JPH0514116A - メカニカルフイルタ及びその製造方法 - Google Patents

メカニカルフイルタ及びその製造方法

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JPH0514116A
JPH0514116A JP15848691A JP15848691A JPH0514116A JP H0514116 A JPH0514116 A JP H0514116A JP 15848691 A JP15848691 A JP 15848691A JP 15848691 A JP15848691 A JP 15848691A JP H0514116 A JPH0514116 A JP H0514116A
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sound piece
flat plate
vibration sound
vertical vibration
mechanical filter
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JP15848691A
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Yoshihiko Takeuchi
嘉彦 竹内
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Japan Radio Co Ltd
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Japan Radio Co Ltd
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  • Piezo-Electric Or Mechanical Vibrators, Or Delay Or Filter Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】寸法精度を向上させ、共振周波数偏差を低減し
て特性ばらつきをなくす。 【構成】一個の平板28に溝を入れ、さらに母材36を
切断し、複数の一体構成体を得る。この構成体に圧電セ
ラミクスを重合固着する。寸法精度が向上し、各縦振動
音片の共振周波数偏差が低減する。特性ばらつきが低減
し、より小型なメカニカルフィルタを製造可能となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、縦振動により共振する
縦振動音片を結合子により結合したメカニカルフィルタ
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、通信機器等にメカニカルフィ
ルタが用いられている。メカニカルフィルタは、LCフ
ィルタと水晶フィルタの中間的特性を有しており、Q値
が良いため周波数選択性が良い。また、温度に対して安
定な特性を有し、小型化が可能であるという利点を有し
ている。
【0003】図9には、一従来例に係る複合縦振動型メ
カニカルフィルタの構成が示されている。この従来例に
おいては、長さLの入力側縦振動音片50と長さL
の出力側縦振動音片52とが平行配置され、結合子54
及び56により互いに一体に結合している。これら縦振
動音片50及び52、結合子54及び56は同一面に配
置されている。また、縦振動音片50及び52の側面
(結合子54及び56とは逆側)からは、支持部材58
及び60が引き出されている。これらの部材は一体であ
り、本願出願人が先に提案している特開平2−1034
87号に開示済みのフォトリソグラフィによるエッチン
グ加工処理の方法で、製造される。
【0004】入力側縦振動音片50の表裏には、圧電セ
ラミクス62及び64が重合固着されている。同様に、
出力側縦振動音片52の表裏には、圧電セラミクス66
及び68が重合固着されている。これらの圧電セラミク
ス62〜68には、図示しないが、メタライズ等により
電極が被着形成されている。
【0005】このような構成のメカニカルフィルタは、
