JPH05143953A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH05143953A
JPH05143953A JP3304975A JP30497591A JPH05143953A JP H05143953 A JPH05143953 A JP H05143953A JP 3304975 A JP3304975 A JP 3304975A JP 30497591 A JP30497591 A JP 30497591A JP H05143953 A JPH05143953 A JP H05143953A
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JP
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magnetic
layer
substrate
coercive force
recording medium
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JP3304975A
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Motoharu Sato
元治 佐藤
Yoshihiko Onishi
良彦 大西
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 1500 Oe 以上さらには2000 Oe 以上の高保磁
力を有し、高記録密度化の可能な磁気記録媒体を提供す
る。 【構成】 基板上に、Co系合金よりなる磁性体層とこの
磁性体層の上にLi、Be、B 、Na、Mg、Al、Si、P 、S 、
K 、Ca、Sc、Ti、V 、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、G
e、As、Se、Sr、Y 、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、C
d、In、Sn、Sb、Te、I 、Ba、La、Ce、Pr、Nd、Sm、E
u、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W 、R
e、Os、Ir、Pt、Au、Tl、Pb、Biの単元素よりなる保護
層または2種以上の元素よりなる保護層を有するととも
に、前記Co系合金磁性体層の結晶粒界および粒内での非
磁性元素の比率(粒界/粒内)が1.05以上であることを
特徴とする磁気記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜磁気記録媒体に関
するものであって、さらに詳細には、高記録密度化の可
能な高保磁力を有する高記録密度磁気記録媒体に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、情報量の増大に伴い、外部記録装
置であるところの磁気ディスクの高容量化および磁気デ
ィスク媒体の高密度化が図られている。一般に、磁気記
録媒体(以下、単に媒体と言うこともある。)の性能を
決定する因子として、次式で表される磁化遷移幅a
(μm )がある。 a∝δ・Br/(m・Hc) ------ 但し、δは磁性体層膜厚(μm )、Brは残留磁束密度
(G)、mは角形性に関する因子、Hcは保磁力(Oe)
である。
【0003】記録密度を向上させるには、上記の式で
表される磁化遷移幅aの値を小さくする必要があり、磁
性体層の薄膜化と共に保磁力の向上が有効な手段となっ
ている。そのため、従来、保磁力を向上させる方法とし
ては以下に説明する方法が採られている。
【0004】すなわち、針状のγ−Fe2O3 磁性粒子、耐
久性を確保するためのフィラーとしてのAl2O3 粉、およ
びバインダを混練し、これをアルミニウム合金基板上に
スピンコート法により塗布する塗布型媒体においては、
γ−Fe2O3 針状粒子を微細化したり、あるいはγ−Fe2O
3 の表面にCoを被着したりすることが行われている。
【0005】また、アルミニウム合金基板の表面に耐久
性、表面精度を確保するための NiPめっき層を施した基
板(以下、 NiPめっき基板という)上に、Co-P、Co-B、
Co-Ni-P 、Co-Ni-B などの磁性体層を無電解めっき法に
より形成するめっき薄膜型媒体においては、めっき浴組
