JPH051383A - 大面積マイクロ波プラズマcvd装置 - Google Patents

大面積マイクロ波プラズマcvd装置

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JPH051383A
JPH051383A JP15317491A JP15317491A JPH051383A JP H051383 A JPH051383 A JP H051383A JP 15317491 A JP15317491 A JP 15317491A JP 15317491 A JP15317491 A JP 15317491A JP H051383 A JPH051383 A JP H051383A
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microwave
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waveguide
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plasma cvd
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JP15317491A
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Yutaka Echizen
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 大面積マイクロ波プラズマCVD装置を、帯
状部材に均一な堆積膜を形成することができるようにす
る。 【構成】 大面積マイクロ波プラズマCVD装置100
が従来の大面積マイクロ波プラズマCVD装置と異なる
点は、マイクロ波電力投入手段が導波管110と導波管
110の一面に一列に取付けられた小アンテナ列とを含
み、また、導波管110と小アンテナ列とがマイクロ波
透過性部材で形成された分離管109に収納されてお
り、小アンテナ列から成膜室113にマイクロ波透過性
部材を介してマイクロ波電力が投入されることである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、大面積マイクロ波プラ
ズマCVD装置に関し、特に、マイクロ波プラズマCV
D法により帯状部材に堆積膜を堆積する大面積マイクロ
波プラズマCVD装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プラズマCVD法とは、電磁波などのエ
ネルギーを特定物質に加えて放電させることにより、特
定物質を化学的に活性なラジカルとし、さらに、ラジカ
ルを基体に接触させることにより、基体上へ堆積膜を形
成させる方法をいう。そして、プラズマCVD装置と
は、プラズマCVD法を実施するために設計,製作され
た装置をいう。
【0003】従来、プラズマCVD装置は、成膜ガス導
入口および成膜ガス排気口を有する真空容器である成膜
室と、成膜室に成膜ガス導入口を介して成膜ガスを供給
するガス供給手段と、成膜室内の成膜ガスを成膜ガス排
気口を介して排出するガス排出手段と、成膜室に供給さ
れた成膜ガスを放電(プラズマ状態)するための電磁波
などのエネルギーを供給するエネルギー供給手段と、堆
積膜形成用の基体を成膜室内へ搬送する基体搬送手段と
から構成されている。
【0004】ところで、プラズマCVD法はラジカルの
強い活性に依拠するものであり、ラジカルの生成密度や
基体の温度などを適宜選択することにより所望の堆積膜
形成を行うものであるが、プラズマCVD法において処
理速度を高めたり、大面積に亘って均一な堆積膜形成を
する上で必要なことは、ラジカルを大面積に亘って均一
かつ大量に生成させるプラズマ条件の選択である。
【0005】従来、成膜ガスを放電させるためのエネル
ギーとしては、13.56MHzの高周波(RF)が使
用されていたが、近年、2.45GHzのマイクロ波を
用いることにより、高密度プラズマを効率的に生成する
ことができ、プラズマCVD法において堆積膜形成速度
の向上が図れる可能性があることから、マイクロ波を用
いたプラズマCVD法が注目され、そのためのプラズマ
CVD装置が数多く提案されている。たとえば、半導体
デバイス,電子写真用感光体,画像入力用センサー,撮
像デバイス,光起電力素子,その他の各種エレクトロニ
クス素子,光学素子などに用いる素子材料としてのアモ
ルファスシリコン(以下、「a−Si」と記す。)やポ
リシリコン(以下、「p−Si」と記す。)、あるいは
SiO2,SiNなどの絶縁性堆積膜を、大面積の基体
上にマイクロ波を用いたプラズマCVD法により形成す
る大面積プラズマCVD装置が各種提案されている。具
体的には、特公平2−431号公報に開示された、連続
的に搬送される帯状部材(大面積の基体)へプラズマC
VDを行う大面積プラズマCVD装置を代表的なものと
して挙げることができる。
【0006】図7は、マイクロ波プラズマCVD法によ
り帯状部材に堆積膜を堆積する大面積マイクロ波プラズ
マCVD装置の一従来例の説明図である。
【0007】この大面積マイクロ波プラズマCVD装置
700は、帯状部材701をその長手方向に連続的に搬
送する搬送手段と、搬送手段により搬送されてきた帯状
部材701への堆積膜の堆積が行われる成膜室713
と、成膜室713内へ成膜ガスを供給するガス供給手段
と、成膜室713内の成膜ガスを排出するガス排出手段
と、成膜室713内に供給された成膜ガスを放電するた
めのマイクロ波電力を投入するマイクロ波電力投入手段
とから構成されている。
【0008】ここで、搬送手段は、送出しリール702
と、成膜室713内に設けられた、帯状部材701を折
返す第1の案内ローラ705,帯状部材701が巻付け
られるガイド枠704および帯状部材701を折返す第
2の案内ローラ706と、巻取りリール703とからな
る。ガス供給手段は、成膜ガス用のガスボンベ(不図
示)と、ガスボンベと成膜室713とを連通するパイプ
の途中に設けられた供給用バルブ707とからなる。ガ
ス排出手段は、真空排気系(不図示)と、真空排気系と
成膜室713とを連通するパイプの途中に設けられた排
出用バルブ708とからなる。マイクロ波電力投入手段
は、成膜室713の中心部に設けられた同軸型中心電極
709と、高周波電源710とから概ね構成されてい
る。
【0009】大面積マイクロ波プラズマCVD装置70
0を作動させると、帯状部材701が送出しリール70
2と巻取りリール703とにより連続的に搬送される。
次に、供給用バルブ707が開かれて、成膜室713内
にガスボンベから成膜ガスが供給されると同時に、排出
用バルブ708が開かれて、成膜室713内の成膜ガス
が真空排気系によって排出されることにより、成膜室7
13内の圧力が一定に保たれる。さらに、高周波電源7
10から成膜室713へ同軸型中心電極709を介して
投入されたマイクロ波電力により、成膜ガスが放電して
プラズマ状態となる。そして、ガイド枠704,第1お
よび第2の案内ローラ705,706を介して連続的に
搬送される帯状部材701上に所望の堆積膜が形成され
る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の大面積マイクロ波プラズマCVD装置700に
おいては、高周波電源710から同軸型中心電極709
へマイクロ電力を給電する給電点と同軸型中心電極70
9の端部との間で,マイクロ波の放射強度が一定ではな
く、同軸型中心電極709の端部に向ってマイクロ波の
放射強度が単調減少するため、帯状部材701の幅方向
にわたって均一な堆積膜を形成することが困難であると
いう問題がある。
【0011】本発明の目的は、帯状部材に均一な堆積膜
を形成することができる大面積マイクロ波プラズマCV
D装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の大面積マイクロ
波プラズマCVD装置は、帯状部材をその長手方向に連
続的に搬送する搬送手段と、該搬送手段により搬送され
てきた前記帯状部材への堆積膜の堆積が行われる成膜室
と、該成膜室内へ成膜ガスを供給するガス供給手段と、
前記成膜室内の前記成膜ガスを排出するガス排出手段
