JPH05163453A - 印刷インキ用樹脂 - Google Patents

印刷インキ用樹脂

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JPH05163453A
JPH05163453A JP35210791A JP35210791A JPH05163453A JP H05163453 A JPH05163453 A JP H05163453A JP 35210791 A JP35210791 A JP 35210791A JP 35210791 A JP35210791 A JP 35210791A JP H05163453 A JPH05163453 A JP H05163453A
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哲章 佐藤
Hiroyuki Suzuki
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Abstract

(57)【要約】 【目的】金属用印刷インキの隠蔽性と耐黄変性を兼ね備
えた印刷インキ用樹脂を提供する。 【構成】水酸基を有する長鎖飽和脂肪酸を樹脂成分を基
準として1〜30重量%縮合せしめてなる油長20〜7
0%の脂肪酸変性アルキッド樹脂からなる印刷インキ用
樹脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高隠蔽性および耐黄変
性に優れた印刷インキ用樹脂に関し、特に美術缶等の白
さを要求される印刷物に適した金属印刷インキ用樹脂に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、金属印刷インキ用樹脂としては、
アルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が
使用されており、特に、脱水ヒマシ油脂肪酸等で変性し
た長油長の脂肪酸変性アルキッド樹脂が顔料分散性の良
好な樹脂として使用されていた。
【0003】金属印刷インキを金属面に印刷する印刷機
としては、オフセット印刷機あるいはドライオフセット
印刷機が用いられており、仕上げニスは、コーター等を
用いインキ皮膜上に塗布され、130〜200℃で焼付
が行われていた。この一連の工程において、長油長脂肪
酸変性アルキッド樹脂を使用した印刷インキは、印刷層
あるいはベースの白インキが黄変し、著しく商品価値を
損なうという問題点があった。黄変性を解決するために
短油長アルキッド樹脂を使用すると顔料分散性が悪くな
って隠蔽性が低下してしまい、耐黄変性と隠蔽性のバラ
ンスが得られなかった。
【0004】隠蔽性と耐黄変性を両立させるために、ヤ
シ油、パルミチン酸、ステアリン酸等の長鎖飽和脂肪酸
を併用したアルキッド樹脂をブレンドしたり、長鎖飽和
脂肪酸成分を一部縮合したアルキッド樹脂を使用するこ
とが検討された。しかしながら、これらのアルキッド樹
脂は、インキ皮膜中に残存する未反応の脂肪酸成分が可
塑剤として作用するため、インキ皮膜の硬度および下地
金属との密着性が低下し、実用に耐えないものであっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、金属用印刷
インキの隠蔽性と耐黄変性を兼ね備えた印刷インキ用樹
脂を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、水
酸基を有する長鎖飽和脂肪酸を樹脂成分を基準として1
〜30重量%縮合せしめてなる油長20〜70%の脂肪
酸変性アルキッド樹脂からなる印刷インキ用樹脂に関す
る。
【0007】本発明で使用される脂肪酸変性アルキッド
樹脂は、多塩基酸成分、多価アルコール成分および水酸
基を有する長鎖飽和脂肪酸を含む脂肪酸成分を常法によ
り縮合して製造することができる。
【0008】多塩基酸成分としては、無水フタル酸、テ
レフタル酸、イソフタル酸、無水トリメリット酸、アジ
ピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸、無水シトラコン酸等がある。
【0009】多価アルコールとしては、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、
テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、
1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロー
ルプロパン、ペンタエリスリトール等がある。
【0010】脂肪酸成分としては、大豆油、アマニ油、
キリ油、ヒマシ油、脱水ヒマシ油、ヤシ油のような植物
油およびこれらの脂肪酸、ステアリン酸、オレイン酸、
リノール酸、リノレイン酸等がある。
【0011】水酸基を有する長鎖飽和脂肪酸は、分子中
に水酸基を1つ以上有する炭素数8〜20の飽和脂肪
酸、例えば、12−ヒドロキシステアリン酸、オキシカ
プリル酸等がある。水酸基を有する長鎖飽和脂肪酸は、
樹脂成分を基準として1〜30重量%、好ましくは5〜
25重量%を縮合させる。水酸基を有する長鎖飽和脂肪
酸の割合が上記数値より少ないと、油長が20〜70%
の範囲であっても、顔料分散性と黄変性を両立させるこ
とができず、また、水酸基を有する長鎖飽和脂肪酸の割
合が上記数値より多いと、インキ皮膜の硬度が低下する
ので好ましくない。
【0012】本発明の脂肪酸変性アルキッド樹脂は、脂
肪酸成分として水酸基を有する長鎖飽和脂肪酸を単独で
用いてもよいが、印刷インキ適性を考慮してそれ以外の
