JPH05145367A - 弾性表面波装置 - Google Patents

弾性表面波装置

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JPH05145367A
JPH05145367A JP1876792A JP1876792A JPH05145367A JP H05145367 A JPH05145367 A JP H05145367A JP 1876792 A JP1876792 A JP 1876792A JP 1876792 A JP1876792 A JP 1876792A JP H05145367 A JPH05145367 A JP H05145367A
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electrode
surface acoustic
acoustic wave
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output
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JP1876792A
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English (en)
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Tsutomu Nagatsuka
勉 永塚
Shiyuuzou Wakou
修三 和高
Koichiro Misu
幸一郎 三須
Tomonori Kimura
友則 木村
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 挿入損失が小さく、かつ、帯域外特性が良好
な弾性表面波フィルタを得る。 【構成】 複数個の入力側すだれ状電極と複数個の出力
側すだれ状電極とを圧電体基板上で弾性表面波の伝搬方
向に沿って交互に配列し、上記入力側すだれ状電極と上
記出力側すだれ状電極との間の複数個ある中心間距離に
対応する電気長を概略中心周波数での2分の1波長を基
準として異なるようになし、上記各出力側すだれ状電極
により受信された出力電気信号が上記複数個の出力側す
だれ状電極間で、概略中心周波数において同相になるよ
うにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、弾性表面波装置に係
わり、例えば、多電極構成で低損失かつ帯域内外特性の
優れた弾性表面波フィルタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、低損失な弾性表面波装置を実現す
る方法として、入力電気信号を弾性表面波に変換する複
数個の入力側すだれ状電極と、入力側すだれ状電極によ
り励振された弾性表面波を出力電気信号に変換する複数
個の出力側すだれ状電極とを、圧電体基板上で弾性表面
波の伝搬方向に沿って交互に配列してなる、いわゆる多
電極構成がよく用いられている。
【0003】この構成の弾性表面波装置は、1972年
に提案されたものであり、M.F.Lewis, El
ectronics Letters Vol.8 N
o.23 (1972) p.553に示されている
が、その後、これを基にした種々の構成が提案されてい
る。
【0004】この種の弾性表面波装置の従来例の構成を
図17を参照しながら説明する。図17は、実公平2−
41950に開示された従来の5電極構成を用いた弾性
表面波装置を示す構成図である。
【0005】図17において、従来の弾性表面波装置
は、圧電体基板1に、3個の入力側すだれ状電極2と、
2個の出力側すだれ状電極3とを、弾性表面波の伝搬方
向に沿って交互に配列し、入力側すだれ状電極2を入力
側端子4に接続するとともに、出力側すだれ状電極3を
出力側端子5に接続して構成されている。
【0006】なお、説明を簡単にするため、図17で
は、実公平2−41950に開示されたものとは、入力
側端子4と出力側端子5とを逆転して示している。これ
は、弾性表面波装置の通過特性が、入力側端子4と出力
側端子5とを逆転させても全く変わらないことによる。
【0007】次に、上記の従来例の動作を説明する。入
力側端子4に供給された入力電気信号の電力は、入力側
すだれ状電極2に3分の1ずつ分配され、入力側すだれ
状電極2により弾性表面波に変換される。変換された弾
性表面波は、図17中、矢印で示すように、入力側すだ
れ状電極2の両側に向かって伝搬し、出力側すだれ状電
極3に到達する。出力側すだれ状電極3は、到達した弾
性表面波を受信して電気信号に変換する。変換された電
気信号は、出力側端子5から出力電気信号として出力さ
れる。
【0008】ここで、最外側の入力側すだれ状電極2か
ら圧電体基板1の両端部に向かって伝搬した弾性表面波
は、出力側すだれ状電極3により受信されない。したが
って、圧電体基板1の両端部に向かった合計3分の1の
電力を捨てることになる。これによる弾性表面波装置の
挿入損失は、弾性表面波が双方向に伝搬することに起因
して生じた損失である。
【0009】一般に、入力側すだれ状電極2の数をM
個、出力側すだれ状電極3の数を(M−1)個とすれ
ば、上述した双方向性に起因して生じる損失は、−10
×Log((M−1)/M)デシベルとなる。したがっ
て、入力側すだれ状電極2、及び、出力側すだれ状電極
3の数を増加すれば、挿入損失を小さくできる。
【0010】しかし、同じく実公平2−41950に開
示されているように、多電極構成を用いると、入力側す
だれ状電極2と出力側すだれ状電極3とをそれぞれ1個
づつ用いた2電極構成の場合に比べて、弾性表面波装置
の挿入損失は小さくできるが、2電極構成の場合に比べ
て、帯域外特性が劣化する問題がある。
【0011】これについて、図18を参照しながら説明
する。図18(a)〜(c)は、同じく実公平2−41
950に開示された弾性表面波装置の特性を示す図であ
り、図18(a)は多電極構成の弾性表面波装置の特性
を説明するための図、図18(b)は2電極構成の弾性
表面波装置の特性を示す図、図18(c)は多電極構成
の弾性表面波装置の特性を示す図である。
【0012】図18(a)において、多電極構成の弾性
表面波装置では、Δf2 の周期で尖鋭状の帯域外減衰量
の劣化が生じることを示している。ここで、Δf2 は、
foλ/(2L)で与えられ、foは弾性表面波装置の
中心周波数、λは弾性表面波の波長、Lは、図17に示
すように、入力側すだれ状電極2と出力側すだれ状電極
3との間の中心間距離である。
【0013】図18(b)において、2電極構成の弾性
表面波装置は、減衰極がΔf1 の周期で現れるように設
計されている。実公平2−41950では、このように
設計した2電極構成の入力側すだれ状電極2と出力側す
だれ状電極3とを、それぞれ複数個用いて多電極構成の
弾性表面波装置を構成すると、挿入損失は小さくできる
が、図18(a)に示す尖鋭状の帯域外減衰量の劣化
が、図18(b)に示す特性に加算されるので、全体と
して、帯域外減衰量が劣化すると述べている。
【0014】これを避けるため、実公平2−41950
では、尖鋭状の帯域外減衰量の劣化が生じる周期Δf2
を、減衰極が生じる周期Δf1に一致させるように、入
力側すだれ状電極2と出力側すだれ状電極3との間の中
心間距離Lを設定することにより、図18(c)に示す
ように、多電極構成としたことによる帯域外減衰量の劣
化を小さくするようにしている。
【0015】しかしながら、上述した従来例の構成で
は、減衰極がΔf1の周期で現れるように設計した入力
側すだれ状電極2と出力側すだれ状電極3とを用いた場
合のみ、多電極構成としたことにより生じる帯域外減衰
量の劣化を小さくできるのみであり、減衰極が単一周期
で現れないような入力側すだれ状電極2と出力側すだれ
状電極3とを用いた場合には、上述した従来の方法は適
用できない欠点がある。
【0016】特に、入力側すだれ状電極2と出力側すだ
れ状電極3の一方、あるいは、両方とも重み付けした電
極を用いた場合には減衰極は周期的には現れない。
【0017】図19は、特開昭62−115に開示され
た多電極構成を用いた弾性表面波装置の従来の他の構成
を示したものであり、図17に示した従来のこの種の弾
性表面波装置と同様に、帯域外減衰量の劣化を小さくす
ることを目的としたものである。
【0018】図19を参照しながら、従来の弾性表面波
装置の構成について説明する。図19において、4個の
