JPH05140672A - タングステン重合金製品の製造方法 - Google Patents

タングステン重合金製品の製造方法

Info

Publication number
JPH05140672A
JPH05140672A JP9358492A JP9358492A JPH05140672A JP H05140672 A JPH05140672 A JP H05140672A JP 9358492 A JP9358492 A JP 9358492A JP 9358492 A JP9358492 A JP 9358492A JP H05140672 A JPH05140672 A JP H05140672A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
hydrogen gas
organic binder
tungsten
binder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP9358492A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshinari Amano
良成 天野
Masahiro Omachi
正弘 大町
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Electric Industries Ltd
Original Assignee
Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Electric Industries Ltd filed Critical Sumitomo Electric Industries Ltd
Priority to JP9358492A priority Critical patent/JPH05140672A/ja
Priority to US07/920,564 priority patent/US5342573A/en
Publication of JPH05140672A publication Critical patent/JPH05140672A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Powder Metallurgy (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 射出成形を用いた粉末冶金法により、自重に
よる変形を押えることで複雑な形状で寸法精度に優れ、
更には有機バインダーの残留が少なく優れた強度及び靭
性を有するタングステン重合金製品を製造する。 【構成】 W粉末と、Ni粉末、Fe粉末又はCu粉末
とを混合し、混合粉末にワックス:ポリエチレンの体積
比が1:1〜4:1の有機バインダーを30〜50体積
%混練して射出成形し、成形体から有機バインダーを除
去した後、水素ガス中でNi、Fe又はCuの結合相の
融点の+50℃までの温度で焼結する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、タングステン重合金の
原料混合粉末から、射出成形を利用した粉末冶金法によ
って、複雑形状で寸法精度に優れたタングステン重合金
製品を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】タングステン重合金は約80重量%以上
のタングステンと、結合相であるニッケル、鉄又は銅と
からなる合金である。中でもタングステン含有量が約9
0重量%を越えるものはタングステン超重合金と呼ば
れ、自動車のフライウエイト等の小さくても大きな重量
を要する用途の外、クイル、シャンク、ボーリングバー
等の機械的強度を必要とする用途に使用されつつある。
【0003】かかるタングステン超重合金を含めたタン
グステン重合金は、高融点のタングステンを含むので、
従来から粉末冶金法により製造されている。即ち、タン
グステン重合金の原料粉末、例えばW粉末と、Ni粉
末、Fe粉末又はCu粉末とを所定の合金組成に混合
し、その混合粉末をプレス成形又はCIP成形等の通常
の加圧成形法により成形した後、得られた成形体を焼結
して真密度又は真密度に近い固化体とするものである。