と、前記成膜室内に供給された前記成膜ガスを放電する
ためのマイクロ波電力を投入するマイクロ波電力投入手
段とを含み、マイクロ波プラズマCVD法により前記帯
状部材に前記堆積膜を堆積する大面積マイクロ波プラズ
マCVD装置において、前記マイクロ波電力投入手段
が、導波管および該導波管の一面に一列に取付けられた
小アンテナ列を含み、該小アンテナ列から前記成膜室に
マイクロ波透過性部材を介してマイクロ波電力が投入さ
れる。
【0013】ここで、前記小アンテナ列がn個(3≦n
≦10の自然数)の小アンテナで構成され、前記導波管
中を伝搬するマイクロ波の進行方向順に数えて第k番目
の前記小アンテナにおける、前記マイクロ波が前記導波
管の内部から該導波管の外部へ伝搬する比率を振幅透過
率TK としたときに、該振幅透過率TK が、 Tk =1/(n+1−k) ここで、k=,2,…,n となるようそれぞれ調整されていてもよい。
【0014】また、前記導波管および前記小アンテナ列
が、マイクロ波透過性部材で形成された分離管に収納さ
れていてもよい。
【0015】さらに、前記小アンテナ列が、複数個の小
ループアンテナを含んでもよいし、前記小アンテナ列
が、複数個のロッドアンテナを含んでもよい。
【0016】
【作用】本発明の大面積マイクロ波プラズマCVD装置
では、マイクロ波電力投入手段が、導波管および導波管
の一面に一列に取付けられた小アンテナ列を含み、ま
た、小アンテナ列から成膜室にマイクロ波透過性部材を
介してマイクロ波電力が投入されることにより、マイク
ロ波電力を成膜室に均一に投入することができる。
【0017】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0018】図1は、本発明の大面積マイクロ波プラズ
マCVD装置の第1の実施例を示す模式的透視図であ
る。なお、図1においては、装置内部を理解しやすいよ
うに、第1の電磁石1061 と分離管109と導波管1
10と第2の中空状ヨーク1142 とは、所定の位置か
らずらして描いてある。
【0019】この大面積マイクロ波プラズマCVD装置
100は、帯状部材101をその長手方向に連続的に搬
送する搬送手段と、搬送手段により搬送されてきた帯状
部材101への堆積膜の堆積が行われる成膜室113
と、成膜室113内へ成膜ガスを供給するガス供給手段
と、成膜室113内の成膜ガスを排出するガス排出手段
と、成膜室113内に供給された成膜ガスを放電するた
めのマイクロ波電力を投入するマイクロ波電力投入手段
とを含み、マイクロ波プラズマCVD法により帯状部材
101に堆積膜を堆積する点については、従来の大面積
マイクロ波プラズマCVD装置と同じであるが、マイク
ロ波電力投入手段が、導波管110と導波管110の一
面に一列に取付けられた小アンテナ列とを含み、また、
導波管110と小アンテナ列とがマイクロ波透過性部材
で形成された分離管109に収納されており、小アンテ
ナ列から成膜室113にマイクロ波透過性部材を介して
マイクロ波電力が投入される点については、従来のもの
と異なる。
【0020】以下、大面積マイクロ波プラズマCVD装
置100の各構成要素について詳しく説明する。
【0021】(1)搬送手段 搬送手段は、繰出しボビン(不図示)と、成膜室113
内に設けられた、帯状部材101を折返す第1の支持搬
送ローラ1021 ,帯状部材101の両側端近傍がそれ
ぞれ巻付けられる第1,第2の支持搬送円板1041
1042および帯状部材101を折返す第2の支持搬送
ローラ1022と、巻取りボビン(不図示)とからな
る。ここで、第1および第2の支持搬送ローラ10
1,1022は、帯状部材101の幅とほぼ同じ長さを
有し、帯状部材101の搬送方向に互いにほぼ平行に近
接して、第1および第2の支持搬送円板1041,10
2の図示下側と接するように設けられている。また、
第1および第2の支持搬送円板104 1,1042は、帯
状部材101の幅よりもやや狭い間隔で、互いに対向さ
れて、かつその中心線が第1および第2の支持搬送ロー
ラ1021,1022の各中心線とほぼ平行となるように
配設されている。
【0022】(2)成膜室113 成膜室113は、帯状部材101が第1の支持搬送ロー
ラ1021 で折返され、その両側端近傍が第1および第
2の支持搬送円板1041,1042にそれぞれ巻付けら
れ、第2の支持搬送ローラ1022で再度折返されて形
成される柱状空間からなる。
【0023】(3)ガス供給手段 ガス供給手段は、成膜ガス用のガスボンベ(不図示)
と、ガスボンベからガス供給用バルブ(不図示)を介し
て成膜室113内へ成膜ガスを供給するガス導入管11
2とからなる。ここで、ガス導入管112は、第1の支
持搬送ローラ1021 と第2の支持搬送ローラ1022
との間隙から、該2つの支持搬送ローラ1021,10
2と平行に成膜室113内へ挿入されている。また、
ガス導入管112には、ガス噴出口となるノズル(不図
示)が多数個形成されている。
【0024】(4)ガス排出手段 ガス排出手段は、補助ポンプ(不図示)および主ポンプ
(不図示)からなる真空排気系と排気配管(不図示)と
からなり、第1および第2の支持搬送ローラ1021
1022の図示下方に設けられた、分離管109挿入用
の間隙111を介して成膜室113内の成膜ガスを排出
する。なお、補助ポンプはロータリーポンプおよびメカ
ニカルブースタポンプからなり、主ポンプは油拡散ポン
プからなる。
【0025】(5)マイクロ波電力投入手段 マイクロ波電力投入手段は、本発明の特徴部であり、マ
イクロ波電源(不図示)と、アイソレータ(不図示)
と、方向性結合器(不図示)と、チューナ(不図示)
と、それらを適宜連結させる矩形状の導波管110と、
導波管110の図示上面に一列に取付けられた小アンテ
ナ列とからなる。なお、導波管110および小アンテナ
列は、マイクロ波透過性部材で形成された分離管109
に収納されて成膜室113内に挿入されている。導波管
110は縦長の矩形断面を有するとともに、図2(e)
に示すように、末端部203を有し、上面に小アンテナ
列である4個の小ループアンテナ2041〜2044が長
手方向に並んで挿入されている。ここで、各小ループア
ンテナ2041〜2044はそれぞれ実効長が異なってお
り、各小ループアンテナ2041〜2044のループを形
成していない方の各端部はロッド形状をなし、導波管1
10に形成された円形の各孔に各テフロン208 1 〜2
084 を介してそれぞれ挿入されている。各小ループア
ンテナ2041〜2044の他端の周囲には、マイクロ波
の同軸線路を構成する各マイクロ波管2091 〜209
4 が、一端が導波管110に取付けられ、他端が緩い角
度で拡がりながら開口し、電磁ホーンを形成するように
してそれぞれ設けられている。そして、導波管110の
内部には、開口面積が漸次変化した3個の金属絞り21
1 〜2103 が各小ループアンテナ2041〜2044
の間にそれぞれ形成されており、インピーダンス整合が
とれるようになっている。さらに、各小ループアンテナ
2041〜2044は、そのループの作る面が導波管11
0を伝搬するマイクロ波の進行方向に対して90°,5
5°,45°,30°の角度θになるようにそれぞれ取
付けられている。各小ループアンテナ2041〜2044
の実効長と上記角度θを調整することによって、導波管
110の長手方向に配列された各小ループアンテナ20
1〜2044の一端から放射される各マイクロ波が均一
化される。
【0026】図1に示した大面積マイクロ波プラズマC
VD装置100おいて、第1および第2の電磁石106
1,1062は、磁界の向きが同一でコアがリング形状の
ものである。また、該2つの電磁石1061,106
2は、前記2つの支持搬送円板1041,1042の同軸
上でこれらに近接させ、同時に成膜室113内部を磁界
が貫通するように帯状部材101の幅方向に対称とされ
て配置されている。ただし、前述したように、図1にお
いては成膜室113内部を説明するため、第1の電磁石
1061 は所定の位置から移動させて描かれている。
【0027】前記2つの電磁石1061,1062は、鉄
製の第1および第2の中空状ヨーク1141,1042
ともに磁気回路を構成する。ここで、前記2つの中空状
ヨーク1141,1042は、成膜室113を取囲み、か
