JPH05148007A - セラミツクス製品の製造方法 - Google Patents

セラミツクス製品の製造方法

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JPH05148007A
JPH05148007A JP3310976A JP31097691A JPH05148007A JP H05148007 A JPH05148007 A JP H05148007A JP 3310976 A JP3310976 A JP 3310976A JP 31097691 A JP31097691 A JP 31097691A JP H05148007 A JPH05148007 A JP H05148007A
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molded body
organic binder
ceramic
product
degreasing
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JP3310976A
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Masaru Kumagai
勝 熊谷
Chihiro Shudo
千尋 周藤
Shusuke Inada
周介 稲田
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の目的は、材料の混練工程、成形体の脱
脂工程を短縮し、製品全体の製造時間を大幅に短縮する
ことが可能であり、また大型の製品であっても、製造工
程において割れ等の欠陥の発生が少なく、品質および量
産性を大幅に改善できるセラミックス製品の製造方法を
提供することにある。 【構成】本発明に係るセラミックス製品の製造方法は、
セラミックス原料粉末と有機バインダとを混合して混合
物を調製し、混合物を所定形状に成形して成形体とし、
この成形体を脱脂、焼結してセラミックス製品を製造す
るセラミックス製品の製造方法において、上記有機バイ
ンダとして熱硬化性樹脂を使用し、上記成形体を温度1
20〜200℃の範囲で1時間以内加熱処理して成形体
を硬化せしめるとともに成形体に含有される有機バイン
ダの揮散経路を成形体に形成し、引き続き成形体を脱脂
焼結することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はセラミックス製品の製造
方法に係り、特に製造時間を大幅に短縮することが可能
であり、また大型製品であっても製造工程において割れ
等の欠陥の発生が少なく品質および量産性を大幅に改善
できるセラミックス製品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来からセラミックス製品の一般的製造
方法としてセラミックス原料粉末と有機バインダとから
成る混合物を可塑化成形法によって所定形状に成形し、
脱脂した後に焼結せしめるという製法が種々提案されて
いる。
【0003】以下に可塑化成形法の代表例である射出成
形法を例にとって従来技術を説明する。射出成形法は本
来、高精度のプラスチックス製品を量産するために開発
された技術であるが、近年はセラミックスや金属等の粉
末や冶金分野にまで、その適用範囲を拡大した技術であ
る。従来の金型成形法においてはセラミックス原料粉末
に対して5〜10重量%程度と少量の有機バインダを添
加して成形用原料としているため、成形体の脱脂も比較
的容易に短時間で実施することが可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら射出成形
法においては、特に成形型内における成形用原料の良好
な流動性を確保するため、セラミックス原料粉末に対す
る有機バインダの添加量が20〜60重量%と極めて多
い。
【0005】そのため射出成形によって所定形状を付与
した後の脱脂工程において、不要になったバインダ成分
の除去が極めて困難であり、クラックや発泡等の欠陥が
生じ易く製品歩留りが低下する問題点があった。特に肉
厚の大型成形体についてはバインダ除去が著しく困難と
なっている。
【0006】従来使用されてきた有機バインダとしての
熱可塑性樹脂等を含む成形用材料においては、熱可塑性
樹脂等の加熱により流動性が付与され、かつ金型内の低
温度では固化する性質を有し、成形体を型から容易に取
り出すことが容易な有機バインダが使用されている。
【0007】一般に加熱により流動性を付与する成形法