成およびめっき条件の改善が行われている。
【0006】さらに、 NiPめっき基板上にCo-Ni 、Co-N
i-Cr、Co-Cr-Taなどの金属磁性体層をスパッタ法により
形成するスパッタ薄膜型媒体においては、磁性体組成の
改善が行われている。また、基板を高温にして磁性体層
を形成する方法(例えば、石川ら、第11回日本応用磁気
学会学術講演概要集、p18、1987、11)、あるいは、基
板に逆バイアス電圧を印加して磁性体層の形成条件を最
適化するようにした方法(例えば、橋本ら、第35回応用
物理学関係連合講演予稿集、p57、1988、10)などが提
案されている。
【0007】このような方法により保磁力を向上させ高
記録密度化が進められているが、塗布型媒体での薄膜化
の困難性などの点から、めっき薄膜型媒体と共に基板上
に磁性体層をスパッタ法により形成した、スパッタ薄膜
型媒体が高密度磁気記録媒体として使用されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このス
パッタ薄膜型媒体における上記従来技術のうち、磁性体
組成の改善による成膜方法では、磁性体層の材料として
Co-Ni-Pt、Co-Cr-Ptといった貴金属が用いられており、
製品価格が高く、また保磁力も2000 Oe 程度までしか得
られていない。
【0009】また、基板を高温にして磁性体層を形成す
る方法では、基板温度を高めることにより保磁力が向上
した磁気記録媒体が得られるが、基板を保持するための
ホルダーが加熱により変形するなどの成膜装置上の問題
から、研究レベルではなく量産を行う場合には、基板温
度が 250℃を越えた状態での磁性体層の形成は容易では
なく、保磁力を2000 Oe 以上に高めることは不可能であ
る。
【0010】また、基板に逆バイアス電圧を印加した状
態で成膜する方法では、保磁力が向上した磁気記録媒体
が得られているが、逆バイアス電圧を印加する必要があ
るため成膜装置の構造が複雑である、電位分布の不均一
性により性能にバラツキを生じるなどの不具合があり、
前記同様に保磁力を2000 Oe 以上に高めることは不可能
である。
【0011】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
のであって、その目的は、1500 Oe以上さらには2000 Oe
以上の高保磁力を有する磁気記録媒体を提供するもの
である。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係わる磁気記録媒体は、基板上に、Co系
合金よりなる磁性体層とこの磁性体層の上にLi、Be、B
、Na、Mg、Al、Si、P、S 、K 、Ca、Sc、Ti、V 、Cr、
Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、As、Se、Sr、Y、Zr、N
b、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、I 、B
a、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、T
m、Yb、Lu、Hf、Ta、W 、Re、Os、Ir、Pt、Au、Tl、P
b、Biの単元素よりなる保護層または2種以上の元素よ
りなる保護層を有するとともに、前記Co系合金磁性体層
の結晶粒界および粒内での非磁性元素の比率(粒界/粒
内)を1.05以上に形成されたものである。
【0013】そして、H 、C 、N 、O 、F 、Cl、Ga、B
r、Rb、Cs、Hgが加えられた2種以上の元素よりなる保
護層であってもよい。
【0014】また、Co系合金磁性体層とその上の保護層
との間には、非磁性体層とその上にCo系合金磁性体層と
が交互に1層または2層以上形成されていてもよい。
【0015】また、基板とその上のCo系合金磁性体層と
の間には、Cr層が形成されていてもよい。
【0016】
【作用】以下、本発明の構成と作用について詳細に説明
する。ところで、本発明者らも、従来よりスパッタ法に
よる薄膜型媒体の研究を重ねてきており、先に、ガラス
状カーボンでなるカーボン基板上にCrよりなる下地層、
Co系合金よりなる磁性体層、保護層を順に形成した後、
これを 250℃以上の温度で熱処理することにより、保磁
力を向上させた磁気ディスクの製造方法を提案した(特
