JPH05138143A - 廃棄物処分場における最終覆土工法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 廃棄物処分場のガス抜きを充分に行えるとと
もに、雨水等の廃棄物内への浸透を防止する。 【構成】 ピット１内に埋め戻された埋設物積層体２の
表面に遮水シート６を被せる。遮水シート６は、ガス透
過性がありかつ遮水性のある通気性遮水シート材料１０
と、通常の塩ビシート等からなる非通気性遮水シート材
料１１とを、所定のパターンにゾーニングした状態で隣
接配置し、両者の接合縁をシーム溶着などにより一体に
接ぎ合わせたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、廃棄物投棄ピット内
に発生するガスの圧力による遮水シートの浮き上がりや
破断を防止するための廃棄物処分場における最終覆土工
法に関する。

【０００２】

【従来の技術】廃棄物処分場にあっては、所定の廃棄ピ
ットの内部に廃棄物を埋立て、廃棄物の層がある程度の
厚みになった段階で表面を覆土する作業を交互に繰返
し、その積層物が地表面のある高さまで到達すると、最
終的な覆土工事を行い、上部を公園などの施設に利用し
ている。

【０００３】この最終覆土工事は、簡便な方法としては
覆土のみで済まされる場合もあるが、これだけでは雨水
などがピット内部にしみこんで汚染水となり、地下に浸
透して水源を汚染する惧れがあるため、一般には遮水シ
ートを敷設して雨水の浸透を防止している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、廃棄ピ
ット内部は廃棄物中の有機物の醗酵分解などにより、メ
タンガスなどが発生し易く、表面を遮水シートで覆った
場合には、そのガスの抜け道ができず、地盤表面の隆起
や爆発などの惧れがあった。したがって、従来では前記
遮水シートを貫通して廃棄ピット上にガス抜き用の通気
パイプを所々に立設し、これを通じて排気していたが、
局所的な排気しかできず、面積の広い処分場ではガス圧
によって遮水シートが浮き上がったり、破断する例も報
告されていた。

【０００５】この発明は、以上の問題を解決するもの
で、通気性遮水シートによりガス抜きを充分に行えると
ともに、水の廃棄物内への浸透を防止できるようにした
廃棄物処分場における最終覆土工法を提供することを目
的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、この発明に係る廃棄物処分場における最終覆土工法
は、廃棄物投棄ピット内に埋め立てられた廃棄物の最上
部を、非通気性遮水シートと、該非通気性遮水シートに
接ぎ合わされる通気性遮水シートとで被覆するものであ
る。

【０００７】

【作用】前記の構成によれば、廃棄ピットから生じたガ
スは通気性遮水シートを通じて大気側に放出される。こ
の通気性遮水シートの耐水圧力は耐空気圧力に比べて極
めて高い、すなわち通気性を有する一方ほぼ不透水性で
あるため、雨水などがシートを通じて内部に浸透するこ
とがない。

【０００８】

【実施例】以下、この発明の一実施例につき図面を用い
て詳細に説明する。図１はこの発明を適用した廃棄物処
分場を示すものである。この廃棄物処分場は、地盤Ｅを
掘削するか、あるいは自然の地形を利用した窪みを廃棄
物投棄ピット１として、この内部に廃棄物２ａおよび覆
土２ｂを交互に積層状態で埋め戻したもので、最終状態
では前記廃棄物２ａと覆土２ｂとの埋設物積層体２の中
央は必要に応じて多少盛り上げられ、所定の緩勾配で傾
斜した状態で周縁部に至らせている。

【０００９】このようにピット１内が埋設物積層体２で
満杯になった時点で最終覆土工事が行われる。まず埋設
物積層体２の表面に遮水シート６を被せる。この後必要
に応じて遮水シート６の表面に砂などからなる透水性材
料７を所定厚みに積層し、最後に透水性材料７の表面を
最終覆土８で覆い、敷き均しにより最終覆土工事を完了
する。

【００１０】前記覆土工事と並行して、廃棄物投棄ピッ
ト１の周囲には排水溝９が掘削され、この排水溝９に面
して前記透水性材料７の層の端面７ａが露出している。
そして、ガス抜き管４が必要に応じて設置される。この
ガス抜き管４は、あらかじめピット１の最底部に溝２ｃ
を形成し、これの内部に配管された通気管３から適宜間
隔をおいて立ち上げられたもので、工事完了状態で遮水
シート６，透水性材料７および覆土８を貫通してその表
面に突出した状態となる。

