JPH05149950A - 固相免疫測定用試薬 - Google Patents

固相免疫測定用試薬

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JPH05149950A
JPH05149950A JP13945292A JP13945292A JPH05149950A JP H05149950 A JPH05149950 A JP H05149950A JP 13945292 A JP13945292 A JP 13945292A JP 13945292 A JP13945292 A JP 13945292A JP H05149950 A JPH05149950 A JP H05149950A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】固相凝集法を適用した固相免疫測定において、
沈降した担体粒子が示す陽性の分布パターンを長時間安
定に維持できる固相免疫測定用試薬を提供する。 【構成】粒径3.0μm以下の粒子の存在比が10.0
容量%以下である粒度分布を有し、かつ被測定物質に特
異的に結合する抗体をコーティングした担体粒子からな
る固相免疫測定用試薬である。ウエル壁面に被測定物質
に特異的に結合する抗体を固相化したマイクロタイター
プレートの各ウエル内に、検体試料を分注して固相化さ
れた抗体に結合させる。次いで、固相免疫測定用試薬を
添加して、結合させた被測定物質に担体粒子を沈降・結
合させる。結合させた担体粒子の分布形態を観察して、
被測定物質の有無を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、免疫学的反応により種
々の疾病および血液型タイピング等を診断または判定す
るために用いられる固相免疫測定用試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】免疫学的測定のために、分析すべき抗原
または抗体と特異的に抗原抗体反応を起こす物質を単分
散性の固体粒子に被覆する技術は、古くから知られてい
る。また、かかる被覆処理後の担体粒子を、未知の検体
サンプルと混合して該担体粒子の分散性の変化を調べる
凝集法も周知の技術である。
【0003】一般に、凝集法には、反応容器中に懸濁さ
れた担体粒子に対する透過光量の変化を測定する比濁法
や、反応容器内で沈降した担体粒子の分布形態、すなわ
ち反応容器の底面に占める分布量を肉眼や画像判定手段
により判定するマイクロタイター法が代表的である。凝
集法は、始め、粒径がほぼ均一であるとう理由から専ら
動物の赤血球が用いられてきたが、抗原または抗体に対
する特異性や入手できる量の安定性に問題があった。こ
れに対して、近年、粒子合成技術の進歩により、均一な
粒径を有する粒子を人工的に大量に製造できるようにな
り、赤血球の代替粒子として盛んに使用される傾向にあ
る。
【0004】凝集法に使用される担体粒子は、反応容器
内で検体サンプルと充分に反応しなければならないの
で、沈降特性をいかに最適化するかが最大の課題とな
る。例えば、S.HosakaらのImmunological communicatio
n,12,(5),509(1983)では、マイクロタイター法における
赤血球に代替し得る担体粒子として、羊または鶏由来の
赤血球とほぼ等しい沈降速度を示す、粒径が 2.0〜 4.0
μmのアクリル系人工合成粒子を提案している。また、
特開昭62−115366号には、 2.0以上の高い比重
を有し、かつ、 2.0μm未満の粒径を有するシリカ性担
体粒子を用いたマイクロタイター法が開示されている。
【0005】このように、赤血球の代替粒子として人工
合成粒子をマイクロタイター法に使用する場合には、人
工合成粒子は、比重が大きいほど粒径が小さくなるよう
に設計されている。なお、以上のようなマイクロタイタ
ー法は、ABO式血液型やHBs抗体のように、反応性
が比較的強いか、比較的多量に検出されるような測定対
象に適しており、プラスチック性マイクロプレートの疎
水性ウエル表面に直接的に担体粒子を分布させている。
【0006】一方、検体試料中の測定対象である抗原ま
たは抗体を、免疫学的反応に基づいて、U字底またはV
字底を有するマイクロタイタープレートのウエル壁面に
結合させ、次いで、この抗原または抗体に対して担体粒
子を結合させる反応方法は、固相凝集法(Solid agglut
ination )として一般に知られている。固相凝集法は、
例えば、Rh(−)因子等の稀な血液細胞抗原や、HC
V(C型肝炎ウイルス)等の感染症の原因となる抗原乃
至その抗体のような、反応性が弱いかその存在が微量で
あるような測定対象を検出する場合、これら測定対象
を、ウエル底壁面に固相化した該測定対象と特異的に結
合する抗原または抗体に結合させた後、担体粒子を間接
的に結合させることにより、測定試料中の夾雑物等を洗
浄除去することが可能である利点を有する。従って、非
特異反応を回避しつつ凝集反応と同様な分布パターンを
形成できる。例えば、免疫学的結合のための腕が短いI
gG性抗体を検体とする抗グロブリン試験では、予め腕
が長い抗IgG抗体を担体粒子にコーティングすること
により、反応性の確実な固相凝集法を実施している。
【0007】一般に、固相凝集法には、赤血球が担体粒
子として用いられている。例えば、米国特許4,608,246
号の明細書には、U字底マイクロプレートのウエル底壁
面に固相化した抗D抗体に、検体血液サンプルを反応さ
せ(第一反応)、次いで抗ヒトIgG抗体をコーティン
グした赤血球を添加して自然沈降させて反応させた(第
二反応)後に、赤血球の分布パターンを肉眼で判定す
る、血液中のRh因子の測定方法が記載されている。し
かし、このような担体粒子として赤血球を使用する場
合、赤血球表面に存在する各種抗原が非特異反応を起こ
し易い。さらに、一定の品質からなる赤血球を大量に得