入力側すだれ状電極2と、5個の出力側すだれ状電極3
とが、弾性表面波の伝搬方向に沿って交互に配列されて
いる。隣接する入力側すだれ状電極2と出力側すだれ状
電極3との中心間距離L1〜L8(図中に示す)は、こ
れらの内、2つの間の距離差が、中心周波数における波
長をλで表したとき、λの整数倍となるように設定して
ある。さらに、この条件を保ちつつ、上記2つの間の距
離差が場所により異なるようにしてある。
【0019】なお、4個の入力側すだれ状電極2は、す
べて同一構造であり、これら4個は、1個の入力側すだ
れ状電極2を弾性表面波の伝搬方向に沿って平行移動し
た形で配置されている。さらに、4個の入力側すだれ状
電極2から入力側端子4に接続するリード線の取出し位
置、および、これらの入力側すだれ状電極2から接地側
へのリード線の取出し位置は、すべての入力側すだれ状
電極2について同一である。同様に、5個の出力側すだ
れ状電極3もすべて同一構造であり、これら5個は、1
個の出力側すだれ状電極3を弾性表面波の伝搬方向に沿
って平行移動した形で配置されている。さらに、5個の
出力側すだれ状電極3から出力側端子5に接続するリー
ド線の取出し位置、および、これらの出力側すだれ状電
極3から接地側へのリード線の取出し位置も、すべての
出力側すだれ状電極3について同一である。
【0020】続いて、上述した従来例の効果について、
図20を参照しながら説明する。図20は、同じく特開
昭62−115に開示された図であり、図19に示した
従来例の効果を説明するための特性図である。図20に
おいて、実線Iは図19に示した構成の特性を示す図で
あり、一点鎖線IIは中心間距離L1〜L8を全て等し
くして構成した場合の特性を示す図である。実線Iの方
が帯域外減衰量が大きく優れている。
【0021】この理由として、特開昭62−115で
は、中心間距離L1〜L8を前述のように設定したの
で、減衰域の各出力側すだれ状電極3からの電気信号の
位相をずらすことができたからであると述べている。
【0022】しかし、中心間距離L1〜L8をλを基準
値として異なるように設定すると、これらの内、2つの
間の距離差の最大値が大きくなる。したがって、所要帯
域内における周波数においても、中心周波数から少しず
れた周波数では、各出力側すだれ状電極3からの出力電
気信号の位相のずれが大きくなる。したがって、所要帯
域内周波数において、中心周波数からずれた周波数で
は、挿入損失が大きくなり、このため、2電極構成の場
合に比べて、帯域幅が狭くなる欠点がある。
【0023】また、弾性表面波の伝搬に伴う減衰が大き
い圧電体基板1を用いた場合には、中心間距離L1〜L
8をλを基準値として異なるように設定すると、これら
のうち、2つの間の距離差の最大値が大きくなるので、
各出力側すだれ状電極3からの出力電気信号の振幅のア
ンバランスが大きくなり、このため、帯域内、帯域外特
性とも良好な特性を得られない欠点も生じる。また、λ
を基準値として中心間距離が異なるように設定すると、
中心間距離L1〜L8の最大値も大きくなるので、中心
周波数に置ける挿入損失も大きくなることは言うまでも
ない。
【0024】さらに、中心間距離L1〜L8を、λを基
準値として異なるように設定するのでは、設定の自由度
も小さい。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】上述したような従来の
弾性表面波装置では、入力側すだれ状電極2と出力側す
だれ状電極3の数を増していけば、挿入損失を小さくで
きるが、帯域外特性が劣化するという問題があった。ま
た、帯域外減衰量の改善を図ろうとしても、使用できる
入力側すだれ状電極2と出力側すだれ状電極3が限定さ
れたり、帯域内、帯域外特性が劣化したり、構成上自由
度が小さくなるなどの問題があった。
【0026】また、以上のような多電極構成を用いた弾
性表面波装置では、双方向性に起因して生じる損失を十
分小さくしようとすると、入力側電極2の数や出力側電
極3の数を非常に多くする必要がある。このため、圧電
体基板1の表面に、多数の入力側電極2や出力側電極3
を配置する必要が生じ、圧電体基板1の大きさが大きく
なる。また、入力側電極2や出力側電極3を、それぞれ
多数並列に接続するため、入力側端子4や出力側端子5
から見込んだ弾性表面波装置の電気的インピーダンスが
非常に小さくなり、外部に接続する電気回路との整合が
とりにくく、帯域内特性が劣化する。さらに、入力側電
極2や出力側電極3の開口長を小さくすることによっ
て、電気的インピーダンスを大きくし、外部に接続する
電気回路との整合がとれるようにすることもできるが、
この場合、弾性表面波の回折に伴って生じる損失が大き
くなってしまい、かえって挿入損失が大きくなる。以上
のことから、従来の弾性表面波装置では、挿入損失を十
分小さくするためには、多数の入力側電極2、および、
出力側電極3が必要となり、圧電体基板1が大きくなっ
てしまったり、外部の電気回路との整合がとりにくくな
る問題や、弾性表面波の回折の影響などにより、帯域内
特性が悪くなったりする問題があった。
【0027】なお、上述した問題点を解決するためにな
された発明として、特開昭58−154917に示され
た多電極を構成する各電極の交差指の対数を中央部にお
いて両端部より多くした構成の弾性表面波バンドパスフ
ィルタがあるが、この発明は、上述した問題点を解決す
るために、上記弾性表面波バンドパスフィルタとは異な
る構成により多電極設計の自由度を大きくした、帯域内
特性が優れ、かつ、低損失で小形な弾性表面波装置を得
ることを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】請求項1の弾性表面波装
置は、入力電気信号を弾性表面波に変換する複数個の入
力側すだれ状電極と、逆に弾性表面波を出力電気信号に
変換する複数個の出力側すだれ状電極とを、圧電体基板
上で弾性表面波の伝搬方向に沿って交互に配列し、上記
入力側すだれ状電極と上記出力側すだれ状電極との間の
複数個の中心間距離を弾性表面波装置の中心周波数ある
いはその近傍の周波数における2分の1波長を基準とし
て、異なるようにしたものである。
【0029】請求項2の弾性表面波装置は、圧電体基板
上に形成され、入力電気信号を弾性表面波に変換する入
力側電極と、上記入力側電極により励振された弾性表面
波を出力電気信号に変換する出力側電極とを弾性表面波
の伝搬方向に交互に配列した多電極構成の弾性表面波装
置において、互いに隣接する上記入力側電極と上記出力
側電極との中心間の間隔のそれぞれに対応する電気長の
差を概略中心周波数においてπの整数倍に設定し、上記
中心間の間隔の少なくとも1つの間隔は他の間隔とπの
奇数倍異なるようになし、入力側電極または出力側電極
の一つと、これを挟んで配列された二つの電極との中心
間の間隔のそれぞれに対応する電気長の差が概略中心周
波数においてπの奇数倍のところは上記二つの電極の互
いに対向する電極指の極性が逆になるように、また、π
の偶数倍のところは上記二つの電極の互いに対向する電
極指の極性が同一になるようにしたものである。
【0030】また、請求項3の弾性表面波装置は、圧電
体基板上に形成され、入力電気信号を弾性表面波に変換
する入力側電極と、上記入力側電極により励振された弾
性表面波を出力電気信号に変換する出力側電極とを弾性
表面波の伝搬方向に交互に配列した多電極構成の弾性表
面波装置において、互いに隣接する上記入力側電極と上
記出力側電極との中心間の間隔のそれぞれに対応する電
気長の差を概略中心周波数においてπの整数倍に設定
し、上記中心間の間隔のそれぞれに対応する電気長の差
が上記配列の一方向で少なくとも一定方向の変化をする
ようになし、入力側電極または出力側電極一つと、これ
を挟んで配列された二つの電極との中心間の間隔のそれ
ぞれに対応する電気長の差が概略中心周波数においてπ
の奇数倍のところは上記二つの電極の互いに対向する電
極指の極性が逆になるように、また、πの偶数倍のとこ
ろは上記二つの電極の互いに対向する電極指の極性が同
一になるようにしたものである。
【0031】さらに、請求項4の弾性表面波装置は、圧
電体基板1の表面の電極の無い領域の弾性表面波の伝搬
方向に沿った距離を、約2分の1波長の整数倍に設定し
たものである。
【0032】請求項5の発明に係わる弾性表面波装置
は、弾性表面波を伝搬する基板上に、入力電気信号を弾
性表面波に変換する入力側の電極と、上記入力側の電極
により励振された弾性表面波を出力電気信号に変換する
出力側の電極とを弾性表面波の伝搬方向に交互に複数個
配列した多電極を備えた弾性表面波装置において、少な