願平 2− 73924号)。また、上記製造方法を改善した磁
気ディスクの製造方法も提案している(特願平 3− 602
19号)。
【0017】そして、上記の研究をさらに進める内に、
磁性体層の結晶粒界に非磁性元素を偏析させ、各結晶粒
を磁気的に分離することにより保磁力が大幅に向上する
ことを知見するとともに、磁性体層の結晶粒界および粒
内での非磁性元素の比率(粒界/粒内)を1.05以上に形
成されたものは、安定した高保磁力(1500 Oe 以上さら
には2000 Oe 以上)を有することを知見し本発明をなし
たものである。
【0018】このように磁性体層の結晶粒界に非磁性元
素を偏析させる方法としては、成膜後に 250℃以上で熱
処理することにより得られる。この熱処理温度が 250℃
未満では、磁性体層の結晶粒界および粒内での非磁性元
素の比率(粒界/粒内)が1.05以上とはならず、安定し
た高保磁力(1500 Oe 以上さらには2000 Oe 以上)を有
する媒体が得られない。一方、この熱処理温度の上限は
特に限定するものではないが、熱処理コスト等を勘案し
て 800℃程度に押さえることが望ましい。
【0019】このように 250℃以上の高温で熱処理する
ので、磁気記録媒体を構成する基板としては耐熱性に優
れた、例えば、カーボン基板、結晶化ガラス基板、チタ
ン基板、シリコン基板などを用いる必要がある。すなわ
ち、従来より塗布法に用いられてきたアルミニウム合金
基板では、高記録密度化のために磁性金属をスパッタす
ることは可能であるが、その際に、基板温度を 250℃以
上に加熱すると基板の変形を生じるとともに、基板表面
が軟らかく取り扱い難いと言う問題があり、また、 NiP
めっき基板の場合には、 NiPめっきが仕様限界値を越え
て磁化され、磁性体層に悪影響を与えると言った問題が
ある。さらに、強化処理ガラス基板では、表面平滑性の
確保が容易であることなどから NiPめっき基板に代わる
ものとして注目されているが、絶縁体のためバイアス印
加は不可能であり、また、高温加熱を行うと強化処理層
中のイオンが磁性体層中に拡散し、磁性体性能を劣化さ
せるという問題がある。
【0020】これに対して、前述したカーボン基板、結
晶化ガラス基板、チタン基板、シリコン基板などの場合
には、非磁性であること、高温に加熱されても極め
て変形し難く高温での熱処理が可能であること、硬度
が、アルミニウム合金のビッカース硬度HV=60程度に比
べHV= 200〜 650程度と高いため、 NiPめっきをするこ
となく磁性体層を直接形成できること、高温でも他元
素との反応性が低いこと、耐食性に優れていること、
などの磁気記録媒体としての長所を備えている。なお、
基板としては、ビットエラーの原因となる晶出物などの
欠陥の発生が少ない高純度成分からなるものがより望ま
しい。また、基板としては、基板母材や基板の上に成膜
される磁性体層などと反応し難い各種元素層を形成する
各種表面処理を施したものを用いてもよい。
【0021】本発明では、上記の要件を満たした基板を
用いるので、その上に、Co系合金磁性体層あるいはCr層
とその上にCo系合金磁性体層を形成しその上に保護層を
形成した後、または、前記Co系合金磁性体層とその上の
保護層との間に、非磁性体層とその上にCo系合金磁性体
層とを交互に1層または2層以上積層形成した後、高温
( 250℃以上)で熱処理しても、基板の磁化や変形を生
じることなく、結晶粒界および粒内での非磁性元素の比
率(粒界/粒内)が1.05以上である磁性体層が得られ、
1500 Oe 以上の高保磁力の磁気記録媒体が安定して得ら
れる。
【0022】磁性体層のCo系合金としては、スパッタ
法、めっき法などで用いられる代表的な合金であるCo-N
i-Cr、Co-Cr-Ta、 Co-Cr、Co-P、 Co-Ni-P、Co-B、 Co-
Ni-Bなどの非磁性元素を含んだCo系合金が好適に使用し
得る。また、高価ではあるが貴金属を含むCo-Cr-Pt、 C
o-Pt、Co-Ni-Ptなどであってもよい。またCrなどの非磁
性層を下層に有する場合には、非磁性元素を含まないCo
系合金が好適に使用し得る。
【0023】この場合の保磁力向上メカニズムとしては
次のように考えられる。磁性体層に非磁性元素であるCr
を含む場合には、粒界へのCrの偏析が促進され、これに
より、磁性体層中の各結晶粒の磁気的な分離が進み、交
換相互作用が弱まることにより保磁力が向上するのであ