ることは困難であった。
【0008】これに対して、人工合成粒子を担体粒子と
して用いた固相凝集法が提案されている。例えば、特開
平2-122266号公報には、人工合成粒子として磁性体を封
入した粒径 1.7μmのラテックス粒子を用い、固相化し
たU字底マイクロプレートのウエルに固相化したヒトO
型赤血球に検体血液サンプルを反応させ(第一反応)、
次いで抗ヒトIgGをコーティングした前記磁性体を封
入したラテックス粒子を添加して磁石で沈降反応させた
(第二反応)後に、形成された該ラテックス粒子の分布
パターンを肉眼で判定する自己抗体の測定方法が記載さ
れている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
人工合成粒子を担体粒子として用いた固相凝集法では、
所定の反応時間の後に形成された、担体粒子がウエル底
壁面に一様に広がった陽性の分布パターンが、経時的か
つ漸進的にウエル底壁面の中心に担体粒子がボタン状に
集まった陰性の分布パターンへと変化する。このため
に、検査者が所定の反応時間より長時間経過してから判
定を行う場合には、陽性検体を見逃してしまう問題があ
る。一方、上述のマイクロタイター法とは異なり、反応
容器の表面が抗原等の親水性タンパク質で覆われている
固相凝集法では、沈降以降の容器表面における担体粒子
の挙動が明らかにされておらず、好ましい粒子条件は不
明である。
【0010】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、人工合成粒子を用いた固相凝集法を適用した固
相免疫測定において、沈降した担体粒子が陽性の分布パ
ターンを長時間安定に維持することができる固相免疫測
定用試薬を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、人工合成粒子の粒
径が固相凝集法における沈降後の粒子の分子形態、特に
陽性パターンの安定性と深く関係することを見い出し
た。すなわち、本発明者らは、粒度分布の異なる種々の
担体粒子からなる免疫測定用試薬を調製して、陽性パタ
ーンが陰性パターンへ変化する過程を顕微鏡で観察した
結果、陽性パターンが短時間に陰性パターンに変化した
試薬では、所定反応時間直後に陽性パターン中に担体粒
子の微細な振動が長時間にわたって持続することを発見
した。一方、陽性パターンが比較的長時間にわたって安
定に維持され、翌日に陰性パターンへと変化した試薬で
は、所定反応時間直後に微細に振動する担体粒子は少な
いことも確認された。そこで、陽性パターンが短時間で
陰性パターン化した試薬と、比較的長時間後に陰性パタ
ーン化した試薬について、各試薬を構成する担体粒子の
粒度分布を調べたところ、粒径 3.0μm以下の粒子の存
在比の高いものほど短時間で陰性パターンに変化してし
まうことが判明した。
【0012】本発明は、このような知見を基になされた
ものであり、反応容器の内壁面に固相化した抗原または
抗体に特異的に結合した検体試料中の被測定物質に、該
被測定物質に特異的に結合する抗原または抗体がコーテ
ィングされた担体粒子を結合させて、前記抗原または前
記抗体が固相化された前記内壁面の表面領域に占める該
担体粒子の分布量から該被測定物質の有無を検出する固
相免疫測定方法に用いられる固相免疫測定用試薬であっ
て、人工合成した担体粒子の粒度分布において、粒径
3.0μm以下の粒子の存在比が10.0容量%以下であるこ
とを特徴とする固相免疫測定用試薬を提供する。
【0013】ここで、担体粒子の粒度分布は、粒径 2.0
μm以下の粒子の存在比が3.0 容量%以下であることが
好ましい。また、平均粒径が6.0μm以上であることが
より好ましい。以下、本発明の固相免疫測定用試薬につ
いて、さらに詳細に説明する。
【0014】本発明に使用される担体粒子は、デキスト
ラン,ポリアクリルアミド,ゼラチン,リポソーム,セ
ルロース、ポリスチレン,シリカ,カーボン,磁性体金
属等の有機物または無機物由来の合成粒子である。これ
らの担体粒子による沈降後の分布形態が固相凝集反応に
おいて上記のような不都合な変化を示す要因の一つに
は、粒子本来の荷電的斥力やファンデルワース引力のバ
ランスが挙げられる。かかる斥力と引力のバランスは、
あらゆる材質の粒子について共通に発生する課題である
点に注目すべきである。
【0015】担体粒子は、既に公知である種々の重合
法、コアセルベート法またはマイクロカプセル法等によ
り合成することができる。例えば、コアセルベート法に
よるゼラチン性担体粒子の好適な製造方法は、特開昭6
4−25060号に記載されている。かかるコアセルベ
ート法において、合成粒子の粒径を制御する技術も既に
知られており、コアセルベートの形成時に例えばpH等
の反応条件を変更すれば良い。また、磁性体のような磁
気応答性物質を合成粒子中に導入する方法も公知であ
り、少なくとも粒子形成の初期の段階で磁性体を含む溶
液を添加すれば良い。このときの磁性体の封入量もまた
公知の技術により調節することが可能である。担体粒子
は、好ましくは球形状を有し、且つ粒径が1μm〜20μ
mの範囲になるよう合成される。担体粒子の合成では、
合成条件等に応じて種々の異型粒子(だるま形状、金平
糖形状等)を生じることもあるが、試薬性能に不都合な
影響がない限り、これもまた有効に使用できる。無色な
材質からなる担体粒子は、反応性染料,カチオン性,塩
基性染料等の公知の染料により視覚的乃至光学的に認識
可能な程度に染色処理することができる。粒径が20〜30
μmを越えるような担体粒子は、合成後に占める体積に
対する収率が低下する点に注意すべきである。また、30
μm以上の粒子は沈降後の分布にまばらな空隙を無数に
生じて検出の妨げとなる点で好ましくない。
【0016】上述の如く合成された担体粒子の粒度分布
において、粒径3.0μm以下の粒子が10容量%を超過す