【0004】しかし、上記した通常の粉末冶金法では加
圧成形法により成形体を得るため、製造できる製品の形
状が限られ又寸法精度に限度がある等の問題があった。
例えば、プレス成形では一軸方向で成形できる形状の製
品しか製造できず、又CIP成形は三次元形状の製品が
製造できるものの、ゴム型中で成形するため高い精度が
望めなかった。そのため、複雑形状で高い寸法の最終製
品を得るには、焼結後に機械加工を施す必要があり、生
産性が低くコスト高になる欠点があった。
【0005】一方、特公昭63−42682号公報等に
開示されるように、通常の金属又は合金製品の製造にお
いて、原料粉末を有機バインダーと混練して射出成形
し、非酸化性雰囲気中での熱分解等の脱バインダー処理
により成形体から有機バインダーを除去した後、焼結す
る方法が開発されている。かかる射出成形により成形体
を得る方法では、複雑な三次元形状にも対応でき且つ高
い寸法精度が得られるので、機械加工なしで最終製品が
得られる利点がある。又、射出成形に用いる有機バイン
ダーとしては、例えば特公昭51−29170号公報に
記載されたアタクチックポリプロピレン、ワックス、パ
ラフィン等の潤滑剤や、ジエチルフタレート等の可塑
剤、あるいは特開昭55−113511号公報に記載さ
れた熱可塑性樹脂とシラン系又はチタン系カップリング
剤など、多種多様のものが知られている。
【0006】しかしながら、上記の射出成形を利用した
粉末冶金法を用いてタングステン重合金製品を製造する
場合、脱バインダー処理後の成形体には気孔が40〜5
0体積%存在するので、これを焼結により真密度に近付
けると同時にタングステン粒を成長させて靭性を付与す
るためには、通常はニッケル、鉄又は銅の結合相の融点
を越える温度で液相焼結する必要がある。ところがタン
グステン重合金は比重が大きいので、結合相が液相とな
る焼結時に自重により成形体が変形しやすく、特に複雑
な形状になるほど変形が大きいという問題があった。
【0007】又、有機バインダーは原料混合粉末に通常
50体積%近くも混練しなければ十分な保形ができず、
しかも焼結前に脱バインダー処理しても完全に除去する
ことは難しかった。従って、従来の脱バインダー処理で
は成形体にクラックや変形が発生しやすく、これらを防
止するためには通常20℃/時間以下の極めて遅い昇温
速度しかとれなかった。しかも、脱バインダー処理後の
成形体に多くの気孔が発生するため焼結時の収縮率が大
きくなり、自重による変形が一層起こりやすくなり、寸
法精度の高い製品が得られなかった。更に、脱バインダ
ー処理後に約0.1重量%のカーボンが残留し、この残
留カーボンのため最終製品の強度や靭性が著しく低下
し、加圧成形法を用いた通常の粉末冶金法により製造し
た製品より強度及び靭性等が劣る製品しか得られなかっ
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる従来の
事情に鑑み、射出成形法を利用した粉末冶金法によりタ
ングステン重合金製品を製造する方法において、脱バイ
ンダー処理時及び焼結時における変形を押えることによ
り複雑な形状であっても寸法精度に優れた製品が得ら
れ、更には有機バインダーの残留を少なくすることによ
り優れた強度及び靭性を有する製品を得ることを目的と
する。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明のタングステン重合金製品の製造方法におい
ては、タングステン粉末と、ニッケル粉末、鉄粉末又は
銅粉末を所定の組成に混合し、この混合粉末にワック
ス:ポリエチレンの体積比が1:1〜4:1のワックス
とポリエチレンとからなる有機バインダーを30〜50
体積%混合し、射出成形により最終製品と相似形の成形
体を得た後、成形体から前記有機バインダーを除去し、
水素ガス中においてニッケル、鉄又は銅の結合相の融点
から+50℃までの範囲の温度で焼結することを特徴と
する。
【0010】
【作用】本発明方法は、射出成形を利用した粉末冶金法
によりタングステン重合金製品を製造するものであっ
て、タングステン重合金とは80重量%以上のWと、結
合相としてのNi、Fe又はCuとからなる合金で、W
含有量90重量%以上のタングステン超重合金を含めた
ものである。原料粉末は、W粉末と、Ni粉末、Fe粉
末及びCu粉末の少なくとも1種であり、これらをボー
