JPH05163980A - 内燃機関の空燃比制御方法 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御方法

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JPH05163980A
JPH05163980A JP33226991A JP33226991A JPH05163980A JP H05163980 A JPH05163980 A JP H05163980A JP 33226991 A JP33226991 A JP 33226991A JP 33226991 A JP33226991 A JP 33226991A JP H05163980 A JPH05163980 A JP H05163980A
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JP
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air
fuel ratio
fuel
lean
correction coefficient
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JP33226991A
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Yasushi Araki
康 荒木
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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  • Supplying Secondary Fuel Or The Like To Fuel, Air Or Fuel-Air Mixtures (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】蒸発燃料のパージの有無による空燃比への影響
を少なくして、空燃比の極端なリーン化に基づく失火を
防止しつつ、空燃比のリッチ化を確実に防止して燃費向
上を図る。 【構成】CPU32はエンジン1の運転状態が予め定め
た所定状態のとき、O2 センサ23よる空燃比が理論空
燃比となるように、燃料噴射弁15からの燃料噴射量を
フィードバック制御する。また、CPU32は運転状態
が前記所定状態以外のとき、前記O2 センサ23による
空燃比が理論空燃比よりもリーンとなるように、リーン
補正係数を用いて燃料噴射弁15からの燃料噴射量をリ
ーン制御する。そして、このリーン制御中に、燃料タン
ク24からの蒸発燃料が吸気通路5に放出されてO2
ンサ23にてリッチ状態が検出されたとき、CPU32
はリーン制御を中止し、前記リーン補正係数を用いてフ
ィードバック制御を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内燃機関の空燃比制御方
法に係り、詳しくは、内燃機関の運転状態が予め定めた
所定状態のとき、空燃比が理論空燃比となるように燃料
噴射弁からの燃料噴射量を閉ループ制御するとともに、
運転状態が前記所定状態以外のとき、空燃比が理論空燃
比よりもリーンとなるように燃料噴射弁からの燃料噴射
量を開ループ制御するようにした内燃機関の空燃比制御
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば車両用内燃機関において
は、排気ガス規制及び燃費低減を両立させる方法とし
て、三元触媒とO2 センサを用いて排気ガス中のCO、
HC、NOx を同時に酸化還元反応させ、この反応によ
り排気ガスを浄化する方法が採用されている。この際、
排気ガス中の3成分を同時に効率よく浄化するために
は、常に理論空燃比の近傍で内燃機関を運転する必要が
ある。そこで、一般的には、O 2 センサからの検出信号
に基づき、機関に供給する混合気の空燃比A/Fが理論
空燃比に近づくように閉ループ制御(以下、フィードバ
ック制御という)している。
【0003】一方、例えば軽負荷運転状態においては、
排気ガス中の有害成分であるNOxの排出量がもともと
少ないため、排気ガス浄化性能を若干犠牲にしても空燃
比が理論空燃比よりリーン側となるように制御した方が
内燃機関の燃費性能は向上する。そこで、軽負荷運転状
態においては、前記フィードバック制御を中止し、空燃
比A/Fが理論空燃比よりリーン側となるように開ルー
プ制御(以下、リーン制御という)するようにしてい
る。
【0004】このようなフィードバック制御及びリーン
制御を行う技術としては、例えば特開昭60−4783
7号公報に開示された「内燃機関の希薄燃焼制御方式」
がある。この技術では、フィードバック制御の実行に際
し、フィードバック補正係数FAFを用いて燃料噴射弁
の実燃料噴射時間を算出している。また、リーン制御の
実行に際し、リーン補正係数KTPを用いて燃料噴射弁
の実燃料噴射時間を算出している。さらに、前記公報技
術では、リーン制御前に空燃比の学習を行い、その学習
値をリーン補正係数KTPに反映させている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記従来技
術をパージ装置を備えた内燃機関に適用すると、次のよ