圧電セラミクス62及び64によって入力側縦振動音片
50に縦振動を発生させることにより動作する。すなわ
ち、圧電セラミクス62及び64の表面電極と、入力側
縦振動音片50の表面と、の間に信号源OSCから高周
波信号S、例えばスーパーヘテロダイン方式の受信機
では455kHzの中間周波数信号を供給すると、この
高周波信号Sによって、圧電セラミクス62及び64
と入力側縦振動音片50との間に電界が生起する。この
電界によって圧電セラミクス62及び64には電歪が生
じ、入力側縦振動音片50が縦振動する。すなわち、図
においてm及びmの方向に電歪が生じ、長さL
方向の縦振動が発生する。
【0006】入力側縦振動音片50は、このようにして
発生した縦振動について共振子として機能する。すなわ
ち、入力側縦振動音片50は、長さLに応じた周波数
で共振する。入力側縦振動音片50は半波長共振す
るので、入力側縦振動音片50における平均縦振動音速
をVとするならば、周波数Fは次の式で示される値と
なる。
【0007】F=V/(2L) 入力側縦振動音片50において生じた縦振動は、2個の
結合子54及び56を介して出力側縦振動音片52に伝
搬する。出力側縦振動音片52も入力側縦振動音片50
と同様半波長共振子であるので、この伝搬は一の共振子
と他の共振子との機械的結合であるといえる。出力側縦
振動音片52も、その長さLに応じた周波数Fで共
振する。共振周波数Fは、次の式で表される。
【0008】F=V/(2L) 出力側縦振動音片52が縦振動すると、電歪によって、
圧電セラミクス66及び68と出力側縦振動音片52と
の間に電界が生起する。この電界は、高周波信号S
して取り出すことができる。この高周波信号Sは、上
述の結合共振器から取り出された信号であるため、狭帯
域かつ急峻な特性で瀘波された信号である。前掲のスー
パーヘテロダイン方式の受信機の例では、455kHz
の中間周波数信号のみが好適に選択され、出力されるこ
とになる。すなわち、メカニカルフィルタは、周波数選
択性の良いフィルタとして実現されるものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来において
は、縦振動音片等を含む一体の部材がエッチング加工処
理等により製造されていたため、この部材の寸法精度を
高くすることが困難であった。一方で、メカニカルフィ
ルタの特性、特に共振周波数は、先に述べたように寸法
に依存する。従って、従来、特性ばらつきの発生を余儀
無くされていた。本発明は、このような問題点を解決す
ることを課題としてなされたものであり、より共振周波
数の精度が高く特性がばらつかないメカニカルフィルタ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】また、本発明は、機械的Qが高く共振周波
数温度係数が小さい縦振動音片を、この製造方法を用い
て実現し、不要なスプリアス共振を防止することを目的
とする。
【0011】さらに、本発明は、本発明の製造方法によ
って製造することが可能で、かつ、結合子が結合方向中
心について対称配置された構成のメカニカルフィルタを
実現し、スプリアス共振がなく不要なスプリアス応答が
発生しないメカニカルフィルタを実現することを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明は、少なくとも結合子に対応する残差
が生じるよう、所定の厚みを有する金属、半導体又は誘
電体の平板に溝を形成する溝形成工程と、少なくとも縦
振動音片及び結合子が一体に形成された構成体を溝が形
成された平板から複数枚切り出す切出工程と、を含むこ
とを特徴とする。
【0013】また、請求項2は、入力側縦振動音片、出
力側縦振動音片及び結合子が一体形成された部材である
平板状部材を厚み方向に複数枚積層し、かつこの複数枚
をそれぞれ異なる材料から形成したことを特徴とする。
【0014】また、請求項3は、複数枚の平板状部材の
うち少くとも1枚が、正の温度係数のヤング率を有する
材料から形成されたことを特徴とする。
【0015】さらに、請求項4は、厚み方向の組成が面