る。一方、基板上に磁性体層の下地層としてのCr層が形
成されている場合には、その厚みを厚くすることにより
Cr層の(110) 面が選択的に成長し、Co系合金では磁化容
易軸(C軸)が面内に配向され易くなる上に、さらに熱
処理を行うと下地Cr層からCo系合金磁性体層の結晶粒界
へのCrの拡散を生じ、保磁力がより向上するものと考え
られる。また、この場合、Crと同様な働きをする非磁性
元素としては P、Znなど多数の元素があり、このような
非磁性元素が磁性体層のCo系合金中あるいは下地層のCr
中に含まれていても、同様に保磁力の向上が可能とな
る。また、磁気的に分離されることによりノイズの低減
が可能となる。
【0024】次に、Co系合金磁性体層の上に形成する保
護層について説明する。Co系合金磁性体層の上に保護層
として、例えば代表的材料の C一種からなる C単元素層
を形成した場合には、成膜時の基板温度の上昇と共に C
の磁性体層中への拡散が進み、保磁力を大きく高めるこ
とができない。さらに、熱処理する場合には、 C単元素
層が C+O2→CO2 のように、熱処理雰囲気中の酸素と反
応してガス化されその厚みが減少したりあるいは消失し
たりする。さらに、 C単元素層を用いた場合には、熱処
理において Cが磁性体層中に拡散し、磁性体層中にCrを
含む場合には、Crと化合物を形成し磁気特性を劣化させ
る場合があり、より高保磁力を得ようとした場合には好
ましくない。
【0025】本発明者等は、Co系合金磁性体層の上に保
護層として C単元素層を形成した場合に上述の如き現象
を確認したことから、磁性体層中への拡散が少なく、Cr
-C化合物などを形成しない元素を磁性体層上の保護層に
用いることを考えた。すなわち、磁性体層上に磁性体層
中への拡散などの反応がし難い保護層を形成した後、熱
処理を行ったところ、 C単元素層を形成した場合に比
べ、大幅な保磁力の向上が確認されたのである。また、
媒体の最上層に形成した単元素からなる保護層は、熱処
理雰囲気により、酸化物、窒化物、ほう化物、炭化物な
どに変化し、磁気ディスクの保護膜の機能を果たすこと
が分かった。
【0026】そして、その後の研究において、磁性体層
中への拡散などが無く且つ前記保護機能を有し保護層と
して使用し得る元素としてLi、Be、B 、Na、Mg、Al、S
i、P、S 、K 、Ca、Sc、Ti、V 、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、
Cu、Zn、Ge、As、Se、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、P
d、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、I、Ba、La、Ce、Pr、Nd、
Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W
、Re、Os、Ir、Pt、Au、Tl、Pb、Biのあることを知見
した。また、H 、C 、N 、O 、F 、Cl、Ga、Br、Rb、C
s、Hgは、上記単元素の化合物などとして組み合わせて
使用し得ることを知見した。
【0027】これらの元素は、スパッタ法のみならずめ
っき法、蒸着法、化学気相成長法などの各種方法により
成膜(層形成)が可能である。なお、媒体の保護、潤滑
作用をさらに必要とする場合には、前記保護層の上に従
来から使用されている保護層や潤滑層を形成してもよ
い。
【0028】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。 〔実施例1〕表面研磨した 3.5in磁気ディスク用カーボ
ン基板を使用し、このカーボン基板上に、厚み3000Åの
下地層としてのCr層と、厚み 600Åの磁性体層としての
Co62 .5Ni30Cr7.5 層と、厚み 300Åの保護層としてのZr
(ジルコニウム)よりなるZr層とを、D.C.マグネトロン
スパッタ装置を用いて順次形成し磁気ディスクを作成し
た。この時の基板温度は 250℃とした。
【0029】次に、作製した磁気ディスクから8mm角の
試料を切り出し、振動試料型磁力計(VSM)を用いて
磁気特性を測定した。その保磁力Hcは約1000(Oe)であ
った。その後、これら試料を、真空中(真空度30×10-3
Torr)にて 350〜 650℃の各温度でそれぞれ 1分間の熱