においては、低温度条件下で固化する一方、高温条件下
に置くと軟化し流動性を現わす有機バインダが使用され
ている。そのため脱脂時の高温条件下においてはセラミ
ックス原料粉末と有機バインダとの混練物は、ほとんど
構造強度を持ち合せていない状態である。すなわち従来
のバインダ組成物では、高温度条件下におけるバインダ
強度はほとんどなく、粉体同士の絡み合いおよび粒子間
作用力のみによって、保形強度が維持されていると考え
られる。従って、この状態で急激に高温度まで加熱して
脱脂しようとすると、バインダの分解揮発成分のガス圧
によってクラック等の欠陥が発生してしまう。この傾向
は成形体の肉厚が大きくなるほど顕著になり、肉厚が1
0mmを超えると急速に脱脂が困難になる主な原因である
とされている。
【0008】このような状況から、通常、肉厚が10mm
以上となる大型の成形体を得るためには、ガス流および
温度パターンを高精度に制御した脱脂加熱炉内に生成形
体を配置し、150〜200時間と極めて長時間にわた
る昇温スケジュールに基づいて、緩速度で脱脂を遂行す
る必要があり、必然的にセラミックス製品の製造効率が
大幅に低下し量産性が乏しいという問題があった。しか
も、上記のように長時間にわたる慎重な脱脂操作を継続
した場合においても、脱脂後にクラック等の欠陥が発生
する割合が依然として高く、実用的な工業的製法とは成
り得ていない現状である。
【0009】また射出成形法においては、セラミックス
粉末に流動性を付与するために、上記のように多量の有
機成分を添加し、加圧型ニーダ等で混練して均一な成形
用材料を調製している。
【0010】ところで、一般に窒化物や炭化物等から成
るセラミックス粉末は樹脂との親和性(濡れ性)が低い
ため、両材料が互いになじみ合う程の親和性を得るまで
には、長時間の混練操作を必要とし、この長時間の混練
操作は他のバインダ成分の劣化を引き起す危険も高い欠
点があった。
【0011】この成形用材料におけるセラミックス粉末
と有機バインダとの混練性の良否は、成形体の品質に大
きく影響する。混練操作が不十分で不均一な成形用材料
を使用した場合には、成形体に欠陥が発生し易く、製品
品質が大幅に低下してしまう。そのため従来、射出成形
用材料は、長時間に渡って混練して調製されており、そ
の結果、セラミックス製品の製造効率が低下するひとつ
の原因となっていた。
【0012】また射出成形用材料の成形性の良否を判断
する目安として金型内の流動特性を知ることが必要であ
る。図4は加圧ニーダを使用して成形用材料を混練する
際のニーダの剪断速度と成形用材料の見掛け粘度との関
係を示すグラフである。
【0013】すなわち従来の成形用材料では、剪断速度
が大きな領域において粘度が大きくなるダイラタンシー
性を有している。この性質は剪断力等の外力を長時間作
用させると、成形用材料が硬化し、流動性が低下するこ
とを意味する。そこで実際に長時間にわたって混練して
調製した成形用材料で形成した成形体を破断し、その破
断面を観察したところ、図6に示すように、成形体1の
破断面には多数の微小な凹凸2が形成されており、組成
的に均一性が低いことが確認されている。
【0014】本発明は上記の問題点を解決するためにな
されたものであり、材料の混練工程、成形体の脱脂工程
を短縮し、全体の製造時間を大幅に短縮することが可能
であり、また大型の製品であっても、製造工程において
割れ等の欠陥の発生が少なく、品質および量産性を大幅
に改善できるセラミックス製品の製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本願第1の発明は、セラミックス原料粉末と有機バ
インダとを混合して混合物を調製し、混合物を所定形状
に成形して成形体とし、この成形体を脱脂、焼結してセ
ラミックス製品を製造するセラミックス製品の製造方法
において、上記有機バインダとして熱硬化性樹脂を使用
し、上記成形体を温度120〜200℃の範囲で1時間
以内加熱処理して成形体を硬化せしめるとともに成形体
に含有される有機バインダの揮散経路を成形体に形成
し、引き続き成形体を脱脂焼結することを特徴とする。
【0016】また、加熱処理工程において、成形体に含
有された有機バインダの5重量%以上を揮散せしめ除去
するとよい。
【0017】さらに本願第2の発明は、セラミックス原
料粉末と有機バインダとを混合して混合物を調製し、混
合物を所定形状に成形して成形体とし、この成形体を脱
脂、焼結してセラミックス製品を製造するセラミックス
製品の製造方法において、上記セラミックス原料粉末お
よび有機バインダの少くとも一方を、室温を超え、かつ
