JPH05139067A - シート、ホイルまたはウエブの形態のオフセツト印刷版用支持体材料、その製造方法およびその使用 - Google Patents

シート、ホイルまたはウエブの形態のオフセツト印刷版用支持体材料、その製造方法およびその使用

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JPH05139067A
JPH05139067A JP3203355A JP20335591A JPH05139067A JP H05139067 A JPH05139067 A JP H05139067A JP 3203355 A JP3203355 A JP 3203355A JP 20335591 A JP20335591 A JP 20335591A JP H05139067 A JPH05139067 A JP H05139067A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】シート、ホイルまたはウェブの形態のオフセッ
ト印刷版用支持体材料に関する。また、支持体材料の製
造方法および支持体材料の使用にも関する 【構成】機械的、化学的、または電気化学的に粗粒化
し、所望により陽極酸化したアルミニウムまたはその合
金からなり、少なくともその片側を、酸性側基を含む重
合体の親水性被覆物で被覆したシート、ホイルまたはウ
ェブの形態のオフセット印刷版用支持体材料であって、
前記親水性重合体が、少なくとも2モル%の酸性側基を
有する単位、およびそれらの酸性側基に加えて、少なく
とも2モル%のプロトン化できる塩基性基を有する単位
からなることを特徴とする、支持体材料、その製造方法
およびその使用。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、前処理したアルミニウムまたは
その合金からなり、少なくともその片側表面に、酸性側
基を含む重合体の親水性被覆を有する、シート、ホイル
またはウェブの形態のオフセット印刷版用支持体材料に
関する。また、本発明は、支持体材料の製造方法および
支持体材料の使用にも関する。
【0002】オフセット印刷版用の支持体材料は、片側
または両側に、使用者によって直接、または前被覆印刷
版の製造者により施された感光性層(再現層)を備えて
いる。この層を使用して、印刷画像が写真機械的製法に
より作製される。印刷画像の作製後、この層支持体は印
刷する画像区域を含み、同時に、平版印刷過程に必要な
親水性の画像背景が画像の無い区域(非画像区域)に形
成される。
【0003】そのために、平版印刷版の製造に使用する
感光性材料用の層支持体は、次の様な必要条件を満たし
ていなければならない。 − 感光層の、露光後に比較的より可溶性になる部分
は、現像作業により、支持体から容易に除去され、残留
物を残さずに親水性の非画像区域を形成できなければな
らない。 − 非画像区域で裸のまま残る支持体は、平版印刷作業
中、水を迅速に、且つ長時間保持し、油性の印刷インク
に対して十分な反発作用を示す様に、水に対する高い親
和力を有する、すなわち強い親水性を有していなければ
ならない。 − 感光層は露光前に十分な密着性を示し、その層の印
刷する部分は露光後も十分な密着性を示さなければなら
ない。
【0004】この種の層支持体に使用できる基材には、
アルミニウム、鋼、銅、黄銅、または亜鉛のホイル、あ
るいはプラスチックシートまたは紙がある。粗粒化、つ
や消しクロムめっき、表面酸化および/または中間層塗
布などの適当な処理により、これらの原材料がオフセッ
ト印刷版用の層支持体に転換される。現在オフセット印
刷版用に最も頻繁に使用されている基材であるアルミニ
ウムは、その表面を、公知の方法、例えば乾式ブラシ処
理、スラリーブラシ処理、砂吹き、化学的および/また
は電気化学的処理、またはそれらの処理の組合わせによ
り粗くする。耐摩耗性を高めるために、この粗くした基
材をさらに陽極酸化して薄い酸化物層を形成することが
できる。
【0005】実際には、支持体材料、特に陽極酸化した
アルミニウム支持体材料は、層の密着性を改良し、親水
性を高め、および/または感光層の現像性を改善するた
めに、感光層を塗布する前にさらに処理することが多
い。その様な処理は、例えば次のような方法により行わ
れる。
【0006】DE−C−907147(=US−A−
2,714,066)、DE−B−1471707(=
US−A−3,181,461およびUS−A−3,2
80,734)またはDE−A−2532769(=U
S−A−3,902,976)は、所望により陽極酸化
したアルミニウムからなる印刷版用の支持体材料を親水
性化するための方法を記載している。これらの方法で
は、電流を通して、または通さずに、ケイ酸ナトリウム
の水溶液で材料を処理する。
【0007】DE−A−1134093(=US−A−
3,276,868)およびDE−C−1621478
(=US−A−4,153,461)は、ポリビニルホ
スホン酸、またはビニルホスホン酸、アクリル酸および
酢酸ビニル系の共重合体を使用して、所望により陽極酸
化したアルミニウムからなる印刷版用の支持体材料を親
水性化するための方法を記載している。これらの化合物
の塩の使用も記載されているが、詳細には明記されてい
ない。
【0008】DE−B−1300415(=US−A−
3,440,050)では、チタン、ジルコニウムまた
はハフニウムの複合体フッ化物を使用して、印刷版用支
持体材料上の酸化アルミニウム層をさらに親水性化して
いる。
【0009】特に良く知られているこれらの親水性化方
法とは別に、例えば、下記の重合体がこの用途に開示さ
れている。
【0010】DE−B−1056931は、印刷版用の
感光層に使用する、アルキルビニルエーテルおよび無水
マレイン酸の線状共重合体を開示している。これらの共
重合体の中で、無水マレイン酸成分が反応していない、
またはアンモニア、アルカリ金属水酸化物またはアルコ
ールと多かれ少なかれ完全に反応している共重合体が特
に親水性である。