処理を行い、熱処理後の膜の磁気特性をVSMによりそ
れぞれ測定した。この測定結果を図1に示す。この図よ
り明らかなように熱処理を行うことにより保磁力Hcが大
きく増大した磁気ディスクが得られている。
【0030】また、熱処理前後の試料についてCoNiCr層
の結晶粒界および粒内のCr量を求めた。その結果を表1
に示す。
【0031】
【表1】
【0032】表1より明らかなように、保磁力Hcの増加
と共にCr量が増加し、また、結晶粒界および粒内のCrの
比率が増加している。ここで、粒界、粒内および粒界/
粒内は次のように仮定した。なお、測定部位は、図2に
示すとの部位である。 粒界の非磁性元素量:結晶粒界に存在するCo系合金中の
非磁性元素の量----の平均 粒内の非磁性元素量:結晶粒内に存在するCo系合金中の
非磁性元素の量----の平均 粒界/粒内:上記非磁性元素の粒界、粒内での比率 さらに、測定条件は、装置として----------VG社製
超高分解能分析電顕HB501を使用し、加速電圧: 1
00kV,試料吸収電流:10-9A,計数時間:100〜 300
秒の条件である。
【0033】また、熱処理後の試料についてその薄膜X
線回折を測定したところ、Zr層は酸化Zr層に変化してい
ることが判明した。さらに、この試料について、環境試
験として温度65℃、湿度85%にて10日間保持した後に、
振動試料型磁力計(VSM)を用いて磁気特性を測定し
たところ、保磁力Hc、残留磁束密度Br、角形性mなどに
環境試験前に比べて変化はなく、酸化Zr層が保護膜とし
ての機能を備えていることが確認された。
【0034】〔実施例2〕実施例1に示す構成におい
て、CoNiCr磁性体層をCoNiCr(300Å) /Cr(100Å)/CoN
iCr(300Å) 層に変更した以外は全て実施例1と同様の
処理を行い、熱処理前後の磁気特性を測定した。その結
果、CoNiCr層の結晶粒界、粒内での非磁性元素の比率
(粒界/粒内)が1.05以上のものでは、1500乃至2000 O
e 以上の保磁力を有していた。
【0035】〔実施例3〕CoNiCr磁性体層をCo86Cr12Ta
2 層またはCo75Cr13Pt12層に変更した以外は全て実施例
1と同様の処理を行い、熱処理前後の磁気特性を測定し
た。その結果、両媒体共、Co系合金層の結晶粒界、粒内
での非磁性元素の比率(粒界/粒内)が1.05以上のもの
では、1500乃至2000 Oe 以上の保磁力を有していた。
【0036】〔実施例4〕Cr下地層を省いた以外は全て
実施例1と同様の処理を行い、熱処理前後の磁気特性を
測定した。その結果、Co系合金層の結晶粒界、粒内での
非磁性元素の比率(粒界/粒内)が1.05以上のもので
は、1500乃至2000 Oe 以上の保磁力を有していた。
【0037】〔実施例5〕実施例2においてカーボン基
板上のCr下地層を省いた以外は全て実施例2と同様の処
理を行い、熱処理前後の磁気特性を測定した。その結
果、Co系合金層の結晶粒界、粒内での非磁性元素の比率
(粒界/粒内)が1.05以上のものでは、1500乃至2000 O
e 以上の保磁力を有していた。
【0038】〔実施例6〕熱処理条件を大気中熱処理に
変更した以外は全て実施例1と同様の処理を行い、熱処
理前後の磁気特性を測定した。その結果を図3に示す。
保磁力の向上した試料においては、Co系合金層の結晶粒
界、粒内での非磁性元素の比率(粒界/粒内)が1.05以
上を有していた。
【0039】〔実施例7〕基板を、磁気ディスク用チタ
ン基板、結晶化ガラス基板、シリコン基板にそれぞれ変
更した以外は全て実施例1と同様の処理を行い、熱処理
前後の磁気特性を測定した。その結果、各媒体共、実施
例1同様に、Co系合金層の結晶粒界、粒内での非磁性元
素の比率(粒界/粒内)が1.05以上のものでは、1500乃
至2000 Oe以上の保磁力を有していた。
【0040】〔実施例8〕無電解めっき法によりCo系合
金磁性体層を形成するために、カーボン基板に所定の洗
浄を行った後、Pd活性化処理を行った。その後、 CoNiP
層(600Å) ,NiP層(300Å) を無電解めっき法により形
成した物、 CoNiPZn層(600Å) ,NiP 層(300Å) を無電
解めっき法により形成した物について実施例1と同様な
熱処理を行った。熱処理前後の磁気特性を測定したとこ
ろ、 PおよびZnが粒界に拡散しており、Co系合金層の結
晶粒界、粒内での非磁性元素の比率(粒界/粒内)が1.