る場合には、公知の分級処理または篩い処理を行うこと
により10.0容量%以下、好ましくは5.0 容量%以下に調
整することができる。また、粒径2.0 μm以下の粒子が
3.0 容量%を超過する粒度分布である場合には、同様に
して、3.0 容量%以下に調整することができる。粒径を
測定する手段としたは、コールター計、顕微鏡等の公知
のものを利用できるが、簡便性から粒子沈降計測計が好
ましい。沈降計測計によれば、粒子自体の形状を問わず
全て球状粒子として算出された粒径を知ることができ
る。粒径を示す基準には体積平均と個数平均があるが、
凝集パターンでは、容器壁面に占める面積が重要である
ことから、体積平均を基準とした粒径で議論するのが好
ましい。
【0017】本発明の免疫測定用試薬が測定のために所
定の反応容器中に添加されるときのの試薬液中における
担体粒子濃度は、0.01〜10重量%の範囲内であり、特に
0.1〜1.0 重量%が好ましい。
【0018】担体粒子を懸濁させるための分散媒は、p
H5.0 〜8.5 程度であり、必要に応じて非特異反応抑制
剤,界面活性剤,凍結・乾燥保護剤,酸化防止剤のよう
な添加剤を添加することができる。
【0019】反応容器として、例えば、複数のウエルを
有するマイクロタイタープレートを使用することができ
る。マイクロタイタープレートのウエルの底面形状は、
未反応な担体粒子が沈降してボタン状の集束した陰性パ
ターンを形成できるものであれば、V字型またはU字型
のいずれでも良い。また、底面が一方にのみ傾斜された
ものでもよい。
【0020】反応容器の内壁面への抗原または抗体の固
相化は、蛋白質の持つ親和性接着力を利用するか、レク
チンのような天然由来の凝集素または化学物質由来の接
着剤を使用して、インキュベート乃至遠心操作を行うこ
とにより達成できる。
【0021】担体粒子表面への抗原または抗体のコーテ
ィングは、例えば、表面電荷を利用する方法,架橋剤を
介する方法,タンニン酸のような天然接着剤による方
法,ビオチン・アビジン反応のような特異的結合を利用
する方法により行われる。
【0022】反応容器の内壁面に固相化する抗原または
抗体および担体粒子にコーティングする抗原または抗体
の種類は、被測定物質により異なる。例えば、ABO式
血液型または不規則抗体若しくは血小板抗体をタイピン
グする場合には、夫々、反応容器の内壁面にはABO型
が既知である赤血球またはRh式抗原型が既知である赤
血球若しくは血小板原型が既知である血小板を固定化
し、担体粒子には抗IgG抗体をコーティングする。ま
た、感染症等の原因ウイルスや癌特異蛋白のような抗原
またはそれらの抗原に対する抗体の存在を検出する場合
には、反応容器の内壁面に夫々の抗体または抗原を固相
化し、担体粒子には抗IgG抗体をコーティングする。
コーティングを終了した担体粒子は分散媒液中で冷蔵な
いし冷凍保存されるか、凍結乾燥処理されることにより
完成する。
【0023】固相化する抗原または抗体の濃度は、反応
感度に関係するので非常に重要である。例えば、抗原ま
たは抗体として細胞を用いた場合、その細胞濃度は、好
ましくは 0.2×106 セル/cm2 〜1.2× 106セル/cm2
である。
【0024】以上のようにして、調製した固相免疫測定
用試薬、及び抗原または抗体が固相化された反応容器を
用いて被測定物質を測定する工程は、公知の固相凝集法
に準じて行われる。まず、検体試料を、反応容器(例え
ばマイクロプレートのウエル)に所定量分注し、室温乃
至37℃でインキュベートする。これにより、検体試料中
の被測定物質がウエル壁面に固相化された抗体または抗
原に結合する(第一反応)。次にリン酸緩衝液(以下、
PBSと記す)等の緩衝液または精製水若しくは生理食
塩水等によりウエル内の夾雑物を洗浄除去する。次に、
本発明の固相免疫反応用試薬を所定量添加して撹拌した
後、室温乃至37℃で所定反応時間インキュベートする。
このインキュベート期間では、ウエル壁面に結合した被
測定物質に担体粒子が結合すると共に、被測定物質が存
在しない場合には、担体粒子がウエル壁面のいずれか局
所に集まるようにインキュベートが行われる。このた
め、反応容器の底面は傾斜していることが好ましい。傾
斜形状は特に限定されないが、未反応の粒子が局在的に
集まる収束部を有してればよい(第二反応)。この後、
ウエル底壁面に形成された担体粒子の分布パターンの形
態を肉眼で観察して、被測定物質の有無を判定する。こ
のとき、抗体または抗原で固相化されたウエル壁面の表
面領域に占める担体粒子の分布量を相対的に比較して、
担体粒子がウエル壁面に一様に広がっていれば被測定物
質有(陽性)と判断し、局在的に集まっていれば被測定
物質無(陰性)と判断する。
【0025】
【作用】本発明の固相免疫反応用試薬は、被測定物質に
特異的に結合する抗原または抗体がコーティングされた
担体粒子の粒度分布は、粒径3.0 μm以下の粒子の存在
比が10.0容量%以下である。このため、被測定物質と結
合した場合に、長時間微細に振動するような粒径が3.0
μm以下の粒子が僅かしか存在しないので、一担形成さ
れた陽性パターンが長時間安定に維持される。
【0026】
【実施例】本発明の実施例について、以下詳細に説明す
る。 参考例1
【0027】まず、分布パターンの陽性から陰性への変
化が、担体粒子の比重に関係なく起こることを確認する
ために、平均粒子径は等しいが、材質の異なる2種類の
担体粒子について、予め、被測定物質であるヒトIgG
をコーティングした赤血球を固相化したマイクロプレー
トを用意して固相凝集法を行った。
【0028】この参考例で使用するIgGコーティング
赤血球固相化マイクロプレート、抗ヒトIgG感作磁性
担体粒子及び抗ヒトIgG感作磁性粒子は次のようにし
て調製した。 <IgGコーティング赤血球固相化マイクロプレートの
調製>
【0029】U字底マイクロプレート(NUNC社製、NO.
