JPH0515643Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案は、車両の駆動系の変速機出力側に設置
されるスピードメータ装置の潤滑装置に関し、詳
しくは、デフボツクス内のデイフアレンシヤル装
置から車速信号を取出す方式に関する。

【従来の技術】

従来、デイフアレンシヤル装置のデフケースか
ら車速信号を取出すものに関しては、例えば特開
昭59−159446号公報がある。また、スピードメー
タ装置の潤滑に関しては、例えば実開昭59−
168057号公報がある。ここで、変速機の変速ギヤ
により掻き上げたオイル飛沫を樋により受け、か
つその樋によりオイルをスピードメータ装置のギ
ヤ部に導いて供給することが示されている。

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記先行技術のものにあつては、樋
を敷設することで構造が複雑化し、敷設する余地
があるものに限定される。また、低速域ではオイ
ルの飛沫が弱くなるので、充分なオイル捕集がで
きない恐れがある。 さらに、スピードメータ装置では、ギヤ部のみ
ならずスピードメータ軸のケース外への突出部の
オイルシールにも給油する必要があるが、この点
が不備である。オイルシールへの給油が不足する
と、リツプの部分が硬化してシール機能を低下
し、オイル洩れとそれに伴うギヤの焼付等を招
く。また、スピードメータ軸との軸受部が摩耗，
焼付等を生じる。 本考案は、このような点に鑑みてなされたもの
で、デイフアレンシヤル装置に取付けたスピード
メータ装置の軸受部およびオイルシールを低速域
から確実に潤滑するようにしたスピードメータ装
置の潤滑装置を提供するこを目的としている。

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案は、デフボツ
クス内部のデイフアレンシヤル装置からスピード
メータ軸をケース外部に略垂直に取出し、かつメ
ータ軸のケース外部出口にオイルシールを取付
け、上記デイフアレンシヤル装置の直上部に低速
域から飛散オイルを受けることが可能な仕切壁を
設け、上記仕切壁に付着したオイルを捕集する溝
を形成し、上記溝のオイルをオイルシールに導
き、かつスピードメータ軸に沿つて流下させるよ
うに構成されている。

【作用】

上記構成に基づき、デイフアレンシヤル装置に
よる飛散オイルが低速域から充分に捕集され、こ
のオイルが縦型のスピードメータ軸の上部のオイ
ルシールに先ず供給され、次いでスピードメータ
軸に沿つて流下してその軸受部等に供給されて潤
滑するようになる。 こうして本考案では、デイフアレンシヤル装置
に取付けられたスピードメータ軸のオイルシール
以降の軸方向全域を、低速域から充分潤滑するこ
とが可能となる。