つ成膜室113と極力近接して配置されるとともに、帯
状部材101が通過できる第1および第2の帯状部材用
間隙1161,1162がそれぞれ形成されている。ま
た、分離管109を前記2つの支持搬送ローラ10
1,1022の間隙に近接して配設させるため、分離管
用の間隙111が前記2つの中空状ヨーク1141,1
142の図示下方の接合部に形成されている。
【0028】次に、本発明の特徴部であるマイクロ波電
力投入手段について、さらに詳しく説明する。
【0029】マイクロ波電力投入手段は、マイクロ波電
源より供給されるマイクロ波電力を成膜室113の内部
に投入して、ガス供給手段から導入される成膜ガスを放
電させ、それを維持させることができる構造を有するも
のである。具体的には、末端部が閉口端となっている導
波管に小アンテナ列が取付けられたものが好ましく用い
られる。小アンテナ列としては、図2(a)〜(d)に
示したような小ループアンテナ2041〜2044のほ
か、ロッドアンテナ,ヘリカルアンテナ,誘電体アンテ
ナ,同軸アンテナを挙げることができる。また、導波管
としては、図1に示したような矩形状の導波管110の
ほか、円形状の導波管,楕円状の導波管などのマイクロ
波伝送用の各種導波管を挙げることができる。
【0030】マイクロ波電力投入手段に好適に用いられ
る矩形状の導波管110の寸法は、使用されるマイクロ
波の周波数帯(バンド)およびモードによって適宜設計
される。設計にあたっては、矩形状の導波管110内で
の伝送ロスが少なく、また、なるべく多重モードが発生
しないように配慮されることが好ましく、具体的には、
EIAJ規格の矩形状の導波管などのほか、2.45G
Hz用の自社規格として内寸が96mm×24mmのも
のを挙げることができる。
【0031】マイクロ波電力投入手段は、帯状部材10
1に直接マイクロ波を放射して、マイクロ波電力が効率
よく成膜室113内に投入できるようにする。具体的に
は、導波管110上に小アンテナ列が同一方向に向かっ
て一列となって配設される。、ここで、同一方向とは、
帯状部材101の少なくとも一部にほぼ垂直な方向であ
る。このため、成膜室113内部に導入される成膜ガス
がマイクロ波を効率よく吸収することができる。
【0032】また、小アンテナ列をn個(3≦n≦10
の自然数)の小アンテナで構成し、導波管110中を伝
搬するマイクロ波の進行方向順に数えて第k番目の小ア
ンテナにおける、マイクロ波が導波管110の内部から
導波管110の外部へ伝搬する比率を振幅透過率TK
したときに、振幅透過率TK が、 Tk =1/(n+1−k) (1) ここで、k=,2,…,n となるようそれぞれ調整する場合には、小アンテナの個
数nの上限は、各小アンテナ間の振幅透過率TK の測定
精度で決まる。たとえば、本発明者らが使用した、測定
精度1%のRFネットワークアナライザー(ヒューレッ
ト・パッカード社製,HP8753C)の場合には、n
≦10である。なぜならば、式(1)において、n=1
0,k=1,2,3,…,9,10とすると、振幅透過
率Tk は、T1 =1/10,T2 =1/9,T3 =1/
8,…,T9 =1/2,T10=1となり、隣接する小ア
ンテナ間での振幅透過率の差Tk−Tk-1は、T2−T1
0.011,T3−T2=0.014,…,T10−T9
0.5となるため、振幅透過率の差Tk−Tk-1の最小値
2−T1=0.011(約1.1%)が、RFネットワ
ークアナライザーの測定精度1%ぎりぎりになるからで
ある。
【0033】マイクロ波電力投入手段において、均一な
マイクロ波電力を小アンテナ列を介して成膜室113内
部に投入する給電方法について、以下に説明する。
【0034】簡単のため、図2(a)〜(d)に示した
4個の小ループアンテナ2041〜2044を有する場合
について説明する。この4個の小ループアンテナ204
1〜2044から均一なマイクロ波電力を成膜室113内
部に投入する給電方法としては、次に示す2通りの給電
方法(給電方法1および給電方法2)がある。
【0035】(1)給電方法1(調整によりインピーダ
ンス整合可能な場合) 導波管110内部のマイクロ波と、各小ループアンテナ
2041〜2044より放射される各小ループアンテナ2
041〜2044近辺でのマイクロ波との振幅比を振幅透
過率TK (k=1,2,3,4)と定義し、導波管11
0内部のマイクロ波の進行方向の順に、T1 =1/4,
2 =1/3,T3 =1/2,T=1/1とする。ま
た、4個の小ループアンテナ2041〜2044と導波管
110とのインピーダンスを整合させ、マイクロ波の反
射を打ち消す。さらに、マイクロ波電力投入手段内部
に、マイクロ波の吸収体を配設しない。
【0036】(2)給電方法2(調整してもインピーダ
ンス整合不能な場合) 第k番目の小ループアンテナからの反射率(測定値)を
k (k=1,2,3,4)とし、第k番目以降の全小
ループアンテナに達するマイクロ波のうち第k番目の小
ループアンテナに分配する比率をDk (k=1,2,
3,4)とすると、各振幅透過率Tk は、 T1=D1×(1−R1) T2=D2×(1−D1)×(1−R1)×(1−R2) T3=D3×(1−D1)×(1−D2)×(1−R1)×
(1−R2)×(1−R3) T4=D4×(1−D1)×(1−D2)×(1−D3)×
(1−R1)×(1−R2)×(1−R3)×(1−R4) でそれぞれ表されるので、T1 =T2 =T3 =T4 とな
るように、各小ループアンテナ2041〜2044に分配
する比率Dk を計算で求める。また、マイクロ波電力投
入手段内部に、マイクロ波の吸収体を配設しない。
【0037】まず、給電方法1において、均一なマイク
ロ波電力を投入する機能について説明する。
【0038】第1番目の小ループアンテナ2041 への
マイクロ波の振幅透過率T1 は、T 1 =1/4、すなわ
ち、導波管110内部を伝搬するマイクロ波の振幅の1
/4である。ここで、各小ループアンテナ2041〜2
044からの反射波は予め調整によって打ち消されてお
り、マイクロ波電力投入手段内部にマイクロ波の吸収体
もないことから、第1番目の小ループアンテナ2041
に伝搬した残りのマイクロ波の振幅(1−T1 )のすべ
てを第2番目以降の各小ループアンテナ2042〜20
4 に伝搬することができる。そして、第2番目の小ル
ープアンテナ2042 へのマイクロ波の振幅透過率T2
は、第1番目の小ループアンテナ2041に吸収されず
に導波管110内部を伝搬するマイクロ波の振幅((1
−T1 )=3/4)のうち、第2番目の小ループアンテ
ナ2042 に伝搬するマイクロ波の振幅(T2 =1/
3)であるから、最初の導波管110内部を伝搬するマ
イクロ波を基準に考えると、第2番目の小ループアンテ
ナ2042 へのマイクロ波振幅透過率T2 はT2 =(3
/4)×(1/3)=1/4となる。同様にして、第3
番目の小ループアンテナ2043 へのマイクロ波振幅透
過率T3 はT3 =(3/4)×(2/3)×(1/2)
=1/4となり、第4番目の小ループアンテナ2044
へのマイクロ波振幅透過率T4 はT4=(3/4)×
(2/3)×(1/2)×1=1/4となる。したがっ
て、各小ループアンテナ2041〜2044には、同一の
振幅のマイクロ波が伝搬するため、各小ループアンテナ
2041 〜2044 を介して成膜室113内部に均一な
マイクロ波電力が投入され、その結果、プラズマを均一
化することができる。
【0039】給電方法1を実現するときの各小アンテナ
の組立および調整方法について、図2(a)〜(d)に
示した4個の小ループアンテナ2041〜2044を例と
して以下に説明する。
【0040】(A)第4番目の小ループアンテナ204
4 の設置 導波管100内部のマイクロ波の進行方向に対して1番
奥すなわち第4番目の小ループアンテナ2044 の振幅
透過率T4 =1の意味は、第4番目の小ループアンテナ
2044 まで伝搬してきたマイクロ波は、導波管110
内部から外部へ全て放射され、同時に反射が完全に打ち
消されることである。これは、導波管110と小ループ
アンテナ2044 との結合度を十分よくすると同時に、
導波管110内部にインピーダンス整合素子を設けて整
合することによって達成できる。たとえば、矩形状のT
10モードでマイクロ波を伝搬させる導波管110内部
