JPH05140024A - 酢酸の製造法 - Google Patents

酢酸の製造法

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JPH05140024A
JPH05140024A JP4124848A JP12484892A JPH05140024A JP H05140024 A JPH05140024 A JP H05140024A JP 4124848 A JP4124848 A JP 4124848A JP 12484892 A JP12484892 A JP 12484892A JP H05140024 A JPH05140024 A JP H05140024A
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Japan
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reaction
iodide
mol
water
concentration
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JP4124848A
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English (en)
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Hiroshi Koyama
弘 小山
Hidetaka Kojima
秀隆 小島
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Daicel Corp
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Daicel Chemical Industries Ltd
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    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Abstract

(57)【要約】 【目的】 メタノールを一酸化炭素と反応させて酢酸を
製造する方法がもつ欠点を克服し、副反応が大幅に抑制
され、カルボニル化反応速度が向上する酢酸の製造方法
を提供する。 【構成】 ロジウム成分及びヨウ化メチルを含有する触
媒系と、水及び酢酸メチルの存在下、メタノールを一酸
化炭素と反応させて、液相で酢酸を連続的に製造する方
法において、上記ロジウム・ヨウ化メチル触媒系にアル
カリ金属ヨウ化物塩を添加して、反応液中のヨウ素イオ
ン濃度を 0.3モル/l以上に保ち、かつ、反応液中の水
分濃度を 5.9モル/l以下にすることを特徴とする酢酸
の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、酢酸の製法に関する
ものである。酢酸は有用な工業薬品であり、メタノール
のカルボニル化などの方法で工業的に大量に生産されて
いる。
【0002】
【従来の技術】アルコール又はその誘導体をロジウム化
合物とハロゲン化合物の存在下に一酸化炭素と反応させ
て、カルボン酸及びそのエステルを製造する方法は特公
昭47−3334号公報などで知られている。原料とし
ては通常アルコールの形で反応系に仕込まれ、反応式も
形式的にはアルコールと一酸化炭素とによってカルボン
酸又はそのエステルが得られるが、反応機構的にはハロ
ゲン化アルキルを経てカルボニル化が進行するとされて
おり(Ind. Eng. Chem. Prod. Res. Dev., 15 (1), 46,
1976) 、アルコールの他にもエステル、エーテルの如き
反応系中でハロゲン化アルキルになり得るアルコールの
誘導体を用いてもカルボン酸又はそのエステルが得られ
ることが知られている。前記のカルボニル化反応に際し