対称となるよう、3枚以上の平板状部材を積層したこと
を特徴とする。
【0016】そして、本発明の請求項5は、結合方向の
中心について結合子が対称配置されるよう、平板状部材
を厚み方向に複数枚したことを特徴とする。
【0017】
【作用】本発明においては、まず、平板に溝が形成され
る。この溝は、のちに縦振動音片の間の間隔空間となる
ものである。従って、溝を形成した後残った部分(残
差)は、例えばのちに結合子となる部分である。このよ
うに溝が形成された後、本発明においては、平板が製造
すべきメカニカルフィルタ(特にその縦振動音片及び結
合子を含む構成体)の形状に応じて切り出される。この
ようにして構成体を切り出すことにより、寸法ばらつき
がなく、従って特性もばらつかない複数個のメカニカル
フィルタが得られる。すなわち、一時に溝が形成された
同一の平板から切り出した構成体は、溝の延長方向に沿
って均質な形状を有することとなるため、寸法が均一と
なる。
【0018】請求項2〜4においては、このような新規
な方法を用いてメカニカルフィルタを製造することとし
た場合に、共振周波数温度係数との関係で、周波数選択
性が温度により変化してしまう不具合が防止される。次
に、この点に関して説明する。
【0019】メカニカルフィルタを請求項1に係る平板
状部材により形成しようとする場合、この平板状部材に
は、次の性質が要求される。
【0020】 (ア)高い機械振動品質定数(Q)を有すること (イ)小さい共振周波数温度係数を有すること このうち、(ア)は振動が熱エネルギーに変換されにく
い性質である。言い換えれば、Qが高いほど、一旦発生
した縦振動が長時間存続する。Qが低いと、挿入損失の
増加及び周波数選択性の低下の原因となる。
【0021】一方、(イ)は、通過周波数及び阻止周波
数の温度変化を抑制する性質である。すなわち、共振周
波数温度係数が大きいと、メカニカルフィルタとしたと
き特性が温度に対して不安定となる。なお、共振周波数
温度係数は、振動モードに依存する。
【0022】ところで、(ア)の条件は、圧電セラミク
スとの関係において満たさねばならない。すなわち、縦
振動音片と重合固着される圧電セラミクスのQは一般に
1500程度であり、縦振動音片のQを1500より著
しく高くしてもその効果は薄い。Qが1500を上回る
程度で縦振動音片に使用できる材料は比較的多数存在す
るため、(ア)の条件は比較的容易にクリアできる。
【0023】一方、(イ)の条件は、熱膨張係数と弾性
率の温度係数との関係により決まるため、この条件を満
たす材料はかなり限定される。
【0024】縦振動音片の共振周波数Fは、縦振動音片
における平均縦振動音速をVとし、縦振動音片の長さを
Lとすると、次の式で表される。
【0025】 F=V/(2L) …(1) 音速Vは、縦振動音片の弾性率(ヤング率)をE、密度
をρとすると、 V=(E/ρ)1/2 …(2) で表される。縦振動音片の質量をM、幅をW、厚みをT
とすると、密度ρは、 ρ=M/(WTL) …(3) で表される。従って、共振周波数Fは、 F=(E/ρ)1/2 /(2L) =(EWTL/M)1/2 /(2L) =1/2・(1/M)1/2 ・(EWT/L)1/2 と表される。この式の両辺を温度tで微分し、変形する
と、質量Mは一定であるので、共振周波数Fの温度係数
αは、 α=(1/F)・dF/dt =1/2・(α+α+α−α) と表せる。ここに、α、α、αは、それぞれ縦振
動音片の幅、厚み、長さ方向の線膨脹係数、αはヤン
グ率の温度係数であり、次のように表せる。
【0026】 α=(1/W)・dW/dt α=(1/T)・dT/dt α=(1/L)・dL/dt α=(1/E)・dE/dt ここに、縦振動音片の材料に異方性がなければα、α
、αは等しい。これをαとおき、αを以下、eで
表すこととすると、 α=1/2・(α+e) となる。(イ)の条件は、αが小さいことであるか
ら、 α=−e の条件が満たされれば、(イ)の条件が満たされたこと
になる。
【0027】この条件を、実際に存する材料に徴して検
討すると、一般的な材料では線膨張係数αは+10-6
10-5/℃、ヤング率の温度係数eは−10-5〜−10