464394)を準備し、0.01M PBSを用いて濃度10μg
/mlに調製した小麦胚芽レクチン(以下、WGAと記
す;生化学工業社製)を各ウエルに100 μlずつ添加
し、室温で30分間処理した。PBSで洗浄後、室温で乾
燥して、ウエル壁面にWGAを貼り付けた。
【0030】一方、ヒトIgGがコーティングされた赤
血球であるクームスコントロール(オーソ社製)とO型
ヒト赤血球の混合比を調整し、クームスコントロールの
比率を、生理食塩水で60%(V/V) 、50% (V/V) 、40% (V
/V) 、30% (V/V) 、20% (V/V) 、10% (V/V) 、5% (V/
V) 、0% (V/V) とし、赤血球濃度を 0.7%に生理食塩
水で調整し、これらを1ウエルに25μlずつ上記WGA
処理を施したマイクロプレートに分注して室温で10分間
インキュベートした。生理食塩水で未結合の赤血球を洗
浄除去し、IgGコーティング赤血球固相化マイクロプ
レートを得た。 <抗ヒトIgG感作磁性担体粒子の調製>
【0031】0.1 Mのグリシン・水酸化ナトリウム(以
下、グリシン緩衝液という)(pH8.7 )中に、平均粒
子1.8 μmの磁性ラテックス粒子(estapor ;ローヌ・
プーラン社製、NO. M1−180 /20)を0.4 % (W/V) の
濃度で含有する磁性ラテックス粒子溶液に調製した。抗
ヒトIgGヤギ抗体(CAPPEL社製)のグリシン緩
衝液溶液(濃度10μg/ml)を前記ラテックス粒子溶液
と 500μlずつ混合し、室温で30分間インキュベートし
た。次いで、0.2%ウシ血清アルブミン(以下、BSAと
記す;ベーリンガーマンハイム社製)及び0.14M Nacl
を含む0.02Mのグリシン緩衝液で洗浄し、更に同グリシ
ン緩衝液 2mlに懸濁し、冷蔵保存した。 <抗ヒトIgG感作磁性粒子の調製>
【0032】平均粒径 1.8 μmの磁性ゼラチン粒子
(オリンパス光学工業(株)製、比重1.12)の5% (W/
V) 粒子浮遊液 500μlの上澄みを除き、0.01M PB
S(pH7.0 )で2回洗浄した。次いで、タンニン酸の
PBS溶液(濃度10μg/ml)を1ml添加し、37℃で30
分間インキュベートした。さらに、0.01M PBS(p
H7.0)で2回洗浄した。然る後、抗ヒトIgGヤギ抗
体(CAPPEL社製)のPBS溶液(濃度5.0 μg/
ml)を2ml添加して、37℃で1時間インキュベートし
た。さらに、0.1 % BSAを含む0.01M PBS(pH
7.43)で3回洗浄した後、同PBSで0.4 % (W/V) の粒
子濃度で粒子を浮遊させた。 <分布パターンの形成>
【0033】上記調製したIgGコーティング赤血球固
相化マイクロプレートの各ウェルに、上記材質の異なる
2種類の抗ヒトIgG感作磁性粒子を25μlずつ分注し
て振盪した。振盪直後のマイクロプレートを、各ウエル
の間隔と一致するようにマトリックス状に配置された複
数個の円柱状フェライト磁石(直径6mm、2800ガウス)
の一方の面に近かづけて静置した。担体粒子の分布パタ
ーンについて、静置後2分経過した時点でまず1回目の
判定を行い、次いで磁石を遠ざけて24時間静置したとき
に2回目の判定を行った。この結果を表1に示す。
【0034】
【表1】 +(陽性パターン):担体粒子がウエル底面に一様に広
がったもの。 ±(偽陽性パターン):担体粒子の分布がウエル中心で
薄く、その周りが少し濃く分布して陰性、陽性パターン
のどちらかとも区別できないもの。 −(陰性パターン):ウエル底面の中心に担体粒子がボ
タン状に集まったもの。 表1の示す通り、固相免疫測定における陽性パターンの
陰性パターン化は、異なる材質からなる担体粒子間で同
様に起こることが確認された。 実施例1
【0035】比重及び材質は等しいが、粒度分布の異な
る4種類の担体粒子からなる固相免疫測定用試薬での分
布パターンを以下のように観察・比較した。この実施例
で使用するIgG固相化マイクロプレート及び抗ヒトI
gG感作磁性粒子を次のようにして調製した。 <IgG固相化マイクロプレートの調製>
【0036】NUNC社のU字底マイクロプレート(Mi
cro well Module 2×8well roundbolloom High bindi
ng Capacity NO. 469264 )の各ウエルに、ヒトIgG
(生化学工業、ICN、製品番号64−145 )を0.01M
PBS(pH7.43)で希釈して、15.6μg/ml、 7.8μ
g/ml、 3.9μg/ml、1.95μg/ml、0.98μg/ml、
0.49μg/ml、0.24μg/ml、 0.0μg/mlに調製した