くとも上記多電極の両端に配置された電極を、複数の電
極を直列に接続して形成したものである。
【0033】請求項6の発明に係わる弾性表面波装置
は、弾性表面波を伝搬する基板上に、入力電気信号を弾
性表面波に変換する入力側の電極と、上記入力側の電極
により励振された弾性表面波を出力電気信号に変換する
出力側の電極とを弾性表面波の伝搬方向に交互に複数個
配列した多電極を備えた弾性表面波装置において、上記
多電極の両端に配置された電極を含む入力側の電極ある
いは出力側の電極を、複数の電極を直列に接続して形成
し、直列に接続する電極の数を多電極の中央部より両端
を増加させ、かつ、両端に行くにつれて少なくとも減少
させないものである。
【0034】請求項7の発明に係わる弾性表面波装置
は、弾性表面波を伝搬する基板状に、入力電気信号を弾
性表面波に変換する入力側の電極と、上記入力側の電極
により励振された弾性表面波を出力電気信号に変換する
出力側の電極とを弾性表面波の伝搬方向に交互に複数個
配列した多電極を備えた弾性表面波装置において、上記
多電極の両端に配置された電極を含む入力側の電極およ
び出力側の電極を、複数の電極を直列に接続して形成
し、直列に接続する電極の数を多電極の中央部より両端
を増加させ、かつ、両端に行くにつれて少なくとも減少
させないものである。
【0035】
【作用】この発明における請求項1の弾性表面波装置
は、複数個の入力側すだれ状電極と複数個の出力側すだ
れ状電極とを、圧電体基板上で弾性表面波の伝搬方向に
沿って交互に配列したことにより、挿入損失を小さくで
きるとともに、入力側すだれ状電極と出力側すだれ状電
極との間の複数個ある中心間距離を、中心周波数あるい
はその近傍の周波数における2分の1波長を基準とし
て、ばらばらにしたことにより、帯域内の挿入損失は小
さく保ったまま、帯域外の減衰量を大きくできる。
【0036】この発明における請求項2の弾性表面波装
置は、多電極構成の弾性表面波装置において、互いに隣
接する入力側電極と出力側電極との中心間の間隔のそれ
ぞれに対応する電気長の差を概略中心周波数においてπ
の整数倍に設定し、上記中心間の間隔の少なくとも1つ
の間隔は他の間隔とπの奇数倍異なるようになし、入力
側電極または出力側電極の一つと、これを挟んで配列さ
れた二つの電極との中心間の間隔のそれぞれに対応する
電気長の差が概略中心周波数においてπの奇数倍のとこ
ろは上記二つの電極の互いに対向する電極指の極性が逆
になるように、また、πの偶数倍のところは上記二つの
電極の互いに対向する電極指の極性が同一になるように
したので、概略中心周波数においては互いに隣接する入
力側電極と出力側電極との中心間の間隔のそれぞれに対
応する電気長の差がπの奇数倍のところでは、一つの出
力側電極で受信される弾性表面波は隣接する二つの入力
側電極から逆相で送出され、さらに電気長の差により位
相がπの奇数倍ずらされるため同相で受信され、帯域外
の周波数では上記関係がないのでばらついた位相で受信
される。従って、帯域内では低損失で帯域外の減衰量が
大きいフィルタ特性を実現する。また、互いに隣接する
入力側電極と出力側電極との中心間の間隔のそれぞれに
対応する電気長の差を概略中心周波数においてπの整数
倍に設定しているため、隣接する入力側電極と出力側電
極との中心間の間隔を狭くして、弾性表面波の伝搬距離
を短縮する。
【0037】さらに、この発明における請求項3の弾性
表面波装置は、互いに隣接する入力側電極と出力側電極
との中心間の間隔のそれぞれに対応する電気長の差が配
列の一方向で少なくとも一定方向の変化をするようにし
ているので、電気長の差が帯域外の周波数において受信
される位相を電気長の差に対してすべて異なるようにで
きるとともに、互いに隣接する電極以外の他の電極との
間で多重反射して伝搬する弾性表面波に対して、一つの
電極の両側の電気長の差を異なるようにでき、受信され
る弾性表面波の位相をより不均一にして帯域外の減衰量
をより大きくする。
【0038】さらに、この発明における請求項4の弾性
表面波装置は、圧電体基板1の表面に電極の無い領域の
弾性表面波の伝搬方向に沿った距離を、約2分の1波長
の整数倍に設定したことにより、帯域内のリップルを小
さくできるとともに損失も改善される。
【0039】請求項5の発明によれば、少なくとも多電
極の両端に配置された電極を複数の電極を直列に接続し
て形成することにより、両端に配置された電極の電気的
インピーダンスを大きくしているので、両端に配置され
た電極へは電気的インピーダンスに反比例した小さい電
流しか流れず、励振される弾性表面波の電力を小さくで
き、外側に漏れる弾性表面波の電力を小さく抑えること
ができるとともに、電極の不均一部分を減らして電極の
不均一に伴う電極間の弾性表面波の多重反射を最小限に
抑えることができ、帯域内のリップルによる損失変動が
小さく抑えられた、挿入損失の低減された弾性表面波装
置を実現できる。
【0040】請求項6の発明によれば、多電極の両端に
配置された電極を含む入力側の電極あるいは出力側の電
極を、複数の電極を直列に接続して形成し、直列に接続
する電極の数を多電極の中央部より両端を増加させ、か
つ、両端に行くにつれて少なくとも減少させないので、
電極の電気的インピーダンスを中央部で小さく、両端部
に行くにつれて大きくし、弾性表面波の電力を中央部に
集中させ、両端部に行くにつれて小さくでき、多電極の
交互に配列する電極の数を低減して、多電極の外側に漏
れる電力を小さく抑え、小形で挿入損失の低減された弾
性表面波装置を実現できる。
【0041】請求項7の発明によれば、多電極の両端に
配置された電極を含む入力側の電極および出力側の電極
を、複数の電極を直列に接続して形成し、直列に接続す
る電極の数を多電極の中央部より両端を増加させ、か
つ、両端に行くにつれて少なくとも減少させないので、
入力側の電極および出力側の電極の電気的インピーダン
スを中央部で小さく、両端部に行くにつれて大きくし、
弾性表面波の電力を中央部に集中させ、両端部に行くに
つれて小さくでき、弾性表面波を効率よく受信させるた
め、多電極の交互に配列する電極の数を低減してさらに
挿入損失を低減できる。また、隣り合う入力側の電極と
出力側の電極の電気的インピーダンスの差を小さくで
き、インピーダンスの不整合に伴う弾性表面波の電極間
多重反射を抑圧し、帯域内のリップルのより小さい、挿
入損失の低減された弾性表面波装置を実現できる。
【0042】
【実施例】実施例1.この発明の一実施例の構成を図1
を参照しながら説明する。図1は、この発明の弾性表面
波装置の実施例1を示す構成図である。図1において、
1は圧電体基板、2は入力電気信号を弾性表面波に変換
する入力側電極である入力側すだれ状電極、3は入力側
電極により励振された弾性表面波を出力電気信号に変換
する出力側電極である出力側すだれ状電極、4は入力側
端子、5は出力側端子である。
【0043】図において、複数個の入力側すだれ状電極
2と複数個の出力側すだれ状電極3とを、圧電体基板1
上に弾性表面波の伝搬方向に沿って、上記複数個の入力
側すだれ状電極2と複数個の出力側すだれ状電極3との
間の中心間距離がそれぞれに対応する電気長の差を概略
中心周波数においてπの整数倍、すなわち弾性表面波装
置の概略中心周波数における2分の1波長を基準として
異なるようにして交互に配列している。ここでは入力側
すだれ状電極2が3個、出力側すだれ状電極3が2個の
場合を例に示す。
【0044】図において、入力側すだれ状電極2aと2
bとは同じ構成であるが、従来と異なり、入力側すだれ
状電極2bは、入力側すだれ状電極2aを弾性表面波の
伝搬方向に垂直な方向に沿って極性を逆転した形で配置
している。すなわち、入力側すだれ状電極2aは、最も
左側に位置する電極指が接地側となるように接続してお
り、入力側すだれ状電極2bは、最も左側に位置する電
極指が入力側端子4側となるように接続している。この
ように入力側すだれ状電極2aと2bとを入力側端子4
に結線することにより、入力側すだれ状電極2aから励
振される弾性表面波の位相と、入力側すだれ状電極2b
から励振される弾性表面波の位相との間には、πの位相
差が生じる。
【0045】同様に、出力側すだれ状電極3bは、出力
側すだれ状電極3aを弾性表面波の伝搬方向に垂直な方
向に沿って極性を逆転した形で配置している。すなわ
ち、出力側すだれ状電極3aは、最も左側に位置する電
極指が接地側となるように接続しており、出力側すだれ
状電極3bは、最も左側に位置する電極指が出力側端子
5側となるように接続している。このように出力側すだ