ては触媒量のロジウム化合物が用いられるが、反応系内
ではロジウム化合物はハロゲン及び一酸化炭素の配位し
たハロゲノロジウムカルボニル錯体として存在し、これ
がカルボニル化反応の触媒作用を示すとされている(例
えば、Adv. Organometall. Chem., 17, 255, 1979)。
又、ハロゲノロジウムカルボニル錯体以外のロジウム化
合物も反応条件下ではハロゲノロジウムカルボニル錯体
に変化することが知られている(例えば、Adv. Organom
etall. Chem., 17, 255, 1979)。従来のカルボニル化反
応においては、主反応のカルボニル化反応の他に副反応
として水性ガスシフト反応(以下シフト反応と略す)が
併発することが知られている(例えば、Adv. Organomet
all. Chem., 17, 255, 1979)。シフト反応は式(1) に示
すように一酸化炭素と水で反応して二酸化炭素と水素が
生成する。 CO+H2O → CO2+H2 (1) 更にシフト反応で生成した水素によって、式(2) に示す
ように反応成分であるアルコールが水素化されることが
知られている(例えば、J. Organometall. Chem., 236,
C-23, 1982)。 ROH+H2 → RH+H2O (2) (式中 Rはアルキル基を示す)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】以上の如く、従来のカ
ルボニル化反応はシフト反応が併発するために原料であ
る一酸化炭素の損失があり、更に発生した水素によって
又もう一つの原料であるアルコールの損失を招くという
重大な欠点がある。更に、反応ガスを循環使用する一般
の工業的カルボニル化反応においては、シフト反応によ
ってその反応ガス中に実質的に不用な二酸化炭素及び有
害な水素の蓄積を招き、その結果、反応に必要な一酸化
炭素分圧を確保するために不必要な反応ガスのパージや
反応圧力の高圧化などを行う必要が生じるという重大な
欠点もある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者はこれら従来の
カルボニル化反応、特にメタノールを一酸化炭素と反応
させて酢酸を製造する方法がもつ欠点を克服するために
鋭意検討の結果、反応液中にヨウ化メチル成分の他に著
量のアルカリ金属ヨウ化物塩を存在させることによって
副反応が大幅に抑制され、更に驚くべきことにカルボニ
ル化反応速度が向上することを見出し、本発明に到達し
た。即ち、本発明は、ロジウム成分及びヨウ化メチルを
含有する触媒系と、水及び酢酸メチルの存在下、メタノ
ールを一酸化炭素と反応させて、液相で酢酸を連続的に
製造する方法において、上記ロジウム・ヨウ化メチル触
媒系にアルカリ金属ヨウ化物塩を添加して、反応液中の
ヨウ素イオン濃度を 0.3モル/l以上に保ち、かつ、反
応液中の水分濃度を 5.9モル/l以下にすることを特徴
とする酢酸の製造法を提供するものである。
【0005】本発明によって、従来のカルボニル化の有
する上記欠点を大幅に改善することができ、カルボニル
化速度を上げ、生産性を向上することができる。又、カ
ルボニル化反応速度は反応液中のロジウム濃度に一次に
比例することが知られており(例えば、Ind. Eng. Che
m., Prod. Res. Dev., 15 (1), 46, 1976) 、本発明に
よれば高価なロジウム成分の使用量を低減できる。本発
明のロジウム成分としては、ハロゲノロジウムカルボニ
ル以外のロジウム化合物についても適用される。本発明
のロジウム成分の非限定的例としては、RhX3(式中 X=
Cl-,Br-,I-)、RhX3・3H2O(式中 X=Cl-,Br-)、Rh2(C
O)16、Rh(CO)X〔(C6H5)3M〕2(式中 X=Cl-,Br-,I-、M
=P,As,Sb)、Rh(CO)2X〔(C6H5)3M〕(式中 X=Cl-,Br-,
I-、M=P,As,Sb)、HRh(CO)〔(C6H5)3P〕3、〔Rh(C2H4)2