【0011】DE−B−1091433では、印刷版用
の金属製支持体材料をフィルム形成性有機重合体、例え
ばアルミニウム支持体の場合はポリメタクリル酸または
ナトリウムカルボキシメチルセルロースまたはナトリウ
ムヒドロキシエチルセルロース、あるいはマグネシウム
支持体の場合はメチルビニルエーテルおよび無水マレイ
ン酸の共重合体で親水性化している。
【0012】DE−B−1173917(=GB−A−
907,718)では、印刷版用の金属製支持体材料
を、最初は水溶性であり、金属支持体上で水に不溶の状
態に硬化する多官能性アミノ−尿素−アルデヒド樹脂ま
たはスルホン化尿素−アルデヒド樹脂で親水化してい
る。
【0013】DE−B−1200847(=US−A−
3,232,783)は、印刷版用支持体材料上に、先
ずa)変性尿素−ホルムアルデヒド樹脂、アルキル化メ
チロールメラミン樹脂またはメラミン−ホルムアルデヒ
ド−ポリアルキレンポリアミン樹脂の水性分散物、次い
でb)ナトリウムカルボキシメチルセルロースの様なポ
リヒドロキシまたはポリカルボキシ化合物の水性分散物
を塗布し、この様にして被覆した基材を最後にc)Z
r、Hf、TiまたはTh塩の水溶液で処理することに
より調製する親水性層を開示している。
【0014】DE−B−1257170(=US−A−
2,991,204)は、アクリル酸、アクリル酸エス
テル、アクリルアミドまたはメタクリルアミド単位のみ
ならずSi−トリ−置換ビニルシラン単位をも含む共重
合体からなる印刷版用の支持体材料に使用する親水性付
与剤を記載している。
【0015】DE−A−1471706(=US−A−
3,298,852)は、印刷版用の、アルミニウム、
銅または亜鉛製支持体材料用の親水性付与剤として、ポ
リアクリル酸の使用を開示している。
【0016】DE−C−2107901(=US−A−
3,733,200)に記載される、印刷版用支持体材
料上の親水性層は、少なくとも20重量%の吸水性を有
する、水に不溶の親水性アクリル酸エステルまたはメタ
クリル酸エステル単独重合体からなる。
【0017】DE−B−2305231(=US−A−
1,414,575)は、アルデヒドおよび合成ポリア
クリルアミドの混合物からなる溶液または分散物を支持
体に塗布する、印刷版用支持体材料を親水性化する方法
を開示している。
【0018】DE−A−2308196(=US−A−
3,861,917)は、エチレン−またはメチルビニ
ルエーテル−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリル
酸、カルボキシメチルセルロース、ナトリウム−ポリ
(ビニルベンゼン−2,4−ジスルホン酸)またはポリ
アクリルアミドを使用する、印刷版用の粗粒化し、陽極
酸化したアルミニウム支持体を記載している。
【0019】DE−B−2364177(=US−A−
3,860,426)は、印刷版支持体の陽極酸化した
表面と感光層との間に配置した、セルロースエーテルに
加えて、水溶性のZn、Ca、Mg、Ba、Sr、Co
またはMn塩を含む、アルミニウム製オフセット印刷版
用の親水性下塗り層を開示している。セルロースエーテ
ルはこの親水性下塗り層中に0.2〜1.1 mg/dm2
層重量で含まれ、同じ層重量が水溶性塩にも規定されて
いる。セルロースエーテルと塩の混合物は、必要であれ
ば他の有機溶剤および/または界面活性剤を含む水溶液
の形で基材に塗布する。
【0020】陽極酸化したアルミニウム表面を強化する
ために、US−A−3,672,966は、シールコー
トを防ぐために表面を密閉した後に塗布する、アクリル
酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン
酸またはマレイン酸とエチレンまたはビニルアルコール
の共重合体の水溶液を記載している。
【0021】US−A−4,049,746により印刷
版支持体材料に使用される親水性付与剤は、カルボキシ
ル基を含む水溶性ポリアクリル酸樹脂およびポリアルキ
ルアミン−尿素−アルデヒド樹脂から得られる塩類反応
生成物を含む。
【0022】GB−A−1.246.696は、印刷版
用の陽極酸化したアルミニウム支持体に親水性付与剤と
して使用する、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアク
リルアミド、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリ
ドン、澱粉またはアラビアゴムなどの親水性コロイドを
記載している。
【0023】EP−B−0149490は、親水性化処
理に使用する、アミノ基に加えてカルボキシル基または
カルボン酸エステル基、スルホ基または水酸基を含む化
合物を開示している。しかし、この特許は、モノマーか
ら出発し、上限として分子量1000を規定している。
【0024】印刷版用の支持体材料を親水性化するため
に、先行技術は低分子量配位子を有する金属錯体の使用
を開示している。その例としては、 − DE−A−2807396(=US−A−4,20
8,212)による、二価または多価金属陽イオン、お
よびアンモニア、水、エチレンジアミン、酸化窒素、尿
素または四酢酸エチレンジアミンを含む配位子からなる
錯イオン、 − US−A−3,769,043および/またはUS
−A−4,420,549による、リンモリブデン酸の
様なヘテロポリ酸またはそれらの塩またはリン酸塩の存
在下で使用する、K4 (Fe(CN)6 )またはNa3
(Fe(CN)6 )の様なシアン化鉄錯体、または − US−A−3,672,885による、酸化亜鉛表
面を有する電子写真印刷版に使用する、四酢酸エチレン
ジアミンの様なリン酸塩および錯化剤の存在下で使用す
るシアン化鉄錯体がある。
【0025】EP−A−0069320(=US−A−
4,427,765)は、ポリビニルホスホン酸、ポリ
ビニルスルホン酸、ポリビニルメチルホスフィン酸の塩
および他のポリビニル化合物を後処理剤として使用する
方法を開示している。
【0026】DE−A−2615075(=GB−A−