ルミルやアトライター等を用いてアルコール等と共に混
合すると同時に粉砕して混合粉末とする。
【0011】混合原料粉末に混練する有機バインダー
は、ワックスとポリエチレンの組み合わせが好ましい。
その場合、ワックス:ポリエチレンの体積比を1:1〜
4:1の範囲とする理由は、体積比が1:1未満ではワ
ックス量が少ないため脱バインダー処理時に成形体にク
ラックが発生しやすく、又4:1を越えるとワックス量
が多くなり過ぎるため、100℃以下の温度でワックス
が流れ出して成形体強度を低下させると共に、脱バイン
ダー処理後の残留カーボン量が多くなるからである。
又、有機バインダーの量を30〜50体積%としたの
は、30体積%未満では射出成形時の流れが悪くなり、
50体積%を越えると脱バインダー処理後の成形体強度
が不足し、又残留カーボン量が増加すると共に、脱バイ
ンダー処理で生じる空孔が多くなるため焼結時の変形も
大きくなるからである。
【0012】特に原料粉末として、W粉末は粒径0.5
〜2μmの粒子60〜80重量%と粒径5〜15μmの
粒子20〜40重量%を含む粉末、及び結合相となるN
i粉末、Fe粉末、Cu粉末は平均粒径が1〜5μmの
範囲の粉末を使用すれば、原料粉末をかかる微粒と粗粒
の組み合わせとしたことにより混練する有機バインダー
の量を25〜35体積%まで低減させることが出来る。
【0013】有機バインダーと混練した原料混合粉末
は、最終製品と相似形の形状に射出成形し、次に成形体
の脱バインダー処理を行う。ワックスとポリエチレンか
らなる本発明方法の有機バインダーの場合、2段階の脱
バインダー処理を行うことが好ましい。即ち、第1段階
では成形体を真空中又は非酸化性ガス中において300
℃まで加熱することにより、主にワックスを溶解して成
形体から流出させる。第1段階における300℃までの
昇温速度は成形体の肉厚や形状等によっても異なるが、
通常は30〜50℃/時間が適当であり、従来の10〜
30℃/時間の昇温速度に比べて遥かに大きな昇温速度
を採用できる。第1段階の脱バインダー処理の雰囲気
は、原料粉末の酸化を抑えることが出来ればよく、従っ
て真空中、又は水素ガス、窒素ガス、或はアルゴン等の
不活性ガスのような非酸化性ガス中で行うことが出来
る。
【0014】又、主にワックスを除去する第1段階の脱
バインダー処理の別の方法として、成形体を揮発性の有
機溶媒で蒸気洗浄することも出来る。蒸気洗浄に使用す
る有機溶媒は揮発性のものであるが、成形体に含まれる
有機バインダーとの溶解性に優れたものを用いると、成
形体にオープンポアが形成される前に有機バインダーが
溶解除去されて成形体の形状を保つことができなくなる
ので、使用する有機溶媒は成形体に含まれる有機バイン
ダーとは難溶解性でなければならない。かかる有機溶媒
としては、アルコール、アセトン、トリクロロエタン、
四塩化炭素、メチレンクロライド等があり、特にメチル
アルコールやメチレンクロライドが好ましい。更に、タ
ングステン重合金は比重が大きいため、蒸気洗浄中にも
自重により成形体が変形しやすいので、この変形を防止
するためには成形体に含まれる有機バインダーの融点又
は軟化点よりも低い沸点を有する有機溶媒を使用するこ
とが望ましい。
【0015】次の第2段階の脱バインダー処理は、第1
段階の脱バインダー処理後の成形体を水素ガス中におい
て600〜800℃に保持することにより、高温でポリ
エチレンを分解、昇華させる工程である。第2段階の脱
バインダー処理を水素ガス雰囲気で行うのは、水素ガス
以外では原料粉末に含まれ又は混練等により混入した酸
素を十分に除去出来ず、焼結後の製品の機械的特性が低
下するからである。この第1段階及び第2段階の脱バイ
ンダー処理により、成形体の変形を大幅に抑制しなが
ら、成形体中の残留カーボン量を0.02重量%以下と
することが可能である。特に、第2段階の脱バインダー
処理に用いる水素ガス中に露点で10〜20℃程度の水
蒸気を含ませることにより、残留カーボン量を0.00
5重量%以下まで低下させることが出来る。
【0016】脱バインダー処理した成形体は、その後水
素ガス中においてニッケル、鉄又は銅の結合相の融点か
ら+50℃までの範囲の温度で液相焼結する。好ましく
は2段階の焼結を行い、まずニッケル、鉄又は銅の結合
相の融点の−50℃から融点未満までの範囲の温度で固
