JPH0514888U - 分注装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 シリンダ等の摩耗を防ぎ、長時間に亘って分
注単位量を一定に保持可能とする。 【構成】 ピストン２０とシリンダ１０との嵌合関係を
所定隙間があるすきまばめとし、シリンダの中間位置に
は弾性ダイアフラム２５を備え、ピストンの先端を弾性
ダイアフラムの背面側に結合し、前記所定隙間を弾性ダ
イアフラムの厚さよりも広くしてある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、血液検体や試薬などの対象液を分注するための分注装置に関するも のである。

【０００２】

【従来の技術】

分注装置は、分注対象液の種類が多いばかりでなく分注量の変化にも自由に対 応できるようにして、分注能率を上げ、分注の所要時間の短縮化が図れるのみな らず、長時間の繰り返し使用に耐え、正確な分注単位量を確保できることが重要 である。 従来の分注装置は、シリンダ内に収容したピストンを駆動用モータで作動させ て分注を行い、シリンダ内でピストンが通常の嵌合関係にて摺動するものであっ た。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、従来の分注装置では、シリンダ内でピストンが通常の嵌合関係で摺動 するため、シリンダ等が摩耗してリークが発生し、分注単位量を一定に保持する ことができなくなり長時間の使用に耐えられないという欠点があった。

【０００４】 本考案の目的は、従来のこのような問題点に鑑み、シリンダ等が摩耗すること がなく、長時間に亘って分注単位量を一定に保持できる分注装置を提供すること にある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、シリンダに収容したピストンを駆動用 モータで作動させ分注を行う分注装置において、前記ピストンと前記シリンダと の嵌合関係を所定隙間があるすきまばめとし、前記シリンダの中間位置には弾性 ダイアフラムを備え、前記ピストンの先端を前記弾性ダイアフラムの背面側に結 合し、前記所定隙間を前記弾性ダイアフラムの厚さよりも広くしたことを特徴と する。

【０００６】

【作用】

本考案に係る分注装置は、ピストンとシリンダとの嵌合関係を所定隙間がある すきまばめとし、シリンダ等が摩耗するのを回避でき、シリンダの中間位置には 弾性ダイアフラムを備え、当該ピストンの先端を弾性ダイアフラムの背面側に結 合し、シリンダとピストンとの所定隙間を当該弾性ダイアフラムの厚さよりも広 くしてあるので、シリンダその他の分注単位量に関連のある各部の摩耗が全くな い。

【０００７】

【実施例】

以下において、本考案の実施例につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。 図１は本考案の実施例に係る分注装置の要部を示す縦断面図、図２はフレーム を破断して示した平面図である。

【０００８】 本実施例に係る分注装置１は、出入り自在な回転軸５を有する駆動用モータ３ と、該回転軸５で押圧されて下降し圧縮ばね１５で上昇方向に付勢されているピ ストン２０と、該ピストン２０を上下動自在に収容するシリンダ１０とを備え、 該シリンダ１０には分注用ノズル３５を連通させて組付けてあり、ピストン２０ を駆動用モータ３で作動させ分注を行うものであり、ピストン２０とシリンダ１ ０との嵌合関係を所定隙間があるすきまばめとし、シリンダ１０の中間位置には ピストン本体２１を収容するピストン収容室内を気密に二分割する弾性ダイアフ ラム２５を備え、ピストン２０の先端を弾性ダイアフラム２５の背面側に結合し 、所定隙間を弾性ダイアフラム２５の厚さよりも広くしてあるため、シリンダ１ ０、ピストン２０、弾性ダイアフラム２５等が全く摩耗しない。

【０００９】 モータ３は、下向きに突出した固定ナット４と、この固定ナット４に螺合し上 下動自在な回転軸５とを備え、共通フレーム２に固定したアルミニウム製の支持 板６の貫通孔に固定ナット４を挿通させて、該支持板６で支持され組み込まれて いる。回転軸５は、外周に雄ねじ５ａを刻設し、先端に球体８を嵌着してあり、 モータ３の逆回転・正回転駆動で図１において上下方向に昇降動作を行い、下降 動作時にピストン２０を押し下げるものである。共通フレーム２は、頂部にモー タ用の電源コネクタ９が設けてあり、シリンダ１０にほぼ対応する位置の側面に シリンダ１０内の圧力を検知するためのセンサ３６が取り付けてある。なお、モ ータ３には原点確認センサ３ａが設けてある。