1.495.895)は、ポリアクリルアミドまたはポ
リアクリルアミドとポリアクリル酸の混合物を使用す
る、画像支持オフセット印刷版を処理するための方法を
開示している。
【0027】SU−A−647142オフセット印刷版
を親水性化するための、アクリルアミドとビニルモノマ
ーの共重合体の使用を記載している。
【0028】DE−C−1091433は、メタクリル
酸、メチルビニルエーテルおよび無水マレイン酸の重合
体を使用する、オフセット印刷版用支持体を後処理する
ための方法を記載している。
【0029】印刷版支持体の処理に使用するアクリルア
ミドは、DE−A−2540561にも開示されてい
る。
【0030】同じ目的で、特に印刷版の貯蔵性を改善す
るために、DE−A−2947708は、とりわけ、ア
クリルアミドおよびアクリル酸並びにアクリルアミドお
よびビニルピロリドンのNi塩溶液を記載している。
【0031】しかし、上記の方法には多かれ少なかれ重
大な欠点がある、すなわちその様にして調製した支持体
材料は、耐現像剤性、水/インクバランス、ロールアッ
プ特性および印刷作業量安定性に関する、今日のオフセ
ット印刷における必要条件を満たしていないことが多
い。 − そのため、例えば、良好な現像性および良好な親水
性を与えるアルカリ金属ケイ酸塩で支持体表面を処理し
た後、これらの表面に塗布した感光層の貯蔵性がある程
度損なわれることは避けられず、この様にして後処理し
た印刷版の印刷回数は著しく低下する。 − 遷移金属錯体は、基本的には陽極酸化したアルミニ
ウム表面の親水性を高めるが、水に非常に溶解し易いと
いう欠点があり、そのために、界面活性剤および/また
はこれらの金属に対する親和力が高いキレート形成剤の
含有量が最近益々高くなっている水性現像剤系でこの層
を現像した時に、これらの錯体が容易に除去される。そ
の結果、支持体表面上の遷移金属錯体の濃度が大幅に減
少し、親水性作用も低下することがある。 − 水溶性重合体で支持体を処理する場合、これらの重
合体を固定しておかないと、その良好な溶解性、特に陽
画作用感光層の現像に主として使用されている水性アル
カリ現像剤における溶解性のために、親水性付与効果が
やはり著しく低下する。 − 例えばEP−B−0149490に記載されている
様な単量体親水性化合物には、一般的に、現像および印
刷工程の際に、非画像区域における裸の表面における固
定位置の数が不十分なために、その表面から比較的急速
に洗い流され、その親水性付与作用が失われるという欠
点がある。 − セルロースエーテルの様な水溶性重合体および水溶
性金属塩の混合物を組み合わせても、使用される層重量
および層の厚さは比較的大きいので、再現層の密着性は
低下する(DE−B−2364177参照)。層の密着
性が低下すると、例えば、現像工程において、現像液の
一部が画像区域の下に浸透することになる。 したがっ
て、本発明の目的は、良好な親水性を有し、陽画作用、
陰画作用、あるいは電子写真作用感光層のための支持体
として使用するのに好適であり、層の貯蔵性が低下しな
い、親水性付与剤と感光層との間の反応を起こさない、
あるいは層の密着性を損なうことがない、オフセット印
刷版用の支持体材料を提供することである。
【0032】本発明は、機械的、化学的または電気化学
的に粗粒化し、所望により陽極酸化したアルミニウムま
たはその合金からなり、少なくともその片側表面に酸性
側基を含む重合体からなる親水性被覆を施した、シー
ト、ホイルまたはウェブの形態のオフセット印刷版用支
持体材料に関する。
【0033】本発明の目的は、反復単位を有する親水性
重合体が、酸性側基に加えて、プロトン化できる塩基性
基をも含むことにより達成される。
【0034】この支持体材料のその他の実施形態は請求
項2〜19の特徴に記載する。
【0035】この共重合体は、少なくとも2モル%の、
塩基性側基を有する単位、所望により非イオン性単位、
および少なくとも2モル%の、好ましくは二価または多
価金属陽イオンと塩を形成できる酸性側基を有する単位
からなる。
【0036】使用できる塩基性側基を有するモノマー単
位は、脂肪族または芳香族アミノ基、特に第三級アミノ
基を含む化合物、例えばアクリル酸ジメチルアミノエチ
ル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよびビニルピ
リジンである。
【0037】使用できる非イオン性成分には、ビニル化
合物、例えばアクリル酸エチル、プロピル、ブチル、ヘ
キシルおよびデシルの様なアクリル酸エステルおよび対
応するメタクリル酸エステルおよびスチレン、イソプレ
ンおよびブタジエンがある。
【0038】好適な酸性成分には、とりわけ、カルボン
酸、スルホン酸およびホスホン酸、例えばアクリル酸、
メタクリル酸、ビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸、
マレイン酸、イタコン酸、ビニル安息香酸、ビニルナフ
トエ酸、ビニルフェニルスルホン酸、ビニルフェニルホ
スホン酸およびケイ皮酸がある。
【0039】モノマー単位の比率は広い範囲内で変える
ことができる。例えば、酸性モノマー単位対塩基性モノ
マー単位のモル比は、2:98〜98:2の間で変える
ことができる。しかし、約1:1(等モル)の比が特に
好ましい。溶解性を調節するために、非イオン性、中性
基を共重合体中に追加使用することができる。
【0040】酸性基は(陽極酸化した)アルミニウム基
材に良好な密着性をもたらし、酸性湿潤溶液中で、塩基
性基は、層成分との相互作用により、非画像区域をさら
に親水性化し、画像区域の密着性を向上させる。これら
の基は重合体構造に固定されているので、層および支持
体に対する多数の固定位置が存在し、印刷工程中に重合
体が洗い流される危険性は著しく低減する。平均分子量
は、少なくとも1,000、好ましくは5,000〜5
0,000である。しかし、平均分子量が50,000
を超える重合体を使用するのも技術的に有利である。共
重合体は、酸または水酸化物溶液を加えてpHを1〜1
