JPH0516348Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、球形、卵形、円筒形あるいは塔状の
コンクリート構造物の建築時に使用するクライミ
ング足場装置の落下防止安全装置に関するもので
ある。

「従来の技術」 従来、この種の球形又は卵形のコンクリート構
造物を構築する際のクライミング足場装置として
は、既設の躯体壁面に取り付けられたクライミン
グレールの外側部に固定された突起部材に、前記
クライミング足場装置に設けられた上昇手段であ
る油圧ジヤツキの反力をとつて、ジヤツキを伸縮
させながらクライミング足場を上方へ移動させ、
その上部に設けられた型枠内にコンクリートを打
設しながら構築物を築造するようにしたものが知
られている。

「考案が解決しようとする問題点」 ところが、前記従来のクライミング足場装置に
おいては、特に、落下防止安全装置が設けられて
おらず、クライミングレールの突起部材の破損や
油圧ジヤツキの故障等によりクライミング足場装
置が滑りを起こしたり、落下したりする恐れがあ
るという問題点があつた。

本考案は、前記問題点に鑑みてなされたもので
あり、クライミングレールの突起部材の破損や油
圧ジヤツキの故障等が生じた場合にも、クライミ
ング足場装置が滑つたり、落下したりすることの
無いクライミング足場装置の落下防止安全装置を
提供することを目的としている。

「問題点を解決するための手段」 本考案は、前記問題点を解決するために、クラ
イミング足場装置の上昇手段が取り付けられた連
結部材に回動自在に設けられた係止部材と、この
係止部材をクライミングレールの突起部材に付勢
させるばねとを備えたことを特徴としている。

「実施例」 以下、図面を参照しながら本考案の実施例を説
明する。第１図，第２図は、本考案の実施例を示
すものであり、第１図はクライミング足場装置の
落下防止安全装置の要部を示す図であり、第２図
はクライミング足場装置の全体を示す図である。

まず、第２図を用いてクライミング足場装置全
体について説明すると、図中符号１は卵形に形成
されたコンクリート構造物の躯体の一部分を示す
断面図であり、その内外表面には一対のクライミ
ングレール２，２…が躯体内部に埋設されたボル
ト３によつて、相対向する位置にかつ鉛直方向に
沿つて連結固定されている。また、クライミング
レール２は紙面に対して直交する方向にも平行に
配設されている。そして、一対のクライミングレ
ール２の係合溝２ａには、一対のクライミング足
場装置（以下、単に「足場装置」という）Ａ，Ａ
の上昇用の上部スライダー４ａ，４ａと、下部ス
ライダー４ｂ，４ｂとが摺動自在に係合されてお
り、これら上部スライダー４ａ，４ａと下部スラ
イダー４ｂ，４ｂの中心部には、足場装置のクラ
イミングガーダー５，５に固定された連結部材
６，６が回動自在にピン接合された状態となつて
いる。

以下、躯体１の外側に配設された足場装置Ａに
ついてのみ説明すると、クライミングガーダー５
の上部には上部クライミングガーダー５ａが固定
されているとともに、上部クライミングガーダー
５ａの上部には梁材７が固定されており、さら
に、その上部には上段足場８が設けられている。
クライミングガーダー５の中央部分には梁材９が
固定されており、その上部には中段足場１０が設
けられている。また、クライミングガーダー５の
下部には下部クライミングガーダー５ｂが回動自
在に設けられているとともに、その下端部には梁
材１１が回動自在に取り付けられており、梁材１
１の上部には下段足場１２が設けられている。そ
して、クライミングガーダー５に設けられた下方
の連結部材６は、上段、中段、下段の各足場８，
１０，１２が作業に支障のない状態（略水平状
態）に保持されるように、築造する躯体１の曲面
に合わせて長さを調節できるように回転スタンド
６ａを備えているるとともに、下部クライミング
ガーダー５ｂは築造した躯体１に接触しないよう
に、クライミングガーダー５に対して所定の角度
に回動可能なよう取り付けられている。そして、
下部クライミングガーダー５ｂは、他端が前記回
転スタンド６ａに固定されたジヤツキ６ｂによつ
て回動駆動されるようになつている。また、前記
梁材７，９，１１は支持部材１３，１４によつて
連結されることによつて、足場装置Ａの枠体を形
成している。また、この足場装置Ａが紙面に対し
て直交する方向にも立体的に形成されているのは
勿論である。さらに、足場装置Ａの上部付近であ
つて、躯体１のコンクリート打ち継ぎ箇所には、
その内側にそれぞれ型枠パネル１７，１７が配設
された型枠ガータ１５，１５が、型枠締め付け用
ボルト１６，１６によつて離間状態に保持・固定
されている。この型枠パネル１７，１７内には、
コンクリートＣが打設され、躯体１が上方に打ち
継がれるようになつている。

そして、この足場装置Ａの上方の連結部材６付
近には、第１図に示すような、昇降手段が備えら
れており、これによつて、足場装置Ａをクライミ
ングレール２に沿つて上昇させることにより、既
設の躯体１の上部に新たな躯体を築造するように
している。この上昇手段は、クライミングガーダ
ー５に固定された固定部材１８と、この固定部材
１８に回動自在に取り付けられた上部ラツチ１９
と、前記固定部材１８に回動自在に取り付けられ
た油圧ジヤツキ２０のさらに先端部に回動自在に
取り付けられた下部ラツチ２１とからなつてお
り、これらはその背面側がばね２２，２３によつ
てクライミングレール２の外側部に固定された突
起部材２４，２４，…に付勢されるようになつて
いる。上部ラツチ１９及び下部ラツチ２１の先端
部には前記突起部材２４，２４，…に係止する係
止部１９ａ，２１ａが形成されており、これらが
交互に突起部材２４に係止するようになつてい
る。