【００１０】 シリンダ１０は、上方分割体１１と下方分割体１６とを組合わせて構成され、 共通フレーム２に固定してある。上方分割体１１は、摺動自在に嵌合するピスト ンロッド２２を真直に案内する筒部１２と、ピストンを収容する収容凹部１３ａ を有し当該筒部１２よりも外径が大きいピストン収容部１３とを一体に形成し、 下端面に環状凹溝１３ｂが設けてあり、筒部１２の外周に圧縮ばね１５が巻装さ れていて、ピストン収容部１３の上面１９で圧縮ばね１５の下端を受けている。 下方分割体１６は、上方分割体１１の収容凹部１３ａに対応する収容凹部１６ａ と、この収容凹部１６ａの下部の貫通小孔１７と、該貫通小孔１７に続くねじ穴 １８とを備え、上方分割体１１との合わせ面である上端面を平坦にしてある。

【００１１】 上方分割体１１側のピストン収容室を構成する収容凹部１３ａは下方分割体１ ６の収容凹部１６ａよりも大きな内径にしてあり、上方分割体１１の収容凹部１ ３ａの内周面とピストン本体２１の外周面との所定隙間は弾性ダイアフラム２５ の厚さの２倍を越え、下方分割体１６側のピストン収容室を構成する収容凹部１ ６ａの内周面とピストン本体２１の外周面との所定隙間は弾性ダイアフラム２５ の厚さよりも大きくしてある。

【００１２】 ピストン２０は、収容凹部との間に所定隙間を有し収容凹部内に上下動自在に 収容されている下端のピストン本体２１と、これよりも小径のピストンロッド２ ２とを一体に備え、これらがいずれも円形断面をなし、ピストンロッド２２の上 端に凹状の球受け２２ａが形成されており、この球受け２２ａで回転軸５の先端 の球体８から押圧力を受け、上端の外周に筒部１２よりも外径が大きいばね受け 板２３が嵌着してあり、このばね受け板２３に形成してあるフランジ２３ａの下 面で圧縮ばね１５の上端から押上力を受けている。

【００１３】 図３(A) は弾性ダイアフラムを示す拡大断面図、図３(B) はその平面図であ る。 弾性ダイアフラム２５は、自然状態において上広がりのテーパ状のカップ形を した合成ゴム系の材料からなり、上端フランジ２６の縁部に環形凸条２７を一体 に有し、上端フランジ２６の下面をシリンダ１０の下方分割体１６の平坦な上端 面に当接させ、環形凸条２７を上方分割体１１の環状凹溝１３ｂに嵌入させ、上 端フランジ２６を上方分割体１１の下端面と下方分割体１６の上端面との間に挟 持させて取付けられている。

【００１４】 そして弾性ダイアフラム２５は、背面としての底面２８をピストン本体２１の 下端面に固着し、ピストン２０が下降した時に側部２９がピストン本体２１と共 に下方分割体１６の収容凹部１６ａに収容され、ピストン２０が上昇した時に図 １において二点鎖線で示すように折れ曲がり変形して側部２９がピストン本体２ １と共に上方分割体１１の収容凹部１３ａに収容される。

【００１５】 ノズル３５は、上端の雄ねじをシリンダ１０の下方分割体１６のねじ穴１８に 螺合させて取り付けられており、全長に亙って連続した中心穴３５ａがシリンダ １０の貫通小孔１７に連通しており、先細下端部の外周に図示しない交換自在な ピペットを気密に嵌着させ、分注対象液を当該ピペット内まで吸入して使用され る。

【００１６】 本実施例に係る分注装置１の場合、図１及び図２において、ブラケット３０に 全体を支持させるときに用いる２本のロッド３１を備えている。このロッド３１ は、上端を支持板６に固定し、下端を下方分割体１６の張出し部１６ｂに固定し 、ピストン２０及びノズル３５に平行配置してあり、ブラケット３０に固定した 摺動体３７の上下２箇所に軸受３０ａを介在させて該摺動体３７をを貫通してい る。 ブラケット３０は、下端と下方分割体１６の張出し部１６ｂの上面と摺動体３ ７の下面との間でロッド３１の外周に巻装してある圧縮ばね３２をもって分注装 置１全体に対し上向きに付勢され、ロッド３１に沿って摺動自在である。

【００１７】 そして、分注装置１は、摺動体３７の下端面に対し下方分割体１６の張出し部 １６ｂの上面が所定の間隙を置いた位置にあり、ブラケット３０が図４に示すロ ボット４０の所定箇所に固定された時に、装置全体が圧縮ばね３２で下方に付勢 されて当該ブラケット３０をもって支持されており、圧縮ばね３２の付勢力に抗 して装置全体が上方へ逃げ、この圧縮ばね３２が緩衝の役割を果たす。

