JPH08201391A - マ−カ−粒子を用いた免疫学的測定方法 - Google Patents

マ−カ−粒子を用いた免疫学的測定方法

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JPH08201391A
JPH08201391A JP738195A JP738195A JPH08201391A JP H08201391 A JPH08201391 A JP H08201391A JP 738195 A JP738195 A JP 738195A JP 738195 A JP738195 A JP 738195A JP H08201391 A JPH08201391 A JP H08201391A
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JP738195A
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Sachiko Karaki
幸子 唐木
Tokio Kano
時男 嘉納
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 試料液中の不溶性蛋白の付着特性を利用し
て、アナライトによる免疫学的反応を安定かつ正確に測
定する。 【構成】 血球等の不溶性蛋白と、この不溶性蛋白上の
抗原(アナライト)に対する抗体を固定した磁性粒子等
のマ−カ−粒子とを、不溶性蛋白に対する吸着性を有す
る反応容器の底面に沈降させ、次いで反応性微粒子を磁
気的引力または遠心力等の外力によって移動させること
により、アナライトの有無に応じて、アナライトと結合
反応を生じた反応性微粒子による底面上の分布パタ−ン
と未反応の反応性微粒子による分布パタ−ンとをそれぞ
れ形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定の測定対象である
アナライトの存在を、反応性の粒子の分散性に基づいて
測定するための方法および試薬に関し、詳しくは、臨床
的検査や研究等において、検体中の特定物質の存在下で
抗原抗体結合を生じるような反応を利用して、抗原抗体
結合の有無を反応容器中での分布形態の差異に反映させ
ることにより、アナライトの存在を判定するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】輸血、移植等に先立つ適合検査、各種免
疫学的疾患の診断においては、体細胞表面上の抗原物質
または同細胞上に結合した抗体もしくは外来抗原を検出
・判定する方法が採られている。現在、体細胞表面上の
抗原物質を検出・判定する方法として、例えば、特異抗
体を用いて間接蛍光抗体法を行うフロ−サイトメトリ−
法(FCM)、体細胞を固相化して抗原抗体反応と発色
反応とを行う酵素免疫抗体法(EIA)、HLA抗原の
ようなアロ多型性の高い抗原系のための補体依存性細胞
障害試験(LCT法)等が挙げられるが、いずれも二次
試験や充分な反応時間、洗浄工程等を要し、決して容易
な手法とは言えない。
【0003】一方、所定の被検物質の存在を、凝集反応
に基く凝集の有無でもって判定する技術は古くから知ら
れているが、そのうち最も一般的で且つ簡易な手法とし
て、同心円状の傾斜底面上に沈積したマ−カ−粒子群の
沈殿分布パタ−ンを光学的に判定するマイクロタイタ−
法が挙げられる。マイクロタイタ−法では、通常、半球
状または円錐状底面からなる凹状ウエルに、粒径1〜2
0μmの微粒子を所定量含有する試薬溶液と検査試料と
を分注して、該微粒子が自然沈降して底面上に沈積した
際の分布パタ−ンを形態的に識別することによって、検
査試料中の特定の抗原または抗体の存在を検出するもの
である。凹状ウエルの底面上で展開される分布パタ−ン
は、同心円状の広がりを見せるので、径方向の広がりの
有無、大きさ、明瞭度、明度等の形態的特徴に基づいて
反応結果を簡易に判定することができる。
【0004】マイクロタイタ−法の応用技術として、特
開昭54−126596号には、縦断面がV字形状であ
るような反応容器に予め免疫グロブリンを化学的処理に
より結合させた後、検体試料を供給して検体中の赤血球
をアナライトを介して結合させることにより、抗原抗体
反応を生じた赤血球のみが反応容器の底面に一面に保持
されるが、未結合の赤血球は結合せずに反応容器の収束
点に沈降するように多段階の遠心処理を施した方法が開
示されている。
【0005】また、マイクロタイタ−法の改良として、
特開平2−124464号では、マ−カ−粒子として磁
気応答性の磁性粒子を使用して凝集反応の段階で磁石に
よる沈降促進を行うことで、短時間に凝集法を実施する
技術を提案している。特開平2−124464号によれ
ば、赤血球のようなマ−カ−粒子以外の沈降性粒子が検
体試料中に混在していても、マ−カ−粒子のみを磁気的
に沈降させることで赤血球等が沈降する前に目的の分布
パタ−ンが得られる。ここで、特開平2−124464
号の好ましい態様では、その実施例に開示されるよう
に、予め反応容器の内面に抗原または抗体を固定処理す
ることによって、分布パタ−ンを反応容器上に安定に維
持する工夫がなされている。
【0006】さらに、特開平2−124464号の変法
として、欧州特許公開0522322号には、反応容器
の底面が水平である平底のマイクロプレ−トに対して磁
気的に勾配をもたらすことにより、水平面上に分布パタ
−ンを形成し、これにより、分布パタ−ンを崩れ難くす
る技術が開示されている。
【0007】一方、抗原抗体反応による結合力(力価)
が弱い凝集反応が起こると、傾斜底面上で分布パタ−ン
が崩れ易く、このような崩れを生じた分布パタ−ンで
も、正確な判定を可能にする技術として、分布パタ−ン
の鮮明度を画像解析する方法が提案されている(特開平
3−56843号参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来のマイクロタイタ
−法では、被測定物質が細胞のような大きなものの場合
に、マ−カ−粒子との間に、短時間の間にパタ−ン形成
に必要な充分な凝集塊が得られないため、分布パタ−ン
が振動または長期保存に対して安定性および明瞭度が低
い。また、被測定物質と結合する物質を予め固定化する
ことにより、分布パタ−ンの安定化を試みているが、こ
の方法は測定容器を予め準備するための種々の前処理工
程(インキュベ−シュン、洗浄、冷所保存等)を要す
る。かかる前処理を行った場合にも、被測定物質が細胞
のように大きなものの場合、担体粒子の反応による物理
的な剥がれの力の方が、抗原抗体反応による結合力より
も大きいために、欧州特許公開0522322号のよう
に水平面上で分布パタ−ンを形成した上で振動の少ない
環境に置かない限り分布パタ−ンを安定に保持するのは
困難である。
【0009】分布パタ−ンの安定化技術として反応容器
に予め抗原または抗体を固定する方法では、1種類の測
定対象物の測定に関して、固定された抗原または抗体と
測定対象物による抗原抗体反応と、測定対象物とマ−カ
−粒子による抗原抗体反応といった複数種類の反応段階
を含むので、反応温度、反応時間、反応溶液の組成、p
H等の諸反応条件の設定が複雑になり易い傾向がある上
に、非特異反応が発生する余地も多くなる。しかも、反
応容器に予め固定した抗原または抗体の抗原抗体反応の
力価は、被検試料の個体差や、測定対象物である抗体ま
たは抗原の種類等により異なるので、分布パタ−ンの安
定性がばらつき易い。特に、測定対象物以外の多くの被
検試料中の物質は、赤血球、リンパ球、血小板のような
細胞表面上に種々発現している抗原(特にアロ抗原)等
が対象となる場合に、非特異反応の程度が強まる傾向が
ある。
【0010】従って、本発明の目的は、これらの現状を
鑑み、簡便かつ安定した分布パタ−ンが得られるマ−カ
−粒子を用いた免疫学的測定方法を提供することにあ