脂肪酸、特には、脱水ヒマシ油、キリ油のような不乾性
油を樹脂成分を基準として少なくとも10重量%を配合
することが好ましい。
【0013】本発明の脂肪酸変性アルキッド樹脂は、水
酸基を有する長鎖飽和脂肪酸を含む脂肪酸成分および多
塩基酸成分からなるカルボン酸成分に対して多価アルコ
ール成分をモル比率で1:1.1〜2.5、好ましくは
1:1.2〜1.6の範囲で縮合して得られる。
【0014】本発明の脂肪酸変性アルキッド樹脂は、油
長としては20〜70%、好ましくは40〜70%の範
囲であり、上記数値より小さいと顔料分散性が劣り、上
記数値よりより多いと印刷インキの粘度が低下するので
好ましくない。
【0015】本発明の脂肪酸変性アルキッド樹脂の重量
平均分子量は、5000〜100000、更には100
00〜40000の範囲が好ましく、この範囲が印刷イ
ンキ適性と顔料分散性のバランスのよい樹脂が得られ
る。
【0016】本発明の脂肪酸変性アルキッド樹脂は、チ
タン白等の顔料、溶剤、ドライヤー等の添加剤を配合し
て印刷インキ組成物とすることができる。印刷基材は金
属板が好ましいが、焼付温度に耐えられる基材であれば
適用可能である。また、メラミン樹脂やベンゾグアナミ
ン樹脂等のアミノ樹脂と併用して皮膜の硬度を向上させ
ることができる。
【0017】本発明に関わる印刷インキ組成物は、12
0〜220℃、5〜20分間の焼付で硬化する。
【0018】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。例
中、部とは重量部をそれぞれ表す。 実施例1 オキシカプリル酸 10部 脱水ヒマシ油脂肪酸 50部 グリセリン 9.2部 ペンタエリスリトール 13.6部 無水フタル酸 24.4部 をフラスコ中に仕込み、窒素雰囲気中で230℃で約5
時間エステル化反応を行い、酸価15、重量平均分子量
17000のアルキッド樹脂を得た。なお、アルコール
成分とカルボン酸成分の比率は1.25:1.0であ
る。得られたアルキッド樹脂の油長(%)は、脂肪酸重
量/(全仕込み重量−脱水重量)×100により計算し
た。
【0019】実施例2 12−ヒドロキシルステアリン酸 15部 脱水ヒマシ油脂肪酸 40部 グリセリン 9.5部 ペンタエリスリトール 14.0部 無水フタル酸 28.5部 をフラスコ中に仕込み、窒素雰囲気中で230℃で約5
時間エステル化反応を行い、酸価15、重量平均分子量
13000のアルキッド樹脂を得た。
【0020】実施例3 オキシカプリル酸 25部 脱水ヒマシ油脂肪酸 40部 ペンタエリスリトール 20.2部 無水フタル酸 21.4部 をフラスコ中に仕込み、窒素雰囲気中で230℃で約5
時間エステル化反応を行い、酸価15、重量平均分子量
13000のアルキッド樹脂を得た。
【0021】比較例1 ヤシ油脂肪酸 20部 脱水ヒマシ油脂肪酸 40部 トリメチロールプロパン 3.5部 ペンタエリスリトール 20部 無水フタル酸 23.7部 をフラスコ中に仕込み、窒素雰囲気中で230℃で約5
時間エステル化反応を行い、酸価15、重量平均分子量
13000のアルキッド樹脂を得た。
【0022】比較例2 脱水ヒマシ油脂肪酸 60部 トリメチロールプロパン 3.5部 ペンタエリスリトール 20部 無水フタル酸 23.2部 をフラスコ中に仕込み、窒素雰囲気中で230℃で約5
時間エステル化反応を行い、酸価15、重量平均分子量
17000のアルキッド樹脂を得た。
【0023】比較例3 脱水ヒマシ油脂肪酸 40部 トリメチロールプロパン 24.3部 ペンタエリトリット 8.2部 無水フタル酸 34.2部 をフラスコ中に仕込み、窒素雰囲気中で230℃で約5
時間エステル化反応を行い、酸価15、重量平均分子量
17000のアルキッド樹脂を得た。
【0024】各例で得られたそれぞれの樹脂30重量部
に対してチタン白55重量部を常法に従い練肉、分散さ
せ、ドライヤーコンパウンドおよびアルキルベンゼン系
溶剤7〜12重量部を添加し金属用印刷インキを調製
し、下記方法で評価した。
【0025】評価方法 1)上記で得たそれぞれのインキをRI展色機を用いて
ブリキ板に展色した後、ガスオーブンで150℃、10
分間焼付を行って、測色色差計(日本電色工業社製)に
て隠蔽性の指数L値、黄変性の指数Δb値を測定した。
黄変性の評価として更に180℃、10分間の追い焼き
後のΔb値を比較した。
【0026】2)鉛筆硬度は、上記150℃、10分間
焼付したものをJIS−K5410に従って評価した。
結果を下記表1に示した。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】本発明の印刷インキ用樹脂は、水酸基を
含有する長鎖飽和脂肪酸を脂肪酸成分として含有してい
るので、顔料分散性を損なわず、したがって高い隠蔽性
と良好な耐黄変性を有している。また、樹脂中に含まれ
ている水酸基が下地金属に対して親和性を有するため金
属基材に対する密着性も優れ、インキ皮膜の硬度も高
い。したがって、本発明の印刷インキ用樹脂は、金属焼
付用印刷インキ樹脂として有用であり、特に淡色インキ
および白インキ用の樹脂として優れている。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸基を有する長鎖飽和脂肪酸を樹脂成
    分を基準として1〜30重量%縮合せしめてなる油長2
    0〜70%の脂肪酸変性アルキッド樹脂からなる印刷イ
    ンキ用樹脂。
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