JPH05162156A - 樹脂成形品及びその成形方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 複雑な形状にも対応でき、且つ強度的にも優
れた樹脂成形品を得る。 【構成】 成形品基体をＦＲＰ積層板１製とする。ＦＲ
Ｐ積層板１の外側の少なくとも一部をプラスチック５に
より被覆する。プラスチック５はパウダ状又は溶融状で
供給し、加熱、加圧によりＦＲＰ積層板１に一体化させ
る。ＦＲＰ積層板１に全体的な強度を受けもたせ、プラ
スチック５に形状を受けもたせる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は航空機のブレード等とし
て用いる樹脂成形品及びその成形方法に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】ＦＲＰ（繊維強化複合材）積層板は、軽
量で且つ丈夫であることから、航空機や船舶、自動車、
土木、建築等の構造材料や防蝕被覆材料として広く用い
られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記ＦＲＰ
積層板を用いて、たとえば、図４に一例を示すような航
空機のブレードの如き形状の成形品を成形する場合に
は、製作が極めて面倒であるという問題がある。すなわ
ち、ＦＲＰ積層板は、繊維に樹脂を含浸させた成形材料
（プリプレグ）を、繊維の方向が交互に異なるように積
層して溶融硬化させて成品とするものであるので、図４
に示すブレードの如き形状の成形品を成形するために
は、ＦＲＰ積層板１となる成形材料１ａの長さを各層毎
に変えて目的とする輪郭形状に合わせた形状に積層する
必要があるため、複雑な形状を出し難いという欠点があ
る。特に、成形品の一部に厚肉な部分２がある場合に
は、積層作業が大変である。

【０００４】一方、上記ブレードの如き成形品をプラス
チックにより成形すると、複雑な形状を容易に作り出す
ことはできるが、強度面で限界がある。

【０００５】そこで、本発明は、複雑な形状にも対応で
き、且つ強度面でも優れたプラスチック成形品及びその
成形方法を提供しようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、ＦＲＰ積層板を成形品基体とし、且つ該
成形品基体の外側の少なくとも一部をプラスチックにて
被覆した構成とする。

【０００７】又、金型内にＦＲＰ積層板をセットした
後、上記ＦＲＰ積層板の外側の少なくとも一部にパウダ
状のプラスチックを供給し、上記金型を加熱、加圧する
ことによりＦＲＰ積層板とプラスチックとを一体化させ
ることを特徴とする樹脂成形品の成形方法とする。

【０００８】更に、パウダ状のプラスチックに代えて、
溶融プラスチックを供給するようにしてもよい。

【０００９】

【作用】ＦＲＰ積層板をプラスチックで被覆すると、強
度がＦＲＰ積層板にて受けもたれ、輪郭形状がプラスチ
ックにて受けもたれる（形成される）ことになる。

【００１０】又、金型内にセットしたＦＲＰ積層板の外
側にパウダ状又は溶融したプラスチックを供給してＦＲ
Ｐ積層板とプラスチックを一体化させるので、複雑な形
状の成形品でも容易に成形することができるようにな
る。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。

【００１２】図１は本発明の樹脂成形品の成形方法の一
実施例を示すもので、図４に示したと同様なブレードの
如き形状の成形品を成形する場合について示す。先ず、
図１の（イ）に示す如く、予め所要の形状としておいた
上金型３と下金型４における下金型４上に、平板状に形
成しておいたＦＲＰ積層板１を、成形品基体としてセッ
トし、続いて、図１の（ロ）に示す如く、上金型３を組
み込む。次に、図１の（ハ）に示す如く、上下の金型
３，４間に、ＦＲＰ積層板１の外側を全面的に覆うよう
にパウダ状のプラスチック５を供給し、更に、図１の
（ニ）に示す如く、金型フローゲート６をセットする。
なお、上記プラスチック５としては、プラスチック単体
あるいは短繊維強化プラスチックを用いることができ
る。しかる後、上記上下の金型３，４を図示しないプレ
ス熱板にセットして、図１の（ホ）に示す如く、上下の
金型３，４間で加熱、加圧成形する。