に小ループアンテナ2044 を配設する方法は、次の通
りである。
【0041】(a)導波管110の末端部203から管
内波長の1/4の距離であって、矩形状の導波管110
の短辺を構成する壁面のほぼ中央に、円状の孔をあけ
る。
【0042】(b)この孔より一回り小さい孔をもつ誘
電体リングであるテフロン2084を壁面上の円状の孔
に挿入する。
【0043】(c)テフロン2084 の孔に、一端がル
ープ状であって他端が棒状の金属部材で構成された小ル
ープアンテナ2044 を、ループ状の部分が導波管11
0内部に配置されるように挿入する。
【0044】(d)導波管110内部を伝搬するマイク
ロ波の磁束に対して、ループ状の部分が作る面を垂直に
配置する。
【0045】(e)導波管110内部を伝搬するマイク
ロ波の全磁束を囲むように、小ループアンテナ2044
のループの大きさを決める。
【0046】このようにすれば、導波管110と小ルー
プアンテナ2044 との結合度を十分よくすることがで
きる。そして、反射を完全に打ち消すには、引続き次の
調整を行う。
【0047】(f)導波管110の末端部203から管
内波長の1/2の距離であって、導波管110内部に、
マイクロ波反射部材で構成された開口面積可変の絞り板
である金属絞り2103 を設ける。
【0048】(g)金属絞り2103 の開口面積の調整
方法は、導波管110の末端部203と反対側に適当な
変換マイクロ波導波管を介してネットワーク・アナライ
ザー(ヒューレット・パッカード社製)と接続し、金属
絞り2103 の開口面積を変化させながら反射波をモニ
ターすることで、反射損失が0の状態を探り当てること
ができる。
【0049】なお、第4番目の小ループアンテナ204
4 に限っては、矩形状のマイクロ波導波管の一種である
Eコーナーの端面を塞ぐ端面板上にスリットを設けた、
いわゆるスロットアンテナでもよい。この場合には、こ
の端面板を、壁面に孔を開けてアンテナを取付ける位置
を測定する基準面とする。
【0050】(B)第3番目の小ループアンテナ204
3 の設置 上記の第4番目の小ループアンテナ2044 の設置,調
整を終えた状態で、第3番目の小ループアンテナ204
3 を設置する。その設置,調整方法は、第4番目の小ル
ープアンテナ2044 の設置で説明した(a)〜(g)
のうち(d),(e),(f)のみ異なるので、この点
について説明する。
【0051】上記(f)は上記(d)および(e)の状
態に影響を受けるため、まず(d)(e)から説明す
る。
【0052】第3番目の小ループアンテナ2043 につ
いてT3 =1/2とする方法は、ループを横切るマイク
ロ波の磁束を制御すればよいことが知られている。導波
管110内部においてマイクロ波の磁束を制御した結果
ループより生ずる反射波の大きさによって、(f)の調
整位置が変化する。これについて、表1に示すような実
験条件で反射損失の測定を行った結果を図3に示す。
【0053】
【表1】 この結果は、ループより生ずる反射波が小さくなると、
マイクロ波反射部材で構成された絞り板の開口面積は大
きくなり、それにつれて反射が最小となる周波数が低い
周波数側に移動していることを示している。すなわち、
導波管110の末端部203から管内波長に相当する距
離よりも短い位置に、マイクロ波反射部材で構成された
絞り板を設置しなければならないことが判明した。した
がって、上記のような実験を行い、その結果をもとにマ
イクロ波反射部材で構成された絞り板である金属絞り2
102 を設置する位置を決定する。
【0054】(C)第2番目および第1番目の小ループ
アンテナ2042,2041の設置 上記3番目の小ループアンテナ2043 の設置,調整と
同じ手順に従って調整すればよい。上記のように、成膜
室113内部に投入されたマイクロ波電力は、側壁を構
成する帯状部材101で反射,散乱され、成膜室113
内部に一様に充満し、同時にガス供給手段により導入さ
れた成膜ガスに効率よく吸収されるため、均一なプラズ
マを形成することができる。
【0055】次に、給電方法2について、図2(a)〜
(d)に示した4個の小ループアンテナ2041 〜20
4 を例として説明する。
【0056】この方法は給電方法1を発展させたもので
あり、調整してもインピーダンス整合がとれない場合に
適用できる。
【0057】第1番目の小ループアンテナ2041 への
マイクロ波の振幅透過率T1 は、第1番目の小ループア
ンテナ2041 で反射損失しなかった導波管110内部
を伝搬するマイクロ波(1−R1)のうち第1番目の小
ループアンテナ2041 へのマイクロ波(D1 )である
から、T1 =D1 *(1−R1 )で表される。また、第
2番目の小ループアンテナ2042 へのマイクロ波の振
幅透過率T2 は、第1番目の小ループアンテナ2041
で反射損失しなかった導波管110内部を伝搬するマイ
クロ波(1−R1 )のうち第1番目の小ループアンテナ
2041 に伝搬しないマイクロ波(1−D1 )であっ
て、同時に第2番目の小ループアンテナ2042 で反射
損失しなかった導波管110内部を伝搬するマイクロ波
(1−R2)のうち第2番目の小ループアンテナ2042
に伝搬するマイクロ波(D2 )であるから、T2
(1−D1 )×D2 ×(1−R1 )×(1−R2 )で表
される。
【0058】同様にして、第k番目の小ループアンテナ
へのマイクロ波の振幅透過率TK は、次式で表される。
【0059】
【数1】 ここで、T1 =T2 =T3 …=Tk となるように、各小
ループアンテナ204 1〜2044に分配する比率Dk
計算で求める。たとえば、簡単のため、R1 =R2 =R
3 =R4 =0.1,D1 =0.2とすると、 T1 =T2 より、D2 =D1 /((1−D1 )×0.
9) T2 =T3 より、D3 =D2 /((1−D2 )×0.
9) T3 =T4 より、D4 =D3 /((1−D3 )×0.
9) であるから、 D1 =0.2 D2 =0.2777 D3 =0.4274 D4 =0.8292 T1 =0.1800 T2 =0.1799 T3 =0.1800 T4 =0.1800 となる。
【0060】実際のマイクロ波電力投入手段を上記Dk
(k=1〜4)の値にするには、マイクロ波を放射する
各小ループアンテナ2041〜2044について、それぞ
れ公知のマイクロ波電力測定を導波管110内部と外部
とで行うことによって、試行錯誤的に調整する方法が挙
げられる。
【0061】本発明では、マイクロ波電力投入手段に堆
積膜が付着して反射損失によって成膜室113へのマイ
クロ波投入電力が減少することを回避することが望まし
い。このため、マイクロ波電力投入手段と成膜室113
との間にマイクロ波透過性部材からなる分離管109を
設ける。そして、マイクロ波透過性部材は気密を保持さ
せることにより、開口面積可変の絞り板(各金属絞り2
101〜2103)の調整が容易になる。また、成膜室1
13内部にマイクロ波電力を効率よく投入し、一旦投入
されたマイクロ波電力が成膜室113外部に漏洩しない
よう配慮する必要がある。
【0062】次に、マイクロ波電力を成膜室113内部
に効率よく投入する方法について説明する。
【0063】この方法においては、 (a)各小ループアンテナ2041〜2044から放射さ
れる各マイクロ波の主ビームの半値幅が絞り込まれてお
り、該主ビームから派生的に生ずるサイドローブが抑制
されていること。
【0064】(b)各小ループアンテナ2041〜20
4間でクロストークがないこと。が同時に必要であ
る。
【0065】ここで、マイクロ波電力投入手段から放射
されるマイクロ波の主ビームの半値幅を絞り、サイドロ
ーブを抑制するためには、マイクロ波反射板を設ければ
よい。また、クロストークを防止するためには、マイク
ロ波反射板で各小ループアンテナ2041〜2044間が
分離されていればよい。したがって、上記(a),
(b)を同時に満足するためには、各小ループアンテナ
2041〜2044をそれぞれループ状に取囲むようにマ
イクロ波反射板を配設し、マイクロ波反射板の取付け方
向が導波管110に垂直になるようにする。
【0066】次に、マイクロ波電力漏洩防止方法につい
て説明する。
【0067】成膜室113内部に一旦投入されたマイク