Cl 〕2、K4Rh2X2(SnX3)4(式中 X=Cl-,Br-,I-) 及び特
公昭47−3334号公報に記載のロジウム成分などが
挙げられる。
【0006】従来技術のカルボニル化反応もハロゲン化
物、例えばヨウ化物の存在下に行われる。しかし、ハロ
ゲン化物の大部分は、前記のように実質的にカルボニル
化される反応体としてのハロゲン化アルキルとして存在
する。即ちハロゲン化物の大部分は、ヨウ化メチルの如
き非イオン性の化合物である。イオン性のハロゲン化合
物としては、一般的にはハロゲン化アルキルの加水分解
により系内で生ずるヨウ化水素が主たるものであり、そ
の量は極めて少ない。この種の反応における先行技術の
記載中には、ハロゲン化合物を金属ハライドの形など種
々の前駆体で添加し得る旨の内容も見られる。しかし、
本明細書の例20,21で示すようにハロゲン源として
ヨウ化ナトリウムやヨウ化カリウムを単独で添加した場
合は、標準的なヨウ化メチルの場合と同じ加熱時間(加
熱開始後70分)内にはカルボニル化反応は進行しなかっ
た。J. Mol. Catal.,17, 299(1982)にも系内でヨウ化
メチルを著量生ぜしめることのできないようなヨウ素源
(例えばアルカリ金属ヨウ化物)は、この反応の促進剤
として機能しない旨の記載がある。カルボニル化反応の
促進剤という見方を離れて、カルボニル化法によるカル
ボン酸製法に関する他の先行技術を調べてみると、ある
種の安定剤を、ロジウム成分を可溶性形態に維持するの
に必要な量添加する方法が知られている(特開昭57−
134436号公報)。この方法において列挙された多
数の安定化剤の中にはアルカリ金属の化合物があり、実
施例19としてヨウ化カリウム(0.2モル/l)が分離工
程のモデル液に加えられている。この発明ではアルカリ
金属塩の添加によるCO欠乏条件下における溶解ロジウム
の減少防止の効果がみられるが、CO加圧下のカルボニル
化反応に及ぼすヨウ化カリウムの影響については何ら言
及されていない。このように、この分野におけるヨウ化
カリウムの用いられた先行技術は、ロジウム−ヨウ化ア
ルキル触媒系にヨウ化物塩を添加し、カルボニル化反応
を促進することに関するものではなかった。
【0007】本発明では、前提とするカルボニル化反応
触媒系にとり必須の成分であるロジウムとヨウ化メチル
の組み合わせに、アルカリ金属ヨウ化物塩を添加して、
反応液中のヨウ素イオン濃度が特別に高められた状態に
することにより、アルコールからカルボン酸への主反応
を促進し、又シフト反応などの副反応を抑制する効果を
挙げる。本発明の目的物は酢酸であるが、しばしば原料
のメタノールとエステル化した酢酸メチルとして得られ
る。又特に水を仕込まなくても、反応系内にはこのエス
テル化により生ずる水が存在するのが普通である。本発
明の水及び酢酸メチルの存在下の酢酸の製造というのは
このような場合も含むが、水の不存在下にエステルやエ
ーテルがカルボニル化されて酸無水物を生ずる反応は明
らかに別反応として区別される。
【0008】本発明で用いられるアルカリ金属ヨウ化物
塩としては、 LiI, NaI, KI, RbI,CsI などが挙げられ
る。ヨウ化水素自体はイオン性のヨウ素を含むものであ
り、又従来技術においても反応液中に存在するものであ
るが、メタノールと反応してヨウ化メチルをつくる平衡
反応があるので、ヨウ化水素だけを著量添加しても反応
液中のヨウ素イオン濃度を高めることはできない。アル
カリ金属ヨウ化物塩は、反応条件下でこれをつくること
ができるような前駆体の形で反応系内に仕込んでもよ
い。これらアルカリ金属ヨウ化物塩前駆体のうち、ヨウ
素成分はヨウ化水素及び系内でヨウ化水素に変わり得る
ヨウ化アルキルなどのヨウ化物であり、陽イオン成分と
しては次の(イ)〜(ハ)に示すものが挙げられる。 (イ)式(3) で示される金属水酸化物 M1(OH)n (3) (式中M1はアルカリ金属) (ロ)式(4) で示されるカルボン酸塩
