JPH05161984A - 鋼材の接合方法 - Google Patents
鋼材の接合方法Info
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- JPH05161984A JPH05161984A JP28290191A JP28290191A JPH05161984A JP H05161984 A JPH05161984 A JP H05161984A JP 28290191 A JP28290191 A JP 28290191A JP 28290191 A JP28290191 A JP 28290191A JP H05161984 A JPH05161984 A JP H05161984A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】被接合材を液相拡散接合するに際し、被接合材
の接合面を酸化し、次いで還元した後、被接合材より低
融点のアモルファス金属のインサート材を接合面間に挿
入し、インサート材の融点以上で被接合材の融点以下の
温度域で加圧しつつ加熱して接合する。インサート材を
先に挿入してから酸化処理、還元処理を行ってもよい。
また、酸化処理と還元処理のあいだでインサートを挿入
してもよい。 【効果】強度、曲げなどの機械的性質に優れた接合部が
得られ、従来難しいとされていたSi含有量の高い鋼材の
接合も可能となる。
の接合面を酸化し、次いで還元した後、被接合材より低
融点のアモルファス金属のインサート材を接合面間に挿
入し、インサート材の融点以上で被接合材の融点以下の
温度域で加圧しつつ加熱して接合する。インサート材を
先に挿入してから酸化処理、還元処理を行ってもよい。
また、酸化処理と還元処理のあいだでインサートを挿入
してもよい。 【効果】強度、曲げなどの機械的性質に優れた接合部が
得られ、従来難しいとされていたSi含有量の高い鋼材の
接合も可能となる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、健全で機械的性質の良
好な液相拡散接合継手が得られる鋼材の接合方法に関す
る。
好な液相拡散接合継手が得られる鋼材の接合方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】鋼材の接合方法として、被接合材(母
材)を突き合わせて、塑性変形がほとんど生じない程度
に加圧しつつ加熱し、接合面間で生じる原子の拡散を利
用して接合する拡散接合法が用いられている。この拡散
接合法には、被接合材を直接接合する固相拡散接合法の
ほかに、被接合材の接合面間に異種金属のインサート材
を挿入して接合する液相拡散接合法がある。
材)を突き合わせて、塑性変形がほとんど生じない程度
に加圧しつつ加熱し、接合面間で生じる原子の拡散を利
用して接合する拡散接合法が用いられている。この拡散
接合法には、被接合材を直接接合する固相拡散接合法の
ほかに、被接合材の接合面間に異種金属のインサート材
を挿入して接合する液相拡散接合法がある。
【0003】液相拡散接合法では、被接合材より融点の
低いインサート材を接合面間に挿入し、被接合材を軽く
加圧して密着させ、通常は真空中または不活性ガス中
で、インサート材の融点よりも高い温度(接合温度)に
加熱する。インサート材は溶融して液相となり、接合面
間の空隙を溶融金属で満たし、接合面が接合温度に保持
されている間にインサート材と母材間で原子の相互拡散
が起こり、最終的に等温凝固し母材どうしが接合され
る。
低いインサート材を接合面間に挿入し、被接合材を軽く
加圧して密着させ、通常は真空中または不活性ガス中
で、インサート材の融点よりも高い温度(接合温度)に
加熱する。インサート材は溶融して液相となり、接合面
間の空隙を溶融金属で満たし、接合面が接合温度に保持
されている間にインサート材と母材間で原子の相互拡散
が起こり、最終的に等温凝固し母材どうしが接合され
る。
【0004】この液相拡散接合法において、インサート
材に低融点のアモルファス金属を用いる方法、およびこ
の方法を屋内の配管の接合に適用した例が「配管技術19
89年5月号65〜70頁」に報告されており、炭素鋼鋼管お
よびステンレス鋼鋼管の接合に適用して良好な結果が得
られている。アモルファス金属として安価で、薄い金属
箔を用いているので、短時間での接合が可能であり、経
済性にも優れている。
材に低融点のアモルファス金属を用いる方法、およびこ
の方法を屋内の配管の接合に適用した例が「配管技術19
89年5月号65〜70頁」に報告されており、炭素鋼鋼管お