うな問題がある。ここで、パージ装置とは、燃料タンク
等から発生する蒸発燃料をキャニスタ内の活性炭に吸着
させ、これを吸気系へ放出(パージ)するための装置で
ある。より詳しくは、キャニスタと吸気通路とを接続す
るパージ通路にパージ制御弁を配設し、予め定められた
機関運転状態において、パージ制御弁を開弁させてキャ
ニスタ内に貯溜された蒸発燃料を吸気通路にパージさせ
るものである。
【0006】そして、この蒸発燃料のパージのない場合
を想定して前記リーン補正係数KTPを設定すると、そ
のパージによって空燃比A/Fがリッチとなった場合、
フィードバック制御時よりも燃費が悪化する。この現象
を、図8(a)と図8(b)を用いて説明する。
【0007】図8(a)は、パージによる空燃比A/F
への影響がない場合を示している。図8(a)における
フィードバック制御時には、「1」を中心として変動す
るフィードバック補正係数FAFを用いて実燃料噴射時
間が算出され、リーン制御時には、パージのない場合を
基準として設定されたリーン補正係数KTPを用いて実
燃料噴射時間が算出される。そして、これらの実燃料噴
射時間に基づき燃料噴射弁から燃料が噴射されると、フ
ィードバック制御時には空燃比A/Fが理論空燃比に近
づけられ、リーン制御時には図8(a)の斜線部分で示
すように、空燃比A/Fが理論空燃比よりリーンとな
り、その結果、目的とする燃費向上が図られる。
【0008】これに対し、図8(b)は、パージによっ
て空燃比A/Fがリッチになった場合を示している。こ
の場合におけるフィードバック制御時には、空燃比A/
Fを理論空燃比にするためにフィードバック補正係数F
AFが図8(a)よりも小さくなる。従って、このフィ
ードバック制御時にはパージによる空燃比A/Fへの影
響がフィードバック補正係数FAFの変動によって相殺
される。ところが、前述したようにリーン制御時の実燃
料噴射時間の算出に用いられるリーン補正係数KTP
は、パージのない場合を基準として設定されている。こ
のため、リーン制御時には、パージによる空燃比のリッ
チ化を相殺できず、リーン制御の目的とする燃費向上が
図れないばかりか、場合によっては、図8(b)におい
て斜線で示すように、空燃比A/Fが理論空燃比よりも
リッチとなってフィードバック制御時よりも燃費が悪化
するおそれもある。
【0009】また、前記とは逆に、蒸発燃料がパージさ
れる場合を想定してリーン補正係数KTPを設定する
と、パージのない場合に失火を引き起こす。この現象
を、図9(a)及び図9(b)を用いて説明する。
【0010】図9(a)は、パージにより空燃比A/F
が影響を受け、しかもフィードバック制御中はリーン補
正係数KTPを用いていない場合を示している。図9
(a)におけるフィードバック制御時には、パージによ
る空燃比リッチ分を補償するべく、フィードバック補正
係数FAFは1.0より小さい値で変動する。また、リ
ーン制御時には、パージによるリッチ分を見越した(パ
ージがある場合を基準として設定された)リーン補正係
数KTPを用いて実燃料噴射時間が算出される。そし
て、これらの実燃料噴射時間に応じて燃料噴射弁から燃
料が噴射されると、フィードバック制御時には空燃比A
/Fが理論空燃比に近づけられ、リーン制御時には空燃
比A/Fが理論空燃比よりリーンとなり、その結果、燃
費が向上する。
【0011】これに対し、図9(b)は、パージによる
空燃比A/Fへの影響がなくなった場合を示している。
この場合におけるフィードバック制御時には、空燃比A
/Fを理論空燃比にするためにフィードバック補正係数
FAFが図9(a)よりも大きくなる。つまり、1.0
を中心に変化することになる。ところが、リーン補正係
数KTPは、パージを想定して設定されているので、リ
ーン制御時には、空燃比A/Fが極端にリーンとなり、
失火を引き起こしてしまう。
【0012】このような相反した制約により、リーン制
御のねらいである燃費の向上が制約を受ける。本発明は
前述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的
は、蒸発燃料のパージの有無による空燃比への影響を少
なくして、空燃比の極端なリーン化に基づく失火を防止
しつつ、空燃比のリッチ化を確実に防止して燃費向上を
図ることが可能な内燃機関の空燃比制御方法を提供する
ことにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、内燃機関の運転状態を検出し、その運転状
態に応じて燃料噴射弁から吸気通路へ燃料を噴射させ、
前記吸気通路を介して内燃機関に導入される空気と、前
記燃料噴射弁から噴射される燃料とからなる混合気の空
燃比を空燃比センサで検出し、前記内燃機関の運転状態
が予め定めた所定状態のとき、前記空燃比センサよる空
燃比が理論空燃比となるように、フィードバック補正係
数を用いて燃料噴射弁からの燃料噴射量を閉ループ制御
するとともに、前記運転状態が前記所定状態以外のと
き、前記空燃比センサによる空燃比が理論空燃比よりも
リーンとなるように、リーン補正係数を用いて前記燃料
噴射弁からの燃料噴射量を開ループ制御するようにした
内燃機関の空燃比制御方法において、前記開ループ制御
中に、燃料タンクからの蒸発燃料が吸気通路に放出され
て空燃比が理論空燃比よりもリッチになることが検出又
は推定されたとき、開ループ制御を中止し、その開ルー