【００１８】 図４は本考案に係る分注装置をロボットに取り付けて使用する場合の実施例を 示す斜視図である。 移動用機械としてのロボット４０は、基盤４６上に立設した主柱体４１に旋回 自在に装着した第１のアーム４２と、この第１のアーム４２に関節部４３を介し て接続された第２のアーム４４と、第２のアーム４４の先端に固定した縦部材４ ５とを備え、当該縦部材４５の背面側にある平板状のカバー４７を取り外し、該 縦部材４５に設けた図示しない昇降運動体の所定箇所にブラケット３０を図示し ない小ボルトをもって着脱可能に固定し、基盤４６上には縦部材４５の到達範囲 内にプレートＡ及びプレートＢが設置してあり、両プレートにそれぞれ図示を省 略した多数のセルが行列配置してある。

【００１９】 次に、図４においてプレートＡ側の所定のセル内の検体をプレートＢ上の多数 のセルに分注する場合を例として、分注装置の動作について説明する。 ピストン２０を図１に示す下降し切った位置にして分注装置１を上昇させた 状態でロボット４０の動作によって、プレートＡ側の所定のセルの真上に位置さ せる。この時、弾性ダイアフラム２５は、略自然状態におけるカップ形になって いて、テーパ状側部２９が下方分割体１６の収容凹部１６ａ内の所定隙間に収ま っている。

【００２０】 ノズル３５に嵌着してある図示しないピペットの先端が真下のセル内の検体 に達する位置までロボット４０で分注装置１を下降させる。 モータ３を逆回転させることによって、ピストン２０を上昇させ、センサ３ ６でシリンダ１０内の圧力を検知しつつ所定量の検体をピペット内に吸入する。 この時、弾性ダイアフラム２５は、図１において二点鎖線で示すように側部２９ が折れ曲がって二重になり上方分割体１１の収容凹部１３ａ内の所定隙間に収ま っている。

【００２１】 ロボット４０の動作によって、分注装置１を真上へ上昇させた後にプレート Ｂ側の所定のセルの真上に位置させる。 ロボット４０の動作によって、ピペットが当該セル内の所定位置に達すると ころまで分注装置１を下降させ、モータ３を正回転させることによってピストン ２０を下降させ、センサ３６でシリンダ１０内の圧力を検知しつつ所定液量を吐 出する。

【００２２】 ロボット４０で、分注装置１を真上に上昇させプレートＢ側の別の所定セル の真上の位置まで移動させる。 上記及びの動作を繰り返してプレートＢ側の所定箇数のセルに検体を分 注する。 上記各動作は所定のプログラムに従って図示しないコンピュータにより制御し て行われる。

【００２３】 なお、本考案は、上記実施例によって限定されるものではなく、弾性ダイアフ ラムを金属製にすることも可能であり、これをカップ形に代えてベロー形にして もよく、その他要旨から逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。

【００２４】

【考案の効果】 以上説明したように、本考案は、ピストンとシリンダとの嵌合関係を所定隙間 があるすきまばめとし、シリンダの中間位置には弾性ダイアフラムを備え、ピス トンの先端を弾性ダイアフラムの背面側に結合し、前記所定隙間を弾性ダイアフ ラムの厚さよりも広くしたことにより、ピストンの繰り返し作動によってもシリ ンダ及び弾性ダイアフラム等が摩耗することがなく、弾性ダイアフラムによって 確実なシールが維持され、正確な分注機能が維持され、長時間に亘って分注単位 量を一定に保持できるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例に係る分注装置の要部を示す縦
断面図である。

【図２】本考案の実施例に係る分注装置のフレームを破
断して示した平面図である。

【図３】本考案の実施例に係る弾性ダイアフラムを示
し、(A) は拡大断面図、(B) は平面図である。

【図４】本考案の実施例に係る分注装置をロボットに取
り付けて使用する場合を示す斜視図である。

【符号の説明】

３ モータ ４ 固定ナット ５ 回転軸 ８ 球体 １０ シリンダ １１ 上方分割体 １３ ピストン収容部 １３ａ 収容凹部（ピストン収容室を構成する） １５ 圧縮ばね １６ 下方分割体 １６ａ 収容凹部（ピストン収容室を構成する） ２０ ピストン ２１ ピストン本体 ２２ ピストンロッド ２２ａ 球受け ２３ ばね受け板 ２５ 弾性ダイアフラム ２６ 上端フランジ ２７ 環形凸条 ２８ 底面（背面） ２９ 側部 ３０ ブラケット

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 シリンダに収容したピストンを駆動用モ
   ータで作動させ分注を行う分注装置において、前記ピス
   トンと前記シリンダとの嵌合関係を所定隙間があるすき
   まばめとし、前記シリンダの中間位置には弾性ダイアフ
   ラムを備え、前記ピストンの先端を前記弾性ダイアフラ
   ムの背面側に結合し、前記所定隙間を前記弾性ダイアフ
   ラムの厚さよりも広くしたことを特徴とする分注装置。