る。
【0011】また、本発明の目的は、細胞等の大きな粒
子表面に発現された測定対象物を、磁性粒子等のマ−カ
−粒子を用いて簡便かつ短時間に確実な検出・判定を行
う免疫学的測定方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段および作用】本発明の免疫
学的測定方法は、不溶性蛋白に対し測定すべき抗原また
は抗体の存在下に直接的または間接的に結合し得る反応
性蛋白が固定されたマ−カ−粒子を用いて免疫学的な測
定を行うに当たり、蛋白を吸着し得る壁面を有する反応
容器に検体由来の不溶性蛋白を液中に懸濁状態で供給す
ることにより不溶性蛋白を壁面に付着させる工程と、マ
−カ−粒子を前記壁面に一様に接触させることによりマ
−カ−粒子を壁面に分布せしめる工程と、不溶性蛋白お
よびマ−カ−粒子がそれぞれ一様に反応容器の壁面上に
分布したときにマ−カ−粒子が選択的に移動するような
外力を付加する工程と、外力付加後のマ−カ−粒子の分
布に基づいて測定すべき抗原または抗体の存在を確認す
る工程とを備え、前記外力を不溶性蛋白とマ−カ−粒子
の間の抗原抗体結合を解除しないが未結合のマ−カ−粒
子が壁面上を移動するように構成されてなることを特徴
とするものである。
【0013】ここにおいて、マ−カ−粒子が磁気応答性
であり、外力が磁界からなることが好ましい。
【0014】また、マ−カ−粒子が反応性蛋白による抗
原抗体反応の結合力よりも小さな付着性を有するもので
あり、外力として遠心力を用いてもよい。
【0015】さらに、不溶性蛋白が、マ−カ−粒子より
も付着性の大きな非マ−カ−粒子に固定処理されたもの
であることが好ましい。
【0016】本発明で扱う検査試料には、主に血液、
尿、組織片等のように、動物(特にヒトを代表として含
む哺乳類)体内の医学情報を得るに相応しい生物学的材
料が挙げられる。検体は、必要に応じて、適宜の遠心処
理または分離剤等により分離された成分(例えば、血
清、血漿等)や適宜の希釈液(例えば、PBS、LIS
S、生理食塩水等)により希釈された希釈サンプルとし
て使用される。
【0017】本発明における「不溶性蛋白」とは、検査
すべき検査試料に含まれている蛋白成分であって、測定
対象物(アナライト)としての抗原が発現しているか或
いは該抗原に対する抗体が結合しているものをいう。不
溶性蛋白としては、例えば、赤血球、リンパ球(白血
球、血小板等)といった血液細胞や各種腫瘍性蛋白等の
ように少なくとも体液中で不溶性のものや、ウイルス、
細菌、ハウスダスト、酵素、ホルモン、アレルギ−誘発
性蛋白等の抗原およびそれらの各抗体のように適宜の粒
子状担体に固定すれば不溶性となり得る可溶性のものを
いい、免疫学的な抗原抗体反応を生じ得るものであれば
特に限定されない。不溶性蛋白は、場合によっては酵素
反応のような生化学的活性を有していても構わない。
【0018】また、本発明の方法により測定し得るアナ
ライトは任意であり、例えば各種血液型(赤血球、白血
球、血小板)抗原、アレルゲン、腫瘍性蛋白(CA12
5,α−フェトプロティン等)、ホルモン、酵素等の抗
原やそれらの各抗体が挙げられる。ここで、の種類は、
アナライトの種類に対応して抗原抗体反応を生じる反応
相手となるように選択される。場合によっては、アナラ
イトと共通の反応相手に対して競合的に反応する競合相
手となるように不溶性蛋白を選択してもよい。
【0019】本発明における「マ−カ−粒子」とは、ア
ナライトに対して抗原抗体反応により特異的に結合し得
る反応性蛋白が結合ないし固定状態にあると共に、肉眼
または光学的検出手段により認識可能な適宜のマ−カ−
物質を含んでいる微粒子であって、反応容器上の存在が
容易な個数ないし粒子濃度から成るものをいう。ここ
で、反応性蛋白とは、分析対象である抗原または抗体に
対して抗原抗体反応を示す結合相手となり得る各種抗体
または抗原をいう。反応性蛋白としては、例えば、抗原
としてのアナライトに対する特異抗体、抗体としてのア
ナライトに対する特異抗原、抗体としてのアナライトに
対する抗−抗体−特異抗体が挙げられる。ここで、特異
抗体および特異抗原とは、抗原抗体反応によって分析す
べきアナライトに対して特異的に結合するがアナライト
以外の抗原または抗体とは実質的に何ら結合を示さない
ものを指す。かかる特異抗体および特異抗原は、公知の
免疫学的手法にて獲得するか市販のものを使用すればよ
い。また、抗−抗体−特異抗体とは、例えば抗イムノグ
ロブリン抗体の如きものを指す。抗体のイムノグロブリ
ンクラスは、アナライトに応じて決定すればよい。
【0020】本発明の方法におけるマ−カ−粒子の構成
は、平均粒径が0.1〜50μmの球状または多角体状
の微粒子であり、材質は公知のマイクロタイタ−法に適
用し得る任意の微粒子を適宜選択して使用できる。マ−
カ−粒子としてどのような構成を選択するかは、不溶性
蛋白またはアナライトの種類、反応原理、反応容器の種
類等に応じて適宜選択するのが好ましい。但し、凝集・
非凝集による分布パタ−ンのコントラストを考慮する
と、粒子の平均粒径は1〜15μm、特に3〜12μm
の範囲から選択するのが好ましい。また、自然沈降速度
と凝集反応との兼ね合いを考慮すると、粒子の比重は
1.1〜3.0、特に1.1〜1.5の範囲にあるのが
好ましい。
【0021】マ−カ−粒子を構成する材質としては、例
えば、ポリスチレン、ガラス、ポリアクリルアミド、デ
キストラン、ゼラチン、ゴム、炭素、鉄、金、セルロ−
ス、赤血球等が挙げられる。このうちマ−カ−粒子が、
例えばフェライト系磁性体、炭素、赤血球色素のように
材質に固有のマ−カ−物質を既に有しているものでは、
マ−カ−粒子の製造コストを節約する上で有利である。
【0022】本発明の一態様では、マ−カ−粒子の少な
くとも一部を、残留磁気が殆ど無い適宜の磁性材料で構
成して磁気応答性とした磁性粒子を使用するのが好まし
い。磁性粒子を用いると、磁界による磁力を外力として
付加することにより、反応容器の外から微粒子の移動を
制御することができる上に、自然沈降よりも速い移動が
容易に達成されるという利点を享受できる。ここで、磁
性粒子が粒径が1μm以下の超微粒子や中空粒子のよう
な低比重ないし浮遊性の粒子を用いる場合であっても、
比較的強い磁力により反応容器底面に向けて強制的に沈
降させることができる。
【0023】マ−カ−粒子の粒子濃度は、反応容器の壁
面に一様に分布し得る程度の数量を少なくとも含有する
濃度が好ましく、具体的には、検査試料と混合する前の
液状試薬中に0.01〜5(w/v)%の範囲、好まし
くは0.3〜2(w/v)%の範囲から適宜選択するこ
とができる。マ−カ−粒子の粒子濃度を選択する基準と
しては、マ−カ−粒子の粒径、測定原理、反応容器の種
類等が挙げられる。磁性粒子を使用する場合、反応容器
に適用させる磁力源はフェライト、希土類等の種々公知
の材質からなる永久磁石または電磁石のいずれも使用で
きる。反応容器に適用させる磁力は、磁性粒子の移動速
度に応じて適宜選択すればよいが、磁性粒子が液中で自
然沈降する速度よりも早くなるように設定するのが好ま
しい。
【0024】マ−カ−粒子において利用可能なマ−カ−
物質としては、蛍光物質、発光物質、発色性物質、有色
物質(色素、顔料等)、放射性同位元素等が挙げられ
る。マ−カ−物質は、公知のマ−キング技術のうち任意
の方法でマ−キングされていればよい。マ−カ−粒子と
して、赤血球、磁性粒子、炭素微粒子のような有色のも
のを使用するのが好ましい。蛍光物質、発光物質、発色
性物質のようなマ−カ−物質は種々公知であり、場合に
よってはアナライトに関する抗原抗体反応が起こった
後、好ましくは反応終了後に適宜の化学反応(例えば、
酵素反応)や励起光照射によって初めてマ−カ−として
の作用を生じるものでもよい。
【0025】本発明で使用される反応容器は、肉眼ない
し各種光学的検出手段(顕微鏡、CCD、吸光度計、発