相焼結し、次に前記の液相焼結を行う。この第1段階の
焼結により、寸法が約15〜20%収縮して最終製品の
形状になると共に、理論密度比90〜100%に緻密化
される。この第1段階の焼結は固相焼結であるから、成
形体の形状が崩れる従来のような変形を起こすことなく
固化させることが可能である。次に、第2段階の液相焼
結により、タングステン粒が成長して靭性が付与され
る。この第2段階の焼結温度が結合相の融点の+50℃
を越えると焼結体に変形が起こる危険があるので好まし
くない。
【0017】本発明のタングステン重合金製品の製造方
法では、特定の有機バインダーの使用により、特に原料
粉末の粗粒と微粒の組み合わせにより成形体中の有機バ
インダーの含有量が少なくなり、又それぞれ2段階の脱
バインダー処理と焼結を行うことにより、脱バインダー
時及び焼結時の変形がほぼ完全に防止され、複雑な形状
であっても寸法精度に優れた製品が得られる。その結
果、焼結後に切削等の機械加工を施さずそのまま各種製
品として使用することが可能である。又、最終的な残留
カーボン量が極めて少なく、有機バインダーを使用しな
い通常の粉末冶金法で製造したものと同等の強度や靭性
を有している。
【0018】最近では、医療分野において半減期の短い
放射性物質を人体に注射することによる患部の検査や放
射線治療が行なわれているが、タングステン重合金は放
射線遮蔽効果にも優れているので、本発明によるタング
ステン重合金製品はUSP第4,062,353号明細書
に記載されるような、放射性物質用注射器の外周に装着
して医師や看護婦を放射線被曝から保護するための放射
線遮蔽カバーとしても好適である。
【0019】
【実施例1】原料粉末として、粒径0.5〜2μm(平
均粒径1.5μm)のW粉末と粒径5〜15μm(平均
粒径10μm)のW粉末を重量比で70:30の割合に
て混合し、これに平均粒径3μmのNi粉末とFe粉末
を更に混合して、重量比で97%W−2%Ni−1%F
eの組成となるように配合した。この混合粉末200k
gをアトライターにてエチルアルコール中で5時間粉
砕、混合した後、得られた混合粉末を150メッシュの
篩で篩分けした。次に、篩を通過した混合粉末30kg
に、有機バインダーとして体積比で3:1に混合したワ
ックスとポリエチレンを30体積%添加し、ニーダで3
時間混練した。
【0020】この混練物を、温度40℃に保持した金型
を通して射出圧力1000kg/cm2で射出成形し、
図1に示す最終製品形状に相似形の成形体を得た。尚、
図1に示す製品は放射性物質用注射器の外周に装着する
放射線遮蔽カバー1であり、略円筒形の放射線遮蔽カバ
ー1の一端から他端近くまで軸方向に沿った切り欠き部
2を有し、且つ一端外周部と他端内周部にそれぞれテー
パーを設けた形状になっており、主な規格寸法は外径a
が15.5mm、全長bが57.5mm、及び内径cが1
3.5mmである。
【0021】次に、成形体を減圧窒素ガス中にて昇温速
度40℃/時間で300℃まで加熱し、引き続き露点1
5℃の水蒸気を含む水素ガス中にて800℃で30分間
加熱して脱バインダー処理した。上記2段階の脱バイン
ダー処理後における成形体中の残留カーボン量は約0.
002重量%であった。その後、この成形体を水素ガス
中において1380℃で3時間の固相焼結を行い密度1
8.53g/cm3(理論密度比100%)の焼結体と
し、更にこれを水素ガス中において1460℃で液相焼
結して本発明例1の最終製品を得た。
【0022】又、1380℃での固相焼結を省略した以
外は上記実施例1と同様に製造した本発明例2、原料粉
末のうちW粉末について粗粒と微粒を組み合わせずに全
て3μm以下の粒径とした以外は実施例1と同様に製造
した本発明例3、及び上記と同一組成の原料混合粉末を
有機バインダーを混練せずにプレス成形した後、138
0℃での固相焼結を省略し1460℃での液相焼結のみ
を行って製造した比較例の各最終製品もぞれぞれ製造し
た。
【0023】かくして得られた複数の最終製品について
各部の寸法を測定し、外径a、全長b及び内径cの平均
寸法xとその分散σを求め、表1にまとめた。又、各最
終製品から切り出した試験片について、引張強度、伸
び、ロックウエル硬度をそれぞれ測定し、これらの結果
を表2に示した。
【0024】