-4/℃であるから、約1桁異なる。従って、上のα=−
eの条件を満たす材料は非常に限定される。さらに、
(ア)の条件をも考慮すると、縦振動音片の材料は、El
invar 、Iso-Elastic 、Metalinvar、Ni-SpanC(いずれ
も商品名)等の恒弾性材料に限定される。
【0028】しかし、これらの材料は、恒弾性特性が磁
気歪、内部歪により達成されているため、化学成分の微
妙な変化や、内部歪の変化によって、特性が変する。す
なわち、特性の安定化が困難であり、高価格である。
【0029】請求項2においては、異なる材料から形成
された複数枚の平板状部材が厚み方向に積層される。こ
の積層により、小さい共振周波数温度係数をより簡易に
実現可能となる。
【0030】この点に関し、ここで原理的に説明する。
先に述べたように、縦振動音片の共振周波数Fは、
(1)式で表せる。縦振動音片の厚み(あるいは平板状
部材の1枚の厚み)が波長2Lに比べ十分薄いと見なせ
るので、積層された複数枚の平板状部材において縦振動
音片に係る部分を、各平板状部材毎に縦波が独立して伝
搬することはなく、1つの縦波として伝搬する。すなわ
ち、積層された複数枚の平板状部材の合成ヤング率をE
´、密度をρ´とすると、音速Vは(2)式と同様に次
のように表される。
【0031】 V=(E´/ρ´)1/2 …(4) ここに、計算を簡単にするために積層される平板状部材
の枚数を2枚と仮定すると、ヤング率E´及び密度ρ´
は、次のように表される。ただし、各平板状部材のヤン
グ率、厚み及び密度をE、T、ρ及びE
、ρとする。 E´=(E+E)/(T+T) ρ´=(ρ+ρ)/(T+T) …(5) 積層される平板状部材の縦振動音片に係る部分の質量を
それぞれM、Mとすると、この部分の幅をWとすれ
ば、密度ρ、ρは、 ρ=M/(WTL) ρ=M/(WTL) …(6) と表せる。
【0032】一方、各平板状部材に係るヤング率E
びEの温度係数をe又はe、線膨脹係数をα
はαとすると、縦振動音片のヤング率E´の温度係数
e´、幅方向の線膨脹係数α、厚み方向の線膨脹係数
α、長さ方向の線膨脹係数αは、次のように表せ
る。
【0033】 e´〜(e+e)/(T+T) α〜(α+α)/(E+E) α〜(α+α)/(T+T) α〜(α+α)/(E+E) …(7) 次に、(3)式の両辺を微分し、(4)〜(7)式を代
入して周波数Fの温度係数αを求めると、 α〜1/2・(e´+α+α−α) 〜1/2・(e´−α) 〜1/2・{(e+e)/(T+T) −(α+α)/(T+T)} …(8) となる。この近似式より明らかなように、周波数Fの温
度係数αは、2枚の平板状部材のヤング率の温度係数
及び線膨脹係数を、厚みで重み付け平均した値に依存す
る。従って、本発明においては、複数枚の平板状部材の
厚みや材料の選択により、小さい共振周波数温度係数を
より簡易に実現可能である。なお、以上の説明では、平
板状部材が2枚であったが、これはさらに多数枚であっ
ても同様の結論となる。このようにして、共振周波数の
温度係数が小さく周波数選択性が温度によって変化しな
いメカニカルフィルタが実現される。
【0034】次に、請求項3においては、複数枚の平板
状部材のうち少くとも1枚が、正の温度係数のヤング率
を有する材料から形成される。通常の材料は、先に述べ
たように、ヤング率の温度係数は負である。請求項3に
おいては、正の温度係数のヤング率を有する材料を採用
することによって、ヤング率E´の温度係数e´をほぼ
0にする設計が可能になる。なお、このような材料とし
ては、+10-4/℃の温度係数を有する溶融石英や、い
わゆるパイレックスガラス(ホウケイ酸ガラスの商品
名)がある。
【0035】請求項4においては、平板状部材が3枚以
上使用され、これらが厚み方向の組成が面対称となるよ
う、積層される。このようにすると、線膨脹係数の差に
よる反り等が発生せず、不要なスプリアス共振が抑制さ
れる。
【0036】請求項5においては、請求項1の方法によ
って製造されたメカニカルフィルタにおける不具合すな
わち、結合子が従来例のように結合方向中心について対