3、好ましくは3〜10に調整した水に溶解するのが好
ましい。上記の化合物は、それらの金属またはアンモニ
ウム塩の形で使用することも可能であり、二価または多
価金属の塩が特に好ましい。
【0041】共重合体の金属塩を調製するには、金属陽
イオンは、一般に、鉱酸の陰イオンとの塩の形、または
酢酸塩の形で使用する。二価、三価または四価の、特に
二価の金属陽イオンが好ましい。被覆の陽イオンは、特
に、V5+−、Bi3+−、Al3+−、Fe3+−、Zr
4+−、Sn4+−、Ca2+−、Ba2+−、Sr2+−、Ti
3+−、Co2+−、Fe2+−、Mn2+−、Ni2+−、Cu
2+−、Ce4+−、Zn2+−、またはMg2+−イオンを含
む。
【0042】これらの反応生成物は、水溶液中で、20
〜100℃、好ましくは25〜40℃の温度で、簡単な
方法で調製できる。水に溶解した、または必要であれ
ば、希釈鉱酸に溶解した金属塩を重合体水溶液に徐々に
滴下して加える。この工程で、反応成分は直ちに反応し
て上記の生成物を形成する。使用する金属陽イオンによ
り、溶液の急速な色変化、または沈殿物の形成により、
反応がすぐに開始したことが分かる。
【0043】反応溶液を希釈したアルカリ金属水酸化物
またはアンモニア溶液で中和することにより、生成物が
沈殿して精製され、未反応の出発物質は溶液中に残る。
これらの反応により得られる収量は、90%を超える。
重合体をそれらの酸の形で使用する代わりに、上記のよ
うに、重合体を一価の陽イオンを有するそれらの塩、例
えばナトリウムまたはアンモニウム塩の形で使用するこ
ともできる。
【0044】本発明に係わるオフセット印刷版用支持体
材料の製造に使用するアルミニウムの表面は、0.00
1〜10%濃度の、好ましくは0.1〜1%濃度の、こ
れらの共重合体の水溶液で処理する。
【0045】特定の大きさの板をこれらの溶液に浸漬す
る、または基材ウェブをこれらの溶液を含む浴中に通す
ことにより、基材をこれらの溶液で適切に処理する。2
0〜95℃、好ましくは40〜80℃の温度、および1
秒間〜10分間、好ましくは2秒間〜1分間の滞留時間
が実用途にとって最も有利である。浴の温度が高い程、
共重合体および重合体−金属錯体の基材上への化学吸着
が促進される。その結果、特に連続式ウェブ処理の場合
に滞留時間を著しく短縮することができる。浸漬処理に
続いて、水で洗い流す。この様にして処理した基材を次
に110〜130℃の温度で乾燥させる。pH値は1〜1
3、好ましくは3〜10、特に4〜8の値に調節する。
【0046】アルミニウム基材を共重合体の塩で処理す
るのに、二段階方法を使用することもできる。この方法
の第一段階では、基材を、出発重合体の0.01〜10
%濃度、好ましくは0.1〜5%濃度の水溶液に浸漬す
る。上記の多価金属イオンの0.1%濃度〜飽和、好ま
しくは0.5〜10%濃度の塩水溶液を含む第二の浴に
浸漬する前に、基材を洗浄または乾燥する必要はない。
次いで、一段階法に規定する様にして洗浄および乾燥を
行う。二段階処理では、上記の反応生成物は処理工程中
に基材上に形成される。この方法の変形により、強酸性
媒体に難溶の三価金属イオンの反応生成物でも基材に塗
布することができる。
【0047】塗布された生成物が少量でも顕著な影響を
示し、支持体材料の表面中および上に比較的堅く固定さ
れるので、親水性被覆の重量を測定するのは困難であ
る。しかし、塗布された量は、明らかに1 mg/dm2
満、特に0.8 mg/dm2 である。
【0048】その様にして調製した本発明の支持体材料
は、各種の感光層で被覆してオフセット印刷版を製作す
ることができる。
【0049】本発明に係わる支持体材料の製造に好適な
基材としては、アルミニウムまたはアルミニウム合金、
例えば −「純アルミニウム」(DIN材料No. 3.025
5)、すなわち99.5%以上のAl、および0.3%
のSi、0.4%のFe、0.03%のTi、0.02
%のCu、0.07%のZn、および0.03%の他の
物質を含む許容混合物(最大合計0.5%)からなるア
ルミニウム、あるいは −「Al合金3003」(DIN材料No. 3.0515
に相当)、すなわち98.5%以上のAl、合金成分と
して0〜0.3%のMg、0.8〜1.5%のMn、お
よび0.5%のSi、0.5%のFe、0.2%のT
i、0.02%のZn、0.1%のCu、および0.1
5%のその他の物質を含む許容混合物からなる合金の基
材がある。
【0050】しかし、本発明に係わる方法では、他のア
ルミニウム合金を使用することもできる。
【0051】一般的に実使用されている印刷版用アルミ
ニウム支持体材料は、感光層を施す前に、機械的(例え
ばブラシおよび/または研磨剤処理)、化学的(例えば
エッチング剤)、または電気化学的(例えばHClおよ
び/またはHNO3 水溶液中で交流による処理)方法に
より、粗粒化する。本発明の目的には、電気化学的に粗
粒化した印刷版用アルミニウム板を使用するのが好まし
い。粗粒化工程における処理パラメータは一般に、電解
質温度20〜60℃、活性物質(酸、塩)濃度5〜10
0 g/l、電流密度15〜130A/dm2 、滞留時間10〜
100秒間、および処理すべき加工品の表面上で測定し
た電解質の流量5〜100cm/秒間の範囲内である。使
用する電流の種類は、ほとんどの場合交流である。しか
し、変性電流、例えば陽極および陰極電流用の電流強度
の振幅を変えた交流電流を使用することもできる。
【0052】粗粒化した表面の、平均最高点−最低点粗
さ、Rz は約1〜15μm 、特に2〜7μm である。
【0053】最高点−最低点粗さ、Rz は、DIN 4
768、1970年10月、により、5つの互いに隣接
した個別測定長さの個々の最高点−最低点粗さ値から計
算した算術平均として求める。個々の最高点−最低点粗
さは、個々の測定長さ内の最高点および最低点において
それぞれ粗さプロファイルに接する、中央線に平行な2
本の線間の距離として定義される。個々の測定長さは、
粗さプロファイルの、評価に直接使用される部分の、中