れ状電極3aと3bとを出力側端子5に結線することに
より、出力側すだれ状電極3aで受信される弾性表面波
の位相と、出力側すだれ状電極3bで受信される弾性表
面波の位相との間には、πの位相差が生じる。
【0046】図1では、簡単のため、入力側すだれ状電
極2、および、出力側すだれ状電極3とも正規形電極を
用いた例を図で示しているが、実際には、後述するよう
に、入力側すだれ状電極2には正規形電極を用い、出力
側すだれ状電極3には電極指を場所により間引いた電極
を用いている。
【0047】なお、入力側すだれ状電極2と出力側すだ
れ状電極3との間の中心間距離を、図に示すように、左
からL1、L2、L3、…とする。
【0048】次に、動作について説明する。入力側端子
4に入力された入力電気信号の電力は、入力側すだれ状
電極2の個数をMとすると、M分の1に分配され、各入
力側すだれ状電極2により弾性表面波に変換されて入力
側すだれ状電極2の両側に向かって伝搬する。出力側す
だれ状電極3は、弾性表面波を受信し電気信号に変換す
る。変換された電気信号は出力側端子5から出力電気信
号として取り出される。
【0049】さて、この発明に係る弾性表面波装置で
は、入力側すだれ状電極2と出力側すだれ状電極3との
間の中心間距離L1、L2、L3、…を異なるようにし
ている。さらに、これらの距離は、弾性表面波装置の概
略中心周波数における2分の1波長を基準として異なる
ようにしている。すなわち、電気長を概略中心周波数に
おいてπを基準として異なるようにしている。
【0050】つまり、L1、L2、L3、…は、弾性表
面波装置の概略中心周波数における1波長をλoで表す
と、ある一定の距離(以下、Loで表す)に、λo/2
の整数倍を加算したもの、つまり、m1 、m2 、m3
…を整数として、L1=Lo+m1 (λo/2)、L2
=Lo+m2 (λo/2)、L3=Lo+m3 (λo/
2)、…としている。
【0051】ここで、Loは任意の値であり、λo/2
の整数倍であっても、そうでなくても構わない。
【0052】中心間距離L1、L2、L3、…はばらば
らであるが、そのうち、どの2つの中心間距離の差も常
にλo/2の整数倍になっている。
【0053】ここでは、一例として、入力側すだれ状電
極2を3個、出力側すだれ状電極3を2個、交互に配列
した構成とし、m1 を0、m2を3、m3 を2、m4
1とした場合について説明する。
【0054】このとき、例えば、中央の入力側すだれ状
電極2bとその左側の出力側すだれ状電極3aとの中心
間距離に対し、中央の入力側すだれ状電極2bとその右
側の出力側すだれ状電極3bとの中心間距離は、概略中
心周波数における弾性表面波の2分の1波長だけ短い。
【0055】したがって、中央の入力側すだれ状電極2
bから励振され、左側に向かって伝搬し、左側の出力側
すだれ状電極3aに到達する弾性表面波に対し、中央の
入力側すだれ状電極2bから励振され、右側に向かって
伝搬し、右側の出力側すだれ状電極3bに到達する弾性
表面波は、概略中心周波数において位相がπだけ異なっ
ている。
【0056】しかし、左側の出力側すだれ状電極3a
と、右側の出力側すだれ状電極3bとでは、上述したよ
うに受信位相がπだけ異なる。したがって、これら2つ
の電極から取り出される弾性表面波は、再び同相となっ
て受信される。
【0057】同様に、入力側すだれ状電極2または出力
側すだれ状電極3の一つと、これを挟んで配列された二
つのすだれ状電極との中心間の間隔のそれぞれに対応す
る電気長の差が概略中心周波数においてπの奇数倍のと
ころは上記二つのすだれ状電極の互いに対向するすだれ
状電極指の極性が逆になるように、また、πの偶数倍の
ところは上記二つのすだれ状電極の互いに対向する電極
指の極性が同一になるように、上記入力側すだれ状電極
2を入力側端子に、また、上記出力側すだれ状電極3を
出力側端子に結線しており、隣り合う入力側すだれ状電
極2と出力側すだれ状電極3の組み合わせのうち、どの
組み合わせをとっても、入力側すだれ状電極2から励振
され出力側すだれ状電極3で受信される弾性表面波は同
相で受信される構成となっている。
【0058】このように、入力側すだれ状電極2から励
振され隣り合う出力側すだれ状電極3に向かって伝搬し
てきた弾性表面波は、中心周波数近傍では、出力側すだ
れ状電極3によりすべて同相で受信される。
【0059】したがって、帯域内の挿入損失は、入力側
すだれ状電極2と出力側すだれ状電極3との間の中心間
距離を一定とした従来の構成と概略同一の小さな値を実
現できる。また、電極間の間隔の差をλoを基準として
設定した従来例よりも小形で弾性表面波の伝搬距離を短
縮できるため、帯域内の損失をさらに低減できる。
【0060】一方、帯域外の周波数においては、上記の
位相関係がくずれるため複数個の入力側すだれ状電極2
から複数個の出力側すだれ状電極3に向かって伝搬して
きた弾性表面波は、出力側すだれ状電極3によりばらば
らの位相差で受信される。
【0061】したがって、入力側すだれ状電極2と出力
側すだれ状電極3との間の中心間距離を一定とした従来
の構成に比べ、より大きな帯域外減衰量が得られること
が期待できる。
【0062】次に、この発明の実施例1の上述した効果
について、図2から図6までを参照しながらより詳細に
説明する。
【0063】図2(a)、(b)および図3(a)、
(b)、(c)は、それぞれ、入力側すだれ状電極2及
び出力側すだれ状電極3の構成図である。図4から図6
までは、多電極構成の弾性表面波装置の特性を示す図で
ある。
【0064】図2(a)において、入力側すだれ状電極
2aは、最も左側に位置する電極指を接地側に接続し
た、正規形電極である。図2(b)において、入力側す
だれ状電極2bは、最も左側に位置する電極指を入力側
端子4側に接続した、正規形電極である。
【0065】図3(a)において、出力側すだれ状電極
3aは、最も左側に位置する電極指を接地側に接続し
た、電極指の間引きにより重み付けを施した電極であ
る。図3(b)において、出力側すだれ状電極3bは、
最も左側に位置する電極指を出力側端子5側に接続し
た、電極指の間引きにより重み付けを施した電極であ
る。
【0066】また、図3(c)において、出力側すだれ
状電極3aは、図3(a)に示した電極指の間引きによ
り重み付けを施した電極の電極指のうち、アースまたは
出力側端子5のどちらか一方に隣接して接続される複数
の電極指がある場合には、その場所においては、上記複
数の電極指の間を金属膜で埋め、1本の幅の広い電極指
としてまとめたものである。この様な出力側すだれ状電
極3aを、図3(a)に示した出力側すだれ状電極3a
の代わりに用いても構わない。
【0067】図4は、図2に示した正規形の入力側すだ
れ状電極2を7個用いるとともに、図3に示した間引き
により重み付けした出力側すだれ状電極3を6個用いた
13電極構成の弾性表面波装置において、12か所ある
入力側すだれ状電極2と出力側すだれ状電極3との間の
中心間距離を全て同一にした従来の構成の弾性表面波装
置の特性を示す図である。
【0068】この特性は、Smithの等価回路モデル
を用いて、「表面波デバイスとその応用」:電子材料工
業会編、日刊工業新聞社発刊、昭和53年12月発行の
第38頁から第40頁において、図4.8及び図4.9
に示されている計算方法を13電極構成の場合に拡張し
てシミュレーションして求めたものである。
【0069】入力側すだれ状電極2と出力側すだれ状電
極3は、弾性表面波装置の比帯域が、約2.5%になる
ように設定している。
【0070】図4の帯域外特性において、尖鋭的に減衰
量の小さくなっているところがあることがわかる。
【0071】図5は、入力側すだれ状電極2と出力側す
だれ状電極3との間の中心間距離L1、L2、L3、
…、L12を、L1からL6までは徐々に増加させ、L
7からL12までは、Lk=L(13−k)の関係を満
たすように設定した場合の同様のシミュレーション結果
である。
【0072】図4の特性に比べ、帯域内の特性はほどん
ど変化せず、帯域外の減衰量は改善されていることがわ
かる。
【0073】なお、上記中心間距離を、中心周波数にお
ける2分の1波長を基準として異ならせる場合と、わざ
と中心周波数からずらせた周波数における2分の1波長
を基準として異ならせる場合について種々のシミュレー
ションを行ってみたが、後者の方が帯域内についてより
平坦な特性が得られることが分った。
【0074】これは挿入損失が例えば5dB以下のよう
な極めて低損失なフィルタを構成すると、入出力端子で
