JPH05154317A

JPH05154317A - 殺菌性集塵フィルタ

Info

Publication number: JPH05154317A
Application number: JP34831191A
Authority: JP
Inventors: Shinichi Hara; 慎一原
Original assignee: Zexel Corp
Current assignee: Bosch Corp
Priority date: 1991-12-04
Filing date: 1991-12-04
Publication date: 1993-06-22

Abstract

(57)【要約】【目的】低圧損・高殺菌性・長寿命の実現を図った殺
菌性集塵フィルタを提供する。【構成】一対のカバー部材５，５の間に、塵埃捕捉用
の不織布部材７Ａを介挿して成る殺菌性集塵フィルタ２
であって、前記不織布部材７Ａに超極細銅繊維を組み込
んだものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、例えば空気清浄器等
に配設され、被清浄空気から塵埃等を捕捉するための殺
菌機能を備えた集塵フィルタに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、空気清浄器等においては、被清
浄空気から塵埃等を捕捉するための集塵フィルタが配さ
れている。この集塵フィルタは、空気中から塵埃等と共
に、細菌・真菌等の微生物を捕捉し、空気の清浄化をな
すものである。

【０００３】この集塵フィルタに捕らえられたかび・バ
クテリア等の微生物は、温度環境に応じてフィルタ上で
繁殖し、それらの生理作用により悪臭を発生する。ま
た、かび等は、胞子を生成するため、それが飛散すると
人体にアレルギー等の悪害を及ぼす要因となる。そのた
め、この悪臭及び悪害を回避するために、従来、殺菌機
能を備えた集塵フィルタが種々開発されている（例え
ば、実開昭５２─１１００９７号公報及び特開昭６３─
１８２０１２号公報参照）。

【０００４】前者の先行技術（実開昭５２─１１００９
７号公報）は、一対のカバー部材の間に、殺菌用の銅ミ
クロファイバと塵埃捕捉用の布状体とを介挿し、布状体
で捕捉した塵埃等に含まれる微生物を銅ミクロファイバ
で殺菌するようにしたものである。

【０００５】後者の先行技術（特開昭６３─１８２０１
２号公報）は、シート状のフィルタ材の表面に所定金属
を含有する銅合金を被覆し、フィルタ材で捕捉した塵埃
等に含まれる微生物を被覆した銅合金で殺菌するもので
ある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】殺菌性集塵フィルタで
望まれる性能は、低圧損・高殺菌性・長寿命である。

【０００７】しかしながら、上記前者の先行技術は、銅
ミクロファイバと塵埃捕捉用の布状体とを個別に配設す
るものであり、布状体と銅ミクロファイバとが密に結合
していないため、布状体表面での殺菌効果が少なく、殺
菌性能が不十分であるという問題点を有していた。

【０００８】また、後者の先行技術は、薄膜の銅合金を
フィルタ材に被覆するものであるから、劣化し易く、殺
菌寿命が短いという不具合を有していた。この劣化現象
は、特に車室内のような高温、高湿度の雰囲気中で顕著
に現れる。また、被覆した銅合金は、フィルタ材の通気
性を低下させるため、高圧損となる。

【０００９】そこで、この発明は上記問題点を解消し、
低圧損・高殺菌性・長寿命を実現する殺菌性集塵フィル
タを提供することを目的とする。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明に係る殺菌性集塵フィルタは、一対のカバ
ー部材の間に、塵埃捕捉用の不織布部材を介挿して成る
殺菌性集塵フィルタであって、前記不織布部材に超極細
銅繊維を組み込んだものである。

【００１１】

【作用】したがって、不織布部材に組み込んだ超極細銅
繊維は、不織布部材に密に結合されるから、該不織布部
材で捕捉される微生物を効果的に殺菌して高殺菌性を発
揮すると共に、耐劣化性及び高通気性を有し、低圧損・
長寿命を実現する。

【００１２】

【実施例】以下、この発明の実施例を図面により説明す
る。

【００１３】図１に、車両用空調装置のクーリングユニ
ット１に空気清浄用の殺菌性集塵フィルタ２を配した一
例が示されており、該殺菌性集塵フィルタ２は、クーリ
ングユニット１内にあって、エバポレータ３の下流（後
方）側に配設され、エバポレータ３で冷却された空気か
ら塵埃及びそれに含まれる細菌・真菌等の微生物を捕捉
し、該捕捉した微生物を殺菌するようになっている。な
お、矢印は空調空気の流れを示す。

【００１４】殺菌性集塵フィルタ２は、図２に詳しく示
されるように、例えば一対のカバー部材５，５の間に、
超極細銅繊維部材６を固着した不織布部材７Ａを介挿し
て基本的に構成されている。

【００１５】カバー部材５，５は、下記する超極細銅繊
維部材６及び不織布部材７Ａを保護するためのもので、
不織布部材７Ａを構成する繊維の径よりも太い繊維を編
み込んで構成されており、網目が荒く設定され、微細な
塵埃及び微生物を通過させるようになっている。

【００１６】超極細銅繊維部材６は、下記する不織布部
材７Ａで捕捉される微生物を殺菌するためのもので、超
極細銅繊維を編み込んで構成されている。この超極細銅
繊維の線径は、２０〜４０μｍの範囲内に設定すること
が望ましい。すなわち、線径を４０μｍ以上に設定すれ
ば、超極細銅繊維部材６の表面積が少なくなるため、殺
菌の効果が減少する。また、線径を２０μｍ以下に設定
すれば、超極細銅繊維部材６を不織布部材７Ａに組み込
んだ場合に、その超極細銅繊維部材６によって圧損が大
きくなるからである。そしてこの超極細銅繊維部材６
は、例えば熱融着等によって不織布部材７Ａに貼付さ
れ、該不織布部材７Ａに密に組み込まれるようになって
いる。