光光度計等)によって確認できる適度の拡がりを有する
任意のものである。ここで、「適度の拡がり」とは、抗
原抗体反応による凝集結合が生じたときの凝集した粒子
の拡がりと、非凝集粒子を反応容器の一部の領域に集め
たときの集塊とが再現良く区別し得る程度の表面積を少
なくとも有するものである。かかる「適度の拡がり」を
有する反応容器であれば、任意の形状および寸法を有し
ていても良い。具体的には、通常の凝集法に使用し得る
反応容器を使用でき、この場合、適宜の傾斜角度(例え
ば、4〜60度、好ましくは10〜30度)の傾斜面が
一定または不連続な角度で構成される底面や、半球状ま
たは部分的に球状の曲率を有する底面を利用することで
従来の凝集法と同様の凝集像および非凝集像が得られ
る。光学的検出を容易にするために、反応容器の少なく
とも一部が光透過性または遮光性もしくは光反射性の部
材で適宜設計されたものでもよい。
【0026】反応容器の他の形状としては、試験管、キ
ュベット等のように一定体積の液溜めが可能な凹状空間
(ウエル)を有するもの、適宜の毛管力により測定に充
分な量のマ−カ−粒子および検体を保持できる中空構造
その他の形状を有するもの(例えば、特開平4−145
947号、特開昭58−21141号参照)でもよい。
必要ならば、反応容器の壁面上に、粒子の転がりを規制
するための起伏構造を形成して、凝集反応した粒子を壁
面上に安定に維持させてもよい。
【0027】本発明では不溶性蛋白を所定の反応容器の
壁面に付着させる工程を利用する。従って、反応容器と
しては、検査試料と接する範囲の少なくとも一部分は
「蛋白を吸着し得る壁面」を有していることが要求され
る。ここで、「吸着し得る」という語は、任意のタンパ
ク質に対して、抗原抗体反応による結合より強く且つ非
特異な物理的吸着および/または化学的吸着を示す表面
を有していることを意味する。このような吸着性は、例
えばポリスチレン、ポリ塩化ビニルのように、反応容器
の壁面として使用され得る材質固有の荷電を利用するこ
とで獲得することができる。また、反応容器の壁面が、
タンパク質を実質的に吸着しないか或いは吸着性が不足
するような表面を有している場合には、ポリエチレング
リコ−ル、ポリ−L−リジン、ポリエチレンイミン、ポ
リビニルピロリドン、カチオン染料のような荷電性添加
物質、ホルムアルデヒド、グルタ−ルアルデヒド、タン
ニン酸、デキストランのような反応性官能基の付加用処
理剤、レクチンのような凝集素を単独または協同で表面
処理すれば上述のような適宜の吸着性を得ることができ
る。反応容器の壁面が適宜の吸着性を示すか否かを実験
的に確認すれば、反応容器の材質や形状、不溶性蛋白の
組成等に応じた適宜の吸着性を調節することも容易であ
る。「蛋白を吸着し得る壁面」を有する反応容器は、市
販のものから適宜選択することもでき、例えば、ヌンク
社、グライナ−社、住友ベ−クライト社等が供給するも
のを使用できる。
【0028】不溶性蛋白が反応容器の壁面に付着させる
ために不溶性蛋白を反応容器の壁面に接触させる方法と
しては、不溶性蛋白が液中に懸濁状態であるような検体
試料を反応容器に供給して自然重力下に充分な時間だけ
放置したり、適宜の遠心処理を施すことが考えられる。
不溶性蛋白を液中で懸濁状態とするには、反応容器に供
給する前後いずれでもよい。不溶性蛋白が検査試料の液
中で沈降するような適宜の比重を有していれば、任意の
反応容器の底面上の測定を行える点で好ましい。このと
き、不溶性蛋白の比重が検査試料および/またはマ−カ
−粒子を含む液体に対して僅かに高いか僅かに低い場合
には、不溶性蛋白が液中で必ず沈降するように、検査試
料および/またはマ−カ−粒子を含む液体を比重の低い
適宜の希釈液で希釈処理等することで液の比重を下げる
処理を行ってもよい。しかし、中空状の反応容器を使用
する場合には、容器の上側壁面上で不溶性蛋白を付着さ
せたりマ−カ−粒子を反応させたりしても同様に測定を
実施できるので、検査試料に適宜の比重増加用の添加剤
(例えば、ショ糖)を含有させて上述とは逆に液の比重
を高めることにより、不溶性蛋白を浮上させるようにし
てもよい。この場合、マ−カ−粒子として比重の低い材
質、粒径、形状のものを用いて放置または遠心処理する
か、任意の磁性粒子を用いて反応容器の上方から磁石に
よって磁気的に上方に移動させれば、反応容器の上側壁
面においても本発明の方法を容易に実施できる。このよ
うに本発明は任意の比重の不溶性蛋白を使用できる。
【0029】また、不溶性蛋白の液中での沈降または浮
上が許容し得る限り促進されるように、希釈処理等によ
り液体の比重を下げるような前処理を行えば、短時間、
例えば10分以内、好ましくは5分以内で不溶性蛋白の
付着工程を終了できる点で好ましい。このような付着工
程によれば、予め反応性蛋白を反応容器に固定する必要
が無いので、従来のような製品の保存管理が不要とな
る。
【0030】本発明では、反応容器の壁面におけるマ−
カ−粒子の分布パタ−ンに基づいて測定すべき抗原また
は抗体の存在を判定する工程によって、形態的な判定が
可能となるように構成される。従って、本発明における
不溶性蛋白とマ−カ−粒子の間の抗原抗体結合は、抗原
抗体反応の有無によって異なるマ−カ−粒子の分布パタ
−ンを形成し得る反応原理が利用され、特に凝集反応を
有効に利用することができる。
【0031】本発明で利用可能な凝集反応としては、直
接に凝集を生じるような反応性蛋白を表面に有する凝集
性のマ−カ−粒子(例えば赤血球)を検体試料中に含ん
でいる直接凝集法と、アナライトが間接的に結合を介在
して凝集塊を形成するように反応性蛋白を固定処理した
マ−カ−粒子を試薬中に含んでいる間接凝集法のいずれ
でもよい。このうち、間接凝集法は、検体試料が、各種
リンパ球、血小板、腫瘍性蛋白のように光学的検出が容
易な寸法は有していても粒子状の形態を持たないアナラ
イトを含む場合に適用される。反応系としては、試薬中
の粒子に対してアナライトと同等に凝集反応し得る競合
物質の既知量を、未知の検体とともに試薬と反応させる
競合系や、分析対象に対して特異反応性の抗原や抗体を
固定した反応容器を使用するサンドイッチ系が挙げられ
る。
【0032】次に、測定手順について述べると、上記吸
着性を有する反応容器には、検体とマ−カ−粒子を含む
液状試薬とを、実質的に同時添加または適宜の時間差を
設けて分注する。ここで、同時添加とは、検体と液状試
薬とが別々の分注用ノズルから実質的に同時添加される
場合と適宜の混合用容器または1本のノズル中で混合さ
れた後に該ノズルから添加される場合とが挙げられる。
分注に使用されるノズルが、検体間または試薬間での汚
染の可能性が有る場合には、複数本のノズルを使い分け
るか、共通のノズルに複数のディスポ−ザブルチップを
交換して分注操作するとよい。また、時間差を設けた分
注とは、反応容器の壁面に対して検体中のアナライトが
マ−カ−粒子に先行して沈降するように分注することで
ある。この場合、検体の添加と試薬の添加の間に、検査
試料中の不溶性蛋白の沈降を促進するための遠心処理を
介入させることにより、測定時間の短縮を図ってもよ
い。
【0033】検査試料およびマ−カ−粒子の接触条件
は、通常0〜40℃の反応温度にて10分以上であり、
好ましくは11〜40℃、特に25〜37℃の温暖条件
下にて適宜の反応時間(10分以上)インキュベ−ショ
ンする。
【0034】不溶性蛋白がマ−カ−粒子よりも先に反応
容器の壁面へ先に到達するように、マ−カ−粒子の比重
や粒径を選択して沈降または浮上特性を制御すれば、検
査試料とマ−カ−粒子との抗原抗体反応を反応容器の壁
面に到達する以前に液中で開始させるか既に反応終了さ
せた後でも本発明を実施できる。即ち、不溶性蛋白とマ
−カ−粒子に関する抗原抗体反応を液中で進行させる場
合、検査試料とマ−カ−粒子を同時に沈降または浮上さ
せても不溶性蛋白の付着が優先的に起こるので、検査試