よびステンレス鋼鋼管の接合に適用して良好な結果が得
られている。アモルファス金属として安価で、薄い金属
箔を用いているので、短時間での接合が可能であり、経
済性にも優れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】液相拡散接合法は能率
に優れ、母材の外観変形を伴わずに接合ができるという
優れた特徴を有しているが、接合部に拡散接合法に特有
の微小ボイドが生成し、あるいは酸化物系介在物が存在
するため、性能(特に強度、衝撃値、クリープ強度等の
機械的性質)が母材より劣るという欠点がある。これら
の接合部に生成し、あるいは存在する欠陥を極力少なく
するために真空中または不活性ガス中で接合が行われる
が、真空中で行うためには真空容器など大掛かりな設備
が必要で、経済性に欠け、不活性ガス中では、母材の成
分によっては加熱中に酸化物が生成し、良好な接合を阻
害する。
に優れ、母材の外観変形を伴わずに接合ができるという
優れた特徴を有しているが、接合部に拡散接合法に特有
の微小ボイドが生成し、あるいは酸化物系介在物が存在
するため、性能(特に強度、衝撃値、クリープ強度等の
機械的性質)が母材より劣るという欠点がある。これら
の接合部に生成し、あるいは存在する欠陥を極力少なく
するために真空中または不活性ガス中で接合が行われる
が、真空中で行うためには真空容器など大掛かりな設備
が必要で、経済性に欠け、不活性ガス中では、母材の成
分によっては加熱中に酸化物が生成し、良好な接合を阻
害する。
【0006】特に接合に悪影響を及ぼすのはSi系酸化物
で、Si含有量の多い鋼材の拡散接合は困難になる。
で、Si含有量の多い鋼材の拡散接合は困難になる。
【0007】本発明の課題は、液相拡散接合法における
上記のような問題を解消し、欠陥がなく健全で、引張強
さ、衝撃値、クリープ強度等の性能の優れた接合部が得
られる鋼材の接合方法を提供することにある。
上記のような問題を解消し、欠陥がなく健全で、引張強
さ、衝撃値、クリープ強度等の性能の優れた接合部が得
られる鋼材の接合方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、インサー
ト材に低融点のアモルファス金属を用いた液相拡散接合
法が有する経済性に優れるという利点を損なうことな
く、健全で、かつ性能の優れた接合部を得る方法を検討
した結果、液相拡散接合をする前に、被接合面を酸化
し、次いで還元する処理を施すことが効果的で、これに
よって、一般に接合が困難と言われているSi含有量の高
い鋼材の接合性も改善されることを見い出した。
ト材に低融点のアモルファス金属を用いた液相拡散接合
法が有する経済性に優れるという利点を損なうことな
く、健全で、かつ性能の優れた接合部を得る方法を検討
した結果、液相拡散接合をする前に、被接合面を酸化
し、次いで還元する処理を施すことが効果的で、これに
よって、一般に接合が困難と言われているSi含有量の高
い鋼材の接合性も改善されることを見い出した。
【0009】本発明はこのような知見に基づいてなされ
たもので、その要旨は下記〜の接合方法にある。
たもので、その要旨は下記〜の接合方法にある。
【0010】 被接合面を酸化し、次いで還元した
後、被接合材より低融点のアモルファス金属のインサー
ト材を被接合面間に挿入し、インサート材の融点以上で
被接合材の融点以下の温度域で加熱し、加圧して被接合
材を液相拡散接合法により接合することを特徴とする鋼
材の接合方法。
後、被接合材より低融点のアモルファス金属のインサー
ト材を被接合面間に挿入し、インサート材の融点以上で
被接合材の融点以下の温度域で加熱し、加圧して被接合
材を液相拡散接合法により接合することを特徴とする鋼
材の接合方法。
【0011】 前記の接合方法において、被接合面
を酸化した後還元する前に、インサート材を被接合面間
に挿入し、その後還元雰囲気中で加熱し、加圧して被接
合材を接合する鋼材の接合方法。
を酸化した後還元する前に、インサート材を被接合面間
に挿入し、その後還元雰囲気中で加熱し、加圧して被接
合材を接合する鋼材の接合方法。
【0012】 前記の接合方法において、最初にイ
ンサート材を被接合面間に挿入し、次いで被接合面を酸
化した後、還元し、その後加熱し、加圧して被接合材を
接合する鋼材の接合方法。
ンサート材を被接合面間に挿入し、次いで被接合面を酸
化した後、還元し、その後加熱し、加圧して被接合材を
接合する鋼材の接合方法。
【0013】 被接合材が0.55重量%以上のSiを含有
する鋼材である前記、またはの鋼材の接合方法。