【実施例】

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。 第１図において、縦置きトランスアクスル型の
場合について述べると、アルミダイキヤスト製の
デフボツクスケース１の内部が中心の筒部１ａ、
下部の仕切壁１ｂおよび上部に傾斜した仕切壁１
ｃにより前後に区画され、前方のコンバータハウ
ジング２にロツクアツプクラツチ３を有するトル
クコンバータ４が設置され、後方のデフボツクス
５にデイフアレンシヤル装置６が配置される。デ
フボツクスケース１の後端には鋳鉄製のポンプハ
ウジング７を有する軸承板８が連結し、ポンプハ
ウジング７とカバー９の内部にオイルポンプ１０
を設けている。さらに、軸承板８の後部にはミツ
シヨンケース１１が連結し、このミツシヨンケー
ス１１内部に自動変速機１２を有している。 符号２０はエンジンのクランク軸であり、この
クランク軸２０のボス部２０ａにドライブプレー
ト２１を嵌合してボルト２２により締結してあ
り、ドライブプレート２１には更にコンバータカ
バー２３がフランジ部２３ａをボルト２４で締結
して取付けられる。トルクコンバータ４は、ポン
プインペラ２５、タービンランナ２６およびステ
ータ２７を有し、コンバータカバー２３にポンプ
インペラ２５が嵌合，溶接して一体結合する。タ
ービンランナ２６は、入力軸２８の先端にスプラ
イン嵌合するタービンハブ２９にリベツト３０で
固定され、ステータ２７は、ワンウエイクラツチ
３１を介して入力軸２８の外側の中空のステータ
軸３２に連結してある。 入力軸２８は後方のミツシヨンケース１１内部
に延びており、ステータ軸３２も後方に延びてオ
イルポンプ１０のカバー９と一体形成される。ス
テータ軸３２の外側には前端をポンプインペラ２
５に結合したポンプ駆動軸３３が配置され、この
ポンプ駆動軸３３の後端がポンプハウジング７内
に挿入してオイルポンプ１０のロータ側に係合し
ている。さらに、自動変速機オイルの洩れと、ギ
ヤオイルの混入を防ぐため、ポンプ駆動軸３３の
外側にシールパイプ３４が、両端をデフボツクス
ケース１のシール筒部１ａとポンプハウジング７
のボス部７ａに嵌合して設置され、筒部１ａでは
シールパイプ３４の先にブツシユ３５を介してオ
イルシール３６が取付けられる。そして、かかる
シールパイプ３４でオイルポンプ１０やポンプ駆
動軸３３からのリークオイルを捕集し、デフボツ
クス５のギヤオイルと軸部の自動変速機オイルを
分離する構造になつている。 ロツクアツプクラツチ３はコンバータカバー２
３内部にロツクアツプピストン４０を有し、この
ロツクアツプピストン４０のカバー側外周部にフ
エーシング４１が、タービンランナ２６側にトー
シヨナルダンパ４２が取付けられる。そしてロツ
クアツプピストン４０の前方にロツクアツプリリ
ース圧用油圧室４３が、後方にトルクコンバータ
４と連通したアプライ圧用油圧室４４が設けてあ
る。一方、コンバータカバー２３の中心には有底
筒状のパイロツトボス４５が貫通して固着され、
このパイロツトボス４５の先端がクランク軸２０
の中心の孔２０ｂに嵌合して芯出しする。さら
に、タービンハブ２９は同心円の２段のボス部２
９ａ，２９ｂを有し、内側ボス部２９ａの内周に
パイロツトボス４５がブツシユ４６を介し嵌合し
てタービンハブ２９を軸支しており、このボス部
２９ａの外周にロツクアツプピストン４０が移動
可能に嵌合し、外側ボス部２９ｂにトーシヨナル
ダンパ４２がスプライン嵌合する。 ここで、トルクコンバータ４の作動油圧がロツ
クアツプアプライ圧用油圧室４４に供給されてお
り、これに対しロツクアツプリリース圧用油圧室
４３のロツクアツプリリース圧は少し高目に設定
される。そしてロツクアツプリリース圧を給排油
する際のロツクアツプリリース圧用油圧室４３、
ロツクアツプアプライ圧用油圧室４４の油圧差
で、ロツクアツプピストン４０を後退させてコン
バータカバー２３から離し、またはそのロツクア
ツプピストン４０をコンバータカバー２３に圧着
するようになつている。 さらに、油圧回路について述べると、入力軸２
８の内部のロツクアツプリリース油路４７がパイ
ロツトボス４５の内部を介してロツクアツプリリ
ース圧用油圧室４３に連通する。また、入力軸２
８とステータ軸３２との間のコンバータ油路４８
がタービンランナ２６およびアプライ圧用油圧室
４４に連通し、ポンプインペラ２５からのドレン
油路４９がステータ軸３２とポンプ駆動軸３３と
の間に設けてある。 デイフアレンシヤル装置６は、第１図と第２図
に示すように自動変速機１２の変速動力が伝達す
るフロントドライブ軸５０のドライブピニオン５
１と噛合うクラウンギヤ５２を有し、このクラウ
ンギヤ５２と一体的なデフケース５３にピニオン
軸５４が取付けられ、このピニオン軸５４のピニ
オン５５に噛合うサイドギヤ５６，５７から左右
の車軸５８，５９が取出されて成る。 そこで、かかるデフケース５３の中心から左右
の一方のクラウンギヤ５２側に寄つた個所にロツ
クアツプメータドライブギヤ６０が固着され、こ