ものを、1ウエルあたり50μlずつ分注し、室温で30
分間インキュベートした。0.05% tween 20を含む0.01M
PBS(pH7.43)でウエルを3回洗浄した。水切り
して自然乾燥させた後、冷蔵保存した。 <抗ヒトIgG感作磁性粒子の調製>
【0037】表2に示すような粒度分布を有し、かつ磁
性体封入量は等しいが、平均粒径の異なる4種類の磁性
ゼラチン性粒子を特開昭64−25060号に記載され
た製造方法を参考にして調製した。調製に当たっては、
まず、平均粒径が約3〜4μmのゼラチン粒子をコアセ
ルベーション法で得た後、純水(またはPBS)を分散
媒として浮遊させた状態で遠心分離機にセットして、遠
心速度を適宜調節しながら種々の粒径からなる粒子群を
分取した。これら磁性ゼラチン性粒子の体積平均による
粒度分布は、測定回数3回の平均値を存在比として示し
た。また、粒度分布の測定には、自動粒度測定装置CAPA
-700(堀場製作所)を用いた。測定に用いた粒子サンプ
ルの濃度は、0.33% (W/V)である。これらの粒子の比重
はいずれも1.17であり、体積平均による平均粒子径は、
1.8μm (粒子A)、3.2 μm(粒子B)、4.0 μm
(粒子C)、4.4 μm(粒子D)である。
【0038】かかる粒子A,B,C及びDの感作処理は
次のようにして行った。粒子濃度 5% (W/W) で懸濁した
粒子溶液 200μlを、0.01M PBS(pH7.43)で3
回洗浄した。タンニン酸のPBS溶液(濃度10μg/m
l)を1ml添加して37℃で30分間インキュベートした。
0.01M PBS(pH7.43)で2回洗浄した後、抗ヒト
IgGヤギ抗体(CAPPEL社製)のPBS溶液(濃
度25μg/ml)を1ml添加して37℃で1時間インキュベ
ートした。この後、0.01M PBS(pH7.43)で2回
洗浄した後、 0.1% ウシ血清アルブミン (BSA)、0.05%
NaN3 を含む0.01M PBS(pH7.43)で0.25% (W/
W) の粒子濃度で粒子を浮遊させた。 <分布パターンの形成>
【0039】上記調製したIgG固相化マイクロプレー
トの各ウエルに、上記調製した各種抗ヒトIgG感作磁
性粒子A〜Dを、1ウエルあたり25μlずつ分注し、振
盪させた後、自然放置させた。自然放置後 120分経過し
た時点及び24時間経過した時点で、沈降した抗ヒトIg
G感作磁性粒子の分布パターンを観察し、判定を行っ
た。
【0040】また、同様に各種抗ヒトIgG感作磁性粒
子A〜Dを分注及び振盪した直後のIgG固相化マイク
ロプレートを、各ウエルの間隔になるよう個々に配置さ
れた円柱状フェライト磁石(直径6mm、2800ガウス)の
上方約5mmに静置させた。静置後3分経過した時点およ
び24時間経過した時点で、沈降した抗ヒトIgG感作
磁性粒子の分布パターンを観察し、判定を行った。この
結果を、表2及び表3に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】表2及び表3が示すように、沈降した担体
粒子の分布パターンが陽性パターンから陰性パターンへ
と変化しやすい順序は、粒子A,B,C,Dの順であっ
た。即ち、粒径3.0 μm以下の粒子、とりわけ 2.0μm
以下の粒子の存在比が少ない程、分布パターンが安定で
あることが確認された。また、表2によると、粒径 4.1
μm〜8.0 μmの担体粒子の存在比が多くなる程、分布
パターンが安定になる傾向が見られた。さらに、興味深
いことに、磁性体封入粒子を磁石で急速に沈降させて
も、自然沈降させても同様の結果が得られた。このこと
から、沈降パターンの安定性は、担体粒子の沈降速度で
はなく、担体粒子の粒径または粒度分布によって重大な
影響を受けることが示唆された。 実施例2 実施例1で見出した粒径4.1 μm〜8.0 μmの担体粒子
の存在比と沈降パターンの安定性との関係をより詳細に
調べるために以下の試験を行った。 <IgG固相化マイクロプレートの調製>
【0044】ヒトIgGの稀釈濃度を、 500μg/ml、
250μg/ml、 125μg/ml、62.5μg/ml、31.3μg
/ml、15.6μg/ml、 7.8μg/ml、 0μg/mlとした
以外は、実施例1と同様にしてIgG固相化マイクロプ
レートを調製した。 <抗ヒトIgG感作磁性粒子の調製>
【0045】比重1.12で、かつ粒径 4.0〜 8.0μm
までの担体粒子の存在比が、表4に示す如く、異なる体
積平均による粒度分布を有する磁性体封入ゼラチン性粒
子E、F及びGを実施例1と同様に調製した。これらの
粒子の平均粒子径は、粒子Eが3.1 μm、粒子Fが 4.