【００１３】上記工程により成形を行うと、図２の
（イ）や（ロ）に示す如く、ＦＲＰ積層板１の外側がプ
ラスチック５にて全面的に被覆され且つ一部に肉厚が大
きく形状が複雑な厚肉部分２を有する樹脂成形品を容易
に成形することができる。かかる樹脂成形品は成形品基
体となるＦＲＰ積層板１に強度、剛性を受けもたせるこ
とができると共に、その外側のプラスチック５に複雑な
輪郭形状を受けもたせることができる。したがって、肉
厚の大きな厚肉部分２があっても成形作業が極めて容易
である。なお、図２の（イ）（ロ）では、ＦＲＰ積層板
１の外側全面をプラスチック５で被覆するようにした場
合を示したが、図２の（ハ）に示す如く、厚肉部分２だ
けをプラスチック５製とするようにしてもよい。

【００１４】次に、図３は本発明の樹脂成形品の成形方
法の他の実施例を示すもので、上記実施例におけるパウ
ダ状のプラスチック５に代えて、溶融プラスチック５´
を用いたものである。すなわち、上下の金型３，４間の
成形位置に、射出装置７の射出部７ａを接続し、溶融プ
ラスチック５´を、射出部７ａを通して金型３，４間に
供給するようにしたものである。

【００１５】この方法を採用しても、上記実施例と同様
に、強度をＦＲＰ積層板１に受けもたせ、形状をプラス
チック５´に受けもたせた樹脂成形品を容易に成形する
ことができる。

【００１６】なお、本発明は上記実施例のみに限定され
るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内にお
いて種々変更を加え得ることは勿論である。

【００１７】

【発明の効果】以上述べた如く、本発明の樹脂成形品に
よれば、ＦＲＰ積層板製とした成形品基体の外側の少な
くとも一部をプラスチックにて被覆した構成としたの
で、強度をＦＲＰ積層板に受けもたせることができると
共に、形状をプラスチックに受けもたせることができ、
又、本発明の樹脂成形品の成形方法によれば、ＦＲＰ積
層板を金型内にセットした後、金型内にパウダ状プラス
チック又は溶融プラスチックを供給し、金型を加熱、加
圧するようにしたので、複雑な形状や厚肉部分を有する
成形品でも強度を確保して容易に成形することができ
る、等の優れた効果を発揮する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の樹脂成形品の成形方法の一実施例を示
すもので、（イ）はＦＲＰ積層板のセット工程を、
（ロ）は上金型の組み込み工程を、（ハ）はプラスチッ
クの供給工程を、（ニ）は金型フローゲートのセット工
程を、（ホ）は加熱、加圧工程をそれぞれ示す概略図で
ある。

【図２】本発明により得られた樹脂成形品を示すもの
で、（イ）（ロ）（ハ）はいずれもその形状例を示す断
面図である。

【図３】本発明の樹脂成形品の成形方法の他の実施例を
示す概要図である。

【図４】ＦＲＰ積層板を用いた樹脂成形品の一例を示す
もので、（イ）は切断側面図、（ロ）は（イ）のＡ−Ａ
矢視図である。

【符号の説明】

１ ＦＲＰ積層板（成形品基体） ３ 上金型 ４ 下金型 ５ パウダ状のプラスチック ５´ 溶融プラスチック

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ＦＲＰ積層板を成形品基体とし、且つ該
   成形品基体の外側の少なくとも一部をプラスチックにて
   被覆した構成を有することを特徴とする樹脂成形品。
2. 【請求項２】 金型内にＦＲＰ積層板をセットした後、
   上記ＦＲＰ積層板の外側の少なくとも一部にパウダ状の
   プラスチックを供給し、上記金型を加熱、加圧すること
   によりＦＲＰ積層板とプラスチックとを一体化させるこ
   とを特徴とする樹脂成形品の成形方法。
3. 【請求項３】 パウダ状のプラスチックに代えて、溶融
   プラスチックを供給するようにした請求項２記載の樹脂
   成形品の成形方法。