する鋼材である前記、またはの鋼材の接合方法。
【0014】
【作用】一般に、液相拡散接合法においては、被接合材
の接合面の加熱中における酸化を防止することが接合部
の健全性を確保するために重要であるとされている。鋼
材の表面に形成される酸化物としては、Fe系、Si系、Mn
系、あるいはCr系等の酸化物があり、特にSi系酸化物の
存在が有害であるとされているが、このような酸化物あ
るいは複合酸化物の被膜を除去して金属面を露出させ、
液相拡散接合すれば液相と母材のなじみもよくなり、健
全な接合部が容易に得られることはよく知られている。
の接合面の加熱中における酸化を防止することが接合部
の健全性を確保するために重要であるとされている。鋼
材の表面に形成される酸化物としては、Fe系、Si系、Mn
系、あるいはCr系等の酸化物があり、特にSi系酸化物の
存在が有害であるとされているが、このような酸化物あ
るいは複合酸化物の被膜を除去して金属面を露出させ、
液相拡散接合すれば液相と母材のなじみもよくなり、健
全な接合部が容易に得られることはよく知られている。
【0015】本発明は、Fe系酸化物は成長速度が早いが
還元も容易に行えるという特徴を利用したもので、鋼材
の表面を意識的に酸化することによりFe系酸化物を優先
的に成長させ、すでに接合面に生成しているFe以外の、
特にSiの酸化物の皮膜を破壊し、全表面がFe系酸化物で
覆われるようにし、その後、還元することによりSiの酸
化物の接合に対する悪影響を防止するのである。すなわ
ち、被接合材の接合面には FeO、 Fe3O4、 Fe2O3等の酸
化鉄とSiO2および MnOが混ざった強固な酸化物層(スケ
ール)が存在しているが、このスケールの着いた被接合
材を更に酸化させると生地とスケール層との界面にFeの
酸化物が新たに生成する。勿論、SiやMnの酸化物も生成
するが、Feの酸化物の成長速度の方がはるかに大きいか
ら、上記の新たに生成する酸化物は大部分がFeの酸化物
からなる。上記のようにして生成したFeの酸化物皮膜は
通常のH2やCOを含有する還元雰囲気で容易に還元されて
純Feとなる。しかも、この新たなFeの酸化物が生成する
過程で、最初から存在する強固なスケールが破壊され、
次に還元雰囲気に曝したときに容易に還元される状態に
なる。従って、本発明はSi含有量の高い鋼材の接合方法
としても有用である。
還元も容易に行えるという特徴を利用したもので、鋼材
の表面を意識的に酸化することによりFe系酸化物を優先
的に成長させ、すでに接合面に生成しているFe以外の、
特にSiの酸化物の皮膜を破壊し、全表面がFe系酸化物で
覆われるようにし、その後、還元することによりSiの酸
化物の接合に対する悪影響を防止するのである。すなわ
ち、被接合材の接合面には FeO、 Fe3O4、 Fe2O3等の酸
化鉄とSiO2および MnOが混ざった強固な酸化物層(スケ
ール)が存在しているが、このスケールの着いた被接合
材を更に酸化させると生地とスケール層との界面にFeの
酸化物が新たに生成する。勿論、SiやMnの酸化物も生成
するが、Feの酸化物の成長速度の方がはるかに大きいか
ら、上記の新たに生成する酸化物は大部分がFeの酸化物
からなる。上記のようにして生成したFeの酸化物皮膜は
通常のH2やCOを含有する還元雰囲気で容易に還元されて
純Feとなる。しかも、この新たなFeの酸化物が生成する
過程で、最初から存在する強固なスケールが破壊され、
次に還元雰囲気に曝したときに容易に還元される状態に
なる。従って、本発明はSi含有量の高い鋼材の接合方法
としても有用である。
【0016】接合面の酸化処理の方法は特に限定される
ものではなく、大気中で 250℃以上に加熱すれば十分で
ある。できるだけ短時間で処理を終了させるためで高温
度にするほど有利である。しかし、温度が高すぎると次
工程の還元処理に時間を要するので、還元処理時間を考
慮して酸化処理温度を決定する必要がある。
ものではなく、大気中で 250℃以上に加熱すれば十分で
ある。できるだけ短時間で処理を終了させるためで高温
度にするほど有利である。しかし、温度が高すぎると次
工程の還元処理に時間を要するので、還元処理時間を考
慮して酸化処理温度を決定する必要がある。
【0017】酸化処理後に行う還元処理は還元能力を有
するガス雰囲気(例えば、H2ガス)中あるいは還元炎中
で行えばよく、還元が十分に進行する温度と時間を適切
に選定しさえすれば、その他の特別な条件は必要ではな
い。
するガス雰囲気(例えば、H2ガス)中あるいは還元炎中
で行えばよく、還元が十分に進行する温度と時間を適切