1 μm、粒子Gが 6.1μmである。
【0046】かかる粒子E,FおよびGの感作処理は次
の通りである。5%(W/V) の粒子濃度を有する粒子浮遊液
500μlの上澄み液を除き、0.01M PBS(pH7.43)
で2回洗浄した。タンニン酸のPBS溶液(濃度10μg/
ml)を1ml添加して、37℃、30分間インキュベー
トした。0.01M PBS(pH7.43)で2回洗浄した後、
抗ヒトIgG ヤギ抗体(CAPPEL社製)のPBS溶液
(濃度10μg/ml)を1ml添加して、37℃で1時間イ
ンキュベートした。0.1%BSAを含む0.01M PBS(pH
7.43)で3回洗浄した同PBSに0.4% (W/V) の粒子
濃度になるように粒子を浮遊させた。 <分布パターンの形成>
【0047】上記調製したIgG固相化マイクロプレー
トの各ウエルに上記調製した抗ヒトIgG感作磁性粒子
E,F及びGを、1ウエルごとに25μl ずつ分注し、振
盪した後、シール用テープで各ウエルを密封した状態で
室温で自然放置した。自然放置後 120分、24時間及び 2
週間経過時に、沈降した抗ヒトIgG感作磁性粒子の分
布パターンを肉眼で観察し、判定した。この結果を表5
に示す。
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】表4及び表5からわかるように、全体の約
80容量%を占める粒子が粒径 1.0〜5.0 μmの範囲にあ
る粒子Eと、同じく粒径 2.0〜6.0 μmの範囲内にある
粒子Fとでは、粒子Fの方が明らかに安定性が良かっ
た。また、全体の約70容量%を占める粒子が粒径 2.0〜
7.0μmの範囲内にある粒子Fと、粒径 5.0〜6.0 μm
の範囲内にある粒子Gとでは、粒子Gの方が明らかに安
定性が良かった。特に、粒子Gの粒度分布では凝集した
粒子の分布パターンの長期安定性を満足する結果が得ら
れたことと、実施例1で安定だった粒子CおよびDの各
粒度分布を考慮すると、固相凝集法に適した担体粒子の
粒度分布は、粒径 5.0〜 6.0μmの粒子を15容量%以
上、好ましく20容量%以上含むものが良いことが解っ
た。また、粒子Fおよび粒子Gを比較すると、粒径 6.0
〜 8.0μmの粒子を、10容量%以上、好ましくは20容量
%以上含むものが好ましいことが解った。しかしなが
ら、本発明の固相免疫測定用試薬に使用される担体粒子
は、上述のような粒度分布を有するものに特に限定され
るものではない。 実施例3
【0051】上述の実施例1〜2では、粒径が 1.0〜1
0.0μmの範囲内である粒度分布を有する担体粒子にお
いて、平均粒径が大きいほど好ましい結果となる傾向が
見られた。そこで、次に、粒径が 1.0〜20.0μmの範囲
内である粒度分布を有する担体粒子において、実施例2
と同様にして、凝集した粒子の分布パターンの安定性に
ついて検討した。すなわち、以下の表6に示す4種類の
担体粒子H〜Kは、いずれも粒径10.0μm以上の粒子が
15.0重量%を越えている。しかしながら、ここでは、遠
心分離等による篩いまたは分級処理は行わなかった。
【0052】実施例2の抗ヒトIgG感作磁性粒子の調
製と同様の手順に従って、体積平均で粒径 6.0〜8.0 μ
mの範囲内にある粒子を44〜53容量%で含んでいる粒子
H(平均体積粒子径7.6 μm)、粒径 6.0〜10.0μmの
範囲内にある粒子を68〜74容量%で含み、このうち、粒
径 8.0〜10.0μmの範囲内にある粒子を33〜58容量%で
含んでいる粒子I(平均体積粒子径8.8μm)、粒径 8.