料とマ−カ−粒子を添加した直後に反応容器を震盪した
り攪拌棒で掻き混ぜて抗原抗体反応を促進させることも
できる。また、事前に別の混合容器で検査試料およびマ
−カ−粒子を混合して攪拌等により反応を促進しながら
終了させた後に、その混合液を反応容器に添加しても同
様に処理能力を増加させることができる。
【0035】インキュベ−ション時間、攪拌有無等の反
応条件は、使用するマ−カ−粒子の液中での沈降特性に
応じて、反応容器の壁面に堆積し、凝集の有無を観察し
得るまでの間、放置してもよいし、必要ならば比較的弱
い遠心力にて遠心処理して沈降を早めてもよい。
【0036】このような抗原抗体反応を経た反応容器に
は、壁面に対して適宜の外力を供給することで、抗原抗
体反応による結合を生じなかったマ−カ−粒子のみを移
動して分布状態を変化せしめる。従って、抗原抗体反応
による結合を生じた場合には反応容器におけるマ−カ−
粒子の分布パタ−ンは実質的に変化しないが、抗原抗体
反応による結合を生じなかった場合には外力の働く方向
に変化した分布パタ−ンが形成される。ここで、実質的
に分布状態が変化しない場合として、アナライトと結合
し得る数量よりも多くのマ−カ−粒子が使用されたたた
めに余剰のマ−カ−粒子が未結合のまま移動してしまっ
た場合も含まれるが、かかる過剰なマ−カ−粒子による
分布パタ−ンの異常部分は、公知の判定手法(例えば、
特開昭59−98709号参照)によって確認できる。
【0037】不溶性蛋白、マ−カ−粒子および反応容器
の組み合わせによっては、不溶性蛋白が反応容器の壁面
に付着する力が、マ−カ−粒子が付着する力よりも大き
くなるように調節することは極めて容易である。この場
合、不溶性蛋白とマ−カ−粒子が一緒に反応容器の壁面
に達しても、外力によって未反応のマ−カ−粒子のみを
移動させることができる。このような強い付着力は、例
えば不溶性蛋白が赤血球または白血球のような粒子状蛋
白の場合に得られ、常に反応結果に忠実な凝集反応パタ
−ンを安定して得られるという好ましい性能を示す。
【0038】外力として適宜の磁界を供給する場合に
は、本発明の利点が顕著に反映される。適宜の磁界と
は、少なくとも該磁界が適用される間、検査試料中のア
ナライトと磁性粒子上の反応性蛋白とによる抗原抗体反
応による結合力、不溶性蛋白と反応容器の壁面との付着
力のいずれをも解除するに至らない程度の磁力であっ
て、不溶性蛋白に結合しなかった磁性粒子を移動させる
には充分であるような磁力を有するものとする。かかる
適宜の磁界は、例えば、アナライトと反応性蛋白の種
類、磁性粒子中の磁性体含有量、反応容器の付着性能に
応じて選択的に決定することができ、例えば1500ガ
ウス未満の比較的弱い磁力や1500ガウス以上、特に
2500ガウス以上の比較的強い磁力を利用すればよ
い。必要ならば、反応結果を早く確認するために、より
強力な磁力(例えば5000ガウス以上)を有する磁界
を適用して、未反応の磁性粒子の移動を早めてもよい。
【0039】不溶性蛋白との抗原抗体反応に充分な接触
時間のインキュベ−ションを経た磁性粒子は、引き続き
反応容器の壁面上の一部の領域に集合されるように、磁
界を適用される。この磁界適用の工程は、反応容器の壁
面の形状によって適宜決定すればよい。即ち、反応容器
の壁面が平坦面であれば、面上の任意の片隅に集合する
ように、適宜の磁石を反応容器の壁面に沿って片隅に向
けて移動させたり、壁面の片隅近傍に磁石を適宜の時間
だけ維持するとよい。また、反応容器の壁面が一定方向
に向けて収束するような傾斜面、例えば円錐形、角錐形
を有している場合には収束点となる傾斜の最も低い位置
または逆に最も高い位置に向けて適宜の磁石を反応容器
の壁面に沿って移動させたり、収束点近傍に磁石を適宜
の時間だけ維持するとよい。
【0040】反応容器の壁面に沿って磁石を移動させる
場合、逆に磁石を固定しておいて反応容器を移動させて
もよい。この場合、例えば図2のように、マイクロプレ
−トや試験管のような複数の反応容器1を搬送用のベル
ト2上で矢印方向に移送するようにするとともに、ベル
ト2の下方には固定台3に固定した磁石4を固定配置す
ることにより、容易かつ簡易な構成で外力の付加工程を
自動化できる。ここで、必要ならば、測定原理や測定器
具の構成等に応じて、反応容器と磁石のいずれか一方ま
たは双方が相対的に移動するように構成するように適宜
選択すればよい。反応容器と磁石の相対的移動条件(速
度、反復回数等)は、反応容器の壁面の寸法に応じて変
更し得るが、壁面上の未反応の磁性粒子が応答して異な
る位置に向けて移動して光学的に識別し得る程度に分布
を変化させる程度に設定すればよい。本発明では、例え
ば、反応容器の壁面に対して磁石が10秒以内、特に数
秒以内に通過するように相対的に反応容器および/また
は磁石を移動させるだけで、反応の有無に応じた各分布
パタ−ンを形成し得る。ここで、場合によっては、同一
の磁石を反応容器の壁面近傍に沿って複数回通過させた
り、直線状ないし円周状に列状配置した複数個の磁石近
傍に沿って反応容器の壁面を断続的に通過させたりして
もよい。また、反応容器の壁面の片隅近傍に磁石を適宜
の時間だけ維持する場合にも、壁面の片隅に向けて未反
応の磁性粒子が応答して異なる位置に向けて移動して光
学的に識別し得る程度に分布を変化させる程度に設定す
ればよく、10秒以内、特に数秒以内の維持時間で反応
の有無に応じた各分布パタ−ンを形成し得る。
【0041】反応容器の一部の領域に集合させた磁性粒
子が形成する像は、磁石の磁極面の形状や反応容器の形
状によって決まるが、反応した磁性粒子が形成する像と
は顕著に相違するので、検体が分析対象を含んでいたか
否かの判定を容易に行うことができる。一般に、磁性粒
子は、肉眼で観察しただけでも、容易に凝集の有無を視
覚的に識別できる点で他の材質のマ−カ−粒子に比べて
好都合といえる。
【0042】反応容器の壁面に対する磁性粒子の付着力
が不溶性蛋白と同程度またはそれ以上であっても、検査
試料中のアナライトと磁性粒子上の反応性蛋白とによる
抗原抗体反応による結合力が上回っている場合には、磁
性粒子が不溶性蛋白と同時またはそれ以前に反応容器の
壁面に付着するように付着工程を設定しても、磁性粒子
の付着力より強いが抗原抗体反応による結合力を解除し
ない程度の磁力を適用することで、本発明の作用効果を
達成できる。この場合、磁性粒子と不溶性蛋白のどちら
が先に反応容器の壁面に到達しても構わないので、反応
容器中または別個の混合容器中で適宜攪拌する混合工程
により抗原抗体反応を促進させた上で任意の順序で反応
容器の壁面に付着させてもよいから、測定操作を単純か
つ任意に組み合わせることができる点で有利である。
【0043】また、本発明は磁界以外にも遠心力を外力
として利用して実施することもできる。遠心力はマ−カ
−粒子と沈降性の不溶性蛋白による抗原抗体結合を解除
しないが未反応のマ−カ−粒子を傾斜に沿って沈降させ
るには充分な遠心力であればよい。かかる遠心力を事前
に実験を通じて決定することは容易である。但し、外力
が磁界の場合と異なり、遠心力の場合には不溶性蛋白と
マ−カ−粒子の両方に外力が働くので、不溶性蛋白が先
に反応容器の壁面に到達するのが好ましい。このために
は、例えば反応容器の底面に沈降させる場合、マ−カ−
粒子の粒径を小径(例えば3μm以下、好適には1μm
以下)としたり中空構造または多孔質構造の粒子に加工
するのが好ましい。かかる粒子製造技術は、公知の方法
に準ずればよく、市販製品として得てもよい。
【0044】外力が遠心力の場合、遠心処理したときに
遠心力の作用する方向に適宜の傾斜面を有している反応
容器が好適に使用される。傾斜面が反応容器の底面に設
けたものでは、マ−カ−粒子が自然重力下では転がり落
ちない程度の傾斜角度ないし曲率からなる壁面形状が望
まれるが、それ以外の壁面形状や寸法は任意である。一
定方向に向けて徐々に傾斜位置が低くなるような形状が