ロ波電力を成膜室113外部に漏洩しないようにするに
は、(a)マイクロ波電力がマイクロ波電力投入手段近
傍で吸収されず成膜室113内部で吸収されればよい。
【0068】このためには、「外部磁界」と「排気コン
ダクタンス」を利用する。すなわち、「外部磁界」は、
成膜室113内部では磁界が比較的強く(数百ガウ
ス)、成膜室113外部および成膜室113へのマイク
ロ波電力投入手段近傍では、成膜室113内部より相対
的に磁界が弱くなるように調整されていることが望まし
い。また、「排気コンダクタンス」は、成膜ガスの排気
口を小さくし、成膜室1134内部の圧力が成膜室11
3外部の圧力の2倍以上とすることが望ましい。
【0069】また、「外部磁界」と「排気コンダクタン
ス」との制御の相乗効果で、成膜室113内部では放電
維持電力が低く、成膜室113外部およびマイクロ波電
力投入手段近傍では放電維持電力が高いという事実が判
明した。
【0070】ここで、「放電維持電力」を以下のように
定義する。
【0071】所定の成膜ガスを成膜室113に流しなが
ら放電が開始されるまで成膜室113内部にマイクロ波
電力を投入する。次に、徐々にマイクロ波電力を低下さ
せながら、注目している各部においてフラッシングがな
くプラズマ発光が安定している下限のマイクロ波電力を
読取り、この下限のマイクロ波電力を各部における「放
電維持電力」とする。
【0072】上述したような成膜室113内外において
放電維持電力に差があるということは、マイクロ波の吸
収されやすさに差があると見なすことができる、すなわ
ち、成膜室113内部ではマイクロ波は吸収しやすく、
そのため小さなマイクロ波電力で放電維持が可能とな
る。一方、成膜室113外部ではマイクロ波は吸収しに
くく、そのため大きなマイクロ波電力を必要としている
と言える。これは上述の(a)と合致しており、すなわ
ち、「外部磁界」と「排気コンダクタンス」とを制御す
ればよいことを示している。
【0073】上述の「外部磁界」を得る磁界発生手段
は、次の通りである。
【0074】外部磁界が成膜室113を貫通し、同時に
マイクロ波の導波管110内を伝搬するマイクロ波の進
行方向と平行になるようにすればよい。ここで、磁界発
生手段から発散する磁界が効率よく成膜室113を貫通
するよう、成膜室113を取囲むようにして中空状のヨ
ーク(第1および第2の中空状ヨーク1141 ,114
2)を配設することが望ましい。このヨークとしては、
高透磁率材が好ましく、パーマロイ,鉄,ニッケル,コ
バルトなどが好適である。そして、マイクロ波電力投入
手段を配設する位置でヨークを切欠くことにより、その
部分の「外部磁界」を相対的に弱めることができる。
【0075】分離管109は、成膜室113に並設さ
れ、内部にマイクロ波電力投入手段が収納できる構造を
有する。したがって、分離管109は、成膜室113内
の真空雰囲気とマイクロ波電力投入手段の設置されてい
る外気とを分離し、その内外間に存在している圧力差に
耐え得るような構造に設計され、具体的には、好ましく
は円筒形または半円筒形であることが望ましく、他に全
体的に滑らかな曲面をもつ形状のものであってもよい。
【0076】また、分離管109の周壁の厚さは、用い
られる材質によって多少の差はあるが、好ましくは0.
5mm〜5mmであることが望ましい。その材質として
は、マイクロ波電力投入手段から放射されるマイクロ波
を最小の損失で成膜室113中へ透過させることがで
き、また、成膜室113内への大気の流入が生じない気
密性の優れたものが好ましく、具体的には、石英,アル
ミナ,窒化ケイ素,ベリリア,マグネシア,ジルコニ
ア,窒化ホウ素,炭化ケイ素などのガラスまたはファイ
ンセラミックスなどが挙げられる。分離管109が円筒
形または半円筒形である場合には、その直径(内径)
は、用いられるマイクロ波電力投入手段がその内部に含
まれ、かつマイクロ波電力投入手段が分離管109の内
周壁に接することがない必要最低限の寸法に設定される
ことが望ましい。また、分離管109において、帯状部
材101の幅からはみ出した両端部、すなわちマイクロ
波電力投入手段が挿入される側とその反対側の端部に
は、マイクロ波閉じ込め手段もしくはダミーロードを設
けることが望ましい。前者の手段においては帯状部材1
01の端部から突出している部分のほとんどを金属,金
網などの導電性部材で覆い、アースすることが好まし
く、特に高パワーレベルでマイクロ波の整合に不都合を
生じる可能性がある場合には、後者の手段を設けること
が好ましい。さらに、分離管109において、マイクロ
波電力投入手段が挿入される側に突出している部分につ
いても金属,金網などの導電性部材で覆い、導波管11
0および隔離容器などにアースすることが安全上好まし
い。また、分離管109は、マイクロ波電力またはプラ
ズマエネルギーによる加熱によって熱劣化(ヒビ割れ、
破壊)などを起こすことを防止するために、均一に冷却
されることが好ましい。このため、冷却手段は、具体的
には、分離管109の内周面に沿って流れる空気流であ
ってもよいし、分離管109とほぼ相似の形状で、分離
管109の内部に同心状に形成された囲いで分離管10
9との間に導管を構成し、導管に水,オイル,フレオン
のような冷却流体を流すものであってもよい。
【0077】分離管109の外周面のうち少なくともプ
ラズマ領域に接している部分には、帯状部材101と同
様に膜堆積が起こる。したがって、堆積する膜の種類,
特性にもよるが、堆積膜によってマイクロ波電力投入手
段から放射されるマイクロ波電力が吸収または反射さ
れ、帯状部材101によって形成され得る成膜室113
内へのマイクロ波電力の投入量が減少し、放電開始直後
に比較して著しくその変化量が増大した場合には、プラ
ズマの維持そのものが困難になるばかりでなく、形成さ
れる堆積膜の堆積速度の減少や特性などの変化を生じる
ことがある。このような場合には、分離管109に堆積
される膜をドライエッチング,ウエットエッチング,機
械的方法などにより除去すれば初期状態を復元できる。
特に、真空状態を維持したまま堆積膜の除去を行う方法
としては、ドライエッチングが好適に用いられる。ま
た、分離管109を真空保持のまま回転させ、プラズマ
に曝された部分をプラズマ領域外へ移動させ、プラズマ
領域とは異なる領域で、堆積した膜を除去し、再びプラ
ズマ領域まで回転させて用いるといった連続的手法を採
用することもできる。さらには、分離管109の外周面
に沿って、分離管109とほぼ同等のマイクロ波透過性
を有する材質からなるシートを連続的に送ることによっ
て、シートの表面上に堆積膜を付着、形成させ、プラズ
マ領域外へ排出するといった手法を採用することもでき
る。
【0078】次に、図1に示した大面積マイクロ波プラ
ズマCVD装置100の動作について説明する。
【0079】大面積マイクロ波プラズマCVD装置10
0の動作は、概ね次の手順に従って行われる。
【0080】(1)所定の洗浄を完了した帯状部材10
1の取付 (2)大気中での帯状部材101の搬送,搬送確認およ
び搬送停止 (3)帯状部材101および搬送手段を内蔵した真空チ
ャンバ(不図示)の排気 (4)成膜用ガスの成膜室113内への導入 (5)帯状部材101の温度制御 (6)マイクロ波による放電(成膜工程その1) (7)帯状部材101の搬送(成膜工程その2) (8)帯状部材101の冷却および搬送停止 (9)成膜用ガスの導入停止 (10)真空チャンバの窒素リーク (11)帯状部材101の取出し 以下、上記(1)〜(11)の各手順について詳しく説
明する。
【0081】(1)所定の洗浄を完了した帯状部材10
1の取付 繰出しボビン(不図示)に巻付けられた帯状部材101
を所定の位置に取付け、繰出しボビンで帯状部材101
を繰出しながら第1の支持搬送ローラ1021で折返
し、第1および第2の支持搬送円板1041,1042
巻付けて、ほぼ一周させたのち、第2の支持搬送ローラ
1022 で再び折返して、成膜室113を形成する。ま
た、巻取りボビン(不図示)に帯状部材101の端部を
固定して、巻取りボビンで帯状部材101が巻取られる
よう準備する。
【0082】(2)大気中での帯状部材101の搬送,
搬送確認および搬送停止 帯状部材101の取付が完了したら、大気中において、
巻取りボビン回転機構(不図示)および支持搬送ローラ