0〜14.0μmの範囲内にある粒子を60〜75容量%で含
み、このうち、粒径 8.0〜12.0μmの範囲内にある粒子
を35〜56容量%で含んでいる粒子J(平均体積粒子径1
0.2μm)、および、粒径10.0〜16.0μmの範囲内にあ
る粒子を64〜69容量%で含み、このうち、粒径10.0〜1
4.0μmの範囲内にある粒子を47〜53容量%で含んでい
る粒子K(平均体積粒子径11.7μm)を得た。得られた
粒子H〜Kの粒度分布を表6に示す。また、粒子H〜K
の粒度分布の特徴を、体積平均の占める割合が多い領域
でかつ全体の50容量%に達するような粒径範囲として、
各粒子の50容量%占有域および体積平均粒子径を表7に
示す。後述の粒子A,C,Gについても併記した。
【0053】
【表6】
【0054】
【表7】
【0055】これらの4種類の粒子H〜Kと、実施例1
〜2で調製した粒子A,C,Gについて、実施例2と同
様の感作処理および分布パターンの形成を行った。ただ
し、タンニン酸の濃度は 2μg/ml、抗ヒトIgG抗体
の濃度は10μg/mlとして反応性を弱く設定した。この
結果を表8に示す。
【0056】
【表8】
【0057】表8によれば、固相凝集法において、平均
粒子径6μm以上である粒子、または、粒径5μmの粒
子が全体の半分以上を占めるような粒度分布を有する粒
子(粒子G,H,I,J,K)は、長期間にわたって安
定な分布パターンを形成できることが示されている。こ
れに対して、従来の間接凝集に使用されているような、
平均粒子径5μm未満、特に3μm以下の粒子(粒子
A,C)では、安定した分布パターンを形成することは
困難であった。以上の結果から、固相凝集法において、
好ましい担体粒子は、平均粒子径が6μm以上である
か、粒径が5μm以上の粒子が全体の半分以上を占める
粒度分布を有する粒子であることが解った。ただし、コ
アセルベーション法により製造される粒子の粒度分布は
比較的広範囲であり、平均粒径が5μmに近い程、5μ
m未満、特に3μm以下の粒子が多く含有されている可
能性が高いので、表7に示すように、平均粒子径が7.5
〜8.5μm以上、好ましくは8.5 〜9.0 μm以上
であるように調製された粒子を用いることにより、さら
に合成時の回収効率や分布パターンの明瞭度を考慮に入
れると、最適な平均粒径は 8.5〜15μmである。これに
より、篩い等による除去作業をすることなく、より安定
な分布パターンを形成することができる固相免疫反応用
試薬を提供することができる。 実施例4 粒子IおよびKを用いた抗IgM抗体の検出
【0058】実施例3で作製した粒子I,Kを用いて、
固相用抗原としてIgM(コスモバイオ社製)と、粒子
感作用抗体として抗ヒトIgM抗体(CAPPEL社製)を用
いた以外は、実施例3と同様に感作処理および分布パタ
ーンの形成を行った。この結果を表9に示す。
【0059】
【表9】
【0060】表8および表9によれば、粒径7.5 μm以
上である粒子が全体の半分以上を占めるような粒度分布
を有する粒子I,Kは、異なる検体(IgG,IgM)
に対する固相凝集法において長期間安定な分布パターン
を形成できることが解った。 実施例5 粒子IおよびKを用いた不規則抗体の検出 実施例3で作製した粒子IおよびKを用いて、次のよう
に不規則抗体の検出を行った。 <抗原既知赤血球固相化マイクロプレートの作成>
【0061】まず、参考例1と同様にしてWGAをマイ
クロプレートのウエルにコーティングした。次に、抗原
性が既知である市販のスクリーニング用赤血球(商品名
サージスクリーン、オルソ社製)をPBSで1容量%に
希釈した懸濁液を、1ウエルあたり25μlづつ分注し、
室温で10分間静置した。さらに、生理食塩水で未結合
の赤血球を洗浄除去して、抗原既知赤血球固相化マイク
ロプレートを得た。 <抗ヒトIgG感作磁性担体粒子の調製>参考例1と同
様にして、粒子I,Kに抗ヒトIgG抗体を感作させ
た。 <抗D抗体の検出>
【0062】抗原既知赤血球固相化マイクロプレート
に、LISS溶液を1ウエル当り25μlづつ分注した。次
に、抗D血清および抗D抗体を含有しない健常人血清
(陰性血清)の2種類を別個のウエルに分注した。一
方、抗D血清については、表10に示すように段階的希
釈を行い、各種濃度の試料溶液を別個のウエルに分注し
た。
【0063】この後、37℃で10分間インキュベートした
後に、ウエルを生理食塩水で洗浄した。抗ヒトIgG抗
体を感作した後の粒子I,Kを1ウエルあたり25μlづ
つ分注して、磁石をマイクロプレートの下に載置するこ
とにより、3分間で分布パターンを形成すると共に24
時間放置して、分布パターンの安定性を評価した。この
結果を表10に示す。
【0064】
【表10】 表10から明らかなように、現実の血液検体に対しても
同様の安定性を有する分布パターンを形成できることが
確認された。
【0065】
【発明の効果】本発明の固相免疫測定用試薬は、固相凝
集法において陽性パターンが陰性パターンへ変化する原
因となる粒径の粒子の存在比を所定の存在比よりも低く
することにより、長期間安定に陽性を示す粒子の分布形
態を保つことができる。この結果、固相化免疫測定にお
いて検査者が陽性パターンを見逃すのを防ぐことができ
るので、測定精度が改善される等の効果を奏する。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年8月24日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】これに対して、人工合成粒子を担体粒子と
して用いた固相凝集法が提案されている。例えば、特開
平2−122266号公報には、人工合成粒子として磁
性体を封入した粒径1.7μmのラテックス粒子(RH
ONE−POULENC社製)及び粒径4.5μmのラ
テックス粒子(DYNAL社製)を用い、固相化したU
字底マイクロプレートのウエルに固相化したヒトO型赤
血球に検体血液サンプルを反応させ(第一反応)、次い
で抗ヒトIgGをコーティングした前記磁性体を封入し
たラテックス粒子を添加して磁石で沈降反応させた(第
二反応)後に、形成された該ラテックス粒子の分布パタ
ーンを肉眼で判定する自己抗体の測定方法が記載されて