有機バインダの分解温度未満の温度にて予備加熱するこ
とを特徴とする。
【0018】さらに有機バインダとして平均粒径が1mm
以下の樹脂組成物を使用するとよい。
【0019】ここで、上記製造方法において使用される
セラミックス原料粉末は、主として無機質の化合物を主
体とする混合物であって、そのうちでも特に代表的なも
のを例示すれば、アルミナ、ジルコニア、チタニア、ム
ライト、ベリリア、コージェライト、ジルコン、サイア
ロン、窒化珪素、炭化珪素、窒化アルミニウム、窒化硼
素もしくはフェライトなどの酸化物系ならびに非酸化物
系の汎用セラミックス原料の一種あるいはこれらの混合
物を主体とし、さらに炭酸マグネシウム、炭酸カルシウ
ム、酸化イットリウム、酸化セリウムもしくは珪酸など
のような公知慣用の焼結助剤や、Li2 O、BaO、T
2 3 、PtもしくはPdなどの電気的性質を変化さ
せるような各種の添加剤を加えたものである。
【0020】有機バインダたる熱硬化性樹脂としては不
飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ系樹
脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱硬化型
ウレタン樹脂または熱硬化型アクリル樹脂などが代表的
なものであるが、特に、不飽和ポリエステル樹脂が好ま
しい。
【0021】また本発明方法において使用される有機バ
インダとしては、平均粒径が1mm以下の樹脂組成物を使
用することが重要である。すなわち本発明者らは、欠陥
のない均質なセラミックス製品を得ることが可能な有機
バインダ成分の粒径の大小について研究を重ねた。その
結果セラミックス射出成形用材料において、有機バイン
ダ成分がセラミックス粉末と最も良くなじむ粒径の大き
さは1mm以下であることが判明した。
【0022】本発明方法で使用するセラミックス射出成
形用材料では、有機バインダ成分を構成する樹脂、滑剤
などの各成分の粒子は粒径が1mm以下であり、有機バイ
ンダの成分とセラミックス粉末とが均一に分散して混合
する。これは有機バインダの成分の粒径がこの大きさで
あると、セラミックス原料粉末とのなじみが良く、この
セラミックス原料粉末に対して均一に分散して混合する
ためであると考えられる。従って有機バインダの粉末は
セラミックス粉末と良好になじむために、混合過程で容
易且つ均一に分散して混合される。
【0023】本発明方法を実施するに際して、上記セラ
ミックス原料粉末と有機バインダとの混合は、いかなる
混合機、撹拌機によっても可能ではあるが、加圧式ニー
ダ、加熱式の真空押出機、真空混合撹拌機、双腕式ニー
ダ、ロールあるいは一軸または多軸の混合機などによる
のが好適である。
【0024】上記混合物を調製するに当っての混合比
は、上記セラミックス原料粉末の100重量部に対して
上記有機バインダの8〜60重量部、好ましくは20〜
40重量部となるように設定するとよい。
【0025】上記有機バインダの量が過少のときは混合
物の流動性が低下して、成形不良となり易く、逆に多す
ぎる場合には、脱脂工程ないしは焼成工程においてクラ
ックや収縮変形などのトラブルが生じ易くなる。
【0026】当該混合物のうち有機バインダ成分として
は、熱硬化性樹脂のほかに、本発明の目的を逸脱しない
範囲において、分散性、滑性、可撓性、収縮防止、離型
性、溶融粘度の調整または気孔率の調整などの物性効果
がある各種の添加剤を配合するとよい。
【0027】この添加剤としては、パラフィンのような
ワックス類、油脂類またはそれらの誘導体、エチレング
リコールやジブチルフタレートもしくはジオクチルフタ
レートなどの溶剤類または可塑剤類、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、塩素化
ポリエチレン、ポリシロキサン、アクリル酸系ポリマ
ー、ポリスチレン、ポリオキシエチレンまたはポリオキ
シプロピレンなどの各種の熱可塑性樹脂類が採用され
る。
【0028】また上記成形体の加熱処理条件は、温度1
20〜200℃の範囲で1時間以内に設定される。加熱
温度が120℃未満の場合は成形体が充分に硬化せず、
一方加熱温度が200℃を超えると硬化が急速に進行し
て硬度の調整が困難になる。また加熱処理温度が高過ぎ
るとポリスチレンなどの有機バインダ構成成分が互いに
凝集して分散性が悪化する。従って加熱処理温度は有機
バインダの分解温度未満に設定することが必要である。
【0029】ここで加熱処理後におけるセラミックス成
形体の硬度は、スプリング式硬度計(HD−100Nシ
