集合体の軸方向の濃縮度が変
化する位置の数を少なくするように配慮している。
【0037】本発明の第5の実施例を図10及び図11
により説明する。本実施例の燃料集合体40Dは燃料棒
7,8,9,11,12を有し、これら燃料棒は10行
10列の正方格子状に配列されたている。燃料集合体4
0Dの中央部は12本の燃料棒配置空間を4本の太径の
水ロッド20が占める配置となっている。この場合にお
いても、図11に示すように、燃料棒9及び12は、上
部領域の濃縮度が下部領域の濃縮度より小さくなってい
て、燃料集合体の4つのコーナ部には、燃料棒12が配
置され、燃料棒12の格子上の横隣りには燃料棒9が配
置されている。また、この実施例においても上部領域の
濃縮度が下部領域よりも高い燃料棒8が、燃料棒9及び
12よりも数多く配置されているので、燃料集合体の軸
方向の濃縮度分布は、上部領域で高く下部領域で低くな
っている。従って、本実施例においても、これまでの実
施例と同じく冷温時の上部領域での高所出力を小さくす
ることができる。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、冷温時においてコーナ
部の局所出力を小さくすることができるので、冷温時に
おいて燃料集合体の軸方向の出力分布が、上部で大きく
ピークになることを考慮しても、冷温時における制御棒
の抜け出し事象評価において、燃料ペレットのエンタル
ピが小さくなり、設計上の余裕の向上が図れ、安全性を
高めることができる。また、コーナ部の燃料棒の下部領
域の濃縮度は高くできるので、燃料経済性の損失は最小
限にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による燃料集合体の横断
面図である。
【図2】図1に示す各燃料棒の軸方向の濃縮度分布を示
す図である。
【図3】本発明の第2の実施例による燃料集合体の横断
面図である。
【図4】図3に示す各燃料棒の軸方向の濃縮度分布を示
す図である。
【図5】冷温時における燃料集合体の軸方向の出力分布
を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施例による燃料集合体の横断
面図である。
【図7】図6に示す各燃料棒の軸方向の濃縮度分布を示
す図である。
【図8】本発明の第4の実施例による燃料集合体の横断
面図である。
【図9】図8に示す各燃料棒の軸方向の濃縮度分布を示
す図である。
【図10】本発明の第5の実施例による燃料集合体の横
断面図である。
【図11】図10に示す各燃料棒の軸方向の濃縮度分布
を示す図である。
【図12】従来の燃料集合体の横断面図である。
【図13】図12に示す各燃料棒の軸方向の濃縮度分布
を示す図である。
【符号の説明】
1〜12 燃料棒 20 水ロッド 40〜40D 燃料集合体

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上部タイプレートと、下部タイプレート
    と、正方格子状に配列され、前記上部タイプレート及び
    前記下部タイプレートに上端及び下端を支持された複数
    の燃料棒と、前記燃料棒相互間を所定の間隔に保持する
    燃料スペーサとを備え、燃料集合体横断面の平均濃縮度
    が少なくとも上部及び下部の2つの領域で異なり、上部
    領域の平均濃縮度が下部領域の平均濃縮度より大きい燃
    料集合体において、 前記複数の燃料棒のうち、前記正方格子状燃料配列の最
    外周の各コーナ部に位置する燃料棒とこの燃料棒に隣接
    する2本の燃料棒の合計3本の燃料棒の少なくともコー
    ナ部の1本につき、上部領域の濃縮度が下部領域の濃縮
    度より小さいことを特徴とする燃料集合体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の燃料集合体において、前
    記上部領域の濃縮度が下部領域の濃縮度より小さい燃料
    棒は、前記正方格子状燃料配列の最外周の4つのコーナ
    部に位置する4本の燃料棒であることを特徴とする燃料
    集合体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の燃料集合体において、前
    記上部領域の濃縮度が下部領域の濃縮度より小さい燃料
    棒は、前記正方格子状燃料配列の最外周の4つのコーナ
    部に位置する4本とこれに隣接して位置する8本の合計
    12本の燃料棒であることを特徴とする燃料集合体。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の燃料集合体において、燃
    料棒の1本の横断面積の2倍以上の減速材領域の横断面
    積を有する複数の水ロッドをさらに備え、前記2本の水
    ロッドが互いに前記正方格子状燃料配列に対して斜めに
    隣接して配置されていることを特徴とする燃料集合体。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の燃料集合体において、前
    記複数の燃料棒は、軸方向の上端部及び下端部の少なく
    とも一方に天然ウラン領域が設置されている燃料棒を含
    むことを特徴とする燃料集合体。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の燃料集合体において、前
    記上部領域の濃縮度が下部領域の濃縮度より小さい燃料
    棒は、軸方向に下端から上端まで24等分したとき、前
    記濃縮度が相対的に小さい上部領域として少なくとも下
    端から17/24の位置から22/24の位置までの領
    域を含み、前記濃縮度が相対的に高い下部領域として少
    なくとも下端から2/24の位置から8/24の位置ま
    での領域を含むことを特徴とする燃料集合体。
  7. 【請求項7】 請求項2項記載の燃料集合体において、
    前記4本の燃料棒は、全て、軸方向に下端から上端まで
    24等分したとき、前記濃縮度が相対的に小さい上部領
    域として少なくとも下端から17/24の位置から22
    /24の位置までの領域を含み、前記濃縮度が相対的に
    高い下部領域として少なくとも下端から2/24の位置
    から8/24の位置までの領域を含むことを特徴とする
    燃料集合体。
  8. 【請求項8】 請求項3項記載の燃料集合体において、
    前記12本の燃料棒は、全て、軸方向に下端から上端ま
    で24等分したとき、前記濃縮度が相対的に小さい上部
    領域として少なくとも下端から17/24の位置から2
    2/24の位置までの領域を含み、前記濃縮度が相対的
    に高い下部領域として少なくとも下端から2/24の位
    置から8/24の位置までの領域を含むことを特徴とす
    る燃料集合体。
  9. 【請求項9】 請求項8項記載の燃料集合体において、
    燃料棒の1本の横断面積の2倍以上の減速材領域の横断
    面積を有する複数の水ロッドをさらに備え、前記2本の
    水ロッドが互いに前記正方格子状燃料配列に対して斜め
    に隣接して配置されていることを特徴とする燃料集合
    体。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の燃料集合体において、
    前記複数の燃料棒は、軸方向の上端部及び下端部の少な
    くとも一方に天然ウラン領域が設置されている燃料棒を
    含むことを特徴とする燃料集合体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018186039A1 (ja) * 2017-04-05 2018-10-11 株式会社日立製作所 燃料集合体及び燃料集合体の製造方法

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