いる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正内容】
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
人工合成粒子を担体粒子として用いた固相凝集法では、
所定の反応時間、例えば、2〜60分後に形成された、
担体粒子がウエル底壁面に一様に広がった陽性の分布パ
ターンが、経時的かつ漸進的にウエル底壁面の中心に担
体粒子がボタン状に集まった陰性の分布パターンへと変
化する。このために、検査者が所定の反応時間より長時
、例えば、90分〜数時間経過してから判定を行う場
合には、陽性検体を見逃してしまう問題がある。一方、
上述のマイクロタイター法とは異なり、反応容器の表面
が抗原等の親水性タンパク質で覆われている固相凝集法
では、沈降以降の容器表面における担体粒子の挙動が明
らかにされておらず、好ましい粒子条件は不明である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】固相化する抗原または抗体の濃度は、反応
感度に関係するので非常に重要である。例えば、抗原ま
たは抗体として細胞を用いた場合、その細胞濃度は、好
ましくは0.2×10 セル/cm〜1.2×10
セル/cmである。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】
【表1】 表1の示す通り、固相免疫測定における陽性パターンの
陰性パターン化は、異なる材質からなる担体粒子間で同
様に起こることが確認された。なお、上記粒子における
陽性パターンは、30〜60分後までは判定可能である
が、90分を過ぎた頃には、偽陽性パターンへ移行する
傾向を示す。 実施例1
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正内容】
【0040】また、同様に各種抗ヒトIgG感作磁性粒
子A〜Dを分注及び振盪した直後のIgG固相化マイク
ロプレートを、各ウエルの間隔になるよう個々に配置さ
れた円柱状フェライト磁石(直径6mm、2800ガウ
ス)の上方約5mmに静置させた。静置後3分経過した
時点および磁石を遠ざけてから24時間経過した時点
で、沈降した抗ヒトIgG感作磁性粒子の分布パターン
を観察し、判定を行った。この結果を、表2及び表3に
示す。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正内容】
【0042】
【表3】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正内容】
【0043】表2及び表3が示すように、沈降した担体
粒子の分布パターンが陽性パターンから陰性パターンへ
と変化しやすい順序は、粒子A,B,C,Dの順であっ
た。粒子Cは120分後までは判定可能であったが、数
時間後には陰性化傾向を示した。即ち、粒径3.0μm
以下の粒子、とりわけ2.0μm以下の粒子の存在比が
少ない程、分布パターンが安定であることが確認され
た。また、表2によると、粒径34.1μm〜8.0μ
mの担体粒子の存在比が多くなる程、分布パターンが安
定になる傾向が見られた。さらに、興味深いことに、磁
性体封入粒子を磁石で急速に沈降させても、自然沈降さ
せても同様の結果が得られた。このことから、沈降パタ
ーンの安定性は、担体粒子の沈降速度ではなく、担体粒
子の粒径または粒度分布によって重大な影響を受けるこ
とが示唆された。 実施例2 実施例1で見出した粒径4.1μm〜8.0μmの担体
粒子の存在比と沈降パターンの安定性との関係をより詳
細に調べるために以下の試験を行った。 <IgG固相化マイクロプレートの調製>
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】表4及び表5からわかるように、全体の約
80容量%を占める粒子が粒径1.0〜5.0μmの範
囲にある粒子Eと、同じく粒径2.0〜6.0μmの範
囲内にある粒子Fとでは、粒子Fの方が明らかに安定性
が良かった。また、全体の約70容量%を占める粒子が
粒径2.0〜7.0μmの範囲内にある粒子Fと、粒径
5.0〜6.0μmの範囲内にある粒子Gとでは、粒子
Gの方が明らかに安定性が良かった。即ち、粒子Fは、
数時間後に偽陽性パターンへと移行した。特に、粒子G
の粒度分布では凝集した粒子の分布パターンの長期安定
性を満足する結果が得られたことと、実施例1で安定だ
った粒子CおよびDの各粒度分布を考慮すると、固相凝
集法に適した担体粒子の粒度分布は、粒径5.0〜6.
0μmの粒子を15容量%以上、好ましく20容量%以
上含むものが良いことが解った。また、粒子Fおよび粒
子Gを比較すると、粒径6.0〜8.0μmの粒子を、
10容量%以上、好ましくは20容量%以上含むものが
好ましいことが解った。しかしながら、本発明の固相免
疫測定用試薬に使用される担体粒子は、上述のような粒
度分布を有するものに特に限定されるものではない。 実施例3

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 反応容器の内壁面に固相化した抗原また
    は抗体に特異的に結合した検体試料中の被測定物質に、
    該被測定物質に特異的に結合する抗原または抗体がコー
    ティングされた担体粒子を結合させて、前記抗原または
    前記抗体が固相化された前記内壁面の表面領域に占める
    該担体粒子の分布量から該被測定物質の有無を検出する
    固相免疫測定方法に用いられる固相免疫測定用試薬であ
    って、人工合成された担体粒子の粒度分布において、粒
    径 3.0μm以下の粒子の存在比が10.0容量%以下である
    ことを特徴とする固相免疫測定用試薬。
  2. 【請求項2】 担体粒子の粒度分布が、粒径2.0 μm以
    下の粒子の存在比が3.0容量%以下であることを特徴と
    する請求項1記載の固相免疫測定用試薬。
  3. 【請求項3】 担体粒子の粒度分布が、平均粒径 6μm
    以上であることを特徴とする請求項1または請求項2記
    載の固相免疫測定用試薬。
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