プ制御中でのリーン補正係数と前記フィードバック補正
係数とを用いた閉ループ制御を行うようにしている。
【0014】
【作用】空燃比制御に際し、まず内燃機関の運転状態が
検出され、その運転状態に応じて燃料噴射弁から吸気通
路へ燃料が噴射される。そして、吸気通路を介して内燃
機関に導入される空気と、前記燃料噴射弁から噴射され
る燃料とからなる混合気の空燃比が空燃比センサによっ
て検出される。
【0015】前記内燃機関の運転状態が予め定めた所定
状態のときには、前記空燃比センサよる空燃比が理論空
燃比となるように、フィードバック補正係数を用いて燃
料噴射弁からの燃料噴射量が閉ループ制御される。ま
た、前記運転状態が前記所定状態以外のときには、前記
空燃比センサによる空燃比が理論空燃比よりもリーンと
なるように、リーン補正係数を用いて前記燃料噴射弁か
らの燃料噴射量が開ループ制御される。
【0016】このような開ループ制御中に、燃料タンク
からの蒸発燃料が吸気通路に放出されて、空燃比が理論
空燃比よりもリッチになることが検出又は推定される
と、同開ループ制御が中止され、前記リーン補正係数と
前記フィードバック補正係数とを用いた閉ループ制御が
行われる。
【0017】そのため、リッチ状態となってもリーン補
正係数を用いたリーン制御を続けると、リーン補正係数
がパージを考慮せずに設定されている場合には、蒸発燃
料のパージによって空燃比がリッチとなって燃費が悪化
し、逆にリーン補正係数がパージを考慮して設定されて
いる場合には、パージがなくなると空燃比が理論空燃比
よりも大幅にリーンとなって失火を引き起こすのに対
し、本発明では閉ループ制御への移行により蒸発燃料に
基づく空燃比への影響が相殺される。従って、蒸発燃料
の放出にかかわらず空燃比を理論空燃比とすることが可
能となる。
【0018】さらに、単に開ループ制御を中止して閉ル
ープ制御へ移行するだけでは、空燃比を理論空燃比にで
きない場合がある。すなわち、図4(a)で示すよう
に、閉ループ制御に用いられるフィードバック補正係数
には一般にガード値が設定されており、通常はこのガー
ド値以上の領域でフィードバック補正係数が変化するこ
とによって、空燃比が理論空燃比となるように燃料噴射
量が制御される。ところが、蒸発燃料のパージ量が極端
に多くなり、前記領域内でのフィードバック補正係数の
変化では理論空燃比を得ることができなくなると、つま
りフィードバック補正係数がガード値と同一になると、
空燃比が理論空燃比よりもリッチとなってしまう。
【0019】これに対し、本発明では開ループ制御から
閉ループ制御への移行に際し、その開ループ制御中での
リーン補正係数と前記フィードバック補正係数とを用い
た閉ループ制御が行われる。このため、図4(b)で示
すように、リーン補正係数を用いた補正分だけフィード
バック補正係数が二点鎖線の状態から実線の状態へ移行
し、ガード値から離れる。従って、この変動分だけ閉ル
ープ制御によって制御可能な幅が実質的に広くなり、そ
の結果、過剰なパージが行われても理論空燃比にするこ
とが可能となる。
【0020】
【実施例】
(第1実施例)以下、本発明を具体化した第1実施例を
図1〜図4に従って説明する。
【0021】図1で示すように、車両に搭載された内燃
機関としてのエンジン1のシリンダ2には、クランクシ
ャフト(図示しない)の回転にともない上下動するピス
トン3が収容されている。ピストン3の上方には燃焼室
4が形成され、この燃焼室4に吸気通路5及び排気通路
6が連通している。燃焼室4と吸気通路5との連通部分
は吸気ポート7となっており、この吸気ポート7はシリ
ンダヘッド8に上下動可能に取付けられた吸気バルブ9
によって開閉される。また、燃焼室4と排気通路6との
連通部分は排気ポート11となっており、この排気ポー
ト11はシリンダヘッド8に上下動可能に取付けられた
排気バルブ12によって開閉される。
【0022】前記吸気通路5には、吸気ポート7から上
流側へ向けてサージタンク13及びエアクリーナ14が
順に配設されており、エアクリーナ14で濾過された空
気が吸気通路5、サージタンク13を通過して前記燃焼
室4に吸入される。サージタンク13は、吸入空気の脈
動を平滑化させるためのものである。
【0023】前記吸気ポート7近傍の吸気通路5には、
その吸気ポート7へ向けて燃料を噴射するための燃料噴
射弁15が取付けられている。また、サージタンク13
よりも上流の吸気通路5内にはスロットル弁16が設け
られている。このスロットル弁16は、アクセルペダル
の踏み込み操作に連動して吸気通路5を開閉する。そし
て、このスロットル弁16の開閉動作により、燃焼室4
へ導入される吸入空気の量が調節される。スロットル弁
16の近傍には、そのスロットル弁16が全閉状態のと
きオンとなり、全閉以外の状態のときオフとなるアイド
ルスイッチ17が取付けられている。さらに、前記スロ
ットル弁16よりも上流の吸気通路5には、吸入空気量
を検出するエアフローメータ18が取付けられている。
【0024】前記燃料噴射弁15から噴射される燃料と
吸気通路5内へ導入された外気とからなる混合気は、吸
気バルブ9の開かれる際に、吸気ポート7を通じて燃焼
室4内へ導入される。この燃焼室4に導入された混合気
を着火するために、シリンダヘッド8には点火プラグ
(図示しない)が取付けられている。この点火プラグは
ディストリビュータ19にて分配された点火信号に基づ