の電気的なインピーダンスの周波数特性がきつくなり、
帯域内で周波数が低い側が高い側に比べて整合が外れる
方向にあることによるものと考えられる。
【0075】また、mk を整数とし、Lk=Lo+mk
(λo/2)(k=1〜12)とすると、mk の最小値
が0、最大値が12となる種々のmk (k=1〜12)
の組合わせについて特性を求めたところ、図5と同様
に、帯域内の特性はほどんど変化せず、帯域外の減衰量
は改善される効果があることがわかった。
【0076】なお、比帯域を変えたものについても特性
を求めたところ、同様の効果があることがわかった。
【0077】また、上記の組合わせにおいて、特に中心
間距離をL1、L2、L3、…、L12を、L1からL
12まで徐々に増加するように設定した場合の同様のシ
ミュレーション結果を図6に示す。
【0078】図4の特性に比べ、帯域内の特性はほどん
ど変化していない。しかし、帯域外の減衰量は、図4お
よび図5に比べさらに改善されていることがわかる。こ
れは、帯域外において出力側すだれ状電極3で受信され
る弾性表面波の位相が、より一層不均一になるためであ
る。
【0079】さらに、mk が偶数と奇数との組み合わせ
になるように構成した場合について、同様のシミュレー
ションを行ったところ、λoを基準値として中心間距離
を異ならせるようにした従来の構成よりも所要帯域内に
おける損失の最大値が小さくなり、帯域内の特性の変動
がより小さく、より広帯域な特性が得られることがわか
った。
【0080】また、Mk が偶数と奇数との組み合わせに
なるように構成した方が、λoを基準値として中心間距
離を異ならせるようにした従来の構成よりも、弾性表面
波装置全体の大きさが小さく、かつ、従来の構成と同等
の帯域外の減衰量を得られることが分かった。これは、
λo/2を基準値として中心間距離をばらばらにした方
が、λoを基準値としてばらばらにするよりも、帯域外
周波数における出力側すだれ状電極3での受信位相のば
らつきが、より大きくなることにより生じたものと考え
られる。このように、この発明に係る構成の方が、構成
上の設定自由度が大きいので、全体が小型で、従来と同
等の特性を得られる作用、効果がある。
【0081】さらに、全体を小型にできることは、弾性
表面波の伝搬に伴って生じる減衰が大きい圧電体基板1
を用いた場合、従来に比べ、挿入損失を小さくできると
ともに、各出力側すだれ状電極3で受信された電気出力
信号の振幅間のアンバランスを小さくできるので、帯域
内、帯域外とも、従来に比べ、良好な特性が得られる作
用、効果がある。
【0082】なお、比帯域を変えたものについても特性
を求めたところ、上述した作用、効果と同様の作用、効
果があることがわかった。
【0083】さらに、出力側すだれ状電極3だけではな
く、入力側すだれ状電極2も電極指を場所により間引い
た電極として、同様のシミュレーションを行ったとこ
ろ、帯域外の減衰量に関してさらに良好な特性が得られ
ることが分った。
【0084】以上のように、この発明の実施例1におい
ては、帯域内、帯域外とも、従来構成に比べ優れた特性
が得られる作用、効果がある。
【0085】また、中心間距離をL1、L2、L3、
…、L12を、L1からL12まで徐々に増加するよう
にすれば、特に顕著な効果があることが分った。
【0086】実施例2.次に、この発明の弾性表面波装
置の他の実施例の構成を図7、図8および図9を参照し
ながら説明する。
【0087】図7は、この発明の実施例2を示す構成図
であり、上記実施例1と同様に、複数個の入力側すだれ
状電極2と複数個の出力側すだれ状電極3とを、弾性表
面波の伝搬方向に沿って、中心間距離L1、L2、L
3、…が異なるようになるように、交互に配列して構成
している。
【0088】図7においても、簡単のため、入力側すだ
れ状電極2、および、出力側すだれ状電極3とも正規形
電極を用いた図で示しているが、実際には、後述するよ
うに、入力側すだれ状電極2には正規形電極を用い、出
力側すだれ状電極3には電極指を場所により間引いた電
極を用いている。
【0089】図8は、図7に示した弾性表面波装置のす
だれ状電極部分の拡大図である。図7において、この発
明の実施例2は、入力側すだれ状電極2の接地側電極2
cおよび出力側すだれ状電極3の接地側電極3cを、入
力側すだれ状電極2と出力側すだれ状電極3との間に、
弾性表面波の伝搬方向を横切るように設けて構成してい
る。
【0090】さらに、入力側すだれ状電極2の接地側電
極2cは、入力側すだれ状電極2の正側電極と同一方向
から取り出すようにしている。出力側すだれ状電極3の
接地側電極3cについても同様である。実験したとこ
ろ、この構成により良好な帯域外特性を得られる。
【0091】接地側電極2cおよび3cは、入力側すだ
れ状電極2と出力側すだれ状電極3との間の電気的シー
ルド電極として働く。
【0092】さて、上述した実施例2では、入力側すだ
れ状電極2と出力側すだれ状電極3との間の中心間距離
Lkは、この距離を電気長θkに換算したとき、j及び
kを整数として、θjとθkとの間の差がπの整数倍と
なるように設定してある。
【0093】すなわち、概略中心周波数において、入力
側すだれ状電極2と出力側すだれ状電極3内での1波長
をλi 、接地側電極2cおよび3c内での1波長をλ
m 、圧電体基板1の表面になにも無い場所での1波長を
λf とし、Lk1、Lk2、Lk3、…、Lk7を図8に示す距
離とすると、 θk =2π[(Lk1+Lk7)/λi + (Lk2+Lk4+Lk6)/λf +(Lk3+Lk5)/λm ] で与えられる電気長θk の差がπの整数倍となるように
してある。
【0094】このように中心間距離を設定することによ
り、λi 、λm 、λf が異なる場合でも、帯域内での挿
入損失を従来の構成と比べて劣化させることなく、帯域
外を改善できる効果が生じる。
【0095】図9に一例を示す。図9(a)は、λi
λm 、λf が異なることを無視して中心間距離を設定し
たときの図7に示した構成における帯域内の特性を示す
図である。図9(b)は、λi 、λm 、λf が異なるこ
とを考慮に入れて中心間距離を設定したときの図7に示
した構成における帯域内の特性を示す図である。図9
(a)に示す特性よりも図9(b)に示す特性の方が優
れていることが分る。
【0096】実施例2においても、実施例1と同様に、
特に、出力側すだれ状電極3に間引き形電極を用いると
特に顕著な特性改善効果が得られる。また、中心間距離
をL1、L2、L3、…、L12を、L1からL12ま
で徐々に増加するようにすれば、特に顕著な効果があ
る。
【0097】さらに、中心間距離を、わざと中心周波数
からずれた周波数における2分の1波長を基準として異
ならせるとより効果が顕著に現れる。
【0098】さらに、実施例2では、接地側電極2cお
よび3cを、正側電極と同一方向から取り出すようにし
ており、実施例1に比べより良好な帯域外特性を得られ
る。
【0099】さらに、図8において、Lk2、Lk4および
Lk6を2分の1波長の整数倍に設定すれば、入力側すだ
れ状電極2の端部や、出力側すだれ状電極3の端部や、
接地側電極2cおよび3cの端部で、音響インピーダン
スが異なることにより生じる弾性表面波の反射を打ち消
すことができるので、帯域内のリップルを小さくできる
効果が、上記効果に相乗する。
【0100】また、一般に、入力側すだれ状電極2の端
部や、出力側すだれ状電極3の端部や、接地側電極2c
および3cの端部では、音響的境界条件の差によりバル
ク波へのモード変換が生じる。バルク波への変換が起こ
ると、損失増加の原因となる。
【0101】しかし、Lk2、Lk4およびLk6を、上記の
ように、2分の1波長の偶数倍に設定すれば、上述の各
端部で変換されるバルク波は、圧電体基板1内へ同相で
は放射されない。このため、バルク波への変換損が小さ
くなり、帯域内の挿入損失を小さくできる効果が、上述
した効果に相乗して得られる。
【0102】実施例3.次に、この発明の他の実施例の
構成を図10を参照しながら説明する。
【0103】図10は、この発明の実施例3を示す構成
図であり、複数個の入力側すだれ状電極2と複数個の出
力側すだれ状電極3とを、弾性表面波の伝搬方向に沿っ
て、上記実施例2と同様にして、中心間距離L1、L
2、L3、…が異なるように、交互に配列して構成して
いる。さらに、複数個の出力側すだれ状電極3には、異
なる電極を用いている。
【0104】図10においても、簡単のため、入力側す
だれ状電極2、および、出力側すだれ状電極3とも正規
形電極を用いた図で示しているが、実際には、入力側す