【００１７】不織布部材７Ａは、被清浄空気中に含まれ
る塵埃及び微生物を捕捉するためのもので、例えばポリ
プロピレン、ポリエチレン等を材質とする極細樹脂繊維
（線径が１．０〜１０μｍ程度）を不織布状に編み込ん
で基本的に構成されており、０．０１〜１００μｍ程度
の大きさの微粒子が捕捉できるようになっている。

【００１８】上記構成の殺菌性集塵フィルタ２は、例え
ばクーリングユニット１のエバポレータ３を通過した冷
却空気中に含まれる塵埃及び微生物を不織布部材７Ａで
捕捉し、空気を清浄化するようになっている。

【００１９】そしてこの殺菌性集塵フィルタ２の不織布
部材７Ａで捕捉された微生物は、超極細銅繊維部材６か
ら溶出される銅イオンによって殺菌される。この殺菌の
効果は、超極細銅繊維部材６が不織布部材７Ａに密に組
み込まれたものであるから、銅イオンが不織布部材７Ａ
の全体に行き渡り、高い殺菌性を顕著に示す。

【００２０】また、殺菌性集塵フィルタ２における圧損
は、上記所定の線径で設定された超極細銅繊維を編み込
んだ超極細銅繊維部材６の構造によって極めて低く抑え
られており、低圧損が実現される。

【００２１】さらに、この殺菌性集塵フィルタ２の殺菌
寿命は、超極細銅繊維部材６によって担保され、該超極
細銅繊維部材６の耐劣化性が極めて高いことから、不織
布部材７Ａの寿命以上に殺菌効果が持続されるものであ
る。

【００２２】次に、図３を参照しつつ、この発明の第２
の実施例に係る殺菌性集塵フィルタについて説明する。
ただし、上記第１の実施例に係る殺菌性集塵フィルタと
同一構成のものについては同一符号を付してその説明を
省略し、以下、異なる点についてのみ説明する。

【００２３】この第２の実施例に係る殺菌性集塵フィル
タ２が上記第１の実施例に係る殺菌性集塵フィルタと相
違する点は、超極細銅繊維と極細樹脂繊維とを所定の割
合で不織布状に混紡して不織布部材７Ｂを構成したとこ
ろにある。ここで用いられる超極細銅繊維及び極細樹脂
繊維は、上記で述べたものと同じものである。

【００２４】この不織布部材７Ｂは、それ自体超極細銅
繊維を組み込んだものであるから、集塵作用と殺菌作用
とを同時になすものであり、混紡によって超極細銅繊維
が極めて密に組み込まれ、超極細銅繊維から溶出される
銅イオンが該不織布部材７Ｂの全体に行き渡る程度が最
良の状態となり、非常に高い殺菌性を顕著に示す。ま
た、上記第１の実施例と同様に、低圧損及び長寿命を実
現するものである。

【００２５】以上、殺菌性集塵フィルタの構成例及びそ
の性能について述べたが、さらにこの殺菌性集塵フィル
タの性能がどの程度のものであるかを下記する実験結果
に基づいて説明する。この実験結果を表１に示す。

【００２６】

【表１】

【００２７】実験は、第２の実施例に係る殺菌性集塵フ
ィルタ２の殺菌率（本件）と、超極細銅繊維を混紡しな
い不織布部材を有する集塵フィルタの殺菌率（従来）と
を比較測定したものであり、本件の殺菌性集塵フィルタ
２の不織布部材７Ｂは、超極細銅繊維と極細樹脂繊維と
の混紡比率を５：９５にしたものを用いた。温湿度条件
２０°Ｃ、６０％の環境下、風量８０ｍ³／Ｈにおいて
塵埃及び微生物の捕捉を行い、その集塵フィルタを１ｃ
ｍ²切り取り、その中の生菌をトリプトソーヤ寒天培地
上で培養して生菌数を調べたものである。

【００２８】この実験結果から明らかなように、従来で
は生菌数が級数的に増加するのに対し、本件は生菌数の
増加は見られず、効果的に持続して殺菌が行われること
がわかる。このように、高殺菌性及び長寿命であること
が確認できる。

【００２９】

【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
超極細銅繊維を不織布部材に密に組み込んで殺菌性集塵
フィルタを構成したので、超極細銅繊維から溶出される
銅イオンが不織布部材の全体に行き渡り、不織布部材で
捕捉された微生物を高い殺菌性を発揮して効果的に殺菌
することができる。これにより、フィルタからの悪臭及
びアレルギー源等の発生を効果的に防止することができ
るものである。また、殺菌性集塵フィルタにおける圧損
は、超極細銅繊維と不織布部材との組合わせによって極
めて低く抑えられ、低圧損が実現される。さらに、この
殺菌性集塵フィルタの殺菌寿命は、超極細銅繊維の耐劣
化性が極めて高いことから、相当の長期間殺菌効果が持
続されるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】殺菌性集塵フィルタの配置例である。

【図２】第１の実施例に係る殺菌性集塵フィルタの一部
破断面図である。

【図３】第２の実施例に係る殺菌性集塵フィルタの一部
破断面図である。

【符号の説明】

１クーリングユニット２殺菌性集塵フィルタ３エバポレータ５カバー部材６超極細銅繊維部材７Ａ，７Ｂ不織布部材

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】一対のカバー部材の間に、塵埃捕捉用の
不織布部材を介挿して成る殺菌性集塵フィルタであっ
て、前記不織布部材に超極細銅繊維を組み込んだことを
特徴とする殺菌性集塵フィルタ。