さらに、本発明の足場装置Ａにおいては、足場
装置Ａが滑りを起こしたり、落下したりしようと
した場合にそれを防止するためのクライミング足
場装置の落下防止安全装置（以下、単に「安全装
置」という）Ｓが備えられている。安全装置Ｓ
は、上部スライダー４ａとクライミングガーダー
５とを連結する連結部材６に設けられており、基
端部２６ａが上部ラツチ１９を回動自在に支持す
るために設けられた軸体２５に回動自在に軸支さ
れるとともに、先端部２６ｂが曲面に形成され、
かつくちばし状の係止部２６ｃが形成された板状
の係止部材２６と、この係止部材２６の基端部２
６ａに固定された棒状部材２７と、前記係止部材
２６の係止部２６ｃ側がクライミングレール２の
突起部材２４に付勢されるように、棒状部材２７
の先端部と連結部材６との間に取り付けられたば
ね２８とから構成されている。

そして、本実施例に使用する足場装置Ａは、前
記上昇手段を用いて、即ち、下端部に設けられた
下部ラツチ２１をクライミングレール２の突起部
材２４に係止させることにより、クライミングレ
ール２に反力を取つて油圧ジヤツキ２０を駆動さ
せることにより、上部ラツチ１９が一段上方の突
起部材２４に係合するまで足場装置Ａを上昇させ
る。上部ラツチ１９を突起部材２４に係止させる
ことにより、足場装置Ａをクライミングレール２
に固定した状態で、油圧ジヤツキ２０を縮小させ
て、一段上方の突起部材２４に下部ラツチ２１を
係止させる。前記上部ラツチ１９及び下部ラツチ
２１は、背面側が突起部材２４と摺動しながら上
昇することによりばね２２，２３の付勢力に抗し
て突起部材２４を乗り換え、乗り越えた後には、
ばね２２，２３の付勢力によつて係止部１９ａ，
２１ａが突起部材２４と係合し、足場装置Ａを支
持するようになつている。以下、同様の手順を繰
り返すことにより、足場装置Ａを上昇させる。

また、安全装置Ｓは足場装置Ａが上昇するのに
伴い、ばね２８によつてクライミングレール２側
に付勢された係止部材２６は、先端部２６ｂに形
成された曲面によつて、突起部材２４を乗り越え
て上昇し、逆に、下降現象が起これば、係止部２
６ｃが突起部材２４に係合して、足場装置Ａの落
下を防止するようになつている。

したがつて、本考案の安全装置Ｓによれば、ク
ライミングレール２の突起部材２４の破損や油圧
ジヤツキ２０の故障等が生じた場合にも、安全装
置Ｓが作動して、即ち、係止部材２６がクライミ
ングレール２の突起部材２４に係止することにな
り、足場装置Ａが滑つたり、落下したりすること
無く、作業員の安全を確保することができる。

「考案の効果」 上述したように、この考案は足場装置の上昇手
段が取り付けられた連結部材に回動自在に設けら
れた係止部材と、この係止部材を前記突起部材に
付勢させるばねとを備えたものであるので、クラ
イミング足場装置が滑つたり、落下したりするこ
と無く、作業員の安全を確保することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の第１の実施例を示
すものであり、第１図は考案の要部を示す側面
図、第２図は本考案の安全装置を備えた足場装置
全体を示す側面図である。 Ａ……クライミング足場装置（足場装置）、Ｓ
……クライミング足場装置の落下防止安全装置
（安全装置）、１……躯体、２……クライミングレ
ール、４ａ……上部スライダー、５……クライミ
ングガーダー、５ａ……上部クライミングガーダ
ー、５ｂ……下部クライミングガーダー、６……
連結部材、８……上段足場、１０……中段足場、
１２……下段足場、１９……上部ラツチ、２０…
…油圧ジヤツキ、２１……下部ラツチ、２２，２
３，２８……ばね、２４……突起部材、２６……
係止部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 既設のコンクリート躯体の内外面に取り付けら
   れた複数のクライミングレールと、このクライミ
   ングレールに摺動自在に係合された複数の上昇用
   スライダーと、この複数の上昇用スライダーに回
   動自在に取り付けられた連結部材と、この連結部
   材の他端部に固定されかつ作業足場を備えたフレ
   ームと、前記少なくとも一つの連結部材に取り付
   けられるとともに、前記クライミングレールの外
   側面に一定間隔毎に固定された複数の突起部材に
   交互に係合する上部ラツチと下部ラツチとが設け
   られた上昇手段とを具備してなる一対のクライミ
   ング足場装置の落下防止安全装置であつて、前記
   上昇手段が取り付けられた連結部材に回動自在に
   設けられた係止部材と、この係止部材を前記突起
   部材に付勢させるばねとを備えたことを特徴とす
   るクライミング足場装置の落下防止安全装置。