いて駆動される。そして、この点火プラグの点火によっ
て燃焼室4内へ導入された混合気が爆発・燃焼され、ピ
ストン3、クランクシャフト等を介してエンジン1の駆
動力が得られる。なお、前記ディストリビュータ19に
は、そのロータの回転を検出してエンジン回転信号を出
力する回転数センサ21が設けられている。
【0025】燃焼室4で生じた排気ガスは、排気バルブ
12が開かれる際に排気ポート11から排気通路6を通
じて外部へ排出される。排気通路6の途中には、排気ガ
ス中の3つの有害成分HC、CO、NOxを同時に浄化
する三元触媒22が設けられている。前記排気ポート1
1と三元触媒22との間の排気通路6には、排気ガス中
の酸素濃度を検出する空燃比センサとしてのO2 センサ
23が設けられている。このO2 センサ23は、理論空
燃比近傍で出力電圧が急変する特性を有している。
【0026】加えて、車両に搭載された燃料タンク24
にはベーパ通路25を介してキャニスタ26が接続され
ており、同燃料タンク24で発生した蒸発燃料がベーパ
通路25を通ってキャニスタ26に導かれるようになっ
ている。キャニスタ26は、活性炭が収納された蒸発燃
料の吸着容器であり、前記蒸発燃料がこの活性炭に一旦
吸着されるようになっている。
【0027】前記キャニスタ26はパージ通路27を介
してスロットル弁16下流のサージタンク13に接続さ
れ、同キャニスタ26内の蒸発燃料が燃焼室4に吸入さ
れるようになっている。パージ通路27の途中にはパー
ジ制御弁28が設けられている。このパージ制御弁28
は、前記パージ通路27を開閉することにより、前記キ
ャニスタ26から吸気通路5へ導かれる蒸発燃料のパー
ジ量を調節するためのものである。
【0028】前記アイドルスイッチ17、エアフローメ
ータ18、回転数センサ21及びO 2 センサ23は電子
制御装置(以下、「ECU」という)31の入力側に電
気的に接続されている。また、前記燃料噴射弁15及び
パージ制御弁28は、ECU31の出力側に電気的に接
続されている。そして、ECU31は前記アイドルスイ
ッチ17、エアフローメータ18及び各種センサ21,
23からの検出信号に基づいて燃料噴射弁15及びパー
ジ制御弁28を制御する。
【0029】ECU31は、中央処理装置(以下CPU
という)32と、読み出し専用メモリ(以下ROMとい
う) 33と、ランダムアクセスメモリ(以下RAMとい
う)34と、入力ポート35と、出力ポート36とを備
え、これらは互いにバス37によって接続されている。
CPU32は、予め設定された制御プログラムに従って
各種演算処理を実行し、ROM33はCPU32で演算
処理を実行するために必要な制御プログラムや初期デー
タを予め記憶している。また、RAM34はCPU32
の演算結果を一時記憶する。
【0030】前記エアフローメータ18からの吸入空気
量信号及びO2 センサ23からの酸素濃度信号は、A/
D変換器38,39を介して入力ポート35に入力され
る。また、アイドルスイッチ17からのオン・オフ信号
及び回転数センサ21からのエンジン回転信号は入力ポ
ート35に入力される。CPU32はこれらの信号に基
づき、吸入空気量Q、リッチ・リーン信号、アイドルス
イッチ17のオン・オフ、エンジン回転数NEを検知す
る。
【0031】一方、CPU32はデューティ制御にてパ
ージ制御弁28の開度を制御する。すなわち、CPU3
2は所定のデューティ比を有するパルス信号を、出力ポ
ート36及び駆動回路41を介してパージ制御弁28に
出力し、同パルス信号のハイレベルにてパージ制御弁2
8を開弁させる。この開度調整によってパージ量が調整
される。前記パージ制御弁28を開弁させる条件として
は、例えば、エンジン1の始動後30秒経過しているこ
と、アイドルスイッチ17がオンされてから5秒経過し
ていること、車速が2Km/h以上であること、吸気温が
45℃以上であること等が挙げられる。また、CPU3
2は出力ポート36及び駆動回路42を介して燃料噴射
弁15に駆動信号を出力することにより、燃料噴射弁1
5の開弁時間を制御して燃料噴射量を調整する。
【0032】次に、前記のように構成された本実施例の
作用及び効果について説明する。図2のフローチャート
はCPU32によって実行される各処理のうち、実燃料
噴射時間TAUを算出するためのTAU算出ルーチンを
示しており、このルーチンは一定クランク角毎の割り込
みによって実行される。
【0033】CPU32は、このルーチンに移行する
と、まずステップ101でそのときのエンジン1の運転
状態がリーン制御領域にあるか否かを判定する。この判
定は、例えばROM33に予め記憶されているマップ
(図示しない)を用いて行われる。このマップには、エ
ンジン回転数NEと基本燃料噴射時間との関係におい
て、フィードバック制御を行う領域とリーン制御を行う
領域とが規定されている。そして、CPU32はそのと
きのエンジン回転数NEと基本噴射時間とに基づき、フ
ィードバック制御領域とリーン制御領域のうちのどちら
の領域にあるかを判定する。
【0034】CPU32はステップ101においてリー
ン制御領域でないと判定すると、フィードバック制御を
行うためにステップ102へ移行し、次の(1)式に基
づき燃料噴射弁15の実燃料噴射時間TAUを算出し、
このルーチンを一旦終了する。