好ましく、円錐状ないし部分的に球面状の凹んだ側を容
器内空間に向けた形状のものが特に好ましい。
【0045】外力として遠心力を利用する場合、不溶性
蛋白の沈降方向に対して遠心力の作用する方向を異なら
せることによっても、本発明を実施できる。ここで、不
溶性蛋白の沈降方向が凹状反応容器の底面方向であれ
ば、遠心力の作用する方向を底面方向に対して、斜めま
たは直角な方向となるようにする。
【0046】具体的には、例えば特開昭58−9973
1号等に記載されるように、回転テ−ブル上に複数個の
反応容器を適宜の間隔で配置し、回転テ−ブルの回転駆
動部を適宜の制御手段に接続して測定全体の処理を制御
する構成にするとよい。かかる構成を有する自動化装置
においては、まず、遠心力を実質的に生じない、即ちマ
−カ−粒子の均一な沈降を妨げない程度に低速の回転速
度でテ−ブルを回転させながら、検査試料液およびマ−
カ−粒子を含む試薬液を適宜の分注手段によって各分注
位置で分注し、所定不溶性蛋白が沈降するまでの間、低
速の回転速度を維持するか回転を停止し、然る後に、マ
−カ−粒子に遠心力が働くように回転速度を高めること
により、一定時間後に、反応容器底面上のマ−カ−粒子
の分布を画像分析手段でもって判定し、判定結果をプリ
ントアウトする。マ−カ−粒子が磁気応答性のものであ
れば、回転テ−ブルの反応容器底面の斜め下方または側
方に、回転テ−ブルとは別体に磁石を固定配置すること
で、高速回転制御による遠心力を利用せずに上述と同様
の自動化が可能である。
【0047】さらに、外力が遠心力の場合、反応容器の
向きを変更する工程を2回またはそれ以上の遠心処理の
間に取り入れることにより、反応容器の壁面に対し、ま
ず、第1の方向に不溶性蛋白およびマ−カ−粒子を到達
せしめた後に、第2の方向に未反応のマ−カ−粒子を移
動させるように構成しても反応の有無を識別にすること
ができる。この場合、反応容器の向きを3回以上異なら
せることにより、抗原抗体反応の結合力(力価)が比較
し得るようなマ−カ−粒子の分布パタ−ンを得ることも
できる。このように反応容器の向きを変更する場合の反
応容器の壁面形状は、好ましくは角度変更したときに遠
心力が作用する方向に対して垂直または点対称でるよう
な平面または曲面を有するものを用いると、力価別の分
布パタ−ンを比較し易くする。
【0048】マ−カ−粒子の反応容器の壁面に対する付
着性が、不溶性蛋白よりも弱い場合には、反応容器を比
較的弱い遠心処理したり適宜震盪操作しても未反応のマ
−カ−粒子を選択的に反応容器の壁面上から分離するこ
とができる。
【0049】遠心処理による遠心力または震盪による慣
性力を外力として利用すれば、磁気応答性のマ−カ−粒
子に限らずとも、種々の材質のマ−カ−粒子を使用でき
る点で好ましい。
【0050】さらに、本発明は外力として磁力、遠心力
および慣性力等を適宜組み合わせて実施してもよい。
【0051】不溶性蛋白が血球(赤血球、白血球)のよ
うな粒子状蛋白の場合には、好ましいことに、付着工程
による反応容器の壁面と不溶性蛋白との間の付着力が、
抗原抗体反応による結合力よりも強いために、一旦付着
した不溶性蛋白が外力によってが壁面から剥がれること
は殆ど無い。よって、本発明のおける外力の大きさは、
従来法で採用されていたものよりも強力な磁力(例え
ば、磁力密度で3000ガウス以上、好ましくは500
0ガウス以上)または遠心力(例えば加速度で1600
g)でも構わないので、そうすることによって従来法よ
りも再現性が高いデ−タが得られるとともに、必要に応
じて従来法よりもさらに迅速に反応結果を得るように構
成できる。
【0052】以上のように外力を供給して得られたマ−
カ−粒子の分布パタ−ンは、肉眼観察、ビデオカメラ、
顕微鏡写真等によって反応の有無を容易に判定できる。
場合によっては、ニュ−ラルネットワ−クを利用した判
定技術(欧州公開特許0583626号参照)で自動化
して処理能力を高めてもよい。特に、ビデオカメラのよ
うな光学機器と画像解析用のコンピュ−タとを接続した
判定装置を用いて、外力を供給した時点以降の反応容器
壁面上のマ−カ−粒子の移動量を精密に検出すれば、未
反応のマ−カ−粒子が移動を終了して最終的な分布パタ
−ンとなる以前に、反応の有無を解析することも可能と
なる点で好ましい。
【0053】なお、以上の測定手順は、従来から公知の
分注、搬送、攪拌、測定等を行う自動分析装置(例え
ば、特開昭58−105065号)に基づいて適宜自動
化可能である。具体的には、図1のように、反応容器の
搬送のための搬送部と、検体試料およびマ−カ−粒子を
分注するための分注部と、検体試料およびマ−カ−粒子
を混合するための攪拌部と、外力(磁力、遠心力等)を
付加するための外力付加部と、反応容器中のマ−カ−粒
子による分布パタ−ンを光学的に検出するための光学検
出部と、光学検出部で得た光学的デ−タを演算処理して
反応結果を判定する演算部と、演算部で求められた判定
結果をスクリ−ン画面や記録用紙に表示するための表示
部と、これら各処理部の動作をアナライトの種類や測定
原理に応じて制御する制御部とを有する装置によって実
施できる。ここで、搬送部は、ベルト上で行っても、回
転テ−ブル上で行ってもよい。
【0054】以下に、本発明を実施した例を説明する
が、勿論、本発明はこれに限定されるものではなく、上
述した発明の要旨に基づいて種々自明な範囲内で変更を
行うことができる。
【0055】
【実施例】
【第1実施例】赤血球ABO血液型オモテ試験 抗赤血球血液型マウスモノクロ−ナル抗体固相化磁性粒
子の作成 抗マウスIgMが固相化された磁性粒子であるDYNA
BEADS(M−450、ラット抗マウスIgM、DY
NAL社)を100μlずつガラス試験管に2本分注
し、0.02%NaN3 含有D−PBS(ダルベッコ・
リン酸塩類溶液、pH7.2)で4回洗浄して上清を除
去した、各ガラス試験管に抗A、抗Bの各モノクロ−ナ
ル抗体溶液2mlを加えて4℃で30分間穏やかに攪拌
することにより固相化を行った。ここで、使用するモノ
クロ−ナル抗体溶液は、ハイブリド−マ培養上清、マウ
ス腹水、精製抗体液等のいずれでもよく、その濃度は抗
体のアフィニティ−の程度に応じて適宜(例えば5〜5
0μg/mlのうちいずれかに)調製すればよい。その
後、0.01%牛血清アルブミンおよび0.02%Na
3 含有D−PBSを用いて4℃で5分ずつ3回洗浄を
実施し、同液に2mlに懸濁して4℃に保管した。
【0056】レクチン塗布プレ−トの作成 プラスチック性U底マイクロプレ−ト(ヌンク社)の各
ウエルに小麦胚芽レクチンを1μgずつ加え(0.01
MのPBS:pH7.0を用いて10μg/mlに調製
した液を各ウエルに100μlずつ分注する)室温で3
0分間静置した後、0.01MのPBS、pH7.0を
用いて5回洗浄後、室温で乾燥し、レクチン塗布プレ−
トを得た。
【0057】検体血球原液の調製 全血を遠心処理により、赤血球をD−PBSで5回遠心
洗浄(1500r.p.m.、10分間)して、上清を
取り、その沈殿部分を血球原液とした。
【0058】A、B、O、AB血液型の検出 反応に当たっては、まず、抗A、抗Bおよび抗Rhの抗
体をそれぞれ固相化した各磁性粒子25μl(1×10
6 個)と、各種血液型(A、B、OおよびAB型)の血
球原液をD−PBSでそれぞれ2%に希釈した血球希釈
液25μlとを、上記レクチン塗布プレ−トの各ウエル
に各々分注して混和したものを5〜10分室温に静置し
た。静置後のウエルを上方から確認したところ、図3、
図4のようにウエル5の底面6に赤血球7および磁性粒
子8がほぼ均一に拡散した様相を呈していた。このと
き、マイクロプレ−トを永久磁石上で1回水平移動させ
て通過させることで、磁性粒子に短時間、磁界をかけ
た。磁石の通過操作は、短時間(数秒程度)とした。こ
のとき、検体試料である血球希釈液中の赤血球は、レク