05以上のものでは、1500乃至2000 Oe 以上の保磁力を有
していた。
【0041】〔実施例9〕Zr単元素層をLi、Be、B 、N
a、Mg、Al、Si、P 、S 、K 、Ca、Sc、Ti、V 、Cr、M
n、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、As、Se、Sr、Y 、Zr、N
b、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、I 、B
a、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、T
m、Yb、Lu、Hf、Ta、W 、Re、Os、Ir、Pt、Au、Tl、P
b、Biの単元素に変更した以外は全て実施例1と同様の
処理を行い、熱処理前後の磁気特性を測定した。その結
果、各媒体共、実施例1同様に、Co系合金層の結晶粒
界、粒内での非磁性元素の比率(粒界/粒内)が1.05以
上のものでは、1500乃至2000Oe 以上の保磁力を有して
いた。
【0042】〔比較例1〕Zr単元素層を C単元素層に変
更した以外は全て実施例1と同様の処理を行い、熱処理
前後の磁気特性を測定した。その結果を図4に示す。な
お、図4には、実施例1で得られたZr単元素層の場合を
併記する。図4より明らかなように、本比較例による場
合には、Zr単元素層の場合に比べ保磁力の増大は少な
く、且つ同一保磁力を得るためにより高温度が必要であ
ることが分かる。また、真空中 300℃, 400℃, 500℃
の各温度での 1分間の熱処理におけるZrおよび C単元素
層の減少量を調査したところ、Zr単元素層では全く減少
することは無かったけれど、 C単元素層の場合には、飛
散による C単元素層の減少が確認され、温度 300℃でそ
の厚みが82Å減少し、温度 400℃で 118Å減少し、さら
に温度 500℃で 268Å減少していた。さらに、 C単元素
層の場合について薄膜X線回折および厚み方向の組成分
析をしたところ、 C単元素層の Cが磁性体層中へ拡散し
ており、 CがCrと化合物を形成していることが分かっ
た。つまり、 CとCrが化合物を形成することにより、Co
系合金磁性体層の結晶粒界に存在するCrの比率が減少
し、高い保磁力が得にくいものと推定される。
【0043】〔比較例2〕Zr単元素層を C単元素層に変
更し、基板温度を 400℃まで変化させて成膜する以外は
全て実施例1と同様の成膜条件でメディアを作成した。
Co系合金磁性体層の結晶粒界、粒内のCr比率(粒界/粒
内)は1.05以上であるが、 Cを用いたため、 CのCo系合
金磁性体層中への拡散が進行し、1500 Oe 以上の保磁力
を有するメディアは得られなかった。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係わる磁
気記録媒体は、安定して1500 Oe 以上の高保磁力を有し
ており、磁気記録媒体の高記録密度化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる磁気記録媒体の熱処理温度と保
磁力の関係を示す図である。
【図2】本発明に係わる磁気記録媒体の断面模式図であ
る。
【図3】本発明に係わる磁気記録媒体の熱処理温度と保
磁力の関係を示す図である。
【図4】本発明と比較例の磁気記録媒体の熱処理温度と
保磁力の関係を併記して示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、少なくともCo系合金よりなる
    磁性体層とこの磁性体層の上にLi、Be、B 、Na、Mg、A
    l、Si、P 、S 、K 、Ca、Sc、Ti、V 、Cr、Mn、Fe、C
    o、Ni、Cu、Zn、Ge、As、Se、Sr、Y 、Zr、Nb、Mo、R
    u、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、I 、Ba、La、C
    e、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、L
    u、Hf、Ta、W 、Re、Os、Ir、Pt、Au、Tl、Pb、Biの単
    元素よりなる保護層または2種以上の元素よりなる保護
    層を有するとともに、前記Co系合金磁性体層の結晶粒界
    および粒内での非磁性元素の比率(粒界/粒内)が1.05
    以上であることを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 H 、C 、N 、O 、F 、Cl、Ga、Br、Rb、
    Cs、Hgが加えられた2種以上の元素よりなる保護層を有
    する請求項1記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 Co系合金磁性体層とその上の保護層との
    間に、非磁性体層とその上にCo系合金磁性体層とを交互
    に1層または2層以上積層して有する請求項1または2
    記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 基板とその上のCo系合金磁性体層との間
    に、Cr層を有する請求項1、2または3記載の磁気記録
    媒体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005034095A1 (en) * 2003-10-06 2005-04-14 Kabushiki Kaisha Toshiba Perpendicular magnetic recording medium, manufacturing method therefor, and magnetic read/write apparatus using the same
SG118264A1 (en) * 2004-06-29 2006-01-27 Sony Corp A magnetic material and a MEMS device using the magnetic material
US7901803B2 (en) 2003-10-06 2011-03-08 Showa Denko K.K. Perpendicular magnetic recording medium, manufacturing method therefor, and magnetic read/write apparatus using the same

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