央線上に垂直に投影された長さの5分の1である。中央
線は、粗さプロファイルの一般的な方向に対して平行な
線であり、幾何学的に理想的なプロファイルの形状を有
し、この線は、その上の、材料により占められる面積の
合計が、その下の、材料により占められない面積の合計
に等しい様に粗さプロファイルを分割する。
【0054】電気化学的粗粒化工程に続いて、例えば支
持体材料表面の磨耗および密着特性を改善するために、
所望により、アルミニウムの陽極酸化を行う。この陽極
酸化には、H2 SO4 、H3 PO4 、H2 2 4 、ア
ミドスルホン酸、スルホコハク酸、スルホサリチル酸、
またはそれらの混合物などの、通常の電解質を使用する
ことができる。アルミニウムの陽極酸化には、例えばH
2 SO4 を含む水性電解質を使用する、下記の標準方法
を参考にすることができる(これに関しては、例えば、
M.シェンク、アルミニウム材料およびその陽極酸化、
フランケ出版、ベルン1948、760頁、実用的電気
めっき、オイゲンGロイツェ出版、ザウルガウ197
0、395頁以降および518/519頁、W.ヒュブ
ナーおよびC.T.シュパイザー、アルミニウムの陽極
酸化の実践、アルミニウム出版、デュッセルドルフ19
77、第3版、137頁以降を参照)。 −直流硫酸方法では陽極酸化を、溶液1リットルあたり
通常約230gのH2 SO4 の水性電解液中で、10〜
22℃で、電流密度0.5〜2.5A/dm2 で、10〜6
0分間行う。この方法では、電解質水溶液中の硫酸濃度
は、8〜10重量%のH2 SO4 (約100g/l のH2
SO4 )に低下させることも、あるいは30重量%(3
65g/l のH2 SO4 )以上に増加することもできる。 −「硬質陽極酸化」は、166g/l のH2 SO4 (また
は約230g/l のH2 SO4 )濃度の水性電解液で、作
業温度0〜5℃で、電流密度2〜3A/dm2 で、電圧を開
始時の約25〜30Vから処理終了時の約40〜100
Vに上げて、30〜200分間行う。
【0055】上記のアルミニウムの陽極酸化方法に加え
て、H2 SO4 を含み、Al3+イオン含有量を12g/l
を超える値に調節する水性電解液(DE−A 2,81
1,396=US−A−4,211,619による)、
2 SO4 およびH3 PO4 を含む水性電解液(DE−
A−2,707,810=US−A−4,049,50
4による)あるいはH2 SO4 およびAl3+イオンを含
む水性電解液(DE−A−2836803=US−A−
4,229,226による)中におけるアルミニウムの
陽極酸化方法も使用できる。
【0056】陽極酸化には直流を使用するのが好ましい
が、交流またはこれらの電流種類の組合わせ(例えば直
流と重複交流との組合わせ)も使用できる。アルミナの
層重量は1〜10g/m2 で、約0.3〜3.0μm の層
厚に相当する。
【0057】好適な感光層は、基本的に、露光後、所望
により現像および/または溶解した後、印刷に使用でき
る画像表面を与えるならどの様な層でもよい。これらの
層は、従来から使用されている基材の一つに、予め増感
した印刷版の製造者により、または使用者により直接施
される。
【0058】ハロゲン化銀を含み、多くの分野で使用さ
れている層に加えて、例えば「感光性系」ジャロミル
コサール著、ジョン ウイリー&サンズ、ニューヨーク
1965、に記載されている様な各種の他の層も公知で
ある。これらの層には、クロム酸塩および二クロム酸塩
を含むコロイド層(コサール、2章)、露光により異性
化、転位、環化または架橋する不飽和化合物を含む層
(コサール、4章)、光重合性化合物を含み、モノマー
またはプレポリマーが露光により、必要であれば開始剤
により重合する層(コサール、5章)、およびナフトキ
ノン−ジアジドの様なo−ジアゾ−キノン、p−ジアゾ
−キノン、またはジアゾニウム塩縮合物を含む層(コサ
ール、7章)がある。他の好適な層には、電子写真層、
すなわち無機または有機光伝導体を含む層も含まれる。
感光性物質に加えて、これらの層は、無論他の成分、例
えば樹脂、染料または可塑剤の様な他の成分も含む。特
に、下記の感光性組成物または化合物を本発明の方法に
より調製された支持体材料の被覆に使用することができ
る。すなわち例えば、DE−C−854890、865
109、879203、894959、938233、
1109521、1144705、1118606、1
120273および1124817に記載されている、
陽画作用o−キノンジアジド化合物、好ましくはo−ナ
フトキノンジアジド化合物、例えば、DE−C−596
731、1138399、1138400、11384
01、1142871、および1154123、US−
A−2,679,498および3,050,502およ
びGB−A−712,606に記載されている様な、芳
香族ジアゾニウム塩および活性カルボニル基を有する化
合物から得られる陰画作用縮合生成物、好ましくはジフ
ェニルアミンジアゾニウム塩およびホルムアルデヒドか
ら形成される縮合生成物、例えば、DE−A−2024
244による、それぞれの場合に、縮合反応に関与でき
るカルボニル化合物に由来する二価の結合構成員により
接続された、一般型A(−D)n およびBの少なくとも
一つの単位を有する芳香族ジアゾニウム化合物の陰画作
用共縮合生成物。この場合、これらの記号は次の様に定
義される。すなわち、Aは、酸媒体中で、一つ以上の位
置で活性カルボニル化合物との縮合反応に関与できる、
少なくとも2個の芳香族炭素環核および/または複素環
核を含む化合物の基である。Dは、Aの芳香族炭素原子
に結合したジアゾニウム塩基であり、nは1〜10の整
数であり、Bは、ジアゾニウム基を含まず、酸媒体中
で、分子の一つ以上の位置で活性カルボニル化合物との
縮合反応に関与できる化合物の基である。
【0059】照射により酸を放出する化合物、酸により
開裂し得る少なくとも一つのC−O−C基(例えば、オ
ルトカルボン酸エステル基、カルボキサミドアセタール
基またはアセタール基)を有する化合物、および必要で
あれば結合剤を含む陽画作用層。