【0035】 TAU=K×(Q/NE)×FAF ……(1) ここで、Kは定数、Qは吸入空気量、NEはエンジン回
転数であり、K・(Q/NE)は理論空燃比を得るよう
に設定された基本燃料噴射時間である。また、FAFは
2 センサ23の出力信号の変化にともない変化するフ
ィードバック補正係数であり、空燃比A/Fが理論空燃
比となるように前記基本燃料噴射時間K・(Q/NE)
を補正する。このフィードバック補正係数FAFは、図
3で示すように空燃比A/Fがリッチからリーンに転じ
たとき、急激に所定のスキップ値だけ増加した後徐々に
増加し、リーンからリッチに転じたとき、急激に所定の
スキップ値だけ減少した後に徐々に減少する。空燃比A
/Fが理論空燃比に制御されているとき、フィードバッ
ク補正係数FAFは1.0を中心に変動する。
【0036】なお、フィードバック補正係数FAFに
は、1.0を挟む所定の上限値(MAX)、下限値(M
IN)が設けられており、フィードバック補正係数FA
Fはこれらのガード値でガードされる。また、フィード
バック制御中以外はフィードバック補正係数FAFが
1.0に設定される。
【0037】CPU32は前記ステップ101でリーン
制御領域であると判定すると、図2のステップ103
で、O2 センサ23からの出力がリッチであるか否かを
判定する。すなわち、CPU32は図3に示すように、
2センサ23からの出力電圧Vと理論空燃比に対応す
る基準電圧Vrとを比較し、出力電圧Vが基準電圧Vr
よりも高ければリッチと判定し、基準電圧Vrよりも低
ければリーンと判定する。このように、ステップ103
での判定がリーンであると、CPU32はリーン制御を
行うために図2のステップ104へ移行し、次の(2)
式に基づき燃料噴射弁15の実燃料噴射時間TAUを算
出し、このルーチンを一旦終了する。
【0038】 TAU=K×(Q/NE)×KTP ……(2) ここで、K、Q、NEは前記(1)式と同様である。ま
た、KTPはリーン補正係数であり、空燃比A/Fを理
論空燃比よりもリーンとするための係数であって、この
場合、1.0より小さい値である。なお、このリーン補
正係数KTPは、パージがない場合を基準に設定してあ
るので、リーン制御中にパージがなくても空燃比がリー
ンになりすぎ、失火を引き起こすようなことはない。
【0039】CPU32は前記ステップ103でO2
ンサ23からの出力に基づき空燃比A/Fがリッチであ
ると判定すると、ステップ105でそのリッチ状態が予
め定めた所定期間続いているか否かを判定する。リッチ
状態が所定期間続いていない場合、CPU32は前記ス
テップ104の処理を行い、このルーチンを一旦終了す
る。
【0040】一方、CPU32はステップ105の判定
で、O2 センサ23による空燃比A/Fのリッチ状態が
所定期間続いていると判定すると、パージ制御弁28が
開かれてキャニスタ26内の蒸発燃料が多量に吸気通路
5へ放出され、その結果、O 2 センサ23からの出力が
リッチ状態になっていると判断し、前記ステップ104
の処理を中止してステップ106へ移行する。CPU3
2はステップ106で次の(3)式に基づき燃料噴射弁
15の実燃料噴射時間TAUを算出し、このルーチンを
一旦終了する。
【0041】 TAU=K×(Q/NE)×KTP×FAF……(3) ここで、K、Q、NE、KTP、FAFは前記(1)式
及び(2)式と同様である。
【0042】前記のようにして、(1)〜(3)のうち
のいずれかの式に基づいて、そのときの運転状態に応じ
た実燃料噴射時間TAUが算出される。なお、詳しい説
明は省略するが、CPU32は前述した(1)〜(3)
の各演算式に基づき実燃料噴射時間TAUを算出する
と、出力ポート36及び駆動回路42を介して燃料噴射
弁15に駆動信号を出力する。この信号の出力により、
燃料噴射弁15の開弁時間が制御されて所定量の燃料が
燃料噴射弁15から噴射される。そして、ステップ10
2又はステップ106の処理が繰り返されることで、空
燃比A/Fが理論空燃比となるように閉ループ制御(フ
ィードバック制御)が行われる。また、ステップ104
の処理が繰り返されることで、空燃比A/Fが理論空燃
比よりもリーン側となるように開ループ制御(リーン制
御)が行われる。
【0043】このように、本実施例では、エンジン1の
運転状態が予め定めた所定状態のとき、前記O2 センサ
23よる空燃比A/Fが理論空燃比となるように、燃料
噴射弁15からの燃料噴射量をフィードバック制御する
(ステップ102)。また、運転状態が前記所定状態以
外のとき、前記O2 センサ23による空燃比A/Fが理
論空燃比よりもリーンとなるように、リーン補正係数K
TPを用いて前記燃料噴射弁15からの燃料噴射量をリ
ーン制御する(ステップ104)。そして、このリーン
制御中に、燃料タンク24からの蒸発燃料が吸気系に放
出されて空燃比が理論空燃比よりもリッチになることが
2 センサ23にて検出されたとき、リーン制御を中止
し、前記リーン補正係数KTPと前記フィードバック補
正係数FAFとを用いてフィードバック制御を行う(ス
テップ106)ようにした。
【0044】そのため、リッチ状態となってもリーン補
正係数KTPを用いた開ループのリーン制御を続ける従
来技術では、リーン補正係数KTPがパージを考慮せず
に設定されている場合には、蒸発燃料のパージによって
空燃比A/Fがリッチとなって燃費が悪化し、逆にリー