称配置されていない不具合が解決される。これは、溝入
れの手法を用いたことに起因する不具合である。このよ
うな非対称性は、共振周波数近傍における不要なスプリ
アス共振を発生させる。
【0037】すなわち、入力側縦振動音片が縦振動しこ
の縦振動が結合子を介して出力側縦振動音片に伝搬する
際、結合子を支点として出力側縦振動音片が振られ、重
心の移動、スプリアス共振、ひいては通過特性における
不要なスプリアス応答が発生する。
【0038】請求項5においては、請求項1の方法で製
造される平板状部材が、積層され、メカニカルフィルタ
が構成される。この積層の際、結合子が結合方向の中心
について対称配置される。例えば、同一形状の平板状部
材を裏返して重ね合わせると、このような配置が実現さ
れる。この結果、結合子を介した縦振動伝搬による出力
側縦振動音片の振れが低減され、スプリアス共振による
スプリアス応答の発生が防止される。
【0039】
【実施例】次に、本発明の好適な実施例について図面に
基づき説明する。
【0040】図1には、本発明の一実施例に係る製造方
法の流れが、図2には、この方法によって製造したメカ
ニカルフィルタの構成が、それぞれ示されている。
【0041】まず、図1(a)に示されるように、金
属、半導体、誘電体等の材料から形成された平板28が
準備される。平板28を形成する材料としては、より具
体的には、シリコン、石英・水晶、サファイア等があげ
られる。
【0042】この平板28は、後に縦振動端面α面及び
β面となるべき面の平行性が保たれるよう、加工され、
研磨される。研磨精度は、半導体LSIの製造において
用いられているSi基板の研磨技術の採用により、1μ
m以下の高精度とすることができる。
【0043】この後、図1(b)に示されるように、溝
が形成される。溝は、少なくとも残差30、32及び3
4が残るよう、両面から形成される。この残差30、3
2及び34は、後に説明する結合子または支持部材とな
る部分である。溝を形成する手段としては、半導体チッ
プ切断用ダイシングソーがあげられる。このような手段
の採用により、正確な位置に精密に溝を形成することが
可能となる。
【0044】また、溝を形成するに当たっては、残差3
0〜34においてクラックが入り割れるのを防ぐ必要が
ある。このためには、片面から溝を形成した後その溝を
樹脂等でふさぎ、その後、裏面に溝を形成すると良い。
また、平板28の材料によっては、異方性エッチングを
使用できる。
【0045】次に、この平板28の形状を調整する。す
なわち、端面が後述する縦振動音片等の一体構成体の平
面形状となるよう、例えば図1(b)の構成体28の手
前及び奥側を、溝と平行に切り落とす。このようにして
得られた母材36の外観は、図1(c)に示されてい
る。
【0046】さらに、母材36を切断し、複数の一体構
成体を切り出す。すなわち、図1(c)において一点鎖
線で示されるように、縦にスライスする。この際、スラ
イスした後の一片一片の厚みが、メカニカルフィルタの
入出力インピーダンス仕様に合致するようにする。
【0047】なお、このスライスを行わず、母材即ち一
体構成体となるよう製造することも可能であるが、この
ようにした場合には、複数のメカニカルフィルタ間を同
一精度で製造する利点は確保困難である。
【0048】こののち、圧電セラミクスを、縦振動音片
とすべき部位に重合固着する。切り出された一体構成体
の材料が非導電性である場合には、重合固着に先立ち、
表面にメタライズ等により電極を形成する。重合固着
は、例えば半田付等により行う。こののち、必要な導線
の引き出し等を行うことにより、図1(d)に示される
ような外観のメカニカルフィルタが得られる。
【0049】このような製造方法の実施により得られる
メカニカルフィルタの外観は、拡大すると図2のように
なる。この図に示されるように、本実施例に係る方法で
製造したメカニカルフィルタは、入力側縦振動音片1
0、出力側縦振動音片12、結合子14、支持部材16
及び18を一体に形成したものである。縦振動端面であ
るα面と、β面と、は平行である。この実施例において
も、先に示した従来のメカニカルフィルタと同様の狭帯