のロツクアツプメータドライブギヤ６０より略垂
直にロツクアツプメータ軸６１が立設する。ロツ
クアツプメータ軸６１の下端のドリブンギヤ６２
はロツクアツプメータドライブギヤ６０に噛合
い、ロツクアツプメータ軸６１の上部はデフボツ
クスケース１の孔６３を貫通して外部に出てい
る。そして孔６３の外部出口には凹部６４が形成
され、この凹部６４内部で第３図のようにオイル
シール６５が、外周部６５ａを凹部６４に嵌合し
リツプ部６５ｂをロツクアツプメータ軸６１に摺
接して取付けられている。 一方、ロツクアツプメータ軸６１とオイルシー
ル６５の潤滑について述べると、デフボツクスケ
ース１の底にはデイフアレンシヤル装置６の潤滑
オイルが溜つており、このオイルはクラウンギヤ
５２等の回転により上方に飛散する。そこでデフ
ボツクスケース１の傾いた仕切壁１ｃが、低速時
にオイル飛沫が弱い場合でもそのオイルを受ける
ことが可能に比較的小さい角度で設置される。ま
た、仕切壁１ｃに付着するオイルは、その仕切壁
１ｃや筒部１ａの開口縁１ｄに沿つて流下し、
中，高速時にオイル飛沫が弱い場合はオイルが筒
部１ａの内部に入る。そこで、筒部１ａのメータ
側側面のオイルシール６５と略同じ高さで、開口
縁１ｄからオイルシール位置までの軸方向にオイ
ル溝７０が形成され、このオイル溝７０端部から
オイルシール６５の凹部６４の方向にオイル孔７
１が連通する。オイル孔７１の端部は盲栓７２で
閉じ、凹部６４とオイル孔７１とは両者のラツプ
による連絡孔７３で連通している。 次いで、このように構成された自動変速機とス
ピードメータ装置およびその潤滑の作用について
述べる。 先ず、クランク軸２０のエンジン動力は、ドラ
イブプレート２１を介してコンバータカバー２３
と共にトルクコンバータ４のポンプインペラ２５
に伝達しており、このポンプインペラ２５から更
にポンプ駆動軸３３を介してオイルポンプ１０に
も伝達して駆動する。またコンバータ油路４８に
より、トルクコンバータ４の内部とロツクアツプ
アプライ圧用油圧室４４に作動油圧が供給されて
いる。 そこで、ロツクアツプ解除条件成立の場合は、
高いロツクアツプリリース圧がロツクアツプリリ
ース油路４７からパイロツトボス４５の内部を経
てロツクアツプリリース圧用油圧室４３に供給さ
れる。そのため、ロツクアツプリリース圧用油圧
室４３、ロツクアツプアプライ圧用油圧室４４の
油圧差によりロツクアツプピストン４０がコンバ
ータカバー２３から離れ、ロツクアツプクラツチ
３を解除する。そこで、トルクコンバータ４によ
りトルク変換した動力がタービンハブ２９、入力
軸２８を介して自動変速機１２に入力する。一
方、ロツクアツプ条件が成立すると、ロツクアツ
プリリース圧用油圧室４３のロツクアツプリリー
ス圧がドレンされることで、ロツクアツプピスト
ン４０のフエーシング４１はコンバータカバー２
３に圧着してロツクアツプクラツチ３を係合す
る。そこで、クランク軸２０にロツクアツプピス
トン４０が直結したロツクアツプ状態になり、コ
ンバータカバー２３からロツクアツプピストン４
０、トーシヨナルダンパ４２、タービンハブ２
９、入力軸２８を介して自動変速機１２にエンジ
ン動力がそのまま機械的に入力する。 こうして自動変速機１２に入力したエンジン動
力は、変速されて出力し、その変速動力がフロン
トドライブ軸５０のピニオン５１によりデイフア
レンシヤル装置６のクラウンギヤ５２、デフケー
ス５３に入力する。そしてピニオン５５とサイド
ギヤ５６，５７により回転差を生じながら車軸５
８，５９を介して前輪に伝達し、少なくともフロ
ントエンジン・フロントドライブの２輪駆動走行
を行う。 そしてかかる走行時に、デフケース５３の回転
に伴つてロツクアツプメータドライブギヤ６０、
ドリブンギヤ６２によりロツクアツプメータ軸６
１が回転し、このロツクアツプメータ軸６１の回
転をデフボツクスケース１の外部で電気的に検出
することで車速信号を得る。従つて、この場合の
ロツクアツプメータ軸検出信号には、自動変速機
１２のギヤ比のみならずそれ以降のリダクシヨン
ギヤ，ピニオン５１とクラウンギヤ５２のギヤ比
も含まれて、これに対する修正が不要になる。 またこの走行時に、デフボツクス５内部のオイ
ル中にデイフアレンシヤル装置６の一部が常に浸
ることで潤滑しており、このオイルは、クラウン
ギヤ５２等の回転より掻き上げられて上方に飛散
する。そしてこの飛散オイルは、低速時に主とし
て仕切壁１ｃにかかつて付着し、中，高速時およ
び逆回転する後退時には筒部１ａに多くかかり、
このオイルがその壁面に沿つて流下する途中でオ
イル溝７０に入つて捕集される。このオイル溝７
０のオイルは、オイル孔７１により案内され、連
絡孔７３により凹部６４のオイルシール６５に供
給されてその外周部６５ａやリツプ部６５ｂを潤
滑し、更にロツクアツプメータ軸６１と孔６３を
潤滑しながら流下し、ロツクアツプメータドライ
ブギヤ６０、ドリブンギヤ６２の噛合部も潤滑し
てデフボツクス５内部の底に戻る。 なお本考案は、手動変速機，横置きトランスア
クスル型等にも同様に適用できる。