【0060】光重合性モノマー、光反応開始剤、結合
剤、および必要であればその他の添加剤からなる陰画作
用層。これらの層中では、例えばUS−A−2,67
0,863および3,060,023およびDE−A−
2064079および2361041に記載されている
様に、アクリル酸およびメタクリル酸エステル、または
ジイソシアネートと多価アルコールの部分エステルとの
反応生成物がモノマーとして使用されている。好適な光
反応開始剤としては、とりわけ、ベンゾイン、ベンゾイ
ンエーテル、多核キノン、アクリジン誘導体、フェナジ
ン誘導体、キノキサリン誘導体、キナゾリン誘導体、ま
たは各種ケトンの相乗混合物がある。結合剤としては、
ポリアミド、ポリエステル、アルキッド樹脂、ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオ
キシド、ゼラチン、またはセルロースエーテルなどの多
数の可溶性有機重合体を使用できる。
【0061】DE−A−3036077による、感光性
化合物としてジアゾニウム塩重縮合生成物、または有機
アジド化合物を含み、結合剤として、アルケニルスルホ
ニルウレタンまたはシクロアルケニルスルホニルウレタ
ン側基を有する高分子量重合体を含む陰画作用層。
【0062】また、DE−C−1117391、152
2497、1572312、2322046、および2
322047に記載される様に、光半導体層を基材に塗
布することも可能であり、その結果、高感光性電子写真
層が形成される。
【0063】本発明に係わる基材から得られる被覆した
オフセット印刷板は、公知の方法により、画像を映す様
に露光または照射し、現像剤、好ましくは水性現像剤溶
液で非画像区域を洗い流すことにより、望ましい印刷版
に変換する。驚くべきことに、高分子アクリル酸、重合
体ビニルホスホン酸、あるいは単に熱水だけで処理した
版と比較して、基材を本発明により処理したオフセット
印刷版は、染料の吸着が著しく少なく、親水性が著しく
改善される。その上、本発明により処理した試料の感光
性層は、比較例の感光性層よりも支持体表面に対する密
着性が優れている。粗粒化し陽極酸化した印刷版支持体の調製実施例 A1 工場で製造した、厚さ0.3mmのアルミニウムウ
ェブ(DIN材料番号3.0255)を、2%濃度の水
性アルカリ洗浄用溶液を使用し、50〜70℃の高温で
脱脂する。このアルミニウム表面を、HNO3 を含む電
解液中で、交流を印加して電気化学的に粗粒化する。こ
の方法で、6μm のRz 値を有する表面粗さが得られ
る。粗粒化に続いて、DE−A−2811396に記載
される方法により、硫酸を含む電解液中で陽極酸化す
る。得られる酸化物の重量は約3.0g/m2 である。
【0064】この様にして調製した支持体は、表2およ
び3で番号1で表してある。
【0065】次に、この様にして調製したアルミニウム
ウェブを、本発明に係わる重合体の一つ、または比較物
質(A〜C)の一つを含み、H3 PO4 またはNaOH
でpH5〜6に調節した0.5%濃度の溶液の浴に60℃
で通す。これらの溶液の組成物の組成を表1示す。浴中
の滞留時間は30秒間である。続く洗浄工程で、過剰の
溶液を水道水で洗い流し、このウェブを100〜130
℃の高温の空気で乾燥させる。 A2 工場で製造した、厚さ0.3mmのアルミニウムウ
ェブ(DIN材料番号3.0515)を、2%濃度の水
性アルカリ洗浄用溶液を使用し、50〜70℃の高温で
脱脂する。このアルミニウム表面を、塩酸を含む電解液
中で、交流を印加して電気化学的に粗粒化する。この方
法で、6μm のRz 値を有する表面粗さが得られる。粗
粒化に続いて、DE−A−2811396に記載される
方法により、硫酸を含む電解液中で陽極酸化する。得ら
れる酸化物の重量は約3.0 g/m2 である。
【0066】この様にして調製した支持体は、表2およ
び3で番号2で表してある。
【0067】次に、この様にして調製したアルミニウム
ウェブを、本発明に係わる重合体の一つ、または比較物
質(A〜C)の一つを含み、H3 PO4 またはNaOH
でpH5〜6に調節した0.5%濃度の溶液の浴に50℃
で通す。これらの溶液の組成物の組成を表1示す。 A3 工場で製造した、厚さ0.2mmのアルミニウムウ
ェブ(DIN材料番号3.0255)を、2%濃度の水
性アルカリ洗浄用溶液を使用し、50〜70℃の高温で
脱脂する。次いでこの支持体に切削粗粒化剤を塗布し、
ブラシ掛する。この方法で、4μm のRz 値を有する表
面粗さが得られる。粗粒化に続いて、DE−C−167
1614(=US−A−3,511,661)に記載さ
れる方法により、リン酸を含む電解液中で陽極酸化す
る。得られる酸化物の重量は約0.9g/m2 である。こ
の様にして調製したアルミニウムウェブを50x45cm
のシートに切断する。
【0068】この様にして調製した支持体は、表2およ
び3で番号3で表してある。
【0069】次に、この様にして調製した支持体を、H
3 PO4またはNaOHでpH5〜6に調節した、表1に
示す後処理剤A〜Nの一つの0.4%濃度の水溶液の浴
に60℃で浸漬する。浴中の滞留時間は60秒間であ
る。これらの溶液の組成物の組成を表1示す。浴中の滞
留時間は60秒間である。続く洗浄工程で、過剰の溶液
を脱イオン水で洗い流し、この支持体を空気乾燥させ
る。表1 後処理に使用する試薬: A:ポリビニルホスホン酸 B:ポリアクリル酸 C:熱水 D:メタクリル酸ジメチルアミノエチル 33.3モル% アクリル酸エチル 33.3モル% メタクリル酸 33.3モル% E:メタクリル酸ジメチルアミノエチル 50.0モル% メタクリル酸 50.0モル% F:メタクリル酸ジメチルアミノエチル 10.0モル% メタクリル酸ブチル 80.0モル% メタクリル酸 10.0モル% G:メタクリル酸ジメチルアミノエチル 20.0モル% アクリル酸エチル 10.0モル% ビニルホスホン酸 70.0モル% H:メタクリル酸ジメチルアミノエチル 33.3モル% アクリル酸エチル 33.3モル% ビニルホスホン酸 33.3モル% I:メタクリル酸ジメチルアミノエチル 20.0モル% アクリル酸エチル 10.0モル% ビニルスルホン酸 70.0モル% K:ビニルピリジン 40.0モル% アクリル酸エチル 20.0モル% メタクリル酸 40.0モル% L:メタクリル酸ジメチルアミノエチル 40.0モル% メタクリル酸メチル 20.0モル% アクリル酸 40.0モル% M:ビニルピリジン 40.0モル% アクリル酸エチル 15.0モル% ビニルホスホン酸 45.0モル% N:メタクリル酸ジメチルアミノエチル 70.0モル% スチレン 10.0モル% メタクリル酸 20.0モル% 上のA1〜A3に記載する支持体材料のそれぞれを、合