【0009】
【化1】
【0010】(式中M2はアルカリ金属、 Rは水素、アル
キル、アリール基) (ハ)金属単体、金属酸化物 前駆体の陽イオン成分の非限定的な例としては次のもの
が挙げられる。LiOH, KOH, NaOH, Rb(OH), Cs(OH), LiO
Ac,KOAc, Li, K, Na, Li2O, K2O本発明においては、こ
れら陽イオン成分の存在により 0.3モル/l以上のヨウ
素イオンが、安定なアルカリ金属ヨウ化物塩の形で反応
系内に存在し得る。
【0011】本発明に従ってカルボニル化反応はロジウ
ム成分及びヨウ化メチル成分及びアルカリ金属ヨウ化物
塩を含む触媒系と、水及び酢酸メチルの存在下メタノー
ルと一酸化炭素とを以下に述べる適当な温度、適当な圧
力下に反応させて液相で酢酸を連続的に得ることができ
る。反応液中のロジウム成分は10-4モル/l乃至10-1
ル/l、好ましくは10-3モル/l乃至5×10-2モル/l
で用いられる。反応液中のヨウ化メチル成分は10-2モル
/l乃至10モル/l、好ましくは10-1モル/l乃至2モ
ル/lの範囲で用いられる。アルカリ金属ヨウ化物塩の
添加量は、反応液中のヨウ素イオン濃度 0.3モル/l以
上ヨウ化物塩の飽和溶解量までの量で自由に選べるが、
好ましくは 0.5モル/l以上の固体が析出しない範囲の
量で用いられる。反応系内の水分は、反応系内でヨウ化
メチルのカルボニル化により生じたヨウ化アセチルから
目的物の酢酸を生じさせるために必須の成分であり、こ
れに伴って生ずるヨウ化水素は、原料のメタノールとの
反応でヨウ化メチルに戻り水が再生される。ヨウ化物塩
を加えない従来技術においても、水の存在がカルボン酸
の生成を促進することは知られていた(特公昭47−3
334号公報、10欄13行、15欄6行)。しかし、反応液
中水分濃度の増大はカルボニル化反応速度だけでなく、
同時にCO2, CH4の生成など副反応をも著しく増大させる
(表2参照)。本発明においても水の必要性やその影響
に関する上記の事実はそのままあてはまり、又アルカリ
金属ヨウ化物塩を所望濃度で系内に保つためにも水分の
存在が役立っている。そのための水の所要量は組成によ
り異なるが、酢酸メチル中では通常1モル/l以上であ
る。カルボニル化速度の増大効果自体について言えば、
水分1モル/l以下の場合にも認められるが(例1
4)、この場合は反応混合物中(冷却後)に、固形物が
存在する。アルカリ金属ヨウ化物塩の添加によるカルボ
ニル化反応速度の増大効果は、図1に示すように広い水
分濃度にわたって認められる。図の矢印Aで例示するよ
うに、ヨウ化物塩約 0.6モル/lを添加すると、ヨウ化
物塩無添加、水分濃度10モル/lのとき得られるものと
同程度の反応速度を保ったまま水濃度を約5モル/lま
で減らせる(後記する表2及び表7参照)。メタノール
濃度が異なる場合も傾向は同じである(矢印B、後記す
る表9参照)。カルボニル化による酢酸製造反応液中の
水分濃度は通常20モル/l程度まで、例えば8〜11モル
/l(15〜20重量%、特公昭55−33428号公報11
欄14行)が用いられてきたが、本発明のように水分濃度
5.9モル/l以下という低目の水分で反応を実行できる
ことは、反応の選択性を高める(シフト反応によるCO2,
CH4 などの副生抑制)点で有利である他、精製工程にお
ける水分分離のエネルギー消費を小さくする点からも明
らかに有利である。
【0012】本発明で用いられる水分濃度は 0.7モル/
l以上、通常1モル/l以上である。固体を析出させな
い水分濃度は、反応液組成と、ヨウ化物塩の種類、添加
量により異なり、例14のような高メタノール(事実上
酢酸メチルとして存在)濃度の場合は比較的高いが、低
メタノールの場合は1モル/lで十分均一溶液を保つ。
カルボニル化反応とシフト反応抑制の見地から 5.9モル
/l以下の範囲は、特に好ましい水分濃度である(後記
する図2、3参照)。反応温度は50℃乃至 300℃、好ま