リーズ、上島製作所製)にて計測して50以上、好まし
くは80以上に調整するとよい。成形体の硬度が50未
満であると、成形体の構造強度が不充分であり、脱脂時
に発生する分解ガスの圧力によって割れを生じ易くな
る。またセラミックス成形体を硬化させるに要する時間
は1時間以内と短時間に設定することが肝要である。こ
の硬化時間が1時間を超えると、成形体に割れが発生し
易くなるからである。
【0030】また上記加熱処理時に、成形体に含まれる
全バインダの5重量以上を除去することにより、成形体
内部に多孔状の揮散経路が形成され、脱脂時に発生した
バインダ等の分解ガスは、上記揮散経路を通って円滑に
系外に排出される。ここでバインダの除去率が5重量%
未満の場合には、上記揮散経路の生成量が不充分にな
る。
【0031】こうして脱脂された成形体は、引き続き焼
結工程でセラミックス原料粉末の種類に応じた焼結温度
にて所定時間焼結され、各種工業用セラミックス、電子
材料用セラミックス等の製品として仕上げられる。
【0032】
【作用】上記構成に係るセラミックス製品の製造方法に
よれば、誘起バインダとして熱硬化性樹脂を使用してお
り、脱脂工程に入る前に成形体を所定の温度範囲で短時
間加熱処理して硬化せしめているため、成形体の構造強
度が従来より高められる。したがって、分解、揮発した
バインダ成分のガス圧によって成形体にクラックが発生
したり成形体が変形したり破損するおそれが少なく、脱
脂工程における加熱速度を大きく設定することが可能に
なり、セラミックス製品の製造効率を大幅に改善するこ
とができる。
【0033】また上記加熱処理によって成形体に含有さ
れる有機バインダの揮散経路が多孔状に形成されるた
め、脱脂効率が良好になる。特に加熱処理工程におい
て、成形体に含有された有機バインダの5重量%以上を
揮散させることにより、充分な揮散経路を形成すること
ができる。
【0034】さらにセラミックス原料粉末および有機バ
インダの少なくとも一方を予備加熱することにより、両
者の親和性(濡れ性)が高まり、また吸湿等によって団
塊状に固着した原料を微細化することが可能となる。そ
の結果、短時間の混練操作によって均一な成形用材料を
調製することができ、またバインダ成分の劣化も起こら
ず、高品質のセラミックス製品を短時間で製造すること
が可能となる。
【0035】
【実施例】次に本発明の一実施例について図面を参照
し、さらに比較例とともに、より具体的に説明する。
【0036】実施例1 平均粒径1μmの窒化けい素粉末に対して下記組成を有
するバインダ溶液を体積費で50%添加し、温度80℃
に設定した加圧ニーダにて60分間解砕混練して成形用
材料を調製した。
【0037】
【外1】 次に調製した成形用材料を使用し、シリンダ温度が10
0℃であり、金型温度が40℃であり、かつ射出圧力が
1000kg/cm2 なる条件で射出成形を実施し、直径2
00mm×厚さ30mmの円柱状の大型肉厚成形体(グリー
ン体)を形成した。
【0038】次に得られた成形体を、炉内温度180℃
に設定した電気炉(オーブン)内に1時間投入し、加熱
処理を行い硬化せしめた。加熱硬化処理後における成形
体の硬度は、前記スプリング式硬度計で測定した結果、
95であった。またバインダの除去率(減量率)は9重
量%であった。この時点において成形体に割れやポア等
の欠陥は観察されなかった。
【0039】次に硬化処理を行った成形体を、温度18
0℃に設定した脱脂加熱炉に配置し、5℃/Hrの昇温
速度で温度350℃まで加熱し、さらに10℃/Hrの
昇温速度で600℃まで加熱した。脱脂処理は窒素ガス
雰囲気で実施した。脱脂後の成形体中のバインダ減量率
は99.7%であり、また外観検査を実施したが成形体
に割れやポアは発見されなかった。
【0040】次に得られた成形体を、常圧の窒素ガス雰
囲気において温度1750℃で6時間焼結して、円柱状
のセラミックス焼結体を製造した。得られた焼結体につ
いてX線検査を実施するとともに外観検査を行ったが、
焼結体内部にポアは観察されず、外表面部に割れ等の欠
陥は認められなかった。
【0041】比較例1 一方比較例1として、実施例1で調製した生成形体につ
いて、加熱処理による硬化を行なわずに、直接室温の脱
脂加熱炉に配置し、5℃/Hrの昇温速度で室温から3
50℃まで加熱し、さらに10℃/Hrの昇温速度で6
00℃まで加熱するという従来の脱脂温度パターンに従
って脱脂処理を行った。しかし室温から昇温操作を開始
したため、成形体の硬化までに約20時間要した上、脱
脂中における成形体強度が低いため、全試料数の65%