【表1】 外径a(15.5mm) 全長b(57.5mm) 内径c(13.5mm) 試 料 平均x 分散б 平均x 分散б 平均x 分散б 本発明例1 15.45 0.050 57.53 0.095 13.48 0.068 本発明例2 15.48 0.235 57.42 0.248 13.45 0.251 本発明例3 15.45 0.085 57.53 0.123 − − 尚、有機バインダーを混練せず、プレス成形後に液相焼
結を行った比較例は、一見して正しい形状でないため、
各部の寸法測定を行わなかった。
【0025】
【表2】 上記表1及び表2から、本発明のW超重合金製品は脱バ
インダー処理時並びに焼結時の変形を防止できるため極
めて優れた寸法精度を有し、且つ通常の粉末冶金法で製
造した製品と同等又はそれ以上の強度や靭性を有するこ
とが判る。
【0026】
【実施例2】実施例1と同様にして得た射出成形体を、
蒸気洗浄機により揮発性有機溶剤として沸点74.0℃
のトリクロロエタンを用いて5時間の蒸気洗浄を行い、
次に露点15℃の水蒸気を含む水素ガス中にて800℃
で30分間加熱して脱バインダー処理した。尚、有機バ
インダーとして混練したワックスの融点は80℃及びポ
リエチレンの軟化点は110℃である。上記2段階の脱
バインダー処理後における成形体中の残留カーボン量は
約0.002重量%であった。その後、この成形体を実
施例1と同様の固相焼結と液相焼結により焼結した。得
られたW重合金製品の寸法精度及び機械特性は、実施例
1の本発明例1と同等であった。
【0027】
【実施例3】原料粉末として、実施例1と同じ粗粒と微
粒の組み合わせからなるW粉末と、Ni粉末及びFe粉
末とを組み合わせ、組成が重量比で95.5%W−3%
Ni−1.5%Feとなるように配合した。この混合粉
末を実施例1と同様にアトライターにて粉砕、混合した
後、混合粉末に有機バインダーとしてワックスとポリエ
チレンを表3の体積%で添加し、ニーダで3時間混練し
た。混練物を実施例1と同じ条件で、引張試験の試験片
と相似形の成形体に射出成形した。
【0028】次に、得られた成形体を減圧窒素ガス中に
て表3に記載の昇温速度で300℃まで加熱し、引き続
き露点15℃の水蒸気を含む水素ガス中にて800℃で
30分間加熱して脱バインダー処理した。この時点での
成形体中の残留カーボン量及び外観状態を表3に示す。
【0029】
【表3】 有機バインダー(vol%) 昇温速度 残留C量 成形体の試料 ワックス:ポリエチレン (℃/hr) (w%) 外観状態 1* 12.5 12.5 − − − 2* 20 5 − − − 3* 15 10 40 0.001 亀裂発生 4 24 6 40 0.001 良好 5 20 20 40 0.001 良好 6 30 10 20 0.001 良好 7 30 10 40 0.002 良好 8 30 10 50 0.002 良好 9* 30 10 60 0.005 亀裂発生 10* 33 7 40 0.007 良好 11* 27 27 40 0.007 良好 12* 44 10 40 0.007 良好 13* 33 7 40 0.007 良好 (注)*を付した試料は比較例である。 試料1及び2は射出が不可能であり、試料3は射出時に
亀裂が認められた。
【0030】上記の脱バインダー処理の終わった成形体
を水素ガス中において1380℃で2時間焼結した後、
更に水素ガス中で1450℃で2時間焼結した。得られ
た試験片について、密度、断面組織観察、及び1mm/
分の条件で引張試験を行い引張強度及び伸びを測定し、
結果を表4に示した。
【0031】
【表4】 表3及び表4から、本発明例の試料は、脱バインダー処
理後の成形体の異常がなく、残留カーボン量が少なく、
緻密で靭性に優れていることが判る。
【0032】
【実施例4】原料粉末としてW粉末、Ni粉末、Fe粉
末及びCu粉末(いずれも粒径3μm以下)を用意し、
各粉末を組成が重量比で97%W−2%Ni−1%F
e、95.5%W−3%Ni−1.5%Fe、95%
W−3%Ni−2%Cuとなるように混合し、組成〜
を有する混合粉末各200kgをアトライターにてエ
チルアルコール中で5時間粉砕、混合した。混合後の各
粉末の粒径は3μm以下であった。次に、各混合粉末に
体積比で30%のワックスと10%のポリエチレンとを
添加し、ニーダで3時間混練した。この混練物を温度4