しくは 100℃乃至 240℃の範囲で用いられる。反応圧力
は一酸化炭素分圧で0.05atm乃至1000atm 、好ましくは
0.3atm乃至300atm 、より好ましくは0.5atm乃至100atm
で用いられる。
【0013】本発明は、メタノールが反応液中に広い範
囲の濃度で存在する場合に適用することができる。反応
液中のメタノールは酢酸、ヨウ化水素及び水の作用によ
り、系内では酢酸メチル、ヨウ化メチルと相互に変換し
ている。従って反応液中のメタノール濃度はこれら誘導
体を含めた三者の合計量として把握することができ、先
に挙げた特開昭57−134436号公報においても、
「不安定なメチル基」としてメタノール+ヨウ化メチル
+酢酸メチルの濃度が示されており、その値は1.44モル
/lである(全ヨウ化物濃度1.40モル/lと対比させる
と、その大部分はヨウ化メチルであることがわか
る。)。このような1モル/l前後のメタノール(誘導
体を含む)濃度は、連続的なカルボン酸の製造法におい
て最も普通に用いられる濃度であるが、以下に示す具体
例においては試験的なバッチ反応と、反応液及びガスの
分析によりカルボニル化反応速度及び副反応速度の変化
を容易に求める都合で、これより高いメタノール濃度を
用いている。しかし、これらの具体例より低い1モル前
後のメタノール濃度の連続法でも本質的な相違はない
(このカルボニル化反応はメタノール濃度について0次
反応であることが知られている)。なお、本発明の連続
法は特公昭47−3334号公報、特開昭48−540
11号公報或いはHydrocarbon Process, 15 (11), 76
(1972) 等に記載された周知の方法で実施することがで
きる。
【0014】
【実施例】次に本発明を比較例及び実施例について説明
するが、本発明はこれらの例によって限定されるもので
はない。例1(比較例) メタノールをカルボニル化して酢酸を製造する方法にお
いて、ロジウム成分とヨウ化メチルより成る基本触媒系
のみを用い、添加されたヨウ化物塩の存在しない場合の
例として次の実験を行った。ハステロイB製 400ml攪拌
式オートクレーブに下記の表1に示す化合物を仕込み
(全体で107ml)、一酸化炭素を40kg/cm2G まで圧入し
た。
【0015】
【表1】
【0016】これらの仕込物を攪拌しながら加熱し、加
熱開始後約15分で反応液温度は 185℃に達した。その後
反応液温度は 185℃に維持した。加熱開始後45分から70
分までのガス吸収速度を液温度基準で測定し、これに基
づいてカルボニル化反応速度を求めた。又加熱開始70分
後にオートクレーブを冷却し、オートクレーブ内に存在
する二酸化炭素及びメタンをガスクロマトグラフィーで
定量して二酸化炭素生成速度及びメタン生成速度を算出
した。反応終了後の液中の水分濃度は14.6モル/l、ヨ
ウ素イオン濃度(以下〔I-f と略す)は、 0.033モ
ル/lであり、反応速度はヨウ化物塩を添加しない場合
には下記の結果を得た。 カルボニル化速度(以下γCOと略す) =1.96モル/l・
h CO2生成速度(以下γCO2 と略す)=18.4ミリモル/l
・h CH4生成速度(以下γCH4 と略す)=9.39ミリモル/l
・h例2(水分濃度の影響を示す参考例) 例1の仕込化合物のうち、メタノールの一部を酢酸メチ
ルに代えたり、水の仕込量を変えたりして反応系内の水
分濃度を変化させた実験を行った。ロジウム化合物、ヨ
ウ化メチルは例1と変わらず、酢酸仕込量を調節して全
仕込量は 107mlに保った。反応方法も例1に準じたが、
ガス吸収速度をガス温度基準で測定し、加熱開始70分後
にオートクレーブを 100℃まで空冷し、その後氷水で冷
却した点が異なる。結果は表2に示すようで、γCOは系
内の水分濃度にほぼ比例して増加するが、水分の多い領
域ではシフト反応により生ずる CO, CH4が著しく増える
ことがわかる。なお、水分が多い場合はヨウ素イオン濃
度も増すが、ヨウ化物塩の添加のない場合は通常 0.1モ