計39個の後処理した支持体が得られる様に、13種類
の溶液で処理した。これらの試料を、以下に説明する測
定結果と共に表2に示す。
【0070】支持体の幾つかは、A1〜A3に記載する
様な浸漬処理をせず、以下に説明する様な電気化学的後
処理を行った。電気化学的処理 実施例A2の支持体を、試薬A〜N(表1)の0.2%
濃度溶液に40℃で浸漬する。これらの支持体は陽極と
して作用するが、10ボルトの直流を印加して20秒間
処理する。続く洗浄工程で過剰の溶液を脱イオン水で洗
い流し、支持体を空気乾燥する。この様にして調製した
支持体および以下に説明する測定の結果を表3に示す。
【0071】実施例により得られた支持体材料のそれぞ
れに下記の測定を行った。表面の耐アルカリ性試験 アルミニウム酸化物層がアルカリ性亜鉛酸塩溶液に溶解
する速度を秒単位で測定し、耐アルカリ性を決定する。
その層の溶解に要する時間が長い程、その耐アルカリ性
が高いことになる。無論、層厚さは、溶解速度に関する
パラメータをも与えるので、大体等しくしておくべきで
ある。500mlの蒸留水、480gのKOHおよび80
gの酸化亜鉛からなる溶液の一滴を供試表面上に置き、
その部分が黒変するまでの時間を測定する。この「亜鉛
酸塩試験」を表2の第4欄に示す。この試験方法は、例
えばUS−A−3,940,321、第3および4段、
29〜68行および1〜8行に記載されている。支持体材料の親水性試験 この試験は、支持体上に置いた水滴の接触角を測定する
ことにより行う。この方法では、水滴下の支持体表面
と、その水滴の接触点を通過する接線との間に形成され
る角度を測定するが、一般にこの角度は約0〜90度で
ある。湿潤性が良い程、この角度が小さい。表2の第5
欄に示すデータは、この接触角の測定に関する。支持体の感光性材料被覆 D1:実施例A1〜A3に記載する各支持体の小片に下
記の溶液を塗布する。 6.6重量部のクレゾール/ホルムアルデヒド ノボラック (DIN53181により105〜120℃の軟化点を有する) 1.1重量部の1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホン酸の4− (2−フェニル−プロプ−2−イル)−フェニルエステル、 0.6重量部の2,2' −ビス−(1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−5− スルホニルオキシ)−ジナフチル−(1,1' )−メタン、 0.24重量部の1,2−ナフトキノン−2−ジアジド−4−スルホクロリド、 0.08重量部のクリスタルバイオレット、 91.36重量部の、4体積部のエチレングリコールモノメチルエーテル、5体 積部のテトラヒドロフランおよび1体積部の酢酸ブチルの溶剤混 合物 これらの被覆した支持体を乾燥炉中で、120℃までの
温度で乾燥させた。この様にして製作した印刷版を陽画
原画の下で露光し、下記の組成の現像液で現像した。 5.3重量部のメタケイ酸ナトリウムx9H2 O 3.4重量部のリン酸三ナトリウムx12H2 O 0.3重量部のリン酸二水素ナトリウム(無水) 91.0重量部の水 得られた印刷版について、非画像区域に残留している可
能性がある染料残留物(青色のしみ)を目視で評価す
る。その結果を表2の第6欄に示す。 D2:実施例A1〜A3に記載する各支持体の小片に下
記の陰画作用感光性層で被覆する。 16.75重量部の、分子量が70,000〜80,000で、71重量%のビ ニルブチラール単位、2重量%の酢酸ビニル単位、および27重量% のビニルアルコール単位からなるポリビニルブチラールとプロペニル スルホニルイソシアネートとの反応生成物の8%濃度溶液、 2.14重量部の2,6−ビス−(4−アジド−ベンザール)−4−メチルシク ロヘキサノン、 0.23重量部の Rローダミン6GDNエクストラおよび 0.21重量部の2−ベンゾイルメチレン−1−メチル−β−ナフトチアゾリン を 100体積部のエチレングリコールモノメチルエーテルおよび 50体積部のテトラヒドロフラン に溶解する。
【0072】この支持体を上のD1に記載する様にして
乾燥させる。
【0073】この層の乾燥重量は0.75 g/m2 であ
る。この複写層を、陰原画の下で、5kWのハロゲン化金
属ランプを使用して35秒間露光する。プラッシュパッ
ドを使用して、この露光した層を下記の組成の現像剤溶
液で現像する。
【0074】5重量部のラウリル硫酸ナトリウム 1重量部のメタケイ酸ナトリウムx5H2 O 94重量部の水 得られた印刷版の非画像区域について、残留している可
能性がある層残留物を目視で評価する。その結果を表2
の第7欄に先行技術(A)と比較して示す。
【0075】表2に示す記号は下記の程度を表す。 − 溶液Aで処理した比較試料による先行技術よりも劣
る。 o 溶液Aで処理した比較試料による先行技術と同等。 + 溶液Aで処理した比較試料による先行技術より優れ
ている。 D3:表2の実施例15により調製した、陽極酸化した
支持体を使用し、下記の溶液を塗布して電子写真式オフ
セット印刷版を製作する。 10重量部の2,5−ビス−(4' −ジエチルアミノフ
ェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、10重量部
の210℃の軟化点を有するスチレンと無水マレイン酸
の共重合体、0.02重量部の RロータミンFB(C.