に選定しさえすれば、その他の特別な条件は必要ではな
い。
【0018】還元処理の時間は前工程の酸化時間(即
ち、酸化膜の厚さ)と還元雰囲気の強さに応じて調整す
る。還元能力が強い雰囲気であれば、還元時間が多少長
くても問題はないが、還元能力が弱い場合、すなわちFe
系の酸化物は還元されるがSiは酸化されるような雰囲気
の場合、還元処理を長時間続けると、Fe系酸化物は還元
されるが母材中のSiが酸化され、接合面がSiの酸化膜に
覆われてしまう。従って、還元能力が弱い雰囲気で処理
を行う場合、適切な還元時間の選定が重要である。
ち、酸化膜の厚さ)と還元雰囲気の強さに応じて調整す
る。還元能力が強い雰囲気であれば、還元時間が多少長
くても問題はないが、還元能力が弱い場合、すなわちFe
系の酸化物は還元されるがSiは酸化されるような雰囲気
の場合、還元処理を長時間続けると、Fe系酸化物は還元
されるが母材中のSiが酸化され、接合面がSiの酸化膜に
覆われてしまう。従って、還元能力が弱い雰囲気で処理
を行う場合、適切な還元時間の選定が重要である。
【0019】接合工程での加熱は、H2、CO、H2+N2など
の還元ガス雰囲気、あるいはAr、N2などの不活性ガス雰
囲気中で行う。接合温度は、インサート材の液相線温度
以上で被接合材の固相線温度以下であることが前提であ
り、インサート材と被接合材の間に0.5 kgf/mm2 以上の
圧力(面圧)を付加する方が健全な接合面が得られやす
い。
の還元ガス雰囲気、あるいはAr、N2などの不活性ガス雰
囲気中で行う。接合温度は、インサート材の液相線温度
以上で被接合材の固相線温度以下であることが前提であ
り、インサート材と被接合材の間に0.5 kgf/mm2 以上の
圧力(面圧)を付加する方が健全な接合面が得られやす
い。
【0020】液相拡散接合においては接合面の間にイン
サート材を挿入するのであるが、これは上記の酸化工
程、還元工程および接合工程のどの段階で行ってもよ
い。すなわち、接合工程の直前(前記の発明)、還元
工程の直前(の発明)あるいは酸化工程の前(の発
明)のいずれでもよい。また、Si含有量が0.55重量%以
上の鋼材を対象として、あるいはの発明を適用す
るのが、前記のの発明である。Si含有量が0.55重量%
未満の鋼材であれば従来の液相拡散接合方法により支障
なく接合することができる。
サート材を挿入するのであるが、これは上記の酸化工
程、還元工程および接合工程のどの段階で行ってもよ
い。すなわち、接合工程の直前(前記の発明)、還元
工程の直前(の発明)あるいは酸化工程の前(の発
明)のいずれでもよい。また、Si含有量が0.55重量%以
上の鋼材を対象として、あるいはの発明を適用す
るのが、前記のの発明である。Si含有量が0.55重量%
未満の鋼材であれば従来の液相拡散接合方法により支障
なく接合することができる。
【0021】図1は、上記の酸化〜接合の一連の工程に
おける加熱温度と時間の関係を示すヒートパターンであ
る。(a) 図(工程A)は酸化工程、還元工程および接合
工程をそれぞれ分割して個々に行う場合で、図中に示し
た矢印はインサート材の挿入時点を表す。矢印に付した
〜の符号は前記の発明に付した符号に対応し、例え
ば、の矢印の時点でインサート材を挿入した場合は
の発明に相当する。(b) 図(工程B)は還元工程と接合
工程を連続して行う場合で、インサート材の挿入時点が
の場合はの発明に、同じく挿入時点がの場合は
の発明に相当する。(c) 図(工程C)はインサート材を
矢印の時点、すなわち予め接合面間に挿入しておいて
酸化〜接合の工程を連続して行う場合で、の発明に相
当する。
おける加熱温度と時間の関係を示すヒートパターンであ
る。(a) 図(工程A)は酸化工程、還元工程および接合
工程をそれぞれ分割して個々に行う場合で、図中に示し
た矢印はインサート材の挿入時点を表す。矢印に付した
〜の符号は前記の発明に付した符号に対応し、例え
ば、の矢印の時点でインサート材を挿入した場合は
の発明に相当する。(b) 図(工程B)は還元工程と接合
工程を連続して行う場合で、インサート材の挿入時点が
の場合はの発明に、同じく挿入時点がの場合は
の発明に相当する。(c) 図(工程C)はインサート材を
矢印の時点、すなわち予め接合面間に挿入しておいて
酸化〜接合の工程を連続して行う場合で、の発明に相
当する。
【0022】
【実施例】表1のイおよびロに示す組成を有し、断面が
10mm×50mmの母材を用い、厚さ25μmのNi基のアモルフ
ァス金属(19%Cr− 7.5%Si− 1.5%B、残部Ni)をイ