駆動機構(不図示)などの帯状部材駆動手段で連続的に
支障なく帯状部材101を搬送できるか否かを確認す
る。ここで、帯状部材駆動手段は、前進機能と後進機能
とを兼備することが望ましく、また、帯状部材繰出し量
の表示器を具備することが望ましい。
【0083】帯状部材101を支障なく搬送できること
が確認されたのち、帯状部材繰出し量の表示器をモニタ
しながら、帯状部材101を初期設定位置まで戻して、
その位置で停止させる。
【0084】(3)帯状部材101および搬送手段を内
蔵した真空チャンバの排気 帯状部材101および搬送手段を内蔵した真空チャンバ
の蓋を閉じ、ガス排出手段で真空チャンバ内の排気を行
う。すなわち、ロータリーポンプおよびメカニカルブー
スタポンプで粗引したのち、油拡散ポンプで本引すると
いう手順で、真空チャンバ内部の帯状部材101で囲ま
れた成膜室113の圧力が、2×10-5Torrに達す
るまで連続的に排気を行う。
【0085】(4)成膜用ガスの成膜室113内への導
入 ガスボンベ(不図示)からステンレス製のパイプ(不図
示)を介してガスの混合およびガス流量の精密制御を行
うミキシングパネル(不図示)にガスを導き、ミキシン
グパネル内のマスフローコントローラ(不図示)で所定
の流量に制御された成膜用ガスをガス導入管112を介
して成膜室113内へ導入する。このとき、成膜室11
3内の圧力が5×10-3Torr前後になるように、油
拡散ポンプの排気能力および排気管の排気コンダクタン
スを予め選択しておく。
【0086】(5)帯状部材101の温度制御 成膜用ガスを流しながら、温度制御機構(不図示)で帯
状部材101を所定の温度にする。ここで、RF(ラジ
オ周波数)を用いたプラズマCVD装置に比べてマイク
ロ波プラズマCVD装置では、電子密度および電子温度
がともに高いため、プラズマからの熱で帯状部材101
の温度が上昇しやすい。また、投入するマイクロ波電力
に応じて、帯状部材101の平衡温度が決る。たとえ
ば、 帯状部材101:材質SUS430BA(ブライトアニ
ール),幅430mm 成膜室113 :φ160mm×390mm 成膜条件 :Si4 270sccm (5×10
-3Torr) の場合の帯状部材101の平衡温度は、表2に示す通り
である。
【0087】
【表2】 表2に示した平衡温度と同じかまたはそれ以上の温度
を所望の帯状部材101の成膜温度とすることができ
る。
【0088】したがって、帯状部材101の材質,表面
処理,成膜室113の寸法,ガス流量,成膜室113内
の圧力が異なる場合には、適宜同様にして帯状部材10
1の平衡温度を測定することにより、所望の帯状部材1
01の成膜温度とすることができる。
【0089】(6)マイクロ波による放電(成膜工程そ
の1) マイクロ波電源からマイクロ波を発振させ、アイソレー
タ,方向性結合器(電力計),チューナを介して、導波
管110上に設けられた各小ループアンテナ201〜2
044からマイクロ波を放射して、分離管109を介し
て成膜室113内部にマイクロ波電力を投入する。この
とき、円筒状の成膜室113の円板状の底面を形成する
第1および第2の支持搬送円板1041,1042からマ
イクロ波の漏洩があると、マイクロ波電力で成膜室11
3内部に放電が生じない場合がある。したがって、第1
および第2の支持搬送円板1041,1042は、その外
周上にキズや凸凹がないように注意し、同時に、第1お
よび第2の支持搬送円板1041,1042の端部にもマ
イクロ波シールド板を設けることが望ましい。
【0090】以上のような構造上の工夫を施したのち、
前述した給電方法1または給電方法2のいずれかの方法
で、成膜室113内にマイクロ波電力を投入し、成膜室
113内に放電を生起させて、その結果生じるラジカル
を利用して成膜室113の内側の壁の大部分を構成する
帯状部材101の表面に均一な堆積膜を形成する。な
お、放電生起および放電維持を容易にするため、第1お
よび第2の電磁石106 1,1062によって成膜室11
3を貫く磁界を発生させてもよい。
【0091】(7)帯状部材101の搬送(成膜工程そ
の2) 前述した「マイクロ波による放電」により成膜が開始さ
れ、放電で生ずるプラズマ発光が安定な状態に達したの
ち、帯状部材101の表面上に広く堆積膜を形成させる
ため、帯状部材101を搬送する。その搬送速度は、堆
積膜の膜厚,堆積速度および成膜室113の内周長で決
る。すなわち、堆積膜の膜厚が2000Å,堆積速度が
100Å/secの場合、成膜室113内の滞留時間が
2000÷100=20secであればよい。したがっ
て、直径φ160mmの成膜室113の場合には、内周
長が約480mmであるので、成膜室113の内周を2
0secかかって帯状部材101を搬送するには、搬送
速度を 480mm÷20sec=24 mm/sec =144 cm/min =1.4 m/min とすればよい。
【0092】ただし、実際には、第1および第2の支持
搬送ローラ1021,1022の部分の円周が欠損し、成
膜室113の実効長は短くなっているので、欠損部に相
当する分だけ帯状部材101をゆっくり搬送すればよ
い。すなわち、搬送速度,堆積膜の膜厚,堆積速度およ
び成膜室113の実効長は互いに相関があるので、適宜
それらの値を整合させればよい。
【0093】以上のような手順で決めた搬送速度で帯状
部材101を連続的に搬送することにより、帯状部材1
01の表面上に広く所望の膜厚の堆積膜を形成すること
ができる。
【0094】(8)帯状部材101の冷却および搬送停
止 前述のように帯状部材101を搬送しながら連続的に堆
積膜を形成し、繰出しボビンに巻付けられた帯状部材1
01の残量がほとんどなくなったら、帯状部材101の
搬送,マイクロ波放電および温度制御を停止する。ここ
で、繰出しボビンに巻付けられた帯状部材101の残量
検知手段としては、前述した帯状部材101の繰出し長
表示器や繰出しボビンの外径検知などを用いればよい。
また、成膜が完了した帯状部材101を真空チャンバ外
部に取出すためには、予め帯状部材101を冷却しなけ
ればならない。この冷却による堆積膜の剥離を防止する
ためには、徐冷することが望ましく、マイクロ波放電を
止めたのちも暫く成膜用ガスを流しておく。
【0095】(9)成膜用ガスの導入停止 成膜用ガスを5分程度流したのち、成膜用ガスの導入を
停止して、Ar ガスを500sccm程度の流量で流
す。帯状部材101の表面温度が70℃程度になったと
ころで、Ar ガスの導入を停止したのち、残留ガスを排
気して成膜室113内の圧力が2×10-5Torrに達
するまで排気を続ける。
【0096】(10)真空チャンバの窒素リーク 成膜室113内の圧力を2×10-5Torrから大気圧
に戻すために、乾燥窒素を成膜室113内に導入し、成
膜室113内の圧力が大気圧になったことをブルドン管
式圧力計(不図示)で確認したのち、真空チャンバの蓋
を開き、成膜が完了した帯状部材101を真空チャンバ
から取出す。
【0097】(11)帯状部材101の取出し 帯状部材101を取出し方法は、概ね次の2通りであ
る。
【0098】(a)1ロール分の帯状部材101をすべ
て巻取りボビンに巻取り、繰出しボビンを空にしたの
ち、巻取りボビンと繰出しボビンとを取出す。
【0099】(b)繰出しボビンに未だ残量があるとき
には、帯状部材101を切断し、繰出しボビンを別の帯
状部材が巻かれている繰出しボビンと交換して、新規の
帯状部材の端部と、切断された帯状部材101の切断部
とを接合する。そして、この接合線が巻取りボビン近傍
にくるまで新規の帯状部材を搬送したのち、再びこの接
合線で帯状部材を切断する。切断後に、成膜後の帯状部
材101が巻取られた巻取りボビンを取出し、別の巻取
りボビンを取付ける。
【0100】この2通りの取出し方法のいずれがよいか
は、装置の長さや円筒状の成膜室113の数によるた
め、適宜選択することが望ましい。
【0101】図4は、マイクロ波電力投入手段の他の例
を示す図で、同図(a)は矩形状の導波管302を側面
から見た模式図であり、同図(b)は導波管302を上
面から見た模式図である。
【0102】この導波管302は断面が横長の矩形状で
あり、上面には、長手方向に円形の孔が4個形成され、
各孔に各ロッドアンテナ3041〜3044がそれぞれ挿