だれ状電極2には正規形電極を用い、出力側すだれ状電
極3には電極指を場所により間引いた電極を用いてい
る。
【0105】さて、この発明の実施例3では、複数個の
出力側すだれ状電極3に、異なる間引き電極を用いてい
るので、各出力側すだれ状電極3の周波数特性におい
て、帯域外のサイドローブの出る位置が互いに異なる。
したがって、中心間距離L1、L2、L3、…が異なる
ようにしたことによる帯域外減衰量の低減効果に、上記
サイドローブの出る位置が互いに異なることによる帯域
外減衰量の低減効果が相乗する。したがって、実施例2
に比べ、より帯域外減衰量の大きいフィルタが得られる
効果がある。
【0106】なお、複数個の入力側すだれ状電極2につ
いても、同様に、異なる電極を用いれば、実施例3の効
果をより高めることができる。
【0107】実施例4.次に、この発明の他の実施例の
構成を図9、図10および図11を参照しながら説明す
る。
【0108】図11は、この発明の実施例4を示す構成
図であり、上記従来例で説明した図16と同様に、複数
個の入力側すだれ状電極2と複数個の出力側すだれ状電
極3とを、弾性表面波の伝搬方向に沿って、中心間距離
L1、L2、L3、…がλを基準値として異なるよう
に、交互に配列して構成している。
【0109】図11においても、簡単のため、入力側す
だれ状電極2、および、出力側すだれ状電極3とも正規
形電極を用いた図で示しているが、実際には、後述する
ように、入力側すだれ状電極2には正規形電極を用い、
出力側すだれ状電極3には電極指を場所により間引いた
電極を用いている。この方がこの発明の効果がより顕著
に得られる。
【0110】図12は、図11に示した弾性表面波装置
の1部の拡大図である。
【0111】図11において、この発明の実施例4は、
入力側すだれ状電極2の接地側電極2Aおよび出力側す
だれ状電極3の接地側電極3Aを、入力側すだれ状電極
2と出力側すだれ状電極3との間に、弾性表面波の伝搬
方向を横切るように設けて構成している。
【0112】さらに、入力側すだれ状電極2の接地側電
極2Aは、入力側すだれ状電極2の正側電極と同一方向
から取り出すようにしている。出力側すだれ状電極3A
についても同様である。実験したところ、この構成によ
り良好な帯域外特性を得られる。
【0113】接地側電極2Aおよび3Aは、入力側すだ
れ状電極2と出力側すだれ状電極3との間の電気的シー
ルド電極として働く。
【0114】さて、上述した実施例4では、入力側すだ
れ状電極2と出力側すだれ状電極3との間の中心間距離
Lkは、この距離を電気長θK に換算したときに、j及
びkを整数として、θj とθk との間の差が2πの整数
倍となるように設定してある。
【0115】すなわち、概略中心周波数において、入力
側すだれ状電極2と出力側すだれ状電極3内での1波長
をλi 、接地側電極2Aおよび3A内での1波長をλ
m 、圧電体基板1の表面になにも無い場所での1波長を
λf とし、X1、X2、X3、…、X7を図10に示す
距離とすると、 θk =2π[(X1+X7)/λi +(X2+X4+X6) /λf +(X3+X5)/λm ] で与えられる電気長θk の差が2πの整数倍となるよう
にしてある。
【0116】このように中心間距離を設定することによ
り、λi 、λm 、λf が異なる場合でも、帯域内での挿
入損失を従来の構成と比べて劣化させることなく、帯域
外を改善できる効果が生じる。
【0117】図13に一例を示す。図13(a)は、λ
i 、λm λf が異なることを無視して中心間距離を設定
したときの図11に示した構成における帯域内の特性を
示す図である。図13(b)は、λi 、λm 、λf が異
なることを考慮に入れて中心間距離を設定したときの図
11に示した構成における帯域内の特性を示す図であ
る。図13(a)に示す特性よりも図13(b)に示す
特性の方が優れていることが分かる。
【0118】実施例4においても、実施例1と同様に、
特に、出力側すだれ状電極3に間引き形電極を用いると
特に顕著な特性改善効果が得られる。また、中心間距離
をL1、L2、L3、…、L12を、L1からL12ま
で徐々に増加するようにすれば、特に顕著な効果があ
る。さらに、中心間距離を、わざと中心周波数からずれ
た周波数における1波長を基準として異ならせることよ
り効果が顕著に現れる。さらに、実施例4では、接地側
電極2Aおよび3Aを、正側電極と同一方向から取り出
すようにしており、実施例1に比べより良好な帯域外特
性を得られる。
【0119】さらに、図12において、X2、X4およ
びX6を2分の1波長の整数倍に設定すれば、入力側す
だれ状電極2の端部や、出力側すだれ状電極3の端部
や、接地側電極2Aおよび3Aの端部で、音響インピー
ダンスが異なることにより生じる弾性表面波の反射を打
ち消すことができるので、帯域内のリップルを小さくで
きる効果が、上記効果に相乗する。
【0120】また、一般に、入力側すだれ状電極2の端
部や、出力側すだれ状電極3の端部や、接地側電極2A
および3Aの端部では、音響的境界条件の差によりバル
ク波へのモード変換が生じる。バルク波への変換が起こ
ると、損失増加の原因となる。
【0121】しかし、X2、X4およびX6を、上記の
ように、2分の1波長の偶数倍に設定すれば、上述の各
端部で変換されるバルク波は、圧電体基板1内へ同相で
は放射されない。このため、バルク波への変換損が小さ
くなり、帯域内の挿入損失を小さくできる効果が、上述
した効果に相乗して得られる。
【0122】実施例5.以上3つの実施例について説明
したが、この発明はこれに限らず、両端部の2つの入力
側すだれ状電極2の電極指の本数を、残りの入力側すだ
れ状電極2の電極指の本数に比べて少なくし、両端部の
入力側すだれ状電極2のさらに外側に弾性表面波の反射
器を設けた公開実用61−15828に開示されている
多電極構成の弾性表面波装置に適用しても、上述した第
1および実施例2と同様の作用、効果が生じる。
【0123】実施例6.また、複数個の入力側すだれ状
電極2のうち少なくとも幾つかと、複数個の出力側すだ
れ状電極3のうち少なくとも幾つかの少なくとも一方の
形状を異ならせた公開実用61−139015に開示さ
れている多電極構成の弾性表面波装置に適用しても、上
述した第1および実施例2と同様の作用、効果が生じ
る。
【0124】実施例7.さらに、上述した第1及び実施
例2では、入力側すだれ状電極2が正規形で、出力側す
だれ状電極3が間引きによる重み付けを行った電極の場
合について説明したが、入力側すだれ状電極2および出
力側すだれ状電極3の形状はこれに限らない。入力側す
だれ状電極2を間引きによる重み付けを行った電極とし
た場合に適用してもよいし、電極指の交差幅に重み付け
したすだれ状電極や、位相反転により重み付けしたすだ
れ状電極などを、入力側や出力側に用いた場合に適用し
てもよい。
【0125】実施例8.請求項5の発明の実施例の構成
を図14を参照しながら説明する。図14は、請求項5
の発明の実施例を示す構成図である。図において、1は
圧電体基板、2は入力側電極、3は出力側電極、7はす
だれ状電極、4は入力側端子、5は出力側端子である。
図14では、両端の入力側電極2のみが、弾性表面波の
波面方向に沿って配列された直列接続の2つのすだれ状
電極7から構成されており、その他の入力側電極2およ
び出力側電極3は、従来例と同様1つのすだれ状電極7
から構成されている。
【0126】損失が生じる原因は、両端の入力側電極2
の外側に弾性表面波の電力が漏れることにより生じるの
で、両端の入力側電極2から励振される弾性表面波の強
度を他より小さくするだけでも、損失をかなり抑えるこ
とができる。
【0127】この実施例では、両端の入力側電極2のみ
が複数のすだれ状電極7から構成され、その他は従来例
と同様1つのすだれ状電極7から構成されているので、
電極の不均一に伴う電極間の多重反射を最小限に抑える
ことができ、帯域内のリップルによる損失変動を小さく
抑えたまま、挿入損失を低減できる効果がある。
【0128】実施例9.図15は、請求項6の発明の実
施例を示す構成図である。図において、1〜5は図14
と同様のものである。ここでは、複数個の入力側電極2
と複数個の出力側電極3とを、圧電体基板1上に弾性表
面波の伝搬方向に沿って、交互に配列しており、入力側
電極2のうちいくつかが、弾性表面波の伝搬方向に垂直
な方向、すなわち弾性表面波の波面方向に沿って配列す
るとともに、直列に接続した複数のすだれ状電極7から
構成されている。さらに、上記各入力側電極2を構成す
る直列に接続するすだれ状電極7の数を、中央部で最も