ンサート材として液相拡散接合により継手を作製し、引
張試験、曲げ試験およびクリープ試験により接合部の性
能を評価した。
10mm×50mmの母材を用い、厚さ25μmのNi基のアモルフ
ァス金属(19%Cr− 7.5%Si− 1.5%B、残部Ni)をイ
ンサート材として液相拡散接合により継手を作製し、引
張試験、曲げ試験およびクリープ試験により接合部の性
能を評価した。
【0023】継手の作製に際しては、前記の工程A、工
程Bあるいは工程Cにより行い、インサート材はそれぞ
れ接合前、還元前および酸化前に挿入した。つまり、工
程Aはの発明、工程Bはの発明、工程Cはの発明
にそれぞれ対応する。また比較のため、工程Aにおいて
酸化および還元工程のいずれか、あるいはそれらの両方
を省略した場合についても行った。なお、酸化工程で
は、大気中550℃で60秒間加熱し、還元工程では、露点
が−60℃のアンモニア分解 H2(75%) + N2 雰囲気中 8
00℃で30秒間加熱する処理を行い、接合工程では接合面
に1kgf/mm2 の加圧力を加えながら1250℃で 150秒間加
熱する処理を行った。
程Bあるいは工程Cにより行い、インサート材はそれぞ
れ接合前、還元前および酸化前に挿入した。つまり、工
程Aはの発明、工程Bはの発明、工程Cはの発明
にそれぞれ対応する。また比較のため、工程Aにおいて
酸化および還元工程のいずれか、あるいはそれらの両方
を省略した場合についても行った。なお、酸化工程で
は、大気中550℃で60秒間加熱し、還元工程では、露点
が−60℃のアンモニア分解 H2(75%) + N2 雰囲気中 8
00℃で30秒間加熱する処理を行い、接合工程では接合面
に1kgf/mm2 の加圧力を加えながら1250℃で 150秒間加
熱する処理を行った。
【0024】引張試験およびクリープ試験は平行部が6
mmφで長さ30mmの丸棒試験片を用いて行い、試験結果を
母材の強度およびクリープ破断時間に対する比で表し
た。また、曲げ試験は厚さ5mm×幅10mm×長さ100mm の
試験片を用い、各条件について半径が板厚の2倍の 180
°曲げを50回実施し、不合格回数で評価した。なお、鋼
種ロについては、クリープ試験は行わなかった。
mmφで長さ30mmの丸棒試験片を用いて行い、試験結果を
母材の強度およびクリープ破断時間に対する比で表し
た。また、曲げ試験は厚さ5mm×幅10mm×長さ100mm の
試験片を用い、各条件について半径が板厚の2倍の 180
°曲げを50回実施し、不合格回数で評価した。なお、鋼
種ロについては、クリープ試験は行わなかった。
【0025】試験結果を表2に示す。この表から明らか
なように、鋼種イを用い、接合前に酸化処理のみを施し
た No.1では曲げ不良が多く発生し、酸化処理、還元処
理のいずれも行わずに接合した(接合のみ) No.6及び
接合前に還元処理のみを施した No.2では、曲げ不良は
少なくなったがクリープ強度が本発明例と比較して低か
った。なお、鋼種ロは鋼種イに比べてSi含有量が低いの
で、接合のみの No.7は同じく接合のみの No.6と比べ
ると曲げ不良率は低かった。
なように、鋼種イを用い、接合前に酸化処理のみを施し
た No.1では曲げ不良が多く発生し、酸化処理、還元処
理のいずれも行わずに接合した(接合のみ) No.6及び
接合前に還元処理のみを施した No.2では、曲げ不良は
少なくなったがクリープ強度が本発明例と比較して低か
った。なお、鋼種ロは鋼種イに比べてSi含有量が低いの
で、接合のみの No.7は同じく接合のみの No.6と比べ
ると曲げ不良率は低かった。
【0026】これに対して、本発明例では、工程A、工
程Bあるいは工程Cのいずれで接合を行っても良好な結
果が得られ、Si含有量が高い場合でも本発明方法の適用
は可能であった。
程Bあるいは工程Cのいずれで接合を行っても良好な結
果が得られ、Si含有量が高い場合でも本発明方法の適用
は可能であった。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【発明の効果】鋼材を液相拡散接合するに際し本発明方
法を適用すれば、強度、曲げなどの機械的性質に優れた
接合部が得られ、従来難しいとされていたSi含有量の高
い鋼材の接合も可能となる。これによって液相拡散接合
法の適用範囲が拡大するので、実用的価値は非常に大き
い。
法を適用すれば、強度、曲げなどの機械的性質に優れた
接合部が得られ、従来難しいとされていたSi含有量の高
い鋼材の接合も可能となる。これによって液相拡散接合
法の適用範囲が拡大するので、実用的価値は非常に大き