入されている。各ロッドアンテナ3041〜3044は、
導波管302の内部に、その一端の突出する長さがそれ
ぞれ異なるように取付けられている。
【0103】その他の部材である各テフロン3081
3084および各マイクロ波管309 1〜3094は、図
2に示した例と同様に導波管302の上面にそれぞれ取
付けられており、各金属絞り3101〜3103も図2に
示した例と同様に導波管302の内部にそれぞれ設けら
れている。
【0104】このマイクロ波電力投入手段では、導波管
302の内部に突出する各ロッドアンテナ3041〜3
044の一端の長さをそれぞれ調整することによって、
放射されるマイクロ波を均一化する。
【0105】図5は、本発明の大面積マイクロ波プラズ
マCVD装置の第2の実施例を示す模式的透視図であ
る。
【0106】この大面積マイクロ波プラズマCVD装置
400が図1に示した大面積マイクロ波プラズマCVD
装置100と異なる点は、第1および第2の電磁石10
1,1062 の代わりに第1および第2の永久磁石4
011,4012を用いていることである。
【0107】ここで、第1の永久磁石4011 は、8個
のサマリウムコバルト磁石が磁極の方向を揃えられて、
アルミニウム製の円筒形磁石ホルダに環状に形成された
8個の穴にそれぞれ挿入されて構成されている。また、
円筒形磁石ホルダは不図示の水冷機構を介して第1の支
持搬送円板1041 に接しており、円筒形磁石ホルダの
周囲には、第1の鉄製ヨーク4031が円筒形磁石ホル
ダを包込むようにして設けられている。そして、第1の
鉄製ヨーク4031 には、第1および第2の支持搬送ロ
ーラ1021,1022の端部が当たる場所に第1の切欠
き4041 が形成されており、これら端部を通すための
逃げにされている。なお、第2の永久磁石4012 につ
いても同様である。なお、第1および第2の永久磁石4
011 ,4022 を図1に示した第1の実施例のように
ヨークでそれぞれ連結してもよい。また、サマリウムコ
バルト磁石の個数は、8個以外であってもよい。
【0108】この大面積マイクロ波プラズマCVD装置
400は、磁界発生手段以外は図1に示した第1の実施
例と同一構成であり、動作も共通であるので詳しい説明
は省略する。なお、マイクロ波電力投入手段としては、
前述した第1および第2の例のどちらを用いてもよく、
マイクロ波電力投入手段として第1の例を用いた場合
は、各小ループアンテナ2041〜2044の実効長を揃
えてループ面の取付け角度θを変化させることで調整す
ることとしたものや、角度θをすべてマイクロ波の進行
方向に対して90°に統一して実効長のみに違いを持た
せたものを用いることもできる。さらに、導波管110
は、断面が矩形のもののみではなく、楕円や円のもので
もよいが、この場合にはマイクロ波の伝搬モードとして
TE11モードを採用する。
【0109】図6は、本発明の大面積マイクロ波プラズ
マCVD装置の第3の実施例を示す模式的透視図であ
る。なお、成膜室513の内部を理解しやすいように、
成膜室513の壁面の一部を取り除くとともに、マイク
ロ波電力投入手段の一構成要素である第1および第2の
導波管5101,5102を所定の位置から下にずらして
描いてある。
【0110】この大面積マイクロ波プラズマCVD装置
500は、帯状部材501をその長手方向に連続的に搬
送する搬送手段と、搬送手段により搬送されてきた帯状
部材501への堆積膜の堆積が行われる成膜室513
と、成膜室513内へ成膜ガスを供給するガス供給手段
と、成膜室513内の成膜ガスを排出するガス排出手段
と、成膜室513内に供給された成膜ガスを放電するた
めのマイクロ波電力を投入するマイクロ波電力投入手段
とを含み、マイクロ波プラズマCVD法により帯状部材
501に堆積膜を堆積する点については、従来の大面積
マイクロ波プラズマCVD装置と同じであるが、マイク
ロ波電力投入手段が、後述するように、導波管および導
波管の一面に一列に取付けられた小アンテナ列を含み、
また、小アンテナ列から成膜室513にマイクロ波透過
性部材からなる窓601を介してマイクロ波電力が投入
される点については、従来のものと異なる。
【0111】以下、大面積マイクロ波プラズマCVD装
置500の各構成要素について詳しく説明する。
【0112】(1)搬送手段 搬送手段は、帯状部材501を支持するとともに、その
長手方向に帯状部材501を搬送するための、繰出しボ
ビン(不図示)と、成膜室513の図示両側面にそれぞ
れ設けられた第1および第2のスリット5171,51
2と、巻取りボビン(不図示)とからなる。
【0113】(2)成膜室513 成膜室513は、箱状の形状を有するものである。
【0114】(3)ガス供給手段 ガス供給手段は、成膜ガスのガスボンベ(不図示)と、
ガスボンベからガス供給用バルブ(不図示)を介して成
膜室513内へ成膜ガスを供給するガス導入管512
と、成膜室513の図示左側面の下方に一列に穿設され
た複数個のノズル530とからなる。
【0115】(4)ガス排出手段 ガス排出手段は、補助ポンプ(不図示)および主ポンプ
(不図示)からなる真空排気系と、排気配管(不図示)
と、排気配管と接続された、成膜室513の図示奥側の
側面全面に穿設された複数個の排気口531とからな
る。なお、補助ポンプはロータリーポンプおよびメカニ
カルブースタポンプからなり、主ポンプは油拡散ポンプ
からなる。
【0116】(5)マイクロ波電力投入手段 マイクロ波電力投入手段は、本発明の特徴部であり、マ
イクロ波電源(不図示)と、アイソレータ(不図示)
と、方向性結合器(不図示)と、チューナ(不図示)
と、それらを適宜連結させる、成膜室513の図示下方
に設けられた矩形状の第1および第2の導波管51
1,5102と、各導波管5101,5102の図示上面
に一列にそれぞれ取付けられれた各小アンテナ列と、成
膜室513の底面に設けられた、マイクロ波透過性部材
からなる窓601とで構成されている。なお、第1の導
波管5101 は図2に示したものと同じ構造のものであ
り、縦長の矩形断面を有するとともに、末端部を有し、
上面に小アンテナ列である4個の小ループアンテナ(不
図示)が各マイクロ波管60911〜60914内に長手方
向に並んでそれぞれ挿入されている。第2の導波管51
2 についても同様である。
【0117】大面積マイクロ波プラズマCVD装置50
0の動作は、基本的に図1に示した第1の実施例の動作
と同様であるので省略する。
【0118】なお、大面積マイクロ波プラズマCVD装
置500は、図1に示した第1の実施例の磁界発生手段
に相当する手段を含んでいないが、本発明の趣旨に沿う
よう、必要に応じて磁界発生手段を配設してもよい。ま
た、本実施例においては、マイクロ波電力投入手段とし
て、2個の導波管(第1および第2の導波管5101
5102 )を並設したが、導波管の個数は2個以外であ
ってもよい。さらに、本実施例においては、図2で示し
たような4個の小ループアンテナを有するものを用いた
が、図4で示したような4個のロッドアンテナを有する
ものであってもよい。
【0119】次に、本発明の大面積マイクロ波プラズマ
CVD装置による具体的製造例を示すが、本発明はこれ
らの製造例によって限定されるものではない。
【0120】〔製造例1〕図1に示した大面積マイクロ
波プラズマCVD装置100を用いて、アモルファスシ
リコン膜の連続堆積を行った。ここで、マイクロ波電力
投入手段は図2に示したものを用いた。
【0121】まず、十分に脱脂,洗浄を行ったSUS4
30BA製の帯状基板101(幅60cm×長さ300
m×厚さ0.15mm)を繰出しボビンに取付けたの
ち、第1の支持搬送ローラ1021 ,第1および第2の
支持搬送円板1041 ,104 2 ,第2の支持搬送ロー
ラ1022 の順に帯状部材101を通し、たるみのない
ように張力を調整した。ここで、成膜室113および分
離管109のサイズは、 成膜室:φ180[mm]×600[mm] 分離管:φ120[mm]×1000[mm]×t5
[mm] とした。
【0122】成膜室113の内部をロータリーポンプ,
メカニカルブースターポンプ,油拡散ポンプにより5×
10-6Torrまで真空引きした。この状態で、帯状部
材101を不図示のヒーターで加熱し、脱ガスを行っ
た。脱ガスが十分行われた時点で、ガス導入管112よ