ン補正係数KTPがパージを考慮して設定されている場
合には、パージがなくなると空燃比A/Fが理論空燃比
よりも大幅にリーンとなって失火を引き起こすのに対
し、本実施例ではフィードバック制御への移行によりパ
ージの空燃比A/Fへの影響を相殺して理論空燃比とす
ることができる。
【0045】ここで、単にリーン制御を中止してフィー
ドバック制御へ移行するだけでは、このフィードバック
制御によって空燃比A/Fを理論空燃比にできない場合
がある。すなわち、図4(a)で示すように、一般に、
フィードバック補正係数FAFにはガード値が設定され
ており、通常はこのガード値以上の領域でフィードバッ
ク補正係数FAFが変化することによって、空燃比A/
Fが理論空燃比となるように実燃料噴射時間TAUを制
御している。ところが、蒸発燃料のパージ量が極端に多
くなり、前記領域内でのフィードバック補正係数FAF
の変化によって理論空燃比を得ることができなくなる
と、つまりフィードバック補正係数FAFがガード値と
同一になると、空燃比A/Fが理論空燃比よりもリッチ
となってしまう。
【0046】これに対し、本実施例ではリーン制御から
フィードバック制御への移行に際し、そのリーン制御で
のリーン補正係数KTPとフィードバック補正係数FA
Fとを用いてフィードバック制御を行うようにした。こ
のため、図4(b)で示すように、リーン補正係数KT
Pを用いた補正分だけフィードバック補正係数FAFが
二点鎖線の状態から実線の状態へ上昇する。つまり、フ
ィードバック補正係数FAFの全体が前記ガード値より
も高くなる。従って、この上昇分だけフィードバック制
御によって制御可能な幅が実質的に広くなり、その結
果、過剰なパージが行われても理論空燃比にすることが
可能となる。
【0047】このように本実施例によると、蒸発燃料の
パージの有無による空燃比A/Fへの影響を少なくし
て、空燃比A/Fの極端なリーン化に基づく失火を防止
しつつ、空燃比A/Fのリッチ化を確実に防止して燃費
向上を図ることができる。 (第2実施例)次に、本発明の第2実施例を図5〜図7
に従って説明する。
【0048】本実施例が適用されるエンジン1では、ア
イドル運転時にパージ制御弁28を開いてキャニスタ2
6から蒸発燃料を放出させるとともに、その放出された
蒸発燃料の濃度が予め定めた所定値以上となったとき
に、燃料噴射弁15からの燃料噴射量を減量補正するよ
うにしている。この減量補正のために、実燃料噴射時間
TAUの算出に際し、パージによる減量補正値FPUR
Gを用いている。すなわち、前記実燃料噴射時間TAU
から減量補正値FPURGを減算し、その減算結果を最
終の実燃料噴射時間TAUとしている。この減量補正値
FPURGは、 FPURG=KPG×(NE0 /NE)……(4) で求められる補正値である。ここで、NEはエンジン回
転数、NE0 は基準アイドル回転数(例えば600rp
m)である。また、KPGはエンジン回転数NEが基準
アイドル回転数NE0 のときに、パージによる燃料増量
を補正するために用いられる燃料噴射時間の補正値(パ
ージ補正値)である。
【0049】そして、本実施例では減量補正値FPUR
Gが所定値以上となったときに、パージにより空燃比A
/Fが理論空燃比よりもリッチになるものと推定してい
る。図5のフローチャートは、パージ制御弁28に出力
されるパルス信号のデューティ比Dutyを算出するた
めのDuty算出ルーチンを示しており、所定時間毎の
定時割り込みで実行される。また、図6のフローチャー
トはパージによる減量補正値FPURGを算出するため
のFPURG算出ルーチンを示しており、前記図5のル
ーチンとは別に所定時間(例えば16msec)毎の定時割
り込みで実行される。さらに、図7のフローチャート
は、前記減量補正値FPURGを用いて実燃料噴射時間
TAUを算出するためのTAU算出ルーチンを示してお
り、このルーチンは一定クランク毎の割り込みによって
実行される。
【0050】まず、図5のDuty算出ルーチンについ
て説明する。CPU32はこのルーチンに移行すると、
まずステップ201でアイドルスイッチ17がオンされ
たか否かを判定し、ステップ202で空燃比A/Fのフ
ィードバック制御を行うための条件(フィードバック条
件)が成立したか否かを判定する。このフィードバック
条件としては、例えばO2 センサ23の活性後、冷却水
温が60℃以上であることが挙げられる。前記ステップ
201の判定でアイドルスイッチ17がオンされていな
い場合、又はステップ202の判定でフィードバック条
件が成立していない場合、CPU32はステップ203
において、パージ制御弁28に出力されるパルス信号の
デューティ比Dutyを「0」にし、このルーチンを終
了する。
【0051】前記ステップ201でアイドルスイッチ1
7がオンされ、かつステップ202でフィードバック条
件が成立している場合、CPU32はステップ204
で、そのときのフィードバック補正係数FAFが1.0
3よりも大きいか否かを判定する。フィードバック補正
係数FAFが1.03よりも大きい(FAF>1.0)
と、CPU32はステップ205において、そのときの
デューティ比Dutyに予め定められた所定値αを加算
し、これを新たなデューティ比Dutyとし、このルー
チンを終了する。
【0052】前記ステップ204においてフィードバッ
ク補正係数FAFが1.03以下である(FAF≦1.