チン塗布プレ−トの底面に付着しているため、血球表面
と結合反応した磁性粒子8は、図4のように磁界を掛け
た後にもウエル底面に一面に保持されたままである。一
方、未反応の磁性粒子8は、磁界の作用により移動する
が、底面6の垂直断面がU字状でかつ水平断面が円形で
ある半球状であるためにウエルの傾斜に沿って下降し
て、図5のように最終的には最底部であるウエルの中央
部分に集合した塊となって沈殿した。結果は表1の通り
である。表中、「+」は陽性(反応有り)パタ−ン、
「−」は陰性(未反応)パタ−ンを示す。
【0059】このような赤血球血液型のオモテ検査が肉
眼で判定し得るには、赤血球量および液量にもよるが、
反応容器の底面に一様に分布する程度に血球が沈降して
いれば、肉眼でも反応結果が判定可能な分布パタ−ンが
得られる。例えば、上記実施例では、最短時間で検体試
料と磁性粒子の混和後5分±30秒で、肉眼での判定が
可能な程度に分布パタ−ンの形成が進行していた。ここ
で、血球の全てが反応容器の底面に沈降し終える必要は
なく、底面の付着領域の全体を密に覆う程度の付着密度
(例えば、付着領域の6割以上、好ましくは8割以上)
であれば、充分に反応の有無に応じた各分布パタ−ンを
形成できることも判明した。従って、検査試料の使用量
を、前述の付着密度が得られる量の不溶性蛋白が含まれ
る程度に少なく設定すれば検査試料の微量化が図れる。
また、充分量の検査試料を使用した上で前述の付着密度
に到達するようななるべく早い時点で磁力等の外力を付
加する構成にすれば測定効率の向上が図れる。これに対
して、検査試料と磁性粒子の混和後に6分以上、特に1
0分程度反応容器を静止させることで、赤血球の殆ど全
てを沈降完了させた場合には、磁性粒子との結合反応量
が増加して測定感度を高める可能性がある。
【0060】一方、磁界を掛ける時間を長くすると、未
反応の磁性粒子がウエルの最低部でさらに凝縮した塊と
なって集合することにより、一層鮮明に識別し得る陰性
パタ−ンを形成し得るので、判定の正確性を高めるとい
う点で好ましい。また、結合反応を生じて赤血球ととも
に反応容器の傾斜底面上に保持された磁性粒子は、磁界
の掛ける回数を増やしても移動せず、一定の分布パタ−
ンを長時間維持することが確認できたことから、再現性
も充分であった。また磁性粒子に対して、どのような角
度から磁石を近付けてもやはり同様の検出結果が得られ
た。また、ウラ試験を実施した場合にも同様に正しい結
果が得られる。さらに、好ましいことに、本実施例のよ
うに被検試料由来の赤血球を不溶性蛋白として付着させ
る場合には、他の血液成分(リンパ球や血小板等)を除
去しなくとも同様の反応結果が得られることが判明し
た。これによれば、測定に要する労力を緩和し、非常に
簡便な測定法を提供できる。
【0061】
【表1】
【0062】
【第2実施例】HLAクラスI抗原同定試験 抗HLAクラスI抗原マウスモノクロ−ナル抗体固相化
磁性粒子の作成 DYNABEADS、M−450羊抗マウスIgG(D
YNAL社)を100μlずつ4本のガラス試験管に分
注する。表2に示すNo.1〜4の各モノクロ−ナル抗
体(特開平3−35798号参照)溶液2mlを別個の
ガラス試験管に加えて4℃で1晩穏やかに攪拌しながら
反応させる。ここで、使用するモノクロ−ナル抗体溶液
は、ハイブリド−マ培養上清、マウス腹水、精製抗体液
等のいずれでもよく、その濃度は抗体のアフィニティ−
の程度に応じて適宜(例えば5〜50μg/mlのうち
いずれかに)調製すればよい。その後、0.02%Na
3 含有D−PBSを用いて4℃で5分ずつ5回の洗浄
を行った上で同液で2mlに懸濁して4℃に保管した。
【0063】リンパ球の調製 全血を第1実施例と同様に遠心処理して分取したバフィ
−コ−トを、D−PBSで2倍に希釈してフィコ−ルの
分離液上に重層する。遠心処理によりリンパ球層を別の
試験管に移し、RPMI培養液で3回遠心洗浄して上清
を除いたものを、同培養液で全血時の4分の1〜2分の
1の容量となるように調製した。
【0064】HLA型の検出 プラスチック性の平底テラサキマイクロプレ−ト(ヌン
ク社)に各磁性粒子液と検体から得たリンパ液とをそれ
ぞれ2μlずつウエルに分注した。第1実施例と同様に
5〜10分間静置することで、ウエル底面に磁性粒子お
よびリンパ球が一様に落下した沈降分布を形成した。こ
こで、静置後のウエルを上方から見ると、実施例1と同
様に磁性粒子もリンパ球もウエル平底面上にほぼ均一に
拡散した様相を呈し、リンパ球はウエルに付着してい
た。その後、永久磁石をウエルの下方近傍にて水平方向
に1回横移動させることにより磁界を掛けた。
【0065】このとき、検体試料であるリンパ球細胞は
自身の粘着性によりレクチンその他の付着用の添加剤等
を用いることなくウエル底面に強固に付着しているた
め、図4のようにリンパ球表面と結合反応した磁性粒子
8は、磁界を掛けた後にも磁力吸引されることなくウエ
ル底面6に一面に保持された沈降分布を保つので、上方
から観察するとほぼ一様な濃度で拡がった沈殿パタ−ン
となった。一方、未反応の磁性粒子は磁界の作用により
移動するが、底面が水平な円盤形状であるために平面に
沿って磁界が移動した方向に横移動して、最終的にはウ
エル底面の片隅に引き寄せられた沈降分布となった。未
反応のときの沈殿パタ−ンを上方から観察すると、図6
のように磁界が移動する端部に相当する反応容器底面6
の片隅に未結合の磁性粒子8が局在した三日月形状の沈
殿パタ−ンを呈した。結果は表2の通りである。なお、
表中、「特異性」とは各抗体番号のモノクロ−ナル抗体
が特異結合するHLAロ−カスであり、リンパ球に関す
る()内の表示は、各リンパ球に発現されているHLA
アロ抗原を示す。
【0066】このようなHLAクラスIの抗原型を肉眼
で判定するには、検体添加後5分で充分であった。ま
た、磁界を掛ける時間を長くすると、未反応の磁性粒子
がウエルの片隅にさらに凝縮して鮮明に集合するので、
反応の有無を比較しやすくなる点で好ましい。判定結果
は、磁界の掛ける時間が長時間(例えば1日以上)であ
っても変わらず、陽性(結合反応有り)パタ−ンが陰性
(未結合)パタ−ンに類似することはなかった。また、
磁性粒子に対して、どのような角度から磁石を近付けて
もやはり同様に判定可能な差が観察された。本実施例の
結果により、従来、LCT法やフロ−サイトメトリ−法
等で半日以上を要したHLAクラスI抗原同定試験が、
数分という極めて短時間で且つ目視という簡単な手段で
判定可能である点は注目すべきであろう。特に、従来法
ではリンパ球を利用するためには、リンパ球以外の細胞
成分を取り除くために高度な分離工程を要していたが、
この実施例では血小板のような他の細胞成分を除去しな
くともHLAクラスの同定ができる点で非常に有効な方
法といえる。また、検出しようとするHLAは、固定化
する抗体の種類に応じて、他のクラスIIやクラスIIIで
あっても同様に実施すれば任意の抗原であっても構わな
い。また、形成後のパタ−ン、特に陽性パタ−ンが磁
界、振動等の外力にも安定であることが確認されている
ことから、本発明の方法は機器による自動測定にも適す
るものである。
【0067】
【表2】
【0068】
【第3実施例】HBs抗原同定試験 この実施例は、マ−カ−粒子以外に、上述した付着用の
担体粒子に対してアナライトと特異結合する反応性蛋白
を固定することで不溶性蛋白としての利用を図り、これ
によって、浮遊性ないし可溶性のアナライトを介してマ
−カ−粒子を結合させるサンドイッチ系の検出を行うも
のである。
【0069】抗HBs抗原マウスモノクロ−ナル抗体固
相磁性粒子の作成 第2実施例と同様に、抗体固相磁性粒子を作成する。こ
の時、抗体を添加せずに作成した抗体未固相磁性粒子も
同様に作成する。
【0070】レクチン塗布プレ−トの作成 第1実施例と同様にして、レクチン塗布プレ−トを得
た。
【0071】付着用の担体粒子およびマ−カ−粒子の準