り、SiH4 ガスを流量600sccmで,Heガスを
流量200sccmでそれぞれ導入した。圧力調整バル
ブにより、成膜室113内の圧力を5mTorrに保持
した。
【0123】その後、マイクロ波電源より導波管110
および各小ループアンテナ2041〜2044 を介し
て、実効電力で3.0kWのマイクロ波電力を成膜室1
13内部に投入して、放電を生起した。放電を維持しな
がら成膜室113内部に投入するマイクロ波電力の実効
電力を1.2kWまで低減させ、暫くその状態を維持し
て、放電によるプラズマ発光強度にゆらぎがないか、発
光モニターにより測定した。発光モニターの出力は記録
計に接続されており、プラズマ発光強度が±5%以内で
あることを確認した。
【0124】帯状部材101を連続的に搬送し、その搬
送速度が1.0m/minとなるよう調整した。
【0125】搬送を開始してから30分間、連続して堆
積膜の形成を行った。その後、動作をすべて停止し、帯
状部材101を冷却したのち取出した。
【0126】以上のようにして帯状部材101の表面に
形成された堆積膜の膜厚分布を幅方向および長手方向に
ついて1m間隔で測定した結果、膜厚分布は5%であっ
た。このときの平均堆積速度は105Å/secであっ
た。また、その一部を切出し、反射型FT−IR装置
(パーキン・エルマー社製,1720X)を用いて赤外
吸収スペクトルを測定した結果、2000cm-1および
630cm-1に吸収が認められ、アモルファスシリコン
膜に特有の吸収パターンであった。
【0127】さらに、RHEED(日本電子製,JEM
−100SX)により堆積膜の結晶性を評価した結果、
ハローで非晶質であることが判明した。また、金属中水
素分析計(堀場製作所製,EMGA−1100)を用い
て膜中水素量を計量したところ、20±2原子%であっ
た。
【0128】〔製造例2〕製造例1と同じ装置を同じ手
順で操作し、ガス導入管112よりSiH4 ガスを流量
150sccmで、GeH4 ガスを流量120sccm
で、Heガスを流量80sccmで成膜室113内にそ
れぞれ導入し、成膜室113内部の圧力を11mTor
rに保持し、マイクロ波の実効電力1.3kWで成膜す
る以外は同様の堆積膜形成条件で、アモルファスシリコ
ンゲルマニウム(a−SiGe:H)膜の連続堆積を行
った。そして、製造例1と同様、帯状部材101を取出
して各種測定を行った。その結果、 膜厚分布: 5%(1m間隔で28点測定) 堆積速度: 26A/sec 赤外吸収スペクトル:200cm-1,1880cm-1
630cm-1に吸収 RHEED: ハロー 膜中水素量: 14±2atomic% であり、a−SiGe:H膜特有の吸収パターンが認め
られた。
【0129】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は次の効果
がある。
【0130】マイクロ波電力投入手段が、導波管および
導波管の一面に一列に取付けられた小アンテナ列を含
み、また、小アンテナ列から成膜室にマイクロ波透過性
部材を介してマイクロ波電力が投入されることにより、
マイクロ波電力を成膜室に均一に投入することができる
ため、帯状部材に均一な堆積膜を形成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の大面積マイクロ波プラズマCVD装置
の第1の実施例を示す模式的透視図である。
【図2】マイクロ波電力投入手段の一例であを示す図で
あり、(a)〜(d)は小ループアンテナの摸式図、
(e)は全体の摸式図である。
【図3】マイクロ波電力投入手段の反射損失の一測定結
果を示す図であり、(a)〜(c)は測定に用いた小ル
ープアンテナの摸式図、(d)は測定結果を示すグラフ
である。
【図4】マイクロ波電力投入手段の他の例を示す図であ
り、(a)は矩形状の導波管を側面から見た模式図であ
り、(b)は導波管を上面から見た模式図である。
【図5】本発明の大面積マイクロ波プラズマCVD装置
の第2の実施例を示す模式的透視図である。
【図6】本発明の大面積マイクロ波プラズマCVD装置
の第3の実施例を示す模式的透視図である。
【図7】マイクロ波プラズマCVD法により帯状部材に
堆積膜を堆積する大面積マイクロ波プラズマCVD装置
の一従来例の説明図である。
【符号の説明】
100,400,500 大面積マイクロ波プラズマ
CVD装置 101,501 帯状部材 1021,1022 支持搬送ローラ 1041,1042 支持搬送円板 1061,1062 電磁石 109 分離管 110,302,5101,5102 導波管 111 間隙 112,512 ガス導入管 113,513 成膜室 1141,1142 中空状ヨーク 1161,1162 帯状部材用間隙 203,303 末端部 2041〜2044 小ループアンテナ 2081〜2084,3081〜3084 テフロン 2091〜2094,3091〜3094,60911〜60
14,60921〜609 24 マイクロ波管 2101〜2103,3101〜3103 金属絞り 3041〜3044 ロッドアンテナ 4011,4012 永久磁石 4031,4032 鉄製ヨーク 4041 切欠き 5171,5172 スリット 530 ノズル 531 排気口 601 窓

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 帯状部材をその長手方向に連続的に搬送
    する搬送手段と、該搬送手段により搬送されてきた前記
    帯状部材への堆積膜の堆積が行われる成膜室と、該成膜
    室内へ成膜ガスを供給するガス供給手段と、前記成膜室
    内の前記成膜ガスを排出するガス排出手段と、前記成膜
    室内に供給された前記成膜ガスを放電するためのマイク
    ロ波電力を投入するマイクロ波電力投入手段とを含み、
    マイクロ波プラズマCVD法により前記帯状部材に前記
    堆積膜を堆積する大面積マイクロ波プラズマCVD装置
    において、前記マイクロ波電力投入手段が、導波管およ
    び該導波管の一面に一列に取付けられた小アンテナ列を
    含み、該小アンテナ列から前記成膜室にマイクロ波透過
    性部材を介してマイクロ波電力が投入されることを特徴
    とする大面積マイクロ波プラズマCVD装置。
  2. 【請求項2】 前記小アンテナ列がn個(3≦n≦10
    の自然数)の小アンテナで構成され、前記導波管中を伝
    搬するマイクロ波の進行方向順に数えて第k番目の前記
    小アンテナにおける、前記マイクロ波が前記導波管の内
    部から該導波管の外部へ伝搬する比率を振幅透過率TK
    としたときに、該振幅透過率TK が、 Tk =1/(n+1−k) ここで、k=,2,…,n となるようそれぞれ調整されている請求項1記載の大面
    積マイクロ波プラズマCVD装置。
  3. 【請求項3】 前記導波管および前記小アンテナ列が、
    マイクロ波透過性部材で形成された分離管に収納されて
    いる請求項1または請求項2記載の大面積マイクロ波プ
    ラズマCVD装置。
  4. 【請求項4】 前記小アンテナ列が、複数個の小ループ
    アンテナを含む請求項1乃至請求項3いずれか1項記載
    の大面積マイクロ波プラズマCVD装置。
  5. 【請求項5】 前記小アンテナ列が、複数個のロッドア
    ンテナを含む請求項1乃至請求項3いずれか1項記載の
    大面積マイクロ波プラズマCVD装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4961657A (en) * 1988-09-16 1990-10-09 Ncr Corporation Record media drive mechanism for dot matrix printer
JP2016530699A (ja) * 2013-05-31 2016-09-29 アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドApplied Materials,Incorporated プラズマ処理システムのためのアンテナアレイ構成

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