域特性を実現できる。なお、入力側縦振動音片10及び
出力側縦振動音片12の共振周波数F及びFは、次
の式で示される値となる。
【0050】F=V/(2L) F=V/(2L) さらに、この実施例においては、従来と同様の特性を確
保できるに止まらず、さらに特性バラツキの低減という
顕著な効果が実現される。次に、この効果について説明
する。
【0051】従来の方法、すなわちフォトリソグラフィ
技術を用いたエッチングによる製造方法にあっては、エ
ッチング精度は、エッチングされる金属平板の厚みに対
し±15%程度となる。入力側と出力側の2個の縦振動
音片があることを計算にいれると、長さについて±30
%の誤差となる。この誤差は、相応した共振周波数の偏
差を発生させる。
【0052】すなわち、エッチングされる金属平板の厚
みをt、入力側縦振動音片の共振周波数Fの偏差をδ
、出力側縦振動音片の共振周波数Fの偏差をδF
とすると、この偏差δF及びδFは次のように表
される。
【0053】 δF=V/(2(L−0.3t))−V/(2L+0.3t)) 〜V/(2L)・(2・0.3t/L) 〜F・0.6t/L δF〜F・0.6t/L これを455kHzの通過周波数仕様で具体的数値を考
えると、t=0.5mm、L=L=4.4mm、δ
=δF=31kHzとなる。
【0054】これに対し本実施例の方法で製造した場
合、平板28の厚みの偏差をδtとすると、共振周波数
及びFの偏差δF及びδFは次のように表さ
れる。δF=F・δt/L δF=F・δt/L ここで、455kHzの通過周波数仕様で具体的数値を
考えると、δt=1μm程度にできるため、δF=δ
=0.1kHzとなる。これは、従来方法に比べ、
極めて小さい共振周波数偏差である。
【0055】なお、このような本実施例の方法を利用し
てさらに高精度でさらに小型なメカニカルフィルタ、す
なわちマイクロメカニカルフィルタを実現することも可
能である。
【0056】図3には、図2に示されるメカニカルフィ
ルタに、さらに2個の縦振動音片38を設けた構成が示
されている。このような構成も、本実施例の方法で製造
できる。
【0057】図4には、本発明の第3実施例に係るメカ
ニカルフィルタの構成が示されている。この図に示され
るように、本実施例では、入力側縦振動音片10、出力
側縦振動音片12、結合子14、支持部材16及び18
が、単一材料から形成されておらず、異なる種類の材料
から形成された2枚の平板状部材を積層した複合構成と
なっている。
【0058】この実施例において、信号Sが入力され
ると、この信号Sによって入力側圧電セラミクス20
及び22に電歪が生じ、これが図のm及びmの方向
に縦振動として伝搬する。入力側縦振動音片10の共振
周波数Fは、平均縦振動音速をV、入力側縦振動音片
10の長さをLとすると、 F=V/(2L) となる。これが結合子14を介して出力側縦振動音片1
2に伝搬すると、縦振動音片12は長さLに応じた周
波数Fにおいて共振し、この結果、出力される信号S
は狭帯域で瀘波された信号となる。なお、周波数F
は、次のように表される。
【0059】F=V/(2L) この実施例が特徴とするところは、2枚の平板状部材の
重合固着によって複合構造の縦振動音片10、12を構
成した点にある。このような構成は、先に述べた原理、
すなわち(8)式等に表される原理に基づき、不要なス
プリアス共振を抑制する。言い換えれば、2枚の平板状
部材の材料、厚みの選択設定により、周波数F、F
の温度係数をほぼ0に抑制でき、この結果、周波数選択
性の温度変化の少ないメカニカルフィルタを実現でき
る。さらには、従来の製造方法からの変更が少なく、製
造も比較的容易である。
【0060】また、このような効果を顕著に実現できる
材料としては、先にも述べたように、溶融石英、パイレ
ックスガラス等、ヤング率が正の温度係数を有するもの
があげられる。
【0061】図5には、本発明の第4実施例に係るメカ
ニカルフィルタの構成が示されている。この図において
は、2枚ではなく3枚の平板状部材が積層されている。
この実施例の場合、3枚のうち上下の2枚は同一材料同
一厚みである。このように組成が面対称となるようにす