小さくし、両端部にいくにしたがって徐々に、少なくと
も等しいか、または大きくしている。
【0129】次に、動作について説明する。複数のすだ
れ状電極7から構成されている入力側電極2の電気的イ
ンピーダンスについて、1つのすだれ状電極7から構成
されている入力側電極2と比較する。入力側電極2を構
成するすだれ状電極7の数をMとする。このとき、それ
ぞれのすだれ状電極7の開口長は、1つのすだれ状電極
7からなっている場合にくらべほぼM分の1となってい
る。すだれ状電極7の電気的インピーダンスは開口長に
反比例するので、それぞれのすだれ状電極7の電気的イ
ンピーダンスは、1つのすだれ状電極からなっている場
合に比べほぼM倍となる。さらに、これらのすだれ状電
極7がM個直列に接続されているため、入力側電極2全
体の電気的インピーダンスは、さらにM倍され、1つの
すだれ状電極7からなっている入力側電極2に比べほぼ
Mの二乗倍となる。
【0130】入力側電極2は、全て入力側端子4に接続
されている。よって、入力端子4に電気信号を印加した
ときに、各入力側電極2に生じる電圧は全て同一であ
る。しかし、上述したように、入力側電極2を構成する
すだれ状電極7の数によって、各入力側電極2の電気的
インピーダンスが異なるため、各々の入力側電極2にお
いて電気的インピーダンスに反比例した異なる電流が流
れる。したがって、各入力側電極2で励振される弾性表
面波の電力は、電気的インピーダンスに反比例する。す
なわち、入力側電極2で励振される弾性表面波の電力
は、入力側電極2を構成するすだれ状電極7の数のほぼ
二乗の逆数に比例した、それぞれ異なる値である。
【0131】入力側電極2を構成するすだれ状電極7の
数は中央部で少なく両端部にいくにしたがって、少なく
とも等しいか、あるいは多くしているので、各入力側電
極2に供給される電力は中央部で大きく、両端部で小さ
い。したがって励振される弾性表面波の強度も中央部で
最も大きく、両端部で小さくなる。このため弾性表面波
の電力は中央部に集中し、両端部では電力が小さくな
る。
【0132】以上のように、この発明に係る弾性表面波
装置では、弾性表面波の電力が中央部に集中し、両端部
では電力が小さくなる。このため、両端部に位置する入
力側電極2あるいは出力側電極3のさらに外側に漏れる
弾性表面波の電力を小さく抑えることができる。したが
って、入力側端子4に入力した電気信号の電力を、効率
よく出力側端子5に出力することができるので、従来の
弾性表面波装置に比べ挿入損失を小さくすることができ
る。また、同一の挿入損失を得るために必要な入力側電
極2および出力側電極3の数を少なくすることができ、
従来に比べ小形の弾性表面波装置が得られる。さらに、
入力側電極2および出力側電極3の数を少なくできるた
め、開口長を小さくする必要がなく、弾性表面波の回折
による挿入損失の増加を伴うことなく、外部回路との整
合をとりやすくできる。
【0133】実施例10.図16は、請求項7の発明の
実施例を示す構成図である。図において、1〜5は図1
5と同様のものである。ここでは、入力側電極2および
出力側電極3のうちいくつかが、弾性表面波の伝搬方向
に垂直な方向、すなわち弾性表面波の波面方向に沿って
配列するとともに、直列に接続した複数のすだれ状電極
7から構成されている。また、入力側電極2を構成する
直列に接続するすだれ状電極7の数を、中央部で少なく
両端部にいくにしたがって、少なくとも等しいか、ある
いは多くしているが、それだけでなく、出力側電極3を
構成する直列に接続するすだれ状電極7の数も中央部で
少なく両端部にいくにしたがって、少なくとも等しい
か、あるいは多くしている。そして、入力側電極2と出
力側電極3とを含めて、電極を構成するすだれ状電極7
の数を中央部で少なく両端部にいくにしたがって、少な
くとも等しいか、あるいは多くしている。
【0134】この場合も実施例9と同様に入力側電極2
から励振される弾性表面波の強度は、中央部で大きく両
端部で小さくなるため、外側に漏れる弾性表面波の電力
を小さく抑えることができ、挿入損失を小さくできる。
さらに、出力側電極3を構成するすだれ状電極7の数も
中央部で少なく両端部にいくしたがって、少なくとも等
しいか、あるいは多くしているので、出力側電極3によ
り受信される弾性表面波の強度も、中央部で最も大き
く、両端部で小さくなる。このため入力側電極2から励
振された弾性表面波を効率よく受信することができ、実
施例2よりもさらに挿入損失を低減できる。また、隣り
合う入力側電極2と出力側電極3の電気的インピーダン
スの差を、どの部分においても小さくできるので、イン
ピーダンスの不整合に伴う弾性表面波の電極間多重反射
を抑えることができ、帯域内のリップルをより小さくで
き、良好な特性が得られる。
【0135】実施例11.以上3つの実施例(実施例
8、9、10)について説明したが、この発明はこれに
限らず、両端の入力側電極2あるいは出力側電極3の外
側に反射器を設けても良い。この場合、外側に漏れ出る
弾性表面波を再び内側に反射させるので、より低損失な
特性が得られる。また、図14から図16では、入力側
電極2、および、出力側電極3をともに正規形で示して
いるが、この発明はこれに限らず、入力側電極2、およ
び、出力側電極3のどちらか一方、または両方に、間引
き方電極や交差幅重み付け電極などの重み付けを施した
電極を用いてもよいし、入力側電極2と出力側電極3の
間の距離を場所により変化させてもよい。これらの場
合、帯域外の減衰特性をより良好にすることができる。
さらに、すだれ状電極7の電極指はシングル電極には限
らずダブル電極やその他の電極を用いてもかまわず、こ
の場合にも本発明による効果が得られる。
【0136】
【発明の効果】以上のように請求項1の弾性表面波装置
によれば、入力電気信号を弾性表面波に変換する複数個
の入力側すだれ状電極と、逆に弾性表面波を出力電気信
号に変換する複数個の出力側すだれ状電極とを、圧電体
基板上で弾性表面波の伝搬方向に沿って交互に配列し、
上記入力側すだれ状電極と上記出力側すだれ状電極と間
の複数個の中心間距離を弾性表面波装置の概略中心周波
数の2分の1波長の整数倍に基づいて異なるようにした
ことにより、帯域内の挿入損失は小さく保ったまま、帯
域外の減衰量を大きくできる効果を奏する。
【0137】また、請求項2の弾性表面波装置によれ
ば、多電極構成の弾性表面波装置において、互いに隣接
する入力側電極と出力側電極との中心間の間隔のそれぞ
れに対応する電気長の差を概略中心周波数においてπの
整数倍に設定し、上記中心間の間隔の少なくとも1つの
間隔は他の間隔とπの奇数倍異なるようになし、入力側
電極または出力側電極の一つと、これを挟んで配列され
た二つの電極との中心間の間隔のそれぞれに対応する電
気長の差が概略中心周波数においてπの奇数倍のところ
は上記二つの電極の互いに対向する電極指の極性が逆に
なるように、また、πの偶数倍のところは上記二つの電
極の互いに対向する電極指の極性が同一になるようにし
たので、概略中心周波数においては同相で受信され、帯
域外の周波数ではばらついた位相で受信されるため、帯
域内では低損失で帯域外の減衰量が大きい特性が得られ
るとともに、従来の弾性表面波装置にくらべて互いに隣
接する入力側電極と出力側電極との中心間の間隔を狭く
でき、弾性表面波の伝搬距離を短縮できるため、帯域内
の損失をさらに低減できる効果がある。
【0138】また、請求項3の弾性表面波装置によれ
ば、多電極構成の弾性表面波装置において、互いに隣接
する入力側電極と出力側電極との中心間の間隔のそれぞ
れに対応する電気長の差が配列の一方向で少なくとも一
定方向の変化をするようにしたので、帯域外の周波数に
おいて受信される位相を多重反射して伝搬されたものに
ついても電気長の差に対して異なるようにでき、帯域外
の減衰量をより大きくできる効果がある。
【0139】また、請求項4の弾性表面波装置によれ
ば、弾性表面波の伝搬路において、圧電体基板上の電極
の無い場所の弾性表面波の伝搬方向に沿った距離を約2
分の1波長の整数倍に設定したことにより、帯域内のリ
ップルを小さくできるとともに、帯域内の挿入損失を小
さくできる効果が、上記効果に相乗して得られる。
【0140】請求項5の発明によれば、少なくとも多電
極の両端に配置された電極を複数の電極を直列に接続し
て形成することにより、電極の不均一部分を減らして電
極の不均一に伴う電極間の弾性表面波の多重反射を最小
限に抑えることができ、帯域内のリップルによる損失変
動が小さく抑えられた、挿入損失の低減された弾性表面
