JPH0516430Y2

JPH0516430Y2 -

Info

Publication number: JPH0516430Y2
Application number: JP15883186U
Authority: JP
Priority date: 1986-10-16
Filing date: 1986-10-16
Publication date: 1993-04-30
Anticipated expiration: 2001-10-16
Also published as: JPS6364948U

Description

【考案の詳細な説明】

（産業上の利用分野）本考案は、歯付ベルトに関し、特に、歯カバー
織布が強固に接着し、歯部の摩耗、欠損を防止し
た耐熱性歯付ベルトに関する。（従来の技術）近年、自動車OHC用歯付ベルトなどで、その
耐熱性の向上が要求されて来つつある。この耐熱
性の向上のためには、歯付ベルトの主体であるゴ
ム組成物を、耐熱性のあるもの、例えばクロロプ
レンゴムが一般的に用いられて来た。しかし、ク
ロロプレンゴムを用いたベルトにおいては、熱雰
囲気中で寿命に問題があり、長期間の使用に耐え
ないという欠点があつた。すなわち、クロロプレ
ンゴムを用いた歯付ベルトでは、ベルトの背面ゴ
ム層に亀裂が発生し、寿命に至るか、又は、ベル
ト歯型の歯元に亀裂が発生し歯欠けを生じ寿命に
至る場合が大部分を占める。これらの原因として
は、まず第一にベルトの背面に生じる亀裂は、背
面に用いたゴムの耐熱性の不足と耐屈曲性の不足
とによつて生じ、歯元の亀裂は、織布と歯型を形
成しているゴムとの接着力、及びベルトに用いる
抗張力体と歯型形成ゴムとの接着力、並びに歯型
形成ゴム、歯カバー織布の強度、伸びなどが起因
して発生する。そこで、これらの問題点を解決するために、ベ
ルトに用いられるゴムを、特に耐熱性のすぐれた
ものを用いる改良がなされて来ており、その中で
は、特に耐熱性の優れた水素化ニトリルゴムから
なるゴム組成物を使用したベルトが注目されてい
る。この水素化ニトリルゴムは、不飽和二重結合
が水素で飽和されているために、耐熱性は向上す
るが、逆に接着性の点で問題が残つていた。そこ
で、ゴムと織布との接着力を向上させるために一
般的には、レゾルシン−フオルマリン初期縮合物
のゴムラテツクス混合物（RFLという。）で処理
する方法が取られているが、この処理では、織布
が剛直化し、ベルト成形時に織布が金型に完全に
沿わず、歯型部の形状が完全に形成されないとい
う問題がある。また、接着性を向上させるるめに
ゴム中に接着剤組成物を混合して用いる方法もあ
るが、このものでは、ゴム組成物の物理的性質を
低下させてしまうという問題がある。本考案者らは、かかる問題のある歯付ベルトに
ついて、耐熱性を有すると共に、歯カバー織布と
歯形成ゴムとが接着しているベルトを得べく鋭意
研究を重ねた結果、本考案のベルトを得るに至つ
た。（発明の目的）従つて、本考案の目的は、耐熱性に優れ、かつ
歯カバー織布と歯形成ゴムとが良好な接着を示す
歯付ベルトであつて、ベルト本体と歯型部を形成
するゴムは、水素化ニトリルゴム（以下「水添
NBR」という。）に各種配合剤を混合したゴム組
成物であり、ベルト歯型部の歯カバー織布が、水
素化ニトリルゴムに、シリカ、レゾルシン若しく
はその他変性物及びメチレンドナーとからなる接
着性成分を混合したゴム組成物で処理された織布
から構成されている耐熱性と熱雰囲気中での寿命
にすぐれた歯付ベルトを提供することを目的とす
る。（本考案の構成）以下、本考案について具体的に説明すると、第
１図は、本考案にかかる歯付ベルトの断面斜示図
であり、歯付ベルトは、背面ゴム１と、歯型部
２，抗張力体３、歯カバー織布４とから構成され
ている。本考案の背面ゴム１及び歯型部２を形成するゴ
ム組成物は、ニトリルゴム（以下「NBR」とい
う。）が有する二重結合に対し水素を添加し二重
結合に基づく再結合反応を起こりにくくした従来
のNBRゴムに対し耐熱老化性を改善させたゴム
を用いる。水添NBRを用いるに当つては、必要量の加硫
剤、加硫促進剤、補強剤、可塑剤その他必要に応
じ各種添加剤が混合されたものである。抗張力体３は、必要に応じ各種のものが単独若
しくは混紡若しくは混縒りしたものが用いられる
が、材料としては、ガラス繊維、芳香族ポリアミ
ド繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維ウイ
スカー繊維、金属繊維等を目的に応じ選択してい
る。また、抗張力体の形状はコード、若しくは織
布の形でもよい。次に歯カバー織布４は、ポリアミド、ポリエス
テル等を素材とするものであつて、織り形状につ
いては、目的に応じ選択されるもので、この織布
の対して、水添NBRゴム組成物に、シリカ、レ
ゾルシン若しくはその変性物及びメチレンドナー
として例えばヘキサメチレンテトラミン又はヘキ
サメチロールメラミン類を混合した接着用ゴム組
成物を塗布して用いる。ヘキサメチレンテトラミ
ン又は、ヘキサメチロールメラミン類は各々を単
独若しくは混合して用いることができる塗布の方
法としては、種々の方法があるが、一般的に用い
られるのは、この接着組成物を混入した水添
NBRゴム組成物を適当な有機溶剤中に溶解した
ゴム糊状のものをロールコーター等の塗布機で塗
布するか、又はゴム糊中浸漬して塗布するのが通
常の方法である。また、塗布するに当ては、片面
だけを塗布して用いても良い。なお、ここで用い
る織布は、特に接着のための処理をしていないも
のであるが、必要に応じては、織布の柔軟性を失
わない範囲で、ゴムとの接着性を向上させるため
に処理されてもよい。（発明の効果）以上の構成とする歯付ベルトとする事により耐
熱性に優れ、しかもベルト歯部とカバー織布とが
強固に接着した耐久性の優れたベルトを得ること
ができる。以下、本考案の効果を更に具体的に実施例をも
つて説明する。（実施例）歯付ベルト本体を構成するゴム組成物として配
合物１を用い、織布の接着処理用ゴム組成物とし
て配合物２を用いてベルトを作製した。走行試験
の結果を第２表に示す。この表の中での比較実施
例１として、歯カバー織布を接着処理用ゴム組成
物で処理していないものを、また比較例２として
従来から用いられて来ているクロロプレンゴムを
用いて作製した歯付ベルトを掲げる。クロロプレ
ンゴム組成物の配合は、第１表の配合物３で示
す。歯付ベルトの走行条件は、ベルト長さ800mm、
巾19mm、抗張力体としては、ガラスコードを用い
たもので、駆動プーリーが歯数１８、従動プーリ
ーが歯数３６、回転数が駆動プーリー側で
3000rpmの走行条件で行つた。

【表】

【表】【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案にかかる歯付ベルトの斜視図
である。１……背面ゴム、２……歯型ゴム、３……抗張
力体、４……織布。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

水素化ニトリルゴムを主体とする歯付ベルトに
おいて、歯カバー織布が水素化ニトリルゴムに、
シリカ、レゾルシン若しくはその変性物及びメチ
レンドナーを混合したゴム組成物で処理された織
布から構成されることを特徴とする歯付ベルト。