【考案の効果】

以上述べてきたように、本考案によれば、スピ
ードメータ装置のメータ軸のオイルシールと軸受
部に低速域からオイルを供給するので、充分潤滑
することができて、摩耗，焼付，オイルシール機
能の低下による外部へのオイルの洩れ等が防止さ
れる。 溝や孔をケースに形成した構成であるから、製
造が容易であり、狭い場所にも適する。 デイフアレンシヤル装置においてロツクアツプ
メータ軸を立設し、上方のオイルシール側から給
油する構成であるから、前後進共に多量のオイル
でロツクアツプメータ軸系を充分潤滑でき、かつ
外部へのオイル洩れの恐れが少ない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のスピードメータ装置の潤滑装
置の実施例を示す縦断面図、第２図は第１図の
−断面図、第３図は第２図の−断面図であ
る。 １……デフボツクスケース、１ａ……筒部、１
ｂ，１ｃ……仕切壁、１ｄ……開口縁、５……デ
フボツクス、６……デイフアレンシヤル装置、６
０……ロツクアツプメータドライブギヤ、６１…
…ロツクアツプメータ軸、６２……ドリブンギ
ヤ、６４……凹部、６５……オイルシール、７０
……溝、７１，７３……孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 デフボツクス内部のデイフアレンシヤル装置か
   らスピードメータ軸をケース外部に略垂直に取出
   し、かつスピードメータ軸のケース外部出口にオ
   イルシールを取付け、 上記デイフアレンシヤル装置の直上部に低速域
   から飛散オイルを受けることが可能な仕切壁を設
   け、 上記仕切壁に付着したオイルを捕集する溝を形
   成し、 上記溝のオイルをオイルシールに導き、かつス
   ピードメータ軸に沿つて流下させることを特徴と
   するスピードメータ装置の潤滑装置。