【００１１】前記遮水シート６は、図２に示すように、
ガス透過性がありかつ遮水性のある通気性遮水シート材
料１０と、通常の塩ビシート等からなる非通気性遮水シ
ート材料１１とを、所定のパターンにゾーニングした状
態で隣接配置し、両者の接合縁をシーム溶着などにより
一体に接ぎ合わせて形成されたものである。このように
通気性および非通気性遮水シート材料１０，１１を混在
させるのは、通気性を考えれば通気性遮水シート材料１
０のみを全面的に敷設するのがよいが、通気性と遮水性
とを兼ね備えたシート材料にあってはその厚さが極めて
薄くなってしまうため、当該シート材料の下に敷設され
た透水性材料７や埋設されている廃棄物２ａ中から発生
するガスの圧力等によって容易に破断してしまうことが
考えられるからである。それゆえ、経済性やガス抜き効
果および接ぎ合わせ作業性を勘案して通気性シートと非
通気性シートとの面積比を決定し、図示例のような通気
性遮水シート材料１０と非通気性遮水シート材料１１と
を格子状に配置するパターン以外の種々の配置パターン
を設定できる。

【００１２】この通気性遮水シート材料１０は、一例と
して図３に拡大して示すように、例えば厚さ１ｍｍの塩
ビシートに無数の微小孔をあけて形成した２枚の通気性
シート１０ａの間に不織布１０ｂをサンドイッチ状に積
層するとともに、通気性シート１０ａの幅方向両側に溶
着用シート１０ｃを挾み、その長手方向に沿って溶着し
て袋状に形成したもので、溶着用シート１０ｃの側縁部
に前記非通気性遮水シート材料１１の側縁部を重ね、シ
ーム溶着などによって一体に溶着している。

【００１３】そして、前記通気性シート１０ａの厚さが
１ｍｍの場合に、空気に対する耐圧力は０．０３ｋｇ／
ｃｍ² と低いため、極めて通気性が良好である反面、水
に対する耐圧力は０．４ｋｇ／ｃｍ² と比較的高く、遮
水性に富んでいる。

【００１４】以上の構成において、覆土工事完了後にピ
ット１内に発生したガスは、埋設物積層体２の表面から
遮水シート６の裏面側に至り、通気性遮水シート材料１
０を通過することで透水性材料７の内部に侵入し、この
空隙を伝って透水性材料７の端面７ａから大気中に放出
される。なお、非通気性遮水シート材料１１の裏面に到
達したガスは、隣接する通気性遮水シート材料１０側に
移動し、同じく大気中に放出されることになる。

【００１５】なお、一時的に大量に発生したガスは通気
管３に集められ、ガス抜き管４を通じて大気中に放出さ
れる。

【００１６】また、覆土工事完了後に降雨があった場合
には、覆土８に降り注いだ雨は、その内部を伝って前記
透水性材料７にしみ込む。遮水シート６は、いずれも遮
水シート材料１０，１１によって構成されているので、
透水性材料７の内部にしみ込んだ水は遮水シート６表面
の勾配に沿って流下し、透水性材料７の端面７ａから排
水溝９内に流出することになり、覆土８に雨水が滞留す
ることによる軟弱化や泥寧化を未然に防止できることに
なる。

【００１７】

【発明の効果】以上実施例によって詳細に説明したよう
に、この発明に係る廃棄物処分場における最終覆土工法
によれば、廃棄ピットから生じたガスは通気性遮水シー
トを通じて効率よく大気中に放出されるため、従来のよ
うに部分的にシートが浮き上がったり破断したりするこ
とがなく、安全性を確保できる。また、通気性遮水シー
トの耐水圧力は耐空気圧力に比べて極めて高いため、雨
水などがシートを通じて内部に浸透することがなく汚染
水の流出等の不具合も解消される利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係る最終覆土工法を適用した廃棄物
処分場の断面説明図である。

【図２】同上平面図である。

【図３】通気性遮水シート材料の構造および非通気性遮
水シート材料に対する接ぎ合わせ部分を示す部分拡大断
面図である。

【符号の説明】

１ 廃棄物投棄ピット ２ 埋設物積層体 ６ 遮水シート ７ 透水性材料 ７ａ 端面（透水性材料７の） ８ 覆土 ９ 排水溝 １０ 通気性遮水シート材料 １１ 非通気性遮水シート材料

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 廃棄物投棄ピット内に埋め立てられた廃
   棄物の最上部を、非通気性遮水シートと、該非通気性遮
   水シートに接ぎ合わされる通気性遮水シートとで被覆す
   ることを特徴とする廃棄物処分場における最終覆土工
   法。