0℃に保持した金型を通して射出圧力1000kgで、
引張試験の試験片と相似形の形状に射出成形した。得ら
れた各成形体のグリーン密度はいずれも相対密度で62
%であった。
【0033】次に、得られた各成形体を減圧窒素ガス中
にて昇温速度40℃/時間で300℃まで加熱し、引き
続き露点15℃の水蒸気を含む水素ガス中にて800℃
で30分間加熱して脱バインダー処理した。上記2段階
の脱バインダー処理後における各成形体の残留カーボン
量は、が0.002重量%、及びが0.006重量
%であった。その後、各成形体を水素ガス中で焼結し、
W超重合金からなる試験片を製造した。焼結温度は、組
成とのW−Ni−Fe系で1450℃、及び組成
のW−Ni−Cu系で1400℃とし、焼結時間はいず
れも2時間とした。
【0034】又、組成との成形体につき第2段階の
脱バインダー処理を水蒸気を含まない水素ガス中で行っ
た以外は上記と同様にして製造した試料をととし、
上記組成と同じ95.5%W−3%Ni−1.5%Fe
の組成に混合した粉末を、有機バインダーを混練するこ
となく、そのまま通常のプレス成形により上記と同じ試
験片と相似形の形状に成形し、引き続いて水素ガス中に
て1450℃で2時間焼結した試料を比較例とした。
【0035】得られた各W超重合金の試験片について、
密度を測定したところほぼ真密度になっており、顕微鏡
でも巣は観察されなかった。又、各試験片について、1
mm/分の条件での引張試験を行い引張強度及び伸びを
測定した。更に又、ロックウエル硬度を測定し、これら
の結果を下記表5に示した。
【0036】
【表5】 試料 合 金 組 成 密 度 引張強度 伸 び 硬 度 No. (重量%) (g/cm3) (kg/mm2) (%) (HRC) 97W−2Ni−1Fe 18.53 65.0 10 28 95.5W−3Ni−1.5Fe 18.10 65.2 18 27 95W−3Ni−2Cu 18.00 60.2 2 25 95.5W−3Ni−1.5Fe 18.10 64.8 20 27 95W−3Ni−2Cu 18.00 59.8 1 25 比較例 95.5W−3Ni−1.5Fe 18.10 65.5 20 27
【0037】上記表5から、本発明のW超重合金製品は
通常の粉末冶金法で製造した製品より寸法精度に優れ、
且つ通常の粉末冶金法で製造した製品と同等の強度や靭
性を有すること、特に第2段階の脱バインダー処理を水
蒸気を含む水素ガス中で行うことにより残留カーボン量
が低減され、より好ましい特性となることが判る。
【0038】
【実施例5】原料粉末として、W粉末、カーボニルNi
粉末、カーボニルFe粉末、及び電解Cu粉末(いずれ
も粒径2〜3μm)を用意し、各粉末を組成が重量比で
95.0%W−3.0%Cu−1.6%Ni−0.4%Fe
となるように混合した後、アトライターで6時間粉砕混
合し、150メッシュの篩で篩分けした。篩を通過した
混合粉末30kgに有機バインダーとして300gのポ
リエチレン(軟化点110℃)と600gのワックス
(融点80℃)を添加し、ニーダで3時間混練した。こ
の混練物を20tonの型締力を持つ射出成形機を用
い、縦20mm×横10mm×高さ5mmの製品2ケ取
りの金型を温度50℃に保持して、射出成形を行った。
【0039】得られた成形体を蒸気洗浄装置に入れ、揮
発性有機溶媒としてトリクロロエタン(沸点74.0
℃)を用い、1時間の蒸気洗浄を行った。次に、成形体
を0.5atmの減圧窒素ガス中において昇温速度20
℃/時間で300℃まで加熱し、引き続き昇温速度80
℃/時間で700℃まで加熱して脱バインダー処理を行
った。この脱バインダー処理後の残留カーボン量は0.
003重量%であった。その後、成形体を水素ガス雰囲
気中にて1400℃で焼結した。
【0040】得られた焼結体は、密度が18.10g/
cm3で、通常のプレス成形後に焼結したものと同様の
組織を有し、100倍の光学顕微鏡による観察でも巣や
結合相の偏析部は見られず、正常なW−Ni−Cu−F
e系超重合金であることが確認された。又、このW超重
合金の硬度はHVで310及びHRCで26であり、引張
強度は60kg/mm2であることから、通常のプレス
成形後に焼結したものと比較して同レベルの機械的特性
を有することが判った。更に、成形体の脱バインダー時
の歪みについても、得られた焼結体の寸法測定から0.