第1の凝集試薬としては、抗HBs抗体を感作したヒツ
ジ赤血球であるセロクリットHBs(化学及血清療法研
究所製)を用いた。また、第2の凝集試薬としては、第
2実施例と同様にして抗HBs抗体を固相化した抗体固
相化磁性粒子を作成したものを用いた。ここで、磁性粒
子については、抗HBs抗体を添加せずに第2実施例と
同様の固相化処理をして、抗HBs抗体を固相化しない
抗体未固相磁性粒子も作成した。ここで、ヒツジ赤血球
は、磁性粒子よりも付着性が強いものである。
【0072】検査試料液の調製 被検血清の段階希釈を第1実施例のようなマイクロプレ
−トの4個のウエルについて以下のように行った。ま
ず、0.1%BSA−D−PBSを第1ウエルに50μ
l入れ、第2〜第4ウエルにはそれぞれ25μlずつ滴
下した。次に、第1ウエルに25μlの被検血清を混和
した後、以下、第1ウエルから25μlの希釈試料液を
第2ウエル以降に倍々希釈することで、希釈倍数を、第
3ウエルで1:12とし、第4ウエルで1:24とし
た。測定性能を検定するために、陽性患者由来の血清お
よび抗体陰性者由来の血清に関して各希釈血清を含むウ
エルを調製した。
【0073】HBs抗原の検出 第3ウエルに、抗体感作赤血球および抗体未固相磁性粒
子を各25μlずつ添加し軽く混和した後、室温下で1
0分間、静置し、然る後に第1実施例と同様に磁界をか
けて磁性粒子を移動せしめる。一方、第4ウエルには、
抗体未固相磁性粒子の代わりに抗体固相化磁性粒子を使
用した点を除いて同様に処理する。
【0074】血清がHBs抗原陽性の場合には、抗HB
s抗体を固相化した磁性粒子と抗HBs抗体を感作した
ヒツジ赤血球を入れたウエルにおいては、ヒツジ赤血球
が底面に落下した時点で付着し、ヒツジ赤血球に結合し
たHBs抗原を介して磁性粒子もウエル底面一面に保持
される図4のような陽性パタ−ンを形成する。抗体未固
相磁性粒子、未感作ヒツジ赤血球を入れたウエルでは、
HBs抗原が両粒子ともに付着しないため、磁性粒子は
ウエル底面に保持されず、磁界に応じて移動し、一塊に
収束して沈殿する。一方、血清がHBs抗原陰性の場合
には、血清中にHBs抗原が無いため、抗体固相化磁性
粒子も未固相磁性粒子もヒツジ赤血球に結合することは
なく、磁界の方向に移動していずれのウエルにおいても
一塊に収束して図5にように沈殿した陰性パタ−ンを形
成する。結果を表3に示す。
【0075】
【表3】
【0076】
【第4実施例】図7は、本発明の方法を実施する装置の
一実施例である。即ち、底面が水平面であるようなプラ
スチック製の角型キュベット10の複数個を、タ−レッ
ト11の円周上に等間隔に配置して図のよう回転駆動手
段12により図の矢印A方向に一定ピッチで間欠的に回
転搬送する。一方、タ−レット11の外周には、各キュ
ベット10が停止する各位置に所望の処理順序に沿っ
て、検査試料分注手段13、マ−カ−粒子分注手段1
4、測光手段15、永久磁石16、ビデオカメラ17、
キュベット交換手段18が配置している。検査試料分注
手段13およびマ−カ−粒子分注手段14は公知のシリ
ンジ、ノズル、昇降機構、回動機構(矢印B、C方向へ
の回動)等の各種分注に必要な構成を有し、分注駆動手
段19によって動作制御されている。検査試料分注手段
13の回動方向Bには、各種被検試料を収容する複数の
被検試料容器20が順次吸引し得るように位置出しされ
ている。同様にマ−カ−粒子分注手段14の回動方向C
には、各種アナライトに応じた各マ−カ−粒子を含む試
薬液を収容した複数の試薬容器21が回動軌跡に沿って
配置し、選択的に試薬吸引し得るようになっている。こ
の装置では、マ−カ−粒子として第1、2実施例で説明
したような抗体または抗原を固定した磁性粒子が使用さ
れるものとする。また、検査試料分注手段13とマ−カ
−粒子分注手段14による分注速度および分注角度は、
被検試料中の不溶性蛋白とマ−カ−粒子の均一な混和が
得られる程度に設計されているものとする。測光手段1
5は、公知の粒度計測機構を有しており、キュベット1
0内の粒子の沈降状態を測光窓22を通して検出し得る
ものである。ここで、光源、レンズ、プリズム等の測光
に要する部品の図示は省略する。永久磁石16は、キュ
ベット10内のマ−カ−粒子である磁性粒子に外力とし
ての磁界を適用するためのものである。ビデオカメラ1
7は、外力を適用された後のキュベット10の水平底面
を撮像して画像デ−タを演算処理手段23に送信するも
のである。演算処理手段23は、画像デ−タに基づい
て、反応の有無を判定したり、判定結果を統計処理した
りして、表示装置24の画面上に結果表示するものであ
る。また、表示装置24は、キ−ボ−ドや押しボタン等
の手動入力手段25と接続しており、オペレ−タの要望
に応じてビデオカメラ17による分布パタ−ンの画像を
適宜演算処理手段23で画像処理された後に画面上に映
し出うこともできるものである。キュベット交換手段1
8は、ビデオカメラ17による撮像を終了したキュベッ
ト10を新しいものと交換するための機構を有してい
る。ストッカ26は、使用済みのキュベット10および
未使用のキュベット10を別々に収容し、キュベット交
換手段18に対するキュベット10の出し入れが可能に
構成されている。さらに、回転駆動手段12、測光手段
15、分注駆動手段19および演算処理手段23は、集
中制御手段27の指令によって、所望の測定が行われる
ように制御されている。集中制御手段27は、手動入力
手段25による入力内容に応じて、所望の分析項目に対
応した検査試料およびマ−カ−粒子によるアナライトの
測定を行うように、各分注手段13、14、測光手段1
5、演算処理手段23等の各処理手段を一括制御するも
のである。
【0077】かかる構成を有する装置によれば、上述し
た説明、特に第1〜3実施例で論じた測定が自動化可能
となる。ここで、回転駆動手段12によって、キュベッ
ト10の搬送速度を変速的に制御すれば、分注量、アナ
ライトの種類等に任意に対応できることはいうまでもな
い。また、測光手段15は、キュベット10内の粒度分
布に応じて血球細胞のような不溶性蛋白やマ−カ−粒子
の沈降がどの程度進行したかを確認するとともに集中制
御手段27を介して粒度分布デ−タを演算処理手段23
に送信することができるので、沈降状態が不良であった
ときに演算処理手段23による判定結果に異常信号を送
って表示部分に異常マ−クを付したり警報を発するよう
な誤診防止措置を採ったり、場合によっては粒度分布デ
−タに基づいて演算処理手段23にデ−タ補正するよう
に構成することもできる。
【0078】上記実施例から分かるように、本発明で
は、アナライトは、必ずしも細胞表面に発現している物
質に限ることはなく、HBs抗原のような検体試料液中
に可溶性の抗原または抗体であっても、反応容器の底面
に付着性を有する粒子と、抗原抗体結合力よりも付着力
が弱いか非付着性の磁性粒子との2種類の粒子の組合わ
せを任意に選択し上記実施例の如く反応系に加えること
により実施できる。場合によっては、3種類以上の粒子
を適宜組合わせて多項目の測定を行うように変更しても
よい。また、実施例においては、血清および上記2種類
の粒子を同時に添加したが、用いた粒子の落下速度等を
考慮して、適宜添加する順序を変更してもよい。いずれ
にしても本発明の反応系の適用により、従来、ヒツジ赤
血球やゼラチン等の人口粒子を用いた感染症の抗原、抗
体等の検査用凝集試薬による反応系では、通常2時間前
後を要していたのに対して、本発明では、検査開始から
測定までを10分以内、特に数分という短時間で行える
ことが判明した。
【0079】なお、上述した全ての実施例においては、
以下のことも言える。即ち、磁界を掛ける時間を長くす
ると、未反応の磁性粒子がウエルの最低部でさらに凝縮
した塊となって集合した。この場合、反応量ないし力価
に乏しい検体においても、鮮明に反応の有無を識別し得