03)と、CPU32はステップ206で同フィードバ
ック補正係数FAFが0.99よりも小さいか否かを判
定する。CPU32はフィードバック補正係数FAFが
0.99以上である(FAF≧0.99)と、このルー
チンを終了する。つまり、そのときのデューティ比Du
tyを維持する。また、CPU32はフィードバック補
正係数FAFが0.99よりも小さい(FAF<0.9
9)と、そのときのデューティ比Dutyから予め定め
られた所定値βを減算し、これを新たなデューティ比D
utyとし、このルーチンを終了する。
【0053】なお、CPU32は前記のようにデューテ
ィ比Dutyを算出すると、そのデューティ比Duty
を有するパルス信号を、出力ポート36及び駆動回路4
1を介してパージ制御弁28に出力する。このパルス信
号の出力によりパージ制御弁28の開度が調整されて、
パージ量が調整される。詳しくは、エンジン1がアイド
ル状態でない場合、又は空燃比のフィードバック条件が
成立しない場合にはパージが停止される。また、アイド
ル状態であり、かつフィードバック制御条件が成立して
いる場合には、フィードバック補正係数FAFが0.9
9≦FAF≦1.03となるようにパージ制御弁28の
開度が調整される。
【0054】次に、図6のFPURG算出ルーチンにつ
いて説明する。CPU32はこのルーチンに移行する
と、まずステップ301でアイドルスイッチ17がオン
されたか否かを判定し、ステップ302において前記ス
テップ301以外の条件が成立したか否かを判定する。
この条件としては、例えば、空燃比のフィードバック条
件が成立してアイドルスイッチ17がオンされた状態が
5秒以上継続され、かつ車速が2Km/h未満であり、か
つ吸気温が45℃よりも高いこと等が挙げられる。
【0055】前記ステップ301の判定でアイドルスイ
ッチ17がオンされていない場合、又はステップ302
での条件が成立していない場合、CPU32はステップ
303において、パージによる減量補正値FPURGを
「0」にし、このルーチンを終了する。
【0056】前記ステップ301でアイドルスイッチ1
7がオンされ、かつステップ302での条件が成立して
いる場合、CPU32はステップ304において前記
(4)式に基づき減量補正値FPURGを算出し、この
ルーチンを終了する。
【0057】次に、図7のTAU算出ルーチンについて
説明する。このルーチンではフラグXPURGRが用意
されている。このフラグXPURGRは、エンジン1の
アイドル運転時に多量の蒸発燃料がパージされて空燃比
A/Fがリッチとなる事態を予測するためのものであ
り、エンジン1の始動時に「0」に初期設定され、前記
減量補正値FPURGが所定値FPURGMX以上とな
った場合に「1」に設定される。
【0058】CPU32は、このルーチンに移行する
と、まずステップ401で減量補正値FPURGが所定
値FPURGMXを越えたか否かを判定する。減量補正
値FPURGが所定値FPURGMX以上であると(F
PURG≧FPURGMX)、CPU32は蒸発燃料の
パージ量が多く空燃比A/Fがリッチとなるおそれがあ
ると判断し、ステップ402でフラグXPURGRを
「1」に設定する。また、減量補正値FPURGが所定
値FPURGMXよりも小さいと(FPURG<FPU
RGMX)、CPU32は蒸発燃料のパージ量が少なく
空燃比A/Fがリッチとなるおそれがないと判断し、そ
のときのフラグXPURGRの状態を維持する。
【0059】次に、CPU32はステップ403でアイ
ドルスイッチ17がオンされたか否かを判定する。アイ
ドルスイッチ17がオンされていると、ステップ404
で、CPU32は前回の処理ルーチンにおいてアイドル
スイッチ17がオフされていたか否かを判定する。前回
までの処理ルーチンでアイドルスイッチ17がオフされ
ていて、今回の処理ルーチンで初めてアイドルスイッチ
17がオンされた場合には、CPU32はステップ40
5でフラグXPURGRを「0」に設定してステップ4
06へ移行する。また、CPU32は前回の処理ルーチ
ンでアイドルスイッチ17がオンされていると、そのと
きのフラグXPURGRの状態を維持してステップ40
6へ移行する。これらのステップ404及びステップ4
05は、減量補正値FPURGが所定値FPURGMX
以上になってから、オフ状態のアイドルスイッチ17が
オンされるまでの期間、リーン補正係数KTPを燃料噴
射量に反映して空燃比A/Fのフィードバック制御を行
うための処理である。
【0060】続いて、CPU32はステップ406でそ
のときのエンジン1の運転状態がリーン制御領域にある
か否かを判定する。この判定は第1実施例でのステップ
101と同じである。CPU32はリーン制御領域でな
いと、フィードバック制御を行うためにステップ407
へ移行し、前記(1)式からそのときの減量補正値FP
URGを減算して燃料噴射弁15の実燃料噴射時間TA
Uを算出し、このルーチンを終了する。
【0061】CPU32はステップ406でリーン制御
領域であると判定すると、ステップ408でフラグXP
URGRが「1」に設定されているか否かを判定する。
フラグXPURGRが「0」であると、空燃比リッチの
おそれがないことから、CPU32はリーン制御を行う
ためにステップ409へ移行し、前記(2)式からその
ときの減量補正値FPURGを減算して燃料噴射弁15
の実燃料噴射時間TAUを算出し、このルーチンを終了
する。
【0062】一方、CPU32は前記ステップ408で
フラグXPURGRが「1」であると、キャニスタ26
から吸気通路5へ放出された蒸発燃料のパージ量が多
く、このパージにより空燃比リッチのおそれがあると推
定し、前記ステップ409の処理を中止してステップ4
10へ移行する。CPU32はステップ410で前記
(3)式からそのときの減量補正値FPURGを減算し
て燃料噴射弁15の実燃料噴射時間TAUを算出し、こ
のルーチンを終了する。このようにして、そのときの運
転状態に応じた実燃料噴射時間TAUが算出される。
【0063】なお、CPU32は実燃料噴射時間TAU
を算出すると、出力ポート36及び駆動回路42を介し
て燃料噴射弁15に駆動信号を出力する。この信号の出
力により、燃料噴射弁15の開弁時間が制御されて所定
量の燃料が燃料噴射弁15から噴射される。そして、ス