I.45170)、300重量部のエチレングリコール
モノメチルエーテル この支持体を上のD1に記載する様にして乾燥させる。
【0076】コロナを使用してこの層を暗所で約−40
0Vに帯電させる。帯電した板を複写カメラで画像を映
す様に露光し、次いで7.5重量部のペンタエリトリト
ール樹脂エステルを1,200体積部の、沸点185〜
210℃のイソパラフィン混合物に溶解した溶液に、
3.0重量部の硫酸マグネシウムを分散させた電子写真
用分散物現像剤で現像する。過剰の現像剤液を除去した
後、現像剤を融解させ、35重量部のメタケイ酸ナトリ
ウムx9H2 O、140重量部のグリセロール、550
体積部のエチレングリコールおよび140体積部のエタ
ノールからなる溶液中に浸漬する。
【0077】次いで、この板を強力な水の噴流で洗浄
し、光導体層のトナーで覆われていない部分を除去す
る。これでこの版は即印刷することができる。この版の
非画像区域は良好な親水性を有し、アルカリ性溶液を作
用させた後でも、腐食の徴候をまったく示さない。この
印刷版で優に1万部を超える印刷を行うことができる。表2 実施例 2 3 4 5 6 7 支持体 後処理剤 亜鉛酸塩 接触角 染料吸着 層残留物 試験時間 1)* 2)* (s) 1 1 D o + + + 2 1 F o + + + 3 1 E o + + + 4 1 G o + + + 5 1 L o + + + 6 1 H o + + o 7 1 K o + + o 8 1 M o + + o 9 1 I o + + o 10 1 N o + + o V11 1 B o − + − V12 1 A o o o oV13 1 C − − − − 14 2 D + o + + 15 2 F o o + + 16 2 E o o + + 17 2 G o + + + 18 2 L o + + + 19 2 H o + + o 20 2 K o + + + 21 2 M o + + o 22 2 I o + + o 23 2 N o o + o V24 2 B o − + − V25 2 A o o o oV26 2 C − − − − 27 3 D + + + + 28 3 F + + + + 29 3 E + + + + 30 3 G o + + + 31 3 L o + + + 32 3 H o + + o 33 3 K o + + o 34 3 M o + + o 35 3 I o + + o 36 3 N o + + o V37 3 B o − + − V38 3 A o o o o V39 33 C o − − − 1)*陽画層に対して 2)*陰画層に対して 表2から明らかな様に、本発明に係わる製品の多くの特
性が先行技術のそれよりも優れており、先行技術より劣
っている点はまったく無い。 支持体 後処理剤 亜鉛酸塩 接触角 染料吸着 層残留物 実施例 試験時間 1)* 2)* (s) 40 2 D + + + + 41 2 F + + + + 42 2 E + o + + 43 2 G + o + + 44 2 L + o + + 45 2 H + o + o 46 2 K + o + + 47 2 M + o + + 48 2 I + o + + 49 2 N + o + o 50 2 B − − + − 51 2 A o o o o 1)*陽画層に対して 2)*陰画層に対して 表3に示す様に、電気化学的に後処理した支持体は、表
2による結果と同等の良好な結果を示し、特に、亜鉛酸
塩試験の値はより優れている。
【0078】すべての支持体に対して行った上記の試験
に加えて、表2の実施例1〜3により調製した支持体
を、実施例D1に記載する陽画作用感光性層で被覆し、
露光および現像を行って印刷版を製作した。これらの印
刷版は、210,000部までの優れた印刷寿命を示し
た。類似の方法で、ただし比較例A(表2)の支持体を
使用して調製した印刷版はロール−アップ特性が劣って
いた。170,000部の印刷を行った後、微細な網版
の点はもはや適格に再現されなかった。

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】機械的、化学的、または電気化学的に粗粒
    化し、所望により陽極酸化したアルミニウムまたはその
    合金からなり、少なくともその片側を、酸性側基を含む
    重合体の親水性被覆物で被覆したシート、ホイルまたは
    ウェブの形態のオフセット印刷版用支持体材料であっ
    て、前記親水性重合体が、少なくとも2モル%の酸性側
    基を有する単位、およびそれらの酸性側基に加えて、少
    なくとも2モル%のプロトン化できる塩基性基を有する
    単位からなることを特徴とする、支持体材料。
  2. 【請求項2】親水性重合体が、塩基性基を有するモノマ
    ー単位および酸性基を有するモノマー単位からなる共重
    合体であることを特徴とする、請求項1に記載する支持
    体材料。
  3. 【請求項3】塩基性基を有するモノマーがアミノ基であ
    ることを特徴とする、請求項2に記載する支持体材料。
  4. 【請求項4】アミノ基が少なくとも一つのアルキルまた
    はアリール基を含むことを特徴とする、請求項3に記載
    する支持体材料。
  5. 【請求項5】酸性基を有するモノマーがカルボキシル基
    を含むことを特徴とする、請求項2に記載する支持体材
    料。
  6. 【請求項6】酸性基を有するモノマーがスルホン酸基を
    含むことを特徴とする、請求項2に記載する支持体材
    料。
  7. 【請求項7】酸性基を有するモノマーがホスホン酸基を
    含むことを特徴とする、請求項2に記載する支持体材
    料。
  8. 【請求項8】共重合体が、酸性および塩基性側基に加え
    て、非酸性および非塩基性である単位をも含むことを特
    徴とする、請求項1に記載する支持体材料。
  9. 【請求項9】共重合体の平均分子量が少なくとも1,0
    00であることを特徴とする、請求項1に記載する支持
    体材料。
  10. 【請求項10】共重合体の平均分子量が少なくとも5,
    000〜50,000であることを特徴とする、請求項
    9に記載する支持体材料。
  11. 【請求項11】共重合体の分子量が50,000を超え
    ることを特徴とする、請求項9に記載する支持体材料。
  12. 【請求項12】共重合体中に存在する塩基性モノマー単
    位の酸性モノマー単位に対するモノマー比が2:98〜
    98:2の範囲内にあることを特徴とする、請求項1に
    記載する支持体材料。
  13. 【請求項13】塩基性モノマー単位の酸性モノマー単位
    に対するモル比が等モルであることを特徴とする、請求
    項12に記載する支持体材料。
  14. 【請求項14】イオン性モノマー単位の非イオン性モノ
    マー単位に対するモル比が4:96〜100:0の範囲
    であることを特徴とする、請求項13に記載する支持体
    材料。
  15. 【請求項15】酸性側基が金属陽イオンとの金属塩の形
    で存在することを特徴とする、請求項1に記載する支持
    体材料。
  16. 【請求項16】被覆の金属陽イオンが、V5+、Bi3+
    Al3+、Fe3+、Zr4+、Sn4+、Ca2+、Ba2+、S
    2+、Ti3+、Co2+、Fe2+、Mn2+、Ni2+、Cu
    2+、Ce4+、Zn2+、またはMg2+イオンであることを
    特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載する
    支持体材料。
  17. 【請求項17】アルミニウムまたはその合金に、共重合
    体の0.02〜5.0重量%濃度の、水性で、所望によ
    り酸性の溶液を、浸漬処理または電気化学的処理により
    塗布し、次いで得られた層を乾燥させることを特徴とす
    る請求項1〜16のいずれか1項に記載するオフセット
    印刷版用支持体材料の製造方法。
  18. 【請求項18】アルミニウムまたはその合金を先ず0.
    01〜10.0%濃度の本発明に係る重合体の溶液で処
    理し、次いで、V5+、Bi3+、Al3+、Fe3+、Z
    4+、Sn4+、Ca2+、Ba2+、Sr2+、Ti3+、Co
    2+、Fe2+、Mn2+、Ni2+、Cu2+、Ce4+、Z
    2+、またはMg2+の金属陽イオンを有する塩の1.0
    %〜飽和濃度の、好ましくは水溶液を塗布し、その反応
    生成物から形成される層を乾燥させることを特徴とする
    請求項1〜17のいずれか1項に記載するオフセット印
    刷版用支持体材料の製造方法。
  19. 【請求項19】請求項1〜16のいずれか1項に記載す
    る支持体材料の、感光性物質で被覆するための使用。
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