ル/l以下であり、水分が著しく多い場合でも 0.2モル
/l以下にとどまっている。なお表2のデータに基づ
き、水分濃度とカルボニル化反応速度との関係を図示し
たものが図1の線Iである。
【0017】
【表2】
【0018】なお、例1と同様の反応方法で水分濃度を
変えた場合も、表3に示す如くほぼ同様の結果が得られ
た。急冷した場合はシフト反応の起る量はやや減少する
が、やはり水分濃度につき1次以上の増加を示す。表3
と比較すると、表2のデータは〔I-f も高目に出て
いることがわかる。これはゆっくりした冷却中にHIを
生ずる反応が起ったためと考えられる。従って反応液中
のヨウ素イオン濃度を正確に知るためには、例えば少量
サンプルの急冷などの方法をとるのがよい。
【0019】
【表3】
【0020】例3〜5(比較例) 表4に示す量のヨウ化リチウム LiI・3H2Oを添加して、
例1と同様の反応を行った。結晶水のため反応系内の水
分が増えているので表3のデータに基づく1次補正で例
1と同濃度の水分の場合に換算した結果を表4に示す。
【0021】
【表4】
【0022】ヨウ化リチウム無添加の場合(例1)に比
べてカルボニル化速度はヨウ化物塩の濃度に比例的に増
え(増加割合0.45モル/l・h・ヨウ化物塩モル/l、
水分補正前0.79) 副反応は少量の添加でも著しく(γCO
2 で半分以下、γCH4 で1/5に)抑制されている。
【0023】例6〜9(比較例) 反応原料液にNaI を添加した以外は例1と同様の実験を
行い、表5に示す結果を得た。
【0024】
【表5】
【0025】ヨウ化ナトリウムを添加することによるカ
ルボニル化反応の比例的促進効果(増加割合0.42、単位
は前と同じ)がみられ、又 LiIの場合と同様少量でも副
反応が抑制されている。なお、ヨウ化メチルも添加しな
い場合はNaI を入れてもカルボン酸が得られない(例2
0参照)。
【0026】例10〜13(比較例) 反応原料液にヨウ化カリウムを添加した以外は例1と同
様の実験を行い、表6に示す結果を得た(*は測定値な
し)。
【0027】
【表6】
【0028】ヨウ化カリウムを添加することにより、カ
ルボニル化反応が比例的に促進され(増加割合0.27)、
添加量が少量でも副反応が抑制されていることがわか
る。
【0029】例14〜19(例14及び15は実施例、
他は比較例) 反応原料液にヨウ化ナトリウムを添加した以外は例2と
同様の実験を繰り返し、表7に示す結果を得た。なお表
7のデータに基づいて水分濃度とカルボニル化反応速度
との関係を図示したものが、図1の線IIである。
【0030】
【表7】
【0031】γ1 は表2の相当する水分濃度でのγCOを
100 としたときの比率であり、ヨウ化物塩無添加の場合
はほとんど反応しなかった水 0.7モル/lの場合には極
めて大きな比率になるのをはじめ、低水分の場合に NaI
添加効果が大きい。γ2 及びγ3 はそれぞれγCO2 及び
γCH4 について同様表2の値と比較した値であり、シフ
ト反応抑制効果がみられ、特に低水分の場合に著しい。
又、表7の結果に基づき、本発明における水分濃度(反
応終了後)とγCO2 /γCOの関係、水分濃度(反応終了
後)とγCH4 /γCOの関係をグラフ化したものを図2、
図3に示す。これらより、本発明における 5.9モル/l
以下という水分濃度の臨界的限定理由は明らかである。
【0032】例20,21(比較例) ヨウ化メチルを加えずに下記のヨウ化物塩を添加した以
外は例1と同様の実験を繰り返し、表8に示す結果を得
た。
【0033】
【表8】
【0034】例1と比べてハロゲン源としてヨウ化ナト
リウム又はヨウ化カリウムを単独使用した場合は、カル
ボニル化反応の進行は全く認められなかった。
【0035】例22〜24(例22は実施例、他は比較
例) メタノールと酢酸メチルの合計仕込量を0.31モルに減ら
し、表10の量のNaIを添加して例14〜19と同様の
実験を行った。 RhCl3・3H2O 0.24ミリモル、ヨウ化メ