るので、判定の正確性を高めるという点で好ましい。こ
こで、磁界を掛ける時間を制御する方法としては、磁石
の移動速度を一定または変速的に遅くしたり、磁石の移
動を複数回繰り返したり、磁性粒子を局在させたい位置
の近傍で磁石を長目に停止させたりすればよい。また磁
石と反応容器は、いずれか一方を水平移動させるか双方
を互いに異なる方向に移動させればよい。このとき、多
数の反応容器を共通の磁石の上方で順次通過させるよう
にすると、ベルトコンベアのような適宜の搬送手段で自
動的に連続測定できる点で好ましい。
【0080】また、一旦形成された陽性または陰性の沈
殿パタ−ンは、振動に強く、長時間安定に保たれた。判
定結果は、磁界の掛ける時間が長時間(例えば1日以
上)であっても変わらず、再現性も充分であった。ま
た、磁性粒子に対して、どのような角度から磁石を近付
けてもやはり同様の検出結果が得られた。また、磁極は
N極、S極のいずれでも電磁石のような交番磁界でも同
様の結果が得られる。さらに、本発明をより好ましい磁
気的条件で実施するために、磁性粒子に関して粒径や粒
子濃度を適宜変更したり、磁石の寸法、組成、接近距離
および移動速度を適宜調整してもよい。
【0081】上述した実施例によれば、磁界を適用して
極めて短時間に測定が可能である。ここで、測定が可能
になるまでの時間は、磁性粒子や磁石の材質、寸法等に
より調節可能であり、例えば分布パタ−ンを形成しよう
とする反応容器の壁面の寸法が小さいほど磁力や遠心力
の大きさや外力適用時間を短縮できる。逆に、反応容器
の壁面の寸法が大きければ適宜外力を強くしたり適用時
間を延長すればよい。
【0082】また、磁石の操作は、反応容器の下方を通
過させるだけで一定の沈殿パタ−ンが得られたことか
ら、手動にせよ自動にせよ再現性を良好に維持するため
の制御が極めて簡単であり、熟練を要さず、個人差の無
い測定が実施できる。
【0083】なお、本発明は上述した実施例に限定され
ず種々の変更が可能である。例えば、上述した実施例で
は、反応容器としてマイクロプレ−トのような底面に沈
降分布を形成するものを使用しているが、毛細管力で液
体を保持できる中空構造の反応容器を、内壁が縦方向に
沿うように配置したものにも適用可能である。ここで、
中空容器の内壁を横向きにして、導入したサンプル中の
リンパ球等の細胞を沈降させて内壁に付着させた後に、
この中空容器を縦向きにして磁気的な移動を行ってもよ
い。
【0084】また、反応容器の片隅に未反応のマ−カ−
粒子を移動させたときの分布パタ−ンは、反応容器の底
面の垂直および水平断面に応じて種々の形態を取り得る
が、同心円状に傾斜したU字状、特に半球状のものやV
字状、特に円錐状のものを使用すれば、底面の最も低位
置に相当する中央部分が片隅となってボタン状に集まっ
た像を形成するので、未反応像を識別し易いという点で
好ましい。一方、反応容器の底面が、傾斜を持たない平
坦面のものや最も低位置な部分が底面周縁に存在するも
のを使用すれば、未反応の分布パタ−ンを底面の中心に
相当する視野から充分に外すことができるので、反応容
器の底面のほぼ全面の明度変化の有無から簡易に反応有
無を判定できる点で好ましい。
【0085】また、反応後の沈降分布の肉眼による観察
または各種光学機器による光学的測定は反応容器の上方
に限らず下方からでも構わない。特に、磁性粒子を移動
させるために磁石を通過させた後に反応容器から完全に
磁石を遠ざければ、沈殿パタ−ンの変化を測定する際に
磁石が視界の邪魔にならないので、より判定が行い易い
点で好ましい。
【0086】また、バフィ−コ−トから得た不溶性蛋白
を用いる上記第2実施例では、HLA型抗原の測定を実
施したが、抗HLA抗体の代わりに抗血小板抗体(特開
平2−300664号等参照)を用いることで、リンパ
球以外にも血小板に関する型抗原も同様に測定できる。
【0087】
【発明の効果】本発明によれば、検体とマ−カ−粒子と
を混合した後の工程が1段階で済むために、2次抗体、
補体等の2次試薬に伴う反応容器の洗浄、稀釈を要さな
いという簡便な方法を提供できる。また、反応結果の測
定が、外力を付加して極めて短時間に行える。
【0088】また、本発明において、磁性粒子を用いて
磁界を外力として付加する場合には、マ−カ−粒子のみ
に選択的に外力を与えることができるので、操作性が高
く、しかも簡単な構成での測定が行える。
【0089】また、本発明において、遠心力を外力とし
て付加する場合には、任意の材質のマ−カ−粒子を利用
できる。
【0090】また、本発明において、不溶性蛋白が付着
性の大きな微粒子に固定処理したものである場合には、
可溶性の抗原または抗体に関する測定にも適用できる。
【0091】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の方法を実施する装置の概要を
示すブロック図、
【図2】図2は、本発明の方法を実施する一実施例の要
部を示す模式図、
【図3】図3は、本発明の方法の第1実施例の付着工程
で得られる沈降状態を示す図、
【図4】図4は、本発明の方法の第1〜3実施例の付着
工程で得られる磁性粒子の分布を示す図、
【図5】図5は、本発明の方法の第1、3実施例で得ら
れる陰性パタ−ンを示す図、
【図6】図6は、本発明の方法の第2実施例で得られる
陰性パタ−ンを示す図、
【図7】図7は、本発明の方法を実施する装置の一例を
示す構成図である。
【符号の説明】
1 反応容器 2 ベルトコンベア 3 固定台 4 磁石 5 ウエル 6 底面 7 赤血球 8 磁性粒子 10 キュベット 11 タ−レット 12 回転駆動手段 13 検査試料分注手段 14 マ−カ−粒子分注手段 15 測光手段 16 永久磁石 17 ビデオカメラ 18 キュベット交換手段 19 分注駆動手段 20 被検試料容器 21 試薬容器 22 測光窓 23 演算処理手段 24 表示装置 25 手動入力手段 26 ストッカ 27 集中制御手段

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不溶性蛋白に対し測定すべき抗原または抗
    体の存在下に直接的または間接的に結合し得る反応性蛋
    白が固定されたマ−カ−粒子を用いて免疫学的な測定を
    行うに当たり、蛋白を吸着し得る壁面を有する反応容器
    に検体試料由来の不溶性蛋白を液中に懸濁状態で供給す
    ることにより不溶性蛋白を壁面に付着させる工程と、マ
    −カ−粒子を前記壁面に一様に接触させることによりマ
    −カ−粒子を壁面に分布せしめる工程と、不溶性蛋白お
    よびマ−カ−粒子がそれぞれ一様に反応容器の壁面上に
    分布したときにマ−カ−粒子が選択的に移動するような
    外力を付加する工程と、外力付加後のマ−カ−粒子の分
    布に基づいて測定すべき抗原または抗体の存在を確認す
    る工程とを備え、前記外力を不溶性蛋白とマ−カ−粒子
    の間の抗原抗体結合を解除しないが未結合のマ−カ−粒
    子が壁面上を移動するように構成されてなることを特徴
    とするマ−カ−粒子を用いた免疫学的測定方法。
  2. 【請求項2】マ−カ−粒子が磁気応答性であり、外力と
    して磁力を用いることを特徴とする請求項1記載のマ−
    カ−粒子を用いた免疫学的測定方法。
  3. 【請求項3】マ−カ−粒子が反応性蛋白による抗原抗体
    反応の結合力よりも小さな付着性を有するものであり、
    外力として遠心力を用いることを特徴とする請求項1記
    載のマ−カ−粒子を用いた免疫学的測定方法。
  4. 【請求項4】不溶性蛋白が、マ−カ−粒子よりも付着性
    の大きな非マ−カ−粒子に固定処理されたものである請
    求項1記載のマ−カ−粒子を用いた免疫学的測定方法。
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