テップ407又はステップ410の処理が繰り返される
ことで、空燃比A/Fが理論空燃比となるように閉ルー
プ制御(フィードバック制御)される。また、ステップ
409の処理が繰り返されることで、空燃比A/Fが理
論空燃比よりもリーン側となるように開ループ制御(リ
ーン制御)される。
【0064】このように、本実施例では、エンジン1の
運転状態が予め定めた所定状態のとき、空燃比A/Fが
理論空燃比となるように、燃料噴射弁15からの燃料噴
射量をフィードバック制御する(ステップ407)。ま
た、前記運転状態が前記所定状態以外のとき、空燃比A
/Fが理論空燃比よりもリーンとなるように、リーン補
正係数KTPを用いて前記燃料噴射弁15からの燃料噴
射量をリーン制御する(ステップ409)。そして、こ
のリーン制御中に、蒸発燃料のパージによって空燃比A
/Fが理論空燃比よりもリッチになることが推定された
とき、同リーン制御を中止し、前記リーン補正係数KT
Pと前記フィードバック補正係数FAFとを用いてフィ
ードバック制御を行う(ステップ410)ようにした。
【0065】そのため、本実施例によっても前記第1実
施例と同様に、リーン制御を中止してフィードバック制
御へ移行するので、この制御により蒸発燃料のパージの
有無による空燃比A/Fへの影響を少なくして理論空燃
比とすることができる。従って、空燃比A/Fの極端な
リーン化に基づく失火を防止しつつ、空燃比A/Fのリ
ッチ化を確実に防止して燃費向上を図ることができる。
【0066】さらに、本実施例によると次の効果も奏す
る。一般に車両の加速時、特に吸入空気量の少ないアイ
ドル運転状態から加速を行う場合には、パージによる空
燃比のリッチ化が原因でもたつきが発生する。このもた
つきを解消するために、従来はパージポート(吸気通路
5におけるパージ通路27の開口部分)を高くしたり、
パージ流量自体を少なくしたりすることが行われてい
る。ところが、このような対策では確かにもたつきは解
消できるものの、本来パージが必要なときに十分なパー
ジを行うことができず、パージ能力の低下を引き起こし
てしまう。これに対し、本実施例では前述したようにア
イドル時のパージによるリッチ化を防止するようにして
いるので、前記パージ能力の低下をきたすことなく加速
時のもたつきを防止できる。
【0067】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、開
ループ制御中に燃料タンクからの蒸発燃料が吸気通路に
放出されて、空燃比が理論空燃比よりもリッチになるこ
とが検出又は推定されたとき開ループ制御を中止し、そ
の開ループ制御中でのリーン補正係数とフィードバック
補正係数とを用いた閉ループ制御を行うようにしたの
で、蒸発燃料のパージの有無による空燃比への影響を少
なくして、空燃比の極端なリーン化に基づく失火を防止
しつつ、空燃比のリッチ化を確実に防止して燃費向上を
図ることができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を具体化した第1実施例の空燃比制御方
法が適用されるエンジンの概略構成図である。
【図2】第1実施例におけるTAU算出ルーチンを説明
するフローチャートである。
【図3】第1実施例における空燃比とO2 センサの出力
電圧とフィードバック補正係数との関係を示す図であ
る。
【図4】第1実施例において、(a)はリーン補正係数
を用いずにフィードバック制御を行った場合のフィード
バック補正係数と空燃比との関係を示す図であり、
(b)はリーン補正係数を用いてフィードバック制御を
行った場合のフィードバック補正係数と空燃比との関係
を示す図である。
【図5】本発明を具体化した第2実施例におけるDut
y算出ルーチンを説明するフローチャートである。
【図6】第2実施例におけるFPURG算出ルーチンを
説明するフローチャートである。
【図7】第2実施例におけるTAU算出ルーチンを説明
するフローチャートである。
【図8】蒸発燃料のパージのない場合を想定してリーン
補正係数を設定した従来技術を示し、(a)はパージに
よる空燃比への影響がない場合のフィードバック補正係
数と空燃比との関係を示す図であり、(b)はパージに
より空燃比がリッチになった場合のフィードバック補正
係数と空燃比との関係を示す図である。
【図9】蒸発燃料のパージのある場合を想定してリーン
補正係数を設定した従来技術を示し、(a)はパージに
より空燃比がリッチになった場合のフィードバック補正
係数と空燃比との関係を示す図であり、(b)はパージ
による空燃比への影響がない場合のフィードバック補正
係数と空燃比との関係を示す図である。
【符号の説明】
1…内燃機関としてのエンジン、5…吸気通路、15…
燃料噴射弁、23…空燃比センサとしてのO2 センサ、
24…燃料タンク、FAF…フィードバック補正係数、
A/F…空燃比、KTP…リーン補正係数

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内燃機関の運転状態を検出し、その運転
    状態に応じて燃料噴射弁から吸気通路へ燃料を噴射さ
    せ、前記吸気通路を介して内燃機関に導入される空気
    と、前記燃料噴射弁から噴射される燃料とからなる混合
    気の空燃比を空燃比センサで検出し、前記内燃機関の運
    転状態が予め定めた所定状態のとき、前記空燃比センサ
    よる空燃比が理論空燃比となるように、フィードバック
    補正係数を用いて燃料噴射弁からの燃料噴射量を閉ルー
    プ制御するとともに、前記運転状態が前記所定状態以外
    のとき、前記空燃比センサによる空燃比が理論空燃比よ
    りもリーンとなるように、リーン補正係数を用いて前記
    燃料噴射弁からの燃料噴射量を開ループ制御するように
    した内燃機関の空燃比制御方法において、 前記開ループ制御中に燃料タンクからの蒸発燃料が吸気
    通路に放出されて、空燃比が理論空燃比よりもリッチに
    なることが検出又は推定されたとき、開ループ制御を中
    止し、その開ループ制御中でのリーン補正係数と前記フ
    ィードバック補正係数とを用いた閉ループ制御を行うこ
    とを特徴とする内燃機関の空燃比制御方法。
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