波装置を得られる効果がある。
【0141】請求項6の発明によれば、多電極の両端に
配置された電極を含む入力側の電極あるいは出力側の電
極を、複数の電極を直列に接続して形成し、直列に接続
する電極の数を多電極の中央部より両端を増加させ、か
つ、両端に行くにつれて少なくとも減少させないので、
多電極の交互に配列する電極の数を低減して、多電極の
外側に漏れる電力を小さく抑えることができ、小形で挿
入損失の低減された弾性表面波装置を得られる効果があ
る。
【0142】請求項7の発明によれば、多電極の両端に
配置された電極を含む入力側の電極および出力側の電極
を、複数の電極を直列に接続して形成し、直列に接続す
る電極の数を多電極の中央部より両端を増加させ、か
つ、両端に行くにつれて少なくとも減少させないので、
隣り合う入力側の電極と出力側の電極の電気的インピー
ダンスの差を小さくでき、インピーダンスの不整合に伴
う弾性表面波の電極間多重反射が抑圧された帯域内のリ
ップルのより小さい、挿入損失の低減された弾性表面波
装置を得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1を示す構成図である。
【図2】この発明の実施例1の入力側すだれ状電極の構
成図である。
【図3】この発明の実施例1の出力側すだれ状電極の構
成図である。
【図4】この発明の実施例1の効果を説明するための特
性を示す図である。
【図5】この発明の実施例1の効果を説明するための特
性を示す図である。
【図6】この発明の実施例1の効果を説明するための特
性を示す図である。
【図7】この発明の実施例2を示す構成図である。
【図8】この発明の実施例2を示す構成図の一部拡大図
である。
【図9】この発明の実施例2の効果を説明するための特
性を示す図である。
【図10】この発明の実施例3を示す構成図である。
【図11】この発明の実施例4を示す構成図である。
【図12】この発明の実施例4を示す構成図の一部拡大
図である。
【図13】この発明の実施例4の効果を説明するための
特性を示す図である。
【図14】この発明の実施例8を示す構成図である。
【図15】この発明の実施例9を示す構成図である。
【図16】この発明の実施例10を示す構成図である。
【図17】従来の弾性表面波装置を示す構成図である。
【図18】従来の弾性表面波装置の特性を示す図であ
る。
【図19】従来の弾性表面波装置を示す構成図である。
【図20】従来の弾性表面波装置の特性を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 圧電体基板 2 入力側すだれ状電極 2a 入力側すだれ状電極 2b 入力側すだれ状電極 2c 接地側電極 3 出力側すだれ状電極 3a 出力側すだれ状電極 3b 出力側すだれ状電極 3c 接地側電極 4 入力側端子 5 出力側端子 7 すだれ状電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木村 友則 鎌倉市大船五丁目1番1号 三菱電機株式 会社電子システム研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力電気信号を弾性表面波に変換する複
    数個の入力側すだれ状電極と、弾性表面波を出力電気信
    号に変換する複数個の出力側すだれ状電極とを、圧電体
    基板上で弾性表面波の伝搬方向に沿って交互に配列し、
    上記入力側すだれ状電極と上記出力側すだれ状電極との
    間の複数個の中心間距離にそれぞれ対応する複数個の電
    気長の間の差を、概略中心周波数において約2分の1波
    長の整数倍に設定したことを特徴とする弾性表面波装
    置。
  2. 【請求項2】 圧電体基板上に形成され、入力電気信号
    を弾性表面波に変換する入力側電極と、上記入力側電極
    により励振された弾性表面波を出力電気信号に変換する
    出力側電極とを弾性表面波の伝搬方向に交互に配列した
    多電極構成の弾性表面波装置において、互いに隣接する
    上記入力側電極と上記出力側電極との中心間の間隔のそ
    れぞれに対応する電気長の差を概略中心周波数において
    πの整数倍に設定し、上記中心間の間隔の少なくとも1
    つの間隔は他の間隔とπの奇数倍異なるようになし、入
    力側電極または出力側電極の一つと、これを挟んで配列
    された二つの電極との中心間の間隔のそれぞれに対応す
    る電気長の差が概略中心周波数においてπの奇数倍のと
    ころは上記二つの電極の互いに対向する電極指の極性が
    逆になるように、また、πの偶数倍のところは上記二つ
    の電極の互いに対向する電極指の極性が同一になるよう
    にしたことを特徴とする弾性表面波装置。
  3. 【請求項3】 圧電体基板上に形成され、入力電気信号
    を弾性表面波に変換する入力側電極と、上記入力側電極
    により励振された弾性表面波を出力電気信号に変換する
    出力側電極とを弾性表面波の伝搬方向に交互に配列した
    多電極構成の弾性表面波装置において、互いに隣接する
    上記入力側電極と上記出力側電極との中心間の間隔のそ
    れぞれに対応する電気長の差を概略中心周波数において
    πの整数倍に設定し、上記中心間の間隔のそれぞれに対
    応する電気長の差が上記配列の一方向で少なくとも一定
    方向の変化をするようになし、入力側電極または出力側
    電極一つと、これを挟んで配列された二つの電極との中
    心間の間隔のそれぞれに対応する電気長の差が概略中心
    周波数においてπの奇数倍のところは上記二つの電極の
    互いに対向する電極指の極性が逆になるように、また、
    πの偶数倍のところは上記二つの電極の互いに対向する
    電極指の極性が同一になるようにしたことを特徴とする
    弾性表面波装置。
  4. 【請求項4】 入力電気信号を弾性表面波に変換する複
    数個の入力側すだれ状電極と、弾性表面波を出力電気信
    号に変換する複数個の出力側すだれ状電極とを、圧電体
    基板上で弾性表面波の伝搬方向に沿って交互に配列し、
    上記入力側すだれ状電極と上記出力側すだれ状電極との
    間の複数個ある中心間距離を異なるようにし、上記圧電
    体基板上における弾性表面波の伝搬路において、上記圧
    電体基板上で電極の無い場所の弾性表面波の伝搬方向に
    沿った距離を、中心周波数における約2分の1波長の整
    数倍に設定したことを特徴とする弾性表面波装置。
  5. 【請求項5】 弾性表面波を伝搬する基板上に、入力電
    気信号を弾性表面波に変換する入力側の電極と、上記入
    力側の電極により励振された弾性表面波を出力電気信号
    に変換する出力側の電極とを弾性表面波の伝搬方向に交
    互に複数個配列した多電極を備えた弾性表面波装置にお
    いて、少なくとも上記多電極の両端に配置された電極
    を、複数の電極を直列に接続して形成したことを特徴と
    する弾性表面波装置。
  6. 【請求項6】 弾性表面波を伝搬する基板上に、入力電
    気信号を弾性表面波に変換する入力側の電極と、上記入
    力側の電極により励振された弾性表面波を出力電気信号
    に変換する出力側の電極とを弾性表面波の伝搬方向に交
    互に複数個配列した多電極を備えた弾性表面波装置にお
    いて、上記多電極の両端に配置された電極を含む入力側
    の電極あるいは出力側の電極を、複数の電極を直列に接
    続して形成し、直列に接続する電極の数を多電極の中央
    部より両端を増加させ、かつ、両端に行くにつれて少な
    くとも減少させないことを特徴とする弾性表面波装置。
  7. 【請求項7】 弾性表面波を伝搬する基板上に、入力電
    気信号を弾性表面波に変換する入力側の電極と、上記入
    力側の電極により励振された弾性表面波を出力電気信号
    に変換する出力側の電極とを弾性表面波の伝搬方向に交
    互に複数個配列した多電極を備えた弾性表面波装置にお
    いて、上記多電極の両端に配置された電極を含む入力側
    の電極および出力側の電極を、複数の電極を直列に接続
    して形成し、直列に接続する電極の数を多電極の中央部
    より両端を増加させ、かつ、両端に行くにつれて少なく
    とも減少させないことを特徴とする弾性表面波装置。
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