に割れを生じた。
【0042】上記実施例1および比較例1の成形体を脱
脂する際の時間と温度との経時変化を図2に示す。図2
から明らかなように実施例1における成形体では、有機
バインダとして熱硬化性樹脂を使用し、予め加熱硬化処
理を行っているため、成形体の構造強度が高く、変形や
割れの発生が少ない。特に脱脂前の加熱硬化処理に要す
る時間(1時間以内)および脱脂後の冷却時間を加えて
も、脱脂処理に要する時間を、従来の120時間程度か
ら90時間程度まで大幅に低減することができた。従っ
て高品質の大型(セラミックス)製品を効率的に製造す
ることができた。
【0043】なお脱脂前に成形体を加熱して硬化させる
温度と成形体の硬度との関係を調査するために、加熱炉
の温度を110℃から170℃まで変化させ、それぞれ
生成形体を1時間処理した後の成形体の硬度を前記スプ
リング式硬度計を使用して測定したところ図1に示す結
果を得た。
【0044】図1に示すグラフから明らかなように、加
熱処理温度が120℃未満の場合には成形体が充分に硬
化せず、一方、温度が200℃を越える場合には、硬化
が急速に進行して、硬度の調整が困難となる上にふくれ
や割れが発生し易くなる。
【0045】また上記加熱処理温度条件下における成形
体中の有機バインダの除去率(減量率)を測定したとこ
ろ、下記の結果が得られた。
【0046】
【外2】 処理温度が150℃以上であれば成形体中に、有機バイ
ンダの揮散経路が充分に形成されており、脱脂状況が良
好であった。
【0047】実施例2 平均粒径0.8μmの窒化けい素粉末100重量部に対
して、熱可塑性樹脂としてのポリスチレン(平均粒径1
00μm)を10重量部添加し、ヘンシェルミキサーで
30分間予備混合し、さらに得られた混合体を、器内温
度を100℃に設定した乾燥器に投入して10時間予備
加熱を実施した。こうして予備混合、予備加熱した混合
体を、温度150℃に設定した加圧ニーダ(東伸製)に
投入し30分間混練した。さらに窒化けい素粉末100
重量部に対して可塑剤としてのジオクチルフタレート
(D.O.P.)を4重量部と、滑剤としてのパラフィ
ンワックスを5重量部と、その他添加剤を6重量部とか
ら成る有機バインダ15重量部を添加し、さらに1時間
混練した。
【0048】そして得られた混練物の流動性を評価する
ために、加圧ニーダの剪断速度と混練物の見掛け粘度と
の関係を測定し、図4に示す結果を得た。すなわち実施
例2で調製した混練物についての剪断速度と見掛け密度
との関係は、従来例のプラスチックの場合と同様にほぼ
直線状になり、成形性が極めて良好であることが判明し
た。
【0049】また実施例2で得られた混練物を加圧ニー
ダから取り出し、冷却した後に、造粒機を使用して粒径
5mm以下の射出成形用材料(ペレット)を調製した。次
に得られた射出成形用材料を使用し、実施例1で使用し
た射出成形機で射出成形し、自動車用エンジンの駆動弁
系に使用するロッドリンクの成形体を形成した。このロ
ッドリンク成形体は直径10mm×長さ40mmで軸方向両
端部は半球面状に形成された桿状の部材である。
【0050】そして図5に示すようにロッドリンク成形
体3を破断して、その破断面を観察したところ、極めて
平滑であり、原料となった混練物の均一性が極めて優れ
ていることが確認された。またロッドリンク成形体3を
X線検査したところ、内部にポアや割れ等の欠陥は検出
されなかった。
【0051】さらにロッドリンク成形体3を温度600
℃で2時間加熱して脱脂処理を行い、しかる後に180
0℃で5時間焼結してロッドリンク焼結体を多数製造し
たが、密度は3.20〜3.23であり、いずれも十分
な緻密度を有し、割れやポアなどの欠陥は脱脂後と同様
に検出されず高品質のロッドリンクが得られた。
【0052】比較例2 比較例2として実施例2で使用した各成分と同一配合割
合で窒化けい素粉末およびバインダ溶液を混合し、予備
混合および予備加熱を実施しない以外は、実施例2と同
一条件で処理して混練機およびロッドリンク成形体を形
成し、その特性を比較評価した。
【0053】その結果、比較例2で調製した混練体の流
動特性は、図4に示すように、ニーダの攪拌剪断速度が
大きな領域で粘度が上昇するダイラタンシー性を現わ
し、流動性の悪いことが判明した。またロッドリンク成
形体の破断面を観察したところ、図6に示すように破断
面に多数の凹凸2が観察され、混練物の組成の均一性が
低いことが判明した。
【0054】次に実施例2および比較例2においてそれ
ぞれ調製した混練物について、加圧ニーダの攪拌トルク
の経時変化を測定し図3に示す結果を得た。