ると、第3実施例において得られる効果の他、反り、ク
ラックの発生抑制の効果が得られる。すなわち、厚み方
向に組成が非対称であると、縦振動音片10、12にお
いて線膨脹係数の差に起因する反りや歪、さらには応力
によるクラックが発生する可能性がある。本実施例で
は、かかる変形が防止され、品質が向上する。さらに
は、反り等は共振周波数のずれやスプリアス共振の原因
となるが、反り等が抑制される結果このような現象が生
じにくくなりスプリアス応答の発生が防止される。この
実施例のような構成は、比較的使用温度範囲が広い仕様
のメカニカルフィルタや、製造工程上の原因により温度
変化が生じる場合に、適するものである。
【0062】図6には、本発明の第5実施例の構成が示
されている。この実施例においては、縦振動音片10と
12の間に2個の縦振動音片38が設けられている。こ
のような構成であっても、第3実施例と同様の効果が得
られる。
【0063】なお、以上の説明において、積層枚数は2
乃至3枚であったが、これ以上の枚数であっても構わな
い。ヤング率が正の温度係数を有する材料を用いる場
合、溶融石英やパイレックスガラス以外であっても良
い。
【0064】図7には、本発明の第6実施例に係るメカ
ニカルフィルタの構成が示されている。この図に示され
るように、本実施例は、第1実施例に係る製造方法で得
られた平板状部材を互いに裏返して重ね合わせ、これに
圧電セラミクス20〜26の重合固着等を行って得られ
た構成である。重ね合わせられた2枚の平板状部材は例
えば同一母材36から切断されたものであり、従って、
互いに位置がずれること無く重ね合わせられる。また、
このような重ね合わせにより、それぞれに属する結合子
14−1と14−2とが、一点鎖線100で示される結
合方向の中心について上から見て対称の位置になるよう
な構成が得られる。
【0065】このような構成とすることにより、結合子
14−1及び14−2による縦振動伝搬で生じるスプリ
アス共振を抑制できる。これは、例えば結合子14−1
による縦振動伝搬の結果出力側縦振動音片12に加わる
応力、変位が、他方の結合子14−2によって生じる応
力、変位で相殺されることによる。また、このような作
用を奏する図7の構成は、第1実施例に係る方法で精度
よく製造可能である。このように、特性ばらつきも少な
くスプリアス共振も発生しにくいメカニカルフィルタが
得られる。
【0066】図8には、本発明の第7実施例に係るメカ
ニカルフィルタの構成が示されている。この図に示され
る実施例は、入力側縦振動音片10と出力側縦振動音片
12との間に2個の縦振動音片38を設けた構成であ
る。このような構成も第1実施例に係る方法を応用して
製造でき、第6実施例と同様の効果を得ることができ
る。
【0067】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
平板への溝入れ及び切出しにより複数個の一体構成体を
得るようにしたため、寸法精度が良く、従って共振周波
数偏差が小さいメカニカルフィルタを製造できる。これ
により、いわゆるマイクロメカニカルフィルタの提供も
可能となる。
【0068】また、請求項2によれば、異なる材料から
形成された平板状部材の積層によって縦振動音片等を構
成するようにしたため、平板状部材の材料選択、厚み設
定によって、不要なスプリアス共振を抑制可能で特性の
良いメカニカルフィルタが得られる。
【0069】また、請求項3によれば、請求項2の効果
がより顕著となる。
【0070】請求項4によれば、反り、歪等の発生が抑
制され、不要なスプリアス共振をさらに抑制可能とな
る。
【0071】そして、請求項5によれば、平板状部材の
積層により結合子が結合方向中心に対称な配置となるよ
うにしたため、特性ばらつきが少なく、かつスプリアス
共振が抑制されたメカニカルフィルタが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るメカニカルフィルタの
製造方法を示す図であり、図1(a)は平板の斜視図、
図1(b)は溝を形成した後の平板の斜視図、図1
(c)は母材の斜視図、図1(d)は製品の斜視図であ