2mm以下の歪みに抑えられていることが判った。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、有機バインダーとして
ワックスとポリエチレンを用いた射出成形法と粉末冶金
法によって、脱バインダー処理時及び焼結時の変形をな
くすことができるので、有機バインダーを混練しない通
常のプレス成形による粉末冶金法では得られない複雑な
形状であっても、極めて優れた寸法精度を有するタング
ステン重合金製品を生産性良く安価に製造することが出
来る。
【0042】又、本発明によれば、脱バインダー処理後
の成形体中の残留カーボン量を大幅に低減させることが
出来るので、有機バインダーを混練しない通常のプレス
成形による粉末冶金法の場合と同等の優れた強度及び靭
性を有するタングステン重合金製品を得ることが出来
る。
【0043】しかも、粗粒と微粒を組み合わせた原料粉
末を用いることで、ワックスとポリエチレンからなる有
機バインダーの量を更に低減させることができ、しかも
2段階の脱バインダー処理並びに固相焼結と液相焼結の
2段階の焼結を行うことにより、更に寸法精度の優れた
且つ強度や靭性に優れたタングステン重合金製品を製造
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法により実施例1で製造した放射線遮
蔽カバーの平面図である。
【符号の説明】
1 放射線遮蔽カバー 2 切り欠き部
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年3月25日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正内容】
【0029】
【表3】 有機バインダー(vol%) 昇温速度 残留C量 成形体の試料 ワックス:ポリエチレン (℃/hr) (w%) 外観状態 1* 12.5 12.5 − − − 2* 20 5 − − − 3* 15 10 40 0.001 亀裂 4 24 6 40 0.001 良好 5 20 20 40 0.001 良好 6 30 10 20 0.001 良好 7 30 10 40 0.002 良好 8 30 10 50 0.002 良好 9* 30 10 60 0.005 亀裂/変形 10* 33 7 40 0.007 強度小 11* 27 27 40 0.007 強度小/変形 12* 44 10 40 0.007 強度小/変形 13* 33 7 40 0.007 強度小/変形 (注)*を付した試料は比較例である。試料1及び2は射出が不可能であった。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正内容】
【0036】
【表5】 試料 合 金 組 成 密 度 引張強度 伸 び 硬 度 No. (重量%) (g/cm3) (kg/mm2) (%) (HRC) 97W−2Ni−1Fe 18.53 65.0 10 28 95.5W−3Ni−1.5Fe 18.10 65.2 18 27 95W−3Ni−2Cu 18.00 60.2 2 25 95.5W−3Ni−1.5Fe 18.10 64.8 16 27 95W−3Ni−2Cu 18.00 59.8 1 25 比較例 95.5W−3Ni−1.5Fe 18.10 65.5
20 27

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タングステン粉末と、ニッケル粉末、鉄
    粉末又は銅粉末を所定の組成に混合し、この混合粉末に
    ワックス:ポリエチレンの体積比が1:1〜4:1のワ
    ックスとポリエチレンとからなる有機バインダーを30
    〜50体積%混合し、射出成形により最終製品と相似形
    の成形体を得た後、成形体から前記有機バインダーを除
    去し、水素ガス中においてニッケル、鉄又は銅の結合相
    の融点から+50℃までの範囲の温度で焼結することを
    特徴とするタングステン重合金製品の製造方法。
  2. 【請求項2】 有機バインダーを除去した後の成形体
    を、まず水素ガス中においてニッケル、鉄又は銅の結合
    相の融点の−50℃から融点未満までの範囲の温度で焼
    結して理論密度比90%以上とし、次に水素ガス中にお
    いてニッケル、鉄又は銅の結合相の融点から+50℃ま
    での範囲の温度で焼結することを特徴とする、請求項1
    記載のタングステン重合金製品の製造方法。
  3. 【請求項3】 粒径0.5〜2μmの粒子60〜80重
    量%及び粒径5〜15μmの粒子20〜40重量%を含
    むタングステン粉末と、平均粒径1〜5μmのニッケル
    粉末、鉄粉末又は銅粉末を用い、前記ワックスとポリエ
    チレンとからなる有機バインダーを25〜35体積%混
    合することを特徴とする、請求項1又は2記載のタング
    ステン重合金製品の製造方法。
  4. 【請求項4】 射出成形により得られた成形体を、真空
    中又は非酸化性ガス中において300℃まで加熱する第
    1段階と、次に水素ガス中において600〜800℃に
    保持する第2段階の脱バインダー処理により有機バイン
    ダーを除去することを特徴とする、請求項1記載のタン
    グステン重合金製品の製造方法。
  5. 【請求項5】 射出成形により得られた成形体を、含有
    されるワックスとポリエチレンの融点又は軟化点よりも
    低い沸点を有する揮発性有機溶剤で蒸気洗浄する第1段
    階と、次に水素ガス中において600〜800℃に保持
    する第2段階の脱バインダー処理により有機バインダー