【0055】図3のグラフから明らかなように、原材料
の予備混合および予備加熱を実施しない比較例2の場合
では、攪拌トルクが一定して均一組成となるまでに60
分を要する一方、予備混合および予備加熱した実施例2
の場合では攪拌混練時間を約1/2程度に短縮すること
ができた。すなわち原材料に対して簡単な予備混合およ
び予備加熱操作を施すことにより、加圧ニーダに冷たい
原料粉末等を追加して添加する際に生じる温度降下を効
果的に防止でき、混練作業をより短時間に効果的に実行
することが可能となった。
【0056】以上の実施例においては、射出成形法を使
用した場合のセラミックス製品の製造方法について述べ
ているが、本発明方法は射出成形に限らず、押出成形法
等の他の可塑化成形法を利用した製造方法にも同様に適
用することができる。
【0057】
【発明の効果】以上説明の通り本発明に係るセラミック
ス製品の製造方法によれば、有機バインダとして熱硬化
性樹脂を使用しており、脱脂工程に入る前に成形体を所
定の温度範囲で短時間加熱処理して硬化せしめているた
め、成形体の構造強度が従来より高められる。従って分
解、揮発したバインダ成分のガス圧によってクラックが
発生したり成形体が変形したり破損する恐れが少なく、
脱脂工程における加熱速度を大きく設定することが可能
になり、セラミックス製品の製造効率を大幅に改善する
ことができる。
【0058】また上記加熱処理によって成形体に含有さ
れる有機バインダの揮散経路が多孔状に形成されるた
め、脱脂効率が良好になる。特に加熱処理工程におい
て、成形体に含有された有機バインダの5重量%以上を
揮散させることにより、充分な揮散経路を形成すること
ができる。
【0059】さらにセラミックス原料粉末および有機バ
インダの少くとも一方を予備加熱することにより、両者
の親和性(濡れ性)が高まり、また吸湿等によって団塊
状に固着した原料を微細化することが可能となる。その
結果、短時間の混練操作によって均一な成形用材料を調
製することができ、またバインダ成分の劣化も起らず、
高品質のセラミックス製品を短時間で製造することが可
能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】硬化処理時間と成形体の硬度との関係を示すグ
ラフ。
【図2】成形体の脱脂加熱時間と加熱温度との関係を示
すグラフ。
【図3】成形用材料の混練時間と攪拌トルクとの関係を
示すグラフ。
【図4】成形用材料における剪断速度と見掛け粘度との
関係を従来例とともに示すグラフ。
【図5】実施例の成形体の破断面の状態を示す斜視図。
【図6】従来の成形体の破断面の状態を示す斜視図。
【符号の説明】
1 成形体 2 凹凸 3 ロッドリンク成形体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス原料粉末と有機バインダと
    を混合して混合物を調製し、混合物を所定形状に成形し
    て成形体とし、この成形体を脱脂、焼結してセラミック
    ス製品を製造するセラミックス製品の製造方法におい
    て、上記有機バインダとして熱硬化性樹脂を使用し、上
    記成形体を温度120〜200℃の範囲で1時間以内加
    熱処理して成形体を硬化せしめるとともに成形体に含有
    される有機バインダの揮散経路を成形体に形成し、引き
    続き成形体を脱脂焼結することを特徴とするセラミック
    ス製品の製造方法。
  2. 【請求項2】 加熱処理工程において、成形体に含有さ
    れた有機バインダの5重量%以上を揮散せしめ除去する
    ことを特徴とする請求項1記載のセラミックス製品の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 セラミックス原料粉末と有機バインダと
    を混合して混合物を調製し、混合物を所定形状に成形し
    て成形体とし、この成形体を脱脂、焼結してセラミック
    ス製品を製造するセラミックス製品の製造方法におい
    て、上記セラミックス原料粉末および有機バインダの少
    くとも一方を、室温を超え、かつ有機バインダの分解温
    度未満の温度にて予備加熱することを特徴とするセラミ
    ックス製品の製造方法。
  4. 【請求項4】 有機バインダとして平均粒径が1mm以下
    の樹脂組成物を使用することを特徴とする請求項3記載
    のセラミックス製品の製造方法。
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