る。
【図2】図1に示される方法で製造されたメカニカルフ
ィルタの構成を示す斜視図である。
【図3】図1に示される方法で製造された第2実施例に
係るメカニカルフィルタの他の構成を示す斜視図であ
る。
【図4】本発明の第3実施例に係るメカニカルフィルタ
の構成を示す斜視図である。
【図5】本発明の第4実施例に係るメカニカルフィルタ
の構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の第5実施例に係るメカニカルフィルタ
の構成を示す斜視図である。
【図7】本発明の第6実施例に係るメカニカルフィルタ
の構成を示す斜視図である。
【図8】本発明の第7実施例に係るメカニカルフィルタ
の構成を示す斜視図である。
【図9】一従来例に係る方法で製造されたメカニカルフ
ィルタの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
10,12 縦振動音片 14 結合子 28 平板 30,32,34 残差 36 母材

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも結合子に対応する残差が生じ
    るよう、所定の厚みを有する金属、半導体又は誘電体の
    平板に溝を形成する溝形成工程と、 少なくとも縦振動音片及び結合子が一体に形成された構
    成体を溝が形成された平板から複数枚切り出す切出工程
    と、 を含むことを特徴とするメカニカルフィルタの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 厚み方向に複数枚積層され、かつこの複
    数枚がそれぞれ異なる材料から形成された平板状部材を
    有し、 この平板状部材が、 圧電部材が表面に被着され、当該圧電部材の励振により
    生じる電歪に応じて縦振動する入力側縦振動音片と、 入力側縦振動音片に対し互いの縦振動端面が平行となる
    よう並列配置され、圧電部材が表面に被着され、内部に
    生じている縦振動に応じて圧電部材に電圧を生起させる
    出力側縦振動音片と、 入力側縦振動音片の縦振動側面から引き出され、入力側
    縦振動音片から出力側縦振動音片側に縦振動を伝搬させ
    る橋状の部材である結合子と、 を一体形成した部材であることを特徴とするメカニカル
    フィルタ。
  3. 【請求項3】 請求項2記載のメカニカルフィルタにお
    いて、 前記複数枚の平板状部材のうち少くとも1枚が、正の温
    度係数のヤング率を有する材料から形成されたことを特
    徴とするメカニカルフィルタ。
  4. 【請求項4】 請求項2記載のメカニカルフィルタにお
    いて、 厚み方向の組成が面対称となるよう、3枚以上の平板状
    部材を積層したことを特徴とするメカニカルフィルタ。
  5. 【請求項5】 結合方向の中心について結合子が対称配
    置されるよう、厚み方向に複数枚積層された平板状部材
    を有し、 この平板状部材が、 圧電部材が表面に被着され、当該圧電部材の励振により
    生じる電歪に応じて縦振動する入力側縦振動音片と、 入力側縦振動音片に対し互いの縦振動端面が平行となる
    よう並列配置され、圧電部材が表面に被着され、内部に
    生じている縦振動に応じて圧電部材に電圧を生起させる
    出力側縦振動音片と、 入力側縦振動音片の縦振動側面から引き出され、入力側
    縦振動音片から出力側縦振動音片側に縦振動を伝搬させ
    る橋状の部材である結合子と、 を一体形成した部材であることを特徴とするメカニカル
    フィルタ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2006001162A1 (ja) * 2004-06-25 2006-01-05 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. 電気機械フィルタ
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