い。
【図1】本発明の酸化〜接合の工程における加熱温度と
時間の関係を示すヒートパターンである。
時間の関係を示すヒートパターンである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 樫本 文雄 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内
Claims (4)
- 【請求項1】被接合材の接合面を酸化し、次いで還元し
た後、被接合材より低融点のアモルファス金属のインサ
ート材を接合面間に挿入し、インサート材の融点以上で
被接合材の融点以下の温度域で加熱し、加圧して被接合
材を液相拡散接合法により接合することを特徴とする鋼
材の接合方法。 - 【請求項2】被接合材の接合面を酸化し、次いで被接合
材より低融点のアモルファス金属のインサート材を接合
面間に挿入した後、還元雰囲気中でインサート材の融点
以上で被接合材の融点以下の温度域で加熱し、加圧して
被接合材を液相拡散接合法により接合することを特徴と
する鋼材の接合方法。 - 【請求項3】被接合材より低融点のアモルファス金属の
インサート材を被接合面間に挿入し、次いで接合面を酸
化した後、還元し、インサート材の融点以上で被接合材
の融点以下の温度域で加熱、加圧して液相拡散接合法を
行うことを特徴とする鋼材の接合方法。 - 【請求項4】被接合材が0.55重量%以上のSiを含有する
鋼材である請求項1、2または3に記載の鋼材の接合方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28290191A JP2541052B2 (ja) | 1991-10-29 | 1991-10-29 | 鋼材の接合方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP28290191A JP2541052B2 (ja) | 1991-10-29 | 1991-10-29 | 鋼材の接合方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05161984A true JPH05161984A (ja) | 1993-06-29 |
JP2541052B2 JP2541052B2 (ja) | 1996-10-09 |
Family
ID=17658580
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP28290191A Expired - Fee Related JP2541052B2 (ja) | 1991-10-29 | 1991-10-29 | 鋼材の接合方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2541052B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6059175A (en) * | 1996-03-29 | 2000-05-09 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Method for joining metallic materials by diffusion bonding and joined structure thereby |
-
1991
- 1991-10-29 JP JP28290191A patent/JP2541052B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US6059175A (en) * | 1996-03-29 | 2000-05-09 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Method for joining metallic materials by diffusion bonding and joined structure thereby |
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Publication number | Publication date |
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JP2541052B2 (ja) | 1996-10-09 |
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