チル 0.080モルは変えず、水と酢酸の添加量は全量を 1
07mlになるようにすることも同様である。加熱時間は未
反応原料が 0.6〜0.8 モル/l残るようにした(51〜60
分) 。結果は表9の通りである。
【0036】
【表9】
【0037】(註)γ1 は同一水分濃度で NaIを添加し
ない場合のγCOを100 とした時の比。上記データ(表
9)に基づいて、水分濃度とカルボニル化反応速度との
関係を図示したものが図1の線IVである。なお、線III
はNaIを添加せずに例22〜24と同様低メタノール濃
度で反応を行ったときの結果を図示したものである。
【0038】又、ヨウ素イオン濃度を0.3 モル/l 以上
に保つことによる反応速度の増加及び副反応の抑制につ
いては、上記説明からも明らかであるが、図4にグラフ
化して示す。図4は、本願明細書中の例1,表5(例6
〜9)及び例20のカルボニル化速度(γCO), CO2生成
速度(γCO2), CH4生成速度(γCH4)と、反応終了後の液
中のヨウ素イオン濃度(〔I-f) の関係を示したもの
である。例1は、ロジウム成分とヨウ化メチルより成る
触媒系のみを用い、添加されたヨウ化物塩の存在しない
場合の例(比較例)であり、一方、表5(実施例6〜
9)は、反応原料液にヨウ化ナトリウムを添加する以外
は例1と同様の実験を行った結果である。また、例20
は、ヨウ化メチルを加えずにヨウ化ナトリウムを添加す
る以外は例1と同様の実験を行った結果である。これら
の実験結果から、ヨウ化ナトリウムなどのヨウ化物塩を
添加することによる、カルボニル化反応に対するヨウ化
物塩添加の効果が明らかになる。即ち図4から、ヨウ化
物塩(本例ではヨウ化ナトリウム)の添加によって反応
液中のヨウ素イオン濃度(〔I-f) を 0.3モル/l 以
上に保つことにより、 ・カルボニル化速度(γCO)が比例的に増加する ・副反応である CO2生成速度(γCO2 )及び CH4生成速
度(γCH4)が低下し、抑制される ・カルボニル化反応の選択性が増加する などの顕著な効果が得られることは明らかである。
【0039】上記の例中、本発明の実施例における仕込
液及び反応液の組成を一覧表として表10〜12に示
す。尚、表中〔M〕はモル/l、〔mM〕はミリモル/l
を示す。
【0040】
【表10】
【0041】
【表11】
【0042】
【表12】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の反応及び比較例の反応における水分
濃度(〔H2O〕f)とカルボニル化反応速度(γCOモル/l
・h)の関係を例示する図である。
【図2】 本発明の反応及び比較例の反応において、水
分濃度(反応終了後)とγCO2 /γCOの関係を例示する
図である。
【図3】 本発明の反応及び比較例の反応において、水
分濃度(反応終了後)とγCH4 /γCOの関係を例示する
図である。
【図4】 本発明の反応及び比較例の反応において、ヨ
ウ素イオン濃度を0.3 モル/l 以上に保つことによる反
応速度の増加及び副反応の抑制効果を説明する図であ
る。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C07B 61/00 300

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロジウム成分及びヨウ化メチルを含有す
    る触媒系と、水及び酢酸メチルの存在下、メタノールを
    一酸化炭素と反応させて、液相で酢酸を連続的に製造す
    る方法において、上記ロジウム・ヨウ化メチル触媒系に
    アルカリ金属ヨウ化物塩を添加して、反応液中のヨウ素
    イオン濃度を 0.3モル/l以上に保ち、かつ、反応液中
    の水分濃度を 5.9モル/l以下にすることを特徴とする
    酢酸の製造法。
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