    を除去することを特徴とする、請求項1記載のタングス
    テン重合金製品の製造方法。
  6. 【請求項6】 第2段階の脱バインダー処理に用いる水
    素ガスが、水蒸気を含む露点10〜20℃の水素ガスで
    あることを特徴とする、請求項4又は5記載のタングス
    テン重合金製品の製造方法。
JP9358492A 1991-03-22 1992-03-19 タングステン重合金製品の製造方法 Pending JPH05140672A (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9358492A JPH05140672A (ja) 1991-03-22 1992-03-19 タングステン重合金製品の製造方法
US07/920,564 US5342573A (en) 1991-04-23 1992-03-31 Method of producing a tungsten heavy alloy product

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8352991 1991-03-22
JP3-119287 1991-04-23
JP3-83529 1991-04-23
JP11928791 1991-04-23
JP9358492A JPH05140672A (ja) 1991-03-22 1992-03-19 タングステン重合金製品の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH05140672A true JPH05140672A (ja) 1993-06-08

Family

ID=27304253

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9358492A Pending JPH05140672A (ja) 1991-03-22 1992-03-19 タングステン重合金製品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH05140672A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008189981A (ja) * 2007-02-02 2008-08-21 Seiko Epson Corp 焼結体の製造方法および焼結体

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008189981A (ja) * 2007-02-02 2008-08-21 Seiko Epson Corp 焼結体の製造方法および焼結体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5342573A (en) Method of producing a tungsten heavy alloy product
AU2011244998B2 (en) Method for the manufacture of a shaped body as well as green compact
US7351371B2 (en) Method for the production of near net-shaped metallic and/or ceramic parts
KR100768700B1 (ko) 금속사출성형법을 이용한 합금 부품의 제조방법 및합금부품
JP2002531693A (ja) 硬質相の結合剤として、ニッケル及びコバルト非含有、窒素含有スチールを有する硬質の焼結成形体
Ebel et al. Metal injection molding of titanium
US20080075619A1 (en) Method for making molybdenum parts using metal injection molding
DE10120172C1 (de) Herstellung von Bauteilen durch Metallformspritzen (MIM)
JP2898475B2 (ja) 酸化物分散強化耐熱合金焼結体の製法
JPH05140672A (ja) タングステン重合金製品の製造方法
US4707332A (en) Sintering process for prealloyed powders
JPH04329801A (ja) 焼結部品の製造方法
KR101830697B1 (ko) 분말사출성형 부품을 제조하기 위한 방법
JPH05263164A (ja) タングステン重合金製品の製造方法
JPH05222402A (ja) タングステン重合金製品の製造方法
JPH04323307A (ja) タングステン重合金製品の製造方法
JPH07300648A (ja) 高強度焼結w基合金及びその製造方法
WO2009112192A2 (de) Verbundwerkstoff auf basis von übergangsmetalldiboriden, verfahren zu dessen herstellung und dessen verwendung
JPH04337040A (ja) タングステン重合金製品の製造方法
JP2002206124A (ja) Ti合金焼結体の製造方法
JPH10317009A (ja) ステンレス焼結体の製造方法
JP3089701B2 (ja) タングステン重合金複合製品の製造方法
JPH11181541A (ja) ステンレス焼結体の製造方法
JP2744737B2 (ja) Cr系耐熱合金粉末の焼結法
JPH04323308A (ja) タングステン重合金製品の製造方法